JPH07721B2 - フッ素ゴム組成物 - Google Patents

フッ素ゴム組成物

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JPH07721B2
JPH07721B2 JP33019088A JP33019088A JPH07721B2 JP H07721 B2 JPH07721 B2 JP H07721B2 JP 33019088 A JP33019088 A JP 33019088A JP 33019088 A JP33019088 A JP 33019088A JP H07721 B2 JPH07721 B2 JP H07721B2
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博 武井
隆一 半田
靖 山本
登 島本
滋久 曽根川
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、フッ素ゴム組成物に関する。
〔従来の技術〕
フッ素ゴムは、耐熱性、耐薬品性及び電気的特性に優
れ、車両、電気機器、航空機等の各種の産業分野で広く
利用されている。しかし、フッ素ゴム又はフッ素ゴムを
主成分とする組成物の成形品は、その機械的強度、特に
高温における強度が必ずしも十分でないため使用温度範
囲が制限されるという欠点を有している。そのため、フ
ッ素ゴムにポリフッ化ビニリデン系樹脂や各種の無機充
填剤を配合した組成物が提案されている。また、フッ素
ゴムの各種物性を向上させるために、他のゴム、例え
ば、アクリロニトリル系ゴム、シリコーンゴム、フルオ
ロシリコーンゴム等を配合した組成物が提案されてい
る。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、上記のポリフッ化ビニリデン系樹脂や無機充填
剤を配合して得られる組成物は、耐熱性、電気的特性等
が劣るという欠点がある。また、他のゴムを配合してな
る組成物においては、配合された他のゴムとフッ素ゴム
の間の相剥離性、親和性及び共架橋性に問題があり、し
かも十分な機械的強度が得られないという欠点があっ
た。
そこで本発明の目的は、フッ素ゴムが本来有する優れた
耐熱性、耐薬品性及び電気的特性を有するとともに、十
分な機械的強度、特に高温時に高い伸びと引張り強度を
示し、熱収縮チューブ用等の熱収縮成形品の材料として
好適なフッ素ゴム組成物を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、上記課題を解決するものとして、 (A)フッ素ゴム (B)ポリフッ化ビニリデン系樹脂、及び (C)一般式(I): 〔式中、複数のR1は同一でも異なってもよく、水素原
子、炭素原子数1〜15の置換もしくは非置換の1価の炭
化水素基を示し、あるいは同一の炭素原子に結合した2
つのR1は結合して式: CH2 (ここで、lは4〜7の整数である) で表される2価と炭化水素を示し、複数のR2は同一でも
異なってもよく、置換もしくは非置換の1価の炭化水素
基であり、nは0〜10の整数である〕 で表される有機ケイ素化合物からなる加硫剤 を含むフッ素ゴム組成物を提供するものである。
本発明の組成物の(A)成分であるフッ素ゴムは、例え
ば、フッ化ビニリデン及び四フッ化エチレンから選ばれ
る少なくとも1種と、これらの共重合可能なフッ素化単
量体との共重合体等のポリアミン加硫に供することがで
きるものである。前記のフッ化ビニリデン等と共重合可
能なフッ素化単量体としては、例えば、トリフルオロエ
チレントリフルオロメチルエーテル等の側鎖にエーテル
結合を持つオレフィン類;六フッ化プロピレン、トリフ
ルオロエチレン、モノクロルトリフルオロエチレン等の
フッ化オレフィン類;パーフルオロブチルエチレン(C4
F9CH=CH2)、パーフルオロヘキサエチレン(C6F13CH=
CH2)、パーフルオロオクタエチレン(C6F17CH=CH2
等のフッ化アルキル基を有するオレフィン類などが挙げ
られる。(A)成分のフッ素ゴムの具体例としては、デ
ュ・ポン社製のVITON Aタイプ、Bタイプ及びGタイ
プ;3M社製のフローレルFC−2145、FC−2230、FC−226
0、FLS−2690;ダイキン工業社製のダイエルG−201、G
−501、G−801、G−901、G−902、G−912、G−100
