JPH0770201A - 耐溶剤性の優れたセルロースエステルおよびその製造法 - Google Patents

耐溶剤性の優れたセルロースエステルおよびその製造法

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JPH0770201A
JPH0770201A JP21712093A JP21712093A JPH0770201A JP H0770201 A JPH0770201 A JP H0770201A JP 21712093 A JP21712093 A JP 21712093A JP 21712093 A JP21712093 A JP 21712093A JP H0770201 A JPH0770201 A JP H0770201A
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cellulose
precipitate
cellulose ester
cellulose acetate
structural units
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JP21712093A
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Masanari Yasuda
勝成 安田
Haruyuki Yoneda
晴幸 米田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 全置換度が1以下のセルロースエステルで、
膜、繊維等に加工した場合に、水、ジメチルアセトアミ
ドなどのセルロース誘導体の溶媒に溶解しない耐溶媒性
の高いセルロースエステルを提供する。 【構成】 グルコースユニットのC2 ,C3 ,C6 位の
炭素に結合する水酸基の内、C2 ,C3 位炭素に結合す
る水酸基が置換基と置き変わっていないことを特徴とす
るセルロースエステル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐溶剤性の高い結晶性
セルロースエステルに関し、さらに詳しくはセルロース
を構成するグルコースユニットに結合する水酸基の特定
の位置にエステル基を持つセルロースエステルに関わ
り、更に詳しくはグルコースユニットのC6 位の水酸基
が選択的に置換基にされた結晶性の高い新しいセルロー
スエステル及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】セルロースエステルの一次構造を決定す
る場合、下記の構成単位I、II、III、IV、V、
VI、VIIおよびVIIIの組成比を用いて規定する
ことが現在知られている最も確実な方法と推定できる。
【0003】
【化3】
【0004】(ただし、Rは同一または異ったアシル基
を示す。)これに対して、セルロースエステルを構成す
るグルコースユニットのC2 、C 3 ,C6 位炭素の各々
に結合する水酸基が置換基で置き替わった割合<<f2
>>,<<f3 >>,<<f6 >>や置換基のグルコー
スユニットに対するモル比である全置換度<<F>>が
現在まで頻繁に使用されてきた。これらは、下記の式で
関係付けられる。
【0005】 <<f2 >>=R(II)+R(V)+R(VI)+R(VIII) <<f3 >>=R(III)+R(V)+R(VII)+R(VIII) <<f6 >>=R(IV)+R(VI)+R(VII)+R(VIII) <<F>>=<<f2 >>+<<f3 >>+<<f6 >> (但し、R(I),R(II),R(III),R(I
V),R(V),R(VI),R(VII),R(VI
II)は、構成単位I、II、III、IV、V、V
I、VII、VIIIの構成比) セルロースエステルの代表的なものであるセルロースア
セテートは、繊維、フィルター、膜等の工業製品の素材
として用いられるセルロースの有機酸エステルであって
工業的に有用なセルロース誘導体である。
【0006】このセルロース誘導体の従来の合成法の代
表的なものとしては、下記の2種が知られている。 (1)右田、米沢、近藤「木材化学 上」共立出版(1
968)180−185頁、に記載のあるように、従
来、a.酢酸による酸化、b.塩化アセチルによる酸
化、c.ケテンによる酸化、d.無水酢酸による酸化、
e.無水酢酸−酢酸−硫酸による液相酸化、f.無水酢
酸−塩化メチレン−硫酸による液相酸化、g.繊維状酸
化、またこの様な方法で作られたセルロースアセテー
ト、特にセルローストリアセテートを原料にして酸化、
鹸化反応を利用して、アセチル基を脱離する方法が利用
されている。上記の製造法を用いれば、任意の0から3
までの全置換度を持つセルロースアセテートを得ること
ができる。
【0007】(2)A.F.Turback,A.El
−Katrawy,F.W.Snyder,and
A.B.Auerbach,U.S.Patent
4,302,252(November 24,198
1)に記載のあるように、ジメチルアセトアミドー 塩化
リチウムー ピリジンー 無水酢酸による液相酢化の合成方
法が知られている。
【0008】また、セルロースエステルの性質が、置換
基分布すなわち、上記の構成単位IからVIIIの構成
比によって劇的に変化すること、たとえばPolym.
J.15、309(1983)に記述されているように
硫酸セルロースNa塩の抗凝結性が<<f2 >>と<<
3 >>の和で決定されることや、K.Kamide,
K.Okajima,K.Kowsaka,and
T.Matsui,Polym.J.,19 1405
−1412(1987).あるいは、T.Miyamo
to,Y.Sato,T.Shibata,M.Tan
ahashi,and H.Inagaki,J.Po
lym.Sci.,Polym.Chem.Ed.,2
3 1373(1985)に記載されているようにセル
ロースアセテートの溶解性が置換基分布に支配されるこ
となどが知られている。
【0009】上記従来法(1)で合成されるセルロース
アセテートの置換基分布は、全置換度<<F>>がほぼ
0.5から3の範囲でほぼ<<f2 >>=<<f3 >>
=<<f6 >>の関係が成立し、(2)で合成されるも
のは、全置換度がほぼ0.2から1.0の範囲で<<f
3 >>、<<f2 >>、<<f6 >>の順で大きくな
る。 従来法(1)で合成されるセルロースアセテート
は、荒木綱男「繊維素化学」産業図書株式会社(195
5年)357頁−358頁に記載があるように、セルロ
ーストリアセテートは、クロロフォルム、四塩化エタ
ン、メタクレゾールに溶解し、セルローストリアセテー
トを部分鹸化したセルロースアセテートは、アセトン、
酢酸メチル、ジオキサン、トリアセチン、ギ酸メチル、
ベンジルアルコール等やメタノール・メチレンクロライ
ド、エチルアルコール・アセトジクロルヒドリン等の混
合溶媒に溶解する。また、全置換度の低下にともない含
水アセトンにも溶解し、K.Kamide,M.Sai
to,and T.Abe,Polym.J.13 4
21頁−431頁に記載のあるように全置換度0.33
−0.98で水に膨潤あるいは溶解する。また、ジメチ
ルアセトアミド、ジメチルスルホキシドは、広範囲の全
置換度のセルロースアセテートを溶解する。すなわち、
ジメチルアセトアミドの場合には、上記K.Kamid
e等の論文に記載があるように、全置換度0.49−
2.92の範囲で、光散乱測定が可能な程度に溶解し、
また、ジメチルスルホキシドに対しては、全置換度0.
