JPH0776364B2 - 強磁性金属粒子の製造法 - Google Patents

強磁性金属粒子の製造法

Info

Publication number
JPH0776364B2
JPH0776364B2 JP1318616A JP31861689A JPH0776364B2 JP H0776364 B2 JPH0776364 B2 JP H0776364B2 JP 1318616 A JP1318616 A JP 1318616A JP 31861689 A JP31861689 A JP 31861689A JP H0776364 B2 JPH0776364 B2 JP H0776364B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
aluminum
suspension
iron oxyhydroxide
ferromagnetic metal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP1318616A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03180406A (ja
Inventor
悦男 中川
聡 谷岡
正欣 斉藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JNC Corp
Original Assignee
Chisso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chisso Corp filed Critical Chisso Corp
Priority to JP1318616A priority Critical patent/JPH0776364B2/ja
Publication of JPH03180406A publication Critical patent/JPH03180406A/ja
Publication of JPH0776364B2 publication Critical patent/JPH0776364B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Metal Powder And Suspensions Thereof (AREA)
  • Hard Magnetic Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は強磁性金属粒子の製造法に関し、さらに詳しく
は分散性に優れ、高密度磁気記録媒体の原料として好適
な強磁性金属粒子の製造法に関するものである。
〔従来の技術〕
従来、磁気記録媒体用磁性粉として、針状酸化鉄粒子が
主に使用されていたが、デジタル・オーディオテープ
(DAT)、8ミリビデオテープ、高密度フロッピーディ
スク等の商品化に伴い、高保磁力(Hc)、高飽和磁化量
(σ)および高角型比(σr)を有する強磁性金
属鉄粒子が用いられるようになった。該強磁性金属鉄粒
子は一般にα−オキシ水酸化鉄または酸化鉄を主体とす
る針状微粒子を水素等の還元性ガス気流中で加熱還元し
て得られるが、磁気記録の高密度化に対応するため、強
磁性金属鉄粒子は年々微粒子化が要請されている。しか
しながら、微粒子化すればするほど、加熱還元時に粒子
の焼結が起こり易く、磁性粉の磁気特性が低下するとい
う問題が生じる。
この問題を解決するために、α−オキシ水酸化鉄または
酸化鉄粒子にアルミニウム化合物を固溶させる方法、α
−オキシ水酸化鉄または酸化鉄粒子の表面にアルミニウ
ム化合物を付着させることによりα−オキシ水酸化鉄ま
たは酸化鉄粒子の焼結を防止して粒子の形状を保持する
方法などが提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
特公昭59−17161号公報には、FeOOHまたはFe2O3の少な
くとも一方を主成分とする鉄化合物にアルミニウム(A
l)化合物を固溶させた後、還元する方法が示されてい
る。この方法は、針状粒子に焼結防止剤を付着させるこ
となく、粒子間の焼結のない強磁性金属粒子を得るのに
効果があるとされている。しかしながら、固溶させるAl
化合物の量が少ないと焼結防止に対する効果が低下し、
還元の際に焼結を起こし、磁気特性を劣化させる。また
固溶させるAl化合物の量が多いとAlを固溶させたFeOOH
またはFe2O3粒子の針状性が崩れるという重大な欠点を
