JPH0761946A - 新規ヒドロキシメチル基含有フェノール化合物 - Google Patents

新規ヒドロキシメチル基含有フェノール化合物

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JPH0761946A
JPH0761946A JP20917093A JP20917093A JPH0761946A JP H0761946 A JPH0761946 A JP H0761946A JP 20917093 A JP20917093 A JP 20917093A JP 20917093 A JP20917093 A JP 20917093A JP H0761946 A JPH0761946 A JP H0761946A
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phenol compound
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hydroxymethyl group
formaldehyde
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一良 水谷
Fumikazu Kobayashi
史和 小林
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 下記式(I)又は(II)で示されるヒドロキシ
メチル基含有フェノール化合物。 【化1】 式中RはCH2OH 又はHを示す。但しRのうち少なくとも
2つはCH2OH である。 【効果】 式(I)又は(II)のヒドロキシメチル基含有
フェノール化合物は、従来のものと比較して少量で十分
な硬膜性能を有し、塗料の主剤、成形材料、接着剤、結
合剤、感光性印刷版の添加剤等として良好に使用され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規なヒドロキシメチル
基を含有するフェノール化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来ヒドロキシメチル基を含有するフェ
ノール化合物は種々の用途に用いられることが知られて
いる。例えばD. H. SOLOMON の著書“THE CHEMISTRY OF
ORGANIC FILM FORMERS"に記載されている様な塗料への
応用の他、平版印刷版、フォトレジスト、接着剤、成形
材料、積層材料、結合剤等多くの分野に使用されてい
る。これらの用途には、フェノール−ホルマリン−レゾ
ール樹脂、あるいは特公平1−49932号公報記載の
化合物、具体的にはビスヒドロキシメチルp−クレゾー
ル、テトラキスヒドロキシメチルビスフェノールA等の
化合物がよく使用される。しかしながら、このような従
来公知のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物は、
架橋性基として作用するメチロール基の数を分子内に多
く導入できなかった。またフェノール−ホルマリン−レ
ゾール樹脂は分子内に含有するヒドロキシメチル基の数
が少ないため、共に塗料や感光性印刷版等に使用した
時、十分な硬膜性能が得られなかった。そして硬膜性能
を満足させるためには多量のヒドロキシメチル基含有フ
ェノール化合物、レゾール樹脂を添加する必要があっ
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、従来のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物、
レゾール樹脂に比較して、少量で十分な硬膜性能を有す
るヒドロキシメチル基含有フェノール化合物を提供する
ことである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明のヒドロキシメチ
ル基含有フェノール化合物は、下記式(I)又は (II)
で表される。
【0005】
【化3】 Rは CH2OHまたはHを示し、このうち少なくとも2つは
CH2OH 基である。好ましくはRのうち3つ以上が CH2OH
であり、さらに好ましくは5つ以上がCH2OH であり、最
も好ましいのは全てのRが CH2OHである化合物である。
本発明の式(I)又は (II) で示されるヒドロキシメチ
ル基含有フェノール化合物は、構造式 (III)又は(IV)で
示されるフェノール化合物とホルムアルデヒドを塩基性
触媒存在下で反応させることによって得ることができ
る。
【0006】
【化4】
【0007】本発明の式(I)で示されるヒドロキシメ
チル基含有フェノール化合物の合成において、構造式(I
II) のフェノール化合物とホルムアルデヒド(HCHO)の仕
込みモル比は1:2〜1:40が適当であり、さらに
は、収率の点から1:8〜1:24が好適である。また
本発明で使用するホルムアルデヒドとしては、ホルマリ
ン、パラホルムアルデヒドのいずれも好適である。また
塩基性触媒としては無機塩基、有機塩基いずれも使用す
ることができる。具体的には水酸化ナトリウム、水酸化
カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、アンモ
ニア(水)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、
テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルア
ミン、ジエチルアミン、モノエチルアミン、トリメチル
アミン、ジメチルアミン、モノメチルアミン等が好適に
使用できる。塩基性触媒の使用量は、構造式(III)のフ
ェノール化合物に対して一般的に50〜600モル%で