25−3.0の範囲で溶液のNMR測定が可能な程度に
溶解する。
【0010】また従来法(2)で合成されるセルロース
アセテートは、全置換度に関わらず、<<f6 >>が
0.38以上のものはジメチルアセトアミドに対して溶
解あるいは膨潤する。一方、全置換度が約1.0以下の
セルロースアセテートの結晶構造に付いては、T.Mi
yamoto,Y.Sato,T.Shibata,
M.Tanahashi,and H.Inagak
i,J.Polym.Sci.,Polym.Che
m.Ed.,23 1373(1985)に報告されて
いる研究が知られているが、結晶性の絶対的な評価はな
されておらず、通常のセルロースの結晶性に比して著し
く低いものであると考えられる。これは、従来法(1)
(2)で合成されたセルロースアセテートは、置換基の
分布が不規則であることによって固体構造も結果として
アモルファスとなるためと推定できる。このため、この
全置換度領域のセルロースアセテートを繊維、膜、プラ
ッスチック加工品として用いる場合、結果として強度が
小さく耐熱性も小さくなってしまう。
【0011】一方、位置選択置換セルロース誘導体とし
ては、T.Kondo,Polymer Prepri
nt,Japan,41,430頁に記載のあるよう
に、セルロースエーテルに対してのみ合成方法が確立さ
れている。実際、C6 位のみに選択的にアルキルを持つ
アルキルセルロースは、6- O−トリチルセルロースを
用い、ジメチルスルフォキシドを主溶媒とし、アリル
化、脱トリチル、アリル基のt−BuOKによる異性
化、及び6位のアルキル化を経て、最後に異性化された
アリル基の脱離により合成される。しかしながら、この
方法は、セルロースアセテートの様なセルロースエステ
ルには全く適応できない。つまり、最後の反応過程であ
る異性化されたアリル基の脱離反応の際に結合力の弱い
アセチル基の様なエステル結合で導入された置換基も同
時に脱離してしまうためである。
【0012】以上の事実を背景に、新たに置換基分布を
制御したセルロースエステルを得ることが可能になれ
ば、一例として以下のことが可能になる。従来、ジメチ
ルアセトアミドを溶媒として紡糸されるポリアクリル繊
維やポリウレタンウレア繊維を製造する際し、ポリマー
の分子量の決定には膜浸透圧法や、光散乱法が利用され
ているが、これらの方法に用いられるセルロース膜は製
膜に混合溶媒が使用されるため、均一性、不純物の残留
の点で満足のゆくものではなかった。もし、置換基分布
の制御が可能になれば、たとえば、ジメチルアセトアミ
ドに不溶あるいは膨潤しない性質と、他の単一溶媒に容
易に溶解するセルロースエステルを得ることができ、従
来にない性質を有するセルロース膜の作製が可能であ
る。
【0013】上記の様に、今まで、置換基分布を制御し
た、位置選択置換セルロースエステルおよびその製法
は、これまで知られていなかった。このため、従来法で
得られたセルロースエステルは、全置換度0.49−
2.92の範囲でジメチルアセトアミドに溶解してしま
う性質を持ち、また結晶性も低いものしか得られなかっ
た。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、水、ジメ
チルアセトアミドに不溶かつ膨潤しない耐溶剤性の高い
セルロースエステルおよびその製造法を提供するもので
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は、下記一般式
IおよびIVで表される構造単位95%以上からなり、
かつ構造単位IVを40%以上含有することを特徴とす
る構造単位数50〜10000よりなるセルロースエス
テルに関する。また、この発明は、一般式IおよびIV
で表される構造単位98%以上からなり、かつ構造単位
IVを15%以上含有することを特徴とする構造単位数
50〜10000よりなるセルロースエステルに関する
ものである。
【0016】
【化4】
【0017】(ただし、Rはアシル基を示す。)本発明
におけるアシル基とは、R´CO−(R´は炭素数1〜
8のアルキル基)で表されるものをいい、好ましい例と
してアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基が挙げら
れる。構造単位I及び構造単位IVの和が95%以上で
あり、かつ構造単位IVが40%以上、または構造単位
Iおよび構造単位IVの和が98%以上でかつIVが1
5%以上で、このセルロースエステルはジメチルスルフ
ォキシドに溶解し均一な溶液となるため加工が可能とな
る。また、ジメチルスルフォキシド以外には不溶とな
り、水あるいはジメチルアセトアミドには溶解しない。
【0018】本発明のセルロースエステルは、構造単位
IとIVの和が95%以上である必要があるが、前記し
た構造単位II,IIIおよびV〜VIIIを5%未満
含んでいてもよい。しかしながら、本発明のセルロース
エステルは、実質的にC6 位のみに置換基を持っている
ということができる。構造単位の数は50〜10000
であるが、加工性あるいは原料となるセルロース、セル
ロースエステルの重合度を考慮すれば、好適には100
から5000までの範囲がよい。原理的には、構造単位
の数の上限に制限はない。
【0019】本発明のセルロースエステルは、特別な結
晶構造を持つ。例えば、セルロースアセテートの場合は
CuKα線を用いたX線回折曲線上の回折角2θ=9.
