JPH0770649A - 伸びフランジ性、延性及び表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法 - Google Patents
伸びフランジ性、延性及び表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法Info
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- JPH0770649A JPH0770649A JP21866293A JP21866293A JPH0770649A JP H0770649 A JPH0770649 A JP H0770649A JP 21866293 A JP21866293 A JP 21866293A JP 21866293 A JP21866293 A JP 21866293A JP H0770649 A JPH0770649 A JP H0770649A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 Siにより強化した加工用熱延鋼板において、
スラブ加熱時に生成する強固なスケールに由来した表面
性状の劣化を、熱間仕上圧延前にスケールを完全に除去
することで防止する。 【構成】 C:0.02〜0.15wt%、Si:0.2 〜1.0 wt%、
Mn:0.5 〜1.5 wt%、P:0.025 wt%以下、S:0.010
wt%以下及びN:0.010 wt%以下を含有し、残部はFe及
び不可避的不純物からなる鋼を加熱後、粗圧延を行い、
次いで仕上ミル入側にて、鋼片温度をSi含有量に応じた
スケールはく離性の良好な範囲に制御した後、衝突圧が
5.0 〜30.0kgf/cm2 の範囲になる高圧水でデスケーリン
グを行い、次いで仕上温度がAr3 変態点以上の仕上圧延
を行った後、400 〜600 ℃で巻取る。
スラブ加熱時に生成する強固なスケールに由来した表面
性状の劣化を、熱間仕上圧延前にスケールを完全に除去
することで防止する。 【構成】 C:0.02〜0.15wt%、Si:0.2 〜1.0 wt%、
Mn:0.5 〜1.5 wt%、P:0.025 wt%以下、S:0.010
wt%以下及びN:0.010 wt%以下を含有し、残部はFe及
び不可避的不純物からなる鋼を加熱後、粗圧延を行い、
次いで仕上ミル入側にて、鋼片温度をSi含有量に応じた
スケールはく離性の良好な範囲に制御した後、衝突圧が
5.0 〜30.0kgf/cm2 の範囲になる高圧水でデスケーリン
グを行い、次いで仕上温度がAr3 変態点以上の仕上圧延
を行った後、400 〜600 ℃で巻取る。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、主としてプレス加工
して製造される自動車の足回り部品などの使途に用いて
好適な、引張強度が45〜55kgf/mm2 のレベルを有し、伸
びフランジ性、延性及び表面性状に優れた熱延鋼板を製
造する方法に関する。
して製造される自動車の足回り部品などの使途に用いて
好適な、引張強度が45〜55kgf/mm2 のレベルを有し、伸
びフランジ性、延性及び表面性状に優れた熱延鋼板を製
造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】45〜55kgf/mm2 の強度レベルの加工用熱
延鋼板は、強化機構として固溶強化を用いた鋼板と組織
強化を用いた鋼板との間の谷間に位置することになるた
めに、安定的に製造することが困難であった。また、加
工性の改善についても、高温巻取り、極低S化、一部析
出強化元素の添加等といった方策で対処してきたけれど
も、かかる加工性改善の方策に関し、高温巻取りでは引
張強度の低下を、極低S化ではコストの上昇を、一部析
出強化元素の添加では降伏比の上昇による形状凍結性の
劣化を、それぞれ招くため、これらは必ずしも適切な対
処方法であるとはいえない。
延鋼板は、強化機構として固溶強化を用いた鋼板と組織
強化を用いた鋼板との間の谷間に位置することになるた
めに、安定的に製造することが困難であった。また、加
工性の改善についても、高温巻取り、極低S化、一部析
出強化元素の添加等といった方策で対処してきたけれど
も、かかる加工性改善の方策に関し、高温巻取りでは引
張強度の低下を、極低S化ではコストの上昇を、一部析
出強化元素の添加では降伏比の上昇による形状凍結性の
劣化を、それぞれ招くため、これらは必ずしも適切な対
処方法であるとはいえない。
【0003】一方、上記の強度レベルの熱延鋼板に対し
ては、自動車の内板用等、これまで冷延鋼板が使用され
ていた部品への適用を含めて、より厳しい加工性が求め
られてきており、このような強度と加工性を高いレベル
