JPH077919A - 同軸円筒型トルクリミッタ - Google Patents

同軸円筒型トルクリミッタ

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JPH077919A
JPH077919A JP14633393A JP14633393A JPH077919A JP H077919 A JPH077919 A JP H077919A JP 14633393 A JP14633393 A JP 14633393A JP 14633393 A JP14633393 A JP 14633393A JP H077919 A JPH077919 A JP H077919A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高回転領域でも使用できる同軸円筒型トルク
リミッタを提供する。 【構成】 第1回転軸1の外周に円筒状の永久磁石3を
接着し、第2回転軸2の内周に半硬質磁性体4を固着
し、永久磁石3と半硬質磁性体4の間に生じるヒステリ
シストルクにより第1回転軸1と第2回転軸2の間で回
転を伝達する同軸円筒型トルクリミッタ10において、
第1回転軸1の線膨張係数を、4×10-5/℃以下とす
る。 【効果】 接着クリアランスが小さくても永久磁石の割
れを生じさせずに、また、第2回転軸の摩耗も生じさせ
ずに、高回転領域で使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、同軸円筒型トルクリ
ミッタに関し、さらに詳しくは、同軸に係合した第1回
転軸と第2回転軸の間でヒステリシストルクを利用して
トルクを伝達する同軸円筒型トルクリミッタに関する。
【0002】
【従来の技術】図3は、従来の同軸円筒型トルクリミッ
タ20を用いた給紙ローラの一例を示す端面図である。
この同軸円筒型トルクリミッタ20において、第1回転
軸21は、ドラム形状であり、ポリアセタール樹脂(P
OM)製である。なお、ポリアセタール樹脂の外にポリ
アミド樹脂(PA)も使用される。第1回転軸21の中
心には、金属製シャフト1aが嵌合される。また、第1
回転軸21の外周には、接着クリアランスをあけて、円
筒状の永久磁石3が装着され、接着される。この永久磁
石3は、ネオジュウム系ボンド磁石である。
【0003】第2回転軸2は、スリーブ状であり、ポリ
エチレン樹脂,ポリプロピレン樹脂,ポリブテン樹脂等
のポリオレフィン樹脂製である。第2回転軸2の内周に
は、円筒状の半硬質磁性体4が焼バメ法にて固着され
る。この半硬質磁性体4は、Fe−Cr−Co系磁性材
質製である。
【0004】第1回転軸21と第2回転軸2は、永久磁
石3と半硬質磁性体4とがマグネットギャップ8をあけ
て対向するように、同軸に係合される。第2回転軸2に
は、第1回転軸21が挿入された後で、蓋体2aが取り
付けられる。また、第2回転軸2には、ゴムローラGが
嵌合される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来のトルクリミ
ッタ20では、第1回転軸21に、ポリアセタール樹脂
(POM)やポリアミド樹脂(PA)を使用している。
これは、これらの樹脂が摺動性に優れているためであ
る。ところが、これらの樹脂は、フィラーを混入しない
で用いた場合、その線膨張係数はいずれも8×10-5
℃以上と大きい。このため、永久磁石3が渦電流で発熱
すると、その熱で第1回転軸21が大きく膨張してしま
い、永久磁石3を割ってしまう。従って、上記従来のト
ルクリミッタ20は、永久磁石3の発熱が小さい低回転
領域でしか使用できない問題点があった。
【0006】これに対し、接着クリアランスを大きくと
って接着剤で第1回転軸21の膨張を吸収することが考
えられるが、接着クリアランスを大きくとると、永久磁
石3の表面の振れが大きくなり、ヒステリシストルクが
不安定になる新たな問題点を生じる。
【0007】さらに、前記樹脂にガラスファイバーやカ
ーボンファイバーを混入して膨張を抑えることが考えら
れるが、ガラスファイバーやカーボンファイバーを混入
すると、第1回転軸21が硬くなって第2回転軸2を著
しく摩耗させ、寿命が短くなる新たな問題点を生じる。
【0008】この発明の発明者は、第1回転軸に使用さ
れる樹脂の熱膨張について実験を重ね、この発明を完成
させるに至った。
【0009】この発明の目的は、上記新たな問題点を生
じさせることなく、永久磁石の発熱が大きい高回転領域
でも使用できるように改良した同軸円筒型トルクリミッ
タを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の観点では、この発
明は、第1回転軸の外周に円筒状の永久磁石を接着し、
スリーブ状の第2回転軸の内周に半硬質磁性体を固着
し、前記永久磁石と前記半硬質磁性体をマグネットギャ
ップをあけて対向させるように前記第1回転軸と第2回
