JPH0776027A - プラスチック製遠心羽根車の成形方法 - Google Patents

プラスチック製遠心羽根車の成形方法

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JPH0776027A
JPH0776027A JP831094A JP831094A JPH0776027A JP H0776027 A JPH0776027 A JP H0776027A JP 831094 A JP831094 A JP 831094A JP 831094 A JP831094 A JP 831094A JP H0776027 A JPH0776027 A JP H0776027A
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core
centrifugal impeller
solvent
plastic
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茂 菅沼
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義久 島田
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    • B29C45/40Removing or ejecting moulded articles
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    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】中子に費やす設備の削減化を図りながら、三次
元的な羽根形状をもつ遠心羽根車を一体成形できる遠心
羽根車の成形方法を提供する。 【構成】射出成形機の金型1内に形成されている主板成
形部5と副板成形部6との間に、水溶性樹脂製の中子9
aを周方向に沿って所定の間隔で設けて、中子9aで囲
まれる部分に渦巻き状に延びる羽根成形部12を形成
し、この後、金型1内においてプラスチックにより射出
成形し、この射出成形された成形物18の中子9aに溶
媒を流通させて、同成形物18の内部から中子9aを溶
出させて、遠心羽根車を成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遠心ポンプなどを構成
する要素となる遠心羽根車を成形するプラスチック製遠
心羽根車の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】遠心ポンプには、遠心羽根車が用いられ
ている。遠心羽根車は、円板状の主板と副板との間に、
軸心から径方向に向かって延びる渦巻き状の羽根を複
数、設けてなる、軸心部を入口側とし、外周側を出口側
とした円盤状をなしている。
【0003】ところで、近時、種々の利点をもつことか
ら、遠心羽根車の全体をプラスチック部材で構成するこ
とが行われてきている。こうしたプラスチック製の遠心
羽根車は、渦巻き状の羽根の両側に、同羽根を挟むよう
に主板と副板とが設けられる構造上、一度の射出成形で
は全体が一体成形できない。
【0004】そこで、従来、プラスチック製遠心羽根車
は、各部単位に分け、これを組み合わせて、遠心羽根車
の全体を構成することが行われていた。具体的には、プ
ラスチックの射出成形によって、渦巻き状の羽根を有す
る主板と側板とを別々に成形した後、これら主板の羽根
と側板との相互を接着、もしくは溶着により結合して、
遠心羽根車の全体を構成していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、こうした遠
心羽根車を組み立てる方法は、二次元的な羽根をもつ遠
心羽根車、具体的には、図13(a)に示されるような
主板aおよび側板bの軸心と直交する断面形状が軸方向
に一定な形状の羽根cをもつ遠心羽根車には適用できる
ものの、図13(b)に示されるような上記羽根cの断
面形状が軸方向において変化するような複雑な羽根形状
の羽根cをもつ遠心羽根車、いわゆる三次元的な羽根c
をもつ遠心羽根車には適用できない。
【0006】そこで、こうした複雑な羽根形状の遠心羽
根車の場合、低融点の金属、例えばビスマス・スズを鋳
造してなる中子を用いて、遠心羽根車の全体をプラスチ
ックにより射出成形し、その後、不要となる金属製の中
子を成形物の溶出させることが行われていた。
【0007】ところが、これではプラスチックを用いた
射出成形の設備の他に、中子を鋳造する設備、成形物の
