JPH0771386A - スクロ−ル型流体機械 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、ドライブブッシュに影響されず、回
転軸の偏心ピン側の端部を支持する軸受に十分な給油が
行えるスクロ−ル型流体機械を提供する。 【構成】回転シャフト７の外周に形成される給油溝５５
を、回転シャフト７の外周面のうち、負荷を受ける側と
は反対側で、かつドライブブッシュ２５の外径から外れ
た位置（範囲Ｌ）に設けた。これにより、給油溝５５の
出口５５はドライブブッシュ２５の端面で塞がれず、か
つ給油性の低下を最少限に抑えられる。それ故、給油溝
５５を通じ、軸受２６に対して十分に給油が行われるよ
うになる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、旋回スクロ−ルと固定
スクロ−ルとを組合わせて構成される圧縮機、膨脹機と
いったスクロ−ル型流体機械に関する。

【０００２】

【従来の技術】空気調和装置では、効率の良い圧縮がで
きるとの利点から、近時、スクロ−ル型圧縮機（スクロ
−ル型流体機械）が採用されてきている。スクロ−ル型
圧縮機は、図５および図６に示されるように端板ａに渦
巻状のラップｂを有してなる固定スクロ−ルｄと、同様
に端板ｅに渦巻状のラップｆを立設してなる旋回スクロ
−ルｇとを組合わせたスクロ−ル式の圧縮機部ｈを有し
て構成される。

【０００３】詳しくは、圧縮機部ｈは、両スクロ−ル
ｄ，ｇを、各ラップｂ，ｆ同志が、所定角度、ずらして
相互に噛み合うように組合わせて、ラップ間に圧縮工程
を行わせるための密閉空間ｉを構成する構造となってい
る。

【０００４】従来、この密閉空間ｉの容積の可変には、
旋回スクロ−ルｇの端板ｅの背面中央部に筒形のボス部
ｊを突設し、このボス部ｊ内に、回転シャフトｋ（回転
軸）の軸端から突出する偏心ピンｍを摺動自在に嵌める
構造が採用されている。

【０００５】すなわち、回転シャフトｋから伝えられる
回転力で、旋回スクロ−ルｇを固定スクロ−ルｄの軸心
回りに公転旋回させることにより、密閉空間ｉの容積は
周側から中央に向かうにしたがい、次第に減少するよう
になっていて、同容積の変化を利用して、ガスを圧縮す
るようにしている。

【０００６】なお、旋回スクロ−ルｇには、図示はして
いないが同旋回スクロ−ルｇの自転を規制するオルダム
リングなどの自転阻止機構が設けられる。ところで、こ
うしたスクロ−ル型圧縮機では、旋回スクロ−ルｇの旋
回半径を可変とすることが行われている。

【０００７】すなわち、スクロ−ル型圧縮機は、通常、
回転シャフトｋの偏心ピンｍ側の端部が軸受ｎで回転自
在に支持されているが、この状態でラップ間における半
径方向の隙間が０になるように旋回スクロ−ルｇの偏心
量に設定すると、固定スクロ−ルｄおよび旋回スクロ−
ルｇの形状精度によっては、上記軸受ｎに無理な力を与
えてしまうからである。

【０００８】旋回半径を可変する構造には、図５および
図７に示されるように筒形のドライブブッシュｏをボス
部ｊ内に嵌装させ、このドライブブッシュｏに偏心ピン
ｍを嵌挿して、旋回スクロ−ルｇの偏心量を可変させる
ことが行われている。

【０００９】すなわち、偏心ピンｍの外周には、平面部
で形成されるドライブ面ｐが形成してある。またドライ
ブブッシュｏは、ボス部ｊ内に嵌挿可能な外形をなして
いる。このドライブブッシュｏ内には、径方向に延びる
平面部ｒが内周の一部に形成してなるスライド孔ｓが穿
設されている。このスライド孔ｓは、偏心ピンｍより若
干大きく設定してある。

【００１０】このドライブブッシュｏは、ボス部ｊ内に
旋回軸受ｔを介して回転自在に嵌挿される。そして、こ
のドライブブッシュｏのスライド孔ｓには、上記偏心ピ
ンｍが、平面同志が組合うようにして嵌挿され、偏心ピ
ンｍとスライド孔ｓとの組合わせにより、偏心ピンｍを
ボス部ｊに対し、径方向にスライド可能で、かつ回転し
ないにように接続させている。

