JPH0775602B2 - 乳房撮影画像における被写体部認識方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、乳房を含む放射線画像を表わす画像データに
基づいて、被写体の放射線撮影の行なわれた被写体部を
認識する乳房撮影画像における被写体部認識方法に関す
るものである。

（従来の技術） 記録された放射線画像を読み取って画像データを得、こ
の画像データに適切な画像処理を施した後、画像を再生
記録することは種々の分野で行なわれている。たとえ
ば、後の画像処理に適合するように設計されたガンマ値
の低いＸ線フイルムを用いてＸ線画像を記録し、このＸ
線画像が記録されたフイルムからＸ線画像を読み取って
電気信号に変換し、この電気信号（画像データ）に画像
処理を施した後コピー写真等に可視像として再生するこ
とにより、コントラスト，シャープネス，粒状性等の画
質性能の良好な再生画像を得ることのできるシステムが
開発されている（特公昭61−5193号公報参照）。

また本願出願人により、放射線（Ｘ線，α線，β線，γ
線，電子線，紫外線等）を照射するとこの放射線エネル
ギーの一部が蓄積され、その後可視光等の励起光を照射
すると蓄積されたエネルギーに応じて輝尽発光を示す蓄
積性蛍光体（輝尽性蛍光体）を利用して、人体等の被写
体の放射線画像を一旦シート状の蓄積性蛍光体に撮影記
録し、この蓄積性蛍光体シートをレーザー光等の励起光
で走査して輝尽発光光を生ぜしめ、得られた輝尽発光光
を光電的に読み取って画像データを得、この画像データ
に基づき被写体の放射線画像を写真感光材料等の記録材
料、CRT等に可視像として出力される放射線画像記録再
生システムがすでに提案されている（特開昭55−12429
号，同56−11395号，同55−163472号，同56−104645
号，同55−116340号等）。

このシステムは、従来の銀塩写真を用いる放射線写真シ
ステムと比較して極めて広い放射線露出域にわたって画
像を記録しうるという実用的な利点を有している。すな
わち、蓄積性蛍光体においては、放射線露光量に対して
蓄積後に励起によって輝尽発光する発光光の光量が極め
て広い範囲にわたって比例することが認められており、
従って種々の撮影条件により放射線露光量がかなり大幅
に変動しても、蓄積性蛍光体シートより放射される輝尽
発光光の光量を読取ゲインを適当な値に設定して光電変
換手段により読み取って電気信号に変換し、この電気信
号を用いて写真感光材料等の記録材料、CRT等の表示装
置に放射線画像を可視像として出力させることによっ
て、放射線露光量の変動に影響されない放射線画像を得
ることができる。

上記システムにおいて、蓄積性蛍光体シートに照射され
た放射線の線量等に応じて最適な読取条件で読み取って
画像データを得る前に、予め低レベルの光ビームにより
蓄積性蛍光体シートを走査してこのシートに記録された
放射線画像の概略を読み取る先読みを行ない、この先読
みにより得られた先読画像データを分析し、その後上記
シートに上記先読みの際の光ビームよりも高レベルの光
ビームを照射して走査し、この放射線画像に最適な読取
条件で読み取って画像データを得る本読みを行なうよう
に構成されたシステムもある（特開昭58−67240号，同5
8−67241号,58−67242号等）。

ここで読取条件とは、読取りにおける輝尽発光光の光量
と読取装置の出力との関係に影響を与える各種の条件を
総称するものであり、例えば入出力の関係を定める読取
ゲイン，スケールファクタあるいは、読取りにおける励
起光のパワー等を意味するものである。

また、光ビームの高レベル／低レベルとは、それぞれ、
上記シートの単位面積当りに照射される光ビームの強度
の大／小、もしくは上記シートから発せられる輝尽発光
光の強度が上記光ビームの波長に依存する（波長感度分
布を有する）場合は、上記シートの単位面積当りに照射
される光ビームの強度を上記波長感度で重みづけした後
の重みづけ強度の大／小をいい、光ビームのレベルを変
える方法としては、異なる波長の光ビームを用いる方
法、レーザ光源等から発せられる光ビームの強度そのも
のを変える方法、光ビームの光路上にNDフィルター等を
挿入，除去することにより光ビームの強度を変える方
法、光ビームのビーム径を変えて走査密度を変える方
法、走査速度を変える方法等、公知の種々の方法を用い
ることができる。

