JPH0761702B2 - 耐溶剤性衣料用ゴム引布 - Google Patents

耐溶剤性衣料用ゴム引布

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JPH0761702B2
JPH0761702B2 JP61218850A JP21885086A JPH0761702B2 JP H0761702 B2 JPH0761702 B2 JP H0761702B2 JP 61218850 A JP61218850 A JP 61218850A JP 21885086 A JP21885086 A JP 21885086A JP H0761702 B2 JPH0761702 B2 JP H0761702B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、衣料用の耐溶剤性ゴム引布に関し、詳しくは
全てのドライクリーニング溶剤による繰り返し洗いに耐
えられ、且つ光(特に紫外線)による軟化劣化に耐え得
るゴム引布に関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする問題点〕
現在、ドライクリーニング可能な、具体的にはドライク
リーニングに用いる溶剤に耐え得るゴム引布が知られて
きており、例えば、耐熱性、耐油性、耐オゾン性を有す
るエピクロルヒドリンゴムを用いて形成してなる市販の
エピクロルヒドリンゴム引布が存在する。このゴム引布
は初期物性において1〜2回のドライクリーニングに耐
えられるものであるが、経時老化(特に光による軟化劣
化等の老化)後では、ドライクリーニングに対する耐性
が極端に低下し、全てのドライクリーニング溶剤に対し
て繰り返して耐え得るものでないというのが実状であ
り、従って、ドライクリーニング溶剤に耐え得るゴム引
布としては不充分なものであった。
このため、エピクロルヒドリンゴムにベンゾトリアゾー
ル系紫外線吸収剤や一般的にエピクロルヒドリンゴム組
成物には必ず使用されているイミダゾール系老化防止剤
(老化MB)を添加して耐光性(耐紫外線性)を向上させ
て軟化劣化を防止するゴム引布(特開昭60−172535号)
が提案されている。しかしながら、上記ゴム引布はドラ
イクリーニング溶剤のうち特に、溶解性の強い塩素系溶
剤(パークロルエチレン、1,1,1−トリクロルエタン)
を用いて洗浄した場合、上記紫外線吸収剤や老化防止剤
が抽出されてしまい初期物性で有していたはずの耐光性
能が大幅に低下するという弱点があり、すべてのドライ
クリーニング溶剤に対して繰り返して耐え得るものでは
なかった。
一般にエピクロルヒドリンゴムが光による軟化劣化の現
象を生じることは、該ゴムが市販された当初から知られ
ており、また、一部ポリマーメーカーにおいても上記現
象の対策として紫外線吸収機能のあるゴム用老化防止剤
(NBC等)や紫外線吸収剤をエピクロルヒドリンゴムに
1〜2%添加すれば良いことがある程度知られていた。
また、エピクロルヒドリンゴムは、従来から自動車用部
品等として一般に用いられ、補強性カーボンを充填した
黒ゴム組成物で厚物の成形品であり更にプレス加硫にて
加硫を行うものが主であったが、自動車部品等の用途の
ように一般的に耐光性が良くなるといわれているカーボ
ン充填配合物を添加したエピクロルヒドリンゴムにおい
ては、光による軟化劣化の現象が殆ど問題にされず、耐
光性の改善等についての検討も充分になされなかった。
これに対して衣料用のゴム引布は、一般に大気中の光
(特に紫外線)やオゾン等により老化がおこることが周
知とされている。本発明者によればエピクロルヒドリン
ゴム引布の軟化劣化等の老化は、各種エピクロルヒドリ
ンエラストマーの淡色ゴム組成物を基材に40〜100μm
の範囲で貼り合わせ熱空気加硫した衣料用ゴムにおい
て、特に光(特に紫外線)による軟化劣化が顕著に現れ
