JPH0764261B2 - 車両用実舵角制御装置 - Google Patents

車両用実舵角制御装置

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JPH0764261B2
JPH0764261B2 JP61091173A JP9117386A JPH0764261B2 JP H0764261 B2 JPH0764261 B2 JP H0764261B2 JP 61091173 A JP61091173 A JP 61091173A JP 9117386 A JP9117386 A JP 9117386A JP H0764261 B2 JPH0764261 B2 JP H0764261B2
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健 伊藤
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、車輪の実舵角を調整することで、車両の運
動特性を制御する車両用実舵角制御装置に関する。
(従来の技術) 従来の、機械リンク式ステアリング装置を搭載した車両
は、ステアリングハンドルの操舵量に対応して前輪を転
舵する構成となつており、操舵に伴う運動性能は、その
車両の車両諸元により一律に決定され、運動性能は、車
種毎に固有のものとなつている。
これに対し、本願出願人は、先に、特願昭59−188153号
において、目標とする運動性能を備える目標車両モデル
(規範モデル)を想定し、該目標車両モデルに関する車
両諸元と運動方程式に基づいて、ステアリングハンドル
操舵量と車速に対応する運動状態量を目標値、すなわち
目標車両モデルが呈する運動状態量を求め、この運動状
態量目標値を自車(当該装置を搭載した車両)で実現す
るように、自車の車輪(前輪および後輪)の舵角を制御
する装置を提案している。
すなわち、この装置を用いれば、自在に運動性能を制御
することができるのである。
(発明が解決しようとする課題) ところで、本願発明者らは、上記装置について、さらに
研究を重ねるうちに、次の改良点を見出した。
すなわち、上記装置は、上記運動状態量目標値は、自車
の運動状態量として実現されるのであるが、このとき、
自車の運動状態量のフイードバツクがなされていないた
め、外乱や環境変化に対しては無防備である。
特に車両のような、移動速度の変化や路面あるいは気候
の変化等により、外乱や環境変化の大きな制御対象につ
いては、制御精度や安定性が要求される。
そこで、自車の運動状態量のフイードバツクを行う構成
を採ることが考えられるが、この場合には、以下の不都
合が生じる可能性が在る。
すなわち、フイードバツク制御は、上記自車の運動状態
量を検出するセンサに対する依存度が高く、センサに故
障が生じると制御不能になる場合がある。また、横加速
度の大きな走行や路面摩擦性が大幅に変化するので、フ
イードバツクされる自車の運動状態量と前記運動状態量
目標値のずれが大きくなつてフイードバツク制御が不安
定になることがある。
(課題を解決するための手段) 上記問題点を解決するために、本発明は、第1図に示す
手段を備える。
運動状態量目標値演算手段102は、操舵指令検出手段100
で検出される運転者による操舵指令S1および車速検出手
段101で検出される車速S2を、目標とする動特性を数学
モデル化してなる規範モデルに与えて、自車で実現しよ
うとする少なくとも1種類の運動状態量の目標値を求め
る。
第1の舵角操作量指令値決定手段104は、前記運動状態
量の目標値S3に基づいて、該運動状態量の目標値S3で自
車で実現するために必要な前輪および後輪のうち少なく
とも一方の制御対象車輪の舵角操作量の指令値S5を決定
する。
第2の舵角操作量指令値決定手段105は、運動状態量検
出手段103で検出した、上記少なくとも1種類の運動状
態量と同種の自車の運動状態量の検出値S4をフィードバ
ックしつつ、前記運動状態量の目標値S3を自車で実現す