また、この先読みを行なうシステムか先読みを行なわな
いシステムかによらず、得られた画像データ（先読画像
データを含む）を分布し、画像データに画像処理を施す
際の最適な画像処理条件を決定するようにしたシステム
もある。ここで画像処理条件とは、画像信号に基づく再
生画像の階調や感度等に影響を及ぼす処理を該画像信号
に施す際の各種の条件を総称するものである。この画像
データに基づいて最適な画像処理条件を決定する方法
は、蓄積性蛍光体シートを用いるシステムに限られず、
たとえば従来のＸ線フイルム等の記録シートに記録され
た放射線画像から画像データを得るシステムにも適用さ
れている。

記録シートに放射線画像を影響記録するに際しては、被
写体の観察に必要の無い部分に放射線を照射しないよう
にするため、あるいは観察に不要な部分に放射線を照射
するとその部分から観察に必要な部分に散乱線が入り画
質性能が低下するため、放射線が被写体の必要な部分お
よび記録シートの一部（照射野内）にのみ照射されるよ
うに放射線の照射域を制限する照射野絞りを使用して撮
影を行なうことも多い。また、照射野内においても、被
写体が撮影記録された被写体部のほかに、被写体を経由
しない放射線が直接照射された直接放射線部が存在する
ことも多い。これらの各領域のうち再生画像を得るにあ
たって必要とされるのは被写体部のみであり、したがっ
て記録シート全面に記録された放射線画像中の被写体部
を認識し、該被写体部に対応する画像データを抽出する
ことによって、抽出した該画像データに基づいて最適な
読取条件、画像処理条件を求めることにより観察適正の
優れた再生画像を得ることができる。被写体部を認識す
るにあたっては、たとえば、被写体を撮影する撮影装置
の構造に起因して放射線画像上に表われる特徴や、被写
体の特有の形状等が考慮されることも多い。

第８図は、乳房撮影を行なう撮影装置の一例の概略を示
す図である。この撮影装置では前述した蓄積性蛍光体シ
ートが用いられている。

撮影台１の上に蓄積性蛍光体シートを収納したカセッテ
２を載置し、このカセッテ２とアクリル板等から成る押
え板３とで被写体である乳房４を挾持圧迫し、押え板３
の上方に配設された放射線源５から断面が半円状のコー
ン筒６を介して放射線を被写体４に向けて照射する。

第９図、第10図は、第８図に示す撮影装置で撮影された
放射線画像を表わした図である。

蓄積性蛍光体シート11上には半円形の照射野７が存在
し、該照射野７内には直接放射線部８と、該直接放射線
部８によって囲まれた被写体部９が存在する。また、上
記直接放射線部８と被写体部９とからなる半円形照射野
７の外側には散乱放射線が記録された散乱線部10（図中
点々を付した部分）が存在する。第９図ではシート11の
一端縁により半円形の照射野７の輪郭を構成する直線7a
が形成されており、第10図では該直線7aがシート11の端
縁から離れて形成されている。第10図に示す、照射野の
輪郭を形成する直線7aとシート端縁とで挾まれた領域10
aは、たとえばコート筒６（第８図参照）の形状または
撮影装置を構成する金属製の部品３′（第８図参照）等
によって放射線が遮られること等により生ずる。

後述する特開昭60−011397号公報で提案された方法で
は、乳房撮影画像上に表われる上記のような種々の特徴
を利用して略半円形状の被写体部９の領域が認識され
る。これにより、該領域（被写体部９）に対応する画像
データを抽出して該画像データに基づいて最適な読取条
件、画像処理条件を求めることができる。

（発明が解決しようとする課題） ところが、上記のような乳房撮影画像において、乳房の
みでなく胸壁も観察対象とされる場合がある。

第11図はこのような目的で撮影された放射線画像の一例
を示す図である。第９図、第10図と対応する部分には同
一の番号を付してある。

この図において被写体部９は乳房が撮影記録された略半
円形状の領域9a（以下、乳房部9aと呼ぶ。）と胸壁が撮
影記録された長方形状の領域9b（以下、胸壁部9bと呼
ぶ。）から形成されている。

