JPH0760978A - 交換型インクジェット用インクカートリッジ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクジェット記録ヘッドに安定したインク
供給を行う交換型インクジェット用インクカートリッ
ジ。 【構成】 インクジェット記録ヘッドと連結するインク
供給管を挿入するインク供給開口２と大気連通孔１０を
有し記録用インクを吸収保持する負圧発生部材３を収容
した負圧発生部材収容部４を備え、負圧発生部材３は負
圧発生部材収容部４の内壁面によって挟持され、負圧発
生部材３を挟持する内壁面の間隔の２分の１より大きい
外径のインク供給管をインク供給開口２に挿入してイン
クを記録ヘッドに供給する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録ヘ
ッドに接続されて供給する記録用インクを貯蔵しインク
ジェット記録装置に取り外し可能に装着される交換型イ
ンクジェット用インクカートリッジに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、紙、ＯＨＰシート等の記録媒体に
記録を行う記録装置は、種々の記録方式による記録ヘッ
ドを搭載した形態で実用化されている。この記録方式に
は、例えば、ワイヤードット方式、感熱方式、熱転写方
式、インクジェット方式等がある。このうち、インクジ
ェット方式は、記録ヘッドから記録媒体に向ってインク
を吐出することにより、記録を行うものであり、ランニ
ングコストが低く、静寂な記録方式として注目されてい
る。

【０００３】このインクジェット方式では、インクタン
クに貯蔵したインクを記録ヘッドに導いて、その記録ヘ
ッドの吐出口からインクを吐出させる。シリアルタイプ
の記録装置の場合、記録ヘッドはキャリア上に搭載され
て走査される。インクタンクは、キャリア以外の場所に
設けられる場合と、キャリア上に搭載される場合とがあ
り、前者の場合には、インクタンクと記録ヘッドとが可
塑性の管等で連通され、また後者の場合には、管等を用
いないでインクタンクと記録ヘッドとが直接連通され
る。

【０００４】このようなインクタンクには交換可能なも
のがあり、インクタンク内のインクがなくなった場合等
に、新しいインクタンクと交換して使用されるようにな
っている。

【０００５】図１０に、この種の交換型インクタンクの
一般的な構成例を示す。

【０００６】インクタンク１１の本体外壁には、記録ヘ
ッド１２にインクを供給するためのインク供給口１３が
設けられ、このインク供給口１３に、記録ヘッド１２の
インク供給管１４を接続することで、インクタンク１１
から記録ヘッド１２へのインク流路が構成される。な
お、インク供給口１３とインク供給管１４とを不図示の
接続管で連続させる場合もある。

【０００７】大気連通口１７は、インクタンクの本体外
壁を貫通する空気取り入れのための小穴である。インク
タンク１１の内部にはインク保持部材１５が充填されて
おり、この保持部材１５の適度なインク保持力により、
記録ヘッド１２を通してインクが流失することを防止
し、かつ記録ヘッド１２への適正なインク供給を可能に
している。インク保持部材１５としては、例えば、繊維
を網状に編み込んだ綿状体や、連通孔を有する多孔質体
等を用いることができ、特に、インク保持力の調整が容
易なポリウレタンフォーム等のスポンジを用いることが
好ましい。

【０００８】インクタンク１１は、使用時に記録ヘッド
１２または記録ヘッド１２に連続する接続管に装着され
るまで、即ち使用されるまでの物流、保管等の期間中に
は、インクが漏れたり蒸発したりしないように、インク
供給口１３を密閉しておく必要がある。この密閉の方法
としては、一般にシール材（封止部材）で開口を封止す
る方法が多く用いられている。そのシール材としては、
包装分野においてバリヤー材と称されるものが利用され
ており、インクタンク１１の本体と同様な材質をバリヤ
ー材の接着層とし、それを熱などで溶着することによっ
て、密閉性を高めることが好ましい。

【０００９】図１１（Ａ），（Ｂ）は、シール材により
インク供給口１３を封止する従来例を示す説明図であ
り、同図（Ａ）はシール材１６と、インク供給口１３が
位置するインクタンク１１の壁面部分２１との斜視図で
あり、同図（Ｂ）は、シール材１６による封止状態での
インク供給口１３部分の断面図である。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】一般的に交換型インク
ジェット用インクカートリッジにおいては、該カートリ
ッジに設けられた開口部を介して記録液を導入するた
め、記録ヘッドのインクジェット用カートリッジからの
供給管を挿入してインクを保持する負圧発生部材と圧接
する際、供給管の挿入により負圧発生部材が圧縮され、
負圧発生部材の表面の供給管が当接する領域部分から気
泡を追い出し、圧縮により毛細管力が高まることを利用
して、周囲の記録液を前記領域に集めることが重要であ
る。これにより、円滑な記録液の供給、そして交換時の
回復吐出量の減少、更には、たび重なる着脱後でも回復
性が良好という、交換型インクジェット用インクカート
リッジに必要な機能が備えられることとなる。

