JPH0779620B2 - 可塑性油脂の耐熱性向上用配合剤 - Google Patents

可塑性油脂の耐熱性向上用配合剤

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JPH0779620B2 JP60072416A JP7241685A JPH0779620B2 JP H0779620 B2 JPH0779620 B2 JP H0779620B2 JP 60072416 A JP60072416 A JP 60072416A JP 7241685 A JP7241685 A JP 7241685A JP H0779620 B2 JPH0779620 B2 JP H0779620B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、マーガリンやシヨートニングに代表される可
塑性油脂の耐熱性向上用配合剤(以下耐熱性向上剤と略
記する)に関するものである。さらに詳しくは、温度耐
性に優れ温度による稠度(Consistency)の変化が少な
く、室温以上の温度においても液体油の分離が少ない可
塑性範囲の広い可塑性油脂の製造に有用な可塑性油脂用
の耐熱性向上剤(温度による稠度変化や液体油の分離を
抑制する剤)に関するものである。
従来より用いられている家庭用食卓マーガリンでは、冷
蔵庫から取り出しても直ちにパン等に塗付可能な展延性
を有し、かつ室温に放置しても流動化や液体油の分離な
どが起こらない様な広い可塑性範囲を有する油脂組成物
が望まれている。また、最近その薬効が明らかになり、
摂取の必要性が高まつている必須脂肪酸である高度不飽
和脂肪酸(リノール酸、γ−リノレン酸、エイコサペン
タエン酸、ドコサヘキサエン酸など)を多量に含有した
可塑性油脂の場合には特に室温付近以上の温度での耐性
(稠度変化や液体油の分離を抑制する特性)に優れた広
い可塑性範囲を有する油脂組成が望まれている。
また、洋菓子メーカー等で使用される業務用マーガリン
・シヨートニングにおいても、作業性の面から作業場内
での温度で適度な稠度を有する事が要求されるが、実際
の製品の可塑性範囲はそれ程広くはない。その為、各可
塑性油脂メーカーでは、季節による温度変化に対処仕得
る様、各温度で最適な稠度を有するいわゆる型別製品を
供給して来た。しかしそれでも昼夜の温度差が激しい時
期には、製品が軟化して液体油の分離を起こしたり、或
いは異常に硬くなりすぎる為、使用者の苦情は後を絶た
ない。また、メーカーにしても、多くの型別製品を準備
する事は面倒である。
この様に、家庭用・業務用を問わず、シヨートニング、
マーガリンなどの可塑性油脂にとつては、低温でも硬く
ならず、高温でも余りやわらかくならないという様に温
度に対する稠度変化が少なく、かつ高温になつても液体
油の分離がなく、さらには口融けの良い、可塑性範囲の
広い油脂組成物が望まれている。
〔従来の技術〕
これら可塑性油脂の可塑性能は、その主原料である油脂
の物理特性、特に融解特性によつて決まる。油脂の物理
特性(融解特性)は、油脂中に含まれる結晶の性質及び
その量によつて決まる。それ故、温度による稠度の変化
の少ない可塑性油脂を製造する為には、温度による結晶
量の変化の少ない固体脂を利用することが望ましい。こ
の固体脂の結晶の性質は、固体脂を構成する脂肪酸の種
類とその結合位置によつて決まるので、これまで温度に
よる結晶量の変化の少ない油脂組成物を得るべく、油脂
の加工に用いられる技術(例えば水素添加による硬化、
エステル交換反応、分別、配合等)を何段にも組み合わ
せて、トリグリセリドの改質の検討が行なわれて来た。
しかし、満足のいく油脂組成物は得られていない。
例えば、これまで結晶量の温度変化の少ない油脂として
は極度硬化油が知られているが、この様な油脂は融点が
高すぎ、高温で十分な可塑性能を持たせる程使用すると
口融けが悪くなり、食用に供する事が出来なくなる。適