1;旭硝子社製のアフラス200シリーズ、150シリーズ、10
0シリーズ等の名称で市販されているものが挙げられ
る。
本発明の組成物の(B)成分であるポリフッ化ビニリデ
ン系樹脂は、フッ化ビニリデンの単独重合体、フッ化ビ
ニリデンとフッ化ビニリデンと共重合可能な他の化合物
との共重合体が挙げられる。このフッ化ビニリデンと共
重合可能な他の化合物としては、例えば、塩化ビニル
(VC)、酢酸ビニル、ビニルアルコール、ヨウ化ビニ
ル、臭化ビニル、フッ化ビニル等のビニル系単量体;塩
化ビニリデン(VdCl)、ヨウ化ビニリデン、臭化ビニリ
デン等のビニリデン系単量体;エチレン(Et)、プロピ
レン(Pr)、四フッ化エチレン(TFE)、三フッ化塩化
エチレン(CTFE)、イソブチレン、トリクロルエチレ
ン、テトラクロルエチレン等のオレフィン系単量体;メ
タクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル、メタ
クリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル等の(メ
タ)アクリル酸系単量体;パーフルオロアルキルパーフ
ルオロビニルエーテル、アルキル−フルオロビニルエー
テル、エチルビニルエーテル等のエーテル系単量体;又
は四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FE
P)、あるいはこれらの誘導体などが挙げられる。この
フッ化ビニリデン系樹脂は、得られる組成物を熱収縮性
成形品に成形する場合、実用上の点から、軟化点が80〜
200℃のものが好ましい。
本発明の組成物における(B)成分の使用量は、通常、
(A)成分であるフッ素ゴム100重量部に対して、5〜1
00重量部、好ましくは10〜60重量部である。(B)成分
の使用量が少なすぎると得られる組成物の成形品の変形
記憶性が満足できるレベルに達せず、多すぎると得られ
る組成物の成形品のゴム弾性が低下し、また変形復元力
が弱くなる。
本発明の組成物の(C)成分である加硫剤は、前記一般
式(I)で表される有機ケイ素化合物からなるものであ
る。一般式(I)において、複数のR1は同一でも異なっ
てもよく、水素原子、炭素原子数1〜15の置換もしくは
非置換の1価の炭化水素基、例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、ヘプチル基、フェニル基、フェニルビ
ニル基等を表し;あるいは同一の炭素原子に結合した2
つのR1は結合して式: CH2 (ここで、lは4〜7の整数である) で表される2価と炭化水素基、例えば、ペンタメチレン
基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。これらの中で
も、同一の炭素原子に結合した2つのR1の一方が水素原
子で他方がフェニルビニル基であると、ゴム組成物とし
ての加工温度である50〜200℃において適度の反応速度
が得られるので、特に好ましい。
複数のR2は同一でも異なってもよく、置換もしくは非置
換の1価の炭化水素基、例えば、メチル基、エチル基、
フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、パーフ
ルオロブチルエチレン基(CH2CH2C4F9)等が挙げられ、
又はこれらの加水分解性基、例えば、メトキシ基、エト
キシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;
アセトキシ基;プロピオノキシ基等のアシロキシ基;オ
キシム基;アルキルアミノ基、アリールアミノ基等の置
換アミノ基などが挙げられる。フッ素ゴムとの相溶性を
向上させるためには、ハロゲン化炭化水素基であるのが
好ましく、特に上記に例示のごときフルオロ炭化水素基
が好ましい。nは0〜10の整数、好ましくは0〜5の整
数である。nが10を超える有機ケイ素化合物を加硫剤と
して使用すると硬化後、使用に耐え得るゴム特性を得る
ために(B)成分の使用量を増加させなければならず、
得られる組成物の特性を損なうおそれがある。
本発明の組成物の(C)成分の加硫剤としては、前記一
般式(I)で表される有機ケイ素化合物を1種単独でも
2種以上を組合わせても用いることができる。
本発明の組成物中における(C)成分の加硫剤の使用量
