JPH0768338B2 - 含フッ素ポリエーテルおよびその製法 - Google Patents

含フッ素ポリエーテルおよびその製法

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JPH0768338B2 JP63137663A JP13766388A JPH0768338B2 JP H0768338 B2 JPH0768338 B2 JP H0768338B2 JP 63137663 A JP63137663 A JP 63137663A JP 13766388 A JP13766388 A JP 13766388A JP H0768338 B2 JPH0768338 B2 JP H0768338B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、含フッ素ポリエーテルおよびその製法に関
し、更に詳しくは、従来の含フッ素ポリエーテルより高
い分子量と成り得る含フッ素ポリエーテルおよびその製
法に関する。
従来の技術 含フッ素ポリエーテル、特にパーフルオロポリエーテル
は、不燃性で、耐熱性、耐薬品性、潤滑特性の優れた高
性能油として、航空宇宙産業、半導体産業を始めとし
て、多くの分野で幅広く使用されている。しかし、製造
方法に起因して、高分子量の含フッ素ポリエーテルを製
造することは困難である。
また、末端基として酸フルオライドを有している含フッ
素ポリエーテルを不安定である。そのため従来より、酸
フルオライド末端基を安定化させる方法として、例えば
相当するポリフルオロポリエーテルを高温でF2と反応さ
せたり、水を使って加水分解した後にF2と反応させたり
する方法がとられているが、周知のようにF2を用いた反
応は安全性に問題がある。
発明が解決しようとする課題 本発明の課題は、従来の含ハロゲンポリエーテルでは達
成できない高分子量にも成りうる新規含フッ素ポリエー
テルを提供することである。
また本発明の別の課題は、そのような含ハロゲンポリエ
ーテルの簡便な製造方法を提供することである。
課題を解決する為の手段 本発明の課題は、 式:A−X−A´ (I) [式中、AおよびA´は、同一または異なって、−CO
F、−COClまたは−COOHで示される基、およびXは−CF2
CF2−Rf−O−(CmF2m)−O−Rf´−CF2CF2−(ここ
でRfおよびRf´は、同一または異なって、 −(CF2CF2CF2O)− で示される直鎖状のパーフルオロプロピレンオキシ基ま
たは −(CH2CF2CF2O)a−(CHClCF2CF2O)b−(CCl2CF2CF
2O)c−(CHFCF2CF2O)d−(CFClCF2CF2O)e−(CF2
CF2CF2O)f− (a、b、c、d、eおよびfはそれぞれ0または正の
整数であって、2≦a+b+c+d+e+f≦200およ
びa+c+d+f≧1を満足する数である。)で示され
る繰り返し構造を持つパーフルオロアルキルポリエーテ
ル基を含む基、mは1〜6の数である。)で示される基
を表す。]で示される、分子量1,000〜20,000の含フッ
素ポリエーテル、 式:A−(CF2CF2)m−A´ (II) [式中、A、A´およびmは、前記と同意義。]で示さ
れる化合物と、2,2,3,3−テトラフルオロオキセタンと
を反応させること特徴とする含フッ素ポリエーテル
(I)の製法、 式:Z−Xn−Z´ (III) [式中、ZおよびZ´は、同一または異なって、−CO
F、−COCl、−COOHまたは−CF2CF2RfB(ここで、Rfは前
記と同意義。Bはフッ素または炭素数1〜5のパーフル
オロアルキル基である。)、nは0〜100の数である。
Xは前記と同意義。ただし、nが0の時、Zは共に−CF
2CF2RfBであり、nが1の時、Zの少なくとも一方は−C
F2CF2RfBである。] で示される、分子量2,000〜200,000の含フッ素ポリエー
テル により解決される。
本発明の含フッ素ポリエーテル(I)は、一般に、2官
能性化合物である化合物(II)と2,2,3,3−テトラフル
オロオキセタンとを反応させることにより製造すること
ができる。
重合開始剤としては、フッ化セシウムなどを用い、2官
能性化合物と重合開始剤の混合物(モル比0.6:1〜10:
1)にテトラフルオロオキセタンを加え、重合を行う。
反応温度は、−30〜20℃であり、溶媒としては、モノグ
ライム、テトラグライム、ポリグライム、トリクロロト
リフルオロエタン、テトラヒドロフランなどが使用でき
る。重合度は、2官能性化合物とテトラフルオロオキセ
タンのモル比を変えることにより自由に調節することが