0、14.6、19.9、22.3度に回折ピークを持
つ。また、結晶性は、図1の様に、X線回折曲線の2θ
=5度および30度の位置を直線で結び、その直線から
のX線回折強度をI(2θ)とし、無定形のピークを代
表する20度の位置の強度I(20)、本発明のセルロ
ースアセテートの9度付近の回折ピークの強度I(9)
を用いて結晶性をI(9)/I(20)で定義するな
ら、本発明のセルロースアセテートは全置換度0.15
で0.4から0.6、0.42で0.7から0.9、
0.62で1.6から1.9、0.72で1.7から
2.1の値をとり、置換度の増加と共に増加する傾向が
ある。
【0020】この発明のセルロースエステルの製造方法
の例を以下に述べる。第1の方法は、グルコースユニッ
トのC6 位の置換度がC2 位とC3 位の置換度の和の
1.2倍以上でC6 位の置換度が0.3以上であるセル
ロースエステルに、ヒドラジンまたはその誘導体を反応
させる方法であり、C2 ,C3 位の炭素に結合するエス
テル基を優先的に脱離させることによって実質的にC6
位のみに置換基を有するセルロースエステルを得る方法
である。
【0021】第2の方法は、グルコースユニットのC6
位の置換度がC2 位とC3 位の置換度の和の1.2倍以
上でC6 位の置換度が0.3以上であるセルロースエス
テルにアシル化剤を反応させたのち、ヒドラジンまたは
その誘導体を反応させる方法である。第1の方法と第2
の方法を組合せた方法、たとえば、第1の方法を行った
のち、アシル化を行ってC6 位の置換度が高いセルロー
スエステルを得、それに再度ヒドラジンを反応させると
いうステップを必要に応じて繰り返し行うこともでき
る。
【0022】本発明に用いられる、C6 位の置換度がC
2 位とC3 位の置換度の和の1.2倍以上でC6 位の置
換度が0.3以上のセルロースエステルは、例えば、原
料となるセルロースをジメチルアセトアミド及び塩化リ
チウムの混合溶液に溶解した後、塩化アセチル、塩化プ
ロピオニルあるいは無水酢酸の様なアシル化剤とピリジ
ンの様な触媒を用いて反応を行うことによって得られ
る。この様にして得られたC6 位の置換度がC2 位、C
3 位の置換度に比して高いセルロースエステルをジメチ
ルスルフォキシドと混合することにより、セルロースエ
ステルを均一溶解ないし、溶解状態に近い高膨潤させた
組成物を得る。つぎにこの組成物に脱エステル化剤を反
応させることにより、目的とするセルロースエステルが
得られる。
【0023】本発明において使用できる脱エステル化剤
は、ヒドラジン、ヒドラジン水和物、塩化ヒドラジン、
硫酸ヒドラジンの様なヒドラジンエステル、メチルヒド
ラジン、エチルヒドラジンの様なアルキルヒドラジン及
びその水和物であり、少なくともこれらの一種以上を脱
エステル化剤として用いる。添加する脱エステル化剤の
量はセルロースエステルのグルコースユニットあたり
0.2倍モルから10倍モルである。0.2倍モル未満
では、グルコースユニットのC2 ,C3 位炭素に結合す
る水酸基がアセチル基で置き変わったままであり、目的
とするセルロースエステル得ることができない。また、
添加量の上限は限定的ではないが、10倍モル以上加え
ることは経済的に意味がない。
【0024】脱エステル化反応は、18℃〜190℃、
好適には25℃〜80℃で放置あるいは撹拌することに
より行われる。脱エステル化反応の初期では、グルコー
スユニットのC2 ,C3 ,C6 位の炭素に結合する水酸
基の内、C2 ,C3 位炭素は置換基と置き変わったまま
でいる場合があり、目的とするセルロースエステルは得
られない。しかしながら、脱エステル化反応が進行する
とともにC6 位炭素に結合する水酸基のみが選択的に置
換基と置き変わっていることを特徴とするセルロースエ
ステルとなる。これは、T.Miyamoto,Y.S
ato,T.Shibata,and H.inaga
ki,J.Polym.Sci.,Polym.Che
m.Ed.,222363−2370(1984).あ
るいは、Y.Tezuka,M.Oshima,K.I
toh,Polymer Preprint,Japa
n,41,4106(1992).に記載のある方法お
よびその類似の方法で置換基分布を確認できる。
【0025】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する。実
施例により得られたセルロースエステルの溶剤溶解性、
結晶性、構成単位の数は、まとめて表1に示した。な
お、溶解性は、セルロースエステルが3wt%の濃度に
なるようにジメチルアセトアミドと混合し、60℃で5
時間攪拌した後の状態を肉眼で判定した。また、ジメチ
ルスルフォキシドについても同様な条件で、溶解性の判
定を行った。
【0026】
【実施例1】ジメチルアセトアミド1897gと30g
のセルロースを混合し窒素雰囲気化で160℃で30分
間還流した後に100℃まで冷却して165gの塩化リ
チウムを加え、約1週間撹拌を続けセルロース溶液を調
製した。この様に調製したセルロース溶液の2000g
に146.5gのピリジンと189gの無水酢酸を混合
し均一な溶液とし反応原液を作った。反応原液を30℃
で3時間撹拌をつづけた後、約20リッターのエチルア
ルコールと混合し、沈澱物を濾過分離した。分離された
沈澱物を大量のエチルアルコールで5回洗浄し、真空乾
燥器で乾燥した。この結果乾燥した沈澱物の重量は、3
4.4gであった。この様にした回収した沈澱物の一部
でIR測定あるいはジメチルスルフォオキシドー d6
溶解し13CNMRスペクトルを測定した結果、セルロー
スアセテートであることが判明した。T.Miyamo
to,Y.Sato,T.Shibata,and
H.inagaki,J.Polym.Sci.,Po
lym.Chem.Ed.,22 2363−2370
(1984).に記載された方法で13CNMRスペクト
ルの測定結果より全置換度(<<F>>)、およびグル
コースユニットのC 2 ,C3 ,C6 位炭素に結合する水
酸基がアセチル基で置き変わった割合(<<f2 >>、
<<f3 >>、<<f6 >>)を決定した結果、それぞ
れ<<F>>=1.02、<<f2 >>=0.27、<
<f3 >>=0.17、<<f6 >>=0.58であっ
た。この試料をCA01と呼ぶ。このCA01はジメチ
ルアセトアミドに可溶であった。
【0027】上記の様にして合成された20gのCA0
1を980gのジメチルスルフォキシドと混合し、溶解
して均一の溶液とした後、4.8gのヒドラジン1水和
物を混合し30℃で24時間撹拌混合を続けた後、10
リッターのエチルアルコールと混合し、沈澱物を濾過分
離した。分離された沈澱物を大量のエチルアルコールで
5回洗浄し、真空乾燥器で乾燥した。この結果乾燥した
沈澱物の重量は、12gであった。この様にした回収し
た沈澱物の一部でIR測定あるいはジメチルスルフォオ
キシドー d6 に溶解し13CNMRスペクトルを測定した
結果、セルロースアセテートであることが判明した。
T.Miyamoto,Y.Sato,T.Shiba
ta,and H.inagaki,J.Polym.