有する。すなわち、Al固溶量が、Alを固溶したα−オキ
シ水酸化鉄粒子の鉄原子に対し、Al原子として0.5〜3
重量%の範囲では針状性の崩れは顕著には見られない
が、この範囲ではAlの固溶量が少ないため、後の還元の
際の焼結防止効果が充分に得られず、還元して得られる
強磁性金属粒子の磁気特性、特に保磁力および角型比が
低下する。またAlの固溶量が3重量%を超えるとFeOOH
またはFe2O3の針状性が崩れるために、還元して得られ
る強磁性金属粒子の針状比が維持できず、保磁力および
角型比が低下し、またAlの固溶量が多くなるため還元性
が抑制され、高い飽和磁化量が得にくいという欠点があ
る。
特開昭56−28967号公報には、α−オキシ水酸化鉄粒子
をアルミニウムの無機または有機化合物を含む溶液に浸
漬する方法が示されている。しかしながら、この方法に
おいては単に浸漬するだけであり、α−オキシ水酸化鉄
粒子の表面にアルミニウム化合物が強固に付着せず、濾
過等により該粒子を分離する際にアルミニウム化合物が
濾液に溶出し、付着効率が低下する。また乾燥の際アル
ミニウム化合物が偏析し、付着むらを生じる欠点があ
る。特にα−オキシ水酸化鉄粒子を有機化合物を含む溶
液に浸漬する場合は、該粒子の水懸濁液から遠心分離等
の方法により該粒子を分離し、トルエン等の有機溶剤に
再分散させる際、溶剤置換を繰り返し行う必要があり、
製造工程が非常に煩雑となる。また有機溶剤を使用する
点で安全衛生上の問題がある。
特開昭56−25904号公報には、α−オキシ水酸化鉄にア
ルミニウム化合物を付着させる方法が示されている。し
かしながら、この方法で得られた粒子の形状を透過型電
子顕微鏡(TEM)で観察すると粒子同士が束状に凝集し
ており、磁性粉の分散性が劣るという欠点がある。
本発明の目的は、上記従来技術の欠点をなくし、α−オ
キシ水酸化鉄粒子を加熱還元する際に該粒子の焼結防止
を図ることができるとともに、優れた分散性および磁気
特性を有する強磁性金属粒子の製造法を提供することに
ある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、(1)第一鉄塩、アルカリ化合物およびアル
ミニウム化合物を含む水懸濁液に酸素含有ガスを通じて
該懸濁液内で酸化反応を行い、アルミニウムを固溶した
α−オキシ水酸化鉄粒子を合成し、これを濾過水洗した
後、再び水に懸濁させて水懸濁液とし、該懸濁液中で前
記アルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄粒子の表
面にニッケル化合物を被着させた後、さらにアルミナ水
和物をアルカリ性の懸濁液中で被着させ、得られた粒子
を濾別、乾燥し、その後、非還元性ガス雰囲気中、400
℃以上で加熱焼成し、次いで還元することを特徴とする
強磁性金属粒子の製造法に関する。
また本発明は、(2)前記アルミニウムを固溶したα−
オキシ水酸化鉄粒子の表面にニッケルの塩を被着させる
に当たり、該粒子の水懸濁液をpH4.0以下の有機酸水溶
液の懸濁液とした後、ニッケル塩を加え、次いで塩基性
物質を加えてpHを7〜12とした後、70℃以上で熟成する
ことを特徴とする(1)に記載の強磁性金属粒子の製造
方法に関する。さらに本発明は、(3)前記アルミニウ
ムを固溶し、かつニッケル化合物を被着したα−オキシ
水酸化鉄粒子の表面にアルミナ水和物を被着させるに当
たり、該粒子の水懸濁液に必要に応じて塩基性物質を加
えて該懸濁液のpHを7以上に保ちつつ、アルミニウム塩
の水溶液またはアルミナゾルを加えることを特徴とする
(1)または(2)に記載の強磁性金属粒子の製造法に
関する。
本発明においては、前記(1)記載のアルミニウム化合
物は、アルミニウムの無機塩、アルミニウムの有機酸塩
およびアルミナゾルのうち少なくとも1種であることが
好ましく、またアルミニウム化合物の固溶量は、前記ア
ルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄粒子の鉄原子
に対し、アルミニウム原子として0.5〜3重量%である
ことが好ましい。
また前記(2)記載のニッケルの塩は、ニッケルの硫酸
塩、硝酸塩、塩化物、酢酸塩およびシュウ酸塩のうち少
なくとも1種であることが好ましい。
さらに前記(3)記載のアルミニウム塩の水溶液は、ア
ルミニウムの無機塩、アルミニウムの有機酸塩のうち少
なくとも1種であることが好ましい。
本発明に用いられるアルミニウム化合物としては、硫酸
アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、
リン酸アルミニウム、アルミン酸塩等のアルミニウムの
無機塩、乳酸アルミニウム等のアルミニウムの有機酸塩
およびアルミナゾルの少なくとも1種を用いることがで
きるが、これらのうち硫酸アルミニウムおよびアルミン
酸ナトリウムが好ましい。
該アルミニウム化合物の固溶量は、Alを固溶したα−オ
キシ水酸化鉄粒子(以下、Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒
子と称する)の鉄原子に対し、Al原子として0.5〜3重
量%とするのが好ましい。Al固溶量が0.5重量%未満で
は還元して得られる強磁性粉粒子にちぎれや焼結が生じ
ることがあり、また3重量%を超えるとAl固溶α−オキ
シ水酸化鉄粒子の針状性が崩れるため、還元して得られ
る強磁性金属粒子の針状比が維持できず、保磁力が低下
することがある。
本発明に用いられる第1鉄塩としては、例えば硫酸第1
鉄、塩化第1鉄などが挙げられる。
本発明に用いられるアルカリ化合物としては水酸化ナト
リウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。該アルカリ
化合物の使用量は、第1鉄塩に対して1.5当量以上が好
ましい。
Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒子を合成する際の反応温度
は5〜60℃が好ましい。また酸素含有ガスとしては空気
が好ましい。
本発明において、前記で得られたAl固溶α−オキシ水酸
化鉄粒子表面へのニッケル化合物の被着は、例えば次の
ようにして行うことができる。
まず、前記合成で得られたAl固溶α−オキシ水酸化鉄粒
子の水懸濁液のpHが10.0以下となるまで該粒子を水洗す
る。水洗が不充分な場合、該粒子の表面に付着している
ナトリウム等のイオンが加熱還元工程で焼結を助長する
ため好ましくない。次に該水洗された粒子の水懸濁液に
有機酸、好ましくは酢酸等の水溶性カルボン酸を加える
かまたは有機酸を加えた水に前記水洗された粒子を加え
てpH4.0以下、好ましくはpH3.5〜2.0の水懸濁液とし、A
l固溶α−オキシ水酸化鉄粒子を単一粒子まで均一に分
散させる。次いで該水懸濁液にニッケルの無機塩または
有機酸塩を加えた後、アンモニア、モノエタノールアミ
ン等の塩基性物質を加えてpH7.0〜12.0、より好ましく
はpH8.0〜11.0に水懸濁液を調整し、70℃以上、好まし
くは90℃以上で熟成し、ニッケルの酸化物または水酸化
物を前記Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒子の表面に析出さ
せる。該熟成時間は1〜2時間が好ましい。
上記ニッケルの塩としては、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、
酢酸塩、シュウ酸塩等を使用できるが、特に酢酸塩が好
ましい。該ニッケルの被着量は、前記Al固溶α−オキシ
水酸化鉄粒子の鉄原子に対し、ニッケル原子として0.3
〜10重量%が好ましい。0.3重量%未満では粒子の分散
性および還元性が劣り、高飽和磁化量の低下や焼結を起
こしやすく、また10重量%を超えると還元して得られる
強磁性金属粒子にα−Fe相のほかにγ−(Fe、Ni)相が
発現し、磁気特性を劣化させることがある。
本発明において、前記ニッケルを被着したAl固溶α−オ
キシ水酸化鉄粒子表面へのアルミナ水和物の被着は、例
えば次のようにして行うことができる。まず、ニッケル
を被着したAl固溶α−オキシ水酸化鉄粒子の懸濁液を冷
却するかまたは70℃以上、好ましくは90℃以上に保った
ままで、必要に応じて塩基性物質、好ましくはアンモニ
アを加えながら、懸濁液のpHを7.0以上に維持する。次
にアルミニウム塩の水溶液またはアルミナゾルを徐々に
加えて撹拌する。
上記アルミニウム塩の水溶液としては、硫酸アルミニウ
ム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸アル
ミニウム、アルミン酸ナトリウム等の無機塩、ギ酸アル
ミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム等の有
機酸塩等の水溶液が用いられる。これらの水溶液または
アルミナゾルからのアルミニウムの被着量は、Al固溶α
−オキシ水酸化鉄の鉄原子に対し、アルミニウム原子と