ることが確認されている。また、本発明者等の光による
軟化劣化の現象について研究した結果によれば、同一の
淡色エピクロルヒドリンゴム組成物でもプレス加硫した
厚いゴムシート(1〜2mm厚)に比べて、40〜100μm厚
のゴム層を有する、いわゆる衣料用のゴム引布の方が光
(紫外線)によるゴムの軟化劣化が比較的短時間に起こ
ることが判明している。
一方、衣料用の完全防水性ゴム引布は40〜100μm厚の
ゴム層を基布に貼り合わせるもので、主にカレンダーロ
ールを用いた圧延成形により上記加工が行われている。
しかしながら、上記ゴム引布、特にエピクロルヒドリン
ゴム引布はポリマー自体がロールに対する強い粘着力を
有するため、100μm以下のゴム層でカレンダーロール
にて圧延成形することが無理であるとされ、特に40〜10
0μm厚のゴム層を有するゴム引布は上記圧延成形が全
く不可能であった。またポリマー自体のロールに対する
粘着力の対策として滑剤を添加することがあるが、滑剤
を多量に添加してロール剥がれを改良しても40〜100μ
mのゴム層のゴム引布ではピンホールが発生しやすく、
引布表面の肌も悪く、また加硫後、ゴム表面に滑剤がブ
リードして外観を損ねたり基布との接着力を低下させる
という問題点が生じ、実用上不可能なものであった。
そこで、平均一次粒子径0.2〜0.5μmの表面処理補強性
充填剤(具体的には0.2〜0.5μmの粒子径の脂肪酸処理
炭酸カルシウム:商品名MSK−P)を添加することによ
り補強性がありロール粘着が起こらず、また50〜150μ
m厚に圧延成形してもピンホールのないエピクロルヒド
リンゴムからなるゴム引布(特開昭60−172535号)が提
案されている。しかしながら、上記ゴム引布について種
々の試験を行ったところ、添加する上記表面処理補強性
充填剤が30重量部程度の少量の場合では他の充填剤より
ピンホールの少なく肌が良好なゴム層を圧延成形して得
られるが、50重量部以上の多量の上記充填剤を添加した
場合ではゴムのグリーン強度の低下によるロール剥がれ
の悪さが起こり、特にゴム層が80μm以下のものではロ
ール剥がれが非常に困難になるという欠点が確認され
た。また、上記特定範囲の粒子径を有する充填剤を添加
したゴム組成物に、さらに柔軟なゴム引布を得るために
一般的にエピクロルヒドリンゴム組成物に配合するフタ
ル酸エステル系可塑剤(例えばDOP)を5〜20重量部添
加したところ、グリーン強度の大幅な低下とともにゴム
組成物の粘着力が増大してしまい、滑剤を使用可能な範
囲で最大限添加しても80μm以下でカレンダー加工する
ことは困難であり、またゴム強度が大幅に低下してしま
い耐久性のある対溶剤性ゴム引布を得ることはできなか
った。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者等は上記種々の点に鑑み、鋭意研究した結果、
ある特定のポリマー成分からなるゴム組成物を用いた衣
料用ゴム引布が耐光性に優れ、すべてのドライクリーニ
ング溶剤の繰り返し洗いに耐えることと、また、ある特
定の可塑剤を上記ゴム組成物に添加することにより、ゴ
ム用補強性充填剤が特定の制約を受けず自由に添加で
き、圧延成形性が良好で衣料用ゴム引布として要求され
る物性をも満足させ得るゴム引布であることを見出し、
本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のひとつは基布の片面又は両面或いは基布
間に、厚さ40〜100μmの圧延成形ゴムが貼着された衣
料用ゴム引布であって、圧延成形ゴムが、アリルグリシ
ジルエーテルとエピクロルヒドリンとの共重合体、又は
アリルグリシジルエーテルと50〜80モル%のエピクロル
ヒドリンとエチレンオキサイドとの三元共重合体、又は
上記共重合体と三元共重合体との混合物、又は上記共重
合体とエピクロルヒドリン重合体若しくはエピクロルヒ