るために必要な前記制御対象車輪の舵角の操作量の指令
値S6を決定する。
指令値切換手段106は、運動状態量偏差演算装置108によ
り求めた上記運動状態量の検出値S4および上記運動状態
量の目標値S3間における偏差S7が設定値以上である間、
第1の舵角操作量指令値決定手段104からの舵角操作量
指令値S5を選択し、運動状態量偏差S7が該設定値未満で
ある間、第2の舵角操作量指令値決定手段105からの舵
角操作量指令値S6を選択する。
車輪実舵角調整手段107は基本的には、該選択された舵
角操作量指令値に従って、上記制御対象車輪の実舵角を
調整するが、指令値切換手段106による舵角操作量指令
値の選択切換え後設定時間中は、指令値切換変化緩和手
段109からの以下の如き舵角操作量指令値に従って、上
記制御対象車輪の実舵角を調整する。つまりこの間指令
値切換変化緩和手段109は、指令値切換手段106により選
択された舵角操作量指令値に0から1まで漸増する漸増
係数を掛けて求めた乗算値、および他方の舵角操作量指
令値に1から0まで漸減する漸減係数を掛けて求めた乗
算値の和値を、選択された舵角操作量指令値として車輪
実舵角調整手段107に供給し、車輪実舵角調整手段107は
当該指令値切換変化緩和手段109からの舵角操作量指令
値に従って、上記制御対象車輪の実舵角を調整する。
(作 用) 本発明は、運動状態量の目標値S3を、制御対象車輪の実
舵角の調整を行うことで自車で実現するための制御系と
して、第1の舵角操作量指令値決定手段104を含むフィ
ードフォーワード制御系と、第2の舵角操作量指令値決
定手段105を含むフィードバック制御系を備えている。
そして、運動状態量偏差S7が設定値以上である間、つま
りフィードバックすべき運動状態量を検出する手段103
が故障した場合や、異常に大きな横風を受けたり、路面
摩擦係数の低下等により車両の動特性が大幅に変化した
場合のように、フィードバック制御が不安定になる場合
には、フィードバック制御系に代えてフィードフォワー
ド制御系を用い、逆に運動状態量偏差S7が該設定値未満
である間、つまりフィードバック制御が不安定になるこ
とがない状況のもとでは、フィードフォワード制御系に
代えてフィードバック制御系を用いるというような切換
えが可能となる。従って、フィードバック制御が不安定
になることがない場合は、当該フィードバック制御を実
行させて外乱や環境変化による影響を排除可能な高精度
の制御を可能ならしめ、フィードバック制御が不安定に
なる場合には、フィードフォワード制御により当該制御
不安定が発生することのないようにし得る。
ところで、フィードフォワード制御系とフィードバック
制御系との切換え判断を、運動状態量の検出値S4および
目標値S3間における偏差S7が設定値以上か、未満かによ
って行うことから、上記フィードバック制御系からフィ
ードフォワード制御系への切換えを、運動状態量検出手
段103の故障でフィードバック制御が不安定になる場合
だけでなく、異常に大きな横風を受けたり、路面摩擦係
数の低下等により車両の動特性が大幅に変化した場合の
ように、車両走行状況の変化でフィードバック制御が不
安定になる場合も、実行させることができ、フィードバ
ック制御が不安定になる状況を故障時以外にも排除し得
て安全上大いに有用である。
加えて、フィードフォワード制御系とフィードバック制
御系との間で系の選択切換えを行うに際し、切換え後設
定時間中は、当該切換えにより選択された舵角操作量指
令値に0から1まで漸増する漸増係数を掛けて求めた乗
算値、および他方の舵角操作量指令値に1から0まで漸
減する漸減係数を掛けて求めた乗算値の和値を、舵角操
作量指令値として車輪実舵角調整手段107に与えること
から、当該切り換え時において舵角操作量指令値の段差
を生ずることがなく、制御対象車輪の急な舵角変化を防
止して、この点でも安全上大いに有利である。
(実施例) 本発明の第1実施例の構成を第2図に示す。
演算処理装置1Aは、マイクロコンピユータあるいは他の