【００１１】この構造により、旋回スクロ−ル旋回時、
発生するガス負荷と遠心力との合成力の分力によって、
旋回スクロ−ルｇを側方から固定スクロ−ルｄへ押付
け、運転中、ラップ間の半径方向の隙間が常に０になる
ようにしてある。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】スクロ−ル形圧縮機で
は、回転シャフトｋと軸受ｎとの摺接部分の潤滑には、
図５および図８に示されるように回転シャフトｋの軸心
に油ポンプ（図示しない）と連通する給油孔ｕを形成
し、軸受ｎと対向する回転シャフトｋの外周面に同偏心
ピン側の端部に向かって延びる直線状の給油溝ｖを形成
し、油ポンプで圧送される油を給油孔ｕから給油溝ｖに
流通させて、軸受ｎの摺接部分を潤滑することが行われ
ている。

【００１３】詳しくは、給油溝ｖは、出口ｗが偏心ピン
側となる回転シャフトｋの軸端に開口し、入口ｘが上記
給油孔ｕに、上記回転シャフトｋの半径方向に延びた連
絡孔ｙを介して連通していて、油ポンプから吐出される
油が給油孔ｕ、連絡孔ｙ、給油溝ｖを流れることによ
り、軸受ｎに対して給油するようにしている。

【００１４】ところで、従来より、給油溝ｖは、給油性
に優れるとの配慮から、図８に示されるように回転シャ
フトｋの荷重（負荷）を受ける方向に対して、１８０°
反対側の位置に一義的に設けていた。

【００１５】ところが、この位置は、偏心ピンｋと嵌合
するドライブブッシュｏの影響を受けやすい。すなわ
ち、ドライブブッシュｏの端面で給油溝ｖの出口Ｗを塞
いでしまうことがある。

【００１６】特に、外径が大きなドライブブッシュｏを
用いる場合、給油溝ｖの出口ｗは、ドライブブッシュｏ
の端面で完全に塞がれてしまう。こうしたことが起きる
と、給油溝ｖには油が流れ難くなってしまい、軸受ｎに
十分な給油ができないおそれがある。

【００１７】本発明は、このような事情に着目してなさ
れたもので、その目的とするところは、ドライブブッシ
ュに影響されずに、偏心ピン側の端部を支持する軸受に
十分な給油ができるスクロ−ル型流体機械を提供するこ
とにある。

【００１８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のスクロ−ル型流体機械は、給油溝を、回転
軸の外周面のうち、負荷を受ける側とは反対側で、かつ
ドライブブッシュの外径から外れた位置に設けたことに
ある。

【００１９】

【作用】本発明のスクロ−ル型流体機械によると、給油
溝の出口は、ドライブブッシュの端面で塞がれることは
なくなる。しかも、給油溝は、回転軸の荷重を受ける方
向に対して、反対側にあるので、給油性の低下は最少限
ですみ、軸受の給油に差し支えることはない。これによ
り、偏心ピン側の端部を支持する軸受に対して十分に給
油が行える。

【００２０】

【実施例】以下、本発明を図１ないし図４に示す一実施
例にもとづいて説明する。図１および図２は、本発明を
適用したスクロ−ル型圧縮機（スクロ−ル型流体機械）
の構成を示し、図中１は密閉ハウジングである。

【００２１】密閉ハウジング１は、上下方向に沿って延
びる円筒形に構成されている。この密閉ハウジング１内
の上段側には、鉄系材で構成されたディスチャ−ジカバ
−２が上下方向を仕切るように設けられている。このデ
ィスチャ−ジカバ−２を境として、密閉ハウジング１内
は、密閉ハウジング１内の上方を高圧側３とし、下方を
低圧側４としてある。

【００２２】密閉ハウジング１の低圧側４には、下部側
に電動モ−タ５が配設され、上部側にスクロ−ル式の圧
縮機部６が配設されている。またこれら両者間には、同
間に渡って回転シャフト７（回転軸）が配設されてい
る。

【００２３】電動モ−タ５は、密閉ハウジング１の内周
部に圧入されて支持されたステ−タ８と、このステ−タ
８の内腔に配置されたロ−タ９とを有している。そし
て、ロ−タ９は回転シャフト７の下部側に固定され、回
転を回転シャフト７から出力させるようにしている。な
お、ステ−タ８につながる端子１０は、密閉ハウジング
１の外周部に設置してある。

【００２４】スクロ−ル式の圧縮機部６は、全体がアル
ミニウム材で構成されたアルミニウム材製の固定スクロ
−ル１１と、これに組合う同じくアルミニウム材製の旋
回スクロ−ル１６とを有してなる。