度な融点を有しかつ結晶量の温度変化が少ない理想的な
油脂として天然にはカカオ脂がある。本発明者らはこの
カカオ脂を用いて可塑性範囲の広い油脂組成物を得べく
検討を行なつたが、良好な結果は得られなかつた。本発
明者らは、その原因に付いて鋭意検討した。その結果、
カカオ脂自身は温度による結晶量の変化は少なく、口融
けも良好で理想的な固体脂ではあるが、液体油中に配合
した場合は温度が高くなるに従つて液体油に溶解する油
脂量が多くなる為、析出する結晶量が急激に低下する事
がわかつた。その為、低温側で良好な稠度を持たせた場
合は高温側で稠度を保てなくなり、逆に高温側で適度な
稠度を持たせる様固体脂を増量した場合には低温で多量
の結晶が析出し硬くなつてしまう事が判明した。
この様に、これまで得られている油脂では、結晶量の温
度変化は少なくても融点が高すぎて十分な量が使用出来
なかつたり、液体油中に配合した場合には目的とする結
晶量が得られなかつたりする為、結局、可塑性範囲の広
い油脂組成物は得られていない。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明は家庭用、業務用をとわず従来のマーガリンやシ
ヨートニングなどの可塑性油脂が有する欠点、すなわち
温度によつてその稠度が大きく変化しやすい事、又特に
家庭用マーガリンなどに見られる様な、温度が高くなる
と液体油が分離しやすくなるなどの欠点を改良する事を
目的として為されたものである。
可塑性油脂が有するこの様な欠点を改良する為には、そ
れ自身が温度による結晶量の変化が少ないだけでなく、
液体油中に配合した場合でも温度による結晶量の変化の
少ない固体脂を利用するのが得策である。
〔問題点を解決する為の手段〕
本発明者らは前記問題点を解決すべく、各種トリグリセ
リドの結晶挙動に関して鋭意検討を行なつた結果、これ
までほとんど利用されていなかつた炭素数20以上の飽和
脂肪酸を含有する油脂、さらに詳しくは、構成脂肪酸と
して炭素数20以上の飽和脂肪酸を30〜70重量%、炭素数
16〜22の不飽和脂肪酸を20〜60重量%含有し、かつ炭素
数20以上の飽和脂肪酸と炭素数16〜22の不飽和脂肪酸を
主体とする混酸基トリグリセリドが、目的とする固体脂
の性質、すなわち固体脂単独ではもとより液体油中に配
合した場合にも結晶量の温度変化が少ない事を見い出し
た。この特定の混酸基トリグリセリドを利用すれば、温
度に対する稠度の変化の少ない且つ液体油の分離が少な
い可塑性油脂が得られる。
本発明の特定の混酸基トリグリセリドは一般の油脂の様
な結晶成長をせず、液体油中で徐冷しても微細結晶にな
る事を見い出した。この性質を利用すれば、通常の可塑
性油脂製造に用いる機械による急冷結晶化を行なわなく
ても徐冷で液体油を可塑化・ゲル化出来るので、安定な
マーガリン、ショートニング等が簡単に得られる。
この様な特異な性質を有する本発明の特定の混酸基トリ
グリセリドを少量用いる事により、多量の液体油を徐冷
下で可塑化出来る。又、得られた可塑性油脂は冷蔵庫の
温度から室温に至るまでの広い範囲で稠度の変化が少な
く、かつ比較的高温例えば25℃ないし30℃の温度でも液
体油の分離が少ない。従つて、得られる可塑性油脂は広
い可塑性範囲を有する。本発明はこのような知見に基づ
き完成したものである。
即ち、本発明は、構成脂肪酸として炭素数20以上の飽和
脂肪酸を30〜70重量%、炭素数16〜22の不飽和脂肪酸を
20〜60重量%含有し、かつ炭素数20以上の飽和脂肪酸と
炭素数16〜22の不飽和脂肪酸を主体とする混酸基トリグ
リセリドからなることを特徴とする可塑性油脂用の耐熱
性向上剤(温度による稠度変化や液体油の分離を抑制す
る剤)に関するものである。
油脂構成脂肪酸として炭素数20以上の飽和脂肪酸を30重
量%以上含むが不飽和脂肪酸を含まない油脂としてはハ
イエルシンナタネ油や魚油の極度硬化油が知られてい
る。しかし、この様な油脂は結晶量の温度変化は少ない
ものの融点が高く、適度な稠度を有するに必要な量を添