Sci.,Polym.Chem.Ed.,22 23
63−2370(1984).に記載された方法で13
NMRスペクトルの測定結果より<<F>>、および<
<f 2 >>、<<f3 >>、<<f6 >>を決定した結
果、それぞれ<<F>>=0.33、<<f2 >>=
0、<<f3 >>=0、<<f6 >>=0.33であっ
た。またこれは、発明の詳細な説明で定義した構造単位
IおよびIVの和が実質的に100%であり、かつ、構
造単位IVを33%含有するセルロースアセテートと言
いかえることができる。このセルロースアセテートをS
CA01−1と呼ぶ。
【0028】また2gのCA01を98gのジメチルス
ルフォキシドと混合し、溶解して均一の溶液とした後、
0.48gのヒドラジン1水和物を混合し30℃で48
時間撹拌混合を続けた後、1リッターのエチルアルコー
ルと混合し、沈澱物を濾過分離した。分離された沈澱物
を大量のエチルアルコールで5回洗浄し、真空乾燥器で
乾燥した。この結果乾燥した沈澱物の重量は、1.0g
であった。この様にした回収した沈澱物の一部でIR測
定あるいはジメチルスルフォオキシドー d6 に溶解し13
CNMRスペクトルを測定した結果、セルロースアセテ
ートであることが判明した。T.Miyamoto,
Y.Sato,T.Shibata,and H.in
agaki,J.Polym.Sci.,Polym.
Chem.Ed.,22 2363−2370(198
4).に記載された方法で13CNMRスペクトルの測定
結果より<<F>>、および<<f2 >>、<<f3
>、<<f6 >>を決定した結果、それぞれ<<F>>
=0.15、<<f2 >>=0、<<f3 >>=0、<
<f6 >>=0.15であった。またこれは、発明の詳
細な説明で定義した構造単位IおよびIVの和が実質的
に100%であり、かつ、構造単位IVを15%含有す
るセルロースアセテートと言いかえることができる。こ
のセルロースアセテートをSCA01−2と呼ぶ。
【0029】さらに、ジメチルアセトアミド632gと
10gのSCA01−1を混合し窒素雰囲気化で160
℃で30分間還流した後に100℃まで冷却して55g
の塩化リチウムを加え、約1週間撹拌を続けセルロース
アセテート溶液を調製した。この様に調製した665g
のセルロース溶液に48.8gのピリジンと63gの無
水酢酸を混合し均一な溶液とし反応原液を作った。反応
原液を30℃で3時間撹拌をつづけた後、約10リッタ
ーのエチルアルコールと混合し、沈澱物を濾過分離し
た。分離された沈澱物を大量のエチルアルコールで5回
洗浄し、真空乾燥器で乾燥した。この結果乾燥した沈澱
物の重量は、10.5gであった。この様にした回収し
た沈澱物の一部でIR測定あるいはジメチルスルフォオ
キシドー d 6 に溶解し13CNMRスペクトルを測定した
結果、セルロースアセテートであることが判明した。13
CNMRスペクトルの測定結果より<<F>>、および
<<f2 >>、<<f3 >>、<<f6 >>を決定した
結果、それぞれ<<F>>=1.11、<<f2 >>=
0.25、<<f3 >>=0.16、<<f6 >>=
0.70であった。この試料をCA02と呼ぶ。
【0030】上記の様にして合成された10gのCA0
2を490gのジメチルスルフォキシドと混合し、溶解
して均一の溶液とした後、2.4gのヒドラジン1水和
物を混合し30℃で24時間撹拌混合を続けた後、10
リッターのエチルアルコールと混合し、沈澱物を濾過分
離した。分離された沈澱物を大量のエチルアルコールで
5回洗浄し、真空乾燥器で乾燥した。この結果乾燥した
沈澱物の重量は、7.5gであった。この様にした回収
した沈澱物の一部でIR測定あるいはジメチルスルフォ
オキシドー d6 に溶解し13CNMRスペクトルを測定し
た結果、セルロースアセテートであることが判明した。
13CNMRスペクトルの測定結果より<<F>>、およ
び<<f2 >>、<<f3 >>、<<f6 >>を決定し
た結果、それぞれ<<F>>=0.42、<<f2 >>
=0、<<f3 >>=0、<<f 6 >>=0.42であ
った。またこれは、発明の詳細な説明で定義した構造単
位IおよびIVの和が実質的に100%であり、かつ、
構造単位IVを42%含有するセルロースアセテートと
言いかえることができる。このセルロースアセテート
は、ジメチルスルフォキシドにのみ溶解し、水、ジメチ
ルアセトアミド、アセトン、メタノール、ジクロロメタ
ン、メチルセロソルブなどに不溶であった。また、ジメ
チルスルフォキシドにこのセルロースアセテートを溶解
した後、常法の光散乱測定を行い重量平均重合度を測定
した結果、5000であった。
【0031】このセルロースアセテートをSCA02と
呼ぶ。
【0032】
【実施例2】ジメチルアセトアミド316gと5gのS
CA02を混合し窒素雰囲気化で160℃で30分間還
流した後に100℃まで冷却して27.5gの塩化リチ
ウムを加え、約1週間撹拌を続けセルロースアセテート
溶液を調製した。この様に調製した333gのセルロー
ス溶液に24.4gのピリジンと30.0gの無水酢酸
を混合し均一な溶液とし反応原液を作った。反応原液を
30℃で3時間撹拌をつづけた後、約5リッターのエチ
ルアルコールと混合し、沈澱物を濾過分離した。分離さ
れた沈澱物を大量のエチルアルコールで5回洗浄し、真
空乾燥器で乾燥した。この結果乾燥した沈澱物の重量
は、5.5gであった。この様にして回収した沈澱物の
一部でIR測定あるいはジメチルスルフォオキシドー d
6 に溶解し 13CNMRスペクトルを測定した結果、セル
ロースアセテートであることが判明した。13CNMRス
ペクトルの測定結果より<<F>>、および<<f2
>、<<f3 >>、<<f6 >>を決定した結果、それ
ぞれ<<F>>=1.16、<<f2 >>=0.23、
<<f3 >>=0.12、<<f6 >>=0.81であ