ところが胸壁部9bは第10図に示した照射野外の領域10a
とその形状が酷似しているため、上記特開昭60−011397
号公報で提案された方法を用いると第11図に示すように
胸壁部9bが撮影記録されている場合であっても乳房部9a
のみが被写体部９であると認識されてしまっていた。し
たがって読取条件、画像処理条件を求める際に、乳房部
9aに対応する画像データのみに基づいて求められるた
め、胸壁部が再生画像として再生記録されなかったり、
再生記録されても胸壁部9bの観察適正が悪いという問題
点が生じていた。

本発明はこの問題点に鑑み、放射線画像中に乳房部以外
に胸壁部も撮影記録されている場合は、該胸壁部も含め
た領域を被写体部と認識することのできる、乳房撮影画
像における被写体部認識方法を提供することを目的とす
るものである。

（課題を解決するための手段） 本発明の乳房撮影画像における被写体部認識方法は、 乳房を含む放射線画像を表わす画像データに基づいて、
該画像上に円弧と直線からなる輪郭を有する略半円形状
の乳房領域を認識するとともに前記直線が前記画像の端
縁より離れているか否かを検出し、離れている場合に
は、前記直線と前記画像の端縁とで画せられる矩形領域
内の画像データのヒストグラムを求め、該ヒストグラム
の特徴量を求め、該特徴量に基づいて前記矩形領域に被
写体が記録されているか否かを判定し、該判定結果に基
づき該記録の有無に応じてそれぞれ前記乳房領域と前記
矩形領域とを合わせた領域または前記乳房領域のみを、
被写体の放射線撮影の行なわれた被写体と認識すること
を特徴とするものである。

ここで、上記「ヒストグラムの特徴量」とは、上記矩形
領域内の画像データの平均的な値やばらつき等を示す値
をいい、具体的には、該ヒストグラムの幅や高さ、平均
値やメジアン値等を指す。

（作用） 本発明の被写体認識方法によれば、円弧と直線とからな
る輪郭を有する略半円形状の乳房領域の該直線が放射線
画像から離れている場合に、該直線と画像の端像とで画
せられる矩形領域内の画像データのヒストグラムを求
め、該ヒストグラムの特徴量を求め、該特徴量に基づい
て前記矩形領域に被写体が記録されているか否かを判定
して、該判定結果に応じて被写体部を認識するようにし
たため、放射線画像に乳房のみが撮影されている場合
は、乳房部に対応した画像データのみが抽出され、放射
線画像に乳房のほかに胸壁も撮影されている場合は乳房
部と胸壁部とを合わせた領域に対応した画像データが抽
出され、このようにして抽出された画像データに基づい
て最適な読取条件、画像処理条件を求めることが可能と
なる。

（実 施 例） 以下、図面を参照して、本発明の実施例について説明す
る。

第５図は、本発明の被写体部認識方法の一例を用いた放
射線画像読取装置の一実施例を示した斜視図である。こ
の実施例は蓄積性蛍光体シートを用い、先読みを行なう
システムである。