できる。重合終了後、溶媒を除去し、フッ素によりフッ
素化することによりパーフルオロ化できる。
また、含フッ素ポリエーテル(III)は、少なくとも一
方、好ましくは両方の末端に官能基を有する含フッ素ポ
リエーテル、すなわち、式: A−X−A´またはA−CF2CF2RfB [式中、A、A´、B、RfおよびXは前記と同意義。] で示されるポリエーテルを紫外線照射により縮合重合す
ることによって製造することができる。この場合、好ま
しい末端官能基は、酸フルオライド基であるが、カルボ
ン酸基、酸クロライド基であってもよい。この方法にお
いて照射する紫外線は350nm、好ましくは250nm以下の波
長のものであり、より好ましくは180〜210nmのものであ
る。紫外線の照射時間は、紫外線の波長や含フッ素ポリ
エーテルの種類によって異なる。反応速度は照射エネル
ギーに比例し、−COFの濃度に対しては見掛け上0次で
ある。
分子量の増大に伴い、反応液の粘度が急上昇して撹拌が
困難になるので、適当な溶媒の存在下に反応を行うのが
好ましいが、出発物質そのものを溶媒で希釈することな
く反応を行ってもよい。
出発物質を希釈することなく反応に供する場合、通常室
温ないし350℃、好ましくは100〜200℃の温度で反応を
行う。
溶媒を用いる場合、上記波長の紫外線を全くまたは殆ど
吸収しない溶媒が好ましく、また、反応後、減圧蒸留に
より除去できるものが望ましい。溶媒としては、出発物
質であるポリエーテルの低分子量、パーフルオロアルカ
ン、パーフルオロベンゼン、パーフルオロアミン等が好
ましい。
紫外線照射用の光源としては、照射効率の面から内部浸
漬型が好ましいが、外部照射型でもよい。外部照射型光
源を用いる場合、反応容器の一部に、紫外線透過用の窓
を設ける必要がある。
また本発明の方法においては、紫外線照射反応中、N2
ヘリウム等の不活性ガスを反応雰囲気内に流しておくこ
とが好ましい。
以下、具体的実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。
[実施例] 実施例1 FCF2CF2CF2OnCF2CF2COF(n=平均25)で示される
有機酸フルオライド500gを、フッ素樹脂製フィルム(製
品名ネオフロンPFA)製の窓(直径100mm)を付けた内容
積500mlのステンレス容器に仕込んだ。
窒素ガスを50ml/minで流通させながら、外部より450Wの
高圧水銀ランプ(東芝製)で反応液に紫外線を照射し、
30時間反応を継続した。30時間後、反応液の赤外分光分
析を行ったところ、 の特異吸収である1890cm-1付近のピークが完全に消失し
ていた。
粘度上昇とNMRスペクトルから、ほぼ定量的に[FCF2
CF2CF2OnCF2CF2が生成している事が確認された。
回収量は490gであった。
実施例2 FCHFCF2CF2OCF2CF2CF2OmCF2CF2COF (l:m=3:7、l+m=20) で示される有機酸フルオライドを用いた以外は実施例1
と同様にして反応させたところ、30時間後にほぼ定量的
に [FCHFCF2CF2OCF2CF2CF2OmCF2CF2 が生成している事が確認された。回収量は485gであっ
た。
実施例3 FCF2CF2CF2OnCF2CF2COOH(n=平均25)で示され
る有機酸88gを、フッ素樹脂製フィルム(製品名ネオフ
ロンFEP)製の窓(直径100mm)を付けた内容積800mlの
ステンレス容器に仕込んだ。
窒素ガスを50ml/minで流通させながら外部より450Wの高
圧水銀ランプ(東芝製)で反応液に紫外線を照射し、16
時間反応を継続した。16時間後、赤外分光分析の結果に
は、−COOHや−COFの特異吸収のピークは全く見られな
かった。粘度上昇から、同程度の酸フルオライドを原料
として生成させたカップリング物とほぼ同粘度のカップ
リング物を得た。収量は83gであった。
実施例4 上部にフッ素樹脂製フィルム(製品名ネオフロンFEP)
を貼った、マグネチックスターラを備えた内容積100ml
のステンレス製反応容器に、式:FCOCF2CF2−(OCF2CF2C
F2)n−(OC6F12O)−(CF2CF2CF2O)n−CF2CF2COF
(n=平均10)で示されるパーフルオロポリエーテル35
gと、F(CF2CF2CF2O)m−CF2CF2COF(m=平均20)15
gとを入れ、窒素ガスを流しながら、100℃で高温水銀灯
により紫外線照射した。60時間後、反応容器から取り出
した油状生成物の粘度は1180cst(40℃)であった。こ
の生成物はのIRチャートを第1図に示す。