【００２５】すなわち、固定スクロ−ル１１は、端板１
２、その端板１２の内面に立設された渦巻状のラップ１
３（図６に図示してあるラップと同じ）、さらにそのラ
ップ１３を取り囲むように立設した周壁１４を有してい
る。また端板１２の中央部には吐出ポ−ト１５を有して
いる。

【００２６】旋回スクロ−ル１６は、端板１７、その内
面に立設された渦巻状のラップ１８（図６に図示してあ
るラップと同じ）を有している。また端板１７の背面
（外面）中央部には筒状のボス部１９を有している。

【００２７】そして、固定スクロ−ル１１と旋回スクロ
−ル１６とは、ラップ１３，１８同志が、１８０度（所
定角度）、ずらして相互に噛み合うように組合わせら
れ、端板部分で囲まれたラップ間に、圧縮工程を成立さ
せるための三日月状の複数個の密閉空間２０を構成させ
ている（図６に図示してある密閉空間と同じ）この組合
った両スクロ−ル１１，１６は、ディスチャ−ジカバ−
２と、低圧側４の上段側に固定されているケ−シング状
の主フレ−ム２１との間に、固定スクロ−ル１１を上
側、旋回スクロ−ル１６を下側に配置した状態で介装し
てある。

【００２８】そして、旋回スクロ−ル１６の端板１２
は、主フレ−ム２１の上面に形成してある水平な受面２
１ａにて摺動自在に受け止められている。固定スクロ−
ル１１は、主フレ−ム２１の外周側に形成されている周
壁部分２１ｂに対して、支持ばね２２を介して、上下方
向に変位可能に支持されている。詳しくは、固定スクロ
−ル１１には周壁部分２１ｂの側方へ突き出るブラケッ
ト２３が設けられている。そして、このブラケット２３
が支持ばね２２を介して周壁部分２１の上部に固定され
た構造となっている。

【００２９】固定スクロ−ル１１の周壁１４に設けた吸
込ポ−ト（図示しない）は、周壁１４の側方の空間２
９、主フレ−ム２１に設けた同フレ−ム２１の両側を連
通する吸込通路（図示せず）、低圧側４を通じて、密閉
ハウジング１の外周部に接続してある吸込管３０に連通
してあり、外部からガスを圧縮機部６へ導けるようにし
てある。

【００３０】また旋回スクロ−ル１６のボス部１９内に
は、図３にも示されるように旋回軸受２４を介して、ド
ライブブッシュ２５が嵌装してある。このドライブブッ
シュ２５には、径方向に若干延びる通孔で構成されるス
ライド孔２５ａが形成されている。このスライド孔２５
ａの一部には、径方向に延びる平面部２５ｂが形成して
ある。

【００３１】回転シャフト７の上端は、主フレ−ム２１
を貫通して、旋回スクロ−ル１６の端板中央に向かって
延びている。この回転シャフト７の上端部は、図２およ
び図４にも示されるように主フレ−ム２１の貫通部分に
設けてある上部軸受２６（本願の軸受に相当）にて回転
自在に支持されている。この回転シャフト７の上端に
は、同シャフト７の軸心からずれた偏心した位置に偏心
ピン２７が突設してある。

【００３２】偏心ピン２７は、図３および図４に示され
るように外周の一部に平面部で形成されるドライブ面２
７ａが設けられている。この偏心ピン２７が、平面同志
が組み合うようにして、上記スライド孔２５ａにスライ
ド自在に嵌挿されている。

【００３３】これにより、偏心ピン２７を、ボス部１９
に対して、径方向にスライド可能で、かつ回転しないに
ように接続させている。この偏心ピン２７とボス部１９
との接続により、旋回スクロ−ル１６は、回転シャフト
７が回転すると、固定スクロ−ル１１の軸心回りを旋回
するようになる。

【００３４】また上記旋回スクロ−ル１６の旋回半径を
可変とする構造により、運転中、ラップ間の半径方向の
隙間は、旋回スクロ−ル旋回時に発生するガス負荷と遠
心力との合成力の分力により生じる旋回スクロ−ル１６
の固定スクロ−ル１１に対する押付けによって、常に０
になるようにしてある。

【００３５】旋回スクロ−ル１６の端板１７と主フレ−
ム２１の受面２１ｂとの間には、旋回スクロ−ル１６の
公転旋回運動を許容するが同旋回スクロ−ル１６の自転
を阻止する自転阻止機構、例えばオルダムリング２８が
介装されている。

