JPH0768269B2 - C−反応性蛋白質の精製方法 - Google Patents

C−反応性蛋白質の精製方法

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JPH0768269B2
JPH0768269B2 JP61101173A JP10117386A JPH0768269B2 JP H0768269 B2 JPH0768269 B2 JP H0768269B2 JP 61101173 A JP61101173 A JP 61101173A JP 10117386 A JP10117386 A JP 10117386A JP H0768269 B2 JPH0768269 B2 JP H0768269B2
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吉太郎 川口
誠一 甲田
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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、C−反応性蛋白質を高純度に精製する方法に
関するものである。
(産業上の利用分野) 一般に、C−反応性蛋白質(C−reactive protein、以
下CRPという)は各種感染症や炎症性疾患の患者血中に
は正常人と比較して多量に含まれているため、臨床検査
の分野では、これら病気の診断によく測定される項目の
一つになっている。
また、各種の癌でも血中CRP量が増加することがわかっ
ており、癌の診断、特に手術後の予後のモニターリング
に測定されるようになってきている。
しかしながら、血中のCRPの含量は少なく、酵素のよう
にそれ自体の活性により分析できるものではないため
に、CRPと特異的に結合する抗体もしくは抗血清を用い
て毛細管法、一次元免疫拡散法、免疫比濁法、ラテック
ス凝集反応法等で測定されることが多い。
これらCRP定量法で用いる抗体や抗血清は、特異性の高
いものが要求される。
そして、特異性の高い抗体、抗血清を作るためには、高
純度の抗原、即ち、高純度のCRPが必要となるのであ
る。
従来、CRPの単離方法としては、Woodらの方法(Wood,H.
W.,et al.(1954)J.Exp.Med.,10,71)やPepysらの方法
(Pepys,M.B.,(1977)Lancet,,1029)が知られてい
るが、いずれの方法も夾雑蛋白質の混入を防ぐことが出
来ず、高純度のCRP標品を単離・精製することが困難で
ある。
その他の精製法として、CRPはカルシウム存在下でホス
ホリルコリン(Phosphorylcholine,以下、PCと略記する
こともある)と特異的に結合するという知見より、PCを
リガントとして固定化した高分子担体(以下、PC−固化
担体と略記することもある)のアフィニティークロマト
グラフィーによってCRPを単離する方法も提案されてい
る(Oliveira,E.B.et al.(1980)J.Immunol.,124,139
6)。これらのPC−固定化担体によるCRPの精製法には、
精製工程の簡略化と、夾雑蛋白質の混入を防止し、高純
度のCRPを得ることが出来るという利点がある。しか
し、従来のこれらのPC−固定化担体の製造法は、非常に
複雑で反応ステップも多いことから多大の労力が必要と
され、最終生成物の収量も低いという問題点がある。
本発明者らは、CRPの有効な精製方法を求めて鋭意研究
した結果、可溶性蛋白質をスペーサーとして結合させた
アフィニティー担体を使用することによって解決するこ
とができた。
本発明は、ホスホリルコリン類をリガンドとし、可溶性
蛋白質(だたし、生体系結合活性蛋白質を除く)をスペ
ーサーとして結合させたアフィニティー担体を用いてC
−反応性蛋白質を吸着、溶離せしめることを特徴とする
C−反応性蛋白質の精製方法である。
本発明の大きな特色は、アルブミンに代表される様な水
溶性蛋白質をスペーサーとして用いることによって、CR
P以外の夾雑蛋白質の非特異的吸着を防止することにな
り、精製されるCRPの純度がきわめて高くなることであ
る。
本発明のもう一つの特色は、一旦リガントであるホスホ
リルコリン類をスペーサーである水溶性蛋白質に多量に
結合させてからさらにこの結合物を担体に固定化するた
めに、多量のリガンドを導入でき、ひいては、アフィニ
ティー担体の親和力も強くなり、同時に、担体当りの精
製目的物質、即ちCRPの結合量が著しく増加することで
ある。
本発明においてスペーサーに用いる可溶性蛋白質は、血
清アルブミン、卵白アルブミン、カゼインなどの比較的
安価で高純度のものであつて多量に入手しえるものが適
している。しかし、γ−グロブリンや補体系の蛋白質
は、可溶性蛋白質ではあるけれども、スペーサー自体が
種々の成分との結合性をもつために適さない。
本発明では、γ−グロブリンや補体系の蛋白質など、他
の成分との結合性をもった蛋白質を「生体系結合活性蛋
白質」として、本発明には使用できないものとしてい
る。
可溶性蛋白質には、多くのアミノ基、カルボキシル基、
少量のSH基があり、これらの基をリガンドとの結合に、
そして、アフィニティー担体との結合に使用することに
なる。
リガンドであるホスホリルコリン類を可溶性蛋白質に結
合させる方法は種々あるが、アミノ基もしくはカルボキ
シル基のどちらか一方にだけ結合させる方法が好まし
い。また、ホスホリルコリンを結合させることに使われ
ない基を使って担体に結合するのが好ましい。
ホスホリルコリンの誘導体でアルデヒド基を有するコリ
ンホスホリルグリコアルデヒドは、蛋白質のアミノ基
と、還元的アミノ化反応により反応し、炭素原子2個分
のスペーサーのついた形でホスホリルコリンが導入で
き、他のカルボキシル基やSH基には影響しないので良好
な結合方法である。
次の式(I)で表される。
コリンホスホリルグリコアルデヒドと可溶性蛋白質、例
