JPH0765186B2 - ブリキ製絞りしごき缶 - Google Patents

ブリキ製絞りしごき缶

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JPH0765186B2
JPH0765186B2 JP24808190A JP24808190A JPH0765186B2 JP H0765186 B2 JPH0765186 B2 JP H0765186B2 JP 24808190 A JP24808190 A JP 24808190A JP 24808190 A JP24808190 A JP 24808190A JP H0765186 B2 JPH0765186 B2 JP H0765186B2
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    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ブリキ製絞りしごき缶に関するもので、より
詳細には比較的コストが低く、しかも耐孔食性、耐塗膜
下腐食性、フレーバー保持性、加工性等に優れたブリキ
製絞りしごき缶及び内面被覆ブリキ製絞りしごき缶に関
する。
(従来の技術) 従来、側面無継目(サイド・シームレス)缶の一種とし
て、絞りしごき缶(DI缶)が知られており、このもの
は、アルミニウム板やブリキ板等の加工性に優れた金属
素材を、絞りダイスとポンチとの間で少なくとも1段の
絞り加工に対し、側面に継目のない胴部と該胴部に継目
なしに一体に接続された底部とから成るカップに形成
し、次いで前記胴部に、しごきポンチとしごきダイスと
の間でしごき加工を加えて、容器胴部を薄肉化する方法
により製造される。
ブリキ製絞りしごき缶における最大の問題点は、表面に
錫メッキ層が形成されているとしても、基体としての素
地鉄の影響を免れないことである。また錫メッキ層の表
面には、凝集力の小さい酸化錫層が必ず存在し、塗膜と
の密着力が未だ十分に高くないことも問題である。この
ため、錫被覆が不完全であると、塗膜による腐食成分へ
のバリアー効果が不十分となって、鉄素地の腐食が進行
し、孔食による漏洩や鉄溶出による内容物のフレーバー
低下を生じるという欠点がある。
従来、ブリキ製絞りしごき缶では、加工後の缶体に塗料
を施すのが一般的であり、缶体の耐食性や塗膜との密着
性を高めるために種々の表面処理を行うことが知られて
いる。この表面処理には、燐酸処理、クロム酸処理、燐
酸/クロム酸処理、チタンまたはジルコニウム処理等が
ある。
それらの中でもブリキDI缶用表面処理として、燐酸鉄
系、燐酸/クロム酸系のものが多く採用されているが、
前者は塗膜との密着性の点で、後者はクロムを含む点で
環境上の問題点から望ましくない。
(発明が解決しようとする問題点) 確かにブリキ製DI缶の側壁表面は、物理的にも、化学的
にも不均一であり、その最外層には素地鉄の露出が認め
られ、またその表面にもかなりの凹凸が存在するのが普
通である。即ち、ブリキ板の絞りしごき加工において、
表面錫層の存在は加工時の潤滑的作用の点で必須不可欠
のものであるが、この表面錫層も当然薄肉化されるた
め、前述した素地鉄の露出を生じるのである、特に近年
では、錫資源の枯渇化傾向や錫コストの増大傾向から、
ブリキ板の錫鍍金量を低減させたものが使用されてお
り、ブリキ製DI缶側壁の表面の不均一化傾向も段々大き
くなっている。かかる見地から、ブリキ製DI缶の側壁表
面に燐酸鉄や燐及びクロムを包含する被膜を形成させる
ことが、優れた耐食性や塗膜密着性が得られると考える
のが普通である。
本発明者らは、錫メッキ量の比較的少ないブリキから形
成された絞りしごき缶に燐酸錫を主体とした被膜を形成
させること、しかも燐酸錫系表面所層の厚みと化学組成
とを一定の範囲に選択すると、従来のものより、塗膜、
特に溶剤系塗膜より密着性が劣る水性塗料の塗膜に対し
ても密着性に優れ、且つ耐孔食性、耐塗膜下腐食性、フ
レーバー保持性、加工性等に優れた絞りしごき缶が得ら