あり、これらの塩基性触媒は構造式(III)のフェノール
化合物を水に溶解させる作用も有するので、使用する溶
媒に応じて適宜増減することができる。反応温度は0〜
60℃が適当であり、さらに好ましくは10〜45℃で
ある。10℃以下では縮合反応の速度が遅くなり、60
℃を越えるとゲル化が起こる。反応時間は反応温度によ
り変わるが、例えば40℃の場合は1〜36時間が好ま
しい。この場合、反応時間を長くしすぎると(例えば4
8時間以上)、ゲル化の可能性が出てくる。反応終了
後、酸で中和することが好ましく、使用する酸としては
硫酸、塩酸、硝酸、リン酸等の無機酸、ベンゼンスルホ
ン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸等の有機酸のいず
れでもよい。
【0008】本発明の式(II)で示されるヒドロキシメチ
ル基含有フェノール化合物の合成において、構造式 (I
V) のフェノール化合物とホルムアルデヒド(HCHO)の仕
込みモル比は1:2〜1:30が適当であり、さらには
収率の点から1:6〜1:18が好適である。使用する
塩基性触媒は上記したものと同様でよいが、その使用量
は、構造式(IV)のフェノール化合物に対して50〜50
0モル%が好ましい。反応温度、反応時間に関しては上
記したものと同様でよい。次に本発明のヒドロキシメチ
ル基含有フェノール化合物(I)及び(II)の合成例を示
す。
【0009】(合成例1)構造式(III) のフェノール化
合物11gを水酸化ナトリウム水溶液(10%)40g
に溶解させた。この反応液にメタノールを10g添加し
た後、室温下ホルマリン(37%)20gを添加した。
滴下終了後反応液を40℃に加温し、さらに12時間反
応させた後、反応液を酢酸水溶液に晶析して、白色の粘
ちょうな固体を得た。白色固体をよく水洗したのち、室
温下減圧乾燥した。収量13.6g。1 H-NMR (DMSO-d6) δ 2.11 (br, 8H), δ 4.47 (s, 8
H),δ 4.48 (s, 8H),δ 5.19 (br, 8H), δ 6.84 (s, 4
H), δ 7.00 (s, 4H),δ 8.40 (br, 4H) HPLC(使用カラム: Shimpac CLC-ODS, 島津製作所製)
にて純度を測定したところ、すべてのRがCH2OH である
化合物の含有率は93%であった。
【0010】(合成例2)構造式(IV)のフェノール化合
物(三井石油化学(株)よりTrisPhenol-Tc という名称
で市販されているものを使用)17.25gを水酸化ナト
リウム水溶液(10%)60gに溶解させた。この反応
液にメタノール15gを添加した後、室温下ホルマリン
(37%)30gを添加した。滴下終了後反応液を40
℃に加温し、さらに12時間反応させた後、反応液を酢
酸水溶液に晶析して、白色固体を得た。白色固体をよく
水洗したのち、室温下減圧乾燥した。収量19.9g。1 H-NMR(DMSO-d6) δ 1.48 (s, 18H), δ 4.47 (s, 12
H), δ 5.17 (br, 6H), δ6.92 (m, 9H), δ 8.35 (br,
3H)。 HPLC(使用カラム: Shimpac CLC-ODS,島津製作所製)
にて純度を測定したところ、すべてのRが CH2OHである
化合物の含有率は90%であった。
【0011】
【発明の効果】この様にして得られた式(I)及び(I
I)のヒドロキシメチル基含有フェノール化合物は、従
来のものと比較して少量で十分な硬膜性能を有し、塗料
の主剤、成形材料、接着剤、結合剤、感光性印刷版の添
加剤等として良好に使用される。
【0012】以下、応用例を示す。 応用例1(平版印刷版) 厚み0.3ミリのアルミニウム板(材質1050)をトリ
クロロエチレン洗浄して脱脂した後、ナイロンブラシと
400メッシュのパミス−水懸濁液を用いこの表面を砂
目立てし、よく水で洗浄した。この板を45℃の25%
水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを
行い水洗後、更に20%硝酸に20秒間浸漬して水洗し
た。この時の砂目立て表面のエッチング量は約3g/m2
であった。次にこの板を7%硫酸を電解液として電流密
度15A/dm2 で3g/m2の直流陽極酸化皮膜を設けた
後、水洗乾燥した。次にこのアルミニウム板に下記下塗
り液を塗布し、80℃、30秒間乾燥した。乾燥後の被
覆量は10mg/m2であった。 (下塗り液) β−アラニン 0.1g フェニルホスホン酸 0.05g メタノール 40g 純水 60g さらにこのアルミニウム板に下記感光液を塗布し、10
0℃2分間乾燥をしてポジ型感光性平版印刷版を得た。
乾燥後の塗布量はすべて1.8g/m2であった。
【0013】 感光液(単位はグラム) ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸 0.90 クロリドとピロガロール−アセトン樹脂との エステル化物 クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック (表1に記載のとおり) (メタ:パラ比=6:4、重量平均分子量1800、 未反応クレゾール0.5%含有) p−オクチルフェノール−ホルムアルデヒド 0.02 ノボラック ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸 0.01 クロリド フェノール誘導体 (表1に記載のとおり) テトラヒドロ無水フタル酸 0.05
【0014】
【化5】
【0015】 ビクトリアピュアブルーBOHの対イオンを 0.03 1−ナフタレンスルホン酸にした染料 メガファックF−177(大日本インキ化学工業 0.15 (株)製、フッ素系界面活性剤) メチルエチルケトン 25 メタノール 1