実施例5 15のステンレス製容器に式:FCOCF2CF2−(OCF2CF2C
F2)n−(OC6F12O)−(CF2CF2CF2O)n−CF2CF2COF
(n=平均10)で示されるパーフルオロポリエーテル10
0gと、溶媒としてF(CF2CF2CF2O)m−CF2CF3(m=平
均5)で示されるポリエーテル1を入れ、石英製水冷
管付き光照射器(400W高圧水銀灯入り)を容器内に差し
込み、メカニカルスターラで撹拌しながら、80℃に反応
液を保ち、窒素ガス気流下に光照射した。
72時間の照射後、光照射器を抜き出し、水2gを仕込み、
5時間撹拌した。次いで、フッ素ガスを2ml/min.で10時
間流通させ、その後窒素ガスで充分に置換し、反応液を
抜き出した。
反応液を減圧蒸留器に仕込み、溶媒のパーフルオロポリ
エーテルを留去し、残渣93gを回収した。0.2μmのミリ
ポアフィルターで濾過後、E型粘度計で粘度を測定した
ところ、4951cst(40℃)であった。得られたポリエー
テルは、計算によれば、出発物質パーフルオロポリエー
テルの13.6量体に相当することが判った。
実施例6 乾燥窒素ガスで置換した500ml三ツ口フラスコに、十分
焼いたCsF2.0g(13.2mmol)を入れ、テトラグライム50m
lを注入した。更に、ジアシルフルオライドFCO−(CF2C
F2−COF8.0g(27.2mmol)を加え、−10℃に冷却し
つつ撹拌しながら、フラスコ内の温度が−5℃を越えな
いようにゆっくり2,2,3,3−テトラフルオロオキセタン6
6g(507mmol)を滴下した。70時間撹拌を続けた後、170
℃、1mmHgで減圧蒸留して、溶媒を除去した。残渣とし
てポリエーテル64.3gを得た。収率90%。
赤外分光分析およびNMRの結果、式: [−(CF2CF2CF2O)−(CH2CF2CF2O)a−CH2CF2COF]
(a=平均10)で示されるポリエーテルであることが
判った。
実施例7 十分乾燥したステンレス製容器に、実施例6で得たポリ
エーテル52g(18.3mmol)を入れ、90〜110℃に加熱し、
マグネチックスターラにより撹拌した。窒素ガスで20%
に希釈したフッ素ガスを25ml/min.の速度で流入した。1
40時間後、赤外吸収スペクトルで、3000cm-1および880c
m-1における吸収の消滅を確認した。ポリエーテルの収
量は、60g(収率91.8%)であった。
赤外分光分析およびNMRの結果、式: [−(CF2CF2CF2O)−(CF2CF2CF2O)a−CF2CF2COF]
(a=平均10)で示されるポリエーテルであることが
確認された。
発明の効果 以上に説明したように本発明の方法によれば、低分子量
から高分子量までの含フッ素ポリエーテルを容易に製造
することができる。また、ポリエーテルの末端部を安全
に且つ容易に安定化処理することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例4で得られた生成物のIRチャートであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−156726(JP,A) 特開 昭62−180116(JP,A) 特開 昭56−92263(JP,A) 特開 昭57−59843(JP,A) 特開 昭64−85218(JP,A) 特開 昭63−265920(JP,A) 特開 昭52−28586(JP,A) 米国特許3849504(US,A)

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式:A−X−A´ [式中、AおよびA´は、同一または異なって、−CO
    F、−COClまたは−COOHで示される基、およびXは −CF2CF2−Rf−O−(CmF2m)−O−Rf´−CF2CF2− (ここでRfおよびRf´は、同一または異なって、 −(CF2CF2CF2O)− で示される直鎖状のパーフルオロプロピレンオキシ基ま
    たは −(CH2CF2CF2O)a−(CHClCF2CF2O)b−(CCl2CF2CF
    2O)c−(CHFCF2CF2O)d−(CFClCF2CF2O)e−(CF2
    CF2CF2O)f− (a、b、c、d、eおよびfはそれぞれ0または正の
    整数であって、2≦a+b+c+d+e+f≦200およ
    びa+c+d+f≧1を満足する数である。)で示され
    る繰り返し構造を持つパーフルオロアルキルポリエーテ
    ル基、およびmは1〜6の数である。)で示される基を
