JPH0763270B2 - 全量供給型軸流コンバインの可変扱歯付扱胴 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ○産業上の利用分野 本発明は、扱胴の周面に植設した扱歯の脱穀物移送角を
可変とした全量供給型軸流コンバインの扱胴に関する。

特に本発明は扱室内の脱穀物に供給側から排出側に向け
て移送作用を与える扱歯の移送力を大小に変更可能に
し、扱室内へ投入される穀稈・穀粒全量からなる被脱穀
物の滞留時間を長短変更自在にして、脱穀物の条件に応
じた脱穀処理性能の向上を図らんとするものである。

○従来技術 全量供給型軸流コンバインの扱室内の脱穀物に供給側か
ら排出側に向けて移送作用を与えながら脱穀処理する扱
歯は、扱胴周面に堅固に植設された常に一定移送角度の
ものであり、脱穀物に対する移送力を変更できなかっ
た。

○本発明が解決しようとする問題点 よって、脱穀物の品種の違いによる脱粒の難易や湿材或
いは乾燥程度等の条件の相違によって脱穀・脱粒作用は
左右されるにも係わらず、脱穀処理する扱歯が、扱胴周
面に堅固に植設されて常に一定移送角度であるために、
脱穀処理が難なるものの場合には脱粒が不十分であり、
排出側から穀粒がついたままの状態で排稈されてしま
い、また、脱穀処理が易なるものの場合には徒に扱室内
に脱穀物を滞留させてしまい、時間的な無駄を招く等の
問題を有していたのである。

○問題点を解決するための手段 本発明は、上記のような従来のものにおける脱穀物の相
違、条件の相違により発生するロス、或いは時間的な無
駄を排除するために、供給脱穀物全量に移送・脱穀作用
を与えるべく扱胴の周面の供給側から排出側にかけて植
設した扱歯の移送角を適宜変更自在に構成したものであ
る。

○実施例 以下、図面に示す実施例について説明する。

本願発明は全量供給型軸流コンバインにおける扱歯に関
するものであるが、該コンバインは穀稈を掻込みリール
（１）で掻込み、刈刃（２）で刈取り、刈取られた穀稈
は掻込オーガ（３）からフィーダハウス（４）のチェン
コンベア（５）で扱室（６）の供給側（Ｘ）に揚上さ
れ、本願発明の後述する可変扱歯（Ａ）によって脱穀処
理される。この脱穀処理作用にて生じた穀粒と穀稈片や
細藁は受網（７）から漏出して揺動選別部（８）上に落
下し、その終端側に向けて移動する。この移動の過程で
穀粒と細かい稈切は揺動選別部（８）から下方に漏下
し、長い穀稈片のみ排出側（Ｙ）に運ばれる。揺動選別
部（８）から漏下したものは送風ファン（９）と扱胴
（10）の終端部に取着せる吸引ファン（11）とによる選
別風及び送風ファン（12）により穀粒は一番樋（13）
に、二番物は二番樋（14）にそれぞれ落入し、一番樋に
落入した穀粒は揚穀コンベア（15）で所定の容器に収容
され、二番物はスロワー筒（16）を経て上記揺動選別部
（８）に還元され再選別されるようになっている。

次に本願発明の要部について説明する。

上記の可変扱歯（Ａ）は全量供給型軸流コンバインの扱
胴（10）の周囲に螺旋状に描かれる線状に多数植設する
のであるが、この可変扱歯（Ａ）は板状体であり、中央
部には可変軸（17）が溶着されると共に、扱胴（10）の
周面側には円形の塵板（18）が一体に設けられている。
扱胴（10）のこの可変扱歯（Ａ）が植設される箇所には
浅い円状の凹部（19）が形成され、その中央部に上記可
変軸（17）の基部が挿通して回動自在な軸孔（20）を穿
設する。（21）はこの可変軸（17）の基部に扱胴（10）
内から嵌着した止着体で、この止着体（21）と上記座板
（18）可変軸（17）によって可変扱歯（Ａ）は扱胴（1
0）周面に可変軸（17）を軸にして回動可能に植設され
る。（22）は可変軸（17）の基端に貫通し突設した腕杆
でその先端には下方に向けてピン軸（23）が突設してい
る。