内部から低融点の金属を溶出させる設備が必要で、中子
に費やす設備がかかり、多種少量生産には不適である。
【0008】本発明は、このような事情に着目してなさ
れたもので、その目的とするところは、中子に費やす設
備の削減化を図りながら、三次元的な羽根形状をもつ遠
心羽根車の全体を一体成形することができる、多種少量
生産には適したプラスチック製遠心羽根車の成形方法を
提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1に記載の発明は、遠心羽根車の外形に対応し
た成形型を有する射出成形機の前記成形型内に並行に形
成されている主板成形部と副板成形部との間に、溶出除
去可能なプラスチック製の複数の中子を周方向に沿って
所定の間隔で設けて、中子で囲まれる前記主板成形部と
副板成形部との間の部分に、軸心から外周方向に向かっ
て渦巻き状に延びる羽根成形部を形成し、この後、前記
成形型内においてプラスチックにより射出成形し、この
射出成形された成形物の中子に溶媒を接触させて、同成
形物の内部から前記中子を溶出させることにある。
【0010】請求項2に記載の発明は、遠心羽根車の外
形に対応した成形型を有する射出成形機の前記成形型内
に並行に形成されている主板成形部と副板成形部との間
に、溶出除去可能なプラスチック製で、かつ一端が遠心
羽根車の入口に相当する部分に連通し他端が遠心羽根車
の出口に相当する部分に連通する溶媒流路が形成されて
なる複数の中子を周方向に沿って所定の間隔で設けて、
中子で囲まれる前記主板成形部と副板成形部との間の部
分に、軸心から外周方向に向かって渦巻き状に延びる羽
根成形部を形成し、この後、前記成形型内においてプラ
スチックにより射出成形し、この射出成形された成形物
を溶媒中で、軸心を中心として回転させて前記中子の溶
媒流路に溶媒を流通させ、成形物の内部から前記中子を
溶出させることにある。
【0011】請求項3に記載の発明は、遠心羽根車の外
形に対応した成形型を有する射出成形機の前記成形型内
に並行に形成されている主板成形部と副板成形部との間
に、溶出除去可能なプラスチック製で、かつ一端が遠心
羽根車の入口に相当する部分に連通し他端が遠心羽根車
の出口に相当する部分に連通する溶媒流路が形成されて
なる複数の中子を周方向に沿って所定の間隔で設けて、
中子で囲まれる前記主板成形部と副板成形部との間の部
分に、軸心から外周方向に向かって渦巻き状に延びる羽
根成形部を形成し、この後、前記成形型内においてプラ
スチックにより射出成形し、この射出成形された成形物
の溶媒流路に外部から溶媒を流し込んで、成形物の内部
から中子を溶出させることにある。
【0012】請求項4に記載の発明は、遠心羽根車の外
形に対応した成形型を有する射出成形機の前記成形型内
に並行に形成されている主板成形部と副板成形部との間
に、溶出除去可能なプラスチック製で、かつ一端が遠心
羽根車の入口に相当する部分に連通し他端が遠心羽根車
の出口に相当する部分に連通する溶媒流路が形成され、
さらに同溶媒流路には入口から出口までに渡り可撓性の
芯材が抜取り可能に設けられてなる複数の中子を周方向
に沿って所定の間隔で設けて、中子で囲まれる前記主板
成形部と副板成形部との間の部分に、軸心から外周方向
に向かって渦巻き状に延びる羽根成形部を形成し、この
後、前記成形型内においてプラスチックにより射出成形
し、この射出成形された成形物から前記芯材を抜取り前
記溶媒流路を確保した後、この成形物を溶媒中で、軸心
を中心として回転させて、前記中子の溶媒流路に溶媒を
流通させ、成形物の内部から中子を溶出させることにあ
る。
【0013】請求項5に記載の発明は、遠心羽根車の外
形に対応した成形型を有する射出成形機の前記成形型内
に並行に形成されている主板成形部と副板成形部との間
に、溶出除去可能なプラスチック製で、かつ一端が遠心
羽根車の入口に相当する部分に連通し他端が遠心羽根車
の出口に相当する部分に連通する溶媒流路が形成され、
さらに同溶媒流路には入口から出口までに渡り可撓性の
芯材が抜取り可能に設けられてなる複数の中子を周方向
に沿って所定の間隔で設けて、中子で囲まれる前記主板
成形部と副板成形部との間の部分に、軸心から外周方向
に向かって渦巻き状に延びる羽根成形部を形成し、この
後、前記成形型内においてプラスチックにより射出成形
し、この射出成形された成形物から前記芯材を抜取り前
記溶媒流路を確保した後、この成形物の溶媒流路に外部
から溶媒を流し込んで、成形物の内部から中子を溶出さ
せることにある。
【0014】
【作用】請求項1に記載の発明によると、プラスチック
