JPH0776364B2 - 強磁性金属粒子の製造法 - Google Patents
強磁性金属粒子の製造法Info
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- JPH0776364B2 JPH0776364B2 JP1318616A JP31861689A JPH0776364B2 JP H0776364 B2 JPH0776364 B2 JP H0776364B2 JP 1318616 A JP1318616 A JP 1318616A JP 31861689 A JP31861689 A JP 31861689A JP H0776364 B2 JPH0776364 B2 JP H0776364B2
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は強磁性金属粒子の製造法に関し、さらに詳しく
は分散性に優れ、高密度磁気記録媒体の原料として好適
な強磁性金属粒子の製造法に関するものである。
は分散性に優れ、高密度磁気記録媒体の原料として好適
な強磁性金属粒子の製造法に関するものである。
従来、磁気記録媒体用磁性粉として、針状酸化鉄粒子が
主に使用されていたが、デジタル・オーディオテープ
(DAT)、8ミリビデオテープ、高密度フロッピーディ
スク等の商品化に伴い、高保磁力(Hc)、高飽和磁化量
(σs)および高角型比(σr/σs)を有する強磁性金
属鉄粒子が用いられるようになった。該強磁性金属鉄粒
子は一般にα−オキシ水酸化鉄または酸化鉄を主体とす
る針状微粒子を水素等の還元性ガス気流中で加熱還元し
て得られるが、磁気記録の高密度化に対応するため、強
磁性金属鉄粒子は年々微粒子化が要請されている。しか
しながら、微粒子化すればするほど、加熱還元時に粒子
の焼結が起こり易く、磁性粉の磁気特性が低下するとい
う問題が生じる。
主に使用されていたが、デジタル・オーディオテープ
(DAT)、8ミリビデオテープ、高密度フロッピーディ
スク等の商品化に伴い、高保磁力(Hc)、高飽和磁化量
(σs)および高角型比(σr/σs)を有する強磁性金
属鉄粒子が用いられるようになった。該強磁性金属鉄粒
子は一般にα−オキシ水酸化鉄または酸化鉄を主体とす
る針状微粒子を水素等の還元性ガス気流中で加熱還元し
て得られるが、磁気記録の高密度化に対応するため、強
磁性金属鉄粒子は年々微粒子化が要請されている。しか
しながら、微粒子化すればするほど、加熱還元時に粒子
の焼結が起こり易く、磁性粉の磁気特性が低下するとい
う問題が生じる。
この問題を解決するために、α−オキシ水酸化鉄または
酸化鉄粒子にアルミニウム化合物を固溶させる方法、α
−オキシ水酸化鉄または酸化鉄粒子の表面にアルミニウ
ム化合物を付着させることによりα−オキシ水酸化鉄ま
たは酸化鉄粒子の焼結を防止して粒子の形状を保持する
方法などが提案されている。
酸化鉄粒子にアルミニウム化合物を固溶させる方法、α
−オキシ水酸化鉄または酸化鉄粒子の表面にアルミニウ
ム化合物を付着させることによりα−オキシ水酸化鉄ま
たは酸化鉄粒子の焼結を防止して粒子の形状を保持する
方法などが提案されている。
特公昭59−17161号公報には、FeOOHまたはFe2O3の少な
くとも一方を主成分とする鉄化合物にアルミニウム(A
l)化合物を固溶させた後、還元する方法が示されてい
る。この方法は、針状粒子に焼結防止剤を付着させるこ
となく、粒子間の焼結のない強磁性金属粒子を得るのに
効果があるとされている。しかしながら、固溶させるAl
化合物の量が少ないと焼結防止に対する効果が低下し、
還元の際に焼結を起こし、磁気特性を劣化させる。また
固溶させるAl化合物の量が多いとAlを固溶させたFeOOH
またはFe2O3粒子の針状性が崩れるという重大な欠点を
有する。すなわち、Al固溶量が、Alを固溶したα−オキ
シ水酸化鉄粒子の鉄原子に対し、Al原子として0.5〜3
重量%の範囲では針状性の崩れは顕著には見られない
が、この範囲ではAlの固溶量が少ないため、後の還元の
際の焼結防止効果が充分に得られず、還元して得られる
強磁性金属粒子の磁気特性、特に保磁力および角型比が
低下する。またAlの固溶量が3重量%を超えるとFeOOH
またはFe2O3の針状性が崩れるために、還元して得られ
る強磁性金属粒子の針状比が維持できず、保磁力および
角型比が低下し、またAlの固溶量が多くなるため還元性
が抑制され、高い飽和磁化量が得にくいという欠点があ
る。
くとも一方を主成分とする鉄化合物にアルミニウム(A
l)化合物を固溶させた後、還元する方法が示されてい
る。この方法は、針状粒子に焼結防止剤を付着させるこ
となく、粒子間の焼結のない強磁性金属粒子を得るのに
効果があるとされている。しかしながら、固溶させるAl
化合物の量が少ないと焼結防止に対する効果が低下し、
還元の際に焼結を起こし、磁気特性を劣化させる。また
固溶させるAl化合物の量が多いとAlを固溶させたFeOOH
またはFe2O3粒子の針状性が崩れるという重大な欠点を
有する。すなわち、Al固溶量が、Alを固溶したα−オキ
シ水酸化鉄粒子の鉄原子に対し、Al原子として0.5〜3
重量%の範囲では針状性の崩れは顕著には見られない
が、この範囲ではAlの固溶量が少ないため、後の還元の
際の焼結防止効果が充分に得られず、還元して得られる
強磁性金属粒子の磁気特性、特に保磁力および角型比が
低下する。またAlの固溶量が3重量%を超えるとFeOOH
またはFe2O3の針状性が崩れるために、還元して得られ
る強磁性金属粒子の針状比が維持できず、保磁力および
角型比が低下し、またAlの固溶量が多くなるため還元性
が抑制され、高い飽和磁化量が得にくいという欠点があ
る。
特開昭56−28967号公報には、α−オキシ水酸化鉄粒子
