JPH0774590A - 電子消音装置 - Google Patents

電子消音装置

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JPH0774590A
JPH0774590A JP5220063A JP22006393A JPH0774590A JP H0774590 A JPH0774590 A JP H0774590A JP 5220063 A JP5220063 A JP 5220063A JP 22006393 A JP22006393 A JP 22006393A JP H0774590 A JPH0774590 A JP H0774590A
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JP
Japan
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digital filter
adaptive digital
adaptive
noise
filter
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Application number
JP5220063A
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English (en)
Inventor
Koichiro Misu
幸一郎 三須
Shiyuuzou Wakou
修三 和高
Tomonori Kimura
友則 木村
Tsutomu Nagatsuka
勉 永塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Electric Corp filed Critical Mitsubishi Electric Corp
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Publication of JPH0774590A publication Critical patent/JPH0774590A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16LPIPES; JOINTS OR FITTINGS FOR PIPES; SUPPORTS FOR PIPES, CABLES OR PROTECTIVE TUBING; MEANS FOR THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16L55/00Devices or appurtenances for use in, or in connection with, pipes or pipe systems
    • F16L55/02Energy absorbers; Noise absorbers

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  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Pipe Accessories (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)
  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)
  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 消音レベルが低く、安定した動作をする電子
消音装置を得る。 【構成】 エラー信号をディジタルフィルタ19によっ
て帯域制限し、演算器34によりタップ係数に窓関数を
乗じ、適応フィルタ16の起動時、あるいは、障害が発
生した場合に、ディジタルフィルタ14のタップ係数
を、適応ディジタルフィタル16に代入することによ
り、消音レベルが低く、安定した動作をする電子消音装
置を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、ディジタル信号処理
により、消音信号を発して雑音を打ち消す電子消音装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図11、および、図12は、文献“管路
用電子消音システムの研究(第8報)”、日本音響学会
講演論文集、昭和63年3月、pp.403−404に
示された従来のこの種の電子消音装置を示す図である。
図11は、従来のこの種の電子消音装置の構成を示す図
である。図中、1はダクト、2はダクト1中を伝搬する
雑音、3はセンサーマイク、4はスピーカ、5はエラー
マイク、6はセンサーマイクアンプ、7はスピーカアン
プ、8はエラーマイクアンプ、9は主にディジタル回路
からなるコントローラであり、10はアナログ−ディジ
タル変換器(以後、A/D変換器と記す)、11はディ
ジタル−アナログ変換器(以後、D/A変換器と記
す)、12はA/D変換器、13はディジタル信号処理
器である。
【0003】図12は、図11に示した従来のこの種の
電子消音装置のコントローラ9部の動作をブロック図で
示した図である。図13は、図11に示した従来のこの
種の電子消音装置のディジタル信号処理器13の動作を
フローチャートで示したものである。図中、14はディ
ジタルフィルタHer、15はディジタルフィルタHc
r、16は適応ディジタルフィルタHad、17は適応
ディジタルフィルタ16の各タップ係数を決定する演算
器LMSである。18は、コントローラ9により発生さ
せた消音信号である。
【0004】次に、動作について説明する。ダクト1中
を伝搬する雑音2は、センサーマイク3によって電気信
号に変換され、信号を増幅するアンプや特定の周波数成
分を遮断するフィルタ等により構成されるセンサーマイ
クアンプ6を介して、コントローラ9のA/D変換器1
0により、ディジタル信号Xnに変換される。そして、
適応ディジタルフィルタ16を経て、出力Yは、D/A
変換器11により再びアナログ信号に変換され、アンプ
やフィルタ等により構成されるスビーカアンプ7を介し
て、スピーカから消音信号18が出される。このとき、
スピーカ4からエラーマイク5の方向に伝搬する雑音2