転軸とを同軸に係合し、前記永久磁石と前記半硬質磁性
体の間に生じるヒステリシストルクにより前記第1回転
軸と第2回転軸の間で回転を伝達する同軸円筒型トルク
リミッタにおいて、前記第1回転軸を、線膨張係数が4
×10-5/℃以下の樹脂により構成したことを特徴とす
る同軸円筒型トルクリミッタを提供する。
【0011】第2の観点では、この発明は、第1回転軸
の外周に円筒状の永久磁石を接着し、スリーブ状の第2
回転軸の内周に半硬質磁性体を固着し、前記永久磁石と
前記半硬質磁性体をマグネットギャップをあけて対向さ
せるように前記第1回転軸と第2回転軸とを同軸に係合
し、前記永久磁石と前記半硬質磁性体の間に生じるヒス
テリシストルクにより前記第1回転軸と第2回転軸の間
で回転を伝達する同軸円筒型トルクリミッタにおいて、
前記第1回転軸を、モース硬度が4以下のフィラーを混
入して線膨張係数が4×10-5/℃以下になるように調
整した樹脂によって構成したことを特徴とする同軸円筒
型トルクリミッタを提供する。
【0012】
【作用】上記第1の観点による同軸円筒型トルクリミッ
タでは、線膨張係数が4×10-5/℃以下の樹脂を用い
て第1回転軸を構成するから、永久磁石が渦電流で発熱
しても、その熱による第1回転軸の膨張は小さい。この
ため、接着クリアランスが小さくても(0.01mm〜
0.02mm)、永久磁石3を割ることはない。従っ
て、永久磁石の発熱が大きい高回転領域でも使用できる
ようになる。
【0013】上記第2の観点による同軸円筒型トルクリ
ミッタでは、モース硬度が4以下のフィラーを混入して
線膨張係数が4×10-5/℃以下になるように調整した
樹脂を用いて第1回転軸を構成するから、永久磁石が渦
電流で発熱しても、その熱による第1回転軸の膨張は小
さい。このため、接着クリアランスが小さくても(0.
01mm〜0.02mm)、永久磁石3を割ることはな
い。従って、永久磁石の発熱が大きい高回転領域でも使
用できるようになる。また、モース硬度が4以下のフィ
ラーを用いるから、第1回転軸21が第2回転軸2を著
しく摩耗させることが防止される。
【0014】
【実施例】以下、図に示す実施例によりこの発明をさら
に説明する。なお、これによりこの発明が限定されるも
のではない。図1は、この発明の一実施例である同軸円
筒型トルクリミッタ10を用いた給紙ローラの端面図で
ある。この同軸円筒型トルクリミッタ10において、第
1回転軸1は、ドラム形状であり、例えばエポキシ樹
脂,フェノール樹脂,ジアリールフタレート樹脂などの
線膨張係数が4×10-5/℃以下の熱硬化性樹脂製(モ
ース硬度が4以下のフィラーを混入してもよい)であ
る。なお、熱硬化性樹脂製外に、モース硬度が4以下の
フィラーを混入して線膨張係数を4×10-5/℃以下に
調整した熱可塑性樹脂を使用してもよい。
【0015】このような熱可塑性樹脂としては、ポリフ
ェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリフェニレンオ
キシド樹脂(PPO)、ポリアセタール樹脂(POM)
ポリアミド樹脂(PA)、ポリブチレンテレフタレート
樹脂(PBT)、アクリロニトル−ブタジエン−スチレ
ン樹脂(ABS)、ポリカーボネイト樹脂(PC)、ポ
リエーテルイミド樹脂(PEI)、液晶ポリマー(LC
P)、ポリプロピレン樹脂(PP)等が挙げられる。
【0016】また、上記フィラーとしては、チタン酸カ
リウムウイスカ(大塚化学株式会社製「ティスモ」),
グラファイト,水酸化アルミニウム,炭酸カルシウム,
タルク,マイカ等が挙げられる。フィラーの添加量は、
熱可塑性樹脂の膨張係数,成形時の流動性により異なる
が、5〜30wt%が適当である。
【0017】第1回転軸1の中心には、金属製シャフト
1aが嵌合される。また、第1回転軸1の外周には、片
側0.01mm〜0.02mmの接着クリアランスをあ
けて、円筒状の永久磁石3が装着され、接着される。こ
の永久磁石3は、ネオジュウム系ボンド磁石である。
【0018】第2回転軸2は、スリーブ状であり、ポリ
プロピレン樹脂製である。第2回転軸2の内周には、円
筒状の半硬質磁性体4が焼バメ法にて固着される。この
半硬質磁性体4は、Fe−Cr−Co系磁性材質製であ
る。
【0019】第1回転軸1と第2回転軸2は、永久磁石
3と半硬質磁性体4とがマグネットギャップ8をあけて
対向するように、同軸に係合される。前記マグネットギ
ャップ8は、高トルクを得るために0.1mm以下とし
ている。また、前記マグネットギャップ8には、シリコ
ーンオイルが充填されている。
【0020】第2回転軸2には、第1回転軸1が挿入さ
れた後で、蓋体2aが取り付けられる。また、第2回転
軸2には、ゴムローラGが嵌合される。
【0021】図2は、実施例と比較例の対照表である。
線膨張係数が4×10-5/℃以下の熱硬化性樹脂である
フェノール(モース硬度が4以下のフィラー(グラファ