った。このセルロースアセテートをCA03と呼ぶ。こ
のセルロースアセテートはジメチルアセトアミドに溶解
した。
【0033】上記の様にして合成された5gのCA03
を245gのジメチルスルフォキシドと混合し、溶解し
て均一の溶液とした後、1.2gのヒドラジン1水和物
を混合し30℃で24時間撹拌混合を続けた後、200
0ccのエチルアルコールと混合し、沈澱物を濾過分離
した。分離された沈澱物を大量のエチルアルコールで5
回洗浄し、真空乾燥器で乾燥した。この結果乾燥した沈
澱物の重量は、4.1gであった。この様にした回収し
た沈澱物の一部でIR測定あるいはジメチルスルフォオ
キシドー d6 に溶解し13CNMRスペクトルを測定した
結果、セルロースアセテートであることが判明した。13
CNMRスペクトルの測定結果より<<F>>、および
<<f2 >>、<<f3 >>、<<f6 >>を決定した
結果、それぞれ<<F>>=0.52、<<f2 >>=
0、<<f3 >>=0、<<f6>>=0.52であっ
た。またこれは、発明の詳細な説明で定義した構造単位
IおよびIVの和が実質的に100%であり、かつ、構
造単位IVを52%含有するセルロースアセテートと言
いかえることができる。このセルロースアセテートは、
ジメチルスルフォキシドにのみ溶解し、水、ジメチルア
セトアミド、アセトン、メタノール、ジクロロメタン、
メチルセロソルブなどに不溶であった。 このセルロー
スアセテートをSCA03と呼ぶ。
【0034】
【実施例3】ジメチルアセトアミド189.6gと3g
のSCA03を混合し窒素雰囲気化で160℃で30分
間還流した後に100℃まで冷却して16.5gの塩化
リチウムを加え、約1週間撹拌を続けセルロースアセテ
ート溶液を調製した。この様に調製した200gのセル
ロースアセテート溶液に14.6gのピリジンと18.
0gの無水酢酸を混合し均一な溶液とし反応原液を作っ
た。反応原液を30℃で3時間撹拌をつづけた後、約2
リッターのエチルアルコールと混合し、沈澱物を濾過分
離した。分離された沈澱物を大量のエチルアルコールで
5回洗浄し、真空乾燥器で乾燥した。この結果乾燥した
沈澱物の重量は、3.3gであった。この様にした回収
した沈澱物の一部でIR測定あるいはジメチルスルフォ
オキシドー d6 に溶解し13CNMRスペクトルを測定し
た結果、セルロースアセテートであることが判明した。
13CNMRスペクトルの測定結果より全置換度<<F>
>、および<<f2 >>、<<f3 >>、<<f6 >>
を決定した結果、それぞれ<<F>>=1.22、<<
2 >>=0.20、<<f3 >>=0.12、<<f
6 >>=0.90であった。このセルロースアセテート
をCA04と呼ぶ。
【0035】上記の様にして合成された3gのCA04
を150gのジメチルスルフォキシドと混合し、溶解し
て均一の溶液とした後、0.7gのヒドラジン1水和物
を混合し30℃で24時間撹拌混合を続けた後、100
0ccのエチルアルコールと混合し、沈澱物を濾過分離
した。分離された沈澱物を大量のエチルアルコールで5
回洗浄し、真空乾燥器で乾燥した。この結果乾燥した沈
澱物の重量は、2.3gであった。この様にした回収し
た沈澱物の一部でIR測定あるいはジメチルスルフォオ
キシドー d6 に溶解し13CNMRスペクトルを測定した
結果、セルロースアセテートであることが判明した。13
CNMRスペクトルの測定結果より<<F>>および<
<f2 >>、<<f3 >>、<<f6 >>を決定した結
果、それぞれ<<F>>=0.62、<<f2 >>=
0、<<f3 >>=0、<<f6 >>=0.62であっ
た。またこれは、発明の詳細な説明で定義した構造単位
IおよびIVの和が実質的に100%であり、かつ、構
造単位IVを62%含有するセルロースアセテートと言
いかえることができる。このセルロースアセテートは、
ジメチルスルフォキシドにのみ溶解し、水、ジメチルア
セトアミド、アセトン、メタノール、ジクロロメタン、
メチルセロソルブなどに不溶であった。
【0036】このセルロースアセテートをSCA04と
呼ぶ。
【0037】
【実施例4】ジメチルアセトアミド95gと1.5gの
SCA04を混合し窒素雰囲気化で160℃で30分間
還流した後に100℃まで冷却して8.3gの塩化リチ
ウムを加え、約1週間撹拌を続けセルロースアセテート
溶液を調製した。この様に調製した100gのセルロー
ス溶液に7.5gのピリジンと9gの無水酢酸を混合し
均一な溶液とし反応原液を作った。反応原液を30℃で
3時間撹拌をつづけた後、約1リッターのエチルアルコ
ールと混合し、沈澱物を濾過分離した。分離された沈澱
物を大量のエチルアルコールで5回洗浄し、真空乾燥器
で乾燥した。この結果乾燥した沈澱物の重量は、1.7
gであった。この様にした回収した沈澱物の一部でIR
測定あるいはジメチルスルフォオキシドー d6 に溶解し
13CNMRスペクトルを測定した結果、セルロースアセ
テートであることが判明した。13CNMRスペクトルの
測定結果より<<F>>、および<<f2 >>、<<f
3>>、<<f6 >>を決定した結果、それぞれ<<F
>>=1.30、<<f2>>=0.18、<<f3
>=0.13、<<f6 >>=0.99であった。この
試料をCA05と呼ぶ。
【0038】上記の様にして合成された1.5gのCA
05を75gのジメチルスルフォキシドと混合し、溶解
して均一の溶液とした後、0.3gのヒドラジン1水和
物を混合し、38.4gづつ2つの容器に分割し、各々
30℃で18、24時間撹拌混合を続けた後、1000
ccのエチルアルコールと混合し、沈澱物を濾過分離し
た。分離された沈澱物を大量のエチルアルコールで5回
洗浄し、真空乾燥器で乾燥した。この結果乾燥した沈澱
物の重量は、18時間撹拌したものは0.6gであり、
