JPH0768418B2 - 環状オレフィン系ランダム共重合体組成物 - Google Patents

環状オレフィン系ランダム共重合体組成物

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JPH0768418B2
JPH0768418B2 JP32261087A JP32261087A JPH0768418B2 JP H0768418 B2 JPH0768418 B2 JP H0768418B2 JP 32261087 A JP32261087 A JP 32261087A JP 32261087 A JP32261087 A JP 32261087A JP H0768418 B2 JPH0768418 B2 JP H0768418B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、耐熱性、耐熱老化性、耐薬品性、耐溶剤性、
誘電特性、剛性に優れ、しかも耐衝撃性に優れた環状オ
レフィン系ランダム共重合体組成物に関する。
発明の技術的背景ならびにその問題点 剛性、衝撃強度のバランスに優れた合成樹脂としては、
ポリカーボネート、ABS(アクリロニトリル、ブタジエ
ン−スチレンブロック共重合体組成物)等が知られてい
る。たとえば、ポリカーボネートは剛性とともに耐熱
性、耐熱老化性、耐衝撃性にも優れた樹脂である。しか
しながら、ポリカーボネートは、強アルカリに対しては
容易に侵されて耐薬品性に劣り、また吸水率が大きいと
いう問題点がある。また、ABSは機械的性質には優れる
ものの耐薬品性に劣り、系内に二重結合を含むため耐候
性に劣り、さらに耐熱性に劣るという問題点がある。
一方、汎用樹脂として広く利用されているポリオレフィ
ンは、耐薬品性、耐溶剤性に優れているが、耐熱性に乏
しいものが多く、さらに結晶性が完全とはいえず剛性に
も劣る。このため、一般にポリオレフィンの剛性および
耐熱性を改善するには、造核剤を添加して、結晶の成長
を速めるか、もしくは徐冷を行なって結晶の成長を促す
方法が用いられるが、その効果は充分とは言い難い。む
しろ造核剤のような第三成分を添加することはポリオレ
フィンが本来有している優れた諸性質を損う虞があり、
また徐冷法は生産効率が悪い上、非晶部の減少に伴って
衝撃強度が低下する虞がある。
またエチレンと嵩高なコモノマーとの共重合体について
は、たとえば米国特許公報第2,883,372号明細書に、エ
チレンと2,3−ジヒドロキシジシクロペンタジエンとの
共重合体が開示されている。この共重合体は、剛性、透
明性のバランスには優れているが、ガラス転移温度が10
0℃程度であって耐熱性に劣るという問題点がある。ま
た、エチレンと5−エチリデン−2−ノルボルネンとの
共重合体も同様の問題点がある。
さらに、特公昭46−14910号公報には、1,4,5,8−ジメタ
ノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a,−オクタヒドロナフタレンの単
独重合体が提案されているが、該重合体は耐熱性や耐熱
老化性に劣る。さらに、特開昭58−127728号公報には、
1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロ
ナフタレンの単独重合体または該環状オレフィンとノル
ボルネンタイプのコモノマーとの共重合体が提案されて
いるが、該重合体は、いずれも開環重合体であることが
前記公報の記載から明らかである。このような開環重合
体は、重合体主鎖中に不飽和結合を有しているので、耐
熱性、耐熱老化性に劣るという問題点がある。
さらにまた、本出願人は先に、エチレンと特定の崇高な
環状オレフィンとからなる環状オレフィン系ランダム共
重合体が耐熱性を有し、しかも耐熱老化性、耐薬品性、
耐溶剤性、誘電特性、剛性をもつ合成樹脂であることを
見出し、すでに特開昭60−168708号公報、特願昭59−22
0550号、特願昭59−236828号、特開昭59−236829号、特
願昭59−242336号などに提案した。これらの環状オレフ
ィン系ランダム共重合体は、オレフィン系重合体である
にもかかわず、耐熱性、剛性に優れた樹脂ではあるが脆
くて耐衝撃性に劣るという問題点があった。
本発明者らは、上記のような環状オレフィン系ランダム
共重合体の有する耐熱性、耐熱老化性、耐薬品性、耐溶
剤性、誘電特性などの優れた特性を損なうことなく、耐
衝撃性を向上させるべく鋭意検討した結果、特定の軟化
温度(TMA)を有する環状オレフィン系ランダム共重合
体と特定のα−オレフィン系弾性共重合体とからなる組
成物が上記のような優れた特性を有することを見出し、
本発明を完成するに至った。
発明の目的 本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決し
ようとするものであって、耐熱性、耐熱老化性、耐薬品
