JPH0778219B2 - 強誘電性液晶組成物 - Google Patents

強誘電性液晶組成物

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JPH0778219B2
JPH0778219B2 JP1022506A JP2250689A JPH0778219B2 JP H0778219 B2 JPH0778219 B2 JP H0778219B2 JP 1022506 A JP1022506 A JP 1022506A JP 2250689 A JP2250689 A JP 2250689A JP H0778219 B2 JPH0778219 B2 JP H0778219B2
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和春 森田
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は新規な強誘電性液晶組成物に関するものであ
る。さらに詳しくいえば、本発明は、オプトエレクトロ
ニクス分野における液晶表示素子などとして好適に用い
られる、高速応答性を有し、液晶分子の配向後の安定性
が良好である上、カラー化が可能で、かつ配向膜の色む
らが改善された強誘電性液晶組成物に関するものであ
る。
[従来の技術] 液晶は結晶固体から等方性液体に至る中間の領域で、液
体状の性質を示しながら、その内部分子配列が結晶状態
に近いある種の規則性を有する物質であって、その光学
的性質が電場、磁場、温度などの外的条件で変わる特徴
を有することから、近年このような性質を利用して、オ
プトエレクトロニクス分野における表示素子として、そ
の応用が種々試みられている。
従来、液晶素子としては、例えばツイステッド・ネマチ
ック(twisted nematic、略称TN)液晶を用いたものが
知られている。しかしながら、このTN液晶は画素密度を
高くしたマトリックス電極構造を用いた時分割駆動の
際、クロストークを発生するため、画素数が制限される
のを免れない上、電界応答が遅く、かつ視野角特性が悪
いなどの欠点があった。
一方、このような従来の液晶素子の欠点を改良したもの
として、双安定性を有する液晶の使用が提案されている
(特開昭56-107216号公報、米国特許第4,357,924号明細
書)。この双安定性を有する液晶としては、一般にカイ
ラルスメクティックC相(Sm C)又はH相(Sm H)
を有する強誘電性液晶が用いられる。
この強誘電性液晶は電界応答が速く、かつ視野角特性に
優れていることから、大容量、大面積の液晶素子への応
用が考えられている。ところで、双安定性と高速応答性
を得るためには、セルギャップdを液晶のらせんピッチ
pより小さくし、らせんをほどく必要がある[「アプラ
イド・フィジックス・レターズ(Appl.phys.Lett.)」
第36巻、第899ページ(1980年)]が、一般にこれまで
の強誘電性液晶のらせんピッチは短いものが多く、した
がって、らせんをほどくにはセル厚を1〜2μm程度に
する必要がある。しかしながら、このような薄いセルで
は大面積化を図ることは困難である。
そこで、この問題を解決する方法の1つとして、例えば
らせんのねじれの向きが右回りの液晶と左回りの液晶と
を混合する方法が提案されている(特開昭60-90290号公
報)。この方法では、強誘電性液晶の自発分極の大きさ
を小さくすることなく、らせんピッチを長くすることが
可能である。しかしながら、このようにらせんピッチを
長くしても、液晶素子の大面積化を図るには、同時に均
一なモノドメインができなければならず、そのためには
液晶セルに適当な配向処理を施すことが行われるが、こ
の場合、液晶素子を作成する際に用いるスペーサーのた
めに配向欠陥が生じるという問題がある。この問題点を
解決する方法として、成膜性のよい高分子液晶を用いる
ことが考えられる。
ところで、この高分子液晶を用いた液晶表示の例として
は、熱書き込み高分子液晶を用いた表示素子が報告され
ている[「ポリマー・コミュニケーションズ(Polymer
Communications)」第24巻、第354〜365ページ]。しか
しながら、このような液晶表示素子は、読み取りとして
光の散乱を利用しているので、コントラストが悪い上、
高分子化に伴う応答速度の遅れという問題があり、実用
化に至っていない。
他方、不斉炭素を有する光学活性高分子液晶化合物と強
誘電性低分子液晶化合物とから成り、かつ該低分子液晶
化合物の少なくとも1種のらせんのねじれの向きが、該
高分子液晶化合物とは反対向きであるカイラルスメクチ
ック液晶組成物が、最近提案されている(特開昭63-289
090号公報)。
しかしながら、この液晶組成物においては、長ピッチ
化、配向性の向上、応答速度などの点についてはある程
度改善されているものの、応答速度は数ms程度であって
液晶素子としては必ずしも十分ではないし、また、PET
フイルムなどで、いったんは容易に配向しても、配向後
の安全性が悪く、その後に行われる配線などの工程にお
いて、液晶セルの配向が破壊されやすいなどの欠点があ
る。
[発明が解決しようとする課題] 本発明は、このような液晶表示素子に用いられる従来の
液晶組成物が有する欠点を克服し、高速応答性を有し、
液晶分子が容易に配向するとともに配向後の安全性が良
好である上、カラー化が可能で、かつ配向膜の色むらが
改善された強誘電性液晶組成物を提供することを目的と
してなされたものである。
[課題を解決するための手段] 本発明者らは、前記の好ましい性質を有する強誘電性液
