JPH0761899B2 - 炭素系複合成形体原料の製造方法 - Google Patents

炭素系複合成形体原料の製造方法

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JPH0761899B2
JPH0761899B2 JP60264591A JP26459185A JPH0761899B2 JP H0761899 B2 JPH0761899 B2 JP H0761899B2 JP 60264591 A JP60264591 A JP 60264591A JP 26459185 A JP26459185 A JP 26459185A JP H0761899 B2 JPH0761899 B2 JP H0761899B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、黒鉛質炭素、炭素質炭素、無機化合物、金属
及び金属化合物から選ばれた1種又は2種以上の素材
を、メソフエーズ含有ピッチで被覆した炭素系複合成形
体原料に関するものである。
〔従来技術〕
一般に、黒鉛電極等の炭素材を製造する場合には、コー
クス等の、そのもの自身では粘結性を持たず、そのまま
では加圧成形体が得られない骨材に、骨材100重量部に
対して30〜40重量部のピッチをバインダーとして加え、
混練、成型、焼成という工程を経て製造する方法が広く
行われている。しかしながら、この場合、バインダーピ
ッチが溶融炭化する300〜600℃の温度領域において約1
℃/hrという緩慢な昇温速度を必要とし、また、ピッチ
の炭化収率が50〜60%と低いために多量の気孔が生成
し、緻密性を付与するためにはバインダーピッチの再含
浸、二次焼成を必要とする等の問題がある。
これらの問題を解決するため、種々の改良法が提案され
ているが、例えば特開昭52-24211号公報では、骨材とバ
インダーピッチの混合手法に関する改良技術が述べられ
ている。
該公報には炭素質又は黒鉛質などの粉末をピッチ類に混
合し、この混合物を350〜450℃で加熱し、該ピッチ類か
ら生成するメソフエーズが添加した炭素質又は黒鉛質1
重量部に対して少くとも0.3重量部となる様に処理した
後、炭素質又は黒鉛質粉末とメソフエーズとをピッチか
ら分離し、そのまま加圧成形し、焼成することよりなる
炭素質成形体の製造方法、または該ピッチ類の熱処理の
際、該ピッチ類のほぼ全量がメソフエーズに移行する様
に加熱処理した後に得られた炭素質又は黒鉛質とメソフ
エーズとを粉砕し、そのまま加圧成形し、焼成すること
を特徴とするメソフエーズの付着した炭素質又は黒鉛質
よりなる炭素成形体の製造方法が開示されている。
該方法の特徴として、 (i)メソフエーズは添加物周囲に付着するので混練工
程を必要としない。
(ii)メソフエーズの炭化収率が高く、炭化時に軟化溶
融状態を通らない為、100℃/hr以上の昇温速度をとるこ
とができる。
(iii)ピッチ中で生成するメソフエーズは炭素質、黒
鉛質の小さな隙間にも侵入するので炭素質、黒鉛質自体
の気孔率が炭素化成形体に影響しない。
などが挙げられている。
また、特公昭58-39770号公報には炭素質骨材、瀝青物な
らびに液状媒体からなるスラリーから液状媒体可溶分の
全量もしくは一部を濾過して固形物を分取し、この固形
物を加圧成形後熱処理することを特徴とする炭素質成形
体の製造方法が開示されている。使用される骨材は各種
コークス、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、炭
素繊維等であり、200ミクロンの篩を通過する粉末を半
量以上含んでいることが望ましい。結合材である瀝青物
としては、コールタール、コールタールピッチ、石油ピ
ッチ、アスファルト及びこれらの混合物であるが、該発
明ではこれらの瀝青物を物理的、化学的方法によって、
いわゆるγ−レジン(キノリン可溶、ベンゼン可溶分)
の全量あるいは一部分を除去したものを使用することを
特徴としている。
結合材ピッチを炭素質微粉の表面に充分ゆきわたらせる
事が困難な為に、緻密で強度の高いものを得るために微
粉体を配合しても均質な成形体を得ることができなかっ
た従来法に比べ、該方法を用いれば瀝青物中の有効粘結
成分を微粉体に均一に分散させることが容易となる。カ
ーボンブラックのような極微粉を使用する場合には、従
来法ではカーボンブラック表面に粘結成分をゆきわたら
せる別工程を必要としたのに対し、該発明の方法では同
時浸漬が可能となるなどの利点がある。又、従来3〜6
ケ月を要した工程が直接黒鉛化も可能な該方法によれば
7〜10日に短縮できること、混捏、冷却、二次粉砕等の