性、耐溶剤性、誘電特性、剛性などに優れるとともに、
耐衝撃性に優れた環状オレフィン系ランダム共重合体組
成物を提供することを目的としている。
発明の概要 本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体組成物
は、 (A)エチレン成分と、下記一般式[I]または[II]
で表わされる環状オレフィン成分とからなり、135℃の
デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gの
範囲にあり、軟化温度(TMA)が70℃以上である環状オ
レフィン系ランダム共重合体、および (B)少なくとも2種のα−オレフィンから形成される
非晶性ないし低結晶性のα−オレフィン系弾性共重合
体、 から形成され、上記(A)成分100重量部に対して
(B)成分が5〜100重量部の量で存在していることを
特徴としている。
一般式 (式中、nおよびmはいずれも0もしくは正の整数であ
り、lは3以上の整数であり、R1ないしR10はそれぞれ
水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を示す)。
本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体組成物
は、上記(A)成分および(B)成分から形成され、上
記(A)成分100重量部に対して(B)成分が5〜100重
量部の量で存在しているため、耐熱性、耐熱老化性、耐
薬品性、耐溶剤性、誘電特性などに優れるとともに、耐
衝撃性に優れている。
発明の具体的説明 以下本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体組
成物について具体液に説明する。
本発明によれば、 (A)エチレン成分と、下記一般式[I]または[II]
で表わされる環状オレフィン成分とからなり、135℃の
デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.05〜10dl/gの
範囲にあり、軟化温度(TMA)が70℃以上である環状オ
レフィン系ランダム共重合体、および (B)少なくとも2種のα−オレフィンから形成される
非晶性ないし低結晶性のα−オレフィン系弾性共重合
体、 から形成され、上記(A)成分100重量部に対して
(B)成分が5〜100重量部の量で存在していることを
特徴とする環状オレフィン系ランダム共重合体組成物が
提供される。
一般式 (式中、nおよびmはいずれも0もしくは正の整数であ
り、lは3以上の整数であり、R1ないしR10はそれぞれ
水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を示す)。
本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体組成物
を構成する環状オレフィン系ランダム共重合体[A]
は、エチレン成分および特定の環状オレフィン成分から
構成される環状オレフィン系ランダム共重合体である。
該環状オレフィン成分は、下記一般式[I]または一般
式[II]で表わされる環状オレフィン成分であり、本発
明の環状オレフィン系ランダム共重合体中においては、
該環状オレフィン成分は一般式[III]または一般式[I
V]で表わされる構造を形成している。
一般式 (式中、nおよびmはいずれも0もしくは正の整数であ
り、lは3以上の整数であり、R1ないしR10はそれぞれ
水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を示す)。
一般式 (式中、n、m、lおよびR1ないしR10は前記と同じで
ある。) 本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体組成物
を構成する環状オレフィン系ランダム共重合体の構成成
分の環状オレフィンは、一般式[I]および一般式[I
I]で表わされる不飽和単量体からなる群から選ばれた
少なくとも1種の環状オレフィンである。一般式中
[I]で表わされる環状オレフィンは、シクロペンタジ
エン類と相応するオレフィン類とをディールス・アルダ
ー反応で縮合させることにより容易に製造することがで
きる。また一般式[II]で表わされる環状オレフィン
は、同様に、シクロペンタジエン類と相応する環状オレ
フィン類とをディールス・アルダー反応によって縮合さ
せることにより容易に製造することができる。
一般式[I]で表わされる環状オレフィンとして、具体
的には、表1に記載した化合物、あるいは1,4,5,8−ジ
メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン
のほかに、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4