をアルミニウムの無機または有機化合物を含む溶液に浸
漬する方法が示されている。しかしながら、この方法に
おいては単に浸漬するだけであり、α−オキシ水酸化鉄
粒子の表面にアルミニウム化合物が強固に付着せず、濾
過等により該粒子を分離する際にアルミニウム化合物が
濾液に溶出し、付着効率が低下する。また乾燥の際アル
ミニウム化合物が偏析し、付着むらを生じる欠点があ
る。特にα−オキシ水酸化鉄粒子を有機化合物を含む溶
液に浸漬する場合は、該粒子の水懸濁液から遠心分離等
の方法により該粒子を分離し、トルエン等の有機溶剤に
再分散させる際、溶剤置換を繰り返し行う必要があり、
製造工程が非常に煩雑となる。また有機溶剤を使用する
点で安全衛生上の問題がある。
をアルミニウムの無機または有機化合物を含む溶液に浸
漬する方法が示されている。しかしながら、この方法に
おいては単に浸漬するだけであり、α−オキシ水酸化鉄
粒子の表面にアルミニウム化合物が強固に付着せず、濾
過等により該粒子を分離する際にアルミニウム化合物が
濾液に溶出し、付着効率が低下する。また乾燥の際アル
ミニウム化合物が偏析し、付着むらを生じる欠点があ
る。特にα−オキシ水酸化鉄粒子を有機化合物を含む溶
液に浸漬する場合は、該粒子の水懸濁液から遠心分離等
の方法により該粒子を分離し、トルエン等の有機溶剤に
再分散させる際、溶剤置換を繰り返し行う必要があり、
製造工程が非常に煩雑となる。また有機溶剤を使用する
点で安全衛生上の問題がある。
特開昭56−25904号公報には、α−オキシ水酸化鉄にア
ルミニウム化合物を付着させる方法が示されている。し
かしながら、この方法で得られた粒子の形状を透過型電
子顕微鏡(TEM)で観察すると粒子同士が束状に凝集し
ており、磁性粉の分散性が劣るという欠点がある。
ルミニウム化合物を付着させる方法が示されている。し
かしながら、この方法で得られた粒子の形状を透過型電
子顕微鏡(TEM)で観察すると粒子同士が束状に凝集し
ており、磁性粉の分散性が劣るという欠点がある。
本発明の目的は、上記従来技術の欠点をなくし、α−オ
キシ水酸化鉄粒子を加熱還元する際に該粒子の焼結防止
を図ることができるとともに、優れた分散性および磁気
特性を有する強磁性金属粒子の製造法を提供することに
ある。
キシ水酸化鉄粒子を加熱還元する際に該粒子の焼結防止
を図ることができるとともに、優れた分散性および磁気
特性を有する強磁性金属粒子の製造法を提供することに
ある。
本発明は、(1)第一鉄塩、アルカリ化合物およびアル
ミニウム化合物を含む水懸濁液に酸素含有ガスを通じて
該懸濁液内で酸化反応を行い、アルミニウムを固溶した
α−オキシ水酸化鉄粒子を合成し、これを濾過水洗した
後、再び水に懸濁させて水懸濁液とし、該懸濁液中で前
記アルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄粒子の表
面にニッケル化合物を被着させた後、さらにアルミナ水
和物をアルカリ性の懸濁液中で被着させ、得られた粒子
を濾別、乾燥し、その後、非還元性ガス雰囲気中、400
℃以上で加熱焼成し、次いで還元することを特徴とする
強磁性金属粒子の製造法に関する。
ミニウム化合物を含む水懸濁液に酸素含有ガスを通じて
該懸濁液内で酸化反応を行い、アルミニウムを固溶した
α−オキシ水酸化鉄粒子を合成し、これを濾過水洗した
後、再び水に懸濁させて水懸濁液とし、該懸濁液中で前
記アルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄粒子の表
面にニッケル化合物を被着させた後、さらにアルミナ水
和物をアルカリ性の懸濁液中で被着させ、得られた粒子
を濾別、乾燥し、その後、非還元性ガス雰囲気中、400
℃以上で加熱焼成し、次いで還元することを特徴とする
強磁性金属粒子の製造法に関する。
また本発明は、(2)前記アルミニウムを固溶したα−
オキシ水酸化鉄粒子の表面にニッケルの塩を被着させる
に当たり、該粒子の水懸濁液をpH4.0以下の有機酸水溶
液の懸濁液とした後、ニッケル塩を加え、次いで塩基性
物質を加えてpHを7〜12とした後、70℃以上で熟成する
ことを特徴とする(1)に記載の強磁性金属粒子の製造
方法に関する。さらに本発明は、(3)前記アルミニウ
ムを固溶し、かつニッケル化合物を被着したα−オキシ
水酸化鉄粒子の表面にアルミナ水和物を被着させるに当
たり、該粒子の水懸濁液に必要に応じて塩基性物質を加
えて該懸濁液のpHを7以上に保ちつつ、アルミニウム塩
の水溶液またはアルミナゾルを加えることを特徴とする
(1)または(2)に記載の強磁性金属粒子の製造法に
関する。
オキシ水酸化鉄粒子の表面にニッケルの塩を被着させる
に当たり、該粒子の水懸濁液をpH4.0以下の有機酸水溶
液の懸濁液とした後、ニッケル塩を加え、次いで塩基性
物質を加えてpHを7〜12とした後、70℃以上で熟成する
ことを特徴とする(1)に記載の強磁性金属粒子の製造
方法に関する。さらに本発明は、(3)前記アルミニウ
ムを固溶し、かつニッケル化合物を被着したα−オキシ
水酸化鉄粒子の表面にアルミナ水和物を被着させるに当
たり、該粒子の水懸濁液に必要に応じて塩基性物質を加
えて該懸濁液のpHを7以上に保ちつつ、アルミニウム塩
の水溶液またはアルミナゾルを加えることを特徴とする
(1)または(2)に記載の強磁性金属粒子の製造法に
関する。
本発明においては、前記(1)記載のアルミニウム化合
物は、アルミニウムの無機塩、アルミニウムの有機酸塩
およびアルミナゾルのうち少なくとも1種であることが
好ましく、またアルミニウム化合物の固溶量は、前記ア
ルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄粒子の鉄原子