加すると口融けが悪くなつてしまい実用上使用出来な
い。
また、炭素数20以上の飽和脂肪酸を含まないが、炭素数
18以下の飽和、不飽和脂肪酸を主体とした混酸基トリグ
リセリドが主成分の油脂としてはカカオ脂を代表として
種々知られているが、これらの油脂は従来より知られて
いる油脂であり、本発明で用いる特定の油脂の様な性質
は有していない。
本発明の耐熱性向上剤は、これまでほとんど利用されて
いなかつた炭素数20以上の飽和脂肪酸が炭素数16〜22の
不飽和脂肪酸と同一分子内に結合した混酸基トリグリセ
リドからなる。
本発明の耐熱性向上剤となる前記特定の混酸基トリグリ
セリドを得る方法としては種々あり、特に限定するもの
ではないが、以下の方法を製法例としてあげる事が出来
る。例えば、炭素数20以上の飽和脂肪酸を40重量%以上
含有する脂肪酸やそのメチル又はエチルエステル及びト
リグリセリドと、炭素数16〜22の不飽和脂肪酸を40重量
%以上含有する脂肪酸やそのメチル又はエチルエステル
及びトリグリセリドを組合わせ、脂肪酸やそのメチル
又はエチルエステル同志とグリセリンより直接エステル
化する方法、脂肪酸やそのメチル又はエチルエステル
とトリグリセリドをエステル交換する方法、トリグリ
セリド同志をエステル交換する方法などで製造すること
が出来る。又、必要によつては、エステル化品もしくは
エステル交換品を分別処理し、本発明の耐熱性向上剤の
成分である混酸基トリグリセリドを濃縮すれば、その性
能は一段と向上する。
これらの方法において、例えば直接エステル化反応は、
120〜250℃で行なうが、その際、触媒としてアルカリ金
属やアルカリ土類金属及びそれらの水酸化物、塩類を用
いても良く、また無触媒でも良い。脂肪酸とトリグリセ
リドのエステル交換反応は、リパーゼ等を用いて行なう
事も出来る。反応後に残る脂肪酸の除去には、減圧スチ
ーミングや分子蒸留器を用いる事が出来る。又、トリグ
リセリド同志のエステル交換反応は60〜150℃好ましく
は90〜120℃で行ない、触媒としてはアルカリ金属、ア
ルカリ金属アルコラート(例えばナトリウムメチラー
ト、ナトリウムエチラートなど)、アルカリ金属水酸化
物(例えば苛性ソーダ、苛性カリなど)、又、水素化ア
ルカリ金属(例えば水素化ナトリウムなど)を用いる事
が出来る。
分別処理を行なう場合は、無溶剤分別、溶剤分別、活性
剤分別のいずれの方法でも良い。溶剤分別を行なう場合
には、アセトンやn−ヘキサンを用いる事が出来る。
本発明者らは各種トリグリセリドの結晶挙動に関し鋭意
検討した結果、本発明の耐熱性向上剤として用いる特定
の混酸基トリグリセリドが、一般の油脂にはない種々の
特徴を有する事が見い出している。
即ち該混酸基トリグリセリドの特徴は(1)結晶成長せ
ず、液体油中に溶解後に結晶化させた場合、徐冷におい
ても微結晶となる為少量で液状油をゲル化・可塑化出来
る事、(2)析出する結晶量は温度による変化が少ない
為、温度による稠度の変化が少なく、又温度が高くなつ
ても液体油の分離(オイルオフ)を起こしにくいなどで
ある。
本発明の可塑性油脂用の耐熱性向上剤すなわち温度によ
る稠度変化や液体油の分離を抑制する剤は、マーガリ
ン、シヨートニング製品に対して少くとも0.5重量%含
有する様に添加使用する。0.5重量%未満では所望の硬
化が得られない。
本発明の耐熱性向上剤をマーガリン、シヨートニング用
の液体油(ベース油)に予め添加しておき、然る後、該
耐熱性向上剤配合液体油を用い可塑性油脂を製造するこ
ともできる。
本発明の耐熱性向上剤を大豆油やナタネ油、コーン油、
サフラワー油、綿実油等の5℃で液状の液体油に、通常
10重量%以上、望ましくは15〜50重量%添加する事によ
り、又、上記液体油やパーム油、ヤシ油、パーム核油等
の植物油及び牛脂、ラード、魚油等の動物油を加工(配
合、硬化、エステル交換、分別等)して得られる通常の
マーガリン、シヨートニング等の可塑性油脂に対して0.