24時間撹拌したものは0.5gであった。前者SCA
05−1、後者をSCA05−2と呼ぶ。この様にした
回収した沈澱物の一部でIR測定あるいはジメチルスル
フォオキシドー d6 に溶解し13CNMRスペクトルを測
定した結果、セルロースアセテートであることが判明し
た。13CNMRスペクトルの測定結果よりSCA05−
1の<<F>>、および<<f2 >>、<<f3 >>、
<<f6 >>を決定した結果、それぞれ<<F>>=
0.82、<<f2 >>=0.02、<<f3 >>=
0.01、<<f6 >>=0.79でありこれは、発明
の詳細な説明で定義した構造単位IおよびIVの和が実
質的に95%以上であり、かつ、構造単位IVを75%
程度含有するセルロースアセテートと言いかえることが
できる。、SCA05−2の<<F>>、および<<f
2 >>、<<f3>>、<<f6 >>を決定した結果、
それぞれ<<F>>=0.72、<<f2>>=0、<
<f3 >>=0、<<f6 >>=0.72であった。ま
たこれは、発明の詳細な説明で定義した構造単位Iおよ
びIVの和が実質的に100%であり、かつ、構造単位
IIを72%含有するセルロースアセテートと言いかえ
ることができる。このセルロースアセテートは、ジメチ
ルスルフォキシドにのみ溶解し、水、ジメチルアセトア
ミド、アセトン、メタノール、ジクロロメタン、メチル
セロソルブなどに不溶であった。
【0039】さらにジメチルアセトアミド32gと0.
5gのSCA05ー1を混合し窒素雰囲気化で160℃
で30分間還流した後に100℃まで冷却して2。7g
の塩化リチウムを加え、約1週間撹拌を続けセルロース
アセテート溶液を調製した。この様に調製した100g
のセルロース溶液に2.5gのピリジンと2gの無水酢
酸を混合し均一な溶液とし反応原液を作った。反応原液
を30℃で3時間撹拌をつづけた後、約1リッターのエ
チルアルコールと混合し、沈澱物を濾過分離した。分離
された沈澱物を大量のエチルアルコールで5回洗浄し、
真空乾燥器で乾燥した。この結果乾燥した沈澱物の重量
は、0.5gであった。この様にした回収した沈澱物の
一部でIR測定あるいはジメチルスルフォオキシドー d
6 に溶解し13CNMRスペクトルを測定した結果、セル
ロースアセテートであることが判明した。13CNMRス
ペクトルの測定結果より<<F>>、および<<f2
>、<<f3 >>、<<f6 >>を決定した結果、それ
ぞれ<<F>>=1.11、<<f2 >>=0.08、
<<f3 >>=0.06、<<f6 >>=0.97であ
った。この試料をCA06と呼ぶ。
【0040】上記の様にして合成された0.5gのCA
06を25gのジメチルスルフォキシドと混合し、溶解
して均一の溶液とした後、0.1gのヒドラジン1水和
物を混合し、30℃で12時間撹拌混合を続けた後、1
000ccのエチルアルコールと混合し、沈澱物を濾過
分離した。分離された沈澱物を大量のエチルアルコール
で5回洗浄し、真空乾燥器で乾燥した。沈澱物の一部で
IR測定あるいはジメチルスルフォオキシドー d6 に溶
解し13CNMRスペクトルを測定した結果、セルロース
アセテートであることが判明した。13CNMRスペクト
ルの測定結果より<<F>>、および<<f2 >>、<
<f3 >>、<<f6 >>を決定した結果、それぞれ<
<F>>=0.93、<<f2 >>=0.02、<<f
3 >>=0、<<f6 >>=0.91でありこれは、発
明の詳細な説明で定義した構造単位IおよびIVの和が
実質的に95%以上であり、かつ、構造単位IVを90
%程度含有するセルロースアセテートと言いかえること
ができる。このセルロースアセテートは、ジメチルスル
フォキシドにのみ溶解し、水、ジメチルアセトアミド、
アセトン、メタノール、ジクロロメタン、メチルセロソ
ルブなどに不溶であった。 SCA02、SCA03、
SCA04、SCA05−2の13CNMRスペクトルを
図2に示す。
【0041】図2のスペクトルより本発明で得られたセ
ルロースアセテートは、グルコースユニットのC2 ,C
3 ,C6 位の炭素に結合する水酸基の内、C2 ,C3
炭素に結合する水酸基が置換基と置き変わっていないこ
とを特徴とする、つまり、発明の詳細な説明で定義した
構造単位IおよびIVの和が実質的に100%である。
セルロースアセテートであることが、T.Miyamo
to,Y.Sato,T.Shibata,and
H.inagaki,J.Polym.Sci.,Po
lym. Chem. Ed., 22 2363−2
370(1984)に記載の方法より証明できる。
【0042】SCA02、SCA04,SCA05ー2
のX線回折図を図3に示す。
【0043】
【実施例5】アセチル基の置換度および置換基分布が<
<F>>=2.26、<<f2 >>=0.65、<<f
3 >>=0.74、<<f6 >>=0.87、ブチル基
の置換度および置換基分布が<<F>>=0.74、<
<f2 >>=0.35、<<f3 >>=0.26、<<
6 >>=0.13のセルロースアセテートブチレート
50gを2450gのジメチルスルフォキシドと混合
し、溶解して均一の溶液とした後、100gのヒドラジ
ン1水和物を混合し30℃で5時間撹拌混合を続けた
後、20リッターのエチルアルコールと混合し、沈澱物
を濾過分離した。分離された沈澱物を大量のエチルアル
コールで5回洗浄し、真空乾燥器で乾燥した。沈澱物の
一部でIR測定あるいはジメチルスルフォオキシドー d
6 に溶解し13CNMRスペクトルを測定した結果、セル
ロースアセテートブチレートであることが判明した。13
CNMRスペクトルの測定結果を用いPolymer
Preprint,Japan、41 4106ー41
08(1992)に記載された方法でアセチル基および
ブチル基の置換度および置換基分布を決定した結果、ア
セチル基の置換度および置換基分布は<<F>>=0.