は、通常、(A)成分であるフッ素ゴム100重量部に対
して0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。
また、本発明の組成物においては、加硫剤として(C)
成分の有機ケイ素化合物の他にフッ素ゴムの加硫剤とし
て従来用いられているアミン化合物、例えば、N,N′−
ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン(デ
ュポン社製、商品名:Diak No.3等)、ヘキサメチレン
ジアミンカルバミン酸塩(デュポン社製、商品名:Diak
No.1等)等を併用することもできる。加硫剤として
(C)成分とともに他のアミン化合物を併用する場合、
(C)成分の有機ケイ素化合物が用いられる加硫剤総量
の60%以上を占めるようにすることが本発明の組成物の
特性、特に高収縮率、低収縮率の熱収縮チューブを得る
ためには好ましい。
本発明の組成物には、含フッ素ゴムの加硫に常用される
脱酸剤を配合することができる。この脱酸剤としては、
例えば、酸化マグネシウム、酸化鉛等の金属酸化物;水
酸化カルシウム等の金属水酸化物;エポキシ化合物;有
機スズ化合物;アルカリ土類金属塩などが挙げられ、低
活性である点で酸化マグネシウムが好ましい。
この脱酸剤の使用量は、通常、(A)成分であるフッ素
ゴム100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは10〜2
0重量部である。
本発明の組成物を製造するには、通常、まず前記(A)
成分のフッ素ゴムと、(B)成分のフッ化ビニリデン系
樹脂とを、例えば、ゴム混練用ロール、バンバリーミキ
サー、Zアーム型ニーダー等の混合機を用いて十分に混
合する。次いで、加硫剤として(C)成分の有機ケイ素
化合物及び必要に応じて前記アミン化合物、並びに
(D)成分の脱酸剤を、通常、30〜100℃、好ましくは3
0〜60℃で添加、混合する。加硫剤の添加時の温度が低
すぎると均一な混合が困難であり、温度が高すぎると混
合中に組成物の硬化が始まり、十分な混合が困難となる
おそれがある。また、この加硫剤等の添加に先立って、
(A)成分と(B)成分の混合物を濾過処理すると好ま
しい。この濾過処理は、混合物を例えば、ダイス先端に
60〜200メッシュの篩目を有する金網を備えた押出機を
使用して100〜140℃の温度で加熱押出しすることにより
行うことができる。
以上のようにして得られる本発明の組成物には、必要に
応じて種々の添加剤、例えば、カーボンブラック、シリ
カ、クレー、けい藻土、タルク等の充填剤;ダイキン工
業社製ダイエルG−101等のような比較的低分子量のフ
ッ素ゴム、フッ素変性シリコーンオイル等の可塑剤;各
種加工助剤;ステアリン酸等の脂肪酸、ステアリン酸カ
ルシウム等の脂肪酸金属塩などの滑剤;その他通常フッ
素ゴムに添加される各種の添加剤を添加することもでき
る。これらの添加剤の添加は、加硫剤の添加前もしくは
添加と同時に行えばよい。
本発明のフッ素ゴム組成物は、例えば、圧縮成形、トラ
ンスファー成形、射出成形、押出成形、カレンダー成形
等の各種の成形方法によって成形することができる。こ
れらの成形における成形温度は、通常、120〜250℃であ
る。
本発明の組成物は、成形後、加熱処理することによって
物性をさらに向上させることができる。この加熱処理
は、通常、200℃で10〜48時間加熱することにより行う
ことができる。
本発明の組成物を用いて熱収縮成形品、例えば、熱収縮
チューブを得るためには、押出成形されたチューブ状の
成形品を少なくとも150℃に加熱した状態で、少なくと
も1kg/cm2の内圧力で膨張させた後、100℃以下の温度ま
で冷却して圧力を除圧すればよい。
このようにして得られた本発明の組成物からなる熱収縮
成形品は、100℃以上の温度に再度加熱すると、直ちに
収縮する特性を有し、100℃未満の温度では長時間にわ
たってほとんど収縮しない安定性を有する。
〔実施例〕
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明す
る。なお、以下の説明において「部」は「重量部」を表
す。
実施例1〜3、比較例1 表−1に示す配合処方にしたがって、まず、フッ素ゴム
とポリフッ化ビニリデン系樹脂とをゴム混練用のロール