れることを見いだした。
従って、本発明の目的は、従来のブリキ製絞りしごき缶
における上記欠点を解消し、塗膜との密着性に優れ、且
つ耐孔食性、耐塗膜下腐食性、フレーバー保持性、加工
性等に優れたブリキ製絞りしごき缶を提供するにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明によれば、錫メッキ鋼板を絞りしごき加工して得
られる缶であって、前記錫メッキ鋼板は面積当たりの錫
被覆量が0.5乃至7.0g/m2の範囲にあるものであり、絞り
しごき加工により形成される側壁部表面には錫被覆層と
素地鉄とが混在して露出しており、この露出面には燐酸
錫を必須成分とする厚さ100オングストローム以下の表
面処理層が形成されていて、この表面処理層は錫原子と
燐原子との比が1:15乃至9:1で且つ錫原子当たりの鉄原
子の比が7以下である化学組成を有し、缶の少なくとも
内面側には前記表面処理層を介して内面塗膜層が形成さ
れていることを特徴とする内面塗装ブリキ製絞りしごき
缶が提供される。
(作用) 本発明のブリキ製絞りしごき缶は、面積当たりの錫被覆
量が0.5乃至7.0g/m2、特に0.5乃至3.0g/m2範囲にある錫
メッキ鋼板を絞りしごき加工し、この得られる缶に燐酸
塩系の表面処理を施すことにより得られるが、この金属
面に燐酸錫を必須成分とする厚さ100オングストローム
以下、特に50オングストローム以下の表面処理層を形成
させること、及びこの表面処理層を錫原子と燐原子との
比が1:15乃至9:1で且つ錫原子当たりの鉄原子の比が7
以下である化学組成を有するようにすることが顕著な特
徴である。
本発明に用いる錫メッキ鋼板は、前述した範囲内の比較
的少ない錫被覆量を有しているため、絞りしごき加工に
より形成される側壁部表面には錫被覆層と素地鉄とが混
在して露出しており、更に両者の中間的組織としての錫
・鉄合金層も表面に存在している。添付図面第1図は、
無塗装ブリキDI缶内面の金属組織を示す走査型電子顕微
鏡写真であり、白い部分が錫の残存している部分を、黒
い部分が鉄の露出している部分を夫々示している。これ
らの全ての部分に、以下に詳細に説明する表面処理層が
形成される。
本発明は、ブリキ製絞りしごき缶が、この様に物理的に
も化学的にも著しく不均質な構造乃至組織を有するにも
関わらず、燐酸錫系の表面処理層を、僅か100オングス
トローム以下という薄い厚みで設けることにより、塗
膜、特に水性塗料の塗膜との密着性や、耐孔食性、耐塗
膜下腐食性、フレーバー保持性、加工性等の諸特性を顕
著に向上させ得るという知見に基づくものである。
本発明において、燐酸錫を必須成分とする表面処理層を
むしろ超薄層の形で設けることが、塗膜密着性や耐腐食
性の点で顕著な効果をもたらすという事実は、多数の実
験の結果見い出されたものであって、その析出機構の詳
細は必ずしも明かではないが、次のようなものと推定さ
れる。本発明の表面処理では、ブリキ製DI缶表面の錫が
エッチングされ、処理浴中の燐酸と結合して燐酸錫とな
り、表面処理膜として析出する。本処理膜を緻密な膜と
して表面全体に一様に形成させることが、塗膜密着性や
耐腐食性の点で重要となる。燐酸錫系表面処理膜を厚く
設けた場合には、塗膜密着性や耐腐食性が思ったほど向
上しないのは、燐酸錫の結晶粒成長による内部空隙化
(多孔質化)や皮膜形成の不均質化が、これらの特性に
悪影響をもたらしているものと認められる。これに対し
て、本発明に従い、燐酸錫系表面処理層の形成を可及的
に薄く行うと、燐酸錫の結晶粒成長による内部空隙化
(多孔質化)が抑制されつつ、皮膜形成が全面にわたっ
て均一且つ一様に行われるようになり、塗膜密着性や対
腐食性が顕著に向上するものと思われる。
本発明のブリキ製DI缶において、表面処理層の化学的組
成は、その厚みが著しく薄いため、分析のかなり困難な
ものであるが、表面処理層を構成する元素の組成は、XP
S(X線光電子分光分析)スペクトルで調べることがで
きる。添付図面第2図は、本発明のブリキ製DI缶の表面
