JPH077001B2 - 回転駆動式計器と回転ケーブルとの連結装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は回転駆動式計器と回転ケーブルとの連結装置に
係り、より詳細には、計器に対するケーブルの連結及び
計器からのケーブルの離脱をワンタッチで行えるように
した連結装置に関するものである。

〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕

回転駆動式計器の一例として車両用の速度計がある。該
計器は車速に比例した回転数で駆動される永久磁石を有
し、該永久磁石は軸の一端に固定され、該軸の他端部は
計器ケースに固定したステムにその中心部の孔に回転自
在に嵌合されて支持されている。上記軸には、一端が車
両のトランスミションに連結された回転ケーブル内のイ
ンナーの先端が嵌合されて回転が伝達されるようになっ
ている。上記回転ケーブルはインナーと該インナーを回
転自在に収容しているアウターチューブとを有し、アウ
ターチューブに固着された連結装置によって上記計器に
着脱自在に連結されるようになっている。

第４図及び第５図は従来のこの種の連結装置の一例を示
す。

図において、１は図示しないケーブルの一端に加締め固
定されいる金属材料からなる結合筒であり、その内壁は
上記計器の図示しないステムの外周に嵌合し、回転ケー
ブルのインナーから上記軸への回転伝達を円滑に行える
ようにする。２は弾性のある合成樹脂の一体成形により
作られた結合子であり、該結合子２は前記結合筒１に嵌
合固定される円輪2aと該円輪2aから延びる２本の連結部
2bと該２本の連結部2bの先端に支持されたレバー2cとか
らなる。３は結合筒１に嵌合した結合子２をその位置で
結合筒１に固定する止め輪であり、該止め輪３は結合筒
１の外周に圧入嵌合されて固定されることによって結合
筒からの結合子２の抜けを阻止する。

前記レバー2cの先端には、内側に突き出して上記結合筒
１の開口1aを通じて計器のステムの外周の環状溝（図示
せず）に係合する爪2c′が形成されている。レバー2cの
中間部は結合子２を結合筒１に嵌合した状態で結合筒１
の外周に接触し、レバー2cの他端を矢印Ｐのように押し
たとき前記爪2c′が矢印Ｄ方向に動かす挺子運動の支点
として働く。

なお、結合筒１及び結合子２には、結合子２のレバー2c
の爪2c′が結合筒１の開口1aに入り込んだ状態で互いに
係合して回転方向の位置決めを行う凹部1b及び凸部2dが
それぞれ形成されている。

以上の構成により、計器と回転ケーブルとを連結する際
には、ステムの外周に結合筒１の内周を嵌合させて連結
装置を押し込むと、結合子２が弾性体で作られているた
め、レバー2cの爪2c′はステムの外周に乗り上げて外側
に移動され、ステム外周を滑ってステムの環状溝まで進
んだときこれに係合して計器と回転ケーブルとの連結固
定を行う。連結を解くときには、レバー2cを矢印Ｐの方
向に指で押せば爪2c′が矢印Ｄ方向に動いてステムの環
状溝との係合が外れ、この状態で連結装置を引けば回転
ケーブルは計器との連結が簡単に外せる。

第６図及び第７図について上述した従来の連結装置で
は、その構成部品が３個であるため組立に工数がかかり
組立コストが高くつく他、結合筒１が金属製であるため
重く、しかも結合子２を結合筒１に固定するのに金属製
の止め輪３を圧入しているため圧入の際にメッキが剥が
れて錆が生じ易くなったり、圧入のための特別な組立治
具を必要とする等の問題点があった。

そこで従来、第６図に示すように、合成樹脂の一体成形
により連結装置の結合筒１及び結合子２を一体物として
構成し、結合筒１に直接レバー2cを設けた構造となし、
組立を行うことを必要なくしてその分のコスト低減を図
ると共に、組立治具を必要なくし、かつ全体の樹脂化に
より軽量化等を図ったものが考えられている。

しかし、この一体成形した連結装置では、成形型の都合
で結合筒１に大きなＵ字状の長孔1bが形成されるように
なるため、結合筒１が弱体化してしまい、熱によるクリ
ープ変形や応力による曲がりが結合筒１に生じてしまう
ようになる。このような曲がりが生じると、回転ケーブ
ルのインナーと計器の軸との嵌合が理想的な状態で行わ
れなくなり、計器の指針振れや異音発生が生じる等の別
の問題が発生するようになる。

よって本発明は、部品点数が少なく組立が簡単でかつ組
立のローコスト化を図ることができると共に、堅牢で曲
がりが生じることがなく、かつ錆ることのない回転駆動
式計器と回転ケーブルとの連結装置を提供することを課
題としている。