して0.5〜7重量%が好ましく、より好ましくは1〜5
重量%である。0.5重量%未満では還元して得られる磁
性粉粒子表面に存在するAlの量が少なすぎるため、焼結
防止や分散性の向上が見られず、また7重量%を超える
と還元が抑制され、所望の高飽和磁化量が得られないこ
とがある。
このようにして得られたニッケル化合物およびアルミナ
水和物が被着されたAl固溶α−オキシ水酸化鉄を含有す
る懸濁液は、濾過等の方法で分別した後、必要に応じて
水洗し、その後乾燥して乾燥α−オキシ水酸化鉄とされ
る。このときの乾燥温度は100〜180℃が好ましい。
得られた乾燥α−オキシ水酸化鉄は加熱焼成して一旦針
状晶へマタイトとした後、加熱還元が施される。加熱焼
成は、通常アルゴン、窒素および空気等の非還元性ガス
雰囲気中、400℃以上、好ましくは400〜800℃の温度で
行う。また還元は通常水素気流中、300〜600℃の温度で
行う。これらの温度は、Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒子
の大きさ、比表面積および各種金属の被着量等によって
適宜決定される。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により詳しく説明する。なお、下
記例中、%は特に断らない限り重量%を意味する。
実施例1 27%水酸化ナトリウム水溶液5.6kgにアルミン酸ナトリ
ウム水溶液(Al濃度:10%)21.0gを混合した水溶液に、
5%硫酸第一鉄水溶液11.4kgを添加した後、空気を20
/分の速度で吹込みながら攪拌し、温度を30℃に保って
Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒子を合成した。Alの固溶量
の目標値は、Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒子の鉄原子に
対し、Al原子として1.0%であった。
得られたAl固溶α−オキシ水酸化鉄の粒子を濾過し、該
粒子の水懸濁液のpHが9.0以下になるまで水洗した。該A
l固溶α−オキシ水酸化鉄粒子を再び水に分散させた懸
濁液8000g(該粒子濃度:1.5%)に30%酢酸水溶液を添
加して水懸濁液のpHを3.0調整した。30分間攪拌した
後、あらかじめ用意しておいた酢酸ニッケル水溶液(Ni
濃度:2.41%)31.3gを加え、さらに30分間攪拌して、28
%アンモニア水を徐々に加え、水懸濁液のpHを10.1に調
整した。これを30分間攪拌した後、水懸濁液の温度を90
℃に上げ、60分間熟成した。
該水懸濁液の温度を90℃に保ったまま硫酸アルミニウム
水溶液(Al濃度:1.5%)201.4gを徐々に加えて60分間攪
拌した。該水懸濁液を30℃に冷却した後、濾過、水洗
し、ニッケル化合物、アルミニウムの塩が被着処理され
たα−オキシ水酸化鉄粒子のケーキを得た。このケーキ
を130℃で一夜乾燥し、第1表に示す固溶量および被着
量を有する乾燥α−オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られた乾燥α−オキシ水酸化鉄粒子100gを、N2雰囲気
下650℃で30分間加熱焼成した後、H2流量50/分、温
度440℃で4時間還元してトルエン中に抜出し、20℃、
相対湿度60%の恒温室で24時間風乾し、乾燥した強磁性
金属粉末を得た。この粉末のTEM(透過型電子顕微鏡、3
0,000倍(図面上3cmの長さが1μmの長さに相当す
る))写真を第1図に示した。またこの粉末の比表面積
および10kOeの磁界での磁気特性を測定し、その結果を
第1表に示した。
さらに該粉末55gに塩化酢酸ビニールとポリウレタンか
らなるバインダー12.4g、硬化剤0.7g、研磨剤3.8g、分
散剤2.8gおよびトルエン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノンからなる溶剤171g
をサンドミルに一括して仕込み、毎分1850回転で2時間
攪拌して塗料を得た。これをポリエステルフィルム上
に、磁場3000ガウスの中で配向し、テープを作製した。
このテープの5kOeの磁界での磁気特性を測定し、その結
果を第1表に示した。
第1図および第1表から、得られた強磁性金属粒子は優
れた形状保持性、分散性および磁気特性を有しているこ
とがわかる。
実施例2 実施例1において、硫酸アルミニウム水溶液(Al濃度:
1.5%)201.4gを、アルミン酸ソーダ水溶液(Al濃度:1.