晶組成物を開発するために鋭意研究を重ねた結果、不斉
炭素を有する光学活性高分子液晶化合物と強誘電性低分
子液晶化合物との組合せに、非カイラル低分子液晶化合
物、接着剤及び導電性化合物の中から選ばれた少なくと
も1種を加え、さらに所望に応じ色素を加えた液晶組成
物により、その目的を達成しうることを見い出し、この
知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(A)不斉炭素を有する光学活性
高分子液晶化合物と(B)少なくとも1種の強誘電性低
分子液晶化合物と(C)次の一般式(I)および(II)
で示される非カイラル低分子液晶化合物から選ばれた少
なくとも1種のものからなる強誘電性液晶組成物並びに
この組成物に(D)エポキシ系接着剤,アクリル系接着
剤,不飽和ポリエステル系接着剤およびポリウレタン系
接着剤の中から選ばれた少なくとも1種の接着剤を配合
した強誘電性液晶組成物を提供するものである。
(式中、R3は炭素数6〜11のアルコキシ基又は炭素数6
〜12のアシルオキシ基、R4は炭素数7〜11のアルキル
基、R5は炭素数4〜14のアルキル基又はアルコキシ基、
R6は炭素数4〜14のアルキル基である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の液晶組成物において、(A)成分として用いら
れる不斉炭素を有する光学活性高分子液晶化合物につい
ては特に制限はなく、従来公知のものを用いることがで
きる。この高分子液晶化合物には、側鎖型高分子液晶化
合物と主鎖型高分子液晶化合物とがあり、側鎖型高分子
液晶化合物としては、例えば次の式(1)〜(18)で示
される化合物などを挙げることができる。ただし、式中
の*は不斉炭素中心を示し、nは2〜1000、mは2〜30
の数である。
なお、前記高分子液晶化合物の側鎖(メソゲン)部分の
構造は、低分子液晶化合物において知られている種々の
他の骨格や光学活性基で置き換えられていてもよい。
一方、主鎖型高分子液晶化合物としては、例えば次の式
(19)〜(31)で示される化合物などを挙げることがで
きる。ただし、式中の*、n及びmは前記と同じ意味を
もつ。
本発明の液晶組成物における(B)成分の強誘電性低分
子液晶化合物については、高速応答可能な強誘電性を示
すものであれば特に制限はなく、従来公知のもの、例え
ばシッフ塩基系、アゾ及びアゾキシ系、ビフェニル系及
びアロマティックエステル系、さらには複素環を有する
ものやその他の化合物の中から任意のものを1種以上選
択して用いることができる。
シッフ塩基系強誘電性低分子液晶化合物としては、例え
ば次の式(32)〜(55)で示される化合物が挙げられ
る。
アゾおよびアゾキシ系強誘電性低分子液晶としては、例
えば次の式(56)〜(61)で示される化合物が挙げられ
る。
ビフェニル及びアロマティックエステル系強誘電性低分
子液晶化合物としては、例えば次の式(62)〜(128)
で示される化合物が挙げられる。
複素環式基を有する強誘電性低分子液晶化合物として
は、例えば次の式(129)〜(141)で示される化合物な
どが挙げられる。
その他の強誘電性低分子液晶化合物としては、例えば次
の式(142)〜(146)で示される化合物などが挙げられ
る。
本発明の液晶組成物においては、これらの強誘電性低分
子液晶化合物は1種用いてもよいし、2種以上を組み合
わせて用いてもよいが、少なくとも1種の低分子液晶化
合物のらせんのねじれの向きが、(A)成分の高分子液
晶化合物とは反対向きであることが望ましく、またねじ
れの向きが左回りのものと右回りのものとを混合して用
いることが望ましい。これによって、長ピッチ化が容易
になるとともに双安定性が向上する。さらに、数種の強
誘電性低分子液晶化合物を組み合わせて用いる方法は、
室温付近にSm C相を有する液晶組成物が容易に得られ
るので有利である。
前記(A)成分の高分子液晶化合物のSm C相における
らせんのねじれの向きの例を第1表に示す。なお、Sm
C相をもたないものについては、(B)成分の低分子液
晶化合物(Sm C相を有する)との混合により得られる
Sm C相を有する組成物のらせんピッチを求め、混合前
の低分子液晶化合物のらせんピッチより長くなれば、高
分子液晶化合物のらせんは低分子液晶化合物とは反対向
きであるとした。
一方、前記(B)成分の強誘電性低分子液晶化合物の中
で、らせんのねじれの向きが左である化合物の代表例と
しては、 などを挙げることができる。
また、らせんのねじれの向きが右である化合物の代表例
としては、 などを挙げることができる。
本発明の液晶組成物における(C)成分としては、下記
の一般式 で表される化合物などが用いられる。
前記(C)成分の非カイラル低分子液晶化合物は、ねじ
れ構造および自発分極を全く有さず、かつメクチック相
を示す低分子液晶化合物であって、前記(A)成分と
(B)成分との混合物に添加することにより、広い温度
範囲で強誘電性液晶相を示し、かつ良好な配向が得られ
る上、数十ないし数百μsecオーダーの高速応答可能な
強誘電性液晶組成物を容易に得ることができる。前記一
般式(I)におけるR3は炭素数6〜11のアルコキシ基又
は炭素数6〜12のアシルオキシ基、R4は炭素数7〜11の
アルキル基である。
一方、一般式(II)におけるR5は炭素数4〜14のアルキ
ル基又はアルコキシ基、R6は炭素数4〜14のアルキル基
である。これらの非カイラル低分子液晶化合物は、1種
用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
本発明の液晶組成物において、該(C)成分として前記