〔課題を解決するための手段〕

上記課題を解決するため本発明により成された回転駆動
式計器と回転ケーブルとの連結装置は、回転ケーブルの
先端に固着するためのケーブル固着部と回転駆動式計器
の回転受入部のステムに嵌入するためのステム嵌合筒部
と前記ケーブル固着部と前記ステム嵌合筒部とを連結し
ている結合子嵌着部として働く中間連結部とを有し、合
成樹脂により一体成形された結合筒と、前記結合子嵌着
部に嵌合される欠円状の嵌合部と該嵌合部の欠円端から
延びている２本の連結片と該連結片を跨いで設けられ両
連結片により支持されたレバーとを有し、該レバーには
先端に前記ステムの外周に係合する爪を、中間部に前記
結合筒の外周面と接触する梃子支点をそれぞれ設け、弾
性を有する合成樹脂により一体成形された結合子とを備
え、前記嵌合部の各欠円端部に溝を形成すると共に前記
結合子嵌着部に一対のリブを設け、前記結合子の嵌合部
を前記結合筒に嵌合した状態で、前記溝と前記リブを互
いに係合させて前記結合筒に対する前記結合子の回転方
向の動きを規制すると共に前記嵌合部の拡がりを規制
し、かつ前記結合筒の結合子嵌着部に前記嵌合部を嵌合
した状態で係合して前記結合筒に対する前記結合子の長
手方向の動きを規制する段部を前記結合筒に一体的に形
成したことを特徴としている。

〔作用〕

この構成において、連結装置はそれぞれ合成樹脂により
一体成形された結合筒と結合子との２つの部品から成
り、結合子及び結合筒に、前記結合子の欠円状の嵌合部
を前記結合筒に嵌合した状態で、互いに係合して結合筒
と結合子間の回転方向及び長手方向の相対的な動きを規
制すると共に欠円状の嵌合部の拡がりを規制する溝とリ
ブをそれぞれ形成しているため、結合子の嵌合部を結合
筒に嵌合するだけで簡単に組立てることができ、組立工
数が少なく、組立コストの低減を図ることができると共
に、樹脂成形であるため錆びることなく、しかも軽量で
あるにも拘らず組立後の構造が堅牢となり、外力によっ
て曲がり等が生じて結合筒から結合子が外れることもな
くなる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図乃至第３図は、本発明による回転駆動式計器と回
転ケーブルとの連結装置の一実施例を示し、同図におい
て、連結装置は結合筒11と結合子12とからなっている。

上記結合筒11は合成樹脂の一体成形により作られてお
り、図示しない計器のステムの外周に内周面が嵌合され
る比較的大径のステム嵌合筒部11aと、同じく図示しな
い回転ケーブルの合成樹脂製のアウターチューブの外周
に嵌合され例えば赤外線熱溶着等によって固着される比
較的小径のケーブル固着部11bと、上記ステム嵌合部11a
とケーブル固着部11bとの間を連結している中間連結部1
1cとからなっている。

上記ステム嵌合筒部11aは、計器のステムに対する嵌合
がし易くなるよにその先端開口がテーパ状に広げられて
いる。また上記中間連結部11cには、結合子12が外周に
嵌着される結合子嵌着部11c−１と、該結合子嵌着部11c
−１とケーブル固着部11bとの間に結合筒の長手方向に
沿って高さが漸減する４本の補強リブ11c−２が形成さ
れている。上記結合子嵌着部11c−１はステム嵌合筒部1
1aの外径よりも若干径が小さく、ステム嵌合筒部11aと
の間に段部11c−１′が形成されている。

上記結合子12は弾性を有する合成樹脂による一体成形に
よって若干の弾性変形が可能に作られており、上記結合
筒11の結合子嵌着部11c−１に嵌合される欠円状の嵌合
部12aと、該欠円状の欠円端から延びている２本の連結
片12bと、該連結片12bの先端に両連結片12bを跨いで設
けられ両連結片12bによって支持されたレバー12cとから
なり、連結片12bはレバー12cを支持する支持部として働
く。

上記レバー12cの先端には、内側に突き出して上記結合
筒11におけるステム嵌合部11aの上記テーパ状部11a−１
にあけた開口11dを通じて計器のステムの外周の環状溝
（図示せず）に係合する爪12c−１が形成されている。

レバー12cの中間部は、結合子12の嵌合部12aを結合筒11
の結合子嵌着部11c−１に嵌合した状態で結合筒11のス
テム嵌合部11aの外周に接触し、レバー12cの他端を矢印
Ｐのように押したとき前記爪12c−１を矢印Ｄ方向に動
かす挺子運動の支点として働く。上記レバー12cの矢印
Ｐ方向への押圧を十分なストロークで行えるように、上
記ステム嵌合部11aにはこのレバー12cの動きを逃がすた
めの開口11eがあけられている。この開口11eにより、レ
バー12cの出張りを少なくでき、よりコンパクト化が可
能となる。