前述した撮影装置（第８図参照）において乳房を含む放
射線画像が記録された蓄積性蛍光体シート11は、まず弱
い光ビームで走査してこのシート11に蓄積された放射線
エネルギーの一部のみを放出させて先読みを行なう先読
手段100の所定位置にセットされる。この所定位置にセ
ットされた蓄積性蛍光体シート11は、モータ12により駆
動されるエンドレスベルト等のシート搬送手段13によ
り、矢印Ｙ方向に搬送（副走査）される。一方、レーザ
ー光源14から発せられた弱い光ビーム15はモータ23によ
り駆動され矢印方向に高速回転する回転多面積16によっ
て反射偏向され、ｆθレンズ等の集束レンズ17を通過し
た後、ミラー18により光路を変えて前記シート11に入射
し副走査の方向（矢印Ｙ方向）と略垂直な矢印Ｘ方向に
主走査する。この光ビーム15が照射されたシート11の箇
所からは、蓄積記録されている放射線画像情報に応じた
光量の輝尽発光光19が発散され、この輝尽発光光19は光
ガイド20によって導かれ、フォトマルチプライヤ（光電
子増倍管）21によって光電的に検出される。上記光ガイ
ド20はアクリル板等の導光性材料を成形して作られたも
のであり、直線状をなす入射端面20aが蓄積性蛍光体シ
ート11上の主走査線に沿って延びるように配され、円環
状に形成された出射端面20bに上記フォトマルチプライ
ヤ21の受光面が結合されている。上記入射端面20aから
光ガイド20内に入射した輝尽発光光19は、該光ガイド20
の内部を全反射を繰り返して進み、出射端面20bから出
射してフォトマルチプライヤ21に受光され、放射線画像
を表わす輝尽発光光19の光量がフォトマルチプライヤ21
によって電気信号に変換される。

フォトマルチプライヤ21から出力されたアナログ出力信
号Ｓは対数増幅器26で対数的に増幅され、A/D変換器27
でディジタル化され、先読画像データSpが得られる。該
先読画像データSpは輝尽発光光19の光量の対数と比例す
る値を有している。

上記先読みにおいては、蓄積性蛍光体シート11に蓄積さ
れた放射線エネルギーの広い領域にわたって読み取るこ
とができるように、フォトマルチプライヤ21に印加する
電圧値や対数増幅器26の増幅率等の読取条件が定められ
ている。

得られた先読画像データSpは、記憶手段28に入力され、
一旦記憶される。その後、記憶手段28に記憶された先読
画像データSpが読み出されて演算手段29に入力され、演
算手段29では、入力された先読画像データSpに基づい
て、蓄積性蛍光体シート11上に形成された放射線画像中
の被写体部が認識される。被写体部が認識されると、こ
の被写体部に対応した先読画像データSpに基づいて本読
みの際の読取条件G₁、たとえばフォトマルチプライヤ2
1′に印加する電圧や対数増幅器26′の増幅率等が求め
られる。

先読みの終了した蓄積性蛍光体シート11′は、本読手段
100′の所定位置にセットされ、上記先読みに使用した
光ビームより強い光ビーム15′によりシート11′が走査
され、前述のようにして定められた読取条件G₁により画
像データが得られるが、本読手段100′の構成は上記先
読手段100の構成と略同一であるため、先読手段100の各
構成要素と対応する構成要素には先読手段100で用いた
番号にダッシュを付して示し、説明は省略する。

A/D変換器27′でディジタル化されることにより得られ
た画像データS_Qは、画像処理手段50に送られる。画像処
理手段50では画像データS_Qに適切な画像処理が施され
る。この画像処理の施された画像データは再生装置60に
送られ、この画像データに基づく放射線画像が再生表示
される。

次に、演算手段29で先読画像データSpに基づいて被写体
部を認識する方法について説明する。

第１図は、乳房を含む放射線画像の一例を示した図であ
る。前述した第９図〜第11図に示した画像と対応する部
分には第９図〜第11図と同一の番号を付してある。

被写体部９の乳房部9aは画像の端縁（シート11の端縁）
から離れている。このためこの放射線画像には該乳房部
9aの輪郭を形成する直線Ｂと放射線画像の端縁11aとで
画せられる矩形領域Ａが存在する。該矩形領域Ａは被写
体部９の一部の場合もあり、照射野外の場応もある。

ここで、先読手段100（第５図参照）により得られた先
読画像データSpに基づいて、前述した特開昭60−011397
号公報に記載された方法により、乳房部9aと、該乳房部
9aの輪郭を形成する直線Ｂが画像の端縁から離れている
か否か、即ち、矩形領域Ａが形成されているか否かが検
出される。