で両立させることを目的としたものとしては特開平3−
219049号公報で提案された鋼板がある。この公報
に記載の鋼板は、Cの含有量を0.02〜0.07wt%未満に限
定すると共に、強化成分としてSiを0.4 〜1.5 wt%含む
鋼を、熱延仕上温度:Ar3 変態点+50℃以上、その後50
℃/s以上で急冷、巻取温度:350 〜500 ℃の各条件を満
たす熱間圧延を施して得られる。
ては、自動車の内板用等、これまで冷延鋼板が使用され
ていた部品への適用を含めて、より厳しい加工性が求め
られてきており、このような強度と加工性を高いレベル
で両立させることを目的としたものとしては特開平3−
219049号公報で提案された鋼板がある。この公報
に記載の鋼板は、Cの含有量を0.02〜0.07wt%未満に限
定すると共に、強化成分としてSiを0.4 〜1.5 wt%含む
鋼を、熱延仕上温度:Ar3 変態点+50℃以上、その後50
℃/s以上で急冷、巻取温度:350 〜500 ℃の各条件を満
たす熱間圧延を施して得られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平3−219
049号公報に記載の鋼板は、強化成分としてのCを低
いレベルに抑制しているため、所期した45kgf/mm2 以上
の引張強度を得るためには、Mnに加えてSiを多量に添加
しなければならない。ところでSi添加鋼においては、加
熱炉中で生成したFeO とSiO2からなる低融点化合物がス
ケールの密着性を高めるために、仕上ミル入側のデスケ
ーリングでも十分にはスケールが除去されない結果、鋼
板表面品質の低下を招くことは既に公知であり、上記公
報においても、スラブ加熱温度を限定することによりこ
の問題に対処している。しかしながら、スケールは最終
的に仕上圧延ミルの入側で除去されるものであるため、
この位置でのデスケーリングの状況もまた、製品の表面
性状に大きな影響を与えると考えられるが、上記公報で
はデスケーリング時の条件についてはなんらの考慮もさ
れておらず、したがって表面性状の優れる鋼板を安定的
に製造するためには必ずしも十分とはいえなかった。
049号公報に記載の鋼板は、強化成分としてのCを低
いレベルに抑制しているため、所期した45kgf/mm2 以上
の引張強度を得るためには、Mnに加えてSiを多量に添加
しなければならない。ところでSi添加鋼においては、加
熱炉中で生成したFeO とSiO2からなる低融点化合物がス
ケールの密着性を高めるために、仕上ミル入側のデスケ
ーリングでも十分にはスケールが除去されない結果、鋼
板表面品質の低下を招くことは既に公知であり、上記公
報においても、スラブ加熱温度を限定することによりこ
の問題に対処している。しかしながら、スケールは最終
的に仕上圧延ミルの入側で除去されるものであるため、
この位置でのデスケーリングの状況もまた、製品の表面
性状に大きな影響を与えると考えられるが、上記公報で
はデスケーリング時の条件についてはなんらの考慮もさ
れておらず、したがって表面性状の優れる鋼板を安定的
に製造するためには必ずしも十分とはいえなかった。
【0005】この発明は、上記のような問題を解決する
ことを目的としてなされたものであり、45〜55kgf/mm2
の強度レベルの熱延鋼板で、加工性に優れたものを、表
面性状を損なうことなく、極めて安定的に製造する技術
を提案することを目的とするものである。
ことを目的としてなされたものであり、45〜55kgf/mm2
の強度レベルの熱延鋼板で、加工性に優れたものを、表
面性状を損なうことなく、極めて安定的に製造する技術
を提案することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明では、その組成としてC:0.02〜0.15wt
%、Si:0.2 〜1.0 wt%、Mn:0.5 〜1.5 wt%、P:0.
025 wt%以下、S:0.010wt%以下及びN:0.010 wt%
以下を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなる鋼
を、加熱後、粗圧延を行い、次いで仕上ミル入側にて、
鋼片温度をSi含有量に応じたスケールはく離性の良好な
範囲に制御した後、衝突圧が5.0 〜30.0kgf/cm2 の範囲
になる高圧水でデスケーリングを行い、次いで仕上温度
がAr3 変態点以上の仕上圧延を行った後、400 〜600 ℃
で巻取ることを構成要件としている。上述のスケールは
く離性の良好な範囲とは、具体的には鋼片温度T(℃)
とSi含有量〔%Si〕との関係で次式
め、この発明では、その組成としてC:0.02〜0.15wt
%、Si:0.2 〜1.0 wt%、Mn:0.5 〜1.5 wt%、P:0.