に対し、アルミニウム原子として0.5〜3重量%である
ことが好ましい。
物は、アルミニウムの無機塩、アルミニウムの有機酸塩
およびアルミナゾルのうち少なくとも1種であることが
好ましく、またアルミニウム化合物の固溶量は、前記ア
ルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄粒子の鉄原子
に対し、アルミニウム原子として0.5〜3重量%である
ことが好ましい。
また前記(2)記載のニッケルの塩は、ニッケルの硫酸
塩、硝酸塩、塩化物、酢酸塩およびシュウ酸塩のうち少
なくとも1種であることが好ましい。
塩、硝酸塩、塩化物、酢酸塩およびシュウ酸塩のうち少
なくとも1種であることが好ましい。
さらに前記(3)記載のアルミニウム塩の水溶液は、ア
ルミニウムの無機塩、アルミニウムの有機酸塩のうち少
なくとも1種であることが好ましい。
ルミニウムの無機塩、アルミニウムの有機酸塩のうち少
なくとも1種であることが好ましい。
本発明に用いられるアルミニウム化合物としては、硫酸
アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、
リン酸アルミニウム、アルミン酸塩等のアルミニウムの
無機塩、乳酸アルミニウム等のアルミニウムの有機酸塩
およびアルミナゾルの少なくとも1種を用いることがで
きるが、これらのうち硫酸アルミニウムおよびアルミン
酸ナトリウムが好ましい。
アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、
リン酸アルミニウム、アルミン酸塩等のアルミニウムの
無機塩、乳酸アルミニウム等のアルミニウムの有機酸塩
およびアルミナゾルの少なくとも1種を用いることがで
きるが、これらのうち硫酸アルミニウムおよびアルミン
酸ナトリウムが好ましい。
該アルミニウム化合物の固溶量は、Alを固溶したα−オ
キシ水酸化鉄粒子(以下、Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒
子と称する)の鉄原子に対し、Al原子として0.5〜3重
量%とするのが好ましい。Al固溶量が0.5重量%未満で
は還元して得られる強磁性粉粒子にちぎれや焼結が生じ
ることがあり、また3重量%を超えるとAl固溶α−オキ
シ水酸化鉄粒子の針状性が崩れるため、還元して得られ
る強磁性金属粒子の針状比が維持できず、保磁力が低下
することがある。
キシ水酸化鉄粒子(以下、Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒
子と称する)の鉄原子に対し、Al原子として0.5〜3重
量%とするのが好ましい。Al固溶量が0.5重量%未満で
は還元して得られる強磁性粉粒子にちぎれや焼結が生じ
ることがあり、また3重量%を超えるとAl固溶α−オキ
シ水酸化鉄粒子の針状性が崩れるため、還元して得られ
る強磁性金属粒子の針状比が維持できず、保磁力が低下
することがある。
本発明に用いられる第1鉄塩としては、例えば硫酸第1
鉄、塩化第1鉄などが挙げられる。
鉄、塩化第1鉄などが挙げられる。
本発明に用いられるアルカリ化合物としては水酸化ナト
リウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。該アルカリ
化合物の使用量は、第1鉄塩に対して1.5当量以上が好
ましい。
リウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。該アルカリ
化合物の使用量は、第1鉄塩に対して1.5当量以上が好
ましい。
Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒子を合成する際の反応温度
は5〜60℃が好ましい。また酸素含有ガスとしては空気
が好ましい。
は5〜60℃が好ましい。また酸素含有ガスとしては空気
が好ましい。
本発明において、前記で得られたAl固溶α−オキシ水酸
化鉄粒子表面へのニッケル化合物の被着は、例えば次の
ようにして行うことができる。
化鉄粒子表面へのニッケル化合物の被着は、例えば次の
ようにして行うことができる。
まず、前記合成で得られたAl固溶α−オキシ水酸化鉄粒
子の水懸濁液のpHが10.0以下となるまで該粒子を水洗す
る。水洗が不充分な場合、該粒子の表面に付着している
ナトリウム等のイオンが加熱還元工程で焼結を助長する
ため好ましくない。次に該水洗された粒子の水懸濁液に
有機酸、好ましくは酢酸等の水溶性カルボン酸を加える
かまたは有機酸を加えた水に前記水洗された粒子を加え
てpH4.0以下、好ましくはpH3.5〜2.0の水懸濁液とし、A
l固溶α−オキシ水酸化鉄粒子を単一粒子まで均一に分
散させる。次いで該水懸濁液にニッケルの無機塩または
有機酸塩を加えた後、アンモニア、モノエタノールアミ
ン等の塩基性物質を加えてpH7.0〜12.0、より好ましく
はpH8.0〜11.0に水懸濁液を調整し、70℃以上、好まし
くは90℃以上で熟成し、ニッケルの酸化物または水酸化
物を前記Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒子の表面に析出さ
せる。該熟成時間は1〜2時間が好ましい。
子の水懸濁液のpHが10.0以下となるまで該粒子を水洗す
る。水洗が不充分な場合、該粒子の表面に付着している
ナトリウム等のイオンが加熱還元工程で焼結を助長する
ため好ましくない。次に該水洗された粒子の水懸濁液に
有機酸、好ましくは酢酸等の水溶性カルボン酸を加える
かまたは有機酸を加えた水に前記水洗された粒子を加え
てpH4.0以下、好ましくはpH3.5〜2.0の水懸濁液とし、A
l固溶α−オキシ水酸化鉄粒子を単一粒子まで均一に分
散させる。次いで該水懸濁液にニッケルの無機塩または