イト)を混入)を用いて第1回転軸を構成したものは永
久磁石の割れを生じず、第2回転軸の著しい摩耗も生じ
ていない。また、モース硬度が4以下のフィラー(チタ
ン酸カリウム)を混入して線膨張係数を4×10-5/℃
以下に調整した熱可塑性樹脂(PPS,PA)を用いて
第1回転軸を構成したものは、永久磁石の割れを生じ
ず、第2回転軸の著しい摩耗も生じていない。
【0022】一方、熱可塑性樹脂(PA,POM)をそ
のまま用いて第1回転軸を構成し、線膨張係数が4×1
-5/℃より大きいものは、永久磁石の割れを生じてい
る。また、モース硬度が4より大きいフィラー(カーボ
ンファイバー)を混入して線膨張係数を4×10-5/℃
に調整した熱可塑性樹脂(POM)を用いて第1回転軸
を構成したものは、永久磁石の割れは生じないが、第2
回転軸の著しい摩耗を生じている。
【0023】
【発明の効果】この発明の同軸円筒型トルクリミッタ
は、上記した構成であるから、接着クリアランスが小さ
くても永久磁石の割れを生じさせずに、また、第2回転
軸の摩耗も生じさせずに、高回転領域で使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の同軸円筒型トルクリミッタの一実施
例を用いた給紙ローラの端面図である。
【図2】実施例と比較例の対照表である。
【図3】従来の同軸円筒型トルクリミッタを用いた給紙
ローラの一例を示す端面図である。
【符号の説明】 10 トルクリミッタ 1 第1回転軸 2 第2回転軸 2a 蓋体 3 永久磁石 4 半硬質磁性体 8 マグネットギャップ
【手続補正書】
【提出日】平成6年3月18日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【作用】上記第1の観点による同軸円筒型トルクリミッ
タでは、4×10-5/℃以下の線膨張係数の樹脂を用い
て第1回転軸を構成するから、永久磁石が渦電流で発熱
しても、その熱による第1回転軸の膨張は小さい。この
ため、接着クリアランスが小さくても(0.01mm〜
0.02mm)、永久磁石3を割ることはない。従っ
て、永久磁石の発熱が大きい高回転領域でも使用できる
ようになる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1回転軸の外周に円筒状の永久磁石を
    接着し、スリーブ状の第2回転軸の内周に半硬質磁性体
    を固着し、前記永久磁石と前記半硬質磁性体をマグネッ
    トギャップをあけて対向させるように前記第1回転軸と
    第2回転軸とを同軸に係合し、前記永久磁石と前記半硬
    質磁性体の間に生じるヒステリシストルクにより前記第
    1回転軸と第2回転軸の間で回転を伝達する同軸円筒型
    トルクリミッタにおいて、前記第1回転軸を、線膨張係
    数が4×10-5/℃以下の樹脂により構成したことを特
    徴とする同軸円筒型トルクリミッタ。
  2. 【請求項2】 第1回転軸の外周に円筒状の永久磁石を
    接着し、スリーブ状の第2回転軸の内周に半硬質磁性体
    を固着し、前記永久磁石と前記半硬質磁性体をマグネッ
    トギャップをあけて対向させるように前記第1回転軸と
    第2回転軸とを同軸に係合し、前記永久磁石と前記半硬
    質磁性体の間に生じるヒステリシストルクにより前記第
    1回転軸と第2回転軸の間で回転を伝達する同軸円筒型
    トルクリミッタにおいて、前記第1回転軸を、モース硬
    度が4以下のフィラーを混入して線膨張係数が4×10
    -5/℃以下になるように調整した樹脂により構成したこ
    とを特徴とする同軸円筒型トルクリミッタ。
JP5146333A 1993-06-17 1993-06-17 同軸円筒型トルクリミッタ Expired - Fee Related JP2622659B2 (ja)

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Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5524466A (en) * 1978-08-11 1980-02-21 Hitachi Ltd Induction device content supporter
JPH0255569A (ja) * 1988-08-17 1990-02-23 Toshiba Corp 磁気継手
JPH0419941U (ja) * 1990-06-08 1992-02-19

Patent Citations (3)

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JPH0419941U (ja) * 1990-06-08 1992-02-19

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