第２図は先読手段100において得られた、第１図に示し
た放射線画像に対応する先読画像データSpのヒストグラ
ムを示した図である。

図中領域ｘは直接放射線部８に略対応し、領域ｙは被写
体部９に略対応し、領域ｚは散乱線部10に略対応する。
直接放射線部８は放射線が被写体４（第８図参照）を透
過せずにシート７上に直接照射された領域であるため他
の領域と比べ先読画像データSpの値は最大となり、散乱
線部10は散乱線の有する放射線エネルギーが微小である
ことから、先読画像データSpの値は他の領域と比べ小さ
い。したがって、最大発光光量に対応する先読画像デー
タS₁から領域ｘに対応する幅SWを差し引いたしきい値Th
（Th＝S₁−SW）を用いて、しきい値Th以下の値を有する
先読画像データを“0"、しきい値Th以上の画像データを
“1"として画像データを二値化することにより、直接放
射線部８（第１図参照）と他の領域とを分離することが
できる。

第３図は、上記のようにして２値化した２値画像を示し
た図である。

図中、領域８′は、第１図に示す放射線画像中の直接放
射線部８に対応する領域であり“1"の値を有する。該領
域８′以外の領域は全て“0"の値を有する。第１図に示
す矩形領域Ａに対応する領域Ａ′も“0"の値を有する領
域に含まれる。

ここで、第１図に示す放射線画像は第８図に示すような
撮影装置によって撮影された乳房部を含む画像であるた
め、被写体部９はシート11のいずれか一端縁に沿って、
または、該端縁からやや離れて位置しているとともに円
弧状の直接放射線部８によって囲まれていることが既に
わかっている。そこで、第３図に示すように、二値画像
の４つの端縁11a′,11b′,11c′,11d′の各中点（各中
点はいずれも“0"の値を有している）C_a〜C_dから他の辺
に向けて、即ち各辺の中点C_a,C_b,C_c,C_dから45゜,90゜,1
35゜の方向に向けて“1"の値が存在するか否かサーチ
し、３方向とも“1"の値が存在する辺11a′側に乳房部9
a（第１図参照）が位置するものと判断する。

第４図は、第１図に示す放射線画像のように乳房部9aの
輪郭を形成する直線Ｂが端縁11aと離れている場合にお
いて該直線Ｂを求める方法を示すために、第３図と同一
の２値画像を表わした図である。端縁11a′の中点C_aか
ら該端縁11a′に対して０゜,180゜の方向（該端縁11a′
に並行な方向）をサーチし、両方向に“1"の値が存在す
るまで中点C_aを図に示す矢印Ｚ方向にずらし、両方向に
“1"の値が存在したときのシーチの直線Ｂ′と直接放射
線部に対応する領域８′とによって囲まれた領域に対応
するオリジナルの放射線画像の領域（第１図参照）を乳
房部9aと認識するとともに、該直線Ｂ′と端縁11a′と
によって画される矩形領域Ａ′に対応するオリジナルの
放射線画像の矩形領域Ａの存在を認識する。

前述した特開昭60−011397号公報に示された方法では、
上記のようにして認識された乳房部9aを被写体部９とす
るものであるが、このようにして乳房部9aに対応する先
読画像データにのみ基づいて本読み時の読取条件G₁を求
めると、本読みにおいて領域Ａに対応する画像データが
正しく求められないおそれがある。

この欠点を解消するために、本発明ではさらに以下の方
法が実施される。

まず、矩形領域Ａに対応する先読画像データのヒストグ
ラムが求められる。

第２図に破線で示したヒストグラムE,Fは、矩形領域Ａ
に対応する先読画像データのそれぞれ異なるヒストグラ
ムの例を表わしている。ヒストグラムＥは矩形領域Ａが
胸壁部である場合に対応するヒストグラムの一例であ
り、ヒストグラムＦは矩形領域Ａが照射野外の領域であ
る場合に対応するヒストグラムの一例である。

胸壁部は胸壁中の種々の組織の放射線画像が記録された
領域であり、一方照射野外の領域では散乱放射線のみが
記録された領域であるため、ヒストグラムの幅Ｗはヒス
トグラムＥの方が広く、矩形領域Ａ内の画素数は一定の
ため、ヒストグラムＥはその幅Ｗが広い分高さＨが低く
なっている。またヒストグラムＥはヒストグラムＦと比
べ平均的に右側にあり、先読画像データの平均値がヒス
トグラムＦにおける平均値よりも大きい値を有してい
る。