処理層のXPSスペクトルである。
本発明においては、燐酸錫系表面処理層の形成を可及的
に薄く行うことに関連して、この表面処理層のSn/Pの原
子比及びFe/Snの原子比を上記範囲に調節することも、
塗膜密着性や耐腐食性の点で重要である。即ち、Sn/Pの
原子比が上記範囲よりも高い場合には、表面処理層と塗
膜との密着性が低く、また缶側壁部における錫被覆部分
と鉄露出部との飲料中での電位差が大きくなり、鉄露出
部での孔食や錫被覆部での塗膜下腐食が進行し易くな
る。逆に、Sn/Pの原子比が上記範囲よりも低い場合に
は、表面処理層の化学的耐性が低くなり、表面処理層自
体が内容物により侵される傾向が現れると共に、表面処
理層自体の凝集力も低下して塗膜との密着性も低くな
る。また、Fe/Snの原子比が上記範囲よりも大きくなる
と、表面処理層の凝集力が小さくなり、また緻密性も失
われて、塗膜との密着性が低下し、耐腐食性も低下する
ことになる。
表面処理層中の燐酸錫が錫の溶出と形成される燐酸錫と
の析出によるものであることは既に述べたとおりである
が、絞りしごき加工後の側壁部表面には素地鉄も露出し
ているため、この素地鉄も当然表面処理浴中に溶出し、
燐酸鉄の形で表面処理層中に析出する傾向がある。本発
明では、この鉄の析出を、後述する例に示す通り、Fe/S
n原子比で7以下に抑制するものである。
本発明によれば、表面処理層のSn/Pの原子比及びFe/Sn
の原子比を上記範囲に調節することにより、表面処理層
の凝集力や緻密性を向上させて、塗膜密着性(ピール強
度)を顕著に改良し、また缶表面における錫被覆層と鉄
素地露出部分との電位差を少なくして、耐孔食性や耐塗
膜下腐食等の耐腐食性を著しく向上させることができ
る。第3−A図及び第3−B図は、代表的炭酸系飲料で
あるコーラ及びサイダー中での錫表面並びに鋼表面に付
いて電位変化挙動を示すグラフである。これらの図にお
いて、実線は未処理面、鎖線は本発明に従う処理面の電
位を示している。これらの結果から、コーラの場合、錫
面が卑にシフトし、またサイダーの場合、鉄面が貴にシ
フトし、何れも鉄−錫間の電位差が縮小していることが
了解される。
更に、本発明によれば、表面処理層が著しく薄いため、
この表面処理缶や表面処理塗装缶が、ネックイン加工や
ビード加工等の後加工を受けた場合にも、表面処理層に
残留応力が生じることがないため、加工後の缶の塗膜密
着性や耐腐食性が長期間にわたって持続されるという利
点も奏されることになる。
(発明の好適態様) 絞りしごき缶 本発明の絞りしごき缶の一例を示す第4図において、こ
の絞りしごき缶1は、ブリキ、即ち錫メッキ鋼板の深絞
り(絞り−再絞り)とそれに続くしごき加工とにより形
成され、実質上素板と同一厚みの底部2としごき加工に
より薄肉化された側壁部3とから成っている。側壁部3
の上端には所望によりネック部4を介してフランジ部5
が形成されている。この缶1の底部には、底部の張り出
し変形を防止するためにドーム部6が形成されている。
底部の断面構造の一例を示す第5図において、この底部
2は、圧延鋼板基体7と、その表面に設けられた錫メッ
キ層8とから成る。圧延鋼板基体7と錫メッキ層8との
間には、両原子の拡散により生成した錫−鉄合金層9が
介在するのが普通である。錫メッキ層8の上には、燐酸
錫を主成分とする表面処理層10が形成されている。この
表面処理層10は著しく薄いものであるが、第5図ではそ
の存在を強調するため、実際の厚みよりもかなり厚く示
されている。最終的な缶の状態において、缶の内面側に
は、表面処理層を介して内面保護塗膜11が形成されてお
り、一方缶の外面側には、表面処理層を介して外面保護
塗膜乃至印刷層12が形成されている。
側壁部3の断面構造の一例を示す第6図において、この
側壁部3は、しごき加工により薄肉化された圧延鋼板基
体7とその表面とからなるが、この表面には、錫メッキ
層8と鉄素地露出部13とが混在して存在しており、両者
の中間組織として錫−鉄合金層9が存在する場合もあ