を用いて混合した。得られた混合物をダイス先端に100
メッシュの金網を備えた押出機を用いて110℃で濾過処
理した。次に、混合物を50℃に冷却し、表−1に示す他
の配合成分を順次、添加しゴム混練用ロールを用いて30
分間混合して組成物を得た。
得られた組成物を圧力200kg/cm2、温度175℃で15分間加
熱、加圧成形して厚さ2mmのシートを作製した。このシ
ートについてJIS K6301にしたがって、25℃での硬度、
並びに25℃及び150℃での引張り強さ、伸び及び100%引
張り応力を測定し、さらに下記の方法にしたがって、保
持率、収縮残率及び収縮率を測定した。結果を表−1に
示す。
保持率 JIS K6301に規定のJIS2号ダンベルでシートを打ち抜い
て試験片を作成し、その中央部に2cmの間隔で2本の標
線を書き入れた。この標線間を250%に伸長した状態の
ままで試験片を治具で固定し150℃の熱風乾燥器中で15
分間加熱した後、室温に冷却し、試験片を治具から外し
て静置した。30分及び24時間経過後の標線間の長さを測
定し、元の長さ(2cm)に対する変形(測定された長さ
−元の長さ)の割合を求め、これを保持率の指標とし
た。
収縮残率 保持率測定後の試験片を200℃で3分間加熱した後、標
線間の長さを測定し、元の長さ(2cm)に対する変形
(測定された長さ−元の長さ)の割合を求め、収縮残率
の指標とした。
収縮率 組成物をチューブ製造用押出機で内径10mm、外径13mmの
チューブに成形した。得られたチューブを圧力5kg/c
m2、温度170℃のスチームで20分間加熱加圧して組成物
を架橋・硬化させ、硬化チューブを作製した。
得られた硬化チューブを200℃の温度に加熱し、1.5kg/c
m2の内圧力で15分間膨張させてから加圧状態のまま室温
に冷却した後、圧力を除いて熱収縮チューブを得た。得
られた熱収縮チューブを150℃で30分間再加熱して収縮
させた後のチューブの内径を測定し、収縮前のチューブ
の内径(10mm)に対する割合(%)を求め、収縮率とし
た。
〔発明の効果〕 本発明のフッ素ゴム組成物は、フッ素ゴムの有する優れ
た耐熱性、耐薬品性及び電気的特性を有するとともに優
れた機械的強度、特に高温時に高い伸びと引張り強度を
有するため、熱延伸工程において成形が容易であり、例
えば、熱収縮チューブ等の熱収縮成形品用材料として好
適である。また、本発明の組成物をこのような熱収縮成
形品の材料として用いると、保持率、収縮変形の記憶保
持効果が高く、収縮残率が低い硬化物を得ることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 83/08 LRY (72)発明者 半田 隆一 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社シリコーン電子材料技術研 究所内 (72)発明者 山本 靖 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社シリコーン電子材料技術研 究所内 (72)発明者 島本 登 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社シリコーン電子材料技術研 究所内 (72)発明者 曽根川 滋久 群馬県安中市磯部2丁目13番1号 信越化 学工業株式会社シリコーン電子材料技術研 究所内 (56)参考文献 特開 平2−88585(JP,A) 特開 平2−173145(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)フッ素ゴム (B)ポリフッ化ビニリデン系樹脂、及び (C)一般式(I): 〔式中、複数のR1は同一でも異なってもよく、水素原
    子、炭素原子数1〜15の置換もしくは非置換の1価の炭
    化水素基を示し、あるいは同一の炭素原子に結合した2
    つのR1は結合して式: CH2 (ここで、lは4〜7の整数である) で表される2価の炭化水素基を示し、複数のR2は同一で
    も異なってもよく、置換もしくは非置換の1価の炭化水
    素基であり、nは0〜10の整数である〕 で表される有機ケイ素化合物からなる加硫剤 を含むフッ素ゴム組成物。
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