5重量%以上、望ましくは2〜30重量%添加する事によ
り、耐熱性に優れ、稠度の温度変化の少ない、また、液
体油の分離の少ない可塑性油脂を製造する事が出来る。
〔発明の効果〕
本発明の耐熱性向上剤(本発明の特定の混酸基トリグリ
セリド)を少量配合させた可塑性油脂組成物から得られ
る、マーガリンやシヨートニングは冷蔵庫から取り出し
た時と室温に放置した時の稠度の変化がほとんどなく、
しかも室温に放置した場合でも液体油の分離を起こさな
いなど、優れた性質を示す。又、この様な性質は、多量
の液体油を含有する場合には、従来のマーガリンやシヨ
ートニングに比して格段に向上する。
又、通常使用されている可塑性油脂に本発明の耐熱性向
上剤を少量添加するだけで、可塑性油脂の温度耐性を大
幅に向上させる事が出来る。
〔実施例〕
以下に参考例、実施例及び比較例を示し、本発明を更に
説明する。参考例、実施例、比較例中の%はすべて重量
%である。
参考例(i)本発明試料(本発明の耐熱性向上剤)1の
製造 ベヘン酸トリグリセリド(脂肪酸組成;ステアリン酸2.
4%、アラキン酸9.9%、ベヘン酸84.9%)50%とサフラ
ワー油50%を混合し、油脂に対して0.1%のナトリウム
メチラートを触媒として、80〜90℃でエステル交換反応
を行なつた。この反応油を水洗・脱水してエステル交換
油を得た。このエステル交換油に油1g当り5mlのアセト
ンを使用し、50℃で溶解させたのち撹拌下35℃まで冷却
して析出する三飽和トリグリセリドを主体とする高融点
部を除去する。液は再度撹拌しながら10℃まで冷却
し、析出する中融点油脂(以下、本発明試料1と称す)
を得た。収率は46.9%であつた。本発明試料1の脂肪酸
組成、トリグリセリド組成、その他の分析値を表1及び
表2に示した。
参考例(ii)本発明試料2の製造 ベヘン酸(脂肪酸組成;ステアリン酸2.4%、アラキン
酸9.9%、ベヘン酸85%)500g、オレイン酸〔脂肪酸組
成;ミリスチン酸2.5%、パルミチン酸4.8%、パルミト
ステアリン酸9.4%、ステアリン酸1.4%、オレイン酸
(エライジン酸を含む)71.7%、リノール酸4.2%、そ
の他の脂肪酸5.9%〕500g及びグリセリン92gを用い活性
炭5gを添加して無触媒、窒素気流下で230〜250℃で脱水
エステル化を行ない、過剰の脂肪酸を分子蒸留器を用い
て脱酸し、合成トリグリセリドを得た。このトリグリセ
リドを油1g当り4mlのn−ヘキサンに溶解後、撹拌下25
℃まで冷却して析出する三飽和トリグリセリドを主体と
する高融点部を除去する。この液を撹拌下−20℃まで
冷却し、析出する中融点脂(以下、本発明試料2と称
す)を得た。収率は45%であつた。得られた本発明試料
2の脂肪酸組成、トリグリセリド組成、その他の分析値
を表1及び表2に示した。
参考例(iii)本発明試料3の製造 極度硬化ハイエルシンナタネ油50%とサフラワー油50%
を配合し、該配合油に対して0.1%のナトリウムメチラ
ート(触媒)を用い、80〜90℃でエステル交換反応を行
ない、得られた反応油を水洗、脱水してエステル交換油
を得た。このエステル交換油に油1g当り5mlのアセトン
を使用し、50℃で溶解させたのち、撹拌下35℃まで冷却
して析出する三飽和トリグリセリドを主体とする高融点
部を除去する。液は再度撹拌しながら10℃まで冷却
し、析出する中融点脂(以下、本発明試料3と称す)を
得た。得られた本発明試料3の脂肪酸組成、トリグリセ
リド組成、その他の分析値は表1及び表2に示した。
参考例(iv)比較試料の分析値、トリグリセリド組成 本発明試料1〜3の分析値と併せて、後記の比較例で用
いる比較試料(極度硬化ハイエルシンナタネ油、硬化パ