a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,
5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフ
タレン、2−プロピル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4
a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,
4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナ
フタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,
4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−
3−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−
オクタヒドロナフタレン、2−クロロ−1,4,5,8−ジメ
タノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、
2−ブロモ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−
オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジ
メタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレ
ン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,
5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロヘキシル
−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒド
ロナフタレン、2−n−ブチル−1,4,5,8−ジメタノ−
1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イ
ソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オ
クタヒドロナフタレンなどのオクタヒドロナフタレン
類、および表2に記載した化合物を例示することができ
る。
また、一般式[II]で表わされる環状オレフィンとし
て、具体的には、たとえば、表3および表4に示した化
合物などを例示することができる。
本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体組成物
を構成する環状オレフィン系ランダム共重合体[A]
は、上記のようにエチレン成分および前記環状オレフィ
ン成分を必須成分とするものであるが、該必須の二成分
の他に本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて
他の共重合可能な不飽和単量体成分を含有していてもよ
い。任意に共重合されていてもよい該不飽和単量体とし
て、具体的には、たとえば生成するランダム共重合体中
のエチレン成分単位と等モル未満の範囲のプロピレン、
1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセ
ン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テ
トラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1
−エイコセンなどの炭素原子数が3〜20のα−オレフィ
ンなどを例示することができる。
本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体組成物
を構成する環状オレフィン系ランダム共重合体[A]に
おいて、エチレン成分に由来する繰り返し単位(a)
は、40〜85モル%、好ましくは50〜75モル%の範囲で存
在しており、また該環状オレフィンに由来する繰り返し
単位(b)は15〜60モル%、好ましくは25〜50モル%の
範囲で存在しており、エチレン成分に由来する繰り返し
単位(a)および該環状オレフィン成分に由来する繰り
返し(b)は、ランダムに実質上線状に配列している。
この環状オレフィン系ランダム共重合体[A]が実質上
線状であり、ゲル状架橋構造を有していないことは、該
共重合体が135℃のデカリン中に完全に溶解することに
よって確認できる。
このような環状オレフィン系ランダム共重合体[A]の
135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.05
〜10dl/g、好ましくは0.08〜5dl/gの範囲にある。
また環状オレフィン系ランダム共重合体[A]のサーマ