0%)302.1gに変更した以外は、実施例1と同様に処理
をして強磁性金属粉末および該粉末を用いてテープを作
製し、それらの特性を調べた。その結果を第1表に示し
た。
第1表から、得られた強磁性金属粒子は優れた磁気特性
を有していることがわかる。
実施例3 実施例1において、硫酸アルミニウム水溶液(Al濃度:
1.5%)201.4gを硝酸アルミニウム水溶液(Al濃度:1.0
%)302.1gに変更した以外は、実施例1と同様に処理を
して強磁性金属粉末および該粉末を用いてテープを作製
し、それらの特性を調べた。その結果を第1表に示し
た。
第1表から、得られた強磁性金属粒子は優れた磁気特性
を有していることがわかる。
比較例1 実施例1で合成したアルミニウムを固溶したα−オキシ
水酸化鉄粒子を被着処理することなしに濾過水洗した
後、得られたケーキを130℃で一夜乾燥し、乾燥α−オ
キシ水酸化鉄粒子を得た。得られた乾燥α−オキシ水酸
化鉄粒子100gをH2流量50/分、温度400℃で5時間還
元した後、実施例1と同様に風乾して強磁性金属粉末を
得た。この粉末のTEM写真を第2図に示した。第2図か
ら明らかなように、還元温度が低くいにもかかわらず、
粉末は焼結していた。この粉末を用いて実施例1と同様
にしてテープを作製し、それらの特性を調べた。その結
果を第1表に示したが、保磁力、角型比等の磁気特性が
実施例よりはるかに劣っていた。この比較例1は、アル
ミニウムの固溶量が少ないと、焼結防止に何ら効果がな
いことを示している。
比較例2 27%水酸化ナトリウム水溶液5.6kgにアルミン酸ナトリ
ウム水溶液(Al濃度:10%)94.5gを混合した水溶液に、
5%硫酸第一鉄水溶液11.4kgを添加した後、空気を20
/分の速度で吹込みながら攪拌し、温度を30℃に保って
アルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄粒子を合成
した。固溶したアルミニウムの目標値は、アルミニウム
を固溶したα−オキシ水酸化鉄の鉄原子に対して4.5%
であったが、実際の固溶量はこれより少ない3.7%であ
った。このアルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄
粒子の水懸濁液を濾過水洗した後、得られたケーキを13
0℃で一夜乾燥し、乾燥α−オキシ水酸化鉄粒子を得
た。
このアルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄粒子の
TEM写真を第3図に示した。第3図から明らかなよう
に、この粒子は針状性が崩れており、高保磁力および高
角型比を有する強磁性金属粒子の原料としては不適当で
あった。該粒子を比較例1と同様に還元して強磁性金属
粉末を得、該粉末を用いてテープを作製し、それらの特
性を調べた。その結果を第1表に示したが、磁気特性は
予想どおり保磁力と角型比が劣っていた。また該強磁性
金属粉末のTEM写真を第4図に示したが、針状性が崩れ
ており、また一部に焼結も見られた。このようにアルミ
ニウムの固溶量がふえてくると、α−オキシ水酸化鉄粒
子の針状性が崩れてくるため、特に保磁力および角型比
が実施例に比べ劣ることがわかった。
比較例3 27%水酸化ナトリウム水溶液5.6kgに5%硫酸第一鉄水
溶液11.4kgを添加した後、空気を20/分の速度で吹込
みながら攪拌し、温度を30℃に保ってアルミニウムを固
溶していないα−オキシ水酸化鉄粒子を合成した。この
α−オキシ水酸化鉄の水懸濁液がpH9.0以下となるま
で、該粒子を水洗した。このアルミニウムを固溶してい
ないα−オキシ水酸化鉄を用いたこと以外は、実施例1
と同様にして被着、焼成および還元処理を行い、強磁性
金属粉末を得た。この粉末のTEM写真を第5図に示し
た。第5図から明らかなように、この方法で製造した強
磁性金属粉末に粒子が束状に凝集して分散性が悪く、一
部焼結も見られた。またこの粉末を用いて比較例1と同
様にしてテープを作製し、上記粉末およびテープの特性
を調べた。その結果を第1表に示したが、分散性が劣る
ため、保磁力、残留磁束密度および角型比が実施例に比
べ劣っていた。
比較例4 比較例3で合成したアルミニウムを固溶していないα−
オキシ水酸化鉄粒子を水洗後、再び水に分散させて懸濁
液8000g(該粒子濃度:1.5%)を調整した。この懸濁液