製遠心羽根車を成形するに際し、中子の成形は射出成形
ですむ。しかも、成形物内からの中子の溶出は、成形物
から外部に露出する中子部分に溶媒を接触させるだけで
すむようになる。
【0015】このことは、低融点の金属部材よりなる中
子を用いて、プラスチック製遠心羽根車を射出成形する
場合に比べて、中子にかかる設備は省略されたり、簡単
ですむようになる。
【0016】それ故、プラスチック製の遠心羽根車の多
種少量生産にむく。請求項2に記載の発明によると、上
記請求項1に記載した作用に加え、溶媒中で成形物を回
転させるという設備だけで、別途、中子の溶融速度並び
に溶融効率を高めるための設備を必要とせずに、成形物
の内部から中子が溶出除去されることとなり、効率良く
プラスチック製遠心羽根車の生産が行われる。
【0017】請求項3に記載の発明によると、上記請求
項1に記載した作用に加え、成形物の溶媒流路に外部か
ら溶媒を流し込むという設備だけで、成形物の内部から
中子が溶出除去される。
【0018】請求項4に記載の発明によると、上記請求
項2に記載した作用に加え、溶媒流路は、中子の肉厚に
関係なく、可撓性の芯材がもつ剛性によって、射出成形
時、つぶされないにように一様に保たれる。
【0019】このことは、溶媒流路を設けることが困難
であるとされる薄肉の中子でも溶媒流路を設けることが
可能となる。この点を詳しく述べれば、中子はプラスチ
ック製であるため、その剛性力は肉厚が薄くなるにした
がって低くなる。
【0020】このような中子の剛性力の低下は、羽根の
出口幅の狭い遠心羽根車を成形する場合に影響を受け
る。すなわち、羽根の出口幅の狭い遠心羽根車を成形す
るときは、中子に溶媒流路を設けると、溶媒流路付近の
中子の肉厚が薄くなる。
【0021】このため、このような羽根の出口幅の狭い
遠心羽根車の成形時には、中子は同成形時の圧力に耐え
られずに変形を起こして、溶媒流路がつぶれてしまうお
それがある。
【0022】つぶれが生じると、溶媒を流通させる通路
が確保されなくなるから、成形物からの中子の溶出除去
効率が損なわれる。そこで、溶媒流路の入口から出口に
渡り芯材を設ける。すると、中子は同芯材で補強されて
いるから、成形時の圧力に耐えて、変形が抑制される。
つまり、溶媒流路がつぶれないようになる。
【0023】そして、射出成形を終えたら、成形物から
芯材を抜取る。これにより、たとえ肉厚が薄くなる中子
でも溶媒流路が確保される。またこれを活用して溶媒流
路の外径を、逆に芯材の外径に合わせて大きくすること
も可能となる。請求項5に記載の発明によると、上記請
求項3に記載した作用に加え、上記請求項4に記載した
のと同様の作用をもたらす。
【0024】
【実施例】以下、本発明を図1ないし図7に示す第1の
実施例にもとづいて説明する。図1中1は、プラスチッ
ク製遠心羽根車を成形する射出成形機の金型(成形型)
である。この金型1は、主型2とこれに接離可能に組み
合う副型3とから構成される。主型2の内面には、図4
および図5に示す製品となる遠心羽根車4の主板4aの
外形(円板状)が形成されている。また副型3の内面に
は、同じく遠心羽根車4の副板4bの外形(円板状)が
形成されている。これによって、主型2の内面には、主
板4aを成形するための主板成形部5が形成され、副型
3の内面には、主板成形部5と並行に並ぶ、副板4bを
成形するための副板成形部6が形成される。なお、7
は、副板成形部6の軸心部に形成された、遠心羽根車4
の軸心の取付孔4cを形成するための軸孔成形部、8
は、主型2の外面の軸心部分に設けた、プラスチック注
入口である。
【0025】つぎに、この金型1を用いて、例えば図4
および図5に示した三次元的な形状の羽根4dをもつプ
ラスチック製遠心羽根車4を成形する方法を説明する。
これには、まず、上記金型1内に、上記羽根4dの成形
に必要な中子体9を組み込んでおく(インサ−ト)。
【0026】この中子体9には、溶出除去可能なプラス
チック部材、具体的には水又は温水、アルカリ性水で溶
融する水溶性樹脂部材で形成された中子9aを組合わせ
てなる構造が用いられている。
【0027】この金型1内に組み込んだ水溶性樹脂製の
中子体9について説明すれば、これは図6に示されるよ
うに遠心羽根車4の入口14の臨む円形部分10aを中
心として、その外周部に、隣合う羽根4d間の空間部分
を埋めるような半円弧状の外形を呈した中子9aを、図
7に示されるように複数、例えば6個、所定の間隔をお
いて周方向に並設して構成される。各中子9aの内外周
形状は、遠心羽根車4の羽根4dの内周側に在る三次元