ドリンとエチレンオキサイドとの共重合体との混合物、
又は上記三元共重合体とエピクロルヒドリン重合体若し
くはエピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとの共重
合体との混合物からなり、且つ上記共重合体、三元共重
合体及び混合物におけるアリルグリシジルエーテルの成
分がいずれも4〜10モル%であることを特徴とする耐溶
剤性衣料用ゴム引布を要旨とし、 また、本発明のいまひとつは基布の片面又は両面或いは
基布間に、厚さ40〜100μmの圧延成形ゴムが貼着され
た衣料用ゴム引布であって、圧延成形ゴムが、アリルグ
リシジルエーテルとエピクロルヒドリンとの共重合体、
又はアリルグリシジルエーテルと50〜80モル%のエピク
ロルヒドリンとエチレンオキサイドとの三元共重合体、
又は上記共重合体と三元共重合体との混合物、又は上記
共重合体とエピクロルヒドリン重合体若しくはエピクロ
ルヒドリンとエチレンオキサイドとの共重合体との混合
物、又は上記三元共重合体とエピクロルヒドリン重合体
若しくはエピクロルヒドリンとエチレンオキサイドとの
共重合体との混合物からなり、且つ上記共重合体、三元
共重合体及び混合物におけるアリルグリシジルエーテル
の成分がいずれも4〜10モル%であるゴム組成物に、脂
肪族二塩基酸エステル可塑剤を5〜20重量部含有せしめ
たものであることを特徴とする耐溶剤性衣料用ゴム引布
を要旨とするものである。
本発明に用いられるゴム組成物は、アリルグリシジルエ
ーテルとエピクロルヒドリンとの共重合体、アリルグリ
シジルエーテルと50〜80モル%のエピクロルヒドリンと
エチレンオキサイドとの三元共重合体、上記共重合体と
三元共重合体との混合物、上記共重合体とエピクロルヒ
ドリン重合体若しくはエピクロルヒドリンとエチレンオ
キサイドとの共重合体との混合物、又は上記三元共重合
体とエピクロルヒドリン重合体若しくはエピクロルヒド
リンとエチレンオキサイドとの共重合体との混合物のい
ずれかのポリマー成分からなるものであり、且つ上記共
重合体、三元共重合体及び混合物に含まれているアリル
グリシジルエーテルの成分がいずれのポリマー成分であ
っても4〜10モル%のものである。
本発明において用いられるゴム組成物は、上述の如くア
リルグリシジルエーテルの成分が特定の範囲、即ち4〜
10モル%のものであり、該アリルグリシジルエーテルが
4モル%未満である場合、本発明ゴム引布は光による軟
化劣化の防止効果(換言すれば、耐光性)が充分に得ら
れず、また10モル%を超える場合、逆にゴム引布は光に
よる硬化劣化が目立ち、ゴム面の亀裂が助長され、柔軟
性が要求される衣料用ゴム引布として適さなくなる。ま
た、上記三元共重合体からなるゴム組成物においてエピ
クロルヒドリンが50モル%未満である場合、本発明ゴム
引布は耐溶剤性能が低下してしまい、それとともにエチ
レンオキサイドの成分割合が増大し、これにより光(特
に紫外線)による軟化劣化が激しくなり、その結果、ア
リルグリシジルエーテルによる軟化防止効果を低減させ
てしまう。また80モル%を超える場合、耐寒性を向上さ
せるためのエチレンオキサイドの成分割合が減少してし
まい、その結果、耐寒性能が低下する。
本発明の2番目の発明は、前記したゴム組成物に脂肪族
二塩基酸エステル可塑剤を添加したゴム引布であり、上
記可塑剤を5〜20重量部添加したものである。
また上記脂肪族二塩基酸エステル可塑剤としては、以下
のものを用いることができる。
アジピン酸誘導体からなるもの ジ−n−ブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシ
ル)アジペート、ジイソデシルアジペート、ジ(n−ア
クチル、n−デシル)アジペート、ジイソノニルアジペ
ート、ベンジル−n−ブチルアジペート、ベンジルオク