有機酸塩を加えた後、アンモニア、モノエタノールアミ
ン等の塩基性物質を加えてpH7.0〜12.0、より好ましく
はpH8.0〜11.0に水懸濁液を調整し、70℃以上、好まし
くは90℃以上で熟成し、ニッケルの酸化物または水酸化
物を前記Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒子の表面に析出さ
せる。該熟成時間は1〜2時間が好ましい。
上記ニッケルの塩としては、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、
酢酸塩、シュウ酸塩等を使用できるが、特に酢酸塩が好
ましい。該ニッケルの被着量は、前記Al固溶α−オキシ
水酸化鉄粒子の鉄原子に対し、ニッケル原子として0.3
〜10重量%が好ましい。0.3重量%未満では粒子の分散
性および還元性が劣り、高飽和磁化量の低下や焼結を起
こしやすく、また10重量%を超えると還元して得られる
強磁性金属粒子にα−Fe相のほかにγ−(Fe、Ni)相が
発現し、磁気特性を劣化させることがある。
酢酸塩、シュウ酸塩等を使用できるが、特に酢酸塩が好
ましい。該ニッケルの被着量は、前記Al固溶α−オキシ
水酸化鉄粒子の鉄原子に対し、ニッケル原子として0.3
〜10重量%が好ましい。0.3重量%未満では粒子の分散
性および還元性が劣り、高飽和磁化量の低下や焼結を起
こしやすく、また10重量%を超えると還元して得られる
強磁性金属粒子にα−Fe相のほかにγ−(Fe、Ni)相が
発現し、磁気特性を劣化させることがある。
本発明において、前記ニッケルを被着したAl固溶α−オ
キシ水酸化鉄粒子表面へのアルミナ水和物の被着は、例
えば次のようにして行うことができる。まず、ニッケル
を被着したAl固溶α−オキシ水酸化鉄粒子の懸濁液を冷
却するかまたは70℃以上、好ましくは90℃以上に保った
ままで、必要に応じて塩基性物質、好ましくはアンモニ
アを加えながら、懸濁液のpHを7.0以上に維持する。次
にアルミニウム塩の水溶液またはアルミナゾルを徐々に
加えて撹拌する。
キシ水酸化鉄粒子表面へのアルミナ水和物の被着は、例
えば次のようにして行うことができる。まず、ニッケル
を被着したAl固溶α−オキシ水酸化鉄粒子の懸濁液を冷
却するかまたは70℃以上、好ましくは90℃以上に保った
ままで、必要に応じて塩基性物質、好ましくはアンモニ
アを加えながら、懸濁液のpHを7.0以上に維持する。次
にアルミニウム塩の水溶液またはアルミナゾルを徐々に
加えて撹拌する。
上記アルミニウム塩の水溶液としては、硫酸アルミニウ
ム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸アル
ミニウム、アルミン酸ナトリウム等の無機塩、ギ酸アル
ミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム等の有
機酸塩等の水溶液が用いられる。これらの水溶液または
アルミナゾルからのアルミニウムの被着量は、Al固溶α
−オキシ水酸化鉄の鉄原子に対し、アルミニウム原子と
して0.5〜7重量%が好ましく、より好ましくは1〜5
重量%である。0.5重量%未満では還元して得られる磁
性粉粒子表面に存在するAlの量が少なすぎるため、焼結
防止や分散性の向上が見られず、また7重量%を超える
と還元が抑制され、所望の高飽和磁化量が得られないこ
とがある。
ム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、リン酸アル
ミニウム、アルミン酸ナトリウム等の無機塩、ギ酸アル
ミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム等の有
機酸塩等の水溶液が用いられる。これらの水溶液または
アルミナゾルからのアルミニウムの被着量は、Al固溶α
−オキシ水酸化鉄の鉄原子に対し、アルミニウム原子と
して0.5〜7重量%が好ましく、より好ましくは1〜5
重量%である。0.5重量%未満では還元して得られる磁
性粉粒子表面に存在するAlの量が少なすぎるため、焼結
防止や分散性の向上が見られず、また7重量%を超える
と還元が抑制され、所望の高飽和磁化量が得られないこ
とがある。
このようにして得られたニッケル化合物およびアルミナ
水和物が被着されたAl固溶α−オキシ水酸化鉄を含有す
る懸濁液は、濾過等の方法で分別した後、必要に応じて
水洗し、その後乾燥して乾燥α−オキシ水酸化鉄とされ
る。このときの乾燥温度は100〜180℃が好ましい。
水和物が被着されたAl固溶α−オキシ水酸化鉄を含有す
る懸濁液は、濾過等の方法で分別した後、必要に応じて
水洗し、その後乾燥して乾燥α−オキシ水酸化鉄とされ
る。このときの乾燥温度は100〜180℃が好ましい。
得られた乾燥α−オキシ水酸化鉄は加熱焼成して一旦針
状晶へマタイトとした後、加熱還元が施される。加熱焼
成は、通常アルゴン、窒素および空気等の非還元性ガス
雰囲気中、400℃以上、好ましくは400〜800℃の温度で
行う。また還元は通常水素気流中、300〜600℃の温度で
行う。これらの温度は、Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒子
の大きさ、比表面積および各種金属の被着量等によって
適宜決定される。
状晶へマタイトとした後、加熱還元が施される。加熱焼
成は、通常アルゴン、窒素および空気等の非還元性ガス
雰囲気中、400℃以上、好ましくは400〜800℃の温度で
行う。また還元は通常水素気流中、300〜600℃の温度で
行う。これらの温度は、Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒子
