JPH0763257A - 自動変速制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 登坂走行の終了に対応する運転者の意図した
変速を行うようにして運転者が違和感や不快感を感じな
いようにして変速品質を向上させること。 【構成】 運転状態を含む走行状態を検出する走行状態
検出手段ａからの信号により登坂走行判断手段ｂが登坂
走行状態であると判断したら、変速パターンを通常変速
パターンから登坂変速パターンに切り換える変速パター
ン切換手段ｃと、前記変速パターンを参照して走行状態
検出手段ａからの入力に応じて自動変速機ｅの変速制御
を行う変速制御手段とを備え、変速パターン切換手段ｃ
を、登坂走行時に、前記走行状態検出手段からの入力に
基づいてスロットル開度を閉じる登坂終了操作を検出し
たら、変速パターンを登坂変速パターンから通常変速パ
ターンに切り換えるよう構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動変速制御装置に関
し、特に、登坂時の制御に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、登坂走行に対応した制御を行う自
動変速制御装置として、例えば、特開平２−２５６９６
１号公報に記載されたものが知られている。この従来装
置は、走行抵抗を演算する走行抵抗演算手段と、走行抵
抗が基準値を越えた時、その走行抵抗に適した変速パタ
ーンに変化させるパターン変化手段と、走行状態に応じ
て変速パターンを参照して変速比を決定する変速比決定
手段とを備えたものであった。したがって、この自動変
速制御装置では、登坂走行時には、登坂用のシフトマッ
プを選択するか、あるいは、オーバードライブを禁止し
た変速パターンに基づいて変速比を切り換える制御を行
うものである。そして、このような登坂走行に対応した
制御は、登坂走行を検出している間中行われる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、実際に登坂
走行を行う場合、平坦路にさしかかって登坂路が終了す
る間際になった時には、登坂路が終わるのを運転者が黙
視により確認して、アクセルを戻す操作を行う。すなわ
ち、登坂時のアクセルの踏込量のままで平坦路を走行す
ると、車両が加速して車速が上昇するので、運転者は、
それを見越して平坦路に至る前にアクセルを戻す操作を
行う。

【０００４】そして、運転者は、このアクセル戻し操作
を行ったことにより、登坂に用いていた低変速段から、
平坦路用の高変速段にシフトアップするのを期待するの
であるが、上述の従来装置は、登坂走行を検出している
間は登坂走行用の変速パターンに維持されるため、運転
者が登坂終了間際にアクセルを戻してシフトアップを期
待しても、登坂走行が完全に終了しないと変速パターン
が維持されて期待したシフトアップが行われない。この
ように、運転者の意図に沿った変速がなされずに、運転
者が違和感や不快感を感じるおそれがあるという問題が
あった。

【０００５】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、登坂走行の終了に対応する運転者の意
図した変速を行うようにして運転者が違和感や不快感を
感じないようにして変速品質を向上させることを目的と
している。

【０００６】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、登
坂走行時に、スロットル開度を閉じる操作を検出したら
通常変速パターンに戻すようにして上述の目的を達成す
ることとした。

【０００７】すなわち、本発明は、図１のクレーム対応
図に示すように、運転状態を含む走行状態を検出する走
行状態検出手段ａと、この走行状態検出手段ａからの信
号により登坂走行状態を判断する登坂走行判断手段ｂ
と、この登坂走行判断手段ｂが登坂走行状態であると判
断したら、変速パターンを通常変速パターンから登坂走
行に対応した登坂変速パターンに切り換える変速パター
ン切換手段ｃと、前記変速パターンを参照して、スロッ
トル開度を含む前記走行状態検出手段ａからの入力に応
じて自動変速機ｅの変速制御を行う変速制御手段ｄとを
備えた自動変速制御装置において、登坂走行時に、前記
走行状態検出手段ａからの入力に基づいてスロットル開
度を閉じる登坂終了操作を検出したら、変速パターンを
登坂変速パターンから通常変速パターンに切り換えるよ
う前記変速パターン切換手段ｃを構成した。

【０００８】なお、前記登坂終了操作は、スロットル開
度を設定戻し量以上閉じる操作や、スロットル開度を設
定戻し速度以上の速度で閉じる操作や、スロットル開度
を設定開度まで閉じる操作である。

【０００９】

【作用】図１を参照しつつ本発明の作用を説明すると、
平坦路を走行する時には、変速パターン切換手段ｃは、
通常変速パターンを選択する。したがって、変速制御手
段ｄは、走行状態検出手段ａから信号を入力して、通常
変速パターンを参照しながら変速制御を行う。