チルアジペート、ジ−(ブトキシ、エトキシ、エチル)
アジペート等。
アゼライン酸誘導体からなるもの ジ−(2−エチルヘキシル)アゼレート、ジイソオクチ
ルアゼレート、ジ−2−エチルヘキシル−4−チオアゼ
レート、ジ−n−ヘキシルアゼレート等。
セバシン酸誘導体からなるもの ジ−n−ブチルセバケート、ジ−(2−エチルヘキシ
ル)セバケート、ジ−C7〜9アルコールセバケート
等。
上記可塑剤の添加量が5重量部未満である場合、充填剤
の種類により40〜100μmのゴム厚でのロール剥がれが
低下するか、全く剥離できないものとなり、またゴム加
硫物が硬くなってしまい、その結果、衣料用としては風
合いが悪化したものとなる。また上記添加量が20重量部
を超える場合、ゴム組成物のグリーン強度が大幅に低下
し40〜100μmのゴム厚でのロール剥がれが不能とな
り、また可塑剤が加硫後ゴム引布表面にブリードしてき
たり、ゴム加硫物の機械的強度も大幅に低下する(具体
的には、耐摩耗性、引張強度の低下が生じたり、粘着性
が出てしまう)。
本発明は上記可塑剤をゴム組成物に5〜20重量部添加す
ることにより、淡色配合用ゴム補強性充填剤を種類、粒
子径、添加量、表面処理の有無等に限定されず、適宜選
択して添加することができる。例えば、上記可塑剤の代
わりに他の可塑剤を用いた場合、ロール粘着を防止する
ための滑剤を大量に添加しなければならず、そのため基
布との接着不良やゴム表面への滑剤の移行が生じて、経
時で外観変化が発生する等の問題を生じる。また、上記
可塑剤は前記ゴム組成物のみならず他のエピクロルヒド
リンエラストマーにも適用することができる。
本発明ゴム引布を製造するに当たっては、上記ゴム組成
物を用いて可塑剤、補強性充填剤等を適宜添加したもの
を、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、コットン等の
基布の片面又は両面或いは基布間にカレンダーロールで
40〜100μm厚のゴム層となるように圧延、圧着し、次
いで熱空気加硫(例えば、温度150〜160℃、時間15〜20
分間で熱空気チャンバー内を連続的に通過させて加硫す
る)を行い耐溶剤性ゴム引布を得る。上記ゴム引布は、
完全防水性能を有するためゴム層が40μm厚以上のもの
であり、また衣料用としての柔軟性、軽量性が要求され
るためゴム層が100μm厚以下の範囲のものとなり、こ
れにより該ゴム引布は優れた衣料用ゴム引布として巾広
く使用することができる。
尚、本発明ゴム引布は光(特に紫外線)に対する優れた
耐光性を更に確保するために紫外線吸収剤等を添加する
ことができる。
〔実施例〕
以下、具体的実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明す
る。
下記組成からなるゴム組成物を基本的に用いて後述する
実施例及び比較例を行う。
「使用ゴム組成物」 ゴム組成物A: エピクロルヒドリン 100モル% (ハーキュラー社製:HerculorH) ゴム組成物B: エピクロルヒドリン 50モル% エチレンオキサイド 50モル% (ハーキュラー社製:HerculorC) ゴム組成物C: エピクロルヒドリン 92〜93モル% アリルグリシジルエーテル 7〜 8モル% (日本ゼオン社製:Gechron1100) ゴム組成物D: エピクロルヒドリン 65モル% アリルグリシジルエーテル 8モル% エチレンオキサイド 27モル% (日本ゼオン社製:Gechron3100) 一方、ナイロン基布に下記組成の下引糊を通常の方法に
て混合撹拌、溶解した後、塗布、乾燥する。
「下引糊組成物」 ゴム組成物C 100重量部 加硫助剤:マグネシア 5重量部 加工助剤:ステアリン酸スズ 1重量部 老防剤:MB 2重量部 加硫剤:2,4,6−トリメルカプト−S−トリアジン 1重量