の大きさ、比表面積および各種金属の被着量等によって
適宜決定される。
以下、本発明を実施例により詳しく説明する。なお、下
記例中、%は特に断らない限り重量%を意味する。
記例中、%は特に断らない限り重量%を意味する。
実施例1 27%水酸化ナトリウム水溶液5.6kgにアルミン酸ナトリ
ウム水溶液(Al濃度:10%)21.0gを混合した水溶液に、
5%硫酸第一鉄水溶液11.4kgを添加した後、空気を20
/分の速度で吹込みながら攪拌し、温度を30℃に保って
Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒子を合成した。Alの固溶量
の目標値は、Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒子の鉄原子に
対し、Al原子として1.0%であった。
ウム水溶液(Al濃度:10%)21.0gを混合した水溶液に、
5%硫酸第一鉄水溶液11.4kgを添加した後、空気を20
/分の速度で吹込みながら攪拌し、温度を30℃に保って
Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒子を合成した。Alの固溶量
の目標値は、Al固溶α−オキシ水酸化鉄粒子の鉄原子に
対し、Al原子として1.0%であった。
得られたAl固溶α−オキシ水酸化鉄の粒子を濾過し、該
粒子の水懸濁液のpHが9.0以下になるまで水洗した。該A
l固溶α−オキシ水酸化鉄粒子を再び水に分散させた懸
濁液8000g(該粒子濃度:1.5%)に30%酢酸水溶液を添
加して水懸濁液のpHを3.0調整した。30分間攪拌した
後、あらかじめ用意しておいた酢酸ニッケル水溶液(Ni
濃度:2.41%)31.3gを加え、さらに30分間攪拌して、28
%アンモニア水を徐々に加え、水懸濁液のpHを10.1に調
整した。これを30分間攪拌した後、水懸濁液の温度を90
℃に上げ、60分間熟成した。
粒子の水懸濁液のpHが9.0以下になるまで水洗した。該A
l固溶α−オキシ水酸化鉄粒子を再び水に分散させた懸
濁液8000g(該粒子濃度:1.5%)に30%酢酸水溶液を添
加して水懸濁液のpHを3.0調整した。30分間攪拌した
後、あらかじめ用意しておいた酢酸ニッケル水溶液(Ni
濃度:2.41%)31.3gを加え、さらに30分間攪拌して、28
%アンモニア水を徐々に加え、水懸濁液のpHを10.1に調
整した。これを30分間攪拌した後、水懸濁液の温度を90
℃に上げ、60分間熟成した。
該水懸濁液の温度を90℃に保ったまま硫酸アルミニウム
水溶液(Al濃度:1.5%)201.4gを徐々に加えて60分間攪
拌した。該水懸濁液を30℃に冷却した後、濾過、水洗
し、ニッケル化合物、アルミニウムの塩が被着処理され
たα−オキシ水酸化鉄粒子のケーキを得た。このケーキ
を130℃で一夜乾燥し、第1表に示す固溶量および被着
量を有する乾燥α−オキシ水酸化鉄粒子を得た。
水溶液(Al濃度:1.5%)201.4gを徐々に加えて60分間攪
拌した。該水懸濁液を30℃に冷却した後、濾過、水洗
し、ニッケル化合物、アルミニウムの塩が被着処理され
たα−オキシ水酸化鉄粒子のケーキを得た。このケーキ
を130℃で一夜乾燥し、第1表に示す固溶量および被着
量を有する乾燥α−オキシ水酸化鉄粒子を得た。
得られた乾燥α−オキシ水酸化鉄粒子100gを、N2雰囲気
下650℃で30分間加熱焼成した後、H2流量50/分、温
度440℃で4時間還元してトルエン中に抜出し、20℃、
相対湿度60%の恒温室で24時間風乾し、乾燥した強磁性
金属粉末を得た。この粉末のTEM(透過型電子顕微鏡、3
0,000倍(図面上3cmの長さが1μmの長さに相当す
る))写真を第1図に示した。またこの粉末の比表面積
および10kOeの磁界での磁気特性を測定し、その結果を
第1表に示した。
下650℃で30分間加熱焼成した後、H2流量50/分、温
度440℃で4時間還元してトルエン中に抜出し、20℃、
相対湿度60%の恒温室で24時間風乾し、乾燥した強磁性
金属粉末を得た。この粉末のTEM(透過型電子顕微鏡、3
0,000倍(図面上3cmの長さが1μmの長さに相当す
る))写真を第1図に示した。またこの粉末の比表面積
および10kOeの磁界での磁気特性を測定し、その結果を
第1表に示した。
さらに該粉末55gに塩化酢酸ビニールとポリウレタンか
らなるバインダー12.4g、硬化剤0.7g、研磨剤3.8g、分
散剤2.8gおよびトルエン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノンからなる溶剤171g
をサンドミルに一括して仕込み、毎分1850回転で2時間
攪拌して塗料を得た。これをポリエステルフィルム上
に、磁場3000ガウスの中で配向し、テープを作製した。
このテープの5kOeの磁界での磁気特性を測定し、その結
果を第1表に示した。
らなるバインダー12.4g、硬化剤0.7g、研磨剤3.8g、分
散剤2.8gおよびトルエン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノンからなる溶剤171g
をサンドミルに一括して仕込み、毎分1850回転で2時間
攪拌して塗料を得た。これをポリエステルフィルム上
に、磁場3000ガウスの中で配向し、テープを作製した。
このテープの5kOeの磁界での磁気特性を測定し、その結
果を第1表に示した。
第1図および第1表から、得られた強磁性金属粒子は優
れた形状保持性、分散性および磁気特性を有しているこ
とがわかる。
れた形状保持性、分散性および磁気特性を有しているこ
とがわかる。
実施例2 実施例1において、硫酸アルミニウム水溶液(Al濃度:
1.5%)201.4gを、アルミン酸ソーダ水溶液(Al濃度:1.