【００３６】このオルダムリング２８および偏心ピン２
７によって得られる旋回スクロ−ル１６の旋回公転運動
により、密閉空間２０の容積は、次第に減少するように
なっている。つまり、この密閉空間２０を利用して、ガ
スを圧縮させることができるようになっている。

【００３７】固定スクロ−ル１１の端板１２の上面に
は、端板１２の軸心を中心とした大小２つの円筒状のフ
ランジ３１，３２が上方に向かって突き出ている。また
ディスチャ−ジカバ−２の内面には、フランジ３１，３
２間に形成される環状の凹部３３内に向かって突き出る
円筒状のフランジ３４が形成されている。このフランジ
３４は、凹部３３にスライド自在に嵌挿されている。つ
まり、フランジ３４は、フランジ３１，３２と噛み合っ
ている。

【００３８】そして、各フランジ３４と各フランジ３
１，３２とが摺接する側面間には、それぞれ環状のＵシ
−ル３５が介装され、同部分をシ−ルしている。これに
より、内側のＵシ−ル３５で仕切られた中央の領域、す
なわちディスチャ−ジカバ−２の中央部で覆われる端板
１２の上面の中央部分には高圧室３６を形成し、その外
周側の外側のＵシ−ル３５で仕切られた中間の領域、す
なわちディスチャ−ジカバ−２の中間部分で覆われる端
板１２の上面の中間部分には中間圧力室３７を形成して
いる。さらにその外周側には、空間２９を利用した吸込
圧力と同圧力になる低圧室を形成している。

【００３９】そして、同心的に並ぶ高圧室３６、中間圧
力室３７、低圧室のうち、高圧室３６は、吐出ポ−ト１
５と連通している。また中間圧力室３７は、端板１２に
設けた導圧孔３８を通じて、圧縮途中にある密閉空間２
０と連通している。そして、これら高圧室３６、中間圧
力室３７内に導入される高圧，中間圧のガスによって、
固定スクロ−ル１１は旋回スクロ−ル１６に対して軸方
向から押し付けられるようになっている。

【００４０】また旋回スクロ−ル１６において、固定ス
クロ−ル１１の周壁１４の軸端面と摺接する周縁部に
は、リング状に形成された硬質の耐磨耗プレ−ト４０が
設置されている。この耐磨耗プレ−ト４０によって、運
転中に発生する旋回スクロ−ル１６を反転させようとす
る力を原因とした磨耗を抑制するようにしてある。

【００４１】吐出ポ−ト１５内には、逆流防止用の逆止
弁４２が設けられている。また吐出ポ−ト１５は、高圧
側３を構成する空間で形成される吐出チャンバ−４３に
連通している。この吐出チャンバ−４３は、密閉ハウン
ジ１の上部壁に接続してある吐出管４４と連通してい
て、吐出チャンバ−４３内に吐出された吐出ガスを密閉
ハウジング１外へ吐出できるようにしてある。

【００４２】他方、回転シャフト７の下端部は、密閉ハ
ウジング１の内底側へ延びている。そして、この下端部
が低圧側４の下部側に据付けてある下部軸受体４５に
て、回転自在に支持されている。

【００４３】この回転シャフト７の下端部には、例えば
偏心軸４６を回転させて、シリンダ４７内に収容された
旋回リング４８を揺動させることでポンプ作用を発生さ
せる圧送機構を採用した油ポンプ４９が据付けられてい
る。この油ポンプ４９の吸込部（図示しない）は、密閉
ハウジング１の内底部で形成された油集溜部５１と連通
していて、同集溜部５１に溜っている油５１ａを吸込む
ようになっている。

【００４４】また回転シャフト７の軸心部には、軸心方
向に沿って延びる給油孔５３が形成されている。この給
油孔５３の下端部は、上記油ポンプ４９の吐出部（図示
しない）に連通している。給油孔５３の上端部は、偏心
ピン２７の軸心部に形成された通孔５４と連通してい
て、油ポンプ４９から、油集溜部５１内の油５１ａを、
潤滑が必要な偏心ピン２７とドライブブッシュ２５との
摺動部分、旋回軸受２４の摺動部分といった個所、さら
には同スライド孔５７ａを通じてフレ−ム２１の上面中
央に形成してある油溜まり５７といった個所に供給でき
るようにしてある。