ーム油及び硬化魚油)の油脂構成脂肪酸組成、ヨウ素
価、融点(℃)などを表1に、ガスクロマトグラフイー
によるトリグリセリド組成を表2に示した。
参考例(v)本発明試料1とカカオ脂(比較試料)の結
晶量の温度変化 本発明試料1単独及びカカオ脂単独のものについて、結
晶量(%)の温度変化を調べた。結晶析出量はNMR法に
よつて測定した。その試験結果は第1図に示した。
また、ナタネ油に対し本発明試料1を10%配合したもの
及びナタネ油に対しカカオ脂を20%配合したものについ
ても同様に結晶量(%)の温度変化を調べた。その試験
結果を第2図に示した。第1図に示される様に、固体脂
単独では本発明試料1、カカオ脂共に25℃付近までは、
結晶量の温度変化は少ない。しかし、第2図に示される
通り液体油中に配合した場合、カカオ脂では結晶量の温
度変化が非常に大きいのに比べ、本発明試料1では結晶
量の温度変化が非常に少ない事がわかる。
備考 DG;ジグリセリド P;パルミチン酸 52;PSU S;ステアリン酸 54;S2U A;アラキン酸 56;ASU B;ベヘン酸 58;AAU,BSU U;不飽和酸 60;ABU 62;B2U 64;B2A 実施例1 参考例(i)で製造した本発明試料1をサフラワー油に
対し15%配合し、この配合油をマーガリンベース油とし
た。このマーガリンベース油の脂肪酸組成は表10に示し
たが、約80%の不飽和酸を有し、必須脂肪酸であるリノ
ール酸は約70%も含有していた。
このベース油を用い、乳化剤としてモノグリセリド、レ
シチンを使用して常法により乳化、急冷、捏和して油分
83%のマーガリンを製造した。このマーガリンは20℃に
て2日間テンパリング後、以下の2つの耐熱性評価を行
なつた。
耐熱性評価方法 1) 各温度による稠度測定 所定の各温度にマーガリンを2日間放置し、ASTM針入度
計(コーン重量50g)を用いて稠度(mm/10)を測定す
る。
2) 各温度におけるオイルオフ量(液体油の分離量) オイルオフ量の測定は紙上のガラス円筒にマーガリン
を充填し、紙の上に乗せた状態で所定の各温度に放置
する。1日放置後に紙に吸着した油分量を測定し、初
めのマーガリン重量に対する紙に吸着された油分量の
%をオイルオフ量とする。(後記の各実施例、比較例に
おける稠度、オイルオフ量はすべてこの耐熱性評価方法
を用いて測定した。) この様な方法で求めた本マーガリンの稠度、オイルオフ
量を表3及び表4に示す。尚、このマーガリンの口融け
は良好であつた。
本発明試料1を配合して製造したマーガリンは、液体油
含量が極めて多いにもかかわらず、適度な稠度を有し、
稠度変化やオイルオフ量も少ない。
比較例1 実施例1で用いたマーガリンと20℃での稠度が同じにな
る様に、炭素数20以上の飽和脂肪酸をほとんど含まない
ナタネ油、パーム油及びそれらの硬化油を配合してマー
ガリンベース油を作つた。このマーガリンベース油の脂
肪酸組成は表10に示した。このベース油を用い実施例1
と同様にしてマーガリンを製造した。このマーガリンに
ついて各温度における稠度及びオイルオフ量を測定し
た。その結果を表5及び表6に示す。
実施例1のマーガリンと、比較例1のマーガリンは、20
℃での稠度がほぼ同じになるように合わせてある。本発
明試料1を配合した実施例1のマーガリンは、不飽和脂
肪酸を約80%(リノール酸を約70%)も含有するにもか
かわらず、5℃から25℃までの稠度変化は極くわずかで
あり、又、30℃でのオイルオフ量も約4%と極めて少な
かつたが、これに比べ比較例1で得られたマーガリン
は、10℃以下では硬く、25℃以上では非常にやわらかく
なつてしまつた。又、オイルオフ量に関しても25℃で8.