0%)302.1gに変更した以外は、実施例1と同様に処理
をして強磁性金属粉末および該粉末を用いてテープを作
製し、それらの特性を調べた。その結果を第1表に示し
た。
1.5%)201.4gを、アルミン酸ソーダ水溶液(Al濃度:1.
0%)302.1gに変更した以外は、実施例1と同様に処理
をして強磁性金属粉末および該粉末を用いてテープを作
製し、それらの特性を調べた。その結果を第1表に示し
た。
第1表から、得られた強磁性金属粒子は優れた磁気特性
を有していることがわかる。
を有していることがわかる。
実施例3 実施例1において、硫酸アルミニウム水溶液(Al濃度:
1.5%)201.4gを硝酸アルミニウム水溶液(Al濃度:1.0
%)302.1gに変更した以外は、実施例1と同様に処理を
して強磁性金属粉末および該粉末を用いてテープを作製
し、それらの特性を調べた。その結果を第1表に示し
た。
1.5%)201.4gを硝酸アルミニウム水溶液(Al濃度:1.0
%)302.1gに変更した以外は、実施例1と同様に処理を
して強磁性金属粉末および該粉末を用いてテープを作製
し、それらの特性を調べた。その結果を第1表に示し
た。
第1表から、得られた強磁性金属粒子は優れた磁気特性
を有していることがわかる。
を有していることがわかる。
比較例1 実施例1で合成したアルミニウムを固溶したα−オキシ
水酸化鉄粒子を被着処理することなしに濾過水洗した
後、得られたケーキを130℃で一夜乾燥し、乾燥α−オ
キシ水酸化鉄粒子を得た。得られた乾燥α−オキシ水酸
化鉄粒子100gをH2流量50/分、温度400℃で5時間還
元した後、実施例1と同様に風乾して強磁性金属粉末を
得た。この粉末のTEM写真を第2図に示した。第2図か
ら明らかなように、還元温度が低くいにもかかわらず、
粉末は焼結していた。この粉末を用いて実施例1と同様
にしてテープを作製し、それらの特性を調べた。その結
果を第1表に示したが、保磁力、角型比等の磁気特性が
実施例よりはるかに劣っていた。この比較例1は、アル
ミニウムの固溶量が少ないと、焼結防止に何ら効果がな
いことを示している。
水酸化鉄粒子を被着処理することなしに濾過水洗した
後、得られたケーキを130℃で一夜乾燥し、乾燥α−オ
キシ水酸化鉄粒子を得た。得られた乾燥α−オキシ水酸
化鉄粒子100gをH2流量50/分、温度400℃で5時間還
元した後、実施例1と同様に風乾して強磁性金属粉末を
得た。この粉末のTEM写真を第2図に示した。第2図か
ら明らかなように、還元温度が低くいにもかかわらず、
粉末は焼結していた。この粉末を用いて実施例1と同様
にしてテープを作製し、それらの特性を調べた。その結
果を第1表に示したが、保磁力、角型比等の磁気特性が
実施例よりはるかに劣っていた。この比較例1は、アル
ミニウムの固溶量が少ないと、焼結防止に何ら効果がな
いことを示している。
比較例2 27%水酸化ナトリウム水溶液5.6kgにアルミン酸ナトリ
ウム水溶液(Al濃度:10%)94.5gを混合した水溶液に、
5%硫酸第一鉄水溶液11.4kgを添加した後、空気を20
/分の速度で吹込みながら攪拌し、温度を30℃に保って
アルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄粒子を合成
した。固溶したアルミニウムの目標値は、アルミニウム
を固溶したα−オキシ水酸化鉄の鉄原子に対して4.5%
であったが、実際の固溶量はこれより少ない3.7%であ
った。このアルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄
粒子の水懸濁液を濾過水洗した後、得られたケーキを13
0℃で一夜乾燥し、乾燥α−オキシ水酸化鉄粒子を得
た。
ウム水溶液(Al濃度:10%)94.5gを混合した水溶液に、
5%硫酸第一鉄水溶液11.4kgを添加した後、空気を20
/分の速度で吹込みながら攪拌し、温度を30℃に保って
アルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄粒子を合成
した。固溶したアルミニウムの目標値は、アルミニウム
を固溶したα−オキシ水酸化鉄の鉄原子に対して4.5%
であったが、実際の固溶量はこれより少ない3.7%であ
った。このアルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄
粒子の水懸濁液を濾過水洗した後、得られたケーキを13
0℃で一夜乾燥し、乾燥α−オキシ水酸化鉄粒子を得
た。
このアルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄粒子の
TEM写真を第3図に示した。第3図から明らかなよう
に、この粒子は針状性が崩れており、高保磁力および高
角型比を有する強磁性金属粒子の原料としては不適当で
あった。該粒子を比較例1と同様に還元して強磁性金属
粉末を得、該粉末を用いてテープを作製し、それらの特
性を調べた。その結果を第1表に示したが、磁気特性は
予想どおり保磁力と角型比が劣っていた。また該強磁性
金属粉末のTEM写真を第4図に示したが、針状性が崩れ
ており、また一部に焼結も見られた。このようにアルミ
ニウムの固溶量がふえてくると、α−オキシ水酸化鉄粒
子の針状性が崩れてくるため、特に保磁力および角型比
が実施例に比べ劣ることがわかった。
TEM写真を第3図に示した。第3図から明らかなよう
に、この粒子は針状性が崩れており、高保磁力および高
角型比を有する強磁性金属粒子の原料としては不適当で
あった。該粒子を比較例1と同様に還元して強磁性金属
粉末を得、該粉末を用いてテープを作製し、それらの特