えば市販の牛血清アルブミンとを緩衝液中で還元アミノ
化反応を行なえばよい。還元剤としては、ジメチルアミ
ンボラン、シアノ水素化ほう素ナトリウムなどがある
が、シアノ水素化ほう素ナトリウムが一般的である。反
応は37℃程度に加温し、10〜30時間の反応によって、可
溶性蛋白質のアミノ基に式(I)の化合物が結合する。
反応後は、水に対して透析し、未反応低分子化合物を除
去し、透析内液を凍結乾燥し、ホスホリルコリン誘導体
(PC−誘導体)を粉末で得ることができる。
ここに得られたホスホリルコリン誘導体を結合させるア
フィニティー担体としては、多糖体を骨格とするセルロ
ース、セファデックス、セファロース、合成樹脂を骨格
とするトリスアクリル、トーヨーパール、ガラスを骨格
とするもの、その他種々のものがあげられる。
アフィニティー担体にホスホリルコリン誘導体を結合さ
せる方法としてはブロムシアン活性化法、エポキシ活性
化法、活性化チオール法など、アフィニティー担体に種
々の官能基を導入して行なわれることが多いが、これら
のいずれの方法を用いてもアフィニティー担体にホスホ
リルコリン誘導体を縮合させることができる。
ホスホリルコリン類をリガンドとし、可溶性蛋白質をス
ペーサーとして結合させたアフィニティー担体は、これ
をCaCl2を含むリン酸バッファーで平衡化して、ここにC
RP含有液、例えばCRP陽性ヒト血清を加えて、CRPを吸着
させ、非吸着の蛋白質を洗い流し、次いでEDTAを含むリ
ン酸バッファーを流下することによって吸着しているCR
Pを溶離させることができる。
ここに、きわめて純度の高いCRPを得ることができる。
次に本発明の製造例及び実施例を示す。
以下に示すのは、スペーサーにウシ血清アルブミンを用
い、そこにホスホリルコリンを結合させたホスホリルコ
リン−BSA結合物を用いてCRPを精製する方法である。
製造例1. PC55 BSAの製造: 50mMのL−グリセロホスホリルコリン水溶液52mlにメタ
過ヨウ素酸ナトリウムを終濃度100mMとなるように溶解
し、室温で30分間放置することにより、コリンホスホリ
ルグリコアルデヒドとホルムアルデヒドの混合生成物を
得た。次に、この混合生成物を氷浴中で2時間冷却し、
加えた過ヨウ素酸と等モル量のエチレングリコールを加
え乾固した。得られた白色の粉末を0.1Mの酢酸10mlに溶
解し0.1M酢酸であらかじめ平衡化しておいたセファデッ
クスG−75(ファルマシア社製)カラムでゲルロカを行
なった。ネオカブロイン法で確認したコリンホスホリル
グリコアルデヒド溶出画分を集め濃縮した。分子内リン
酸残基を定量することによりコリンホスホリルグルコア
ルデヒドのL−グリセロホスホリルコリンよりの収率を
求めたところ80%であった。
ここに得られたコリンホスホリルグリコアルデヒド108m
gを0.2Mリン酸バッファー(pH7.0)の溶液70mlに溶解
し、さらに牛血清アルブミン(BSA)を40mg加えた。次
にシアノ水素化ホウ素ナトリウム90.3mgを加え、37℃で
20時間インキュベートした。インキュベート後、反応液
を水に対して透析し、透析内液を凍結乾燥することによ
りホスホリルコリンとBSAの結合した誘導体を得た。BSA
1分子につき平均55分子のホスホリルコリンが結合した
誘導体であった。この誘導体をPC55 BSAとした。
製造例2. アフィニティー担体の製造: 8mlのチオプロピルトーヨーパールHW−65を1mMのEDTAを
含む0.1Mリン酸バッファーでpH6.0に平衡化し、そこに
N,N−ジメチルフォルムアミド1mlに溶解したN,N′−O
−フェニレンジマレイミド67mgを加え、さらに10mlの上
記バッファーを加え30℃20分間インキュベートし、マレ
イミド化トーヨーパールHW−65とする。
上記バッファーで洗浄後、製造例1で得たPC55 BSA 63.
24mgを含む上記バッファー34mlを加え4℃40時間インキ
ュベートする。得られたPC55 BSA−トーヨーパールHW−
65は、1mlのゲル当り5.3mgのPC55 BSAを結合している。
実施例1. CRPの精製: 製造例2で得たPC55 BSA−トーヨーパールHW−65 1mlを
1mMのCaCl2を含むリン酸バッファー(PBS)(10mM、pH
7.2)で平衡化した後、1mMのCaCl2を含むCRP陽性ヒト血
清100mlを添加する。次いで50mlの1mM CaCl2を含むリン
酸バッファー(PBS)(10mM、pH7.2)を添加し、非吸着
の蛋白質を洗い流す。そこに30mlの1mM EDTAを含むリン
酸バッファー(PBS)(10mM、pH7.2)を添加し、吸着し
ているCRPを溶出する。その結果9.56mgのCRPを得た。
本実施例の溶出曲線は第1図に示される通りであり、純
度の高いCRPが得られるのが分る。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1におけるCRPの精製に際しての溶出曲
線を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高河原 勇 兵庫県川西市大和東5−7−13 (56)参考文献 特開 昭59−169532(JP,A)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ホスホリルコリン類をリガンドとし、可溶
    性蛋白質(ただし、生体系結合活性蛋白質を除く)をス
    ペーサーとして結合させたアフィニティー担体を用いて
    C−反応性蛋白質を吸着、溶離せしめることを特徴とす
    るC−反応性蛋白質の精製方法。
JP61101173A 1986-05-02 1986-05-02 C−反応性蛋白質の精製方法 Expired - Lifetime JPH0768269B2 (ja)

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