的に曲成した羽根部分4eと、同羽根4dの外周側に在
る二次元的な羽根部分4fとの各形状にならう形状に形
成してある。
【0028】ここで、中子体9には、三次元的に形状が
変化する中子体9が容易に得られるための工夫として、
羽根毎に分割した構造が用いられている。すなわち、中
子体9は、円形部分10aを中子割面部分として、羽根
枚数分、中子9aにそれぞれ分割してある。
【0029】これにより、中子体9は、射出成形によっ
て、三次元的な羽根部分4eに対応した部分と二次元的
な羽根部分4fに対応した部分とを有する中子9aを羽
根枚数分、成形した後、円形部分10aが円形となるよ
う、これらの中子9aを同志を一体に組合わせれば、ど
のような三次元的な羽根形状を含む中子体でも容易に得
られるようにしてある。なお、10bは中子9aの外周
端部に形成された、主型2と副型3との間で挟持される
保持部分を示す。
【0030】そして、金型1内に組み込まれた中子体9
によって、中子9aで囲まれる主板成形部5と副板成形
部6との間の部分に、軸心から外周方向に向かって渦巻
き状に延びる羽根成形部11を構成している。
【0031】また各中子9aには、同中子9aの円弧形
状に沿って延びる溶媒流路12が形成されている。溶媒
流路12は、中子9aを溶出させる溶媒(水又は温水、
アルカリ性水)を流通させるためのもので、この溶媒流
路12の内周側の端部は、遠心羽根車4の軸心部に定め
た入口14に開口している。また溶媒流路12の外周側
の端部は、遠心羽根車4の外周部に定めた出口15に開
口している。つまり、溶媒流路12は遠心羽根車4の入
出口14,15間を連通する。
【0032】この溶媒流路12を容易に形成するための
工夫として、各中子9aは、最内周側にある、入口14
に臨む円形部分10aの直径方向中間を分割部16aと
し、最外周側で外部に臨む保持部分10bの幅方向(主
板成形部5と副板成形部6とが並ぶ方向)中間を分割部
16bとし、それら分割部16a,16bを連続する分
割線16cで、二分割されている。この分割片17a,
17bの各内面には、上記溶媒流路12に沿って溝部1
2aがそれぞれ形成されている。
【0033】この中子構造によって、射出成形により、
それぞれ溝部12aをもつ分割片17a、溝部12bを
もつ分割片17bを成形した後、両者を溝部12a,1
2aが重なるよう、組合わせることにより、容易に溶媒
流路12をもつ中子9aを形成できるようにしてある。
【0034】中子体9の組み込みを終えたならば、この
中子体9を組み込んだ金型1を用いて、射出成形を行
う。これは、金型1のプラスチック注入口8から、金型
1内へ遠心羽根車4の成形に必要なプラスチック材料を
射出する。
【0035】これにより、プラスチック部材は、金型1
内に形成されている主板成形部5、副板成形部6、羽根
成形部11などの各型空間に注入され、図2に示される
ような遠心羽根車4の外形に対応した、中子9aが内蔵
の成形物18が射出成形されていく。
【0036】この成形を終えたならば、金型1内から成
形物18を取り出し、中子体9に水又は温水、アルカリ
性水といった溶媒を接触させるという工程を用いて、成
形物18内から中子体9を溶出させていく。
【0037】この工程は、まず、例えば図3に示される
ように槽内(図示しない)に満たされた溶媒、例えば温
水20に成形物18の全体を浸漬し、軸心の取付孔4c
を槽内に配置された駆動軸19に連結する。そして、こ
の駆動軸19をモ−タなどで回転させることによりなさ
れる。
【0038】すると、成形物18は回転する。これによ
り、溶媒流路12には、成形物18の回転にしたがって
ポンプ作用が発生し、入口14に開口している溶媒流路
12の端部から温水20が吸い込まれる。この温水20
は、溶媒流路12を通って、もう一方の端部から出口1
5へ向けて吐出される。
【0039】この通過するとき、中子19aを構成して
いる水溶性樹脂を溶融していく。これにより、成形物1
8の回転にしたがって同成形物18の内部から中子9a
が溶出され、成形物18の内部から中子9aが除去され
る。
【0040】中子体19が全て除去されると、図4およ
び図5に示されるように三次元的な羽根部分4eおよび
二次元的な羽根部分4fを有する羽根4dをもつ遠心羽
根車4の全体の成形を終える。
【0041】かくして、プラスチック製遠心羽根車4の
成形に際し、中子9aの成形は射出成形ですむ。しか
も、成形物18の内部からの中子9aの溶出は、成形物
18から外部に露出する中子部分に溶媒を接触させるだ
けですむ。
【0042】したがって、従来の低融点の金属部材より