非カイラル低分子液晶化合物を用いる場合、(A)成分
の高分子液晶化合物の含有量は、該高分子液晶化合物と
強誘電性低分子液晶化合物と非カイラル低分子液晶化合
物との合計量に対し、通常5〜90重量%、好ましくは10
〜40重量%の範囲で選ばれる。この含有量が5重量%未
満では組成物は成膜性に劣るものになるし、90重量%を
超えると組成物の自発分極の大きさが小さくなり、好ま
しくない。
一方、強誘電性低分子液晶化合物と非カイラル低分子液
晶化合物の含有割合は、通常重量に基づき5:95〜95:5、
好ましくは5:95〜50:50の範囲で選ばれる。強誘電性低
分子液晶化合物の含有量が、非カイラル低分子液晶化合
物との合計量に対し、5重量%未満では自発分極の大き
さが小さくなるし、95重量%を超えると応答速度の改善
効果が十分に発揮されず、好ましくない。
なお、不斉炭素を有する高分子液晶化合物と強誘電性低
分子液晶化合物と非カイラル低分子液晶化合物とを、そ
れぞれ複数種組み合わせて用いることは、デバイス設計
の必要上から好ましく、組合せを適宜選ぶことにより、
温度特性、光学特性電気特性などを制御することができ
る。
第二の本発明の液晶組成物においては、上記3成分の他
に(D)成分として接着剤を配合する。この接着剤を配
合することにより、該液晶組成物はホモジニアス配向性
が著しく向上する。これは、表示素子に用いられる基板
には、透明導電膜が通常蒸着などの方法によって設けら
れているので、ミクロな界面構造が液晶分子を垂直又は
斜方配向させる傾向があるが、該接着剤を適当量含有さ
せることにより、この傾向が著しく減少するからであ
る。
該接着剤としては、例えばエポキシ系接着剤、アクリル
系接着剤、不飽和ポリエステル系接着剤、ポリウレタン
系接着剤、などを用いることができる。
該エポキシ系接着剤としては、例えば一般式 で表されるエポキシ樹脂を主剤とするものが好ましく用
いられる。前記一般式(III)におけるR1及びR2は、そ
れぞれ炭素数1〜10のアルキル基であり、それらは同一
であってもよいし、異なっていてもよく、また互いに結
合して環を形成していてもよい。R3及びR4は、それぞれ
ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基など
であり、k及びpは、それぞれ0又は1〜4の整数であ
って、kが2〜4の場合、R3は異なるものであってもよ
く、またpが2〜4の場合、R4は異なるものであっても
よい。nは重合度を表す。
前記エポキシ系接着剤の中で、特に2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)とエ
ピクロロヒドリンとを反応させて得られたエポキシ樹脂
を主剤とするものが好適である。
このようなエポキシ系接着剤の硬化剤としては、例えば
ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、キシ
リレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリアミ
ド樹脂、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素−アミン錯
体、トリエタノールアミンホウ酸エステル、ヘキサヒド
ロ無水フタル酸、無水フタル酸、無水マレイル酸、ポリ
サルファイド、レゾールなどが用いられる。また、該エ
ポキシ系接着剤は一液型であってもよいし、二液型であ
ってもよい。
アクリル系接着剤としては、例えば加熱や光照射によっ
て硬化する、アクリル酸エステルに重合開始剤を混合し
たものや、互いに接触することにより硬化する、変性ア
クリル酸エステルとプライマーとを組み合わせたものな
どが挙げられる。
不飽和ポリエステル系接着剤としては、加熱や光照射に
より硬化する、マレイン酸単位を含むポリエステルにビ
ニルベンゼン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エス
テル、酢酸ビニルなどの単量体と重合開始剤とを混合し
たものを挙げることができる。
ポリウレタン系接着剤としては、イソシアネート成分
と、これと反応する成分との組合せが用いられる。該イ
ソシアネート成分としては、例えばメチレンビス(p−
フェニレンジイソシアネート)、トリレンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1−クロロフ
ェニルジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシア
ネート、チオジプロピルジイソシアネート、エチルベン
ゼン−α−2−ジイソシアネート、4,4,4−トリフェニ
ルメタントリイソシアネートなどが挙げられ、これらと
反応する成分としては、例えばエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラ
エチレングリコール、グリセロール、ヘキサントリオー
ル、キシリレンジオール、ラウリン酸モノグリセリド、
ステアリン酸モノグリセリド、オレイン酸モノグリセリ
ド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリエステル、ポリアミドなどが挙げられる。
これらの接着剤は1種用いてもよいし、2種以上を組み
合わせて用いてもよい。
該接着剤の含有量は、組成物の重量に基づき通常3〜80
重量%、好ましくは20〜50重量%の範囲で選ばれる。こ
の含有量が3重量%未満では液晶素子にした際の機械的
強度の改善効果が十分に発揮されないし、80重量%超え