本実施例では、矩形領域Ａに対応する先読画像データの
ヒストグラムの特徴量として、ヒストグラムの幅Ｗが求
められ、この幅Ｗを所定値と比較し、幅Ｗが該所定値よ
り大きい場合は、矩形領域Ａは胸壁部であり、該所定値
より小さい場合は、矩形領域Ａは照射野外の領域である
と判定される。

このようにして、矩形領域Ａが胸壁部であると判定され
た場合は、乳房部9aと矩形領域Ａを合わせた領域を被写
体部９とし、矩形領域Ａが照射野外の領域であると認識
された場合は、乳房部9aのみが被写体部９であると認識
する。このようにして被写体部を正しく認識するように
したため、この被写体部に対応する先読画像データに基
づいて、本読み時の読取条件G₁が正確に求められる。

尚、上記実施例においては矩形領域Ａに対応する先読画
像データのヒストグラムの特徴量としてヒストグラムの
幅Ｗを採用したが、該特徴量としては該幅Ｗに限られる
ものではなく、ヒストグラムの最高の高さＨ、平均値等
およびこれらの組合せ等種々のものを用いることができ
る。

また、上記実施例では、演算手段29で本読みの際の読取
条件を求める装置について説明したが、本読みの際は、
先読画像データSpにかかわらず所定の読取条件で読取る
こととし、演算手段29では、先読画像データSpに基づい
て、画像処理手段50において画像データS_Qに画像処理を
施す際の画像処理条件G₂を求め、第５図に破線で示すよ
うに演算手段29で求められた画像処理条件を画像処理手
段50に入力するようにしてもよく、また、演算手段29で
上記読取条件と画像処理条件の双方を求めるようにして
もよい。

また、第５図に示す読取装置では、先読手段100と本読
手段100′とが別々に構成されているが、前述したよう
に先読手段100と本読手段100′の構成は略同一であるた
め、先読手段100と本読手段100′とを言対にして兼用し
てもよい。この場合、先読みを行なった後、蓄積性蛍光
体シート11を一回バックさせ、再度走査して本読みを行
なうようにすればよい。

先読手段と本読手段とを兼用した場合、先読みの場合と
本読みの場合とで光ビームの強度を切替える必要がある
が、この切替えの方法としては、前述したように、レー
ザー光源からの光強度そのものを切替える方法等、種々
の方法を使用することができる。

さらに、上記実施例は、先読みを行なう放射線画像読取
装置について説明したが、本発明は先読みを行なわずに
いきなり上記本読みに相当する読取りを行なう放射線画
像読取装置にも適用することができる。この場合、読取
りの際は所定の読取条件で読み取られて画像データが得
られ、この画像データに基づいて、演算手段により画像
処理条件が求められ、この求められた画像処理条件は画
像データに画像処理を施す際に考慮される。

また、本発明は、蓄積性蛍光体シートを用いる装置のほ
か、従来のＸ線フイルムを用いる装置等にも用いること
ができる。

第６図は、Ｘ線フイルムに記録されたＸ線画像を読み取
るＸ線画像読取装置の一実施例の斜視図である。

所定位置にセットされた、Ｘ線画像が記録されたＸ線フ
イルム30がフイルム搬送手段31により、図に示す矢印
Ｙ″方向に搬送される。

また、一次元的に長く延びた光源32から発せられた読取
光33は、シリンドリカルレンズ34により収束され、Ｘ線
フイルム上を矢印Ｙ″方向と略直角なＸ″方向に直線状
に照射する。読取光33が照射されたＸ線フイルム30の下
方には、Ｘ線フイルム30を透過し、Ｘ線フイルム30に記
録されたＸ線画像により強度変調された読取光33を受光
する位置に、上記Ｘ線画像のＸ″方向の各画素間隔に対
応した多数の固体光電変換素子が直線状に配置されたMO
Sセンサ35が設けられている。このMOSセンサ35は、Ｘ線
フイルム30が読取光33により照射されながら矢印Ｙ″方
向に搬送される間、Ｘ線フイルム30を透過した読取光を
Ｘ線画像のＹ″方向の各画素間隔に対応した所定の時間
間隔で受光する。