部 充填剤:軽質炭酸カルシウム 50重量部 溶 剤:トルエン 250重量部 実施例1〜3及び比較例1〜4 第1表に示す配合の圧延用組成物を用いて通常の方法に
より混合し、前記下引糊を塗布した基布上に、カレンダ
ーロールで40〜50μmに均一に圧延したゴムシート状物
を圧着させ、温度160℃の熱空気チャンバー内を20分間
通過させて加硫を行い、ゴム引布を得た。
得られた実施例1〜3及び比較例1〜4のそれぞれのゴ
ム引布(ドライクリーニングしないもの)に紫外線を照
射し、ゴム引布が軟化するまでの時間を測定して初期物
性における(尚、比較例2、4は比較例1、3に紫外線
吸収剤を添加したものである)耐光性試験を行った。そ
の結果を第2表に示す。
次いで、上記実施例1〜3及び比較例2、4のゴム引布
(ドライクリーニングをしないもの、ドライクリーニン
グを1回、2回行ったもの)に紫外線を照射し、ゴム引
布が軟化するまでの時間を測定して経時における耐光性
試験を行った。その結果を第3表に示す。
第2表から明らかなように、紫外線吸収剤を添加した比
較例2、4のゴム引布は該吸収剤を添加していない比較
例1、3のゴム引布に比べて耐光性が向上し、また、本
発明ゴム引布は実施例1〜3の如く紫外線吸収剤を添加
しなくとも、初期物性において充分な耐光性を有するも
のであることが確認された。
第3表に示されるように、比較例のゴム引布はドライク
リーニングを繰り返すにつれ耐光性が低下してしまい、
これに対して実施例における本発明ゴム引布は、ドライ
クリーニングを繰り返しても耐光性が低下しにくいとい
う優れたものであることが判明した。
実施例4〜6及び比較例5〜10 次に、第4表に示す配合の圧延組成物を用いて、前記実
施例と同様にしてそれぞれのゴム引布を製造した。
得られたゴム引布に対してロール剥がれ、ピンホール性
及びゴムシート肌についての測定を行った。その結果を
第4表に示す。表中、評価の欄における評価基準は下記
の通りである。
※1 ○・・良好 △・・一部剥がれずロール側に持っていかれる ×・・全く剥がれない ※2 ○・・全くピンホールなし △・・部分的にピンホール発生 ×・・全面にピンホール発生 −・・ロールからゴムシートが剥がれないため測
定不能 ※3 ○・・平滑 △・・やや凹凸あり −・・ロールからゴムシートが剥がれないため測
定不能 第4表から明らかなように、比較例8〜10のゴム引布は
本発明に用いる可塑剤以外の可塑剤(ジオクチルフタレ
ート)を比較例5〜7のゴム引布に添加し、且つ各種充
填剤を配合してなるものであるが、充分な物性が得られ
ず、特にロール剥がれが悪く加工特性に劣るものであっ
た。これに対して実施例4〜6に示される本発明ゴム引
布は特定の可塑剤(ジオクチルアジペート)を添加して
なるため、いかなる充填剤を配合したもとでも、ロール
剥がれ、ピンホール性、ゴムシート肌のいずれについて
も優れたものであることが判明した。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明耐溶剤性衣料用ゴム引布は
特定のポリマー成分からなるゴム組成物を用いて構成し
てなるため、経時老化によりドライクリーニングに対す
る耐性が低下してしまう等の欠点があったエピクロルヒ
ドリンゴムを用いて形成した従来のゴム引布に比べて、
長期に亘って安定する優れた耐光性を有し、すべてのド
ライクリーニング溶剤に耐え、繰り返し洗いに対しても
充分な対溶剤性を維持できるものであり、また上記ゴム
組成物においてアリルグリシジルエーテルが共重合され
ているため、すべてのドライクリーニング溶剤で洗われ
ても抽出することがなく、従って、ドライクリーニング
により耐光性能が低下するという虞れのないものであ
る。故に、本発明によればすべてのドライクリーニング
溶剤に対して耐性を有し、繰り返しのドライクリーニン
グに充分耐えられ、光による軟化劣化を最大限防止でき
る衣料用のゴム引布を提供することが可能になる。又、