なる中子を用いて、プラスチック製遠心羽根車4を射出
成形する場合に比べて、中子にかかる非常に簡単です
む。それ故、中子9aに費やす設備の削減化を図りなが
ら、三次元的な羽根形状をもつ遠心羽根車4の全体を一
体成形でき、多種少量生産性の向上を図ることができ
る。
【0043】そのうえ、中子9aに入口14と出口15
に開口する溶媒流路12を設け、成形物18を溶媒中に
おいて軸心を中心として回転させて、溶媒流路12に溶
媒を流通させる方法は、溶媒中で成形物18を回転させ
るという設備だけで、別途、中子9aの溶融速度並びに
溶融効率を高めるための設備を必要とせずに、成形物1
8の内部から中子9aを効率良く除去することができ
る。
【0044】すなわち、中子9aを効率良く除去するに
は、中子9aの接液面積が大きいこと、対接液相対流速
が大きいこと、水圧が大きいことなどのファクタ−があ
るが、この回転させて中子9aを溶出する方法による
と、これらを満足する。すなわち、溶媒流路12の形成
にて、中子9aに対する接液面積を増大し、溶媒中での
成形物18の回転にて高速の流速が得られるから、別
途、外部から圧力を加えた溶媒を噴射するいった設備を
要することなく、中子9aを溶融除去することができ
る。
【0045】特に、出口幅の狭い遠心羽根車4には有効
である。図8は、本発明の第2の実施例を示す。本実施
例は、上記第1の実施例、第2の実施例のようにポンプ
作用を利用して、成形物18から中子9aを溶出させる
のではなく、射出成形を終えた成形物18に対し、単に
外部から溶媒、例えば温水20を中子9aの溶媒流路1
2に流し込んで、成形物18から中子9aを溶出させた
ものである。
【0046】具体的には、軸心の取付孔4cを、例えば
支持装置(図示しない)の支持軸23に固定して射出成
形を終えた成形物18を所定の状態に支持させた後、成
形物18の外周端に在る溶媒流路12の出口15から入
口14へ、溶媒として温水20を流し込むようにしたも
のである。
【0047】このようにすると、外部から成形後の成形
物18の溶媒流路12へ溶媒を流し込むという設備だけ
で、成形物18の内部から中子9aを溶出除去すること
が可能となる。
【0048】なお、図8は、成形物18の外周端に在る
溶媒流路12の出口15から入口14へ溶媒を流し込む
例を挙げたが、入口14から出口15へ溶媒を流し込む
ようにしてもよい。
【0049】但し、本実施例において、第1の実施例と
同一工程を示す部分の説明、図については、第1の実施
例と同じなので省略した。図9ないし図12は、本発明
の第3の実施例を示す。
【0050】本実施例は、上記した第1の実施例の変形
例で、プラスチック材料を要因とする溶媒流路付き中子
9aの使用の制約を改善したものである。すなわち、中
子9aはプラスチック製であるため、その剛性力は肉厚
が薄くなるにしたがって低くなる。
【0051】この中子9aの剛性力の低下は、羽根4d
の出口幅の狭い遠心羽根車4を成形する場合に影響を受
ける。詳しくは、第1の実施例で説明した、溶媒流路1
2が付いた中子9aを用いて、遠心羽根車4を成形する
方法は、羽根4dの出口幅の狭い遠心羽根車4を成形す
るときには、その出口幅の制約から溶媒流路付近の中子
9aの肉厚を薄くせざるを得ない。
【0052】ところが、肉厚を薄くすると、中子9aに
要求される性能、すなわち射出成形時の圧力に耐えて、
中子9aの形状を維持しようとする剛性力は損なわれ
る。このため、羽根4dの出口幅の狭さ、あるいは溶媒
流路12における外径の設定具合によっては、中子9a
の剛性力が射出成形時の圧力に負ける場合が出てくる。
【0053】このような場合、遠心羽根車の成形時、中
子9aの溶媒流路付近の部分は、同成形時の圧力に耐え
られずに変形を起こし、それに伴って溶媒流路12の一
部がつぶれてしまう。
【0054】つぶれが生じると、溶媒を流通させるため
の通路が確保されなくなり、成形物18から中子9aが
溶出され難くなる。最悪の場合には、中子9aの溶出が
なされなくなる。
【0055】つまり、溶媒流路12を設けることで得ら
れるとされる、成形物18からの中子9aの溶出除去効
率は損なわれる。そこで、第2の実施例は、これを改善
するために、図9および図10に示されるように中子9
aの溶媒流路12に、同溶媒流路12の入口14から出
口15に渡り、可撓性の芯棒25(芯材に相当)を抜取
り可能に挿入しておく。芯棒25は、溶媒流路12の内
腔を埋めるような一様で入口14から出口15まで連続
した可撓性の棒材(たとえば軟性のプラスチック材料な
どで成形された棒など)が用いられる。芯棒25の出口