と消音信号18は、互いに、逆極性の振幅を持ち、互い
に打ち消し合い、結果として、雑音のレベルが減少す
る。
【0005】ここで、適応ディジタルフィルタ16の動
作についてさらに詳しく説明するために、まず、基本的
な適応ディジタルフィルタ16の構成について説明す
る。図14は、適応ディジタルフィルタ16の基本構成
である。ここで扱う信号は、時間間隔τで離散化されて
いるので、添字iを用いて時刻を表すものとする。図1
4に示した図では、時刻iにおける入力をXiとし、出
力をYiとし、基準信号をZiとする。このとき、各時
刻iにおける出力Yiが、基準信号Ziに等しくなるよ
うに、演算器17によって、各タップ係数の修正を行
う。
【0006】図15は、適応ディジタルフィルタ16内
部での動作を、簡単なブロック図にしたものである。図
中、59は遅延時間τの遅延線であり、時間間隔τで離
散化された入力Xiを時間の経過にしたがって、図15
の場合では、1つずつ右にずらす。60は各タップを表
しており、タップ番号を左からk=0,1,2,…,N
とすると、タップkでの入力Xi−kに、係数Wkを乗
じた出力を出す。各タップ60の係数Wkは、演算器1
7によって修正され、図14に示した例では、適応ディ
ジタルフィルタ16の特性が、(Yi+Zi)の値を零
に収束させる特性となるように、各タップ60の係数の
修正を行う。61は各タップ60からの出力の総和を得
る加算器である。加算器61からの出力が、この適応デ
ィジタルフィルタ16の出力Yiとなる。すなわち、適
応ディジタルフィルタ16の時刻iにおける出力Yi
は、次式によって決まる。
【0007】
【数1】
【0008】ここで、Nは適応ディジタルフィルタ16
のタップ数である。各タップにおける係数Wkは、図1
4に示した場合では、次式によって修正する。
【0009】
【数2】
【0010】ここで、μは定数であり、適応ディジタル
フィルタ16の収束速度と収束安定性を決定する定数で
ある。Xeiは、時刻iにおけるエラー信号であり、図
14に示した適応ディジタルフィルタ16では、次式で
求められる値を用いる。
【0011】
【数3】
【0012】上記エラー信号が小さくなれば、各タップ
60の係数は適当な値に収束する。←は、式2の右辺の
結果を、新たにタップ60の係数Wkとして使用するこ
とを示している。このようなタップ係数の修正法は、L
MS法とも呼ばれ、文献“ディジタルフィルタの設
計”、東海大学出版会、1988年6月15日第2刷、
pp237−257の中で詳しく述べられている。
【0013】図12に示した電子消音装置における適応
ディジタルフィルタ16と、図14に示した基本構成の
場合とを対応させると、上記基本構成における入力Xi
は、センサーマイク3により受信した雑音2であり、出
力Yiはスピーカ4により出力される消音信号18であ
り、エラー信号(Yi+Zi)はエラーマイク5より受
信した信号である。しかし、図12と図14とを比べる
と、図14の場合では、演算器17に入力される2つの
信号Xi、(Yi+Zi)は、適応ディジタルフィルタ
16への入力Xiと同じ時刻の値であるのに対し、図1
2の場合では、適応ディジタルフィルタ16への入力信
号Xiと、演算器17に入力するエラー信号Xeiと
は、ダクト1内での遅延時間等のため、同じにならな
い。すなわち、演算器17に入力するエラー信号Xei
は、適応ディジタルフィルタ16出力から、スピーカ
4、ダクト1、エラーマイク5等を経るために、適応デ
ィジタルフィルタ16への入力:Xiと時刻の異なる信
号となっている。これに対処するために、従来のこの種
の電子消音装置では、適応ディジタルフィルタ16出力
から、スピーカ4、ダクト1、エラーマイク5等を経
て、演算器17入力に至るまでの遅延時間を有するディ
ジタルフィルタHcr15を挿入している。この方法に
ついては、“管路用電子消音システムの研究(第6
報)”、日本音響学会講演論文集、昭和61年10月、
pp.367−368にて詳しく述べられている。
【0014】さらに、図12に示した電子消音装置で
は、ディジタルフィルタHer14が挿入されている。
これは、音の双方向性により、スピーカ4より出た消音
信号18が、本来打ち消すべきスピーカ4からエラーマ
イク5へ向かう方向の他に、スピーカ4からセンサーマ
イク3の方向へも伝搬してしまい、この消音信号18が
再び、センサーマイク3により受信されて消音信号18
を作る。このため、スピーカ4からセンサーマイク3を
経て、適応ディジタルフィルタ16に至る経路での消音
信号18の帰還が発生し、ハウリングが生じる。これを
避けるため、ディジタルフィルタHer14を、適応デ
ィジタルフィルタ16出力から、D/A変換器11、ス
ピーカアンプ7、スピーカ4、ダクト1、センサーマイ
ク3、センサーマイクアンプ6、A/D変換器10に至
る経路の特性に等しくなるように設定し、適応ディジタ
ルフィルタ16からの出力のうち、センサーマイク3に
戻ってくる消音信号18を、ディジタルフィルタ14か
らの出力:Yerによって打ち消す。すなわち、A/D
変換器10からの信号をXnとすると、次式を用いて適
応ディジタルフィルタ16への入力Xを決める。
【0015】
【数4】
【0016】ディジタルフィルタHer14の特性は、
センサーマイク3からスピーカ4の方向に音波が伝搬す
る場合の特性と、スピーカ4からセンサーマイク3の方
向に音波が伝搬する場合の特性が同じであれば、適応デ
ィジタルフィルタ16が収束した場合の特性と同じであ
る。実際には、ダクト1内には風があるので、風速の分
の音速差が風に沿った方向と逆の方向とで生じており、
この音速差に対応した特性の差が、ディジタルフィルタ
Her14と適応ディジタルフィルタ16との間の特性
差となる。
【0017】この結果、センサーマイク3から適応ディ
ジタルフィルタ16に入力する信号は、雑音2のみとな
る。センサーマイク3入力から、センサーマイクアンプ
6、A/D変換器10、適応ディジタルフィルタ16、
D/A変換器11、スピーカアンプ7を経て、スピーカ
4出力に至るまでの特性が、センサーマイク3からスピ
ーカ4に至るまでのダクト1内の特性と逆の極性になる
ような特性に、適応ディジタルフィルタ16は収束す
る。すなわち、センサーマイク3からスピーカ4に至る
までのダクト1内の特性から、センサーマイク3、セン