る。これらの表面組織全面を覆うように、燐酸錫を主成
分とする表面処理層10が一様に著しく薄い厚みで形成さ
れている。この表面処理層10を介して内面保護塗膜11や
外面保護塗膜乃至印刷層12が形成されているのは、第5
図の場合と同様である。
素材 ブリキ素材としては、圧延鋼板に、電気メッキ等のそれ
自体公知の手段で錫メッキ層を形成したものが使用され
る。錫メッキ層の厚みは、前述した範囲にあることが、
経済性と加工性及び耐腐食性とのかねあいから望まし
い。即ち、前記範囲よりも付着量が少ないときには加工
性や耐腐食性が劣るようになり、一方前記範囲よりも厚
いと素材コストが増大して、ブリキを使用するメリット
が失われるのみならす、加熱殺菌を施す用途などで錫層
内部での凝集破壊が生じ、塗膜や印刷面等も剥離現象が
生ずることがある。またこのブリキの厚みは、缶の用途
によっても相違するが、一般に0.15乃至0.35mmの範囲に
あるのがよい。
絞りしごき成形 ブリキ素材の絞りしごき加工は、それ自体公知の方法で
行うことができる。即ち、このブリキ素材を円板等の形
状に剪断し、これを絞りポンチと絞りダイスとの間で一
段或いは多段の絞り加工に賦する。絞り成形は大径の浅
いカップへの前絞り成形と小径の深絞りカップへの深絞
り成形とでも行うことができ、この深絞り成形工程で
は、肉厚を均一化するためカップ側壁部の上方部分に軽
度のしごきを加えるようにしてもよい。絞り成形に際し
ては、素材に潤滑剤を適用することもできる。絞り加工
は室温で行い得るのは勿論であるが、室温よりも若干高
めの温度で加工を行うこともできる。
上記絞り加工に際して、式 で定義される絞り比は、一般に1.2乃至2.0の範囲内にあ
ることが好ましく、 式 で定義される再絞り比は、一般に1.1乃至1.6の範囲内に
あることが好ましい。
絞り成形及び再しぼり成形に際して、ブリキ板或いは更
にカップに、各種滑剤、例えば流動パラフィン、合成パ
ラフィン、食用油、水添食用油、パーム油、各種天然ワ
ックス、ポリエチレンワックスを塗布して成形を行うの
がよい。
絞り加工或いは更に際絞り加工されたカップを、しごき
ポンチとしごきダイスとの組み合わせを用いて、一段乃
至多段のしごき加工を行う。しごき加工に際して、しご
きポンチとしごきダイスとのクリアランスをカップ側壁
部の肉厚よりも小さくしておくことにより、この側壁部
は延伸され、薄肉化される。式 RI=(tb−ts)/tb×100 ‥(3) 式中、tbはしごき加工前のブリキ素材の厚みであり、ts
はしごき加工後のブリキ素材の厚みである、 で定義されるしごき率(RI)は、一段のしごきで 5乃至50%、全体としてのしごきで5乃至80%の範囲に
あるのが望ましい。
尚、絞り加工と同時にカップの底打ちを行って底部にド
ームを形成させておくのがよい。また、しごき加工に際
して、しごきダイスと加工される側壁部とを潤滑し且つ
これを冷却するために、水或いは前述した潤滑剤を、界
面活性剤と共に水性媒体中に分散させ、乳化させたもの
がクーラントとして使用される。
表面処理 得られる絞りしごきカップを、ポンチから抜き取った
後、脱脂洗浄等の前処理を行い、次いで表面処理に賦す
る。
この表面処理は、絞りしごき加工で形成される金属面
に、燐酸錫を必須成分とする厚さ100オングストローム
以下、特に50オングストローム以下の表面処理層であっ
て、しかも錫原子と燐原子との比が1:15乃至9:1で且つ
錫原子当たりの鉄原子の比が7以下である化学組成を有
する表面処理層を形成させるものであって、金属面のエ
ッチングと燐酸錫を必須成分とする化成処理膜析出との
2過程で行われる。即ちこの表面処理は、金属表面の錫
層が処理液中に溶出し、溶出した錫が燐酸錫の形でエッ
チングされた表面に析出する点で、一種のコンバージョ
ン・コーテイングということができる。上記エッチング
過程で、素地鉄路出面では、鉄も処理液中に溶出する
が、この溶出鉄は燐酸錫の析出に先立って燐酸鉄として
鉄面に析出していることが、耐食性の点で望ましい。
表面処理浴中の各成分及び処理条件の各々は特に限定し