側の端部は、中子外周端から外部に突き出ていて、挿入
された芯棒25を引き出すための把持部25aにしてあ
る。
【0056】遠心羽根車4を成形するときは、この芯棒
25を内蔵した中子9aを用いて、第1の実施例で説明
したときと同様、図11に示されるように金型1を用い
て射出成形を行う。そして、射出成形後、図12に示さ
れるように把持部25aを把持して、成形された成形物
18から芯棒25の全てを引き抜く。その後、第1の実
施例と同様、成形物1を溶媒中で回転させて、成形物1
8の内部から中子9aを溶出させる。
【0057】ここで、射出成形時、中子9aは、溶媒流
路12の入口14から出口15に渡り挿入されている芯
棒25の剛性にて補強されているから、肉厚が薄くて
も、その成形時の圧力には耐えるようになる。
【0058】つまり、中子9aは変形が抑制されること
となり、それによる溶媒流路12のつぶれは生じないよ
うになる。そして、つぎの射出成形後、成形された成形
物18から芯棒25を引き抜く工程により、溶媒流路1
2の内腔は、それまでの詰め物が除かれて開放される。
【0059】このことは、芯棒25を溶媒流路12に詰
めるという工夫を用いると、羽根4dの出口幅の狭さ、
あるいは溶媒流路12の外径を大きくするという条件下
において、中子9aが、溶媒流路12を設けることを理
由に、かなりの薄肉が余儀なくされたとしても、要求さ
れる溶媒流路12は確保されることとなる。
【0060】つまり、溶媒流路12は、中子9aの肉厚
に関係なく、可撓性の芯棒25がもつ剛性によって、つ
ぶされないにように一様に保たれる。したがって、肉厚
の薄い中子9aでも、溶媒が十分に流通可能な溶媒流路
12を確保することが可能となる。
【0061】この結果、中子材により溶媒流路12を設
けることが困難な出口幅の狭い遠心羽根車4において
も、溶媒流路12が形成された中子9aを用いて、成形
物18から中子9aの溶出除去が行える。
【0062】またこのことを活用して、逆に芯棒25の
外径に合わせて溶媒流路12の外径を大きくすることも
可能となり、大径な溶媒流路12が形成された中子9a
を用いて、成形物18から中子9aの溶出除去が行え
る。
【0063】これによって、成形物18から中子9aを
溶出除去する効率は、大幅に高められる。但し、本実施
例において、第1の実施例と同一工程を示す部分の説
明、図については、第1の実施例と同じなので省略し
た。
【0064】こうした芯棒25を用いて中子9aの冷媒
流路12を確保する工程は、むろん、図8を用いて説明
した上記第2の実施例にも適用してもよい。この適用し
た成形方法を第4の実施例として説明すれば、先に説明
した第3の実施例の如く、図9および図10に示される
ように中子9aの溶媒流路12に、同溶媒流路12の入
口14から出口15に渡り、可撓性の芯棒25を抜取り
可能に挿入しておく。
【0065】遠心羽根車4を成形するときは、この芯棒
25を内蔵した中子9aを用いて、第1の実施例で説明
したときと同じく、図11に示されるように金型1を用
いて射出成形を行う。そして、射出成形後、図12に示
されるように把持部25aを把持して、成形された成形
物18から芯棒25の全てを引き抜く。その後、第2の
実施例と同じく、図8に示されるように外部から溶媒、
例えば温水20を中子9aの溶媒流路12に流し込ん
で、成形物18の内部から中子9aを溶出させる。
【0066】つまり、上記した第3の実施例と同様の効
果を奏する。但し、本実施例において、第2の実施例と
同一工程を示す部分の説明、図については、第2の実施
例と同じなので省略した。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の発
明によれば、中子に費やす設備の削減化を図りながら、
三次元的な羽根形状をもつ遠心羽根車の全体を一体成形
することができ、多種少量生産性に適した遠心羽根車の
成形方法を提供できる。
【0068】また請求項2に記載の発明によれば、上記
請求項1の発明の効果に加え、溶媒中で成形物を回転さ
せるという設備だけで、別途、中子の溶融速度並びに溶
融効率を高めるための設備を必要とせずに、成形物の内
部から中子を効率良く溶出させることができ、高い生産
性でプラスチック製の遠心羽根車を生産することができ
る。
【0069】請求項3に記載の発明によれば、上記請求
項1の発明の効果に加え、成形物の溶媒流路に外部から
溶媒を流し込むという設備だけで、成形物の内部から中
子を効率良く溶出させることができる。
【0070】請求項4に記載の発明によれば、上記請求
項2の発明の効果に加え、中子に設けた溶媒流路は、当