025 wt%以下、S:0.010wt%以下及びN:0.010 wt%
以下を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなる鋼
を、加熱後、粗圧延を行い、次いで仕上ミル入側にて、
鋼片温度をSi含有量に応じたスケールはく離性の良好な
範囲に制御した後、衝突圧が5.0 〜30.0kgf/cm2 の範囲
になる高圧水でデスケーリングを行い、次いで仕上温度
がAr3 変態点以上の仕上圧延を行った後、400 〜600 ℃
で巻取ることを構成要件としている。上述のスケールは
く離性の良好な範囲とは、具体的には鋼片温度T(℃)
とSi含有量〔%Si〕との関係で次式
【数2】〔% Si〕≦143.83−0.28529T+0.00014168T2 を満足する範囲であり、かかる鋼片のSi含有量と仕上圧
延入り側での鋼片温度の関係は、図1に示す鋼片のSi含
有量と仕上圧延入り側での鋼片温度のグラフにおいて領
域Aで示される範囲内で満足される。
延入り側での鋼片温度の関係は、図1に示す鋼片のSi含
有量と仕上圧延入り側での鋼片温度のグラフにおいて領
域Aで示される範囲内で満足される。
【0007】
【作用】上記各条件の限定理由について説明すると、ま
ず化学成分組成は以下のとおりである。 C:0.02〜0.15wt% Cは、強度確保のための成分であり、この発明に従う巻
取温度の条件で44〜55kgf/mm2 のレベルの引張強度を得
るためには、最低0.02wt%必要である。一方過剰のC
は、鋼中のパーライトやセメンタイトの量を増大させ、
伸びフランジ性を著しく悪化させるため、C量の上限値
を0.15wt%に限定する。
ず化学成分組成は以下のとおりである。 C:0.02〜0.15wt% Cは、強度確保のための成分であり、この発明に従う巻
取温度の条件で44〜55kgf/mm2 のレベルの引張強度を得
るためには、最低0.02wt%必要である。一方過剰のC
は、鋼中のパーライトやセメンタイトの量を増大させ、
伸びフランジ性を著しく悪化させるため、C量の上限値
を0.15wt%に限定する。
【0008】Si:0.2 〜1.0 wt% Siは、延性低下の少ない固溶強化成分であり、この発明
においては最も重要な役割を果たす添加成分である。Si
が延性低下の少ない理由として、Siは、フェライトへの
Cの固溶度を低下させフェライトを純化する作用、炭化
物を微細化する作用、活動すべり系を制限する作用等の
あることが知られている。ここに、Siは固溶強化能が0.
1 wt%当たり1.2 kgf/mm2 程度と低く、固溶強化成分と
して有効に機能させるためには、最低0.2 wt%は必要で
ある。一方過剰のSiは、Ar3 変態点の上昇を招き、加熱
負荷を高め、しかもFeO 及びSiO2からなる低融点化合物
の生成を促進し、この発明で規定するデスケーリング条
件での対応が困難となるため、上限を1.0 wt%に規制す
る。
においては最も重要な役割を果たす添加成分である。Si
が延性低下の少ない理由として、Siは、フェライトへの
Cの固溶度を低下させフェライトを純化する作用、炭化
物を微細化する作用、活動すべり系を制限する作用等の
あることが知られている。ここに、Siは固溶強化能が0.