るとコントラストが低下し、好ましくない。
本発明の液晶組成物においては、双安定性(メモリー
性)や応答速度などを改善する目的で導電性化合物を配
合することができる。この導電性化合物としては、従来
公知のもの、例えばエチル−ジメチル−ドデシル−アン
モニウム4−ヘキシルオキシベンゾエート、テトラブチ
ル−アンモニウムテトラフェニルボラネート、クラウン
エーテルの錯塩などや、電荷移動錯体が用いられる。こ
の電荷移動錯体としては、例えばピクラート、キンヒド
リン、ベンゼン−過塩素酸銀、あるいは各種の電子供与
体と親電子試薬との組合せから成るものが挙げられる。
該電子供与体としては、例えばアレーン、アルケン、ア
ルキン、シクロアルケン、ハロゲン化アルキル、アミン
などが挙げられ、一方、親電子試薬としては、例えばピ
クリン酸、2,4,7−トリニトロフルオレノン、1,3,5−ト
リニトロベンゼン、テトラニトロメタンなどのポリニト
ロ化合物、キノン、クロルアニル、フラボン、無水マレ
イン酸、塩化オキサリルなどのカルボニル化合物、ハロ
ゲン、ハロゲン化水素、クロロホルムなどのハロゲン化
合物、Ag+、Cu+2イオンなどの遷移金属イオン、さらに
はテトラシアンエチレン、ピリジニウムイオンなどが挙
げられる。
これらの導電性化合物は1種用いてもよいし、2種以上
を組み合わせて用いてもよい。
本発明の液晶組成物においては、前記導電性化合物は、
単独で用いてもよいし、前記非カイラル低分子液晶化合
物と組み合わせて用いてもよく、また、前記接着剤と組
み合わせて用いてもよい。さらには、該非カイラル低分
子液晶化合物及び該接着剤とともに用いることもでき
る。
該導電性化合物の含有量は、組成物の重量に基づき通常
0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%の範囲で選
ばれる。この含有量が0.01重量%未満ではメモリー性や
応答速度の改善効果が十分に発揮されないし、5重量%
を超えると液晶分子が劣化したり、自発分極が低下する
などの傾向が生じる。
さらに、本発明の液晶組成物には、必要に応じ、色素を
配合することができる。この色素については特に制限は
なく、従来液晶表示用色素として慣用されているもの、
例えばアゾ系、アンスラキノン系、メロシアニン系、ス
チリル系、アゾメチン系、ベンゾキノン系、ナフトキノ
ン系、テトラジン系などの色素の中から、任意のものを
選択して用いることができるが、これらの中でアゾ系及
びアンスラキノン系のものが好ましい。
前記アゾ系色素としては、例えばアゾベンゼン、4−ニ
トロアゾベンゼン、4−ジメチルアミノアゾベンゼン、
4−ジメチルアミノ−2′−メチルアゾベンゼン、4−
ジメチルアミノ−2−メチル−4′−ニトロアゾベンゼ
ン、4−ジメチルアミノ−3−メチル−4′−ニトロア
ゾベンゼン、4−ジメチルアミノ−2′−クロロ−4′
−ニトロアゾベンゼン、4−ジメチルアミノ−2′、
4′−ジニトロアゾベンゼン、4−ジメチルアミノ−
2′,5′−ジクロロ−4′−ニトロアゾベンゼン、4−
ジエチルアミノ−2′,6′−ジクロロ−4′−ニトロア
ゾベンゼン、4−ジエチルアミノ−4′−ニトロアゾベ
ンゼン、4−(5−ニトロ−2−チアゾリルアゾ)−N,
N′−ジメチルアニリン、14−(6−エトキシ−2−ベ
ンゾチアゾリルアゾ)−N,N−ジメチルアニリン、4−
(6−ニトロ−2−ベンゾチアゾリルアゾ)−N,N−ジ
エチルアニリン、9−フェニルアゾジュロリジン、4−
[4−(4−エトキシベンジリデンアミノ)フェニルア
ゾ]−1−[N−(4−エトキシベンジリデン)]ナフ
チルアミン、4−フェニルアゾ−4′−(1−ピロリジ
ニル)アゾベンゼン、4−(2−ベンゾチアゾリルア
ゾ)4′−N,N−ジエチルアミノアゾベンゼン、4−
(6−エトキシ−2−ベンゾチアゾリルアゾ)−4′−
N,N−ジメチルアミノアゾベンゼン、4−(6−エトキ
シ−2−ベンゾチアゾリルアゾ)4′−N,N−ジエチル
アミノアゾベンゼン、4−(6−ニトロ−2−ベンゾチ
アゾリルアゾ)−4′−N,N−ジエチルアミノアゾベン
ゼン、4−(6−n−ブチルスルホニル−2−ベンゾチ
アゾリルアゾ)−4′−N,N−ジエチルアミノアゾベン
ゼン、トリスアゾベンゼン、4,4′−ビス(2−ヒドロ
キシ−1−ナフチルアゾ)アゾベンゼン、4,4′−ビス
(4−ジメチルアミノフェニルアゾ)−2,2′−ジクロ
ロアゾベンゼン、4,4′−ビス(9−ジュロリジニルア
ゾ)アゾベンゼンなどが挙げられる。
アンスラキノン系色素としては、例えば1−ヒドロキシ
−4−(4−メチルフェニルアミノ)アンスラキノン、
1−アミノアンスラキノン、1−アミノ−4−メチルア
ミノアンスラキノン、1−アミノ−4−フェニルアミノ
アンスラキノン、1,4−ジアミノアンスラキノン、1,4−
ジアミノアンスラキノン−(N−n−ヘキシル)−2,3
−ジカルボキシミド、1,4−ジアミノアンスラキノン−
(N−n−ブチル)−3′−イミノ−2,3−ジカルボキ
シミド、1,4−ジアミノアンスラキノン−(N−n−ヘ
キシル)−3′ イミノ−2,3−ジカルボキシミド、1,4
−ジアミノアンスラキノン−(N−n−ヘキシル)−
3′−チオキソ−2,3−ジカルボキシミド、1,4−ジアミ
ノアンスラキノン−(N−n−オクチル)−3′−チオ
キソ−2,3−ジカルボキシミド、1,5−ジアミノアンスラ
キノン、1,4,5−トリアミノアンスラキノン、1,4,5,8−
テトラアミノアンスラキノン、1,4−ビス(メチルアミ
ノ)アンスラキノン、1,4−ビス(フェニルアミノ)ア
ンスラキノン、1,4−ビス(4−t−ブチルフェニルア