電気回路を用いて構成されており、操舵指令入力とし
て、操舵角センサ2で検出されるステアリングハンドル
8の操舵角θが与えられている。
また、演算処理装置1Aには、車速センサ3で検出される
車速Vと、ヨーレートセンサ13で検出される自車に実際
に生じるヨーレート の各検出信号が入力されている。
そして、演算処理装置1Aは、上記各入力に基づいて所定
の演算処理を実行して、後輪11,12の舵角の操作量を指
令値(以下「後輪舵角指令値」と言う)を出力す
る。
後輪11,12は、油圧式ステアリング装置7によつて転舵
される構成になつている。この油圧式ステアリング装置
7は、後輪転舵装置5によつて制御される。
後輪転舵装置5は、演算処理装置1Aから入力される後輪
舵角指令値に対応して油圧式ステアリング装置7へ
与える油圧を変化させ、後輪11,12の実舵角が後輪舵角
指令値に一致するように作動する(詳細は、特願昭
59−188153号に記載されている)。
前輪9,10は、従来の機械リンク式ステアリング装置6に
より、ステアリングハンドル8により操舵される。
第8図は、演算処理装置1Aの構成を示すブロツク線図で
ある。
演算処理装置1Aは、2つの規範モデル21,22と、2つの
舵角演算部23,24と、指令値切換部25を備えている。
規範モデル21,22は、それぞれ、予め設定された目標と
する動特性を数学モデル化したものであり、本実施例で
は、ヨーレートの応答特性についての規範モデルになつ
ている。この規範モデル21は、操舵角θと車速Vを入
力し、これらの入力に基づいて、自車に実現しようとす
るヨーレートとヨー角加速度を求め、これらをヨーレー
ト目標値 として出力する。
規範モデル22は、上記規範モデル21と同様に、ヨーレー
トの応答特性についての規範モデルになつており、操舵
角θと車速Vを入力して、これらの入力に基いてヨー
レート目標値 を求めて出力する。
舵角演算部23は、自車の動特性を数学モデル化した自車
モデルを備えており、この自車モデルに、上記ヨーレー
ト目標値 とヨー角加速度目標値 および操舵角θと車速Vを与えて、ヨーレート目標値 を自車で実現するために必要な後輪舵角を求める。この
求めた後輪舵角は、後輪舵角指令値R1として出力され
る。
舵角演算部24は、規範モデル22で求めたヨーレート目標
ヨーレートセンサ13で検出された自車のヨーレート との差e を入力して、この差eに対応する後輪舵角指令値R2
決定して出力する。すなわち、上記ヨーレートの検出値 をフイードバツクしつつ、 が一致するように後輪舵角指令値R2を設定する。
このフイードバツク制御系を構成する舵角演算部24は、
例えば第4図(a)〜(c)に示す構成の何れかを用い
て構成する。同図(a)は、ヨーレート特性についての
速応性を重視したもの、同図(b)は定常偏差を零とす
るためのもの、同図(c)は(a)と(b)を組合せた
ものである。
指令値切換部25は、前記後輪転舵装置5へ与える後輪舵
角指令値として、前記2つの舵角演算部23,24から
出力される2つの後輪舵角指令値R1,R2の何れか一
方を選択して出力するものである。この出力の選択は次
のようにして行う。
フイードフオワード制御とフイードバツク制御を比べる
と、前述したように、外乱や環境変化による影響が少な
いのはフイードバツク制御であり、他方、自車の動特性
変化が大きい場合には、フイードフオワード制御による
ことが妥当である。
従つて、指令値切換部25では、ヨーレート目標値 の差eが所定値e0以上か否かによつて、自車の動特性の
大幅な変化が生じたか否かを判別し、e≧e0のときに
は、フイードフオワード系、すなわち、舵角演算部23で
決定した後輪舵角指令値R1を選択する。また、e<e0
である間は、フイードバツク制御を安定して行うことが
できるので、舵角演算部24で決定した後輪舵角指令値
R2が選択されて、後輪舵角指令値として出力され
る。
そして、2つの後輪舵角指令値R1R2の切換えが急