【００４５】上部軸受２６と対向する回転シャフト７の
外周面には、回転シャフト７の軸心方向に沿って直線状
に延びる給油溝５５が形成されている。この給油溝５５
は、図４に示されるように回転シャフト７の外周面のう
ち、荷重（負荷）を受ける側とは反対側で、かつドライ
ブブッシュ２５の外径から外れた位置、具体的には図４
中のＸ₁ 点とＸ₂ 点とで囲まれるＬ範囲内の位置に設け
てある。

【００４６】この給油溝５５の出口５５ａは、図２に拡
大して示されるように偏心ピン側の軸端に開口してい
る。また給油溝５５の入口５５ｂ側は、回転シャフト７
の半径方向に延びる連絡孔５６を介して、給油孔５３に
連通している。

【００４７】これにより、油ポンプ４９から、油集溜部
５１内の油５１ａを、給油孔５３を通じ、潤滑な必要な
上部軸受２６の摺動部分、先のフレ−ム２１の上面中央
に形成してある油溜まり５７に直接的に供給できるよう
にしてある。

【００４８】また油ポンプ４９の吐出部には、所定の圧
力を越えると、油５１ａを油集溜部５１に戻すためのリ
リ−フ弁４９ａが設けてある。なお、５２は密閉ハウジ
ング１外に露出している端子１０を覆うための端子カバ
−である。

【００４９】つぎに、このように構成されたスクロ−ル
型圧縮機の作用について説明する。端子１０を通じて、
電動モ−タ５を励磁すると、ロ−タ９は回転していく。
この回転は、回転シャフト７、偏心ピン２７、ドライブ
ブッシュ２５、ボス部１９を通じて、旋回スクロ−ル１
６へ伝達される。

【００５０】ここで、旋回スクロ−ル１６はオルダムリ
ング２８によって自転が抑制されているから、旋回スク
ロ−ル全体は、自転せず、固定スクロ−ル１１の軸心の
中心とする公転旋回半径の円軌道上を公転旋回運動す
る。

【００５１】この公転旋回運動にしたがって、固定スク
ロ−ル１１と旋回スクロ−ル１６との間で形成されてい
る密閉空間２０は、容積が減少する方向に変化してい
く。すると、吸込ガスは、吸込管３０、低圧側４、吸込
通路、吸込ポ−ト（いずれも図示せず）を順に経て、ラ
ップ１３，１８の最外周の領域に導かれ、同領域から密
閉空間２０内へ吸込まれる。

【００５２】この吸込まれたガスは、旋回スクロ−ル１
６の公転旋回運動にしたがい密閉空間２０の容積が減少
するのにしたがって、次第に圧縮されながら中央部へ至
る。このとき、高圧室３６内には、吐出ポ−ト１５を通
じて、吐出圧が導かれ、中間圧力室３７には導圧孔３８
を通じて、圧縮途上の中間圧が導かれている。

【００５３】この高圧室３６の吐出圧、中間圧力室３７
の中間圧によって、固定スクロ−ル１１は、旋回スクロ
−ル１６に押し付けられる。またラップ間の半径方向の
隙間は、旋回スクロ−ル旋回時に発生するガス負荷と遠
心力との合成力の分力により生じる旋回スクロ−ル１６
の固定スクロ−ル１１に対する押付けによって、常に０
になる。

【００５４】これにより、密閉空間２０内における圧縮
工程は、ガス漏れが抑制されながら進行する。そして、
吐出ポ−ト１５から、所定に圧縮されたガスが、逆止弁
４２、吐出チャンバ−４３、吐出管４４を経て、密閉ハ
ウジング１外へ吐出される。

【００５５】一方、ロ−タ９の回転は、回転シャフト７
を通じて、油ポンプ４９の偏心軸４６にも伝達されてい
る。すると、偏心軸４６は偏心回転され、旋回リング４
０を揺動させていく。これにより、油集溜部５１内の油
５１ａは、油ポンプ４９の吸込部から吸込まれ、吐出部
から給油孔５３へ向かって吐出される。

【００５６】給油孔５３に至る油５１ａは、偏心ピン２
７内の通孔５４、連絡孔５６に分岐される。そして、通
孔５４に至る油５１ａは、偏心ピン２７の先端から流出
し、偏心ピン２７とドライブブッシュ２５との摺動部
分、旋回軸受２４の摺動部分といった個所に給油した
後、スライド孔２５ａを流下して、周囲の油溜まり５７
に至る。