性を調べた。その結果を第1表に示したが、磁気特性は
予想どおり保磁力と角型比が劣っていた。また該強磁性
金属粉末のTEM写真を第4図に示したが、針状性が崩れ
ており、また一部に焼結も見られた。このようにアルミ
ニウムの固溶量がふえてくると、α−オキシ水酸化鉄粒
子の針状性が崩れてくるため、特に保磁力および角型比
が実施例に比べ劣ることがわかった。
比較例3 27%水酸化ナトリウム水溶液5.6kgに5%硫酸第一鉄水
溶液11.4kgを添加した後、空気を20/分の速度で吹込
みながら攪拌し、温度を30℃に保ってアルミニウムを固
溶していないα−オキシ水酸化鉄粒子を合成した。この
α−オキシ水酸化鉄の水懸濁液がpH9.0以下となるま
で、該粒子を水洗した。このアルミニウムを固溶してい
ないα−オキシ水酸化鉄を用いたこと以外は、実施例1
と同様にして被着、焼成および還元処理を行い、強磁性
金属粉末を得た。この粉末のTEM写真を第5図に示し
た。第5図から明らかなように、この方法で製造した強
磁性金属粉末に粒子が束状に凝集して分散性が悪く、一
部焼結も見られた。またこの粉末を用いて比較例1と同
様にしてテープを作製し、上記粉末およびテープの特性
を調べた。その結果を第1表に示したが、分散性が劣る
ため、保磁力、残留磁束密度および角型比が実施例に比
べ劣っていた。
溶液11.4kgを添加した後、空気を20/分の速度で吹込
みながら攪拌し、温度を30℃に保ってアルミニウムを固
溶していないα−オキシ水酸化鉄粒子を合成した。この
α−オキシ水酸化鉄の水懸濁液がpH9.0以下となるま
で、該粒子を水洗した。このアルミニウムを固溶してい
ないα−オキシ水酸化鉄を用いたこと以外は、実施例1
と同様にして被着、焼成および還元処理を行い、強磁性
金属粉末を得た。この粉末のTEM写真を第5図に示し
た。第5図から明らかなように、この方法で製造した強
磁性金属粉末に粒子が束状に凝集して分散性が悪く、一
部焼結も見られた。またこの粉末を用いて比較例1と同
様にしてテープを作製し、上記粉末およびテープの特性
を調べた。その結果を第1表に示したが、分散性が劣る
ため、保磁力、残留磁束密度および角型比が実施例に比
べ劣っていた。
比較例4 比較例3で合成したアルミニウムを固溶していないα−
オキシ水酸化鉄粒子を水洗後、再び水に分散させて懸濁
液8000g(該粒子濃度:1.5%)を調整した。この懸濁液
に30%酢酸水溶液を加え、pHを3.0に調整した後、アン
モニア水を加え、水懸濁液のpHを10.0に調整した。その
後30分間攪拌し、硫酸アルミニウム水溶液(Al濃度:1.5
%)201.4gを徐々に加え、さらに60分間攪拌した。この
水懸濁液を濾過水洗して、アルミニウム塩のみが被着処
理されたα−オキシ水酸化鉄粒子のケーキを得た。この
ケーキを130℃で一夜乾燥し、得られた乾燥α−オキシ
水酸化鉄粒子100gをN2雰囲気下650℃で30分間加熱焼成
し、その後H2流量50/分、温度460℃で6時間還元
し、トルエン中に抜出し、実施例1と同様の風乾処理を
して強磁性金属粉末を得た。この粉末のTEM写真を第6
図に示したが、この粒子は束状に凝集していて分散性に
劣っていた。またこの粉末を用いて実施例1と同様にテ
ープを作製し、上記粉末およびテープの特性を調べた。
その結果を第1表に示したが、この粉末は難還元性のた
め飽和磁化量が小さく、また保磁力、残留磁束密度およ
び角型比が実施例に比べ劣っていた。
オキシ水酸化鉄粒子を水洗後、再び水に分散させて懸濁
液8000g(該粒子濃度:1.5%)を調整した。この懸濁液
に30%酢酸水溶液を加え、pHを3.0に調整した後、アン
モニア水を加え、水懸濁液のpHを10.0に調整した。その
後30分間攪拌し、硫酸アルミニウム水溶液(Al濃度:1.5
%)201.4gを徐々に加え、さらに60分間攪拌した。この
水懸濁液を濾過水洗して、アルミニウム塩のみが被着処
理されたα−オキシ水酸化鉄粒子のケーキを得た。この
ケーキを130℃で一夜乾燥し、得られた乾燥α−オキシ
水酸化鉄粒子100gをN2雰囲気下650℃で30分間加熱焼成
し、その後H2流量50/分、温度460℃で6時間還元
し、トルエン中に抜出し、実施例1と同様の風乾処理を
して強磁性金属粉末を得た。この粉末のTEM写真を第6
図に示したが、この粒子は束状に凝集していて分散性に
劣っていた。またこの粉末を用いて実施例1と同様にテ
ープを作製し、上記粉末およびテープの特性を調べた。
その結果を第1表に示したが、この粉末は難還元性のた
め飽和磁化量が小さく、また保磁力、残留磁束密度およ
び角型比が実施例に比べ劣っていた。
比較例5 実施例1で合成したアルミニウムを固溶したα−オキシ
水酸化鉄を用いて、酢酸ニッケル水溶液(Ni濃度:2.41
%)31.3gを加えなかったこと以外は実施例1と同様の
被着処理をしてアルミニウムの塩のみの被着処理のなさ
れた乾燥α−オキシ水酸化鉄を得た。得られた乾燥オキ
シ水酸化鉄粒子100gをN2雰囲気下650℃で30分加熱焼成
し、その後H2流量50/分、温度480℃で6時間還元し
た後、トルエン中に抜き出し、実施例1と同様の風乾処
理をし、強磁性金属粉末を得た。この粉末のTEM写真を
第7図に示した。第7図からわかるように、この粒子の
TEM写真上の分散性は第1図に比べて明らかに劣ってお
り、また部分的な焼結も見られた。またこの粉末を用い
て実施例1と同様にテープを作製し、上記粉末およびテ
ープの特性を調べた。その結果を第1表に示したが、こ
の粉末は難還元性のため飽和磁気量が小さく、また保磁
力、残留磁束密度および角型比が実施例に比べ劣ってい
た。
水酸化鉄を用いて、酢酸ニッケル水溶液(Ni濃度:2.41