従来工程で発生した有害なダスト、ミストは該方法では
有機媒体中に溶解除去できるので作業環境が良好に保持
できることなどの利点も示されている。
又、本発明者らは特開昭52-24211号公報で、一部の黒鉛
質は加圧によって成形体を与えることに着目し、この黒
鉛粉末とキノリン不溶分が70重量%以下、メソフエーズ
含有量が40%以上、加熱溶融温度上限が400℃、1000℃
での炭素化収率が少くとも70重量%であるメソフエーズ
含有ピッチ粉末とを混合して得られる粉体を加圧成形し
て生成形体を得、更に該生成形体を不活性雰囲気中700
℃以上で焼成することを特徴とする体積固有抵抗5mΩcm
以下、曲げ強度200kg/cm2以上、焼成前後の体積変化量
3%以下、重量変化量3%以下の成形体を製造する方法
を提案している〔特願昭59-199737号(特開昭61-77667
号公報)〕。該方法で得られた黒鉛質成形体は例えばり
ん酸型燃料電池のセル部材のような用途に適当なことを
示している。
〔発明が解決しようとする問題点〕
特開昭52-24211号公報記載の方法では成形体を得るの
に、炭素質又は黒鉛質1重量部に対して0.3重量部の多
量のメソフエーズピッチを要し、得られた成形体の機械
的強度は必ずしも大きくはない。これは、生成するメソ
フエーズピッチが本質的にキノリン不溶分であるため粘
着性が十分には大きくないこと、比較的粘度の高いピッ
チと炭素質又は黒鉛質を混合しているため炭素質又は黒
鉛質へのピッチの含浸が必ずしも十分ではないことによ
るものと考えられる。又、メソフエーズ生成後多量のピ
ッチをキノリン等の有機溶媒で分離する工程をとる方法
では、分離したメソフエーズとコークスはベンゼン、ア
セトンで洗浄後更に減圧乾燥工程を経ることの必要性が
実施例で開示されており、プロセス的にみても混練工程
にかかわる繁雑な処理工程が必要である。
一方、特公昭58-39770号公報記載の方法では、骨材の20
〜50倍量にも及ぶベンゼン、トルエン等の有機溶媒を必
要とすること、γ−レジンの回収工程を必要とすること
など、工程上の新たな問題が派生することは明らかであ
る。又、該発明はメソフエーズピッチの被覆については
何も触れていない。
また、本発明者等が先に特願昭59-199737号(特開昭61-
77667号公報)で提案した方法では、メソフエーズ含有
ピッチ粉末を得る迄の工程が長いという問題点が残され
ていた。
〔問題点を解決するための手段〕
(発明の目的) 本発明は、上記のような状況に鑑みてなされたもので、
その目的は、黒鉛質炭素、炭素質炭素、無機化合物、金
属及び金属化合物から選ばれた1種又は2種以上の素材
を、粘着性が高くかつ素材の量に対して広い範囲の量比
で使用しうるメソフエーズ含有ピッチで被覆した炭素系
複合成形体原料の製造方法を提供することにある。該原
料は、高強度、高速炭化性、寸法安定性、低電気抵抗性
等の特徴をもった炭素系複合成形体を製造するのに好適
なものである。
(発明の構成) 即ち、本発明は、 1.黒鉛質炭素、炭素質炭素、無機化合物、金属及び金属
化合物から選ばれた1種又は2種以上の素材とメソフエ
ーズ含有ピッチとからなる炭素系複合成形体の製造方法
において、 (1)黒鉛質炭素、炭素質炭素、無機化合物、金属及び
金属化合物から選ばれた1種又は2種以上の素材をメソ
フエーズピッチ前駆体を含むタール留分中に懸濁させる
工程, (2)該懸濁系を加熱して、タール留分中に含有される
軽質留分を不活性ガスの吹込み又は減圧吸引により留去
し、該メソフエーズピッチ前駆体を350〜520℃で熱処理
してキノリン可溶分を2〜90%含むメソフエーズ含有ピ
ッチを該素材表面に生成せしめた炭素質前駆体を得る工
程, の2工程を用いることを特徴とする炭素系複合成形体原
料の製造方法、 である。
(発明の具体的説明) (1)素材をタール留分に懸濁させる工程 本発明で用いる、メソフエーズ含有ピッチを析出させる
べき素材(以下、「フイラー」と略称することもあ
る。)について述べる。
黒鉛質炭素としては、例えば鱗状天然黒鉛、土状天然黒
鉛、人造黒鉛、黒鉛繊維等を挙げることができる。特に
本発明の方法を特徴的たらしめるものとして常温での加
圧成形で成形体を形成し得る黒鉛粉末(例えば日本黒鉛
工業(株)製のCPB及びASP-1000(商品名)やLONZA社製
のKS-2.5(商品名))を挙げることができる。炭素質炭
素としては、例えば石油コークス、石炭コークス、カー
ボンブラック、カーボンビーズ、炭素繊維を挙げること
ができる。各種無機化合物としては、例えばシリカ−ア
ルミナ、γ−アルミナ、α−アルミナ、炭化硅素、窒化
硅素などを挙げることができる。金属としては、例えば