第７図は、上記MOSセンサ35の等価回路を示した回路図
である。

多数の固体光電変換素子36に読取光33が当たって発生す
るフォトキャリアによる信号は、固体光電変換素子36内
のキャパシタCi（ｉ＝1,2,……,n）に蓄積される。蓄積
されたフォトキャリアの信号は、シフトレジスタ37によ
って制御されるスイッチ部38の順次開閉により順次読み
出され、これにより時系列化された画像信号が得られ
る。この画像信号は、その後増幅器39で増幅されてその
出力端子40から出力される。

出力されたアナログの画像信号はサンプリングされてデ
ィジタルの画像信号（画像データ）に変換され、その
後、該画像データに基づいて、前述した実施例と同様に
して、被写体部が認識される。尚、本実施例において、
MOSセンサ35の代わりにCCD,CPU（Charge Priming Devic
e）等を用いることができることはいうまでもない。ま
たＸ線フイルムの読取りにおいて、前述した蓄積性蛍光
体シートの読取りと同様に光ビームで２次元的に走査し
て読取りを行なってもよいことももちろんである。また
上記実施例ではＸ線フィルム30を透過した光を受光して
いるが、Ｘ線フイルム30から反射した光を受光するよう
に構成することができることももちろんである。

このように、本発明の被写体部認識方法は、乳房を含む
放射線画像を表わす画像データに基づいて被写体部を認
識する場合に広く適用することができる。

（発明の効果） 以上詳細に説明したように、本発明の乳房撮影画像にお
ける被写体部認識方法は、矩形領域内の画像データのヒ
ストグラムを求め、該ヒストグラムの特徴量を求め、該
特徴量に基づいて該矩形領域に被写体が記録されている
か否かを判定するようにしたため、被写体部を正しく認
識することができ、したがって最適な読取条件、画像処
理条件を求めることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、乳房を含む放射線画像の一例を示した図、 第２図は、第１図に示した放射線画像に対応する先読画
像データのヒストグラムを示した図、 第３図，第４図は、第１図に示した放射線画像を２値化
した２値画像を示した図、 第５図は、本発明の被写体部認識方法の一例を使用し
た、放射線画像読取装置の一実施例の斜視図、 第６図は、Ｘ線フイルムに記録されたＸ線画像を読み取
るＸ線画像読取装置の一実施例の斜視図、 第７図は、MOSセンサの等価回路を示した回路図、 第８図は、乳房撮影を行なう撮影装置の一例の概要を示
す図、 第９図〜第11図は、第８図に示す撮影装置で撮影された
放射線画像を表わした図である。 １……撮影台 ２……蓄積性蛍光体シートを収納したカセッテ ３……押え板、４……乳房 ５……放射線源、６……コーン筒 ７……照射野、８……直接放射線部 ９……被写体部、10……散乱線部 11,11′……蓄積性蛍光体シート 19,19′……輝尽発光光 21,21′……フォトマルチプライヤ 26,26′……増幅器 27,27′……A/D変換器 28……記憶手段、29……演算手段 30……Ｘ線フイルム、35……MOSセンサ 50……画像処理手段、60……再生装置 100……先読手段、100′……本読手段

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】乳房を含む放射線画像を表わす画像データ
   に基づいて、該画像上に円弧と直線からなる輪郭を有す
   る略半円形状の乳房領域を認識するとともに前記直線が
   前記画像の端縁より離れているか否かを検出し、離れて
   いる場合には、前記直線と前記画像の端縁とで画せられ
   る矩形領域内の画像データのヒストグラムを求め、該ヒ
   ストグラムの特徴量を求め、該特徴量に基づいて前記矩
   形領域に複写体が記録されているか否かを判定し、該判
   定結果に基づき該記録の有無に応じてそれぞれ前記乳房
   領域と前記矩形領域とを合わせた領域または前記乳房領
   域のみを、被写体の放射線撮影の行なわれた被写体部と
   認識することを特徴とする乳房撮影画像における被写体
   部認識方法。