【００１０】一方、走行状態検出手段からの入力に基づ
いて、登坂走行判断手段ｂが登坂走行状態であると判断
した時には、変速パターン切換手段ｃが、変速パターン
を通常変速パターンから登坂変速パターンに切り換え、
変速制御手段ｄは、登坂変速パターンを参照しながら変
速制御を行う。

【００１１】この登坂走行時に、平坦路にさしかかって
登坂路の終了間際になったことを運転者が黙視により認
識して、アクセルを戻してスロットル開度を閉じる登坂
終了操作を行ったら、変速パターン切換手段ｃが変速パ
ターンを通常変速パターンに切り換える。なお、スロッ
トル開度を閉じる登坂終了操作とは、例えば、設定戻し
量以上でスロットル開度を閉じる操作（請求項２）であ
ったり、設定戻し速度以上でスロットル開度を閉じる操
作（請求項３）であったり、設定開度までスロットル開
度を閉じる操作（請求項４）などであある。

【００１２】したがって、このスロットル開度の変化に
応じて、平坦路にさしかかる直前であっても平坦路で最
適の変速段にシフトアップされ易くなる。

【００１３】

【実施例】本発明実施例を図面に基づいて説明する。図
２は、請求項２に記載の発明の実施例の自動変速制御装
置を示す全体図であって、Ａ／Ｔコントロールユニット
１は、走行状態検出手段として、アイドルスイッチ２，
フルスロットルスイッチ３，スロットルセンサ４，エン
ジン回転数センサ５，インヒビタスイッチ６，油温セン
サ７，車速センサ８，タービンセンサ９が接続されてい
るとともに、エンジンＥの駆動制御を行うECCSコントロ
ールユニット１０と信号のやり取りを行う。そして、こ
のＡ／Ｔコントロールユニット１は、各センサ２〜９な
らびにECCSコントロールユニット１０からの入力に基づ
き、車速とスロットル開度に応じて予め設定されたシフ
トスケジュール（変速パターン）に従って３つのシフト
ソレノイドＡ，Ｂ，Ｃの駆動を制御して自動変速機ＡＴ
内の図示を省略したクラッチあるいはブレーキなどの摩
擦締結手段を締結あるいは解放させて前進５速（５速は
オーバードライブ）・後退１速の変速を行い、また、オ
ーバランクラッチソレノイド１１，ロックアップソレノ
イド１２，ライン圧ソレノイド１３の駆動を制御する。
なお、上記シフトスケジュール（変速パターン）は、図
３（ａ）に示す通常モード（通常変速パターン）と、こ
の通常変速モードよりも変速点を高速側に移した同図
（ｂ）に示すパワーモード（登坂変速パターン）との２
種類が設定されている。

【００１４】上記通常モードとパワーモードとの切り換
えは、室内に設けられた図外のモード切換スイッチの操
作により行われる他、前記Ａ／Ｔコントロールユニット
１により登坂状態を含む走行抵抗の過大状態を検出する
ことで通常モードからパワーモードへの切換が成され
る。

【００１５】次に、このモード切換制御について図４の
フローチャートにより説明する。なお、本制御は、各セ
ンサ２〜９から信号を読み込んで自動変速機ＡＴの変速
を制御するメインルーチンにおける変速パターンのモー
ドを決定するためのサブルーチンで、前記メインルーチ
ンを行う部分が請求の範囲の変速制御手段の主要部を構
成することになり、また、サブルーチンを行う部分が請
求の範囲の登坂走行判断手段ならびに変速パターン切換
手段に相当する。

【００１６】まず、ステップＳ１では、登坂走行状態で
あるか否か（実際には走行抵抗が大であるか否か）を判
定して、ＹＥＳでステップＳ２に進み、ＮＯでステップ
Ｓ５に進む。ここで、登坂走行状態（走行抵抗が大）の
判定について簡単に説明すると、この判定には、従来技
術で提示した公報に記載されているのと同じ判定方法を
用いるもので、まず、車速Ｖとスロットル開度ＴＶＯを
読み込み、車両の加速度ΔＶを演算するとともにスロッ
トル開度ＴＶＯの移動平均ｔｖｏを演算する。そして、
この加速度ΔＶと移動平均ｔｖｏに基づいて走行抵抗の
推定値λを求める。この推定値λは、図５（ａ）に示す
関数テーブルｆ_(x) を移動平均ｔｖｏで参照する一方、
同図（ｂ）に示す関数テーブルｇ_(x) を加速度ΔＶで参
照し、これらの両テーブルからルックアップされたｆ
_(x) ，ｇ_(x) の双方を比較して値の小さな方を推定値λ
として決定するものである。なお、図５（ａ）に示すｆ
_(x)は、例えば２点（イ）（ロ）を結ぶ１次関数直線で
あり、（イ）における移動平均ｔｖｏは平坦路で通常に
使用されるスロットル開度であり、（ロ）における移動
平均ｔｖｏは急勾配で通常に使用されるスロットル開度
に相当する。また、図５（ｂ）に示すｇ_(x) は、例えば
２点（ハ）（ニ）を結ぶ１次関数直線であり、（ハ）に
おける加速度ΔＶは上り勾配路での加速度に相当し、
（ニ）における加速度ΔＶは平坦路での加速度に相当す
る。したがって、スロットルが開かれた結果加速度が大
きくなれば走行抵抗（推定値λ）は小さいし、スロット
ル開度が一定であるのに加速度が減少したり、スロット
ル開度が大きくなったにもかかわらず、加速度がそのま
まであったりそれほど増えなかったり減少したりした場
合には、走行抵抗（推定値λ）が大きいということにな
る。なお、Ａ／Ｔコントロールユニット１の内部におい
て、このステップＳ１の登坂走行を判断する部分が、請
求の範囲の登坂走行判断手段に相当する。