鉄、銅、亜鉛、錫、ニッケル、コバルト、鉛、アルミニ
ウム、金、銀、チタン、白金、パラジウムなどを挙げる
ことができる。これらの金属はスラリー化する段階およ
び生成形体に含有される段階までは一部又は全部が金属
酸化物または金属化合物として存在せしめることもでき
る。また、金属化合物としては、例えばFe2O3、ZnO、Cu
O、CuCl2、ZnCl2、SnCl4、AlCl3、TiCl4、Cu(NO3)2など
を挙げることができる。
本発明の実施にあたっては、フイラーは1種のみでも2
種以上の混合系でも用いることができる。2種以上の混
合系の具体例として、黒鉛と炭素、炭素と無機化合物、
炭素と金属などの組み合わせを挙げることができる。更
にフイラーの組み合わせ例としては、銅やニッケルなど
の金属で予めメッキした炭素も挙げることができる。
本発明で用いるメソフエーズ含有ピッチの原料となるタ
ール留分は種類を限定する必要はなく、石炭系タール、
石油系タールのいずれも用いることができる。キノリン
可溶分を5〜90重量%含有するメソフエーズ含有ピッチ
を操業可能な反応条件下で与えることができるタール留
分ならば何でも使用することができるが、最終製品に要
求される特性によってタール種も選別される場合があ
る。例えば、最終成形体中に重金属や硫黄などの混入が
忌避される場合にはナフサ分解で得られるエチレンヘビ
ーエンドタールが石炭タールや石油の重質成分タールよ
りも好ましい。
なお、素材の吸油量が大きくてメソフエーズピッチ前駆
体を含むタール留分のみに懸濁しようとしてもスラリー
が形成し得ない場合などには適切な溶媒、例えば熱処理
工程で回収されるタール留分中の軽質留分やキノリンな
どを適宜添加することもできる。
また、タール留分に対するフイラーの量は、タール留分
及びフイラーの種類によって異なり、フイラーを被覆す
るメソフエーズ含有ピッチの量が後に述べる範囲になる
ように選ばれる。
なお、懸濁については通常の方法が用いられるが、ター
ル留分がフイラー表面を完全に浸潤することを妨げるお
それのある水分などを多量に含む場合には予め乾燥脱気
しておくことが好ましい。又、タール留分とフィラーと
の比重差が大きい場合には両成分の分離を避けるように
することが望ましい。
(2)素材表面におけるメソフエーズピッチの生成工程 本発明の要件を満たすメソフエーズ含有ピッチはタール
留分とフィラーからなるスラリーを350〜520℃、好まし
くは380〜500℃の反応範囲で熱処理することで生成され
る。この際スラリーを窒素ガス、炭酸ガス、アルゴン等
の不活性ガス流通下又は例えば10〜100mmHgの減圧下で
反応温度まで昇温し、所定時間保持した後に冷却し、フ
イラーの表面をメソフエーズ含有ピッチで被覆した複合
体を得る。複合体中のメソフエーズ含有ピッチの量は、
フイラー100重量部に対して3〜3000重量部である。ま
た、該複合体を成形後炭化した際の体積収縮を小さく保
つ場合には、3〜50重量部、好ましくは5〜40重量部、
更に好ましくは10〜30重量部である。
メソフエーズ含有ピッチのキノリン可溶分量は2〜90重
量%である。特に、低い成形温度で緻密な成形体を得る
ためには5〜90重量%、好ましくは20〜70重量%であ
る。一方、炭化時の体積収縮を小さくするためには、キ
ノリン可溶分の比較的小さい範囲が選ばれる。さらに、
緻密でかつ体積収縮の小さい成形体を得るためには、キ
ノリン可溶分が大きく、かつメソフエーズ含有率の大き
いピッチを選ぶことが望ましい。
本発明の方法においては、不活性ガス流通下又は減圧下
で熱処理を行なうため、使用するタール種の如何を問わ
ず、タール中の軽質留分が留去され、比較的組成の均一
なメソフエーズ前駆体のみがメソフエーズ化されること
となり、生成したメソフエーズは比較的均質で粘着性に
富み、かつ炭化収率の高いものとなる。しかし、上記の
ようなキノリン可溶分が大きくかつメソフエーズ含有率
の大きいピッチを得るためには、本発明者らが既に開示
した次の方法を用いることが望ましい。すなわち、原料
タールとしては、特開昭58-154792号、58-154793号、60
-179493号公報及び特開昭59-97183号、59-97184号で開
示したように特定の範囲の芳香族水素含有率をもつも
の、あるいはタール留分を加圧水素の存在下または加圧
水素と触媒の共存下に改質処理したものを用いることが
望ましい。また、熱処理においては特開昭59-155493号
公報に開示したように反応系に水素供与能をもつ化合物
を不活性ガスとともに吹込む方法が一層有効である。
キノリン可溶分量が少なすぎると400℃程度以下の低温