そして、扱胴軸（24）の扱胴（８）から排出側（Ｙ）に
突出した部分にはスプライン（25）を刻設し、このスプ
ライン（25）に押圧体（26）が扱胴軸（24）方向にのみ
移動自在に嵌合され、その外側には外側面にカム面（27
a）を形成したカム体（27）をスラストベアリング（2
8）を介して上記押送体（26）と一体的に取付け、カム
体（27）には適当箇所から作動アーム（28）を突設し、
その先端は操縦席（Ｃ）近傍に設けた操作杆（29）に繁
索されていると共に、カム面（27a）は機壁側に固設さ
れたカム体（30）に当接している。

（31）は扱胴（10）の排出側（Ｙ）に中程部を支点にし
て回動する連動杆で、一端は前記各ピン軸（23）に嵌合
連結せる連結杆（32）の枢着し、他端は前記押圧体（2
6）を機壁側に向けて押圧するように当接している。

従って、第２図と第３図に示す状態にあってはカム体
（27）は最も機壁側寄りに位置し、可変扱歯（Ａ）は扱
室（６）の供給側（Ｘ）に揚上され供給される穀稈の抵
抗を受け扱胴（10）の回動方向（Ｐ）に沿う方向にその
姿勢を強要させられて腕杆（22）、ピン軸（23）、連結
杆（32）を介して連動杆（31）の他端は押圧体（26）に
圧着し移送角（α）は小なる姿勢に維持される。

そこで、この移送角（α）を大に変更する時は操作杆
（29）を操作して作動アーム（28）を介しカム体（27）
を扱胴軸（24）の周りに回動させれば、そのカム面（2
6）は機壁側のカム体（30）と摺接してカム体（27）を
第２図矢印（イ）方向に押圧すると共に、押圧体（26）
を同様に押圧して連動杆（31）を回動させ連結杆（32）
を矢印（ロ）方向に移動させる。

そうすると、可変扱歯（Ａ）は可変軸（17）を軸にして
回動して、第３図の示すように移送角（α）は（ハ）の
ように大となる。

また、操作杆（29）を元に戻す側に操作すればこれに追
従して押圧体（26）は矢印（イ）方向とは逆に移動し、
可変扱歯（Ａ）の移送角（α）は次第に小に変更され
る。そして移送角（α）が大に変更されればされる程脱
穀物の移送力を大にし、小になればなる程その移送力は
小となる。

尚、実施例の説明において可変扱歯（Ａ）は板状体のも
ので述べたが、全量供給形軸流コンバインとして一般的
に用いるスクリュー式扱胴の周面の螺旋状に植設するス
パイラのように幾分湾曲したものであってもよく、線条
のものを逆Ｖ字形に屈曲して形成した線状扱歯に構成す
るもよいものである。

また、供給側（Ｘ）での移送角（α）を大にすれば穀稈
の取込がよくなり、排出側（Ｙ）の移送角（α）を小に
すると排出側（Ｙ）から脱粒が不完全のままの穀稈の排
出は防止できるから、扱胴（10）の供給側（Ｘ）、排出
側（Ｙ）においてそれぞれ移送角（α）を変更するよう
にしてもよい。

○発明の効果 本願発明は以上の如く、供給脱穀物全量に移送・脱穀作
用を与えるべく扱胴周面の供給側から排出側にかけて植
設した扱歯の移送角を適宜変更自在に構成したから、脱
穀物の品種の違いや湿材或いは乾燥程度等の条件の相違
によって脱穀・脱粒処理が難なる場合には可変扱歯の移
送角を小に変更してその移送力を小にして扱室内での供
給穀稈全量の滞留時間を長く、即ち処理時間を長くして
充分な脱穀作用を供給脱穀物全量に与え、脱穀・脱粒不
十分のまま被脱穀物を機外へ排出してしまうことを防止
することができ、逆に脱穀処理が易なる場合には可変扱
歯の移送角を大に変更して、その移送力を大にして扱室
内での供給脱穀物全量の滞留時間を短くすることがで
き、脱穀処理性能の向上、能率の向上を図る事ができる
に至ったのである。

また、本願発明の実施例に示すように構成することによ
り、移送角の変更が運転中において自在に行うことでき
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本願発明の全量供給型軸流コンバインの側面図 第２図はその要部の断面図 第３図はその要部の平面図 （Ｘ）……供給側 （Ｙ）……排出側 （α）……移送角 （Ａ）……可変扱歯

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】供給脱穀物全量に移送・脱穀作用を与える
   べく扱胴（10）周面の供給側（Ｘ）から排出側（Ｙ）に
   かけて植設した扱歯の移送角（α）を適宜変更自在に構
   成したことを特徴とする全量供給型軸流コンバインの扱
   胴。