激に行われると、車両挙動が不安定になる可能性がある
ため、指令値切換部25は、上記の切換えを徐々に行うよ
うにしている。
すなわち、指令値切換部25に入力される2つの後輪舵角
指令値R1R2と、出力される後輪舵角指令値
の間には、 =C1 R1+C2 R2 …(1) なる関係によつて重み付けがなされている。但し、C1
C2=1である。
そして、第5図に示すように、フイードバツク制御(図
中「FB」で表わす)からフイードフオワード制御(図中
「FF」で表わす)へ切換えるときには、e≧e0の判定が
なされた時点から所定時間Tdで、上記重み係数C2を1か
ら0へ漸減し、逆に重み係数C1を0から1へ漸増させ
る。また、フイードフオワード制御からフイードバツク
制御へ切換えるときには、e<e0の判定がなされた時点
から所定時間Tdで、上記重み係数C1を1から0へ漸減
し、逆に重み係数C2を0から1へ漸増させる。
以上の制御により、本実施例は、後輪11,12の実舵角を
調整することにより、自車のヨーレート特性を、規範モ
デルに設定した目標の特性に一致させることができる。
また、本実施例は、通常走行時には、フイードバツク制
御によつて外乱や環境変化による影響を受けることなく
精度の良い安定した制御を行い、ヨーレートセンサ13の
故障や自車の動特性の大幅な変化が生じたとき(例え
ば、大きなバンクを走行するときや、路面摩擦係数が小
さい場合等)には、フイードバツク制御は不安定になる
可能性があるため、フイードフオワード制御に切換え
て、妥当な制御を行うことができる。
次に、本発明の第2実施例について説明する。
第6図は、本実施例の構成図であり、第2図に示した第
1実施例と同一構成部分には、同一符号を付して説明は
省略する。
演算処理装置1Bは、マイクロコンピユータあるいは他の
電気回路を用いて構成されており、操舵指令入力とし
て、操舵角θが与えられている。また、演算処理装置
1Bには、車速センサ3で検出される車速V、ヨーレート
センサ13で検出される自車のヨーレート そして、横方向速度センサ14で検出される自車に生じる
横方向速度Vyの各検出信号が入力されている。
そして、演算処理装置1Bは、上記各入力に基づいて所定
の演算処理を実行して、前輪9,10の操作量の指令値(以
下「前輪舵角指令値」という)と後輪舵角指令値
を出力する。
本実施例は、後輪11,12のみならず、前輪9,10も油圧式
ステアリング装置41によつて転舵される構成となつてお
り、ステアリングハンドル8と前輪9,10の間の機械リン
クは存在しない。
前輪側の油圧式ステアリング装置41は、前輪転舵装置42
によつて制御され、前輪9,10の実舵角は、前輪舵角指令
に一致するように作動する。油圧式ステアリング
装置41と前輪転舵装置42は、後輪側の油圧式ステアリン
グ装置7と後輪転舵装置5の構成と同一構成である。
第7図は、演算処理装置1Bの構成を示すブロツク線図で
ある。
演算処理装置1Bは、規範モデル51と、2つの舵角演算部
52,53と、指令値切換部54を備えている。
規範モデル51は、予め設定された目標とする動特性を数
学モデル化したものであり、本実施例では、ヨーレート
の応答特性を理想特性とするとともに、横方向速度を常
に零とする特性を規範モデルの保有する目標動特性とし
ている。この規範モデル51は、操舵角θと車速Vを入
力し、これらの入力に基いてヨーレート目標値 とヨー角加速度目標値 および横加速度目標値を求めて出力する。
横加速度目標値は、自車の横方向運動の特性を決める
ものであり、上述のように、横方向速度を常に零にする
場合には、横加速度目標値は、 なる関係式から求められる。
舵角演算部52は、自車モデルを備えており、この自車モ
デルに、上記ヨーレート目標値 ヨー角加速度目標値 横加速度目標値、および車速を与えて、ヨーレート目
標値 ヨー角加速度目標値 横加速度目標値を自車で実現するために必要な前輪舵
角と後輪舵角を求める。これらの前輪舵角と後輪舵角
は、前輪舵角指令値F1と後輪舵角指令値R1として出