サーマイクアンプ6、A/D変換器10、D/A変換器
11、スピーカアンプ7、スピーカ4等の特性を差し引
いた特性と逆の特性になるように、適応ディジタルフィ
ルタ16は収束し、雑音2を打ち消すような消音信号1
8を発生する。
【0018】従来のこの種の電子消音装置の動作の流れ
を、図13を用いて整理すると、起動時に、設置時に設
定済のディジタルフィルタHer14、および、ディジ
タルフィルタHcr15のタップ係数を不揮発性の記憶
素子からロードする。次に、適応ディジタルフィルタ1
6のタップ係数を初期化し、適応制御を開始する。A/
D変換器10、12からの振幅値、ディジタルフィルタ
Her14、Hcr15の出力をそれぞれ計算し、適応
ディジタルフィルタ16の出力を計算する。このとき、
適応ディジタルフィルタ16での計算にオーバーフロー
等の障害が発生したか否かを判断し、正常に処理された
場合は、適応ディジタルフィルタ16のタップ係数の修
正を行い、障害が発生した場合は、適応ディジタルフィ
ルタ16のタップ係数を初期化して、再び、適応制御を
やり直す。以上のような動作を継続して行うことによ
り、消音動作が行われる。ただし、図13に示したフロ
ーチャートでは、処理の順序は、かならずしも、図13
に示した順序に限定されるものではない。
【0019】従来のこの種の電子消音装置では、センサ
ーマイク3からスピーカ4に至るまでのダクト1内の特
性から、センサーマイク3、センサーマイクアンプ6、
A/D変換器10、D/A変換器11、スピーカアンプ
7、スピーカ4等の特性を差し引いた特性と逆の特性に
なるように、適応ディジタルフィルタ16は収束してい
た。このため、スピーカ4の動作帯域が、ダクト1中を
伝搬する雑音2の帯域よりも狭い場合、例えば、スピー
カ4が数百Hzよりも低い周波数の音を励振できず、か
つ、ダクト1中を伝搬する雑音2は数百Hz以下の周波
数成分も有する場合には、適応ディジタルフィルタ16
は、雑音2の数百Hz以下の周波数成分も打ち消すため
に、数百Hzの周波数成分が強く励振されるような特性
に変化していく。これは、雑音2と消音信号18との和
信号は、数百Hz以下の低い周波数成分を常に有するこ
とになるためである。しかし、スピーカ4からは、数百
Hz以下の周波数成分は励振されないため、適応フィル
タ16は、上記低周波数成分をより強く励振するように
変化し、最終的に、オーバーフローを起こし、正常な動
作を続行できなくなる。
【0020】図16は、図12に示した従来のこの種の
電子消音装置の動作を計算した例である。図中、(a)
は適応ディジタルフィルタ16の出力Y27、ダクト1
内での消音レベルSs28、エラー信号Xe29を示
し、(b)は消音レベルSsのスペクトル30、およ
び、エラー信号Xeのスペクトル31を示し、(c)は
適応ディジタルフィルタ16の出力Yのスペクトル3
2、および、消音信号Ya18のスペクトル33を示し
ている。なお、全て、雑音2の電力を0dBとした場合
の相対値で示している。ここでは、スピーカ4が400
Hz以下で阻止域を有するような特性を仮定し、他の要
素は全て、スピーカよりも十分広帯域であると仮定し
た。
【0021】図16からわかるように、動作開始から、
約300×0.2secのところで、適応ディジタルフ
ィルタ16の出力Y27、および、エラー信号Xe29
の値が急峻に増大し、オーバーフローしたことがわか
る。消音レベルSs28、および、エラー信号29のス
ペクトルを見ると、低周波数域の成分が大きく、演算器
17は、より低周波数成分を増大させようと動作する。
その結果、適応ディジタルフィルタ16の出力Yのスペ
クトル32は、低周波数域で大きな値を有するようにな
り、時間の経過と共に、より大きくなり、最後には、オ
ーバーフローとなってしまう。
【0022】すなわち、従来のこの種の電子消音装置で
は、電子消音装置を構成する一部の要素の帯域が、ダク
ト1中を伝搬する雑音2の帯域よりも狭い場合に、適応
ディジタルフィルタ16が正常な適応制御を行うことが
できず、オーバーフローを生じて、安定な消音動作を継
続できないという問題点があった。
【0023】従来のこの種の電子消音装置では、ダクト
1の送風口等で雑音2の反射があると、上記反射波をエ
ラーマイク5で受信することにより、演算器17は適応
ディジタルフィルタ16に、上記反射波を打ち消すため
のタップ係数をつくる。しかし、適応ディジタルフィル
タ16は、センサーマイク3からスピーカ4の方向に伝
搬する雑音2を打ち消すように動作するため、反射波の
ような、エラーマイク5からセンサーマイク3の方向に
伝搬する雑音を打ち消すように動作できない。
【0024】簡単のために、適応ディジタルフィルタ1
6への入力がインパルスの場合について、図17を用い
て説明する。適応ディジタルフィルタ16に、インパル
ス入力37が入ったとすると、収束した状態での適応デ
ィジタルフィルタ16は、センサーマイク3の位置から
スピーカ4の位置までの音波の伝搬遅延時間と同じ遅延
時間Taで、出力信号38を出す。ただし、ここでは、
ダクト1、および、ディジタルフィルタHer14、H
cr15、適応ディジタルフィルタ16以外の構成要素
での遅延時間は無視できるものとする。適応ディジタル
フィルタ16からの出力38は、スピーカ4から消音信
号18として出力し、ダクト1内の雑音2を打ち消す。
消音信号18と、ダクト1内での雑音2の振幅が完全に
一致しない場合は、その残留成分がエラーマイク5によ
ってエラー信号39として受信される。適応ディジタル
フィルタ16は、このエラー信号39が零になるよう
に、タップ係数の修正を繰り返す。一方、完全に打ち消
されずにダクト内を伝搬する雑音2の上記残留成分は、
ダクトの端面で反射され、再び、エラーマイク5の位置
に至り、エラー信号40として受信される。適応ディジ
タルフィルタ16はこのエラー信号40に対しても、タ
ップ係数の修正を繰り返し、応答をつくる。エラーマイ
ク5とダクト1端面との往復分の音波の遅延時間をTr
とすると、適応ディジタルフィルタ16は、入力信号3
7に対する主なる出力38から、時間Tr遅れて、出力
41をつくる。この出力41は、ダクト1内で打ち消す
べき雑音2がないため、ダクト1内での雑音2を増大さ
せる結果となる。
【0025】すなわち、従来のこの種の電子消音装置で