また、結合筒11における結合子嵌着部11c−１及び結合
子12における嵌合部12a欠円端部には、結合子嵌着部11c
−１に嵌合部12aを嵌合した状態で互いに係合して結合
筒11に対する結合子12の回転方向での位置決めを行う一
対の係止リブ11f及び一対の係合溝12a−１がそれぞれ設
けられている。これらの係止リブ11f及び係合溝12aは、
互いに係合して結合筒11と結合子12との間の回転方向の
相対的な動きを規制すると共に、結合子12の嵌合部12a
が拡がることを規制し、後述する嵌合部12aと段部の係
合が外れて結合子12が結合筒11cの結合子嵌着部11c−１
から脱落することを防止するように働く。

しかも、上記リブ11c−２は、結合子嵌着部11c−１に隣
接する部分で最も高く、結合子嵌着部11c−１の外周面
より若干突出していて、該突出により段部11gを形成し
ている。該段部11gは結合子嵌着部11c−１に嵌合されて
いる結合子12の嵌合部12aの後端と係合し、上記段部11c
−１′と協動して結合子12の長手方向の移動を規制して
いる。

以上の構成において、連結装置を組立てる場合には、結
合子12を矢印Ｎのように結合筒11に対してケーブル固着
部11b側から押し込む。この押し込みにより、結合子12
の係合部12aが結合筒11の４本のリブ11c−２状にそのテ
ーパに沿って乗り上がる。この際、結合子12の一対の係
合溝12a−１を結合筒11の一対の係止リブ11fにそれぞれ
位置合わせする。矢印Ｎの方向の押し込みを更に続ける
と、結合子12の嵌合部12aが４本のリブ11c−２を乗り越
え、嵌合部12aが段部11c−１′と段部11gとの間の結合
筒11の結合子嵌着部11c−１に嵌合され、組立が完了す
る。

なお、上述した本発明による連結装置を使用しての計器
と回転ケーブルとの連結の仕方は、従来のものと全く同
じであるので、その説明は省略する。

〔効果〕

以上説明したように本発明によれば、結合子の嵌合部を
結合筒に嵌合するだけで簡単に組立てることができ、組
立工数が少なく、組立コストの低減を図ることができる
と共に、樹脂成形であるため錆びることなく、しかも軽
量であるにも拘らず組立後の構造が堅牢となり、外力に
よって曲がり等が生じて結合筒から結合子が外れること
もなくなるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第３図は本発明による回転駆動式計器と回転
ケーブルとの連結装置の一実施例を示し、第１図は分解
斜視図、第２図は組立断面図及び第３図は第１図の結合
子の断面図、 第４図乃至第６図は従来の連結装置の例を示す 図である。 11……結合筒、11a……ステム嵌合筒部、11b……ケーブ
ル固着部、11c−１′,11g……段部、11f……リブ、11h
……抱持部、11i……係合部、12……結合子、12a……嵌
合部、12b……連結部、12c……レバー、12c−１……
爪、12a−１……係合溝。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】回転ケーブルの先端に固着するためのケー
   ブル固着部と回転駆動式計器の回転受入部のステムに嵌
   入するためのステム嵌合筒部と前記ケーブル固着部と前
   記ステム嵌合筒部とを連結している結合子嵌着部として
   働く中間連結部とを有し、合成樹脂により一体成形され
   た結合筒と、 前記結合子嵌着部に嵌合される欠円状の嵌合部と該嵌合
   部の欠円端から延びている２本の連結片と該連結片を跨
   いで設けられ両連結片により支持されたレバーとを有
   し、該レバーには先端に前記ステムの外周に係合する爪
   を、中間部に前記結合筒の外周面と接触する梃子支点を
   それぞれ設け、弾性を有する合成樹脂により一体成形さ
   れた結合子とを備え、 前記嵌合部の各欠円端部に溝を形成すると共に前記結合
   子嵌着部に一対のリブを設け、前記結合子の嵌合部を前
   記結合筒に嵌合した状態で、前記溝と前記リブを互いに
   係合させて前記結合筒に対する前記結合子の回転方向の
   動きを規制すると共に前記嵌合部の拡がりを規制し、 かつ前記結合筒の結合子嵌着部に前記嵌合部を嵌合した
   状態で係合して前記結合筒に対する前記結合子の長手方
   向の動きを規制する段部を前記結合筒に一体的に形成し
   た ことを特徴とする回転駆動式計器と回転ケーブルとの連
   結装置。