JPH0761249B2 - マイクロ波加熱殺菌装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明はマイクロ波加熱殺菌装置に関するものであり、
特に被殺菌物の殺菌時加熱温度のバラツキを少なくした
マイクロ波加熱殺菌装置に関するものである。

〈従来技術およびその問題点〉 被殺菌物が袋あるいは容器に充填された包装体をマイク
ロ波で連続的に加熱殺菌を行なう方法は、既に多く報告
されているが、いずれの方法でつても、包装体の殺菌時
の加熱温度は周辺部が高く、中央部が低くなる傾向があ
る。特に対流の生じない固形物や高粘度製品の被殺菌物
では、その傾向が高く、そのため実際の殺菌において
は、温度が低くなる中央部の加熱温度で温度制御を行な
う必要があった。それで温度が高くなる周辺部は過剰加
熱となり、品質上、悪影響を与えている。

一方、上記包装体をマイクロ波透過可能な材料からなる
支持体に収納して加熱すると、包装体の周辺端部は熱容
量が小さく、支持体と接触した部分からの伝熱、および
隙間からの放熱により、中央部と比較すると低い温度と
なってしまっていた。特に、包装体のシール部付近でそ
の傾向が著しかった。

また、マイクロ波の照射を間欠的に行い、非照射時に熱
伝導により包装体の温度を均一にする方法も考えられる
が、対流の生じない被殺菌物では、10℃の温度差をなく
すのに、少なくとも３分は必要であり、マイクロ波加熱
の特徴である短時間加熱が不可能となる。

〈発明が解決しようとする問題点〉 本発明はマイクロ波による短時間加熱の特徴を生かし、
包装体内の被殺菌物の最終的な温度バラツキを最小限に
抑えることのできるマイクロ波加熱殺菌方法を提供する
ことを目的とする。

〈問題点を解決するための手段〉 マイクロ波で加熱可能な被殺菌物を容器、あるいは袋に
収納した包装体をマイクロ波透過可能な材料からなる支
持体に収納し、移送しながらマイクロ波を照射して、加
熱殺菌する装置において、支持体を反転する反転部の前
後に包装体に近接し、移送方向と直角方向にことなる箇
所に設けた導波管からなる部分加熱部を設けたマイクロ
波加熱殺菌装置である。

また、業務用等大きい包装体を加熱殺菌する場合は、近
接した導波管による移送方向と直角方向に異なる複数の
位置を順次照射する位置とすればよい。

〈作用〉 第１および第２部分加熱部においては、導波管が包装体
の近くまで延びて、しかも搬送方向に対して直角方向に
異なる過少を交互にしかも包装体の表裏に照射するの
で、照射されたマイクロ波は、拡散されることなく包装
体の中央部のみならず、支持体と接触する周辺端部にも
直接吸収される。

また、反転部における導波管は、内方まで延びていない
ので、照射されたマイクロ波は、拡散し、包装体の周辺
部を中心に全体に吸収され、中心部と周辺部及び周辺端
部の温度差が解消される。

〈実施例〉 第１図は、本発明の一実施例のマイクロ波加熱殺菌装置
の説明図で、包装体を収納した支持体Ａの搬送経路に、
マイクロ波発振装置10A₁、10A₂、10B、10A₃、10A₄から
マイクロ波が導波管11A₁、11A₂、11A₃、11A₄を介して照
射される第１部分加熱部1A₁、反転機構を備えた反転部1
B、および第２部分加熱部1A₂が順に設けられ、第１第２
部分加熱部1A₁、1A₂の導波管11A₁、11A₂、11A₃、11A
₄は、搬送経路に近接した位置まで延びている。また反
転部1Bには第２図に示すように導波管11Bは、室壁部分
に位置させて、反転部1Bにおいて全体を加熱可能にして
いる。

そして、包装体を収納した支持体Ａは、コンベア８に供
給され、マイクロ波トラップ５を通って第１部分に加熱
部1A₁に搬送され、包装体内の片面がここで部分的に加
熱され、次に、反転部で反転し第２部分加熱部1A₂で包
装体の反対が部分的に加熱され、殺菌された包装体が、
再びマイクロ波トラップ７を通って取り出される。

ここで、第１、第２部分加熱部1A₁、1A₂における導波管
11A₁、11A₂、11A₃、11A₄、のマイクロ波の照射口と包装
体の距離は、10〜50mmの範囲で導波管を移動させて行え
ばよく、また、導波管の照射口の大きさは、照射口に取
り付けるスリットの大きさを変えることにより調節す
る。