該中子の肉厚に関係なく、可撓性の芯材がもつ剛性によ
って、射出成形時、つぶされないにように一様に保つこ
とができる。
【0071】これにより、射出成形時の圧力でつぶれが
生じてしまうような薄肉の中子の使用が余儀なくされて
も、溶媒が十分に流通可能な溶媒流路を確保して、同溶
媒流路を用いた成形物からの中子の溶出除去を行うこと
ができる。
【0072】また芯材の外径に合わせて溶媒流路の外径
を大きくすることもでき、成形物からの中子の溶出除去
効率を大幅に向上させることができる。請求項5に記載
の発明によれば、上記請求項3の効果に加え、上記請求
項4の効果と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の遠心羽根車の成形方法
を説明するために用いた金型の断面図。
【図2】同金型を用いた射出成形された成形物を示す断
面図。
【図3】同成形物を溶媒中で回転させて中子を溶出する
工程を説明するための断面図。
【図4】同中子の溶出を終えて製品となった遠心羽根車
を示す断面図。
【図5】図4中のA−A線に沿う三次元形状の羽根を示
す断面図。
【図6】羽根間に配置される中子の形状を示す正面図。
【図7】同中子を複数個、組合わせて構成される中子体
を示す正面図。
【図8】本発明の第2の実施例の遠心羽根車の成形方法
の要部となる、外部から溶媒を溶媒流路に流し込む工程
を説明するための断面図。
【図9】本発明の第3の実施例の遠心羽根車の成形方法
の要部となる、溶媒流路に芯棒が挿入された中子体を示
す正面図。
【図10】同実施例における中子体を構成する、溶媒流
路に芯棒が挿入されてなる中子を示す一部断面した正面
図。
【図11】同芯棒を挿入させた中子体を用いて、遠心羽
根車を金型内で射出成形するときの工程を説明する断面
図。
【図12】同射出成形を終えた後、成形した成形物から
芯棒を引抜く工程を説明するための断面図。
【図13】(a)は、二次元形状の羽根を説明するため
の断面図。(b)は、三次元形状の羽根を説明するため
の断面図。
【符号の説明】
1…金型(成形型) 4…遠心羽根
車 5…主板成形部 6…副板成形
部 9…中子体 9a…中子 11…羽根成形部 12…溶媒流
路 18…成形物 19…駆動軸 20…温水(溶媒) 23…支持軸 25…可撓性の芯棒(可撓性の芯材)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年6月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正内容】
【0039】この通過するとき、中子19aを構成して
いる水溶性樹脂を溶融していく。これにより、成形物1
8の回転にしたがって同成形物18の内部から中子9a
が溶出され、成形物18の内部から中子9aが除去され
る。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】中子体9が全て除去されると、図4および
図5に示されるように三次元的な羽根部分4eおよび二
次元的な羽根部分4fを有する羽根4dをもつ遠心羽根
車4の全体の成形を終える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】したがって、従来の低融点の金属部材より
なる中子を用いて、プラスチック製遠心羽根車4を射出
成形する場合に比べて、中子にかかる設備は省略された
り、非常に簡単ですむ。それ故、中子9aに費やす設備
の削減化を図りながら、三次元的な羽根形状をもつ遠心
羽根車4の全体を一体成形でき、多種少量生産性の向上
を図ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 遠心羽根車の外形に対応した成形型を有
    する射出成形機の前記成形型内に並行に形成されている
    主板成形部と副板成形部との間に、溶出除去可能なプラ
    スチック製の複数の中子を周方向に沿って所定の間隔で
    設けて、中子で囲まれる前記主板成形部と副板成形部と
    の間の部分に、軸心から外周方向に向かって渦巻き状に
    延びる羽根成形部を形成し、この後、前記成形型内にお
    いてプラスチックにより射出成形し、この射出成形され
    た成形物の中子に溶媒を接触させて、同成形物の内部か
    ら前記中子を溶出させることを特徴とするプラスチック
    製遠心羽根車の成形方法。
  2. 【請求項2】 遠心羽根車の外形に対応した成形型を有
    する射出成形機の前記成形型内に並行に形成されている
