JPH0780288B2 - オフセット輪転印刷機の圧胴 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、オフセット輪転印刷機、特に小型オフセット
印刷機の圧胴に関する。

［従来の技術］ オフセット印刷機では、圧胴が一般にクロムメッキされ
る。相前後して配置された複数の印刷装置を備えた印刷
機では、圧胴が、インキ形成を防止するための、仕上げ
加工された胴被覆体を備えている。

番号印刷装置を備えた公知の構成では、圧胴が胴張り薄
板を備えており、この胴張りは緊定されるか、または螺
合される。このような胴張り薄板は、圧胴のクロム表面
を保護するために働く。しかしこの場合、被印刷物の厚
さが薄いと、胴張り薄板の弾性が欠如していることに基
づき、番号印刷装置の活字が著しく摩耗してしまうので
不都合である。

たとえば既存の小型オフセット印刷機にあとから番号印
刷装置を装備しようとすると、番号印刷機構またはブロ
ックキャリヤにインキを供給するための付加的なインキ
装置と、この番号印刷機構を収容するための座リングと
が組み込まれる。さらに、クロムメッキもしくはニッケ
ルメッキされた圧胴のための保護手段が講じられなけれ
ばならない。胴張り薄板をあとから組み付けることは不
可能である。なぜならば、被せたい胴張り薄板の厚さお
よびこれによって生ぜしめられる、圧胴の直径増大に基
づき、枚葉紙速度が許容し得ない程に高められてしまう
からである。さらに、胴張り薄板の組込みにより、圧胴
には付加的なクランプ・緊定装置が必要となる。

さらに、たとえばアルミニウムから成る小型オフセット
印刷機においてアルマイト層を備えた圧胴に胴張り薄板
を被せる場合には、摩耗が生じるおそれがある。摩耗は
胴外周面と胴張り薄板との間の相対運動によって生ぜし
められる。このような相対運動は、印刷装置胴が互いに
沿って転動する際に生じる圧潰作業によって生じる。

［発明が解決しようとする課題］ 本発明の課題は、冒頭で述べたような圧胴を改良して、
公知先行技術の上記欠点が回避されて、胴張りなしの通
常の印刷も、番号印刷を行なう印刷も実施することがで
き、しかもこの場合、番号活字と枚葉紙との間の接触時
に生じる衝撃が減衰されるような圧胴を提供することで
ある。

［課題を解決するための手段］ この課題を解決するために本発明の構成では、番号印刷
作業の実施時に圧胴に薄い胴張りが、該胴張りと圧胴と
の接触面における解離可能な接着結合によって被着さ
れ、前記胴張りが、２つの層から成っており、両層のう
ち、内側の層が支持材料、有利には薄いゆがみなしの層
から成っており、外側の層が耐摩耗性の薄い材料から成
っているようにした。

［発明の効果］ 本発明の利点は、薄い胴張りが使用されるので枚葉紙速
度の著しい増大が生じない点に認められる。ゆがみなし
の支持材料により、印刷機におけるしわなし組付けが容
易となる。これによって、圧胴における不均一性や凹凸
性は阻止される。それと同時に、外側の層を載設される
平らなベースが提供される。外側の層の高い耐摩耗性に
基づき、番号印刷機構またはブロッグキャリヤの当接箇
所における胴周面の圧刻も回避される。胴張りは塑性変
形されない。これにより別の利点とし、当接箇所の下に
位置する接着剤が側方に押しやられて、胴張りの下に、
印刷結果に不都合な影響を与える不均一性が生じること
も排除される。

薄い胴張りは解離可能な接着剤によって被着されている
ので、胴張りのためには圧胴にクランプ装置も緊定装置
も設けなくて済むという利点が得られる。解離可能な接
着剤は胴張りの取外しを可能にし、必要に応じて圧胴の
掃除をも可能にする。

さらに、胴張りが、オフセット印刷において使用される
化学薬品に対して高い耐性を有していることも判った。

別の利点としては、胴張りが圧胴に接着されることによ
り、圧胴と胴張りとの間に相対運動が生じないことが挙
げられる。これによって摩耗は排除され、したがって圧
胴の寿命は不都合に損なわれない。