ミノ)アンスラキノン、1,5−ビス(フェニルアミノ)
アンスラキノン、1,5−ビス(4−メチルフェニルアミ
ノ)アンスラキノン、1,5−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニルアミノ)アンスラキノン、1,5−ビス(4−エチル
フェニルアミノ)アンスラキノン、1,5−ビス(4−メ
トキシフェニルアミノ)アンスラキノン、1,5−ビス
(4−n−プロピルフェニルアミノ)アンスラキノン、
1,5−ビス(4−イソプロピルフェニルアミノ)アンス
ラキノン、1,5−ビス(4−ジメチルアミノフェニルア
ミノ)アンスラキノン、1,5−ビス(4−エトキシフェ
ニルアミノ)アンスラキノン、1,5−ビス(4−n−ブ
チルフェニルアミノ)アンスラキノン、1,5−ビス(4
−n−プロポキシフェニルアミノ)アンスラキノン、1,
5−ビス(4−n−ペンチルフェニルアミノ)アンスラ
キノン、1,5−ビス(4−n−ブトキシフェニルアミ
ノ)アンスラキノン、1,5−ビス(4−モルホリノフェ
ニルアミノ)アンスラキノン、1,5−ビス(4−n−ペ
ンチロキシフェニルアミノ)アンスラキノン、1,5−ビ
ス[4−(N−エチル−N−β−ヒドロキシエチル)フ
ェニルアミノ]アンスラキノン、1,5−ビス(4−フェ
ノキシフェニルアミノ)アンスラキノン、1,5−ビス
(4−ヘキシロキシフェニルアミノ)アンスラキノン、
1,5−ビス[4−(フェニルアゾ)フェニルアミノ]ア
ンスラキノン、1,5−ビス(4−n−ヘプチロキシフェ
ニルアミノ)アンスラキノン、1,5−ビス(4−n−オ
クチロキシフェニルアミノ)アンスラキノン、1,5−ビ
ス(4−n−ノニロキシフェニルアミノ)アンスラキノ
ン、1,5−ビス(4−n−デシロキシフェニルアミノ)
アンスラキノンなどが挙げられる。
また、メロシアニン系色素としては、例えば3−エチル
−5−[4−(3−エチル−2−ベンゾチアゾリデン)
−2−ヘキセニリデン]ローダミンなどが、スチリン系
色素としては、例えば4−[β−(6−ニトロ−2−ベ
ンゾチアゾリル)ビニル]−N,N−ジメチルアニリンな
どが、アゾメチン系色素としては、例えば2−[(4−
ジメチルアミノ)ベンジリデンアミノ]ベンゾチアゾー
ルなどが、ベンゾキノン系色素としては、例えば2,5−
ジ(4−ヘプチロキシフェニル)−3,6−ジクロロベン
ゾキノンなどが、ナフトキノン系色素としては、例えば
3−ブチルアミノ−2−シアノ−5−アミノ−8−ヒド
ロキシ−1,4−ナフトキノン、3,8−ビス(ブチルアミ
ノ)−2−シアノ−5−アミノ−1,4−ナフトキノンな
どが、テトラジン系色素としては、例えば6−(4−ペ
ンチロキシニフェル)−3−(4−ペンチルピペリジン
−1−イル)−1,2,4,5−テトラジン、3−(4−ブト
キシフェニル)−6−(4−n−ペンチルシクロヘキシ
ル)−1,2,4,5−テトラジン、3−(トランス−4−プ
ロピルシクロヘキシル)−6−(4−トランス−4′−
ブチルシクロヘキシルフェニル)−1,2,4,5−テトラジ
ン、3−n−ヘキシル−6−(4−n−ブトキシフェニ
ル)−1,2,4,5−テトラジンなどが挙げられる。
本発明の液晶組成物においては、前記の液晶表示用色素
は1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いて
もよく、また、その配合量は、組成物全量に基づき、通
常0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%の範囲で
選ばれる。この量が0.01重量%未満では十分な着色が得
られないし、5重量%を超えると色素が液晶組成物中に
溶解しにくくなり、好ましくない。
次に、本発明の液晶組成物を用いて液晶素子を作成する
方法の好適な1例を添付図面に従って説明する。
第1図は本発明の液晶組成物を用いて成る液晶素子の1
例の構成図であって、電極1付きプラスチック基板2上
に、本発明の液晶組成物を塗布して液晶層3を設けたの
ち、これに電極1′付き対向プラスチック基板2′をラ
ミネートし、次いで第2図に示す複数のローラを用いて
連続的な曲げ変形を印加し、これを等方相から液晶相ま
で冷却することにより、一軸方向性が与えられた液晶素
子が得られる。
前記基板としては、例えばガラス、プラスチック、金属
などの任意の材料から成るものを用いることができる
し、また、必要に応じて、これらの基板上に、ITO膜な
どの透明電極やパターン化された電極を設けたものも用
いることができる。
このようにして得られた液晶素子は、光、熱、電界など
を用いて、液晶組成物の光学的あるいは電気−光学的特
性を変化させることにより、例えば光記録媒体や表示素
子などとして用いることができる。
[実施例] 次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本
発明はこれらの例によってなんら限定されるものではな
い。
実施例1 (A)成分の高分子液晶化合物として、らせんが左向き
である、式 で表わされる化合物を、(B)成分の強誘電性低分子液
晶化合物として、らせんが右向きである、式 で示される化合物を、(C)成分の非カイラル低分子液
晶化合物として で示される混合物(V)を用い、かつ(B)成分と
(C)成分との割合を重量比50:50として、液晶組成物
を調製したところ、(B)成分と(C)成分との合計含
有量が50重量%以上で、S C相を有する液晶組成物
が得られた。
次に、この液晶組成物の電界に対する応答時間を調べた
ところ、(B)成分と(C)成分との合計含有量が70重
量%以上の組成では、(B)成分と(C)成分との混合