は、適応ディジタルフィルタ16が、センサーマイク3
からスピーカ4の方向に伝搬する雑音2を打ち消すよう
に動作するため、反射波のような、エラーマイク5から
センサーマイク3の方向に伝搬する雑音を打ち消すよう
に動作できず、上記反射波を打ち消すために適応ディジ
タルフィルタ16から消音信号18が出されても、セン
サーマイク3からスピーカ4の方向に伝搬する雑音2の
中には、消すべき対象となる雑音がないために、適応デ
ィジタルフィルタ16はダクト1内の雑音2を十分に打
ち消すことができないという問題点があった。
【0026】従来のこの種の電子消音装置では、上記の
ように、オーバーフロー等を生じて正常な動作を行えな
くなったときに、適応ディジタルフィルタ16のタップ
係数を全て初期化して、再び、雑音2を打ち消すよう
に、適応フィルタ16のタップ係数を収束させていた。
このとき、従来のこの種の電子消音装置で広く用いられ
ているLMS法は、収束速度を上げると、収束安定性が
損なわれるため、安定動作のために、収束速度を遅くし
て動作させていた。このため、上記適応ディジタルフィ
ルタ16のタップ係数の初期化を行ってから、消音レベ
ルが十分低下するまでに時間がかかる。例えば、図16
に示した従来のこの種の電子消音装置では、適応ディジ
タルフィルタ16のタップ係数を初期化させてから、消
音レベルが一定値に収束するまでに、約64×0.2s
ecかかる。すなわち、オーバーフロー等により、上記
適応ディジタルフィルタ16のタップ係数を全て初期化
すると、その間は雑音2が発生してしまうという問題点
があった。
【0027】従来のこの種の電子消音装置では、上記の
ように、適応ディジタルフィルタ16のタップ係数の修
正に、LMS法を用いていた。このため、上記のよう
に、スピーカ4等のダクト1以外の構成要素の特性が、
ダクト1中を伝搬する雑音2の周波数成分よりも狭い周
波数特性を有する場合や、ダクト1端面からの反射波に
より適応ディジタルフィルタ16が反射波によって誤動
作してしまう場合等において、常に安定動作する保証が
ないという問題点があった。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を解決するためになされたもので、ダクト中を伝搬す
る雑音よりも帯域の狭いスピーカ等の構成要素があって
も、オーバーフローを起こさず、安定な動作をする電子
消音装置を提供することにある。
【0029】さらに、この発明は、上記の問題を解決す
るためになされたもので、ダクトの送風口等で雑音の反
射があっても、十分に低い消音レベルを得ることができ
る電子消音装置を提供することにある。
【0030】さらに、この発明は、上記の問題を解決す
るためになされたもので、オーバーフロー等を生じて正
常な動作を行えなくなったときに、消音レベルの劣化を
抑えることができる電子消音装置を提供することにあ
る。
【0031】さらに、この発明は、上記の問題を解決す
るためになされたもので、スピーカ等のダクト以外の構
成要素の特性が、ダクト中を伝搬する雑音の周波数成分
よりも狭い周波数特性を有する場合や、ダクト端面から
の反射波がある場合でも、適応ディジタルフィルタが誤
動作してしまうことがなく、安定な消音動作をする電子
消音装置を提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る電
子消音装置では、雑音と、雑音を消すために適応ディジ
タルフィルタにより作られた消音信号との和信号を、デ
ィジタルフィルタにより帯域制限してから、適応ディジ
タルフィルタのタップ係数の修正に用いた。
【0033】請求項2の発明に係る電子消音装置では、
適応ディジタルフィルタのタップ係数に、窓関数をかけ
て、動作させた。
【0034】請求項3の発明に係る電子消音装置では、
オーバーフロー等の安定動作を失ったときに、適応フィ
ルタにより作られた消音信号が、再び適応ディジタルフ
ィルタに戻ってハウリングを生じるのを帽子するために
挿入したディジタルフィルタのタップ係数を、適応ディ
ジタルフィルタのタップ係数の初期値として用いた。
【0035】
【作用】請求項1の発明に係る電子消音装置では、雑音
と、雑音を消すために適応ディジタルフィルタにより作
られた消音信号との和信号を、ディジタルフィルタによ
り帯域制限してから、適応ディジタルフィルタのタップ
係数の修正に用いた。このため、演算器に入力するエラ
ー信号の低周波数成分が遮断され、適応ディジタルフィ
ルタが低周波数成分を増大させることなく動作するた
め、安定に動作する電子消音装置を得ることができる。
【0036】請求項2の発明に係る電子消音装置では、
適応ディジタルフィルタのタップ係数に、窓関数をかけ
て、動作させた。ダクト端面からの反射波は、反射する
前の雑音よりも時間が経過してから到達する。このた
め、適応ディジタルフィルタのタップ係数に窓関数をか
けて、反射波の到達時間に対応したタップの値を強制的
に変えることにより、適応ディジタルフィルタが反射波
の到達する時間では応答を示さないようにすることがで
き、ダクトの送風口等で雑音の反射があっても、十分に
低い消音レベルを得ることができる電子消音装置を得る
ことができる。
【0037】請求項3の発明に係る電子消音装置では、
オーバーフロー等の安定動作を失ったときに、適応フィ
ルタにより作られた消音信号が、再び適応ディジタルフ
ィルタに戻ってハウリングを生じるのを防止するために
挿入したディジタルフィルタのタップ係数を、適応ディ
ジタルフィルタのタップ係数の初期値として用いた。上
記ディジタルフィルタの特性は、適応ディジタルフィル
タが収束した場合の特性に近く、オーバーフロー等によ
り適応ディジタルフィルタが正常な動作を行えなくなっ
た場合でも、消音動作を継続することができる。すなわ
ち、オーバーフロー等を生じて正常な動作を行えなくな
ったときでも、消音レベルが著しく劣化することなく、
安定な動作を継続することができる電子消音装置を得る
ことができる。
【0038】
【実施例】実施例1 図1は、この発明の実施例1に係る電子消音装置を示す
図である。図中、1はダクト、2はダクト中を伝搬する
雑音、3はセンサーマイク、4はスピーカ、5はエラー
マイク、6はフィルタやアンプ等からなるセンサーマイ
クアンプ、7はフィルタやアンプ等からなるスピーカア