ないが、本発明では、形成される表面処理膜の厚み及び
化学組成が上記範囲となるように諸条件を組み合わせ
る。
先ず、処理液としては、(I)金属面をエッチングする
成分、(II)金属を燐酸塩に転化する成分、(III)金
属をキレート化して安定化させ燐酸塩の析出速度をコン
トロールする成分等を含有するものが使用される。勿論
使用する薬剤は単一の成分で2種以上の作用を兼ねるも
のであっても何等差し支えない。例えば、オルト燐酸
は、上記作用(I)と(II)とを兼ねる成分である。ま
た、ピロ燐酸ソーダ等の縮合燐酸塩は、上記作用(II)
と(III)とを兼ねる成分である。また、ヒドロキシカ
ルボン酸は、主として上記作用(III)と補助的に上記
作用(I)とを示す成分である。これらの各成分を組み
合わせることにより、所望の厚みと化学組成の表面処理
膜を形成することができる。
表面処理層中のFe/Sn原子比は、後述する例に示す通
り、処理浴の燐酸濃度及び処理温度及びpHを調節するこ
とにより制御できる。即ち、同一処理浴でも温度が高い
程またはpHが小さい程Fe/Sn比が小さくなり、逆に温度
が低い程またpHが大きい程Fe/Sn比が大きくなる傾向が
ある。また、処理浴中の燐酸濃度が高い程Fe/Sn比が低
くなり、逆に濃度が低い程Fe/Sn比が高くなる傾向があ
る。かくして、処理浴中の燐酸濃度及び処理温度を調節
することにより、Fe/Sn原子比を7以下とすることがで
きる。
絞りしごき缶の表面処理は、この缶に処理液をスプレー
することにより容易に行われる。処理後の缶を水洗し乾
燥し、所望により外面印刷を施した後、以下に示す塗装
処理を行う。
塗装処理 本発明における表面処理ブリキ製絞りしごき缶は、内面
或いは外面に施される各種塗膜に対して優れた塗れ性を
有し且つ密着性を有している。
このような塗料としては、熱硬化性及び熱可塑性樹脂か
ら成る任意の塗料:例えば、フェノール−エポキシ塗
料、アクリルエポキシ系、エポキシエリア系、塩ビオル
ガノゾル系等、それ自体公知の塗料が用いられる。ブリ
キに対する密着性と耐腐食性の点では、塗膜形成性樹脂
成分の一部としてエポキシ成分を含む塗料が好ましい。
これらの塗料は、有機溶媒溶液の形で、或は水性分散液
または水溶液の形で、内面には一般にスプレー塗装、外
面にはローラコート、それ自体公知の形で金属素材に施
す。勿論、前記樹脂塗料が熱硬化性の場合には、必要に
より塗膜を焼付ける。塗膜は、耐腐食性と加工性の見地
から、一般に2乃至20μmを有することが望ましい。ま
た、塗装後の缶の加工性を向上させるために、塗膜中
に、各種滑剤を含有させることもできる。
本発明のブリキ製絞りしごき缶における表面処理層は、
水性塗料に対しても優れた濡れ性と強固な塗膜密着性を
示すことが顕著な特徴である。このことは、内面保護塗
膜の形成に重大な利点をもたらす。即ち、内面保護塗膜
の形成には、スプレー塗装が一般に使用されるが、水性
塗料を用いると、大気中への溶剤の揮散の問題がなく、
環境保全や公害防止の点で利点が奏せされる。
水性塗料の場合には、スプレー塗装の他、電着方式の塗
布方法も好適に使用できる。また、粉体塗装にも適用で
き、その場合は静電塗装の形式で塗布される。得られた
塗装缶は、トリミング、ネックイン加工、ビード加工、
フランジ加工等を行って、最終缶胴とする。
(発明の効果) 本発明によれば、錫メッキ量の比較的少ないブリキから
形成された絞りしごき缶に対して、形成される燐酸錫系
表面処理層の厚みと化学組成とを一定の範囲に選択する
ことにより、ブリキ製絞りしごき缶の表面が、物理的に
も化学的にも著しく不均質な構造乃至組織を有するにも
関わらず、塗料の濡れ性を顕著に向上させ、しかも塗
膜、特に水性塗料の塗膜との密着性を強固なものとし、
缶詰め用缶として、耐孔食性、耐塗膜下腐食性、フレー
バー保持性、加工性等の諸特性を顕著に向上させるこが
できる。このものはビールや炭酸飲料等を収容する耐圧
缶或いは各種飲料缶、一般食缶として有用である。
(実施例) 本発明を次の実施例で更に説明する。