【００５７】また連絡孔５６に至る油５１ａは、給油溝
５５を流れて、回転シャフト７の軸端から流出し、周囲
の油溜まり５７に至る。この油５１ａが給油溝５５を流
れる間に、上部軸受２６の摺動部分に給油していく。

【００５８】つまり、油ポンプ４９から吐出した油５１
ａは、摺動部等の油５１ａを必要とする各部へ圧送され
る。しかして、こうしたスクロ−ル型圧縮機の運転中、
給油溝５５の出口５５ａは、ドライブブッシュ２５の端
面で遮られない位置、すなわちドライブブッシュ２５の
端面で塞がれない位置（回転シャフト７の外周面のう
ち、負荷を受ける側とは反対側で、かつドライブブッシ
ュ２５の外径から外れた位置）にあるから、ドライブブ
ッシュ２５の影響により、油５１ａが給油溝５５を流れ
難くなることはない。

【００５９】そのうえ、給油溝５５は、回転シャフト７
の荷重を受ける方向に対して、反対側にあるので、給油
性の低下は最少限ですむ。つまり、上部軸受２６の給油
に差し支えることはない。

【００６０】したがって、ドライブブッシュ２５に影響
されずに、上部軸受２６に対して十分な給油を約束で
き、信頼性の向上させることができる。なお、本発明を
上述した一実施例は、スクロ−ル型圧縮機に適用した
が、これに限らず、膨脹機といった他のドライブブッシ
ュを用いて旋回スクロ−ルをスライド可能にしたスクロ
−ル型流体機械に適用してもよい。

【００６１】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、ド
ライブブッシュに影響されず、回転軸の偏心ピン側の端
部を支持する軸受に十分な給油を行うことができる。こ
の結果、信頼性の高いスクロ−ル型流体機械を提供でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例のスクロ−ル型圧縮機の構成
を示す断面図。

【図２】同スクロ−ル型圧縮機のドライブブッシュ回り
を拡大して示す断面図。

【図３】図２中、Ａ−Ａ線に沿う断面図。

【図４】図２中、Ｂ−Ｂ線に沿う断面を、ドライブブッ
シュに対する給油溝の位置と共に示した断面図。

【図５】従来のスクロ−ル型圧縮機の圧縮機部を、旋回
スクロ−ルを旋回半径にスライド可能とした構造と共に
説明するための断面図。

【図６】同圧縮機部を構成する固定スクロ−ル、旋回ス
クロ−ルのラップが噛み合っている状態を示す断面図。

【図７】図５中、Ｃ−Ｃ線に沿う断面図。

【図８】図５中、Ｄ−Ｄ線に沿う断面を、ドライブブッ
シュに対する給油溝の位置と共に示した断面図。

【符号の説明】

６…圧縮機部 ７…回転シャフト
（回転軸） １１…固定スクロ−ル １２…端板 １３…ラップ １６…旋回スクロ
−ル １７…端板 １８…ラップ １９…ボス部 ２４…旋回軸受 ２５…ドライブブッシュ ２５ａ…スライド孔 ２６…上部軸受（軸受） ２７…偏心ピン ５３…給油孔 ５５…給油溝 ５５ａ…出口

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 広岡 勝実 愛知県西春日井郡西枇杷島町字旭町３丁目 １番地 三菱重工業株式会社エアコン製作 所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 それぞれ端板に渦巻状のラップを立設し
   てなる固定スクロ−ルと旋回スクロ−ルとを互いにラッ
   プ同志が噛み合うように組合わせ、かつ前記旋回スクロ
   −ルの端板の背面中央部には、スライド孔を有するドラ
   イブブッシュが嵌装されたボス部を有し、前記ドライブ
   ブッシュのスライド孔に、回転軸の端部から突出する偏
   心ピンがスライド可能に嵌合されて、前記旋回スクロ−
   ルを旋回駆動させてなる圧縮機部を構成し、前記回転軸
   は、前記偏心ピン側の端部が軸受で回転自在に支持さ
   れ、前記軸受と対向する回転軸の外周面には、前記回転
   軸内に軸心方向に形成された給油孔と連通し、かつ前記
   偏心ピン側の端部に向かって延び、出口が同偏心ピン側
   の軸端に開口した給油溝を有し、この給油溝を通じて、
   前記給油孔からの油を前記軸受に給油させるスクロ−ル
   型流体機械において、 前記給油溝を、前記回転軸の外周面のうち、負荷を受け
   る側とは反対側で、かつ前記ドライブブッシュの外径か
   ら外れた位置に設けてなることを特徴とするスクロ−ル
   型流体機械。