JPH0771946B2 - 車輌用燃料供給装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は車輌用燃料供給装置に関する。

（従来技術及びその問題点） 車輌例えば自動二輪車の燃料供給装置は、キャブレタよ
り上位に設置した燃料タンクから重力落下式により当該
キャブレタに燃料を供給するものと、任意位置に設置し
た燃料タンクからポンプにより燃料をキャブレタに送る
ものとがある。

しかしながら前者においては、タンクの容量（大形
化）、形状及びその設置等の設計に制約があり、一方後
者においては、前者に比べてタンクの容量、形状及びそ
の設置位置等の制約は少ないが、車体が倒れてキャブレ
タの浮子室内の燃料が流失してしまった場合には、始動
操作しても燃料が浮子室に溜るまでに時間がかかり、始
動が遅れるという不具合がある。

かかる不具合を解消すべく、キャブレタに重力落下式に
より燃料を供給する第１の燃料タンクに、該第１の燃料
タンクより低位置に設けた第２の燃料タンクからポンプ
で燃料を第１の燃料タンクに汲み揚げるようにし、更に
前記第１の燃料タンク内の液面を一定にするオーバーフ
ローパイプを設けてその下端を第２の燃料タンクに連通
させ、燃料タンクの容積、形状及びその設置位置等の自
由度を増すと共に、前述したようにキャブレタの浮子室
から燃料が流出した場合でも再始動を容易にするように
した燃料供給装置が本出願人により提案されている（特
開昭58−47675号）。

しかしながらこの燃料供給装置は、前記ポンプが前記燃
料タンク外方の離れた位置に配置され、しかも前記ポン
プ、前記第1,第２の燃料タンク間を接続する接続パイプ
の数が多く配管が複雑であるため、部品点数の増加をき
たすばかりでなく、燃料タンクの脱着を含むメンテナン
スがしにくく、手間がかかり、作業性が悪い。更に、前
述の複雑な配管により外観が損われる等の問題がある。

（発明の目的） 本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、燃料タンク
の脱着を含むメンテナンス時の作業性の向上、燃料タン
ク及びポンプ間の配管の簡略化を図ることを目的とす
る。

（発明の概要） 上記目的を達成するために本発明においては、車輌に装
着され上下の縦長形状の第１の燃料タンク内上部に該第
１の燃料タンクと区画して当該第１の燃料タンクよりも
小さい第２の燃料タンクを設け、該第２の燃料タンクの
下部にキャブレタに燃料を供給するパイプの一端を連通
接続し、前記第１の燃料タンクに当該第１の燃料タンク
の下部から前記第２の燃料タンクに燃料を汲み揚げる負
圧式燃料ポンプを前記第１の燃料タンク下部外側部に設
けた凹部に配設すると共に、該凹部の外側を覆うカバー
を設け、前記凹部の内側に前記第１の燃料タンクを貫通
する穴を開け、該穴にエンジンの負圧発生部に接続され
るポンプの負圧導入パイプを挿通したことを特徴とする
車輌用燃料供給装置を提供するものである。

（発明の実施例） 以下本発明の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。

第１図は本発明の燃料供給装置を適用した自動二輪車の
一部省略外観図を示し、エンジン１はフレーム２の略中
央に搭載され、燃料タンク３はフレーム２のメインパイ
プ４を跨いでヘッドパイプ５とシート６との間に配置さ
れている。エンジン１の排気管７はフレーム２の前方に
わずかに突出して弯曲し、当該フレーム２の一側例えば
右側略中央且つ燃料タンク３の右側のタンク3a（第２
図）の下方を経て車体の後方に延出している。

フロントフォーク8,8′の各上端はヘッドパイプ５に回
動可能に軸支され、上端にフォークトップブリッジを介
してハンドルパイプが装着されるステアリングシステム
（いずれも図示せず）に嵌合装着され、各下端には前輪
９が回転可能に軸支される。リヤフォーク10の前端はフ
レーム２の後部下端に揺動可能に軸支され、略中央より
前側上部は緩衝器11を介してリヤフレーム（図示せず）
に支承され、後端には後輪12が回転可能に軸支される。
エンジン１の出力は当該エンジン１の出力軸に装着され
たスプロケット及び後車軸に装着されたスプロケットに
掛回されたチェーン（いずれも図示せず）を介して後車
輪12に伝達される。

燃料タンク（第１の燃料タンク）３は第２乃至第３図に
示すように構成されている。当該燃料タンク３は略鞍型
をなし、車体の一側例えば左側のタンク3bが他側（右
側）のタンク3aよりも垂下して上下方向に縦長の形状を
なしている。これらの右側のタンク3aと左側のタンク3b
は後部において互いに連通している。

左側のタンク3bの側壁3dの下部略中央には凹部3eが設け
られている。タンク３の内側壁3nと凹部3eの端面3fとは
離隔対向し、これら両者間には空隙が形成されている。
凹部3eの端面3fの略中央には端面3fから内側壁3nに貫通
する小孔3gが形成され、凹部3eの上壁3h、下壁3iの所定
箇所には左側のタンウ3b内に連通する小孔3k,3mが夫々
穿設されている。小孔3gの周壁により左側のタンク3bの
下部3cの強度（剛性）が向上する。

凹部3e内にはポンプ例えば負圧式燃料ポンプ15が配設さ
れ、ボルト16（第２図）により端面3fに螺着固定されて
いる。このポンプ15の吸入口15aは凹部3eの下壁3iに穿
設された小孔3mに液密に嵌挿固着されたパイプ17の一端
に連通接続され、該パイプ17の他端17aは第２図に示す
ように弯曲して左側のタンク3bの下部3cに開口してい
る。