そして、第３図に示すように第１部分加熱部1A₁、第２
部分加熱部1A₂の導波管11A₁、11A₂、11A₃、11A₄は、搬
送方向に対して直角方向に互いに反対方向へ等距離隔て
た位置を照射する構造である。

なお、この第１および第２部分において部分的に加熱す
るためには、包装第を間欠移動させ、導波管11A₁〜11A₄
の照射口の真上になるように支持体Ａを停止させると効
果的である。

そして大きい包装体の場合、複数部分加熱部における導
波管の位置を変えるか、それぞれの部分加熱部におい
て、それぞれ異なる位置を照射するようにすればよい。

例えば、第４図に示したように袋状の包装体Ｂでは、第
１部分加熱室1A₁第２部分加熱室1A₂では、中央部から左
右に等距離隔てた箇所ａ、ｂにマイクロ波を照射し、加
熱し、第２図に示した反転部1Bにおいては周辺部を含む
全体に照射し、加熱する。

また、反転部1Bにおける反転機構としては、例えば第５
図に示すように、支持体Ａの両側端部には、中心から点
対象の位置に支軸16A、16A、16B、16Bが突設されてい
る。そして、ガイドレール14は、反転位置において、支
持体本体より外側に位置し、かつ、両側が傾斜し、高い
摺動面31、および反転溝32を設けた反転部33を有する。

そして、搬送部20は、支持体Ａの支軸に当接するアタッ
チメント21は一定間隔で駆動チェーン15に取り付けた構
成からなる。

次に、反転状態を図面により説明する。

まず、第６図（ａ）に示すように、水平に搬送されてい
る時は、支持体Ａがガイドレール14上に位置し、アタッ
チメント21が下方の支軸16Bに当接し、搬送する。

そして、同図（ｂ）に示されるように反転部13の位置で
は、支持体Ａではなく、支軸16Bが、摺動面31に当り、
支軸16Aが前になり、支持体Ａが傾き、同時（ｃ）に示
されるように反転溝12に入ると、アタッチメント21は支
軸16Bを押したままで、支持体Ａの重心の移動により、
支軸16Bが前になるように反転する。

この時、アタッチメント21は、同図（ｄ）に示されるよ
うに、反転溝の形状に沿って、押し上げて完全に反転状
態となる。

以上の操作をキャビティ内で必要なだけ繰り返しなが
ら、マイクロ波を照射して殺菌する。

〈効果〉 本発明の装置によれば、包装体の片面ずつマイクロ波で
加熱昇温する途中での同一面および表裏各部の温度差が
小さく、かつ加熱終了時点においても温度差が小さい、
ほぼ均一に加熱することができ、従来のマイクロ波加熱
殺菌では不可能であったマイクロ波照射による均一加熱
が可能となった。

これにより、連続式のマイクロ波加熱殺菌における包装
体内の温度バラツキを小さくすることができ、過剰加熱
による品質劣化を防止し、また短時間で均一加熱をする
ことを可能とした。

【図面の簡単な説明】 第１図および第２図は本発明のマイクロ波加熱殺菌装置
の一例を示す説明図であり、第３図は、第１図および第
２図における部分加熱部の導波管の状態を示す説明図、
第４図は、包装体の部分加熱部における照射箇所説明
図、第５図は反転部における反転機構の一例を示す説明
図、第６図は、第５図の反転機構の反転状態を示す説明
図である。 1A₁……第１部分加熱部 1A₂……第２部分加熱部 1B……反転部 10A₁〜10A₄、10B……マイクロ波発振装置 11A₁〜11A₄、11B……導波管 Ａ……支持体 ａ、ｂ……照射部

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】マイクロ波で加熱可能な被殺菌物を容器、
   あるいは袋に収納した包装体をマイクロ波透過可能な材
   料からなる支持体に収納し、移送しながらマイクロ波を
   照射して、加熱殺菌する装置において、支持体を反転す
   る反転部の前後に包装体に近接した移送方向と直角方向
   に異なる箇所を照射する導波管を有する部分加熱部を設
   けたマイクロ波加熱殺菌装置。
2. 【請求項２】包装体の移送が、間欠移送である請求項
   （１）記載のマイクロ波加熱殺菌装置。
3. 【請求項３】近接した導波管による加熱が異なる複数箇
   所を加熱する請求項（１）または請求項（２）記載のマ
   イクロ波加熱殺菌装置。
4. 【請求項４】反転部に包装体全体を加熱する導波管を設
   けた請求項（１）記載のマイクロ波加熱殺菌装置。