物(重量比50:50)の応答時間とほぼ同じであった。
また、(A)成分50重量%、(B)成分25重量%及び
(C)成分25重量%から成る液晶組成物のらせんピッチ
は30μm以上であり、これをセルギャップ100μのセル
(基板に平行配向処理を施し、ITOの透明電極を備えた
もの)に等方相から注入し、S C相まで徐冷し、偏
光顕微鏡により配向状態を観察したところ、(B)成分
と(C)成分との混合物のみの場合に比べて良好なモノ
ドメインを形成していることが確認された。
実施例2〜15 (A)成分の高分子液晶化合物として、第2表に示す化
合物(らせんのねじれの向きが左向きであるもの)20重
量%を含有し、かつ(B)成分の強誘電性低分子液晶化
合物として、実施例1で用いた式(111−1)で表わさ
れる化合物40重量%と(C)成分の非カイラル低分子液
晶化合物として、実施例1で用いた混合物(V)40重量
%とを含有する液晶組成物を調製した。
各組成物は、いずれもS C相を有しており、またそ
の自発分極の大きさPs(単位nC/cm2)は第2表に示すと
おりである。
次に、各組成物を実施例1で用いた同じセルギャップ10
0μのセルにラビング処理を施したものへ封入へ、等方
相からS C相まで徐冷し、配向状態を観察したとこ
ろ、やはり(B)成分と(C)成分との混合物(重量比
50:50)のみの場合と比較して、良好なモノドメインが
得られ、かつ層面の法線方向がラビング方向と一致して
いた。このことは、らせんのねじれの向きが左向きであ
る高分子液晶化合物を添加することにより、(B)成分
と(C)成分との混合物のらせんピッチが補償されてい
ることを示している。Psも(B)成分と(C)成分との
混合物(重量比50:50)のみの場合と比べ、それほど減
少していないことが確認された。
なお、高分子液晶化合物(30)については、らせんのね
じれの向きは決定できなかったが、(B)成分と(C)
成分との混合物(重量比50:50)を加えることがで、前
記の効果が認められた。
実施例16 (B)成分の強誘電性低分子液晶化合物として、らせん
のねじれの向きが左である、式 で表わされる化合物及びらせんのねじれの向きが右であ
る、式 で表わされる化合物を用い、(C)成分の非カイラル低
分子液晶化合物として、実施例1で用いたものと同じ混
合物(V)を用いた。
前記化合物(66−1)25重量%と、化合物(62−1)25
重量%と非カイラル低分子液晶混合物(V)50重量%と
から成る低分子液晶組成物の自発分極の大きさを測定し
たところ、3.8nC/cm2であった。
また、不斉炭素を有する高分子液晶化合物(22−1)20
重量%と前記化合物(66−1)20重量%と化合物(62−
1)20重量%と非カイラル低分子液晶混合物(V)40重
量%から成る液晶組成物(W)の自発分極の大きさを測
定したところ3.2nC/cm2であった。
以上の事から、Psの大きさは、不斉炭素を有する高分子
液晶化合物を加えても大きな変化がないことが認められ
た。
他の組成比における、自発分極値は、第3図に示す通り
であり、同様の傾向が得られることがわかった。
該高分子液晶化合物は次のようにして製造した。
すなわち、(+)−3−メチルアジピルクロリド9.9gを
乾燥1,2−ジクロロエタン100mlに溶解し、これに、ヒド
ロキノン17.6gを乾燥ピリジン50mlに溶解したものを滴
下した。滴下終了後、48時間反応させたのち、1,2−ジ
クロロエタンを留去し、得られた生成物を水洗後、トル
エンにより再結晶し、式 で表わされる化合物9g(収率50%)を得た。このものの
m.p.は110℃であった。
次に、テレフタル酸クロリド3.0gを、乾燥DMF200mlに溶
解したのち、これに、前記式(IV)で表わされる化合物
3.5gを乾燥ピリジン30mlに溶解したものを滴下し、50時
間反応させ、さらに80℃で2時間反応させた。次に、水
とアセトんから再沈して、所望の高分子液晶化合物を得
た。
実施例17 実施例16で、用いたものと同じ高分子液晶化合物1重量
部に対し、前記の化合物(66−1)25重量%と化合物
(62−1)25重量%と非カイラル低分子液晶混合物
(V)50重量%とから成る低分子液晶組成物(W)4重
量部を配合して、強誘電性液晶組成物を調製した。この
液晶組成物のらせんピッチは15μmであった。
次に、ITOの透明電極が設けられたガラス板上に配向処
理剤としてポリイミドを形成し、ラビング処理を施した
縦210mm、横300mmの一対の基板から成る厚き5μmの液
晶セルに、前記の液晶組成物を等方相から注入し、室温
まで徐冷した結果、良好なモノドメインが得られた。
これに、5.03Hz、15Vの交流電界を印加したところ、応
答速度は35℃で720μsであり、該低分子液晶組成物
(W)のみの応答速度710μs[35℃(Tc−T=−8
℃)]と変わらない応答速度が得られた。
また、化合物(66−1)と化合物(62−1)との強誘電
性低分子液晶混合物(重量比50:50)のみについては、2
0℃(Tc−T=−8℃)で2.0msの応答速度が得られた。
これらの結果、本発明の液晶組成物は、非カイラル低分
子液晶化合物を添加することにより、応答速度が大きく
改善されていることが分かる。
実施例18 実施例16で用いたものと同じ高分子液晶化合物と、実施
例17で用いたものと同じ組成を有する低分子液晶組成物
(W)とを混合して種々の液晶組成物を調製した。
これらの液晶組成物を用いて電極付きプラスチック基板
間に液晶組成物を塗布させ、連続的な曲げ変形を印加し
ながら等方相から、液晶相まで冷却して一軸配向させた
ところ、いずれの膜も偏光顕微鏡で観察すると良好な配