力される。
舵角演算部53は、モデルフオロイング制御のためのフイ
ードバツクループを構成したもので、最適レギユレータ
理論に基づいて求められる最適制御ゲイン を用いて、出力フイードバツク、状態フイードバツク、
および規範モデルの状態変数のフイードフオワード補償
を行う。
すなわち、本実施例における舵角演算部53は、モデルフ
オロイング制御の制御量を、ヨーレートと横方向速度の
2つの運動状態量として、自車に実際に生じるヨーレー
トと横方向速度を制御出力とした形でフイードバツク制
御を行う。
従つて、横方向速度センサ14で検出される自車の横方向
速度の検出値Vyと、ヨーレートセンサ13で検出される自
車のヨーレートの検出値 が、舵角演算部53に入力されることで、2出力の出力フ
イードバツクループを形成している。
そして、舵角演算部53では、フイードバツクされた出力
と、規範モデル51からの入力との偏差を求めて、これを
積分した後、ゲイン で増幅することにより、入出力が一致するような前輪舵
角の操作量δF2と後輪舵角の操作量δR2を決める。
ここで、入力としては、ヨーレート目標値 のみが与えられているが、前述したように横方向速度の
目標特性は、常に横方向速度=0なる特性であることか
ら、フイードバツクされた横方向速度検出値Vyをそのま
ま積分入力としても、入出力の偏差を入力したことに等
しくなる。
また、舵角演算部53には、状態フイードバツクに用いる
状態変数として、ヨーレートの検出値 と横方向速度の検出値Vyがフイードバツクされている。
これらは、上記出力フイードバツクに用いる制御出力 とVyと同一である。
舵角演算部53では、フイードバツクされたヨーレートの
検出値 と横方向速度の検出値Vyを、ゲイン で増幅することにより、制御の安定化のための前輪舵角
の操作量の補償値δF1と後輪舵角の操作量の補償値δR1
を決定する。
さらに、本実施例では、規範モデルの状態変数のフイー
ドフオワード補償のために、規範モデル51から出力され
るヨーレート目標値 をゲイン で増幅し、前輪舵角の操作量の補償値δF3と後輪舵角の
操作量の補償値δR3を決定する。この規範モデルの状態
変数のフイードフオワード補償の要素には、規範モデル
の横方向速度も含まれるのであるが、これは常に零であ
るように設定されていることから、敢てループを形成す
る必要はない。
上記各ゲイン は、最適レギユレータ理論に基づいて決められる最適制
御ゲインであり、かつ、これらは、車速Vに依存するも
のである。従つて、各ゲインは、車速の関数として、予
め各車速毎の値をデータテーブルの形でメモリ内に記憶
しておき、車速Vが与えられたときに、各データテーブ
ルのルツクアツプにより各ゲインを決定する。
ゲイン を用いて調整された舵角の操作量および補償値δF1
F2F3R1R2R3は、前輪と後輪についてそれぞ
れ加え合わされて、前輪舵角指令値F2および後輪舵角
指令値R2として出力される。
指令値切換部54は、前記第1実施例における指令値切換
部25と同様に、ヨーレート目標値 とヨーレートの検出値 の差eが所定値e0以上か否かによつて、自車の動特性の
大幅に変化が生じたか否かを判別し、フイードフオワー
ド制御とフイードバツク制御の切換えを行う。
すなわち、e≧e0のときには、フイードフオワード系を
構成する舵角演算部52で決定した前輪舵角指令値F1
後輪舵角指令値R1を選択して出力する。また、e<e0
のときには、フイードバツク系を構成する舵角演算部53
で決定した前輪舵角指令値F2と後輪舵角指令値R2
選択して出力する。
そして、上記出力の切換時には、指令値切換部54は、 =C1 F1+C2 F2 …(3) =C1 R1+C2 R2 …(4) なる関係において、重み係数を徐々に変化させて、出力
の切換えを緩やかに行う。
以上の制御により、本実施例は、前輪9,10と後輪11,12
の実舵角を調整することにより、自車のヨーレート特性
を、規範モデルに設定した目標と特性に一致させ、か