に30%酢酸水溶液を加え、pHを3.0に調整した後、アン
モニア水を加え、水懸濁液のpHを10.0に調整した。その
後30分間攪拌し、硫酸アルミニウム水溶液(Al濃度:1.5
%)201.4gを徐々に加え、さらに60分間攪拌した。この
水懸濁液を濾過水洗して、アルミニウム塩のみが被着処
理されたα−オキシ水酸化鉄粒子のケーキを得た。この
ケーキを130℃で一夜乾燥し、得られた乾燥α−オキシ
水酸化鉄粒子100gをN2雰囲気下650℃で30分間加熱焼成
し、その後H2流量50/分、温度460℃で6時間還元
し、トルエン中に抜出し、実施例1と同様の風乾処理を
して強磁性金属粉末を得た。この粉末のTEM写真を第6
図に示したが、この粒子は束状に凝集していて分散性に
劣っていた。またこの粉末を用いて実施例1と同様にテ
ープを作製し、上記粉末およびテープの特性を調べた。
その結果を第1表に示したが、この粉末は難還元性のた
め飽和磁化量が小さく、また保磁力、残留磁束密度およ
び角型比が実施例に比べ劣っていた。
比較例5 実施例1で合成したアルミニウムを固溶したα−オキシ
水酸化鉄を用いて、酢酸ニッケル水溶液(Ni濃度:2.41
%)31.3gを加えなかったこと以外は実施例1と同様の
被着処理をしてアルミニウムの塩のみの被着処理のなさ
れた乾燥α−オキシ水酸化鉄を得た。得られた乾燥オキ
シ水酸化鉄粒子100gをN2雰囲気下650℃で30分加熱焼成
し、その後H2流量50/分、温度480℃で6時間還元し
た後、トルエン中に抜き出し、実施例1と同様の風乾処
理をし、強磁性金属粉末を得た。この粉末のTEM写真を
第7図に示した。第7図からわかるように、この粒子の
TEM写真上の分散性は第1図に比べて明らかに劣ってお
り、また部分的な焼結も見られた。またこの粉末を用い
て実施例1と同様にテープを作製し、上記粉末およびテ
ープの特性を調べた。その結果を第1表に示したが、こ
の粉末は難還元性のため飽和磁気量が小さく、また保磁
力、残留磁束密度および角型比が実施例に比べ劣ってい
た。
〔発明の効果〕 本発明によれば、α−オキシ水酸化鉄粒子に均一にアル
ミニウムを固溶させた後、該アルミニウムを固溶したα
−オキシ水酸化鉄粒子の表面にニッケル化合物を被着さ
せ、次いでアルカリ性の懸濁液中でけい素化合物および
アルミナ水和物を被着させ、焼成および加熱還元するこ
とにより、形状保持および分散性が優れ、同時に優れた
磁気特性を有する強磁性金属鉄粒子が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で得られた強磁性金属粒子構造のTEM
(透過型電子顕微鏡)写真図、第2図は、比較例1で得
られた強磁性金属粒子構造のTEM写真図、第3図は、比
較例2で合成したAl固溶α−オキシ水酸化鉄粒子構造の
TEM写真図、第4図、第5図、第6図および第7図は、
それぞれ比較例2、比較例3、比較例4および比較例5
で得られた強磁性金属粒子構造のTEM写真図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第一鉄塩、アルカリ化合物およびアルミニ
    ウム化合物を含む水懸濁液に酸素含有ガスを通じて該懸
    濁液内で酸化反応を行い、アルミニウムを固溶したα−
    オキシ水酸化鉄粒子を合成し、これを濾過水洗した後、
    再び水に懸濁させて水懸濁液とし、該懸濁液中で前記ア
    ルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄粒子の表面に
    ニッケル化合物を被着させた後、さらにアルミナ水和物
    をアルカリ性の懸濁液中で被着させ、得られた粒子を濾
    別、乾燥し、その後、非還元性ガス雰囲気中、400℃以
    上で加熱焼成し、次いで還元することを特徴とする強磁
    性金属粒子の製造法。
  2. 【請求項2】前記アルミニウムを固溶したα−オキシ水
    酸化鉄粒子の表面にニッケル化合物を被着させるに当た
    り、該粒子の水懸濁液をpH4.0以下の有機酸水溶液の懸
    濁液とした後、ニッケル化合物を加え、次いで塩基性物
    質を加えてpHを7〜12とした後、70℃以上で熟成するこ
    とを特徴とする請求項(1)記載の強磁性金属粒子の製
    造法。
  3. 【請求項3】前記アルミニウムを固溶し、かつニッケル