ンプ、8はフィルタやアンプ等からなるエラーマイクア
ンプ、9は主にディジタル回路からなるコントローラで
あり、10はA/D変換器、11はD/A変換器、12
はA/D変換器、13はディジタル信号処理器、14は
ディジタルフィルタHer、15はディジタルフィルタ
Hcr、16は適応ディジタルフィルタ、17は演算器
LMS、18は適応ディジタルフィルタ16が励振した
消音信号であり、これらは従来のこの種の電子消音装置
と同じである。しかし、この発明の一実施例に係る電子
消音装置では、エラーマイク5より受信した信号をディ
ジタルフィルタHhp19を通過させてから、演算器L
MS17に入力させている。
【0039】図2は、図1に示した電子消音装置の動作
を説明するためのモデルを示す図である。図中、ディジ
タルフィルタHer14、ディジタルフィルタHcr1
5、ディジタルフィルタHhp19、適応ディジタルフ
ィルタ16、演算器LMS17は、図1に示したものと
同じである。センサーマイク3、スピーカ4、エラーマ
イク5は、それぞれ、電気信号と音波との変換を行うこ
とを示すのみとし、それぞれの通過特性は、入力信号を
そのまま出力信号とするものと仮定する。20はセンサ
ーマイク3の位置からスピーカ4の位置までの音波の伝
搬特性Hdaであり、21はスピーカ4の位置からセン
サーマイク3の位置までの音波の伝搬特性Hdbであ
り、22はスピーカ4の位置からエラーマイク5の位置
までの音波の伝搬特性Hdcである。23は雑音2と消
音信号18との和であるエラー信号である。24はセン
サーマイク3、センサーマイクアンプ6、A/D変換器
10の通過特性を合わせた特性Heaを示し、25はス
ピーカ4、スピーカアンプ7、D/A変換器11の通過
特性を合わせた特性Hebを示し、26はセンサーマイ
ク5、センサーマイクアンプ8、A/D変換器12の通
過特性を合わせた特性Hecを示すものとする。上記H
ea24、Heb25、Hec26の中では、スピーカ
4の特性を含むHeb25が最も帯域が狭いため、ここ
では、Heb25のみの通過特性を考慮し、Hea2
4、Hec26の帯域は十分広いものとして考える。
【0040】図3は、図2に示した電子消音装置の計算
モデルを用いた場合の計算結果を示したものである。図
中、(a)は適応ディジタルフィルタ16の出力Y2
7、ダクト1内での消音レベルSs28、エラー信号S
e29を示し、(b)は消音レベルSsのスペクトル3
0、および、エラー信号のスペクトル31を示し、
(c)は適応ディジタルフィルタ16の出力Yのスペク
トル32、および、消音信号Ya18のスペクトル33
を示している。なお、全て、雑音2の電力を0dBとし
た場合の相対値で示している。Heb25には、400
Hz以下が阻止域となるような特性とし、ディジタルフ
ィルタHhp19には阻止帯域がHeb25と同じで、
阻止量がより大きい特性とした。図16に示した従来の
この種の電子消音装置を用いた場合の計算結果は、図2
に示した計算モデルにて、ディジタルフィルタHhp1
9がない場合の計算結果である。
【0041】この発明の実施例1に係る電子消音装置の
特性の計算結果を示した図3と、従来のこの種の電子消
音装置を用いた場合の計算結果を示した図16とを比較
すると、図3では消音レベル28、および、エラー信号
29が時間の経過とともに、ほぼ一定値に収束している
のに対して、図16では約300×0.2secにて発
散し、適応ディジタルフィルタ16がオーバーフローし
た。図3に示した場合では、ダクト1内の消音レベルS
sの低周波数成分が十分に低減されていなくても、ディ
ジタルフィルタHhp19を通過することにより、適応
ディジタルフィルタ16の演算器LMS17に入力する
エラー信号31の低周波数成分が低減されているため、
適応ディジタルフィルタ16は低周波数成分を増大させ
るように動作しないためである。このため、ディジタル
フィルタHhp19を挿入した適応ディジタルフィルタ
16は、ダクト1内の消音レベルSsが、全ての周波数
域で低減されたのと同じように動作するため、安定な動
作を継続することができる。
【0042】ディジタルフィルタHhp19を挿入する
代わりに、インダクタやコンデンサ等からなるアナログ
フィルタを使用することが考えられるが、アナログフィ
ルタは遮断周波数の近傍にて、群遅延時間が大きく変化
する。このため、このようなフィルタを通過させると、
雑音2のような帯域の広い信号は波形が大きくくずれ、
適応ディジタルフィルタ16の収束安定性が悪くなる。
これに対し、ディジタルフィルタHhp19は、群遅延
時間特性も考慮した設計が可能であり、上記アナログフ
ィルタよりも一定した群遅延時間を実現できる。なお、
以上の説明は、ディジタルフィルタHhp19が、低域
阻止特性を有する場合について示したが、この発明はこ
れに限らず、ディジタルフィルタHhp19の特性は、
電子消音装置を構成する構成要素の性能に応じて、帯域
阻止特性を有する場合や、高域阻止特性を有する場合で
も適応できる。
【0043】実施例2 図4は、この発明の実施例2に係る電子消音装置を示す
図である。図中、演算器LMS17によって決定された
適応ディジタルフィルタ16のタップ係数の修正量に、
窓関数Hgをかける演算器34が挿入されている。35
は雑音2がダクト1の端面で反射して戻ってきた反射
波、36は消音信号18がダクト1の端面で反射して戻
ってきた反射波である。図4では、雑音2の反射波35
と消音信号18の反射波36とを区別して表している
が、実際には、雑音2と消音信号18が同じ方向に伝搬
する場合は、和となった音波として伝搬する。このとき
の適応ディジタルフィルタ16を介した信号の流れにつ
いては、図12にて説明した。
【0044】この発明の実施例2に係る電子消音装置で
は、上記スプリアス41を出すのに必要なタップ係数
を、強制的に修正させる。すなわち、例えば、図2に示
したような動作をする場合の適応ディジタルフィルタ1
6のタップ係数は、図5(a)に示すように、エラーマ
イク5とダクト1端面との往復分の音波の遅延時間Tr
だけ離れた2つのタップ42,43に応答をつくる。こ
れに、図5(b)に示すような窓関数44を乗じたもの
を適応ディジタルフィルタ16のタップ係数として動作
させる。すなわち、図5にて、最初のエラー信号39に
対応した適応ディジタルフィルタ16のタップの応答4
