JPH0781785B2 - 誘導加熱による金属溶湯炉 - Google Patents

誘導加熱による金属溶湯炉

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JPH0781785B2
JPH0781785B2 JP1060108A JP6010889A JPH0781785B2 JP H0781785 B2 JPH0781785 B2 JP H0781785B2 JP 1060108 A JP1060108 A JP 1060108A JP 6010889 A JP6010889 A JP 6010889A JP H0781785 B2 JPH0781785 B2 JP H0781785B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、例えばるつぼ形誘導炉、溝形誘導炉、連続
鋳造用テンディッシュ炉のように、誘導加熱により金属
を溶解したり、溶解した金属溶湯を保温したりする誘導
加熱による金属溶湯炉に関し、特にこれらの炉体の炉壁
内に気体による加圧又は減圧を与えるようにしたものに
係る。
〔従来の技術〕
誘導炉の耐火材からなる炉体のクラック等から溶湯が炉
外へ漏出して誘導コイルに接触して大事故に到らないよ
うにするために、誘導炉には湯漏れ検出装置を設けるこ
とが多い。
従来の技術になる湯漏れ検出装置に係る文献としては、
例えば実開昭63-101792号、特開昭62-182568号、実開昭
59-159892号、実公昭58-7278号等がある。
第4図は前記文献に共通な湯漏れ検出装置を示し、るつ
ぼ形誘導炉の耐火材よりなる炉体1に異常な損傷、たと
えばクラック等の発生により、炉内の溶湯3の炉外への
漏出を検出するのに、上記炉体1の底部に炉内の溶湯3
と接触する第1電極4を設けるとともに、炉体外周に巻
装された誘導コイル2の内側で、炉体1の外周面を周回
するように装着された断熱材の層の外周面に、たとえ
ば、アルミ箔、ステンレス箔等からなる第2電極5を設
ける一方、前記炉体1の外部で、第1電極4と第2電極
5間に所定の電圧を印加して、両電極間に電流が流通し
たことを電流計6で検出することにより、炉内の溶湯3
が炉体1のクラツク等を介して炉外に漏出したことを検
出し、前記炉体1を再構築すべきことを警報するように
構成している。
この発明は前記湯漏れ検出という技術的課題のほかに、
築炉に関する技術的課題を持つ。不定形耐火物を焼結し
て炉体を構築するには、予めコイル導体に層間及び大地
間の絶縁被覆を施したコイル組の内方空間に粒状耐火材
としてのスタンプ材をつき固めて炉底部を構成し、更に
炉体の側壁部は炉底部上に金型枠を置いて同様にスタン
プ材をつき固めて構成する。その後に炉体内に金型枠及
び地金を収容し、場合によってはバーナで低温焼結後
に、コイルに通電して誘導加熱させ、地金を溶融させる
ことにより炉槽のスタンプ材層を焼結形成させる。この
場合、金型枠は地金と共に溶融させるか或いは溶融点の
高い金型枠を使用して取除いて再使用するかする。
このような築炉方法に関係する従来の技術として、例え
ば特公昭56-53190号が知られ、シリカ系スタンプ材に焼
結剤として酸化硼素(B2O2)を使用することにより、従
来の硼酸(H3BO3)を使用するのと異り、焼結の際の脱
水反応による水分の悪影響を排除している。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記の従来の技術のうち湯漏れ検出に関するものでは、
炉体の損傷が軽微なものであっても、誘導炉の運転時
に、炉体を形成する耐火材、たとえば、天然シリカ等に
含有された水分の蒸気とか、溶解対象の金属ビレツトが
鉛、亜鉛等の低融点金属、亜鉛皮覆鉄板、又は亜鉛と銅
の合金である場合の金属蒸気とかは、炉体の損傷部ある
いは気孔を通して炉外に容易に漏出し、これ等の蒸気に
よって炉体内側に形成された第1電極と第2電極間の電
気回路が導通状態となって湯漏れが発生したと判定され
ることとなる。
このように、炉体の損傷等の異常が、水蒸気とか低融点
の金属蒸気とかを僅かに漏出させる程度の軽微なもので
あり、当該炉体の周辺の構成部分、特に、誘導コイル等
に実質的に悪影響を及ぼすこともない場合であっても、
湯漏れが発生したと判定して再築炉するように判断さ
れ、不要に、再築炉をおこなうこととなる不具合があっ
た。炉体を粒状耐火物をつき固めて構成するので、炉体
は微少の多数の気孔を有し、炉体に異常がなくとも、上