向フイルムが得られていることが確認された。
参考例1 (A)成分の不斉炭素を有する高分子液晶化合物とし
て、前記式(22−1)で表わされる化合物を、(B)成
分の強誘電性低分子液晶化合物として、らせんのねじれ
の向きが左である前記式(66−1)で表わされる化合物
とらせんのねじれの向きが右である前記式(62−1)で
表わされる化合物との混合物を、(D)成分の接着剤と
して、エピコート828[エポキシ樹脂、油化シェルエポ
キシ(株)製]と硬化剤のトリエチレンテトラミンとの
組合せ(重量比5:1)から成るエポキシ系接着剤を用い
た。
前記式(22−1)で表わされる高分子液晶化合物1重量
部に対し、化合物(66−1)と(62−1)との重量比5
0:50の強誘電性低分子液晶混合物4重量部を配合して、
液晶組成物を調製し、さらに、この液晶組成物3重量部
に対し、前記エポキシ系接着剤1重量部を配合して、本
発明の強誘電性液晶組成物を製造した。
次いで、この強誘電性液晶組成物を用いて、電極付きプ
ラスチック基板間に液晶組成物を塗布させ、連続的な曲
げ変形を印加しながら等方相から、液晶相まで冷却して
一軸配向させたところ、偏光顕微鏡で観察すると良好な
配向フイルムが得られていることが確認された。なお、
膜厚は2.5μmであった。
次に、該フイルムを切断し、室温で数時間放置して、素
子中のエポキシ樹脂を完全に硬化させたのち、クロスニ
コル下でコントラストを測定したところ、室温において
±5Vの印加で48となった。また、電圧を切っても表示が
72時間以上保たれ、良好な双安定性(メモリー性)を有
することが確認された。
また、素子の顕微鏡観察では、液晶部と接着剤部とが完
全に相分離しており、接着剤を配合したことによる相転
移温度や応答性能の変化は認められなかった。液晶粒の
大きさはほぼ数μm程度であり、マトリックス表示を行
う際の画素の大きさと比較して、十分に小さいため、視
認性が損なわれることはない。
さらに、クロスニコル下で、明状態での着色を調べたと
ころ、ごく薄い黄色味を帯びた白色であり、厚みむらに
基づく色むらも認められなかった。
また、機械的強度を調べたところ、垂直圧力では7kg/cm
2、室温での変形に対しては曲率半径4cmまでのあらゆる
方向への曲げ変形に対して、コントラストや双安定性は
変化しなかった。
次に、これに、5.03Hz、15Vの交流電界を印加したとこ
ろ、応答速度は21℃で1.7msであり、接着剤を配合する
前の液晶組成物と全く変わらなかった。
なお、接着剤を配合する前の液晶組成物の自発分極値は
4.1nC/cm2であり、この液晶組成物に該接着剤20重量%
を配合した本発明の液晶組成物のそれは4.1nC/cm2であ
り、接着剤を添加しても自発分極値は全く変化しなかっ
た。
参考例2 参考例1において、接着剤を用いなかったこと以外は、
実施例19と全く同様にして液晶素子を作成したところ、
コントラストは4程度であった。また、液晶層の厚みは
2.5μmであったが、クロスニコル下の明状態の色は濃
い黄色であり、厚みむらに伴い、色の濃度が変化してい
る部分があった。
さらに、機械的強度については、垂直圧1kg/cm2を、あ
るいは曲率半径10cmの変形を配向方向と斜め約45°方向
に与えたところ、配向がほぼランダムとなった。顕微鏡
観察では配向していたドメインがほぼ完全に破壊され、
非常に細かくランダムなものになっていた。
これらの結果から、接着剤を配合することにより、その
接着剤の硬化後には、液晶素子に変形が与えられても、
液晶粒にはほとんど剪断力を与えず、配向を乱さないこ
とが明らかになった。
実施例19 (A)成分の不斉炭素を有する高分子液晶化合物とし
て、前記式(22−1)で表わされる化合物を、(B)成
分の強誘電性低分子液晶化合物として、らせんのねじれ
の向きが左である前記式(66−1)で表わされる化合物
と、らせんのねじれの向きが右である前記式(62−1)
で表わされる化合物との混合物を、(C)成分の非カイ
ラル低分子液晶化合物として、実施例1で用いた非カイ
ラル低分子液晶混合物(V)を、(D)成分の接着剤と
して、エピコート828[エポキシ樹脂、油化シェルエポ
キシ(株)製]と硬化剤のトリエチレンテトラミンとの
組合せ(重量比5:1)から成るエポキシ系接着剤を、
(E)成分の導電性化合物としてピクラートを、(F)
成分の色素として、式 で表わされる化合物(λmax610nm)を用いた。
前記式(22−1)で表わされる高分子液晶化合物16重量
部、化合物(66−1)と(62−1)との重量比50:50の
強誘電性低分子液晶混合物31重量部、非カイラル低分子
液晶混合物(V)31重量部、エポキシ系接着剤20重量
部、ピクラート1重量部及び色素1重量部から成る本発
明の強誘電性液晶組成物を調製した。
次いで、この強誘電性液晶組成物を用いて、溶融状態か
らフイルムを形成し、電極付きプラスチック基板間に液
晶組成物を塗布させ、連続的な曲げ変形を印加しながら
等方相から、液晶相まで冷却して一軸配向させたとこ
ろ、偏光顕微鏡で観察すると良好な配向フイルムが得ら
れていることが確認された。なお、膜厚は2.5μmであ
った。
次に、該フイルムを切断し、室温で数時間放置して、素
子中のエポキシ樹脂を完全に硬化させたのち、クロスニ
コル下でコントラストを測定したところ、室温で±5Vの
印加で48となった。また、電圧を切っても表示が72時間
以上保たれ、良好な双安定性(メモリー性)を有するこ
とが確認された。
また素子の顕微鏡観察では、液晶部と接着剤部とが完全
に相分離しており、接着剤を配合したことによる相転移
温度や応答性能の変化は認められなかった。液晶粒の大