で成形したとき、炭素化成形体の強度が得られないので
好ましくない。一方キノリン可溶分量が多くなりすぎる
と炭素化時のガス発生が著しくなり、炭素化時の気泡の
生成や変形などを生じるので好ましくない。
なお、メソフエーズピッチ前駆体の熱処理温度が350℃
より低い場合にはメソフエーズの形成に長時間を要し、
プロセス上およびキノリン可溶分量の制御上好ましくな
い。又、520℃より高い場合には、キノリン不溶分の高
次重合化が促進され、コークスに近い性状のキノリン不
溶分が存在し、本発明の目的とする加熱溶融成形に適し
たメソフエーズ含有ピッチが得られなくなり好ましくな
い。
キノリン可溶分量はJIS-K2425遠心法で測定できるが、
カーボンブラックの如き微細なフイラーとの複合体では
遠心分離によってもカーボンブラックが沈降しない為に
キノリン可溶分として除かれて誤差を生じる場合がある
ので、次の手法で微細粒子を完全に捕捉してキノリン可
溶分量を測定した。
振動ミルで約100メッシュ以下に粉砕したメソフエーズ
含有ピッチとカーボンブラックの複合体(両者の存在比
は熱処理反応前後での重量収支から算出)約1gを精秤
し、共栓付50mlエルレンマイヤーフラスコに入れ、これ
に温キノリン30mlを加えて栓をし、80℃で30分間超音波
振動を与えてキノリン可溶分の溶解をおこなった。予め
恒量にした透過粒径2.7μmのガラス繊維濾紙をワット
マン社製3−ピースフィルターファネルに装着し、ファ
ネル全体を約80℃に保温し、これにキノリン溶解を終え
たスラリーを注加し、水流ポンプ減圧下にてキノリン可
溶分を濾別した。次いで温キノリン30mlで3回濾紙上の
残渣を洗浄し、常温にてアセトン30mlで2回洗浄した後
に空気流で風乾し、減圧乾燥器中150℃で濾紙を恒量ま
で乾燥し、残渣量を求めた。複合体1gに含まれるメソフ
エーズ含有ピッチ量からキノリン可溶分量(重量%)を
算出した。
本工程で生成するフイラーとメソフエーズ含有ピッチの
複合体は、フイラーおよびメソフエーズの種類と量によ
っては粉末状で得られる。固着している場合でも、必要
に応じてボールミル等の簡単な手段で粉砕することがで
きる。
本発明の方法で得られた複合体は、加圧成形及び炭素化
によって炭素系複合成形体とすることができる。成形温
度は室温ないし800℃、炭素化温度は700℃以上好ましく
は800℃以上である。更に必要に応じて3000℃程度まで
加熱し黒鉛化することができる。
又、本発明の複合体のうち、メソフエーズ含有ピッチの
比率が比較的小さいものは、炭化時の体積収縮が小さい
ため、加圧成形−炭素化の2工程に代えて、800〜3000
℃で加圧成形する1工程で、亀裂を生ずることなく炭素
系複合成形体とすることもできる。
いずれの方法においても、成形の際、他の種類の複合体
と混合したり、必要に応じて他のフイラーを加えること
も可能である。
(本発明方法の特長及び応用例) 本発明の炭素系複合成形体原料の製造方法の特長は、フ
イラーを低粘度のタール中に懸濁し、熱処理工程におい
て低沸点留分を回収すると同時に、フイラー表面を粘着
性の高いメソフエーズ含有ピッチで被覆することにあ
る。成形体原料中のメソフエーズ含有ピッチはフイラー
に十分に含浸され、かつ粘着性が高いため、フイラー10
0重量部に対して5〜30重量部程度の少量を用いた場合
にも、該原料を成形−焼成することによって実用強度の
ある成形体を得ることができる。このことは、炭化時の
体積収縮を小さくし、亀裂を生ずることなく高速度昇温
を可能にする点で、実用的意味が大きい。より大量のメ
ソフエーズ含有ピッチで被覆した場合は、成形体の機械
的性質が改良される等の特長が得られる。本発明の方法
は、多種類のフイラーに適用可能であり、得られた成形
体原料は広い範囲に使用することができる。又、本発明
の方法では、メソフエーズ含有ピッチの生成と低沸点留
分の回収を同一工程で行なうため、濾過・抽出等の付随
工程を必要としないことも特長である。
メソフエーズ含有ピッチと黒鉛の混合粉末を加圧成形す
ることで、炭化時の体積収縮や変形がほとんどおきない
高電導性、高強度および耐熱りん酸性を備えた黒鉛質成
形体を得る方法について本発明者らは特願昭59-199737
号(特開昭61-77667号公報)で特許を出願している。こ
の方法は従来の炭素工業での常識であった炭素化時収縮
を著しく抑制する技術を確立した点で優れた技術といえ
るが、製造プロセス上は尚改良の余地を有するものであ
る。即ち該出願の実施例で詳述した方法で成形体原料粉
を得るには、変成タールの調製→蒸留による変成ピ
ッチの製造→熱処理によるメソフエーズ含有ピッチの
製造→黒鉛粉との磨砕混合の4工程を必要とする。本