本発明の耐溶剤性衣料用ゴム引布は、上記アリルグリシ
ジルエーテル成分が特定量添加されたエピクロルヒドリ
ン系ゴム組成物が40〜100μm厚に形成されたゴム層を
有することにより、完全防水性を有すると共に衣料用素
材として充分な柔軟性及び軽量性を備え優れた衣料用ゴ
ム引布として幅広く使用できる。
また、本発明は上記特定のポリマー成分からなるゴム組
成物に特定の可塑剤を添加することにより、種類、粒子
径等の条件を限定せずにゴム用充填剤を適宜選択し添加
することが可能となり、圧延成形に対して良好なる加工
性を有するとともに衣料用ゴム引布としての必要な物性
を充分に具備したゴム引布を得ることができる。具体的
には、淡色充填剤の中で最も補強性のあるシリカ系充填
剤を使用したり、またエピクロルヒドリンに対して補強
性がある一方、ロール粘着が強く配合困難とされている
粒子径が0.15μm以下の表面処理補強性炭酸カルシウム
を使用して40〜100μm厚に圧延成形した場合であって
も、通常のエピクロルヒドリン用滑剤を一般的に知られ
ている範囲の少量の添加のみで、充分に平滑でピンホー
ルがなくロール剥がれの良いゴム層が得られ、且つ上記
滑剤や可塑剤のブリードがなく、基布との接着性が低下
せず、柔軟で耐寒性の良く、淡色〜白色迄の着色を自由
に行える等、種々の効果を有するゴム引布を得ることが
できる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基布の片面又は両面或いは基布間に、厚さ
    40〜100μmの圧延成形ゴムが貼着された衣料用ゴム引
    布であって、圧延成形ゴムが、アリルグリシジルエーテ
    ルとエピクロルヒドリンとの共重合体、又はアリルグリ
    シジルエーテルと50〜80モル%のエピクロルヒドリンと
    エチレンオキサイドとの三元共重合体、又は上記共重合
    体と三元共重合体との混合物、又は上記共重合体とエピ
    クロルヒドリン重合体若しくはエピクロルヒドリンとエ
    チレンオキサイドとの共重合体との混合物、又は上記三
    元共重合体とエピクロルヒドリン重合体若しくはエピク
    ロルヒドリンとエチレンオキサイドとの共重合体との混
    合物からなり、且つ上記共重合体、三元共重合体及び混
    合物におけるアリルグリシジルエーテルの成分がいずれ
    も4〜10モル%であるゴム組成物の圧延成形ゴムである
    ことを特徴とする耐溶剤性衣料用ゴム引布。
  2. 【請求項2】基布の片面又は両面或いは基布間に、厚さ
    40〜100μmの圧延成形ゴムが貼着された衣料用ゴム引
    布であって、圧延成形ゴムが、アリルグリシジルエーテ
    ルとエピクロルヒドリンとの共重合体、又はアリルグリ
    シジルエーテルと50〜80モル%のエピクロルヒドリンと
    エチレンオキサイドとの三元共重合体、又は上記共重合
    体と三元共重合体との混合物、又は上記共重合体とエピ
    クロルヒドリン重合体若しくはエピクロルヒドリンとエ
    チレンオキサイドとの共重合体との混合物、又は上記三
    元共重合体とエピクロルヒドリン重合体若しくはエピク
    ロルヒドリンとエチレンオキサイドとの共重合体との混
    合物からなり、且つ上記共重合体、三元共重合体及び混
    合物におけるアリルグリシジルエーテルの成分がいずれ
    も4〜10モル%であるゴム組成物に、脂肪族二塩基酸エ
    ステル可塑剤を5〜20重量部含有せしめたものであるこ
    とを特徴とする耐溶剤性衣料用ゴム引布。
JP61218850A 1986-09-17 1986-09-17 耐溶剤性衣料用ゴム引布 Expired - Lifetime JPH0761702B2 (ja)

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