1 wt%当たり1.2 kgf/mm2 程度と低く、固溶強化成分と
して有効に機能させるためには、最低0.2 wt%は必要で
ある。一方過剰のSiは、Ar3 変態点の上昇を招き、加熱
負荷を高め、しかもFeO 及びSiO2からなる低融点化合物
の生成を促進し、この発明で規定するデスケーリング条
件での対応が困難となるため、上限を1.0 wt%に規制す
る。
【0009】Mn:0.5 〜1.5 wt% Mnは、強度確保のための成分であると同時に、Si添加に
より上昇したAr3 変態点を下げるという役割を果たす成
分である。そのためには最低でも0.5 wt%は必要であ
り、一方、経済性、点溶接性、強度の巻取温度依存性を
考慮して、1.5 wt%を上限とする。
より上昇したAr3 変態点を下げるという役割を果たす成
分である。そのためには最低でも0.5 wt%は必要であ
り、一方、経済性、点溶接性、強度の巻取温度依存性を
考慮して、1.5 wt%を上限とする。
【0010】P:0.025 wt%以下 Pは、Ar3 変態点の上昇を招くため、上限を0.025 wt%
とする。 S:0.010 wt%以下 Sは、伸びフランジ性に極めて悪い影響を及ぼす成分で
ある。したがってその含有量は可能な限り低い方が好ま
しい。とはいえ強脱硫の実施は製造コストの著しい上昇
を招く。このような関係から、良好な加工性が得られる
レベルと、現時点における製鋼技術で比較的容易に得ら
れるレベルの両方を考慮して、上限を0.010 wt%とす
る。 N:0.010 wt%以下 NはAlN として析出し、伸び特性を劣化させることから
低い方が望ましい。良好な延性が得られるレベルと、現
時点における製鋼技術で比較的容易に得られるレベルの
両方を考慮して、上限を0.010 wt%とする。
とする。 S:0.010 wt%以下 Sは、伸びフランジ性に極めて悪い影響を及ぼす成分で
ある。したがってその含有量は可能な限り低い方が好ま
しい。とはいえ強脱硫の実施は製造コストの著しい上昇
を招く。このような関係から、良好な加工性が得られる
レベルと、現時点における製鋼技術で比較的容易に得ら
れるレベルの両方を考慮して、上限を0.010 wt%とす
る。 N:0.010 wt%以下 NはAlN として析出し、伸び特性を劣化させることから
低い方が望ましい。良好な延性が得られるレベルと、現
時点における製鋼技術で比較的容易に得られるレベルの
両方を考慮して、上限を0.010 wt%とする。
【0011】次に製造工程における限定理由について以
下に述べる。スラブ加熱中に生成するFeO 及びSiO2から
なる低融点化合物は、スケールを下地に固定する作用を
有し、仕入圧延入側でのデスケーリング性を著しく劣化
させる。仕上圧延の入側でこのようなスケールを完全に
除去するためには、強力なデスケーリング装置を用いる
ことが必要であり、そのためデスケーリング水の衝突圧
の下限を5.0 kgf/cm2 とする。上限は現行の設備の能力
を考慮して30.0kgf/cm 2 とする。
下に述べる。スラブ加熱中に生成するFeO 及びSiO2から
なる低融点化合物は、スケールを下地に固定する作用を
有し、仕入圧延入側でのデスケーリング性を著しく劣化
させる。仕上圧延の入側でこのようなスケールを完全に
除去するためには、強力なデスケーリング装置を用いる
ことが必要であり、そのためデスケーリング水の衝突圧
の下限を5.0 kgf/cm2 とする。上限は現行の設備の能力
を考慮して30.0kgf/cm 2 とする。
【0012】上述したデスケーリングに際する鋼片の温
度を、Si含有量に応じて限定することは、この発明に含
まれる製造条件の中でも最も重要な要件である。特開昭
60−223609号公報に見られるようにSi含有鋼の
スケールはく離性に関しては、はく離性の極めて悪い温
度域が存在することが知られているが、この発明のよう
にかなり広いSi範囲 (〜1.0 wt%) にわたり、実機を用
いて明確に、はく離性の劣る温度領域を特定したのはこ
の発明が初めてである。すなわち、前述の成分組成範囲
になる鋼において、デスケーリング水の衝突圧を上記の
範囲にした条件の下で、デスケーリング時の鋼片温度
を、Si濃度に応じて図1の領域Aに位置するように、す
なわち鋼片温度T(℃)をSi含有量〔%Si〕に応じて次
式
度を、Si含有量に応じて限定することは、この発明に含
まれる製造条件の中でも最も重要な要件である。特開昭
60−223609号公報に見られるようにSi含有鋼の
スケールはく離性に関しては、はく離性の極めて悪い温