発明をこのプロセスに適用すると、変成タールの調製
→変成タールと黒鉛粉のスラリーの熱処理による原料
粉の製造、となり、工程数を著しく簡略化することがで
きる。又、本方法のピッチを黒鉛粉末100重量部に対
し、5〜20重量部被覆した原料粉では、粉砕工程を要す
ることなく成形原料としうる利点を有する。
カーボンブラックはコールタールピッチとの混練性が悪
く、カーボンブラシ等の特殊炭素品での使用にあたって
はカーボンブラックの前処理工程を設けて表面処理を充
分に施す必要があった。特にジブチルフタレート吸油
量、表面積が大きく、タップ密度が小さいという特性の
カーボンブラックでは、カーボンブラック1重量部に対
して少くも5重量部以上の大量のコールタールピッチを
混捏しないと成形体を得ることができず、その結果、カ
ーボンブラック添加で期待される特性が消滅してしまう
為に炭素成形体の骨材としての利用はなされていなかっ
た。
本発明方法を適用すると、見掛け比重が0.12g/c.c.以下
の嵩高いカーボンブラックでもカーボンブラック100重
量部に対して10〜500重量部のメソフエーズ含有ピッチ
で被覆することにより、成形可能な原料複合体を得るこ
とができる。
又、嵩高いカーボンブラック(三菱油化(株)製高導電
性カーボンブラック;HE-280P、HE320P、HE400P(商品
名)など)を用いると、本発明の方法で得た原料複合体
を加圧成形したのち100〜1000℃/HRという速度で炭素化
反応に供しても変形や亀裂などを生じることなく炭素化
が可能なことが見出された。メソフエーズ含有ピッチの
含有量を大きく変えることができるので、多孔質から緻
密質まで種々の性状をもつ成形体を設計することが可能
となった。又、成形体曲げ強度は室温成形品の1000℃炭
素化品で880kg/cm2が得られ、高強度製品が容易に製造
できることが見出された。
又、本発明の方法をシリカアルミナ、γ−アルミナ、α
−アルミナ、炭化硅素、窒化硅素、窒化硼素などとの複
合化にも適用することができる。例えば微粉状のシリカ
アルミナやγ−アルミナ100重量部を10〜500重量部のメ
ソフエーズ含有ピッチで被覆することによって、高強度
・高硬度の無機・炭素成形体の原料を得ることができ
る。同様に、ウイスカー状炭化硅素100重量部を30〜100
重量部のメソフエーズ含有ピッチで被覆することによ
り、高強度炭素・無機複合体の原料を得ることができ
る。
本発明の方法は金属粉との複合体にも有効である。前述
のメソフエーズ含有ピッチ−カーボンブラック系に黒鉛
をさらに複合すれば低温炭素化でも高い電気伝導性をも
つ成形体の原料を得ることができる。一方、パンダグラ
フ用カーボンスリ板の如き高強度と耐摩耗性を要求しつ
つ高電気伝導性も要求される材料に対しては摩耗が起き
易い黒鉛の代りに銅や錫等の金属を高強度炭素材に配合
することでスリ板の固有抵抗を下げる工夫が従来からな
されている。
カーボンブラックと適切な粒径の銅微粉混合体をメソフ
エーズ含有ピッチで被覆する本発明の方法によって、カ
ーボンブラックと銅粉およびメソフエーズ含有ピッチが
均一に分散した複合体が得られ、1000〜1500℃での炭素
化によって高強度と高電気伝導性を兼備した成形体を得
ることができる。
又、本発明の方法を適用すれば、メッキカーボンとメソ
フエーズ含有ピッチとの複合化も可能である。例えばカ
ーボンブラックに銅やニッケルをメッキした後にメソフ
エーズ含有ピッチで被覆すれば、カーボンブラック自体
に高電気伝導性を付与した成形体を得ることができる。
さらにメッキカーボンに銅微粉を混合した上でメソフエ
ーズ含有ピッチで被覆すれば骨材とマトリックス部とが
ともに導電性を有する成形体を得ることができる。又カ
ーボンブラックに例えば塩化銅の如き金属化合物を蒸発
乾固法で担持した粉体をメソフエーズ含有ピッチで被覆
する方法によっても導電性が飛躍的に向上した炭素成形
体を得ることができる。
本発明の方法で金属を成形体中に分散せしめると、従来
の成形体への溶融金属の後含浸法に比べて比較的少量の
金属の添加で導電性の向上をはかれる効果が認められ
る。
〔発明の実施例〕
以下実施例及び比較例を以って本発明の内容を更に具体
的に説明する。
実施例1 内容積1のオートクレーブにナフサの熱分解で生成し
たナフサ分解残渣タール(常圧換算沸点170℃以上)629
g及び流動接触分解用シリカアルミナ触媒(触媒化成
(株)製、アルミナ含量13重量%、粉末)30gを仕込
み、水素を毎時100l(STP)で通じ、反応圧力を120kg/c
m2(ゲージ)に保ちながら室温から140分で460℃まで昇
温し、その温度に80分間保持した。室温に冷却後内容物