2が、本来、ダクト中を伝搬する雑音37を打ち消すた
めの主応答42であり、遅延時間Taで出力38を発生
させる。しかし、ダクト端面で反射があると、エラー信
号の反射波40に対応したタップの応答43が生じ、ス
プリアス41を発生させる。これに、例えば、図5
(b)に示すような矩形の窓関数Hg(k)44を用
い、主応答42では値が1で、スプリアス43では値が
零になるようにし、適応ディジタルフィルタ16のタッ
プ係数Wkに、窓関数Hg(k)を乗じたものを、実際
の適応ディジタルフィルタ16のタップ係数として用い
ると、スプリアス41を発生させるタップの応答43が
なくなり、適応ディジタルフィルタ16は、ダクト1端
面での反射がない場合と同じように動作する。図5に示
した演算器Hg34は、上記のような、適応ディジタル
フィルタ16のタップ係数Wkに、窓関数Hg(k)を
乗じる演算を行う。
【0045】図6は、図2に示したのと同様の方法を用
いて、ダクト1端面での反射を考慮した場合の電子消音
装置の特性を計算したものである。(a)は、雑音2と
消音信号18との和である消音レベルのスペクトルであ
り、破線が従来のこの種の電子消音装置におけるスペク
トル45、実線が矩形の窓関数を用いて適応ディジタル
フィルタ16を動作させたこの発明の第2の実施例に係
る電子消音装置のスペクトル46である。同様に、
(b)は演算器LMS17に入力するエラー信号のスペ
クトルであり、破線が従来のこの種の電子消音装置にお
けるスペクトル47、実線が矩形の窓関数を用いて適応
ディジタルフィルタ16を動作させたこの発明の第2の
実施例に係る電子消音装置のスペクトル48である。ど
ちらの場合も、実線で示す矩形の窓関数を用いた場合の
方が、破線よりも10dB程度レベルが低く、より大き
な消音効果を得ることができる。
【0046】なお、以上の説明は、窓関数が矩形の場合
について示したが、この発明はこれに限らず、タップ番
号によって値が徐々に変化するような窓関数や、特定の
タップ番号のみの値を小さくするような窓関数を用いて
もよい。
【0047】実施例3 図7はこの発明の実施例3に係る電子消音装置を示す図
であり、図8はこの発明の実施例3に係る電子消音装置
を示すフローチャートである。この発明の実施例3に係
る電子消音装置では、ディジタルフィルタHer14、
Hcr15や適応ディジタルフィルタ16等により電子
消音装置が構成されるのは、従来のこの種の電子消音装
置と同じである。しかし、この発明の実施例3に係る電
子消音装置では、図7中のディジタルフィルタHer1
4から適応ディジタルフィルタ16へ向かう2重線で表
される矢印にて示すように、電子消音装置の起動時、お
よび、適応ディジタルフィルタ16がオーバーフロー等
の障害を生じた場合に、ディジタルフィルタHer14
のタップ係数を適応ディジタルフィルタ16に代入す
る。
【0048】ディジタルフィルタHer14は、適応デ
ィジタルフィルタ16の出力から、D/A変換器11、
スピーカ4、ダクト1、センサーマイク3等を経て、適
応ディジタルフィルタ16の入力に至るまでの特性に設
定されているのに対し、適応ディジタルフィルタ16の
収束した状態での特性は、センサーマイク3の位置から
スピーカ4の位置までのダクト1の特性と、センサーマ
イク3、センサーマイクアンプ6、A/D変換器10の
特性と逆の特性と、スピーカ4、スピーカアンプ7、D
/A変換器11の特性と逆の特性とに対応している。こ
れらの中で、電気回路の部分での遅延時間は、ダクト1
中での音波の伝搬遅延時間に比べて、はるかに小さいの
で、遅延時間の点で、ディジタルフィルタHer14の
特性と、適応ディジタルフィルタ16の特性との差は、
ダクト1内を伝搬する音波がセンサーマイク3からスピ
ーカ4に向かう場合の伝搬速度と、その逆に伝搬する場
合の伝搬速度との差に依存する。帯域については、電子
消音装置を構成する要素の中で、最も帯域が狭いと思わ
れるスピーカ4の帯域が、実質的に、電子消音装置の動
作帯域となる。ディジタルフィルタHer14の帯域
は、ほぼスピーカ4の帯域が支配的となり、適応ディジ
タルフィルタ16の帯域は、上記のように、スピーカ4
の帯域が実質的な動作帯域となるため、ディジタルフィ
ルタHer14と適応ディジタルフィルタ16とは、ほ
ぼ帯域は同じである。
【0049】図9は、この発明の実施例3に係る電子消
音装置の起動後のエラー信号の計算結果を示したもので
ある。図中、49は、起動時に適応ディジタルフィルタ
16にディジタルフィルタHer14のタップ係数を代
入した場合の起動直後0.2秒間のエラー信号Seを示
し、50は起動時に適応ディジタルフィルタ16にディ
ジタルフィルタHer14のタップ係数を代入した場合
の起動25.6秒後0.2秒間のエラー信号Seを示し
ている。さらに、51は、従来のこの種の電子消音装置
における起動直後0.2秒間のエラー信号Seを示し、
52は、従来のこの種の電子消音装置における起動2
5.6秒後0.2秒間のエラー信号Seを示している。
横軸は、センサーマイク4からエラーマイク6の方向に
流れる風の風速であり、縦軸は、入力雑音2に対するエ
ラー信号の電力相対値である。ここで行った計算では、
スピーカ4等の構成要素の帯域を限定していないので、
エラー信号レベルは、ほぼ消音レベルに等しい。
【0050】図9を見ると、風速が10(m/sec)
以下の場合では、ディジタルフィルタHer14のタッ
プ係数を代入した場合の起動直後のエラー信号49は、
従来のこの種の電子消音装置のエラー信号51よりも、
エラー信号レベルが低い。さらに、25.6秒後のエラ
ー信号レベルを見ても、ディジタルフィルタHer14
のタップ係数を代入することによって、エラー信号レベ
ルが劣化することもない。実際のダクト1では、送風時
の風速は5(m/sec)程度であり、10(m/se
c)を超えることは希であるから、起動時、および、オ
ーバーフロー等の障害発生時に、ディジタルフィルタH
er14のタップ係数を、適応ディジタルフィルタ16
に代入する方法は、電子消音装置の消音レベルを低く保
つのに有効である。
【0051】図10(a)は、風速5(m/sec)に
て、起動時に適応ディジタルフィルタ16に、ディジタ
ルフィルタHer14のタップ係数を代入した場合の消
音レベル計算結果である。ディジタルフィルタHer1