度域が存在することが知られているが、この発明のよう
にかなり広いSi範囲 (〜1.0 wt%) にわたり、実機を用
いて明確に、はく離性の劣る温度領域を特定したのはこ
の発明が初めてである。すなわち、前述の成分組成範囲
になる鋼において、デスケーリング水の衝突圧を上記の
範囲にした条件の下で、デスケーリング時の鋼片温度
を、Si濃度に応じて図1の領域Aに位置するように、す
なわち鋼片温度T(℃)をSi含有量〔%Si〕に応じて次
式
【数3】〔% Si〕≦143.83−0.28529T+0.00014168T2 を満足する範囲に仕上ミル入側において制御することに
より、安定的にスケールのはく離が可能となる。
より、安定的にスケールのはく離が可能となる。
【0013】さらに、図1の領域Aと領域Bとを区画す
る曲線は注目に値する。前掲特開昭60−223609
号公報に記載の内容を含む従来の知見によれば、スケー
ルの難はく離温度域は、Si濃度の増加とともに緩やかに
高温側へ移動することが予想されていた。しかるに発明
者らが実機を用いて鋭意実験を行った結果では、スケー
ルの難はく離域に相当する領域Bは、Si濃度の増加に伴
って、1000℃付近を境に低温側ではより低温方向に、高
温側ではより高温方向に範囲が移行するように変化する
ことが確認できた。これは、Si濃度を0.2 〜1.0 wt%と
従来より広く範囲に変化させて初めて明らかになった事
実であり、公知・公用の技術からは得られない新規な知
見である。
る曲線は注目に値する。前掲特開昭60−223609
号公報に記載の内容を含む従来の知見によれば、スケー
ルの難はく離温度域は、Si濃度の増加とともに緩やかに
高温側へ移動することが予想されていた。しかるに発明
者らが実機を用いて鋭意実験を行った結果では、スケー
ルの難はく離域に相当する領域Bは、Si濃度の増加に伴
って、1000℃付近を境に低温側ではより低温方向に、高
温側ではより高温方向に範囲が移行するように変化する
ことが確認できた。これは、Si濃度を0.2 〜1.0 wt%と
従来より広く範囲に変化させて初めて明らかになった事
実であり、公知・公用の技術からは得られない新規な知
見である。
【0014】巻取り温度は、400 ℃よりも低いと、温度
制御が困難であるだけでなく、ベイナイト及びマルテン
サイト主体の組織となるため、組織制御も困難となり、
一方600 ℃を超えると、伸びフランジ性が低下すると同
時に、目標とする強度範囲に達しない可能性があるた
め、400 〜600 ℃と規定する。
制御が困難であるだけでなく、ベイナイト及びマルテン
サイト主体の組織となるため、組織制御も困難となり、
一方600 ℃を超えると、伸びフランジ性が低下すると同
時に、目標とする強度範囲に達しない可能性があるた
め、400 〜600 ℃と規定する。
【0015】
【実施例】この発明の成分組成範囲内になる鋼素材を、
この発明の成分組成範囲から外れる鋼素材とともに用意
した。これらの鋼素材の化学成分を表1に示す。
この発明の成分組成範囲から外れる鋼素材とともに用意
した。これらの鋼素材の化学成分を表1に示す。
【表1】
【0016】表1において、A〜D鋼がこの発明の範囲
内のものであり、E鋼は、C及びSiが外れるものであ
り、F鋼はSiが外れ、またNbを含むものであり、G鋼は
Si及びMnが外れ、またCrを含むものである。これらの鋼
種に、それぞれ表2に示す条件によって熱間圧延を施し
た。かくして得られた熱延鋼板の特性についても表2に
併記する。
内のものであり、E鋼は、C及びSiが外れるものであ
り、F鋼はSiが外れ、またNbを含むものであり、G鋼は
Si及びMnが外れ、またCrを含むものである。これらの鋼
種に、それぞれ表2に示す条件によって熱間圧延を施し
た。かくして得られた熱延鋼板の特性についても表2に
併記する。
【表2】
【0017】ここにおいて、各鋼種のSi量と仕上圧延温
度とを図1にプロットしたものを図2に示し、また酸洗
後の表面評価の判断基準について表3に示す。
度とを図1にプロットしたものを図2に示し、また酸洗
後の表面評価の判断基準について表3に示す。
【表3】
【0018】表2より、この発明に従う適合例は、いず
れもTS×EL、穴拡げ率({(d−d 0 )/d0 }×100
)及び表面性状のバランスが比較鋼よりも優れている
ことが分かる。すなわちTS−ELバランスでは、比較例で
あるE,Fの成分系より優れ、表面性状では比較例の成
分系Gより優れている。さらにこの発明の成分範囲にな
る成分系A〜Dであっても、この発明に従う製造条件に
なる適合例は、デスケーリング時の鋼片温度が外れるも