を取り出し固型物を濾過し、改質されたナフサ分解残渣
タール455gを得た。
減圧乾燥器中150℃で2時間脱気乾燥した鱗状黒鉛(日
本黒鉛工業(株)製、商品名CPB)30.0gを内容積250ml
の内筒を備え、留出物のピッチ中への逆流を防いだ反応
器に充填し、さらに該改質タール28.9gとキノリン(試
薬1級)29.9gを加えてスラリーを形成した。反応器内
筒底部にアルゴンを毎分1.75l(STP)、1,2,3,4−テト
ラヒドロキノリンをガス状で毎分0.75g供給しながら、
予め493℃に保った溶融塩浴に反応器を浸漬した。11分
後に反応温度483℃を得、11分間保持した後に室温まで
冷却し、メソフエーズ含有ピッチが16.4重量%含まれる
天然黒鉛とメソフエーズ含有ピッチの混合粉体を得た。
JIS-K2425遠心法で求めた該混合粉体中に含まれるメソ
フエーズ含有ピッチのキノリン可溶分量は22.8重量%で
あった。
該混合粉体1.70gを縦63.5mm、横12.7mmのSUS製金型に充
填し、プレス機にて室温で1.5TON/cm2(ゲージ)の圧力
を印加して予備成形を行った後に圧力印加のまま340℃
まで昇温し5分間保持した。200℃まで昇温後印加圧を
常圧に戻し、金型の外枠を開放し、黒鉛及びメソフエー
ズ含有ピッチとSUSの熱吸収差によって生じる応力割れ
の発生を防止した後に室温まで冷却して生成形体を得、
炭素化炉中アルゴン気流中5℃/分の昇温速度で1000℃
迄昇温して30分間保持した後室温迄冷却して平滑な表面
を持つ縦63.6mm、横12.9mm、厚み1.0mm、重量1.61g、見
掛けの嵩密度1.84g/cm3、生成形体基準の体積収縮率0.3
%、重量減少率1.5%、四端子法による板長方向の体積
固有抵抗1.3mΩ・cmの特性値を持つ黒鉛質成形体を得
た。
同じ手法で得た4枚の黒鉛質成形体の三点曲げ試験にお
ける平均曲げ強度は480kg/cm2であった。
同じ手法で得た生成形体の任意の部分をエポキシ樹脂に
埋込み研磨した試料について室温にて偏光顕微鏡観察を
おこない、メソフエーズ部分が大きな集合体として存在
する個所は見当らないことを確認した。
実施例2 実施例1の鱗状黒鉛100.0gを内容積1の内筒を備え、
留出物のピッチ中への逆流を防いだ反応器に充填し、さ
らに実施例1の改質前のナフサ分解残渣タール247.6gを
加えてスラリーを形成した。反応器内筒底部に窒素を毎
分7.0l(STP)供給しながら、予め483℃に保った溶融塩
浴に反応器を浸漬した。36分後に反応温度469℃に達し
たのち15分保持し、冷却してメソフェーズ含有ピッチを
21.7重量%含む天然黒鉛−メソフェーズ含有ピッチ複合
体を得た。メソフェーズ含有ピッチ中のキノリン可溶分
は3.7重量%であった。
該複合体を粉砕後、反応解除機構を備えた直径35.3mmの
SUS製金型に充填し、1.5TON/cm2(ゲージ)の圧力を印
加しながら350℃まで昇温したのち放冷した。260℃まで
降温後圧力を解放し、室温まで冷却して生成形体を得
た。該生成形体を実施例1と同様にして炭素化し黒鉛質
成形体を得た。該成形体は直径35.3mm、厚み1.0mmで平
滑な表面をもち、見掛けの嵩密度1.87g/cm3、生成形体
基準の体積収縮率1.2%、重量減少率1.9%、体積固有抵
抗1.0mΩ・cm、曲げ強度364kg/cm2であった。
又、室温で1.5TON/cm2の圧力を10分間印加して生成形体
を得、同様に炭化して得られた黒鉛質成形体は、直径3
5.2mm、厚み1.1mmで平滑な表面をもち、見掛けの嵩密度
1.81g/cm3、生成形体基準の体積収縮率0.7%、重量減少
率1.8%、体積固有抵抗1.5mΩ・cm、曲げ強度239kg/cm2
であった。
実施例3 実施例1の鱗状黒鉛25.0gを実施例1の反応器に充填
し、改質前のナフサ分解タール64.3gを加えてスラリー
とし、反応器底部より窒素を毎分1.75l供給しながら、
反応温度425℃で5時間保持し、冷却してメソフェーズ
含有ピッチを18.8重量%含む天然黒鉛−メソフェーズ含
有ピッチの複合体を得た。メソフェーズ含有ピッチ中の
キノリン可溶分は5.9重量%であった。
該複合体を実施例2と同様に350℃、1.5TON/cm2で成形
後炭化して得られた黒鉛質成形体は直径35.3mm、厚み1.
1mmで平滑な表面をもち、見掛けの嵩密度1.85g/cm3、生
成形体基準の体積収縮率4.4%、重量減少率1.8%、曲げ
強度342kg/cm2であった。
実施例4 実施例1の鱗状黒鉛30.0gを実施例1の反応器に充填
し、改質前のナフサ分解タール36.9gとキノリン12.1gを
加えてスラリーとし、反応器底部よりアルゴンを毎分1.