4、および、Hcr15には、無風時の特性を用いた。
図中、53は消音レベル、54はエラー信号であり、グ
ラフ左端のエラー信号54値が、図9における風速5
(m/sec)のエラー信号49であり、右端のエラー
信号54値が、図9における風速5(m/sec)のエ
ラー信号50である。55は適応ディジタルフィルタ1
6の出力である。
【0052】図10(b)は、風速5(m/sec)に
て、起動時に適応ディジタルフィルタ16のタップ係数
を全て初期化した場合、すなわち、従来のこの種の電子
消音装置の消音レベル計算結果である。図中、56は消
音レベル、57はエラー信号であり、グラフ左端のエラ
ー信号57値が、図9における風速5(m/sec)の
エラー信号51であり、右端のエラー信号57値が、図
9における風速5(m/sec)のエラー信号52であ
る。58は適応ディジタルフィルタ16の出力である。
【0053】図10(a)に示したこの発明の実施例3
に係る電子消音装置の消音レベル53と、図10(b)
に示した従来のこの種の電子消音装置の消音レベル56
とを比べれば明かなように、図10(a)に示した消音
レベルは、起動直後から−7dB以下の十分な消音効果
を示しているが、従来のこの種の電子消音装置では、起
動後、1,2秒間は消音レベルが−数dB程度の消音効
果しか得られない。適応ディジタルフィルタ16に障害
が発生した場合には、図10(a)(b)に示したよう
な消音レベルの変化を示すため、この発明の実施例3に
係る電子消音装置では、適応ディジタルフィルタ16に
障害が発生した場合でも安定した消音レベルを実現する
ことができる。
【0054】なお、以上の説明は、ディジタルフィルタ
Her14のタップ係数を、適応ディジタルフィルタ1
6のタップ係数に代入する場合について説明したが、こ
の発明はこれに限らず、あらかじめ用意したディジタル
フィルタHer14のタップ係数とは別のタップ係数を
代入しても効果は同じである。また、以上の説明は、図
13に示したフローチャートでの順序にしたがって示し
たが、この発明はこれに限らず、電子消音装置の動作順
序は図13に示した順序と異なっていても効果は同じで
ある。
【0055】なお、この発明の第1の実施例、第2の実
施例、第3の実施例での説明は、演算器17がLMS法
により適応ディジタルフィルタ16のタップ係数を修正
する場合について示したが、この発明はこれに限らず、
適応ディジタルフィルタ16のタップ係数の修正法は、
MAE(mean absolute error)
法、MZF(modified zero−forci
ng)法、巡回型LMS法、判定帰還法、巡回最小自乗
誤差(RLS)法等の他の修正法を用いても効果は同じ
である。また、ディジタルフィルタHer14、ディジ
タルフィルタHcr15、ディジタルフィルタHhp1
9、適応ディジタルフィルタ16には、FIR(有限長
インパルス応答)フィルタを用いた場合を示したが、こ
の発明はこれに限らず、IIR(無限長インパルス応
答)フィルタを用いた場合、あるいは、FIRフィルタ
とIIRフィルタを混合させて用いた場合でも効果は同
じである。
【0056】さらに、以上の説明は、それぞれ、第1の
発明、第2の発明、第3の発明を適用した場合について
示したが、この発明はこれに限らず、第1の発明と第2
の発明の両方を適用した場合、第2の発明と第3の発明
の両方を適用した場合、第1の発明と第3の発明の両方
を適用した場合、第1の発明と第2の発明と第3の発明
を全て適用した場合でもそれぞれの効果は同じである。
【0057】さらに、この発明の電子消音装置のディジ
タル信号処理器は、汎用のマイクロプロセッサやディジ
タルシグナルプロセッサを用いて、ソフトウェアによっ
て各フィルタ機能を実現しても、各フィルタに対応した
ハードウェアによってフィルタ機能を実現しても効果は
同じである。
【0058】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれ
ば、雑音と、雑音を消すために適応ディジタルフィルタ
により作られた消音信号との和信号を、ディジタルフィ
ルタにより帯域制限してから、適応ディジタルフィルタ
のタップ係数の修正に用いることにより、演算器に入力
するエラー信号の低周波数成分が遮断され、適応ディジ
タルフィルタが低周波数成分を増大させることなく動作
するため、安定に動作する電子消音装置を得ることがで
きる。
【0059】請求項2の発明によれば、適応ディジタル
フィルタのタップ係数に、窓関数をかけて動作させるこ
とにより、反射波の到達時間に対応したタップの値を強
制的に変えることにより、適応ディジタルフィルタが反
射波の到達する時間では応答を示さないようにすること
ができ、ダクトの送風口等で雑音の反射があっても、十
分に低い消音レベルを得ることができる電子消音装置を
得ることができる。
【0060】請求項3の発明によれば、オーバーフロー
等の安定動作を失ったときに、適応フィルタにより作ら
れた消音信号が、再び適応ディジタルフィルタに戻って
ハウリングを生じるのを防止するために挿入したディジ
タルフィルタのタップ係数を、適応ディジタルフィルタ
のタップ係数の初期値として用いることにより、オーバ
ーフロー等により適応ディジタルフィルタが正常な動作
を行えなくなった場合でも、消音動作を継続することが
できる電子消音装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1を示す図である。
【図2】図1に示した実施例1の特性を計算するための
構成図である。
【図3】この発明の実施例1の特性を示す図である。
【図4】この発明の実施例2を示す図である。
【図5】この発明の実施例2における端面反射波と窓関
数の関係を説明する図である。
【図6】この発明の実施例2の消音レベルを、従来のこ
の種の電子消音装置の場合と比較した図である。
【図7】この発明の実施例3を示す図である。
【図8】この発明の実施例3におけるフローチャートを
示す図である。
【図9】この発明の実施例3の消音レベルを、従来のこ
の種の電子消音装置の場合と比較した図である。
【図10】この発明の実施例3の消音レベルの時間変化
を、従来のこの種の電子消音装置の場合と比較した図で
ある。
【図11】従来のこの種の電子消音装置を示す図であ
る。