ル・メカニカル・アナライザーで測定した軟化温度(TM
A)は、70℃以上、好ましくは90〜250℃、さらに好まし
くは100〜200℃の範囲にある。また、該環状オレフィン
系ランダム共重合体[A]のガラス転移温度(Tg)は、
通常50〜230℃、好ましくは70〜210℃の範囲にある。
また、この環状オレフィン系ランダム共重合体[A]の
X線回析法によって測定した結晶化度は、0〜10%、好
ましくは0〜7%、とくに好ましくは0〜5%の範囲で
ある。
本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体組成物
を構造するα−オレフィン系弾性共重合体[B]は少な
くとも2種のα−オレフィンから形成される非晶性ない
し低結晶性の共重合体であり、具体的には、(i)エチ
レン・α−オレフィン共重合体ゴム、(ii)プロピレン
・α−オレフィン共重合体ゴムが用いられる。
(i)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムを構成す
るα−オレフィンとしては、通常、炭素数3〜20のα−
オレフィンたとえばプロピレン、1−ブテン、1−ペン
テン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−
オクテン、1−デセンあるいはこれらの混合物などを例
示することができる。このうち特にプロピレンまたは1
−ブテンが好ましい。
また(ii)プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴムを
構成するα−オレフィンとしては、通常、炭素数4〜20
のα−オレフィンたとえば1−ブテン、1−ペンテン、
1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテ
ン、1−デセンあるいはこれらの混合物などを例示する
ことができる。このうち特に1−ブテンが好ましい。
上記のような(i)エチレン・α−オレフィン共重合体
ゴムにおいては、エチレンとα−オレフィンとのモル比
(エチレン/α−オレフィン)は、α−オレフィンの種
類によっても異なるが、一般に50/50〜95/5であること
が好ましい。上記モル比は、α−オレフィンがプロピレ
ンである場合には、50/50〜90/10であることが好まし
く、α−オレフィンが炭素数4以上である場合には80/2
0〜95/5であることが好ましい。
上記のような(ii)プロピレン・α−オレフィン共重合
体ゴムにおいては、プロピレンとα−オレフィンとのモ
ル比(プロピレン/α−オレフィン)は、α−オレフィ
ンの種類によっても異なるが、一般に50/50〜95/5であ
ることが好ましい。上記モル比は、α−オレフィンが1
−ブテンである場合には、50/50〜90/10であることが好
ましく、α−オレフィンが炭素数5以上である場合には
80/20〜95/5であることが好ましい。
このようなα−オレフィン系弾性共重合体[B]は、X
線回析法により測定した結晶化度が0〜50%好ましくは
5〜25%であることが望ましい。
また、α−オレフィン系弾性共重合体[B]の135℃、
デカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.2〜10dl/g
好ましくは1〜5dl/gであることが望ましい。さらにま
たその密度は、0.82〜0.96g/cm3好ましくは0.84〜0.92g
/cm3であることが望ましい。
本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体組成物
では、環状オレフィン系ランダム共重合体[A]100重
量部に対して、α−オレフィン系弾性共重合体[B]
は、5〜100重量部、好ましくは7〜80重量部、特に好
ましくは10〜70重量部の量で存在している。該環状オレ
フィン系ランダム共重合体[A]100重量部に対して、
該α−オレフィン系弾性共重合体[B]が5重量部未満
であると、剛性に優れているものの耐衝撃性に劣るため
好ましくなく、一方100重量部を越えると、耐衝撃性は
優れているものの剛性が低く、剛性と衝撃強度のバラン
スが悪いため好ましくない。
第1図に、本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重
合体組成物におけるα−オレフィン系弾性共重合体
[B]の配合量と、該組成物の耐衝撃強度(IZ強度)と
の関係を示す。
この第1図から、環状オレフィン系ランダム共重合体
[A]に、α−オレフィン共重合体を配合すると、環状
オレフィン系ランダム共重合体組成物の耐衝撃性は顕著
に向上することがわかる。
また第2図に、本発明に係る環状オレフィン系ランダム
共重合体組成物におけるα−オレフィン系弾性共重合体
[B]の配合量と、該組成物の軟化温度(TMA)との関
係を示す。