つ、自車の横方向速度を常に零とする特性を得ることが
できる。
また、本実施例は、フイードバツク系とフイードフオワ
ード系の切換えを可能にしたことで、前記第1実施例と
同様の効果を得るとともに、本実施例が適用される車両
が前・後輪が共に、ステアリングハンドル8との間の機
械リンクを有しない構造であるため、制御系が一つの場
合には、この制御系の異常によつて車両の操舵制御が不
能になることがあるが、本実施例の場合には、一方の制
御系が異常を来たしても他方の制御系で操舵を行うこと
が可能であり、フエールセーフ効果をも保有することに
なる。
なお、前記第1実施例では、フイードフオワード系とフ
イードバツク系について別個の規範モデルを設けた例を
示したが、この他に、第8図に示すように、フイードフ
オワード系とフイードバツク系について1つの規範モデ
ル21を共有する構成でも良い。この場合には処理時間を
短縮することができる利点が在る。
また、前記各実施例においては、舵角指令値F,
切換え時機の判断を、ヨーレート目標値 の差eの大小によつて行う例を示したが、この他に、例
えば、自車の横加速度αを求めて(センサで検出する
か、又は車速Vと操舵角θから演算あるいはデータテ
ーブルを用いて求める)この横加速度αが所定値より小
さいときにはフイードバツク制御を行い、所定値より大
きいとき、つまり横加速度αに対する車両特性が非線形
となる領域ではフイードフオワード制御に切換える構成
も考えられる。
また、第2実施例の場合には、横方向速度センサ14の出
力Vyの変化を見て、出力Vyの大きさ|Vy|が所定値を越え
た場合に、フイードバツク制御からフイードフオワード
制御に切換えるようにすることも考えられる。
(発明の効果) 本発明は、規範モデルが具備する動特性に自車の動特性
が追従するように自車の車輪舵角の調整を行うことで、
自車の動特性の制御が行える。そして、この制御を行う
制御系として、フイードフオワード制御系とフイードバ
ツク制御系を備え、運動状態量の目標値および検出値間
の偏差が設定値以上である間、フィードバック制御系に
代えてフィードバック制御系を用い、逆に運動状態量偏
差が該設定値未満である間、フィードフォワード制御系
に代えてフィードバック制御系を用いる構成にしたか
ら、 フィードバックすべき運動状態量を検出するセンサが故
障した場合や、異常に大きな横風を受けたり、路面摩擦
係数の低下等により車両の動特性が大幅に変化した場合
のように、フィードバック制御が不安定になる場合に
は、フィードフォワード制御系を用い、フィードバック
制御が不安定になることがない状況のもとでは、フィー
ドバック制御系を用いるというような切換えが可能とな
る。従って、フィードバック制御が不安定になることが
ない場合は、当該フィードバック制御を実行させて外乱
や環境変化による影響を排除可能な高精度の制御を可能
ならしめ、フィードバック制御が不安定になる場合に
は、フィードフォワード制御により当該制御不安定が発
生することのないようにし得る。
ところで、フィードフォワード制御系とフィードバック
制御系との切換え判断を、運動状態量の検出値および目
標値間における偏差が設定値以上か、未満かによって行
うことから、上記フィードバック制御系からフィードフ
ォワード制御系への切換えを、運動状態量検出センサの
故障でフィードバック制御が不安定になる場合だけでな
く、異常に大きな横風を受けたり、路面摩擦係数の低下
等により車両の動特性が大幅に変化した場合のように、
車両走行状況の変化でフィードバック制御が不安定にな
る場合も、実行させることができ、フィードバック制御
が不安定になる状況を故障時以外にも排除し得て安全上
大いに有用である。
加えて、フィードフォワード制御系とフィードバック制
御系との間で系の選択切換えを行うに際し、切換え後設
定時間中は、当該切換えにより選択された舵角操作量指
令値に0から1まで漸増する漸増係数を掛けて求めた乗
算値、および他方の舵角操作量指令値に1から0まで漸