実施例1〜7及び比較例1〜3 本例では、処理浴組成、処理温度及びpHを変化させるこ
とにより、表面処理膜の組成及び膜厚を変化させ、各種
評価試験を行った。
錫付着量1.5g/m2、板厚0.24mmの錫メッキ鋼板を140mmφ
の円盤に打ち抜き、続いて絞り比1.7のカップを作製
し、次いで通常のクーラントを用い、再絞り、3段のし
ごき加工を行ない、側壁厚75μm(Min)、径66φ、内
容積350mlの缶を作製した。得られた缶の弱アルカリ性
脱脂剤を用いて表面を清浄化した後、表1に示す表面処
理液で10〜30秒のスプレーを行ない、表面処理を実施し
た。pH調整は水酸化ナトリウム水溶液で行った。
比較例3は未処理のものである。
その後水洗し乾燥した。その缶の外面にホワイトコーテ
ィング及び印刷を施し、内面にはアクリル・エポキシ系
の水性塗料を5〜7μmの厚みに塗装し、その後ネッキ
ング、フランジング加工を行ない、評価に供した。
得られた結果を表1に示す。
実施例8〜14及び比較例4 錫付着量内面0.5g/m2/外面2.0g/m2で板厚0.22mmの錫メ
ッキ鋼板についても、上記と同様な方法で内容積350ml
の缶を作製し、表2に示す条件で約5秒の表面処理を施
し、エポキシ・フェノール系の水性塗料を塗布した以外
は、上記と同様な方法でネッキング、フランジングを行
ない、評価に供した。得られた結果を表2に示す。
実施例15及び比較例5 錫付着量が5.6g/m2(実施例15)と8.4g/m2(比較例5)
の錫メッキ鋼板を用いて、内面塗料として溶剤系のエポ
キシ・フェノール樹脂塗料を用いる以外は実施例1と同
様の缶を作製し、乳酸菌飲料を充填し125℃−30分のレ
トルト処理を施し、30℃−3ケ月間保存した後、内外面
評価を行なった。5.6g/m2の錫メッキ鋼板を用いた缶
は、内外面共、以上は認められなかった。一方、8.4g/m
2の錫メッキ鋼板を用いた缶には、9缶/100缶の缶胴内
面に塗膜のブリスターが認められ、且つ外面ネック部に
も一部印刷剥離が認められた。
尚、前記缶の皮膜に関しては 前者(実施例15)はSn/P=5,Fe/Sn=1.5 皮膜厚=15オングストロームであり、 後者(比較例5)はSn/P=7,Fe/Sn=1.0 皮膜厚=30オングストローム であった。
【図面の簡単な説明】
第1図は、無塗装ブリキDI缶内面の金属組織を示す走査
型電子顕微鏡写真であり、 第2図は、本発明のブリキ製DI缶の表面処理層のXPSス
ペクトルであり、 第3−A図及び第3−B図は、代表的炭酸系飲料である
コーラ及びサイダーの中での錫表面並びに鋼表面につい
て電位変化挙動を示すグラフであり、 第4図は、本発明の絞りしごき缶の一例を示す側断面図
であり、 第5図は、第4図の缶の底部の断面図であり、 第6図は、第4図の缶の側壁部の断面図である。 引照数字1は絞りしごき缶、2は底部、3は側壁部、4
はネック部、5はフランジ部、6はドーム部、7は圧延
鋼板基体、8は錫メッキ層、9は錫−鉄合金層、10は燐
酸錫を主成分とする表面処理層、11は内面保護塗膜、12
は外面保護塗膜乃至印刷層、13は鉄素地露出部をそれぞ
れ示す。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】錫メッキ鋼板を絞りしごき加工して得られ
    る缶であって、 前記錫メッキ鋼板は面積当たりの錫被覆量が0.5乃至7.0
    g/m2の範囲にあるものであり、絞りしごき加工により形
    成される側壁部表面には錫被覆層と素地鉄とが混在して
    露出しており、この露出面には燐酸錫を必須成分とする
    厚さ100オングストローム以下の表面処理層が形成され
    ていて、この表面処理層は錫原子と燐原子との比が1:15
    乃至9:1で且つ錫原子当たりの鉄原子の比が7以下であ
    る化学組成を有することを特徴とするブリキ製絞りしご
    き缶。
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