    化合物を被着したα−オキシ水酸化鉄粒子の表面にアル
    ミナ水和物を被着させるに当たり、該粒子の水懸濁液に
    必要に応じて塩基性物質を加えて該懸濁液のpHを7以上
    に保ちつつ、アルミニウム塩の水溶液またはアルミナゾ
    ルを加ることを特徴とする請求項(1)または(2)記
    載の強磁性金属粒子の製造法。
JP1318616A 1989-12-07 1989-12-07 強磁性金属粒子の製造法 Expired - Lifetime JPH0776364B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1318616A JPH0776364B2 (ja) 1989-12-07 1989-12-07 強磁性金属粒子の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1318616A JPH0776364B2 (ja) 1989-12-07 1989-12-07 強磁性金属粒子の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03180406A JPH03180406A (ja) 1991-08-06
JPH0776364B2 true JPH0776364B2 (ja) 1995-08-16

Family

ID=18101127

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1318616A Expired - Lifetime JPH0776364B2 (ja) 1989-12-07 1989-12-07 強磁性金属粒子の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0776364B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03180406A (ja) 1991-08-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4804561A (en) Process for producing ferromagnetic metal fine particles
JPH09295814A (ja) 紡錘状ゲータイト粒子粉末及びその製造法並びに該ゲータイト粒子粉末を出発原料として得られる鉄を主成分とする紡錘状金属磁性粒子粉末及びその製造法
JP3412676B2 (ja) 紡錘状ゲータイト粒子粉末及びその製造法
JPH0776364B2 (ja) 強磁性金属粒子の製造法
JP3337046B2 (ja) コバルトと鉄とを主成分とする紡錘状金属磁性粒子粉末及びその製造法
JPH0776363B2 (ja) 強磁性金属粒子の製造方法
JPS59157204A (ja) 強磁性金属微粒子の製造方法
JPH0644527B2 (ja) 磁気記録媒体
JPS63265823A (ja) 針状のオキシ水酸化鉄等の微粒子に金属化合物を被着させる方法
JPH0776365B2 (ja) 強磁性金属粒子の製造方法
JPH02175806A (ja) 磁気記録用金属磁性粉末の製造方法
JP3092649B2 (ja) 鉄を主成分とする紡錘状金属磁性粒子粉末の製造法
JPH0778243B2 (ja) 分散性のすぐれた強磁性金属微粒子の製造法
JP3303896B2 (ja) 紡錘状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末及びその製造法
JP2805162B2 (ja) 磁気記録用金属磁性粉末の製造方法
JPH0258322B2 (ja)
JPS63261805A (ja) 強磁性金属微粒子の製造方法
JPS63140005A (ja) 強磁性金属微粒子粉末の製造法
JP2001192211A (ja) 鉄を主成分とする化合物粒子粉末の製造法
JPS61124507A (ja) 金属磁性粉末の製法
JPH0258321B2 (ja)
JP3087808B2 (ja) 磁気記録用磁性粒子粉末の製造法
JPH01168801A (ja) 金属磁性粉末の製造方法
JPH05140620A (ja) 強磁性金属粉末の製造方法
JPS596502A (ja) 改良された強磁性鉄粉の製造方法