    主板成形部と副板成形部との間に、溶出除去可能なプラ
    スチック製で、かつ一端が遠心羽根車の入口に相当する
    部分に連通し他端が遠心羽根車の出口に相当する部分に
    連通する溶媒流路が形成されてなる複数の中子を周方向
    に沿って所定の間隔で設けて、中子で囲まれる前記主板
    成形部と副板成形部との間の部分に、軸心から外周方向
    に向かって渦巻き状に延びる羽根成形部を形成し、この
    後、前記成形型内においてプラスチックにより射出成形
    し、この射出成形された成形物を溶媒中で、軸心を中心
    として回転させて前記中子の溶媒流路に溶媒を流通さ
    せ、成形物の内部から中子を溶出させることを特徴とす
    るプラスチック製遠心羽根車の成形方法。
  3. 【請求項3】 遠心羽根車の外形に対応した成形型を有
    する射出成形機の前記成形型内に並行に形成されている
    主板成形部と副板成形部との間に、溶出除去可能なプラ
    スチック製で、かつ一端が遠心羽根車の入口に相当する
    部分に連通し他端が遠心羽根車の出口に相当する部分に
    連通する溶媒流路が形成されてなる複数の中子を周方向
    に沿って所定の間隔で設けて、中子で囲まれる前記主板
    成形部と副板成形部との間の部分に、軸心から外周方向
    に向かって渦巻き状に延びる羽根成形部を形成し、この
    後、前記成形型内においてプラスチックにより射出成形
    し、この射出成形された成形物の溶媒流路に外部から溶
    媒を流し込んで、成形物の内部から中子を溶出させるこ
    とを特徴とするプラスチック製遠心羽根車の成形方法。
  4. 【請求項4】 遠心羽根車の外形に対応した成形型を有
    する射出成形機の前記成形型内に並行に形成されている
    主板成形部と副板成形部との間に、溶出除去可能なプラ
    スチック製で、かつ一端が遠心羽根車の入口に相当する
    部分に連通し他端が遠心羽根車の出口に相当する部分に
    連通する溶媒流路が形成され、さらに同冷媒流路には入
    口から出口までに渡り可撓性の芯材が抜取り可能に設け
    られてなる複数の中子を周方向に沿って所定の間隔で設
    けて、中子で囲まれる前記主板成形部と副板成形部との
    間の部分に、軸心から外周方向に向かって渦巻き状に延
    びる羽根成形部を形成し、この後、前記成形型内におい
    てプラスチックにより射出成形し、この射出成形された
    成形物から前記芯材を抜取り前記溶媒流路を確保した
    後、この成形物を溶媒中で、軸心を中心として回転させ
    て、前記中子の溶媒流路に溶媒を流通させ、成形物の内
    部から中子を溶出させることを特徴とするプラスチック
    製遠心羽根車の成形方法。
  5. 【請求項5】 遠心羽根車の外形に対応した成形型を有
    する射出成形機の前記成形型内に並行に形成されている
    主板成形部と副板成形部との間に、溶出除去可能なプラ
    スチック製で、かつ一端が遠心羽根車の入口に相当する
    部分に連通し他端が遠心羽根車の出口に相当する部分に
    連通する溶媒流路が形成され、さらに同冷媒流路には入
    口から出口までに渡り可撓性の芯材が抜取り可能に設け
    られてなる複数の中子を周方向に沿って所定の間隔で設
    けて、中子で囲まれる前記主板成形部と副板成形部との
    間の部分に、軸心から外周方向に向かって渦巻き状に延
    びる羽根成形部を形成し、この後、前記成形型内におい
    てプラスチックにより射出成形し、この射出成形された
    成形物から前記芯材を抜取り前記溶媒流路を確保した
    後、この成形物の溶媒流路に外部から溶媒を流し込ん
    で、成形物の内部から中子を溶出させることを特徴とす
    るプラスチック製遠心羽根車の成形方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010284953A (ja) * 2009-06-15 2010-12-24 Kunimune:Kk 樹脂製中空体の製造方法
CN107206708A (zh) * 2015-05-28 2017-09-26 宝马股份公司 用于制造smc空心构件的方法
CN114643685A (zh) * 2022-04-02 2022-06-21 新昌县武源达自动化科技有限公司 一种用于制造涡轮的旋转抽芯复杂精密模具

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