    表す。] で示される、分子量1,000〜20,000の含フッ素ポリエー
    テル。
  2. 【請求項2】RfおよびRf´が、式: −(CF2CF2CF2O)p− [式中、pは1〜200の数を表す。] で示される繰り返し単位から成るパーフルオロアルキル
    ポリエーテル基である特許請求の範囲第1項記載の含フ
    ッ素ポリエーテル。
  3. 【請求項3】式:A−(CF2CF2)m−A´ [式中、AおよびA´は、同一または異なって、−CO
    F、−COClまたは−COOHで示される基、およびmは1〜
    6の数である。] で示される化合物と、2,2,3,3−テトラフルオロオキセ
    タンとを反応させることを特徴とする特許請求の範囲第
    1項記載の含フッ素ポリエーテルの製法。
  4. 【請求項4】式:Z−Xn−Z´ [式中、ZおよびZ´は、同一または異なって、−CO
    F、−COCl、−COOHまたは−CF2CF2RfB(ここで、Rfは −(CF2CF2CF2O)− で示される直鎖状のパーフルオロプロピレンオキシ基ま
    たは −(CH2CF2CF2O)a−(CHClCF2CF2O)b−(CCl2CF2CF
    2O)c−(CHFCF2CF2O)d−(CFClCF2CF2O)e−(CF2
    CF2CF2O)f− (a、b、c、d、eおよびfはそれぞれ0または正の
    整数であって、2≦a+b+c+d+e+f≦200およ
    びa+c+d+f≧1を満足する数である。)で示され
    る繰り返し構造を持つパーフルオロアルキルポリエーテ
    ル基、Bはフッ素または炭素数1〜5のパーフルオロア
    ルキル基である。)、Xは、−CF2CF2−Rf−O−(CmF2
    m)−O−Rf´−CF2CF2−(ここでRfおよびRf´は、
    同一または異なって、 −(CF2CF2CF2O)− で示される直鎖状パーフルオロプロピレンオキシ基また
    は −(CH2CF2CF2O)a−(CHClCF2CF2O)b−(CCl2CF2CF
    2O)c−(CHFCF2CF2O)d−(CFClCF2CF2O)e−(CF2
    CF2CF2O)f− (a、b、c、d、eおよびfはそれぞれ0または正の
    整数であって、2≦a+b+c+d+e+f≦200およ
    びa+c+d+f≧1を満足する数である。)で示され
    る繰り返し構造を持つパーフルオロアルキルポリエーテ
    ル基、およびmは1〜6の数である。)で示される基、
    およびnは0〜100の数である。ただし、nが0の時、
    Zは共に−CF2CF2RfBであり、nが1の時、Zの少なく
    とも一方は−CF2CF2RfBである。] で示される、分子量2,000〜200,000の含フッ素ポリエー
    テル。
  5. 【請求項5】少なくとも一方の末端に官能基を有する含
    フッ素ポリエーテルに紫外線を照射することによって縮
    合重合することを特徴とする特許請求の範囲第4項記載
    の含フッ素ポリエーテルの製法。
  6. 【請求項6】少なくとも一方の末端に官能基を有する含
    フッ素ポリエーテルが、式:A−X−A´またはA−CF2C
    F2RfB [式中、AおよびA´は、同一または異なって、−CO
    F、−COClまたは−COOHで示される基、Xは−CF2CF2−R
    f−O−(CmF2m)−O−Rf´−CF2CF2−(ここでRfお
    よびRf´は、同一または異なって、 −(CF2CF2CF2O)− で示される直鎖状パーフルオロプロピレンオキシ基また
    は −(CH2CF2CF2O)a−(CHClCF2CF2O)b−(CCl2CF2CF
    2O)c−(CHFCF2CF2O)d−(CFClCF2CF2O)e−(CF2
    CF2CF2O)f− (a、b、c、d、eおよびfはそれぞれ0または正の
    整数であって、2≦a+b+c+d+e+f≦200およ
    びa+c+d+f≧1を満足する数である。)で示され
    る繰り返し構造を持つパーフルオロアルキルポリエーテ
    ル基、およびmは1〜6の数である。)で示される基、
    およびBはフッ素または炭素数1〜5のパーフルオロア
    ルキル基である。] で示されるポリエーテルである特許請求の範囲第5項記
    載の製法。
  7. 【請求項7】紫外線の波長が350nm以下である特許請求
    の範囲第5項記載の製法。
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