25、<<f2 >>=0.01、<<f3 >>=0、<
<f6 >>=0.24ブチル基はそれぞれ<<F>>=
0.09、<<f2 >>=0、<<f3 >>=0、<<
6 >>=0.09であった。
【0044】このようにして得られた、セルロースアセ
テートブチレート5gをジメチルアセトアミド316g
と混合し窒素雰囲気化で160℃で30分間還流した後
に100℃まで冷却して27.5gの塩化リチウムを加
え、約1週間撹拌を続けセルロースアセテートブチレー
ト溶液を調製した。この様に調製した333gのセルロ
ースアセテートブチレート溶液に24.4gのピリジン
と30.0gの無水酢酸を混合し均一な溶液とし反応原
液を作った。反応原液を30℃で3時間撹拌をつづけた
後、約5リッターのエチルアルコールと混合し、沈澱物
を濾過分離した。分離された沈澱物を大量のエチルアル
コールで5回洗浄し、真空乾燥器で乾燥した。この結果
乾燥した沈澱物の重量は、5.5gであった。
【0045】上記の様にして合成された5gのセルロー
スアセテートブチレートを245gのジメチルスルフォ
キシドと混合し、溶解して均一の溶液とした後、1.2
gのヒドラジン1水和物を混合し30℃で24時間撹拌
混合を続けた後、2000ccのエチルアルコールと混
合し、沈澱物を濾過分離した。分離された沈澱物を大量
のエチルアルコールで5回洗浄し、真空乾燥器で乾燥し
た。この結果乾燥した沈澱物の重量は、4.1gであっ
た。この様にした回収した沈澱物の一部でIR測定ある
いはジメチルスルフォオキシドー d6 に溶解し13CNM
Rスペクトルを測定した結果、セルロースアセテートブ
チレートであることが判明した。13CNMRスペクトル
の測定結果よりアセチル基およびブチル基の置換度およ
び置換基分布を決定した結果、アセチル基の置換度およ
び置換基分布は<<F>>=0.36、<<f2 >>=
0、<<f3 >>=0、<<f6 >>=0.36、ブチ
ル基はそれぞれ<<F>>=0.06、<<f2 >>=
0、<<f3 >>=0、<<f6 >>=0.06であっ
た。これは、発明の詳細な説明で定義した構造単位Iお
よびIVの和が実質的に100%であり、かつ、構造単
位IVを42%含有するセルロースアセテートブチレー
トと言いかえることができる。このセルロースアセテー
トブチレートは、ジメチルスルフォキシドにのみ溶解
し、水、ジメチルアセトアミド、アセトン、メタノー
ル、ジクロロメタン、メチルセロソルブなどに不溶であ
った。このセルロースアセテートブチレートをSCB0
1と呼ぶ。
【0046】
【実施例6】実施例2で合成された2gのCA03を9
8gのジメチルスルフォキシドと混合し、溶解して均一
の溶液とした後、0.30gのヒドラジンを混合し30℃で
30時間撹拌混合を続けた後、1000ccのエチルア
ルコールと混合し、沈澱物を濾過分離した。分離された
沈澱物を大量のエチルアルコールで5回洗浄し、真空乾
燥器で乾燥した。この結果乾燥した沈澱物の重量は、
1.2gであった。この様にした回収した沈澱物の一部
でIR測定あるいはジメチルスルフォオキシドーd6
溶解し13CNMRスペクトルを測定した結果、セルロー
スアセテートであることが判明した。13CNMRスペク
トルの測定結果より<<F>>、および<<f2 >>、
<<f3 >>、<<f6 >>を決定した結果、それぞれ
<<F>>=0.43、<<f2 >>=0、<<f3
>=0、<<f6 >>=0.43であった。このセルロ
ースアセテートは、ジメチルスルフォキシドにのみ溶解
し、水、ジメチルアセトアミド、アセトン、メタノー
ル、ジクロロメタン、メチルセロソルブなどに不溶であ
った。
【0047】
【実施例7】実施例2で合成された2gのCA03を9
8gのジメチルスルフォキシドと混合し、溶解して均一
の溶液とした後、0.40gのメチルヒドラジンを混合し3
0℃で36時間撹拌混合を続けた後、1000ccのエ
チルアルコールと混合し、沈澱物を濾過分離した。分離
された沈澱物を大量のエチルアルコールで5回洗浄し、
真空乾燥器で乾燥した。この結果乾燥した沈澱物の重量
は、1.2gであった。この様にした回収した沈澱物の
一部でIR測定あるいはジメチルスルフォオキシドー d
6 に溶解し13CNMRスペクトルを測定した結果、セル
ロースアセテートであることが判明した。13CNMRス
ペクトルの測定結果より<<F>>、および<<f2
>、<<f3 >>、<<f6 >>を決定した結果、それ
ぞれ<<F>>=0.41、<<f2 >>=0.01、
<<f3 >>=0、<<f6 >>=0.40であった。
このセルロースアセテートは、ジメチルスルフォキシド
にのみ溶解し、水、ジメチルアセトアミド、アセトン、
メタノール、ジクロロメタン、メチルセロソルブなどに
不溶であった。
【0048】
【参考例】実施例1で得られたSCA02、および実施
例4で得られたCA05、SCA05−2のそれぞれ2
gを18gのジメチルスルフォキシドに溶解し各々の溶
液を調製した。各溶液を10cm×10cmのガラス上
に1cc流延し100度で真空乾燥しての約5cmの直
径の円状の膜を各々のセルロースアセテートについて5
枚得た。SCA02およびSCA05−2の膜は水、ジ