75l供給しながら、反応温度450℃で30分保持し、冷却し
てメソフェーズ含有ピッチを10.4重量%含む天然黒鉛−
メソフェーズ含有ピッチの複合体を得た。メソフェーズ
含有ピッチ中のキノリン可溶分は4.0%であった。
該複合体1.7gを粉砕後実施例1と同様の金型に充填し、
1.5TON/cm2(ゲージ)の圧力を印加しながら420℃まで
昇温し5分間保持した。250℃まで降温後圧力を解放
し、室温まで冷却したのち、同様に炭化して黒鉛質成形
体を得た。該成形体は、縦63.9mm、横12.9mm、厚み1.1m
mで平滑な表面をもち、生成形体基準の体積収縮率0.7
%、重量減少率1.2%、体積固有抵抗0.8mΩ・cm、曲げ
強度400kg/cm2であった。
実施例5 実施例1の鱗状黒鉛23.6gを実施例1の反応器に充填
し、改質前のナフサ分解タール75.5gを加えてスラリー
とし、反応器底部よりアルゴンを毎分1.7l供給しなが
ら、473℃で15分保持し、冷却してメソフェーズ含有ピ
ッチを24.3重量%含む天然黒鉛−メソフェーズ含有ピッ
チ複合体を得た。メソフェーズ含有ピッチ中のキノリン
可溶分は8.0%であった。
該複合体約4gを粉砕後内径約50mmの黒鉛型に充填し、0.
4TON/cm2(ゲージ)の圧力を印加しながら105分間で110
0℃まで昇温し、5分間保持した。500℃まで降温後圧力
を解放し、室温まで冷却して黒鉛質成形体を得た。該成
形体は直径50.2mm、厚さ1.0mm、かさ密度1.96、四端子
法による平面方向の体積固有抵抗0.8mΩ・cm、曲げ強度
588kg/cm2であった。
実施例6 実施例1の改質タール59.9g、高導電性カーボンブラッ
ク(三菱油化(株)製。商品名HE-320P。ジブチルフタ
レート吸油量(JISK-6221準拠)320ml/100g。N2吸着表
面積700m2/g。揮発分1.0%。灰分0.2%。粒子径40mμ。
見掛比重0.12g/cc)5.0gを実施例1の反応管に仕込みス
ラリーを形成した。(実施例1に示した量の)アルゴン
及び1,2,3,4−テトラヒドロキノリンを内筒底部に供給
しながら、予め495℃に保った溶融塩浴に反応器を浸漬
した。22分後に反応温度478℃に達し、11分間保持した
後に室温まで冷却し、メソフェーズ含有ピッチが64.2重
量%含まれるカーボンブラックとメソフェーズ含有ピッ
チの混合塊13.9gを得た。該混合塊を平工製作所製VIBRA
TING SAMPLE MILL用SAMPLE CHAMBERに仕込み、5分間磨
砕して混合粉体を得た。
該混合粉体約1gを精秤して50ml共栓付エルレンマイヤー
フラスコに仕込み、温キノリン30mlを注加し、超音波振
盪器を用いて80℃で30分間振盪してキノリン可溶分の溶
解をおこない、予め恒量にしたワットマン社製ガラス繊
維濾紙(グレードGF/D)を設置し、約80℃に保温したワ
ットマン3−ピースフィルターファネルに注加し、水流
ポンプ減圧下で濾過した。ついで温キノリン30mlで3回
残渣分を洗浄し、冷却後アセトン30mlで2回洗浄し、空
気流で風乾した。残渣と濾紙を減圧乾燥器中150℃で1
時間減圧乾燥し恒量値を得、メソフェーズ含有ピッチの
キノリン可溶分量51.6重量%を得た。
該混合塊の一部を実施例1の方法で偏光顕微鏡で観察し
たところメソフェーズの均一な分布が認められた。
該混合粉体1.0gを実施例1の金型に仕込み、プレス機に
て室温で1.5TON/cm2の圧力を印加して生成形体を得、炭
素化炉中、アルゴン気流中5℃/分の昇温速度で1000℃
迄昇温して30分間保持した後室温迄冷却して縦62.0mm、
横12.6mm、厚み1.1mm、重量0.93g、見掛けの嵩密度1.12
g/cm3、生成形体基準の体積収縮率1.62%、重量減少率
7.17%、四端子法による板長方向の体積固有抵抗16.8m
Ω・cmの特性値をもつ膨潤や歪みのない炭素質成形体を
得た。
同じ手法で得た2枚の炭素質成形体の三点曲げ試験にお
ける平均曲げ強度は314kg/cm2であった。
又、該混合粉体3.4gを実施例1の金型に仕込み、プレス
機にて1.5TON/cm2の圧力を印加して予備成形した後に28
0℃迄加熱し、1分間保持した後に印加圧力を零とし、
金型外枠を解放して成形体の応力割れの発生を防止した
後に室温まで冷却して生成形体を得た。昇温速度を2.5
℃/分とした以外は実施例6と同一条件で炭素化反応に
供し縦60.4mm、横12.2mm、厚み3.3mm、見掛けの密度1.3
2g/cm3、体積固有抵抗11.1mΩ・cmの特性値をもつ炭素
質成形体を得た。
同じ手法で得た2枚の炭素質成形体の三点曲げ強度555k
g/cm2であった。
実施例7 実施例4と同様の手順でカーボンブラック2.0gと改質タ
ール47.9gを480℃で11分間熱処理し、メソフェーズ含有
ピッチ(キノリン可溶分量33.2重量%)が79.7重量%含
まれるカーボンブラックとメソフェーズ含有ピッチの複
合体9.8gを得た。実施例4の手法で粉砕して得た粉体1.