本発明の有利な構成では、支持材料がポリエステルから
成っており、外側の層がポリウレタンから成っており、
しかも全層厚さが最大0.2mmである。

この構成の利点は、ポリエステルから成る支持材料が大
きな剛性を有し、したがってポリウレタン層のための安
定的なベースを提供することにある。ポリウレタン層は
高い減衰能力を有しており、このことは運転時の静寂を
高め、番号印刷衝撃による軸受け負荷を低減する。最大
0.2mmの僅かな全層厚さに基づき、胴直径の最大は印刷
作業のために許容の範囲内に保持される。

また、僅かな全層厚さに基づき、各胴の間での面圧の極
端な増大を懸念する必要はなく、したがってインキ分割
に対する不都合な作用が阻止されていることも利点とし
て挙げられる。

［実施例］ 以下、本発明の実施例を図面につき詳しく説明する。

第１図には、小型オフセット印刷機の印刷装置が横断面
図で示されている。圧胴１は薄い胴張り２を備えてい
る。この薄い胴張り２は２つの層から成っている。内側
の層３はゆがみなしの剛性的な支持材料、たとえばポリ
エステルから成っている。しかし内側の層３はポリアミ
ドまたは類似のプラスチックから成っていてもよい。外
側の層４は減衰特性と、オフセット印刷用化学薬品に対
する耐性とを有する、耐摩耗性の材料、たとえばポリウ
レタンまたは類似のプラスチックから成っている。

内側の層３と外側の層４とから組み合わされた胴張り２
は、最大0.2mmの厚さを有している。接着剤５の極めて
薄い層によって、胴張り２は小型オフセット印刷機の圧
胴１にしわなしに固定される。胴張り２のしわなし被着
は、胴張り２の内側の層３の剛性に基づき可能となる。

既存の輪転印刷機、たとえば小型オフセット印刷機にあ
とから番号印刷装置６が装備される場合、圧胴１には胴
張り２が接着されなければならない。手間のかかる緊定
・クランプ装置は必要にならない。

胴張り２の厚さが小さいことに基づき、胴周速の過度の
増大、ひいては印刷延伸は排除される。胴張り２の厚さ
が小さいことに基づき、印刷機へのあとからの組込みも
可能となる。印刷装置の各胴の間での過度の面圧増大が
行なわれないので、ゴム胴７と圧胴１との間でのインキ
分割は損なわれない。

胴張り２と圧胴１との間に位置する接着剤５の層に基づ
き、胴張り２、つまり２層ラミネートの減衰特性はさら
に付加的に改善される。

番号印刷を行なう印刷作業の場合には、付加的なインキ
装置を介してインキ供給される番号活字が、枚葉紙を案
内する圧胴１に衝突する。

被印刷物の厚さが薄い場合でも、番号印刷装置６の活字
による圧胴１の表面の損傷が胴張り２によって阻止され
る。活字と枚葉紙との間の接触時に生じる衝撃は減衰さ
れる。

さらに、胴張り２には、押込みまたは刻印が残らず、接
着剤は側方に押しのけられず、したがって胴張り２に凹
凸を生ぜしめない。

胴張り２と圧胴１との間の接着結合に基づき、胴張り２
と圧胴１との間には相対運動が生じないので、摩耗に基
づき圧胴１の寿命が損なわれることが排除されている。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の１実施例を示す概略図、第２図は胴
張りを備えた圧胴の拡大図である。 １……圧胴、２……胴張り、３……内側の層、４……外
側の層、５……接着剤層、６……番号印刷装置、７……
ゴム胴

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】オフセット輪転印刷機の圧胴において、番
   号印刷作業の実施時に圧胴（１）に薄い胴張り（２）
   が、該胴張り（２）と圧胴（１）との接触面における解
   離可能な接着結合によって被着され、前記胴張り（２）
   が、２つの層から成っており、両層のうち、内側の層
   （３）が支持材料から成っており、外側の層（４）が耐
   摩耗性の薄い材料から成っていることを特徴とする、オ
   フセット輪転印刷機の圧胴。
2. 【請求項２】支持材料から成る前記内側の層（３）が薄
   いポリエステルから成っており、前記外側の層（４）が
   ポリウレタンから成っており、全層厚さが最大0.2mmで
   ある、請求項１記載の圧胴。