記鉛、亜鉛等の低融点金属の蒸気が炉体を透過すること
があり、これによっても、誤検出が行なわれることがあ
る。
また前記の従来の技術のうち築炉に関するものでは、硼
酸の脱水による水分の発生は免かれるものの、シリカ系
スタンプ材及びその他のマグネシヤ系、アルミナ系、ム
ライト系、スピネル系等のスタンプ材自身が含む水分や
酸化硼素以外の結合材の結晶水等に基く水分の発生があ
る。焼結中の水蒸気の発生量と放出量のバランスが大き
く崩れると耐火物中に空洞を作り、弱い耐火物構造とな
る。このために金型枠の急速昇温には限度がある。
この発明の目的は、炉壁を低融点金属の蒸気が透過しな
いようにしたり、場合によっては軽微なクラックによる
主材料の溶湯の透過さえも阻止したりするとともに、築
炉の焼結時間を短縮しても、強い耐火物構造物を得よう
とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
発明1の誘導加熱による金属溶湯炉は、 不定形耐火物を焼結してなる多孔質の炉壁の内部から外
周に到る領域に、前記炉壁の内部に連通する気体通路を
張り回し、この気体通路を集結する管を前記炉壁の外に
設けた気体搬送装置に接続するものである。
発明2の誘導加熱による金属溶湯炉は、発明1におい
て、 前記気体通路の外周に緻密な気体阻止層を設けるもので
ある。
発明3の誘導加熱による金属溶湯炉は、発明1又は発明
2において、 前記気体通路を前記炉壁の内部に複数の小穴によって連
通するノズル管とするものである。
発明4の誘導加熱による金属溶湯炉は、発明1におい
て、 前記気体通路を緻密な気体阻止層の内周に設けた複数の
溝と、この溝の内周を覆う多孔質のシートから形成する
ものである。
発明5の誘導加熱による金属溶湯炉は、発明1又は発明
2において、 前記気体通路を多孔質の立体構造体とするものである。
〔作用〕
発明1において、炉の操業時にはコンプレッサ等の気体
搬送装置によって管を介して炉壁に張り回した気体通路
に圧力を加えることによって多孔質の炉壁内に内圧が加
わり、金属蒸気又は金属溶湯が炉壁の外へ透過すること
を阻止する。したがって湯漏れ検出装置がある場合に
は、その誤動作がなくなり、場合によっては湯漏れ検出
装置を設けずに、溶湯を排出した時に目視による炉壁の
観察によってその損耗状況を発見して炉体の再構築をし
てもよい。
築炉時には、真空ポンプ等の気体搬送装置によって炉体
内に発生する水蒸気を排気することによって空胴を生じ
ることなく炉体の焼結時間を短くできる。
発明2においては、発明1において炉壁に張り回した気
体通路の外周の気体阻止層が炉壁内に生じる内圧を炉壁
外周において阻止し、発明1の作用を更に強化すると共
に使用気体量が少くなくてよい。そして炉壁内周から気
体通路までの深さの割に気体通路が管又は溝等の場合の
そのピッチを大きくできる。
発明3から発明5までにおいては、実施の態様の変化で
あり発明1又は発明2の作用がある。
〔実施例〕
第1図は実施例1の断面図、第2図は第1図の部分斜視
図、第3図は実施例2の部分斜視図である。
第1図及び第2図において、第4図と同一符号を付ける
ものはおよそ同一機能を持つ。シリカ系、マグネシヤ
系、アルミナ系、スピネル系等の粒状耐火物を焼結して
なる多孔質の炉体1の外周にはコイルセメントシート状
の耐熱材料からなる緻密な気体阻止層11を介して誘導コ
イル2が巻回され、継鉄12が配置され全体がレンガ13を
敷いた床上に設置される。
炉体1の炉壁1aの内部には、金属又はセラミックスから
成り多数の小孔14を有する多数のノズル管15が気体阻止
層11に接して配設されており、管16を介して炉外のコン
プレッサ又は真空ポンプのような気体搬送装置17に接続
されている。
このような構造によれば、作用の項に説明したように、
炉の操業時にはコンプレッサ等の気体搬送装置17によっ
て管16を介して炉壁1aに張り回したノズル管15に圧力を
加えることによってノズル管15の小穴14から多孔質の炉
壁内に内圧が加わり、金属蒸気又は金属溶湯が炉壁1aの
外へ透過することを阻止する。したがって図示しない湯
漏れ検出装置がある場合には、その誤動作がなくなり、
場合によっては湯漏れ検出装置を設けずに、溶湯を排出
した時に目視による炉壁の観察によってその損耗状況を
発見して炉体の再構築をしてもよい。
築炉時には、真空ポンプ等の気体搬送装置17によって炉
壁1a内に発生する水蒸気を排気することによって炉体の
焼結時間を短くできる。