0gを実施例4の手順で成形、炭素化して、縦56.7mm、横
11.5mm、厚み0.96mm、見掛けの嵩密度1.44g/cm3、生成
形体基準の体積収縮率24%、重量減少率9.8%、固有抵
抗9.1mΩ・cmの特性値をもつ成形体を得、その平均曲げ
強度は700kg/cm2であった。
実施例8 実施例1の改質タール7.5g、東海カーボン(株)製SiC
ウイスカー(トーカマックス)2.5gを実施例1の反応器
及び反応条件で熱処理し、メソフェーズ含有ピッチの含
有量が31.4重量%の混合粒状体3.6gを得た。実施例1の
方法でもとめたキノリン可溶分量は55.3重量%であっ
た。該混合粒状体を実施例6の方法で粉砕し、3.56gを
実施例1の金型に仕込み、実施例7の手順で成形および
炭素化をおこない、縦63.4mm、横12.8mm、厚み2.2mm、
見掛けの密度1.92g/cm3、曲げ強度700kg/cm2の特性値を
もつ成形体を得た。
実施例9 実施例6の高導電性カーボンブラック(HE-320P)5g、
塩化第2銅・2水和塩2.01gを300mlのナス型フラスコに
とり、メタノール140mlを加えて塩化第2銅を溶かして
スラリーを形成後ロータリーエバポレーターでメタノー
ルを留去し、更に減圧乾燥器中減圧下100℃で2時間乾
燥した。該組成物5.0gに実施例1の改質タール59.7gを
加えて、実施例1の手順で熱処理をおこない、メソフェ
ーズ含有ピッチの含有量が67.1重量%、実施例6の方法
で測定したキノリン可溶分量が45.2重量%の混合塊状体
15.2gを得、実施例6の方法で粉砕、成形、炭素化を行
い、縦58.1mm、横11.7mm、厚み3.8mm、見掛け密度1.46g
/cm3、固有抵抗7.6mΩ・cm、曲げ強度455kg/cm2の特性
をもつ成形体を得た。
比較例1 実施例1の方法で得た改質タールを蒸留し常圧換算490
℃以下の留分を除き水素処理ピッチを仕込み原料に対し
て25重量%の収率で得た。上記の様にして得た改質ピッ
チ10gを内容積40mlの内筒を備え、留出物のピッチ中へ
の逆流を防いだ反応器に入れ、アルゴンを毎分0.35l、
1,2,3,4−テトラヒドロキノリンを液状で毎分0.13gピッ
チの上に供給しながら10分間保持した後、予め485℃に
保った溶融塩浴に浸漬した。ピッチが溶融した後アルゴ
ン及びテトラヒドロキノリンを液状ピッチの中に供給す
るようにし、反応温度483℃で13分熱処理を行った。
水素処理ピッチに対し53重量%の収率でメソフェーズ含
有ピッチを得、キノリン可溶分量は53重量%、メソフェ
ーズ含有率はほぼ100%であった。
実施例6のカーボンブラック1gに該メソフェーズ含有ピ
ッチ5gを混合し、実施例2の振動ミルで10分間磨砕混合
し、実施例1の金型に該混合物4gを仕込み、プレス機に
て1.5TON/cm2で予備成形した後に金型温度を印加圧0.5T
ON/cm2下で340℃迄上げ5分間保持し、200℃迄冷却し、
印加圧と金型外枠を開放し、室温まで冷却した。得られ
た生成形体は脆く、カーボンブラックが小さな塊のまま
で存在する個所が多数認められ、小さな外力を加えるだ
けで小塊は容易に欠落した。
〔発明の効果〕
本発明の効果を要約すると次の通りである。
(1)フィラー表面を粘着性の高いメソフェーズ含有ピ
ッチで被覆した炭素系複合成形体原料が得られる。
(2)フィラーに対するメソフェーズ含有ピッチの比率
が小さくても高強度の成形体を得ることができる。
(3)メソフェーズ含有ピッチの比率及び成形条件の選
択によって、成形体性状を巾広く変化させることができ
る。
(4)従来の方法に比してプロセスが簡単である。
(5)無機化合物の炭素複合成形体を作ることができ
る。
(6)金属成分を容易に複合化できる。
(7)嵩高い素材の機能を引き出した新しい成形体を作
ることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】黒鉛質炭素、炭素質炭素、無機化合物、金
    属及び金属化合物から選ばれた1種又は2種以上の素材
    とメソフエーズ含有ピッチとからなる炭素系複合成形体
    原料の製造方法において、 (1)黒鉛質炭素、炭素質炭素、無機化合物、金属及び
    金属化合物から選ばれた1種又は2種以上の素材をメソ
    フエーズピッチ前駆体を含むタール留分中に懸濁させる
    工程, (2)該懸濁系を加熱して、タール留分中に含有される
    軽質留分を不活性ガスの吹込み又は減圧吸引により留去
    し、該メソフエーズピッチ前駆体を350〜520℃で熱処理
    してキノリン可溶分を2〜90%含むメソフエーズ含有ピ
    ッチを該素材表面に生成せしめた炭素質前駆体を得る工
    程, の2工程を用いることを特徴とする炭素系複合成形体原
    料の製造方法。
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