この第2図から、環状オレフィン系ランダム共重合体
[A]に、α−オレフィン弾性共重合体[B]を40重量
%程度の量まで配合しても、驚くべきことに、環状オレ
フィン系ランダム共重合体組成物の軟化温度(TMA)は
殆んど低下しないことがわかる。
上記のように環状オレフィン系ランダム共重合体[A]
に、α−オレフィン弾性共重合体[B]を30重量%程度
の量まで配合すると、環状オレフィン系ランダム共重合
体組成物の耐衝撃性は著しく向上するとともに、耐熱性
は低下しない。
なお本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体組
成物を構成する環状オレフィン系ランダム共重合体
[A]は、特開昭60−168708号公報、特開昭61−120816
号公報、特開昭61−115912号公報、特開昭61−115916号
公報、特願昭61−95905号、特願昭61−95906号、特開昭
61−271308号公報、特開昭61−272216号公報などにおい
て、本出願人が提案した方法に従い適宜条件を選択する
ことにより、製造することができる。
本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体組成物
の製法としては、公知の方法が適用でき、環状オレフィ
ン系ランダム共重合体[A]およびオレフィン系ランダ
ム共重合体[B]を別個に製造し、[A]と[B]とを
押出機等でブレンドして製造する方法、[A]および
[B]を適当な溶媒、たとえばヘプタン、ヘキサン、デ
カン、シクロヘキサンのような飽和炭化水素、トルエ
ン、ベンゼン、キシレンのような芳香族炭化水素に充分
溶解して行う溶液ブレンド法、さらには[A]および
[B]を溶液ブレンドしたものを押出機等で混練する方
法をあげることができる。
本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体組成物
の135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]は、0.0
5〜10dl/g、好ましくは0.08〜5dl/gの範囲であり、サー
マル・メカニカル・アナライザーによって測定した軟化
温度(TMA)は80〜250℃、好ましくは100〜200℃の範囲
にある。
本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体組成物
は、前記環状オレフィン系ランダム共重合体[A]およ
び前記α−オレフィン系弾性共重合体[B]を必須成分
とするものであるが、その他に耐熱安定剤、耐候安定
剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、
防曇剤、滑剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス
などを配合することができ、その配合割合は適宜量であ
る。たとえば、任意成分として配合される安定剤とし
て、具体的には、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]メタン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、2,2′
−オキザミドビス[エチル−3(3,5−ジ−t−ブチル
−4−ビロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノ
ール系酸化防止剤、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カ
ルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなど
の脂肪酸金属塩、グリセリンモノステアレート、グリセ
リンモノラウレート、グリセリンジステアレート、ペン
タエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリト
ールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステア
レート等の多価アルコール脂肪酸エステルなどを挙げる
ことができる。これらは単独で配合してもよいが、組合
わせて配合してもよく、たとえばテトラキス[メチレン
−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]メタンとステアリン酸亜鉛および
グリセリンモノステアレートとの組合せ等を例示するこ
とができる。
発明の効果 本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重合体組成物
は、上記のような環状オレフィン系ランダム共重合体
[A]およびα−オレフィン系弾性共重合体[B]から
なり、該共重合体[A]100重量部に対して該共重合体