メチルアセトアミド中に24時間浸漬しても、膨潤およ
び溶解せず膜の引っ張り強度も変化しなかった。またC
A05の膜を水、ジメチルアセトアミド中に24時間浸
漬した場合、溶解、膨潤は観測されなかったが、引っ張
り強度は浸漬前の膜より低下した。
【0049】
【比較例1】置換度2.5の市販のセルロースアセテー
ト30gを150gの酢酸と54gの水からなる酢酸水
溶液に完全に溶解した後、4.5gの12N塩酸を添加
し40℃で8時間撹拌した後20mlの水を添加しさら
に24時間後に40mlの水を添加した。塩酸添加後、
50、74、98時間後に反応原液より50mlづつ取
り出し、アセトン中に沈澱させ、大量のエタノール数回
洗浄し沈澱物を精製した。
【0050】得られた精製物はIR、および13CNMR
測定よりセルロースアセテートであることが確認でき、
置換度はそれぞれ<<F>>=0.95(<<f2 >>
=0.32,<<f3 >>=0.30,<<f6 >>=
0.33)、<<F>>=0.64(<<f2 >>=
0.23,<<f3 >>=0.16,<<f6 >>=
0.25)、<<F>>=0.43(<<f2 >>=
0.11,<<f3 >>=0.10,<<f6 >>=
0.21)であった。この様にして得られたセルロース
アセテートは、すべて水、ジメチルアセトアミドに可溶
であった。さらに参考例と同様な方法で直径約5cmの
円状の膜を製作し、24時間ジメチルアセトアミドに浸
漬したところ、すべての膜は溶解してしまった。なお、
<<F>>=0.64(<<f2 >>=0.23,<<
3 >>=0.16,<<f6 >>=0.25)のセル
ロースアセテートのX線回折図を図4に示した。
【0051】
【比較例2】ジメチルアセトアミド189gと3gのセ
ルロースを混合し窒素雰囲気化で160℃で30分間還
流した後に100℃まで冷却して16.5gの塩化リチ
ウムを加え、約1週間撹拌を続けセルロース溶液を調製
した。この様に調製したセルロース溶液の200gに
5.5gのピリジンと6.8gの無水酢酸を混合し均一
な溶液とし反応原液を作った。反応原液を30℃で3時
間撹拌をつづけた後、約2リッターのエチルアルコール
と混合し、沈澱物を濾過分離した。分離された沈澱物を
大量のエチルアルコールで5回洗浄し、真空乾燥器で乾
燥した。この結果乾燥した沈澱物の重量は、3.4gで
あった。この様にした回収した沈澱物の一部でIR測定
あるいはジメチルスルフォオキシドー d6 に溶解し13
NMRスペクトルを測定した結果、それぞれ<<F>>
=0.34、<<f2 >>=0.08、<<f3 >>=
0.05、<<f6 >>=0.21であるセルロースア
セテートであった。このセルロースアセテートを用いて
参考例と同様な方法で約5cmの円状の膜を製作し、ジ
メチルアセトアミドに24時間浸漬した後、その引っ張
り強度を測定した結果、浸漬前の約12分の1の強度に
低下していることがわかった。
【0052】
【表1】
【0053】
【発明の効果】本発明のセルロースエステルは、溶媒に
侵されない全置換度1以下のセルロースエステルであ
る。本発明によって得られるセルロースエステルを用い
れば、耐溶剤性の高い、繊維、膜等を製造することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】セルロースエステルの結晶性の評価方法の説明
図である。
【図2】本発明のセルロースエステルの13CNMRスペ
クトル図である。
【図3】本発明のセルロースエステルのX線回折図であ
る。
【図4】従来法で合成されたセルロースエステルのX線
回折図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式IおよびIVで表される構造単位
    95%以上からなり、かつ構造単位IVを40%以上含
    有することを特徴とする構造単位の数が50〜1000
    0よりなるセルロースエステル。 【化1】 (ただし、Rはアシル基を示す。)
  2. 【請求項2】 一般式IおよびIVで表される構造単位
    98%以上からなり、かつ構造単位IVを15%以上含
    有することを特徴とする構造単位の数が50〜1000
    0よりなるセルロースエステル。 【化2】 (ただし、Rはアシル基を示す。)
  3. 【請求項3】 グルコースユニットのC6 位の置換度が
    2 位とC3 位の置換度の和の1.2倍以上で、C6
    の置換度が0.3以上であるセルロースエステルに、ヒ
    ドラジンまたはその誘導体を反応させることを特徴とす
    る実質的にC 6 位のみに置換基を有するセルロースエス
    テルの製造法。
  4. 【請求項4】 グルコースユニットのC6 位の置換度が
    2 位とC3 位の置換度の和の1.2倍以上で、C6
    の置換度が0.3以上であるセルロースエステルにアシ
    ル化剤を反応させたのち、ヒドラジンまたはその誘導体
    を反応させることを特徴とする実質的にC6 位のみに置
    換基を有するセルロースエステルの製造法。
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