ポンプ15の吐出口15bは凹部3eの上壁3hに穿設された小
孔3kに液密に嵌挿固着されたパイプ18の一端に連通接続
され、該パイプ18の他端18aは弯曲して後述する第２の
燃料タンク20内に開口している。

ポンプ15の負圧取入口15cは凹部3eの孔3g内を遊嵌する
パイプ19の一端に連通接続され、該パイプ19の他端は第
１図に示すようにエンジン１のクランクケース内に連通
接続されている。

左側のタンク3b内の略中央には第２の燃料タンク（以下
サブタンクという）20が設けられ、このサブタンク20の
一側壁及び後壁は燃料タンク３の内側壁3n及び後壁と共
用している。このサブタンク20は左側のタンク3bと画成
されて独立しており、上壁には孔20aが穿設されてい
る。該孔20a内を遊嵌して前記パイプ18の他端18aが当該
サブタンク20内に開口している。

フューエルコック22（第２図）はサブタンク20の下部に
配設され、その吸入口22aは当該サブタンク20の下部に
開口し、吐出口22bは送油パイプ23を介してキャブレタ2
4（第１図）に接続される。

カバー25は左側のタンク3bの側壁3dの下部に装着され、
側壁3dの所定箇所に穿設されたねじ穴3p（第２図）に螺
合するボルト26（第１図）により当該側壁3dの下部に螺
着され、ポンプ15を覆う。これにより、衝撃や粉塵等か
らポンプ15を保護することができると共に、ポンプ15、
各パイプ17,18,19等が外から見えなくなり、外観美も向
上する。

（作用） 次に上記構成の燃料供給装置の作用について説明する。

エンジン１を始動させると、当該エンジン１の回転に伴
ないクランク室内が間欠的に負圧となり、この間欠的な
負圧によりポンプ15が作動し、左側のタンク3bの下部3c
の燃料をパイプ17の他端17aから汲み揚げ、パイプ18の
他端18aからサブタンク20内に吐出する。サブタンク20
内の燃料が満杯になったときには孔20aから左側のタン
ク3b内に流入する。

このサブタンク20内の燃料は当該サブタンク20の下部に
開口するフューエルコック22の吸入口22aから重力によ
り流出し、当該フューエルコック22、パイプ23を介して
キャブレタ24の浮子室に供給される。このようにして左
側のタンク3b、即ち燃料タンク３内の燃料はほとんどな
くなるまでサブタンク20に汲み揚げられ、キャブレタ24
に供給される。

また車体が倒れた場合でもサブタンク20内の燃料はその
全量がタンク３内に流出することがなく、従って、当該
サブタンク20内に残っている燃料によりエンジン１を再
始動することが可能である。

なお、本実施例において自動二輪車に適用した場合につ
いて記述したが、これに限るものではなく、他の車輌例
えば３輪、４輪の鞍乗り型バギー車等に適用し得ること
は勿論である。

（発明の効果） 以上詳述したように本発明によれば、車輌に装着され上
下の縦長形状の第１の燃料タンク内上部に該第１の燃料
タンクと区画して当該第１の燃料タンクよりも小さい第
２の燃料タンクを設け、該第２の燃料タンクの下部にキ
ャブレタに燃料を供給するパイプの一端を連通接続し、
前記第１の燃料タンクに当該第１の燃料タンクの下部か
ら前記第２の燃料タンクに燃料を汲み揚げる負圧式燃料
ポンプを前記第１の燃料タンク下部外側部に設けた凹部
に配設すると共に、該凹部の外側を覆うカバーを設け、
前記凹部の内側に前記第１の燃料タンクを貫通する穴を
設け、該穴にエンジンの負圧発生部に接続されるポンプ
の負圧導入パイプを挿通したので、第１、第２の燃料タ
ンクとポンプ間を接続する接続パイプの数が低減され、
配管が極めて簡単になり、組付性が向上し、外観美も向
上する。また燃料タンクの脱着を含むメンテナンスが容
易となり、作業性が向上する等の効果がある。

更に、負圧供給源がエンジン自体の吸気行程で生起する
負圧発生を利用できるから、省エネルギーとなるばかり
でなく特別の機構が不必要となりコスト低下が図れると
共に、負圧導入パイプの配管長が短くなるし配管作業が
容易となり、負圧導入パイプが外部へ露出しないため、
負圧導入パイプの耐久性が向上するし外観美も向上する
効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の燃料供給装置を適用した自動二輪車の
一部省略外観図、第２図は本発明に係る燃料タンクの左
側面図、第３図は第２図の矢線III−III断面図である。 ３……第１の燃料タンク、15……ポンプ、20……第２の
燃料タンク、24……キャブレタ。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−97577（ＪＰ，Ａ) 実開 昭58−139292（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車輌に装着され上下の縦長形状の第１の燃
   料タンク内上部に該第１の燃料タンクと区画して当該第
   １の燃料タンクよりも小さい第２の燃料タンクを設け、
   該第２の燃料タンクの下部にキャブレタに燃料を供給す
   るパイプの一端を連通接続し、前記第１の燃料タンクに
   当該第１の燃料タンクの下部から前記第２の燃料タンク
   に燃料を汲み揚げる負圧式燃料ポンプを前記第１の燃料
   タンク下部外側部に設けた凹部に配設すると共に、該凹
   部の外側を覆うカバーを設け、前記凹部の内側に前記第
   １の燃料タンクを貫通する穴を設け、該穴にエンジンの
   負圧発生部に接続されるポンプの負圧導入パイプを挿通
   したことを特徴とする車輌用燃料供給装置。