【図12】従来のこの種の電子消音装置を示す図であ
る。
【図13】従来のこの種の電子消音装置のフローチャー
トを示す図である。
【図14】適応ディジタルフィルタの基本構成を示す図
である。
【図15】ディジタルフィルタの内部動作を示す図であ
る。
【図16】従来のこの種の電子消音装置の特性を示す図
である。
【図17】従来のこの種の電子消音装置におけるダクト
端面からの反射による誤動作を説明する図である。
【符号の説明】
1 ダクト 2 雑音 3 センサーマイク 4 スピーカ 5 エラーマイク 6 センサーマイクアンプ 7 スピーカアンプ 8 エラーマイクアンプ 9 コントローラ 10 アナログ−ディジタル変換器 11 ディジタル−アナログ変換器 12 アナログ−ディジタル変換器 13 ディジタル信号処理器 14 ディジタルフィルタ 15 ティジタルフィルタ 16 適応ディジタルフィルタ 17 演算器 18 消音信号 19 ディジタルフィルタ 20 センサーマイクからスピーカまでの音響伝搬路 21 スピーカからセンサーマイクまでの音響伝搬路 22 スピーカからエラーマイクまでの音響伝搬路 23 エラー信号 24 センサーマイクからアナログ−ディジタル変換器
までの特性 25 ディジタル−アナログ変換器からスピーカまでの
特性 26 エラーマイクからアナログ−ディジタル変換器ま
での特性 27 適応ディジタルフィルタ出力 28 消音レベル 29 エラー信号 30 消音レベルのスペクトル 31 エラー信号のスペクトル 32 適応ディジタルフィルタ出力のスペクトル 33 スピーカ出力のスペクトル 34 窓関数を乗じる演算器 35 雑音の反射波 36 消音信号の反射波 37 入力インパルス 38 適応フィルタ出力 39 エラー信号 40 エラー信号の反射波 41 適応フィルタ出力 42 タップの主応答 43 反射波によって生じたタップのスプリアス応答 44 窓関数 45 従来のこの種の電子消音装置の消音レベルのスペ
クトル 46 この発明に係る電子消音装置の消音レベルのスペ
クトル 47 従来のこの種の電子消音装置のエラー信号のスペ
クトル 48 この発明に係る電子消音装置のエラー信号のスペ
クトル 49 この発明に係る電子消音装置の起動直後のエラー
信号 50 この発明に係る電子消音装置の起動25.6秒後
のエラー信号 51 従来のこの種の電子消音装置の起動直後のエラー
信号 52 従来のこの種の電子消音装置の起動25.6秒後
のエラー信号 53 この発明に係る電子消音装置の消音レベル 54 この発明に係る電子消音装置のエラー信号 55 この発明に係る電子消音装置の適応フィルタ出力 56 従来のこの種の電子消音装置の消音レベル 57 従来のこの種の電子消音装置のエラー信号 58 従来のこの種の電子消音装置の適応フィルタ出力 59 遅延線 60 タップ係数 61 加算器
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年12月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】従来のこの種の電子消音装置では、センサ
ーマイク3からスピーカ4に至るまでのダクト1内の特
性から、センサーマイク3、センサーマイクアンプ6、
A/D変換器10、D/A変換器11、スピーカアンプ
7、スピーカ4等の特性を差し引いた特性と逆の特性に
なるように、適応ディジタルフィルタ16は収束してい
た。このため、スピーカ4の動作帯域が、ダクト1中を
伝搬する雑音2の帯域よりも狭い場合、例えば、スピー
カ4が数百Hzよりも低い周波数の音を励振できず、か
つ、ダクト1中を伝搬する雑音2は数百Hz以下の周波
数成分も有する場合には、適応ディジタルフィルタ16
は、雑音2の数百Hz以下の周波数成分打ち消すため
に、数百Hz以下の周波数成分が強く励振されるような
特性に変化していく。これは、雑音2と消音信号18と
の和信号は、数百Hz以下の低い周波数成分を常に有す
ることになるためである。しかし、スピーカ4からは、
数百Hz以下の周波数成分は励振されないため、適応フ
ィルタ16は、上記低周波数成分をより強く励振するよ
うに変化し、最終的に、オーバーフローを起こし、正常
な動作を続行できなくなる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永塚 勉 鎌倉市大船五丁目1番1号 三菱電機株式 会社電子システム研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディジタル回路を用いて、適応制御によ
    り雑音を消す電子消音装置において、雑音と、雑音を消
    すために適応フィルタにより作られた消音信号との和信
    号に、ディジタルフィルタにより帯域制限した信号を用
    いて、適応フィルタのタップ係数の修正量を決定するこ
    とを特徴とする電子消音装置。
  2. 【請求項2】 ディジタル回路を用いて、適応制御によ
    り雑音を消す電子消音装置において、適応フィルタの各
    タップ係数に、窓関数をかけて、適応制御を行うことを
    特徴とする電子消音装置。
  3. 【請求項3】 ディジタル回路を用いて、適応制御によ
    り雑音を消す電子消音装置において、起動時、または、
    適応フィルタが安定動作を失った時に、適応フィルタに
    より作られた消音信号が再び適応フィルタに戻ってハウ
    リングを生じるのを防止するために挿入したディジタル
    フィルタのタップ係数を用いて適応フィルタを動作させ
    るように処理することを特徴とした電子消音装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2003030147A1 (en) * 2001-09-28 2003-04-10 Takenaka Corporation Noise reduction apparatus
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WO2017033466A1 (ja) * 2015-08-27 2017-03-02 パナソニックIpマネジメント株式会社 フィルタ装置
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