2%、30℃では18.1%と極めて多く、25℃以上の温度で
は実用上使用不可能であつた。
実施例2 参考例(ii)で製造した本発明試料2をナタネ油に対し
15%配合してシヨートニングベース油とし、常法により
急冷、捏和してシヨートニングを得た。シヨートニング
ベース油の脂肪酸組成は表10に示した。
得られたシヨートニングについて、各温度における稠度
を測定した。その結果を表7に示す。尚、このシヨート
ニングの口融けは良好であつた。
本発明試料2を配合使用したこのシヨートニングは、実
施例1のマーガリン同様、温度による稠度の変化が少な
い。
比較例2 温度による結晶量変化が少なくて、かつ炭素数20以上の
飽和脂肪酸を含有する油脂として極度硬化ハイエルシン
ナタネ油を選び、20℃での結晶量が実施例2のシヨート
ニングベース油と同じになる様、ナタネ油に10%配合し
てシヨートニングベース油とし、常法により急冷、捏和
してシヨートニングを得た。このシヨートニングについ
て各温度における稠度を測定した。その結果を表8に示
す。尚、このシヨートニングの口融けは悪く、食用には
供せられなかつた。
極度硬化ハイエルシンナタネ油を用いたこのシヨートニ
ングは、温度による稠度変化は少ないものの、低温でも
非常にやわらかく、適度な硬さを有するシヨートニング
とは言えない。
実施例3及び比較例3〜4 融点が30℃でオイルオフ量が20℃で3%、25℃で16.5%
の通常のシヨートニングベース油に、参考例(iii)で
製造した本発明試料3(mp42.1)を5%添加して常法に
より急冷、捏和してシヨートニングを製造した。得られ
たシヨートニングについて、各温度(20℃及び25℃)に
おけるオイルオフ量を測定した。その結果を表9に示
す。
また、比較のため、本発明試料3を5%添加する(実施
例3)代わりに、対照としてパルミチン酸、ステアリン
酸、オレイン酸などを主体とするパーム硬化油(mp 4
5.3)を5%添加(比較例3)し、また、長鎖不飽和脂
肪酸を含有する魚油を硬化して得られる硬化魚油(mp
45.4)を5%添加(比較例4)して、同様にシヨートニ
ングを製造し、そのシヨートニングについても20℃及び
25℃におけるオイルオフ量を測定した。その結果も併せ
て表9に示す。
本発明試料3はその融点(mp)がパーム硬化油や硬化魚
油の融点よりも低いにもかかわらず、本発明試料3を配
合して得られるシヨートニングの25℃(又は20℃)にお
けるオイルオフ量は該硬化油(パーム硬化油、硬化魚
油)配合シヨートニングのそれよりも少ない。即ち、前
者は後者よりも耐熱性(温度による液体油の分離を抑制
する性能)が優れていることがわかる。
実施例4 実施例1及び比較例1のマーガリンベース油、実施例2
及び比較例2のシヨートニングベース油の構成脂肪酸組
成を分析した。その分析結果を表10に示す。また、実施
例2及び比較例2のシヨートニングベース油の結晶量
(結晶析出量)をNMR法によつて測定した。その測定結
果を表11に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は参考例(i)で製造した本発明試料1単独及び
比較試料としてのカカオ脂単独のものについて結晶量の
温度変化を調べた結果を示すグラフ、第2図はナタネ油
に対し本発明試料1を10重量%配合したもの及びナタネ
油に対しカカオ脂を20重量%配合したものについて結晶
量の温度変化を調べた結果を示すグラフである。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】構成脂肪酸として炭素数20以上の飽和脂肪
    酸を30〜70重量%、炭素数16〜22の不飽和脂肪酸を20〜
    60重量%含有し、かつ炭素数20以上の飽和脂肪酸と炭素
    数16〜22の不飽和脂肪酸を主体とする混酸基トリグリセ
    リドからなることを特徴とする可塑性油脂の耐熱性向上
    用配合剤。
  2. 【請求項2】可塑性油脂がマーガリンまたはショートニ
    ングである特許請求の範囲第1項記載の配合剤。
JP60072416A 1985-04-05 1985-04-05 可塑性油脂の耐熱性向上用配合剤 Expired - Lifetime JPH0779620B2 (ja)

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