[B]は5〜100重量部の量で存在しているため、耐熱
性、耐熱老化性、耐薬品性、耐溶剤性、誘電特性、剛性
などに優れるとともに耐衝撃性にも優れている。
実施例 次に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、
本発明における各種物性値の測定方法および評価方法を
次に示した。
(1)熱変形温度(TMA):セイコー電子社製TMA10(Th
erm mechanical Analyser)を用いて1mm厚さシートの熱
変形挙動により測定した。すなわち、シート上に石英製
針をのせ、荷重50gをかけ、5℃/分で昇温していき、
針が0.1mm侵入した温度をTMAとした。
(2)衝撃強度:東洋精機製アイゾット衝撃試験機を用
いて2mm厚さのプレスシートから長さ63.8mm、幅12.7mm
の試験片を打ち抜き、0.25mmRのノッチを入れ23℃で測
定を行なった。
(3)剛性率(曲げ弾性率):インストロン引張試験機
を用い2mm厚さのプレスシートから長さ63.8mm、幅12.7m
mの試験片を打ち抜き、圧縮速度5mm/min、支持間距離32
mm、23℃で測定を行なった。
IZ衝撃試験、曲げ試験はプレス成型後、3日経た後に行
なった。
重合例1 (軟化温度が70℃以上の共重合体(A)の合成) 撹拌翼を備えた2ガラス製重合器を用いて、連続的
に、エチレンと1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a
−オクタヒドロナフタレン(構造式: 以下DMONと略記する)の共重合反応を行った。すなわ
ち、重合器上部から、DMONのシクロヘキサン溶液を、重
合器内でのDMON濃度が60g/触媒としてVO(OC2H5)Cl2
のシクロヘキサン溶液を、重合器内でのバナジウム濃度
が0.9ミリモル/、エチルアルミニウムセスキクロリ
ド(Al(C2H51.5Cl1.5)のシクロヘキサン溶液を、重
合器内でのアルミニウム濃度が7.2ミリモル/となる
ようにそれぞれ重合器中に連続的に供給し、一方、重合
器下部から、重合器内の重合液が1になるように連続
的に抜き出す。また、重合器上部から、エチレンを毎時
85、水素を毎時6、窒素を毎時45の速度で供給す
る。共重合反応は、重合外部にとりつけられたジャッケ
ットに冷媒を循環させることにより10℃で行った。
上記反応条件で共重合を行うと、エチレン・DMONランダ
ム共重合体を含む重合反応混合物が得られる。重合器下
部から抜き出した重合液に、イソプロピルアルコールを
少量添加して重合反応を停止させた。この後、重合液に
対して約3倍量のアセトンが入れてある家庭用ミキサー
中に、ミキサーを回転させながら重合液を投入し、生成
共重合体を析出させた。析出させた共重合体は濾過によ
り採取し、ポリマー濃度が約50g/になるようにアセト
ン中に分散させ、アセトンの沸点で約2時間共重合体を
処理した。上記記載の処理後、濾過により共重合体を採
取し、120℃で一昼夜減圧乾燥した。
以上のようにして得られたエチレン・DMONランダム共重
合体(A)の13C−NMR分析で測定した共重合体中のエチ
レン組成は67モル%、135℃デカリン中で測定した極限
粘度[η]は0.60dl/g、軟化温度(TMA)は111℃であっ
た。
重合例2 (重合例1と異なる[η]を持つ共重合体(A)の合
成) 重合例1においてDMONの重合器内濃度を60g/、エチレ
ンおよび水素の吹込み量を各々毎時100、毎時0.2と
した以外は同様にして連続的に重合を行なった。重合終
了後、重合例1と同様に生成共重合体を析出させ、析出
した共重合体を採取し、120℃で減圧下12時間乾燥し
た。
得られたエチレン・DMON共重合体(A)の13C−NMR分析
で測定した共重合体中のエチレン組成は58モル%、135
℃デカリン中で測定した極限粘度[η]は0.94dl/g、軟
化温度(TMA)は170℃であった。
実施例1 重合例1で得られた共重合体(A)およびエチレン−プ
ロピレンランダム共重合体(エチレン/プロピレン=80
/20モル%)(B)を各々90g、10g(重量比(A)/
(B)=90/10)をシクロヘキサン2に投入し、充分
撹拌しながら約70℃で溶解させた。得られた均一溶液を
アセトン2に投入し、(A)/(B)ブレンド物を析
出させた。得られたブレンド物を120℃減圧下で一昼夜
乾燥させた。
得られた(A)/(B)ブレンド物にテトラキス[メチ
レン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]メタンを安定剤として樹脂
(A)、(B)の総量に対して0.5%配合し、ブラベン
ダープラストグラフを用いて190℃で混練後、240℃で圧
縮成型を行ない2mm厚さのプレスシートを得た。このシ
ートより試験片を打ち抜き、衝撃強度、曲げ試験、TMA
測定を行なった。このブレンド物のアイゾット衝撃強度