【0016】
【表1】 ─────────────────────────────────── 平版印刷版 クレゾール−ホルム フェノール誘導体 アルデヒドノボラック の使用量(g) 式 使用量(g) ─────────────────────────────────── 〔A〕 2.1 ヒドロキシメチルフェ 0.06 ノール化合物(I) 〔B〕 2.0 ヒドロキシメチルフェ 0.06 ノール化合物(II) 〔C〕 2.1 なし − ───────────────────────────────────
【0017】これらのポジ型感光性平版印刷版を30ア
ンペアのカーボンアーク灯で70cmの距離から露光した
後、DP−4(商品名:富士写真フィルム(株)製)の
8倍希釈液により、25℃40秒間自動現像(800
U:富士写真フィルム(株)製自動現像機による)を行
った。この時の適正露光時間は濃度差0.15のグレース
ケール(富士写真フィルム(株)製)で5段が完全にク
リヤーになる点とし、これにより感光性平版印刷版の感
度とした。またDP−4の8倍希釈液で25℃のバット
現像にて40秒現像時におけるグレースケールのベタ段
数から二段変化する時間(以下現像許容性と称す。)を
求めた。これらのポジ型感光性平版印刷版の感度(露光
時間)と現像許容性の結果を表2に示す。次にこれらの
感光性平版印刷版を、真空焼枠中で、ハライドランプを
光源として、透明ベース上でポジ原稿フィルムを通し
て、60秒間露光し、次いで富士写真フィルム(株)製
現像液、DP−4(1:8)、リンス液FR−3(1:
7)を仕込んだ自動現像機を通して処理した。さらに富
士写真フィルム(株)製バーニング整面液BC−3で版
面をふき、バーニング装置BP−1300で7分間処理
した。次いで、富士写真フィルム株式会社製ガムGU−
7を水で2倍に希釈した液で版面を処理し、1日放置
後、ハイデルKOR−D機で印刷した。バーニング温
度、得られた印刷枚数、網画像部の絡みの程度を表2に
示す。
【0018】
【表2】 ─────────────────────────────────── 平版 感度 現像 バーニング温度 印刷版(露光時間) 許容性 ──────────────────── (秒) (分) 200℃ 260℃ ──────────────────── 耐刷力 網画像部の 耐刷力 網画像部の (万枚) 絡みの程度 (万枚)絡みの程度 ─────────────────────────────────── 〔A〕 40 6 22 A 28 B 〔B〕 38 6 22 A 28 B 〔C〕 60 7 15 C 20 D ─────────────────────────────────── 網画像部の絡みの程度 A:全くない、 B:ほとんどない、 C:あり、
D:激しい
【0019】表2に示した結果より、本発明のフェノー
ル誘導体を添加した平版印刷版〔A〕及び〔B〕は、無
添加の平版印刷版〔C〕と比べていかなる温度でバーニ
ング処理を行なっても、非画像部の汚れは、ほとんどな
く、耐刷力を向上していることがわかる。さらに本発明
のフェノール誘導体を添加した平版印刷版〔A〕及び
〔B〕は平版印刷版〔C〕と比べて感度が上昇(適正露
光時間が短い)しており、現像許容性は、わずかに劣化
するが、実用上問題ない程度である。以上のことから、
本発明のフェノール誘導体は、大幅な現像許容性の低下
をおこさず、高感度化し、しかもいかなる温度において
もバーニング時の非画像部の汚れを大幅に低減させ、し
かも、耐刷力を向上させる非常に優れたものであること
がわかる。
【0020】応用例2(フォトレジスト) 下記組成の感光液〔D〕、〔E〕及び〔F〕を調液し
た。 感光液 クレゾール−ホルムアルデヒドノボラック樹脂 1.0g (メタ/パラ比=6:4) フェノール誘導体 (表3に記載のとおり) トリクロロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム 20 mg エチルセロソルブアセテート 10 ml
【表3】 ──────────────────────────────── 感光液 フェノール誘導体 使用量 感 度 ──────────────────────────────── 〔D〕 ヒドロキシメチル フェノール化合物(I) 0.1g 120mJ 〔E〕 ヒドロキシメチル フェノール化合物(II) 0.1g 110mJ 〔F〕 ビスヒドロキシメチル P−クレゾール 0.1g 170mJ ──────────────────────────────── シリコンウェハー上に上記感光液〔D〕、〔E〕及び
〔F〕をスピナーで塗布し、ホットプレート上で90℃
において2分間乾燥させた。次にg線ステッパ(436
nm)を使用して露光し、テトラメチルアンモニウムヒド
ロキシドの2.4%水溶液で現像することにより、0.48
μmのラインアンドスペースのレジストパターンを得
た。表3に示した結果より、本発明の化合物(I)及び
(II)を使用したレジストは高感度であることがわかる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I)で示されるヒドロキシメチ
    ル基含有フェノール化合物。 【化1】 式中RはCH2OH 又はHを示す。但しRのうち少なくとも
    2つはCH2OH である。
  2. 【請求項2】 下記式(II)で示されるヒドロキシメチル
    基含有フェノール化合物。 【化2】 式中RはCH2OH 又はHを示す。但しRのうち少なくとも
    2つはCH2OH である。
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