きさはほぼ数μm程度であり、マトリックス表示を行う
際の画素の大きさと比較して、十分に小さいため、視認
性が損なわれることはない。
さらに、クロスニコル下で、明状態での着色を調べたと
ころ、赤色を有しており、赤色表示には良好な材料とな
った。また、厚みむらに基づく色むらは認められなかっ
た。
また、機械的強度を調べたところ、垂直圧力では7kg/cm
2、室温での変形に対しては曲率半径4cmまでのあらゆる
方向への曲げ変形に対して、コントラストや双安定性は
変化しなかった。
次に、これに、5.03Hz、15Vの交流電界を印加したとこ
ろ、応答速度は28℃で180μsと極めて良い値を示し
た。
なお、該強誘電性液晶組成物の自発分極値は2.7nC/cm2
であった。
実施例20 実施例19において、導電性化合物のピクラートを用いな
かったこと以外は、実施例19と同じ組成比の強誘電性液
晶組成物を調製し、性能を調べたところ、自発分極値は
2.8nC/cm2であり、応答速度は210μs(28℃)と若干遅
くなった。その他の物性や特性は実施例19のものと同じ
であった。
また、この組成物の双安定性については、導電性化合物
の有無による差は認められなかった。しかし、強誘電性
低分子液晶化合物として、自発分極値の高いものを基材
として用いた場合、導電性化合物の添加により、改善の
効果が認められた。
実施例21 実施例19において、色素を用いなかったこと以外は、実
施例19と同じ組成比の強誘電性液晶組成物を調製し、性
能を調べたところ、自発分極値は2.7nC/cm2であり、応
答速度は180μs(28℃)と変わらなかった。また、そ
の他の物性や特性は、実施例19のものと同じであった。
この結果から、色素を添加することで、各色素分子の吸
収波長の差によって、他の物性値を損なうことなく、カ
ラー化が可能となることが分かった。
比較例1 実施例19において、非カイラル低分子液晶混合物
(V)、エポキシ系接着剤、導電性化合物のピクラート
及び色素を用いなかったこと以外は、実施例19と同じ組
成比の強誘電性液晶組成物を調製し、性能を調べたとこ
ろ、自発分極値は4.3nC/cm2であり、応答速度は2.3mS
(20℃)であった。
次に、実施例19と同様にして液晶素子を作成したとこ
ろ、コントラストは4程度であった。また、液晶層の厚
みは2.5μmであったが、クロスニコル下の明状態の色
は濃い黄色であり、厚みむらに伴い、色の濃度が変化し
ている部分があった。
さらに、機械的強度については、垂直圧1kg/cm2を、あ
るいは曲率半径10cmの変形を配向方向と斜め約45°方向
に与えたところ、配向がほぼランダムとなった。顕微鏡
観察では配向していたドメインがほぼ完全に破壊され、
非常に細かくランダムなものになっていた。
[発明の効果] 本発明の強誘電性液晶組成物は、(1)自発分極が大き
く、かつらせんピッチが比較的大きい、(2)電界に対
する応答速度が強誘電性低分子液晶化合物のみの組成物
に比べて高速応答性を示す、(3)成膜性がよく、薄膜
化が容易であるので、液晶素子の大面積化が可能であ
る、(4)液晶分子の配向後の安定性が良好である、
(5)カラー化が可能で、かつ配向膜の色むらがない、
などの優れた特徴を有しており、例えば液晶表示素子な
どとして好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の強誘電性液晶組成物を用いて成る液晶
素子の1例の構成図であり、図中符号1,1′は電極、2,
2′は基板、3は液晶層である。 第2図は液晶素子を配向させるための方法の1例を示す
説明図、第3図は低分子液晶組成物単独系の1例及び不
斉炭素を有する高分子液晶化合物と低分子液晶組成物と
の混合系の1例における自発分極の大きさを示すグラフ
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−202585(JP,A) 特開 昭64−6088(JP,A) 特開 平2−180845(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)不斉炭素を有する光学活性高分子液
    晶化合物と(B)少なくとも1種の強誘電性低分子液晶
    化合物と(C)次の一般式(I)および(II)で示され
    る非カイラル低分子液晶化合物から選ばれた少なくとも
    1種のものからなる強誘電性液晶組成物。 (式中、R3は炭素数6〜11のアルコキシ基又は炭素数6
    〜12のアシルオキシ基、R4は炭素数7〜11のアルキル
    基、R5は炭素数4〜14のアルキル基又はアルコキシ基、
    R6は炭素数4〜14のアルキル基である。)
  2. 【請求項2】(A)不斉炭素を有する光学活性高分子液
    晶化合物と(B)少なくとも1種の強誘電性低分子液晶
    化合物と(C)次の一般式(I)および(II)で示され
    る非カイラル低分子液晶化合物から選ばれた少なくとも
    1種のものおよび(D)エポキシ系接着剤,アクリル系
    接着剤,不飽和ポリエステル系接着剤およびポリウレタ
    ン系接着剤の中から選ばれた少なくとも1種の接着剤か
    らなる強誘電性液晶組成物。 (式中、R3は炭素数6〜11のアルコキシ基又は炭素数6
    〜12のアシルオキシ基、R4は炭素数7〜11のアルキル
    基、R5は炭素数4〜14のアルキル基又はアルコキシ基、
    R6は炭素数4〜14のアルキル基である。)
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