その際、炉壁1aに張り回したノズル管15の外周の気体阻
止層11を図示のように設ければ炉壁内に生じる内圧を炉
壁外周において阻止し、使用気体量が少くなくてよい。
そして炉壁内周からノズル管15までの深さの割にノズル
管15のピッチを大きくできる。
実施例2を示す第3図においては誘導コイル2と図示し
ない炉壁の間に設けたコイルセメント等の気体阻止層11
aの内周には溝31が縦横に張り回され、その内周に図示
しないカーボングラファイト等の繊維を織った多孔質の
シートが内張りされて気体通路が形成される。この場
合、前記の多数の小穴14を持つ多数のノズル管を配設す
るのと異り、溝をモールドで形成し、シートを張るだけ
であり作業が早く、容易である。
発明5に係る実施例は図示しないが、ステンレス鋼ウー
ルのような多孔質の立体構造体を気体通路として炉壁1a
の外周に張り回わし、気体搬送装置に接続した管16の先
端を前記立体構造体内に挿し込むものである。
なお第3図のものの溝31に立体構造体を充填すれば、前
記多孔質のシートを要しない。
前述のこれらの実施例の応用として、炉壁内の内圧によ
って金属蒸気又は溶湯を阻止する以上に内圧を高めた
り、炉体の粒度を粗くすることによって気体を炉壁内周
から発散させることにより、炉壁内周に付着しやすいス
ラグの付着を防止して気体と共に浮上させたり、気体を
O2として溶湯の脱炭作用、脱ガス作用等を行せることが
できる。
なおこの発明は、緻密に焼結した定形るつぼの外周にバ
ックアップ用の不定形耐火物を使用するものも含む。
〔発明の効果〕
この一群の発明の誘導加熱による金属溶湯炉は、不定形
耐火物を焼結してなる多孔質の炉壁の内部から外周に到
る領域に、前記炉壁の内部に連通する気体通路を張り回
し、この気体通路を集結する管を前記炉壁の外に設けた
気体搬送装置に接続するようにしたので、 操業時には、多孔質の炉壁に内圧を加えて金属蒸気又は
溶湯が外へ透過することが阻止されて、湯漏れ検出装置
がある時にはその誤動作が防止され、気体通路の張り回
しを緻密にし内圧を高くすれば実質上、湯漏れ検出装置
を必要としなくなるという効果があり、築炉時には減圧
して、焼結の進行によって発生する水分を積極的に吸収
して多孔質の炉壁か粗くなったり、空胴ができるのを防
ぐので焼結時間を短縮して稼働効率を高めるという効果
がある。
そして積極的に炉壁から気体を発散させてスラグ付着防
止の効果と脱炭・脱ガス処理にも応用できるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1の断面図、第2図は第1図の部分斜視
図、第3図は実施例2の部分斜視図であり、第4図は従
来例の断面図である。 1……炉体、1a……炉壁、2……誘導コイル、4……第
1電極、5……第2電極、15……ノズル管、17……気体
搬送装置。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不定形耐火物を焼結してなる多孔質の炉壁
    の内部から外周に到る領域に、前記炉壁の内部に連通す
    る気体通路を張り回し、この気体通路を集結する管を前
    記炉壁の外に設けた気体搬送装置に接続することを特徴
    とする誘導加熱による金属溶湯炉。
  2. 【請求項2】請求項1記載の誘導加熱による金属溶湯炉
    において、 前記気体通路の外周に緻密な気体阻止層を設けることを
    特徴とする誘導加熱による金属溶湯炉。
  3. 【請求項3】請求項1又は2記載の誘導加熱による金属
    溶湯炉において、 前記気体通路を前記炉壁の内部に複数の小穴によって連
    通するノズル管とすることを特徴とする誘導加熱による
    金属溶湯炉。
  4. 【請求項4】請求項1記載の誘導加熱による金属溶湯炉
    において、 前記気体通路を緻密な気体阻止層の内周に設けた複数の
    溝と、この溝の内周を覆う多孔質のシートから形成する
    ことを特徴とする誘導加熱による金属溶湯炉。
  5. 【請求項5】請求項1又は2記載の誘導加熱による金属
    溶湯炉において、 前記気体通路を多孔質の立体構造体とすることを特徴と
    する誘導加熱による金属溶湯炉。
JP1060108A 1989-03-13 1989-03-13 誘導加熱による金属溶湯炉 Expired - Lifetime JPH0781785B2 (ja)

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