【００１７】図４のフローチャートに戻って説明を続け
ると、ステップＳ２では、メインルーチンにおいて用い
る変速パターンとして図３（ｂ）に示すパワーモードを
選択する。

【００１８】ステップＳ３では、ステップＳ１と同様に
走行抵抗（推定値λ）に基づいて平坦路走行状態である
か否かを判定し、ＮＯでステップＳ４に進み、ＹＥＳで
ステップＳ５に進む。

【００１９】ステップＳ４では、スロットル開度θの戻
し量Δθが設定戻し量Δθ₀ であるか否か（登坂終了操
作がなされたか否か）を判定し、ＹＥＳでステップＳ５
に進み、ＮＯでステップＳ３に戻る。

【００２０】ステップＳ５では、メインルーチンにおい
て用いる変速パターンとして通常モードを選択する。

【００２１】次に、実施例の作動を場合分けして具体的
に説明する。 イ）平坦路走行時 平坦路を走行している時には、走行抵抗（推定値λ）が
設定値未満となることから、図４のフローチャートにお
いてステップＳ１→Ｓ５の流れとなって、変速パターン
として図３（ａ）に示す通常モードを選択する。

【００２２】ロ）登坂走行時 平坦路走行状態から、登坂走行状態に変化した時には、
変速パターンを通常モードからパワーモードに切り換え
る（ステップＳ１→Ｓ２の流れ）。

【００２３】ハ）登坂走行終了時 上述の登坂走行状態から平坦路にさしかかって登坂路の
終了間際になったことを運転者が黙視により認識する
と、運転者は、登坂走行時と略同じ速度を維持したい場
合には、平坦路に備えその直前でアクセルを戻す。これ
は、登坂走行時と同じスロットル開度θのままで平坦路
に進入すると、加速を行うことになるためである。そし
て、この操作により、一般に運転者は、登坂時に選択さ
れた低変速段からのシフトアップを期待する。

【００２４】このようなアクセルの戻し操作が、すなわ
ち、スロットル開度θを閉じ方向に戻した操作が、その
戻し量Δθが設定量Δθ₀ 以上の登坂終了を示す操作で
あると、変速パターンとして通常モードを選択する（ス
テップＳ３→Ｓ４→Ｓ５の流れ）。

【００２５】したがって、それまでのパワーモードによ
り選択されていた低変速段からのシフトアップが行われ
易くなり、上述のアクセルの戻し操作（戻し量Δθが設
定量Δθ₀ 以上となる操作）に対応して、運転者の期待
に応じたシフトアップがなされることになる。

【００２６】なお、登坂終了に伴って、運転者が上述の
ようなアクセルの戻し操作を行わなかった場合、Ａ／Ｔ
コントロールユニット１への入力に基づいて平坦路走行
に変化したと判断した後に、変速パターンを通常モード
に切り換わる（ステップＳ３→ステップＳ５の流れ）。
この場合も、通常モードに変化したのに対応してシフト
アップされ易くなる。この時のシフトアップは、運転者
がアクセルを操作しないのに（一定に保っているのに）
なされることになるが、この場合、運転者は、加速意図
を持っていることでアクセル状態を一定に保っているの
で、このシフトアップに違和感を感じることはない。

【００２７】以上説明したように、本実施例にあって
は、車両の走行状態が登坂走行の終了間際になってアク
セルを戻したら（スロットル開度を閉じ側に戻した
ら）、登坂走行が完全に終了していなくても、通常モー
ドに切り換わって、シフトアップされ易くなる。したが
って、登坂走行の終了間際の運転者のアクセル操作に対
応して運転者の意図したシフトアップが行なわれ、運転
者が違和感や不快感を感じないようにして変速品質を向
上させることができるという効果が得られる。