の及び衝突圧が4kgf/cm2 のものより表面性状で優れて
おり、CTが700 ℃てある例(No. 11)より穴拡げ率で
優れている。さらに巻取温度を 300℃とした比較例(N
o. 6)は長手方向で安定したCT及び材質が得られなか
った。
れもTS×EL、穴拡げ率({(d−d 0 )/d0 }×100
)及び表面性状のバランスが比較鋼よりも優れている
ことが分かる。すなわちTS−ELバランスでは、比較例で
あるE,Fの成分系より優れ、表面性状では比較例の成
分系Gより優れている。さらにこの発明の成分範囲にな
る成分系A〜Dであっても、この発明に従う製造条件に
なる適合例は、デスケーリング時の鋼片温度が外れるも
の及び衝突圧が4kgf/cm2 のものより表面性状で優れて
おり、CTが700 ℃てある例(No. 11)より穴拡げ率で
優れている。さらに巻取温度を 300℃とした比較例(N
o. 6)は長手方向で安定したCT及び材質が得られなか
った。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、伸びフランジ性、延性及び表面性状に優れた熱延高
張力鋼板が得られる。この発明による鋼板は、引張強度
45〜55kgf/mm2 領域である難加工部品への適用が見込ま
れ、その工業的効果は大である。
ば、伸びフランジ性、延性及び表面性状に優れた熱延高
張力鋼板が得られる。この発明による鋼板は、引張強度
45〜55kgf/mm2 領域である難加工部品への適用が見込ま
れ、その工業的効果は大である。
【図1】鋼中のSi量及び熱間仕上圧延時の鋼片温度が仕
上圧延に先立つデスケーリング性に及ぼす影響を示すグ
ラフである。
上圧延に先立つデスケーリング性に及ぼす影響を示すグ
ラフである。
【図2】実施例における各鋼種のSi量及び熱間仕上圧延
時の鋼片温度を、図1のグラフにプロットしたグラフで
ある。
時の鋼片温度を、図1のグラフにプロットしたグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片岡 圀彦 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 住永 知毅 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内
Claims (2)
- 【請求項1】 C:0.02〜0.15wt%、 Si:0.2 〜1.0 wt%、 Mn:0.5 〜1.5 wt%、 P:0.025 wt%以下、 S:0.010 wt%以下及び N:0.010 wt%以下 を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなる鋼を加
熱後、粗圧延を行い、次いで仕上ミル入側にて、鋼片温
度をSi含有量に応じたスケールはく離性の良好な範囲に
制御した後、衝突圧が5.0 〜30.0kgf/cm2 の範囲になる
高圧水でデスケーリングを行い、次いで仕上温度がAr3
変態点以上の仕上圧延を行った後、400 〜600 ℃で巻取
ることを特徴とする、伸びフランジ性、延性及び表面性
状に優れた熱延鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 C:0.02〜0.15wt%、 Si:0.2 〜1.0 wt%、 Mn:0.5 〜1.5 wt%、 P:0.025 wt%以下、 S:0.010 wt%以下及び N:0.010 wt%以下 を含有し、残部はFe及び不可避的不純物からなる鋼を加
熱後、粗圧延を行い、次いで仕上ミル入側にて、鋼片温
度T(℃)をSi含有量〔%Si〕に応じて次式 【数1】〔% Si〕≦143.83−0.28529T+0.00014168T2 満足する範囲に制御した後、衝突圧が5.0 〜30.0kgf/cm
2 の範囲になる高圧水でデスケーリングを行い、次いで
仕上温度がAr3 変態点以上の仕上圧延を行った後、400
〜600 ℃で巻取ることを特徴とする、伸びフランジ性、
延性及び表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21866293A JP3241886B2 (ja) | 1993-09-02 | 1993-09-02 | 伸びフランジ性、延性及び表面性状に優れた熱延鋼板の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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