減する漸減係数を掛けて求めた乗算値の和値を、舵角操
作量指令値として車輪実舵角調整手段107に与えること
から、 当該切り換え時において舵角操作量指令値の段差を生ず
ることがなく、制御対象車輪の急な舵角変化を防止し
て、この点でも安全上大いに有利である。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の構成図、 第2図は本発明の第1実施例の構成図、 第3図は第2図中の演算処理装置の構成を示すブロツク
図、 第4図(a)〜(c)は第3図中の舵角演算部24の異な
る構成例を示すブロツク線図、 第5図は第3図中の指令値切換部の動作を示すタイムチ
ヤート、 第6図は本発明の第2実施例の構成図、 第7図は第6図中の演算処理装置の構成を示すブロツク
図、 第8図は本発明の他の実施例における演算処理装置の構
成を示すブロツク図である。 100……操舵指令検出手段 101……車速検出手段 102……運動状態量目標値演算手段 103……運動状態量検出手段 104……第1の舵角操作量指令値決定手段 105……第2の舵角操作量指令値決定手段 106……指令値切換手段 107……車輪実舵角調整手段 108……運動状態量偏差演算手段 109……指令値切換変化緩和手段 1A,1B……演算処理装置 2……操舵角センサ、3……車速センサ 5……後輪転舵装置 7,41……油圧式ステアリング装置 8……ステアリングハンドル 9,10……前輪、11,12……後輪 13……ヨーレートセンサ 14……横方向速度センサ 21,22,51……規範モデル 23,24,52,53……舵角演算部 25,54……指令値切換部 θ……操舵角、V……車速

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】運転者による操舵指令を検出する操舵指令
    検出手段と、 車速を検出する車速検出手段と、 目標とする動特性を数学モデル化してなる規範モデルに
    前記操舵指令および車速の検出値を与えて、自車で実現
    しようとする少なくとも1種類の運動状態量の目標値を
    求める運動状態量目標値演算手段と、 前記求められた運動状態量の目標値に基づいて、該運動
    状態量の目標値を自車で実現するために必要な前輪およ
    び後輪の少なくとも一方の制御対象車輪の舵角操作量の
    指令値を決定する第1の舵角操作量指令値決定手段と、 自車に生ずる、前記少なくとも1種類の運動状態量と同
    種の運動状態量を検出する運動状態量検出手段と、 前記検出された自車に生ずる運動状態量の検出値をフィ
    ードバックしつつ、前記運動状態量の目標値を自車で実
    現するために必要な前記制御対象車輪の舵角操作量の指
    令値を決定する第2の舵角操作量指令値決定手段と、 前記運動状態量の検出値および前記運動状態量の目標値
    間における偏差を求める運動状態量偏差演算手段と、 該手段により求めた運動状態量偏差が設定値以上である
    間、前記第1の舵角操作量指令値決定手段からの舵角操
    作量指令値を選択し、運動状態量偏差が該設定値未満で
    ある間、前記第2の舵角操作量指令値決定手段からの舵
    角操作量指令値を選択する指令値切換手段と、 該選択された舵角操作量指令値に従って、前記制御対象
    車輪の実舵角を調整する車輪実舵角調整手段と、 前記指令値切換手段による舵角操作量指令値の選択切換
    え後設定時間中は、該手段により選択された舵角操作量
    指令値に0から1まで漸増する漸増係数を掛けて求めた
    乗算値、および他方の舵角操作量指令値に1から0まで
    漸減する漸減係数を掛けて求めた乗算値の和値を、選択
    された舵角操作量指令値として前記車輪実舵角調整手段
    に供給する指令値切換変化緩和手段とを具備することを
    特徴とする車両用実舵角制御装置。
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