【００２８】また、実施例では、上述のように登坂終了
操作を、戻し量Δθにより判断するようにしているた
め、登坂角度の違いにより踏込量が異なっていても、的
確に登坂終了を判定でき、判定制度が高いという効果が
得られる。

【００２９】以上、実施例について説明してきたが具体
的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明
の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明
に含まれる。

【００３０】例えば、実施例では、登坂終了操作が、ス
ロットル開度θの戻し量Δθが設定量Δθ₀ 以上となる
操作である例を示したが、これに替えて、スロットル開
度θの戻し速度が設定速度以上となるようにしてもよい
し、あるいは、スロットル開度θが設定値θ₀ 以下とな
るようにしてもよい。なお、この場合、図４のフローチ
ャートのステップＳ４の判断ステップが、上述の判断に
替わることになる。また、前者の戻し速度により判断す
る場合も、実施例と同様に、登坂角度の違いにより踏込
量が異なっていても、登坂終了を的確に判定することが
できる。

【００３１】また、実施例では、変速パターンのマップ
を通常モードのマップと、この通常モードよりも変速点
を高速側へシフトさせたパワーモードのマップとの２種
類を設定して、登坂時にはパワーモードを選択するよう
にしたが、例えば、マップは通常モードの１種類のみと
し、登坂時の変速パターンとしては、この通常モードの
オーバードライブを選択するのを禁止するような変速パ
ターンを採用するようにしてもよい。

【００３２】

【発明の効果】以上説明してきたように本発明の自動変
速制御装置は、変速パターン切換手段が、登坂走行時
に、走行状態検出手段からの入力に基づいてスロットル
開度を閉じる登坂終了操作を検出したら、変速パターン
を登坂変速パターンから通常変速パターンに切り換える
よう構成したため、登坂走行時において、平坦路にさし
かかって登坂路の終了間際になったことを運転者が黙視
により認識して、スロットル開度を閉じる登坂終了操作
を行ったら、変速パターン切換手段が変速パターンを通
常変速パターンに切り換え、このスロットル開度の変化
に応じて、平坦路にさしかかる直前であっても平坦路で
最適の変速段にシフトアップされ易くなる。よって、登
坂走行の終了間際の運転者の意図したシフトアップが行
なわれ、運転者が違和感や不快感を感じないようにして
変速品質を向上させることができるという効果が得られ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の自動変速制御装置を示すクレーム対応
図である。

【図２】本発明実施例の自動変速制御装置を示す全体図
である。

【図３】実施例装置のシフトスケジュールであって
（ａ）は通常モードを示し（ｂ）はパワーモードを示し
ている。

【図４】実施例装置のＡ／Ｔコントロールユニットのモ
ード（変速パターン）切換制御の制御流れを示すフロー
チャートである。

【図５】実施例装置の走行抵抗を導くための関数テーブ
ルである。

【符号の説明】

ａ 走行状態検出手段 ｂ 登坂走行判断手段 ｃ 変速パターン切換手段 ｄ 変速制御手段 ｅ 自動変速機

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 運転状態を含む走行状態を検出する走行
   状態検出手段と、 この走行状態検出手段からの信号により登坂走行状態を
   判断する登坂走行判断手段と、 この登坂走行判断手段が登坂走行状態であると判断した
   ら、変速パターンを通常変速パターンから登坂走行に対
   応した登坂変速パターンに切り換える変速パターン切換
   手段と、 前記変速パターンを参照して、スロットル開度を含む前
   記走行状態検出手段からの入力に応じて自動変速機の変
   速制御を行う変速制御手段とを備えた自動変速制御装置
   において、 登坂走行時に、前記走行状態検出手段からの入力に基づ
   いてスロットル開度を閉じる登坂終了操作を検出した
   ら、変速パターンを登坂変速パターンから通常変速パタ
   ーンに切り換えるよう前記変速パターン切換手段を構成
   したことを特徴とする自動変速制御装置。
2. 【請求項２】 前記登坂終了操作が、スロットル開度を
   設定戻し量以上閉じる操作であることを特徴とする請求
   項１記載の自動変速制御装置。
3. 【請求項３】 前記登坂終了操作が、スロットル開度を
   設定戻し速度以上の速度で閉じる操作であることを特徴
   とする請求項１記載の自動変速制御装置。
4. 【請求項４】 前記登坂終了操作が、スロットル開度を
   設定開度まで閉じる操作であることを特徴とする請求項
   １記載の自動変速制御装置。