は9.4kg cm/cm、曲げ弾性率は23000kg/cm2、曲げ降伏点
応力は840kg/cm2、TMAは110℃であった。剛性、耐熱性
に優れ、しかも衝撃強度に優れたブレンド物が得られ
た。
比較例1 重合例で合成した共重合体(A)を240℃で圧縮成型し
て得られた2mm厚さのプレスシートを用いて実施例1と
同様の測定を行なった。IZ衝撃強度は2.0kg cm/cm、曲
げ弾性率は28900kg/cm2、曲げ降伏点応力は870kg/cm2
TMAが110℃であり、剛性、耐熱性には優れているが耐衝
撃性が低く脆い試料であった。
実施例2〜3 重合例1で得られた共重合体(A)およびエチレン−プ
ロピレン共重合体(B)を表5に示した重量比により実
施例1と同様の方法で評価を行なった。結果を表5に示
す。剛性、耐熱性に優れ、しかも耐衝撃性の高い組成物
が得られた。
実施例4 重合例1で得られた共重合体(A)およびエチレン−1
−ブテン共重合体(B)を表5に示した重量比により実
施例1と同様の評価を行なった。結果を表5に示す。剛
性、耐熱性に優れ、しかも耐衝撃性の高い組成物が得ら
れた。
実施例5 重合例2で合成した共重合体(A)およびエチレン−プ
ロピレン共重合体(B)を各々80g、20g(重量比(A)
/(B)=80/20)にテトラキス[メチレン−3(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート]メタンを安定剤として樹脂(A)、(B)の総量
に対して0.5%配合し、ブラベンダープラストグラフを
用いて190℃で混練後、実施例1と同様の方法で評価を
行なった。結果を表5に示す。剛性、耐熱性に優れ、耐
衝撃性にも優れた組成物が得られた。
比較例2 重合例2で合成した共重合体(A)を240℃で圧縮成型
して得られた2mm厚さのプレスシートを用いて実施例1
と同様の評価を行なった。結果を表5に示す。剛性、耐
熱性には優れているが、耐衝撃性が引く脆い試料であっ
た。
実施例6〜7 重合例2で合成した共重合体(A)およびエチレン−プ
ロピレン共重合体(B)を表5に示した重量比により実
施例1と同様の評価を行なった。結果を表5に示す。剛
性、耐熱性に優れ、しかも耐衝撃性の高い組成物が得ら
れた。
実施例9〜14 重合例1と同様にして合成された共重合体(A)と表6
に示したα−オレフィン系ランダム共重合体(B)を実
施例5と同様の方法で評価した。結果を表6に示す。剛
性、耐熱性に優れ、しかも衝撃強度が高い組成物が得ら
れた。
比較例3〜5 重合例1と同様にして合成された共重合体(A)を比較
例1と同様にして評価をした。結果を表7に示した。剛
性、耐熱性には優れていたが、衝撃強度は低く脆い試料
であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重
合体組成物におけるα−オレフィン系ランダム共重合体
[B]の配合量と、該組成物の耐衝撃強度(IZ強度)と
の関係を示す図であり、 第2図は、本発明に係る環状オレフィン系ランダム共重
合体組成物におけるα−オレフィン系ランダム共重合体
[B]の配合量と、該組成物の軟化温度(TMA)との関
係を示す図である。 図中記号は 実施例1〜5、比較例1……(○) 実施例6〜8、比較例2……(□) 実施例9〜10、比較例3……(●) 実施例11〜12、比較例4……(■) 実施例13〜14、比較例5……(△) を表わす。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)エチレン成分と、下記一般式[I]
    または[II]で表わされる環状オレフィン成分とからな
    り、135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.0
    5〜10dl/gの範囲にあり、軟化温度(TMA)が70℃以上で
    ある環状オレフィン系ランダム共重合体、および (B)少なくとも2種のα−オレフィンから形成される
    非晶性ないし低結晶性のα−オレフィン系弾性共重合
    体、 から形成され、上記(A)成分100重量部に対して
    (B)成分が5〜100重量部の量で存在していることを
    特徴とする環状オレフィン系ランダム共重合体組成物: 一般式 (式中、nおよびmはいずれも0もしくは正の整数であ
    り、lは3以上の整数であり、R1ないしR10はそれぞれ
    水素原子、ハロゲン原子または炭化水素基を示す)。
  2. 【請求項2】α−オレフィン系弾性共重合体が、エチレ
    ン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・ブテン共重合
    体ゴム、プロピレン・ブテン共重合体ゴムである特許請
    求の範囲第1項に記載の組成物。
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