%)31.3gを加えなかったこと以外は実施例1と同様の
被着処理をしてアルミニウムの塩のみの被着処理のなさ
れた乾燥α−オキシ水酸化鉄を得た。得られた乾燥オキ
シ水酸化鉄粒子100gをN2雰囲気下650℃で30分加熱焼成
し、その後H2流量50/分、温度480℃で6時間還元し
た後、トルエン中に抜き出し、実施例1と同様の風乾処
理をし、強磁性金属粉末を得た。この粉末のTEM写真を
第7図に示した。第7図からわかるように、この粒子の
TEM写真上の分散性は第1図に比べて明らかに劣ってお
り、また部分的な焼結も見られた。またこの粉末を用い
て実施例1と同様にテープを作製し、上記粉末およびテ
ープの特性を調べた。その結果を第1表に示したが、こ
の粉末は難還元性のため飽和磁気量が小さく、また保磁
力、残留磁束密度および角型比が実施例に比べ劣ってい
た。
〔発明の効果〕 本発明によれば、α−オキシ水酸化鉄粒子に均一にアル
ミニウムを固溶させた後、該アルミニウムを固溶したα
−オキシ水酸化鉄粒子の表面にニッケル化合物を被着さ
せ、次いでアルカリ性の懸濁液中でけい素化合物および
アルミナ水和物を被着させ、焼成および加熱還元するこ
とにより、形状保持および分散性が優れ、同時に優れた
磁気特性を有する強磁性金属鉄粒子が得られる。
ミニウムを固溶させた後、該アルミニウムを固溶したα
−オキシ水酸化鉄粒子の表面にニッケル化合物を被着さ
せ、次いでアルカリ性の懸濁液中でけい素化合物および
アルミナ水和物を被着させ、焼成および加熱還元するこ
とにより、形状保持および分散性が優れ、同時に優れた
磁気特性を有する強磁性金属鉄粒子が得られる。
第1図は実施例1で得られた強磁性金属粒子構造のTEM
(透過型電子顕微鏡)写真図、第2図は、比較例1で得
られた強磁性金属粒子構造のTEM写真図、第3図は、比
較例2で合成したAl固溶α−オキシ水酸化鉄粒子構造の
TEM写真図、第4図、第5図、第6図および第7図は、
それぞれ比較例2、比較例3、比較例4および比較例5
で得られた強磁性金属粒子構造のTEM写真図である。
(透過型電子顕微鏡)写真図、第2図は、比較例1で得
られた強磁性金属粒子構造のTEM写真図、第3図は、比
較例2で合成したAl固溶α−オキシ水酸化鉄粒子構造の
TEM写真図、第4図、第5図、第6図および第7図は、
それぞれ比較例2、比較例3、比較例4および比較例5
で得られた強磁性金属粒子構造のTEM写真図である。
Claims (3)
- 【請求項1】第一鉄塩、アルカリ化合物およびアルミニ
ウム化合物を含む水懸濁液に酸素含有ガスを通じて該懸
濁液内で酸化反応を行い、アルミニウムを固溶したα−
オキシ水酸化鉄粒子を合成し、これを濾過水洗した後、
再び水に懸濁させて水懸濁液とし、該懸濁液中で前記ア
ルミニウムを固溶したα−オキシ水酸化鉄粒子の表面に
ニッケル化合物を被着させた後、さらにアルミナ水和物
をアルカリ性の懸濁液中で被着させ、得られた粒子を濾
別、乾燥し、その後、非還元性ガス雰囲気中、400℃以
上で加熱焼成し、次いで還元することを特徴とする強磁
性金属粒子の製造法。 - 【請求項2】前記アルミニウムを固溶したα−オキシ水
酸化鉄粒子の表面にニッケル化合物を被着させるに当た
り、該粒子の水懸濁液をpH4.0以下の有機酸水溶液の懸
濁液とした後、ニッケル化合物を加え、次いで塩基性物
質を加えてpHを7〜12とした後、70℃以上で熟成するこ
とを特徴とする請求項(1)記載の強磁性金属粒子の製
造法。 - 【請求項3】前記アルミニウムを固溶し、かつニッケル
化合物を被着したα−オキシ水酸化鉄粒子の表面にアル
ミナ水和物を被着させるに当たり、該粒子の水懸濁液に
必要に応じて塩基性物質を加えて該懸濁液のpHを7以上
に保ちつつ、アルミニウム塩の水溶液またはアルミナゾ
ルを加ることを特徴とする請求項(1)または(2)記
載の強磁性金属粒子の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1318616A JPH0776364B2 (ja) | 1989-12-07 | 1989-12-07 | 強磁性金属粒子の製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1318616A JPH0776364B2 (ja) | 1989-12-07 | 1989-12-07 | 強磁性金属粒子の製造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH03180406A JPH03180406A (ja) | 1991-08-06 |
JPH0776364B2 true JPH0776364B2 (ja) | 1995-08-16 |
Family
ID=18101127
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1318616A Expired - Lifetime JPH0776364B2 (ja) | 1989-12-07 | 1989-12-07 | 強磁性金属粒子の製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0776364B2 (ja) |
-
1989
- 1989-12-07 JP JP1318616A patent/JPH0776364B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH03180406A (ja) | 1991-08-06 |
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