【００１１】しかしながら、従来の交換型インクジェッ
ト用インクカートリッジでは、前記圧接部の機能を充分
に働かせるよう動作させるには、前記供給管の挿入量を
充分大きくとることで、負圧発生部材の変形量を大きく
し、圧縮度を増すことで対応していたが、交換型カート
リッジにおいては、ユーザーのたび重なる着脱が想定さ
れ、挿入量が大きいことによる負圧発生部材の変形、圧
縮部への空気の侵入が発生し、記録液供給の信頼性が著
しく劣化するという欠点があった。

【００１２】これは、供給管挿入に際し、負圧発生部材
が自由に変形し、相当の挿入量がないと、所望の圧縮率
が達成されないことによる。更には、挿入に際しての変
形が他の領域にまでおよび、効率の良い当接が行われ
ず、余分な部分での変形を生ずるためである。

【００１３】本発明は、上記従来の問題点を解消するた
めになされたもので、負圧発生部材の機能を充分に発揮
させてインクを充分に貯蔵し、インク漏れを防止して供
給できる交換型インクジェット用インクカートリッジの
提供を目的とするものである。

【００１４】

【課題を解決するための手段】このため、この発明に係
る交換型インクジェット用インクカートリッジは、イン
クジェット記録ヘッドと連結するインク供給管を挿入す
るインク供給開口を有し記録用インクを吸収保持する負
圧発生部材を収容した負圧発生部材収容部を備え、前記
負圧発生部材は負圧発生部材収容部内の壁面によって挟
持され、前記インク供給管の先端部の外径はインク供給
開口近辺で負圧発生部材を挟持する壁面の間隔の２分の
１より大きいことを特徴とする構成によって、或は更に
インク供給開口には、インク供給開口近辺で負圧発生部
材を挟持するする壁面の間隔は１２ｍｍ以下であること
を特徴とし、またインク供給開口には、インクジェット
記録ヘッドと連結する供給管がインク供給開口近辺で負
圧発生部材を挟持するする壁面の間隔よりも短く挿入さ
れることを特徴とする構成によって、前記の目的を達成
しようとするものである。

【００１５】

【作用】以上の構成により、インク供給時にはインクジ
ェット記録ヘッドと連結する供給管はインク供給開口に
挿入されて、負圧発生部材を有効に効率よく圧縮するこ
とができ、負圧発生部材は毛細管力によりインクを充分
に保持し供給することができ、インク漏れを起こすこと
もない。

【００１６】

【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
して詳細に説明する。

【００１７】（第１実施例）図１は本発明に係る第１実
施例の斜視図であり、角部を切断して示してある。

【００１８】図１に示すように、本実施例のインクカー
トリッジ本体１はインクジェット記録ヘッドと連結する
ための開口部２を有し、負圧発生部材３を収容した負圧
発生部材収容部４を備え、負圧発生部材３にインクを含
浸させてなる。

【００１９】負圧発生部材収容部４の開口部２と反対側
には大気を導入するための大気連通口１０を有してい
る。

【００２０】次に、第１実施例の動作を説明する。

【００２１】図２（ａ）は交換型インクカートリッジに
インクジェット記録ヘッドへインクを供給するジョイン
ト部材７が挿入され、負圧発生部材３に圧接して、イン
クジェット記録装置が稼動可能な状態になったときの模
式断面図である。尚、ジョイント部材の先端部には、イ
ンクカートリッジ内のごみを排除するためにフィルター
９が設置されている。

【００２２】インクジェット記録装置が稼働すると、記
録ヘッドのオリフィスからインクが吐出され、交換型カ
ートリッジにインク吸引力が発生する。負圧発生部材に
含浸されているインクは、このインク吸引力によって、
ジョイント部材７内に引き込まれ、インクジェット記録
ヘッドへ供給される。負圧発生部材収納部４には大気連
通口１０が設けられているため、前記記録ヘッドへジョ
イント部材７を通してインクが供給されると、大気連通
口１０より負圧発生部材３に空気が供給され、負圧発生
部材３内の圧力差が解消される。

【００２３】非記録時においては、負圧発生部材３自身
の毛細管力が発揮され、インクジェット記録ヘッドから
インクが漏れることを抑制する。

【００２４】図２（ａ）に示すように、本実施例による
交換型インクジェットカートリッジは、記録ヘッドのジ
ョイント部材７が挿入されると、負圧発生部材３が圧縮
され、フィルター９での圧縮率が高まる。この時、負圧
発生部材３を収納するための収納部４の壁がジョイント
部材７に接近して設けられていることで、ジョイント部
材７の挿入にともなう負圧発生部材３の圧縮の際、負圧
発生部材３を収納部４の壁面が挟持することによって、
圧縮部材全体が変形することを防ぎ、効率良く、フィル
ター９の付近のみ圧縮される。

【００２５】このフィルター９付近での負圧発生部材３
の圧縮が効率良くなされることで、この近くの負圧発生
部材のメニスカスが高まり、空気の侵入を妨げ、インク
の漏れを防ぎ、ジョイント部材７を通して、インクを記
録ヘッドへ円滑に供給することができる。

【００２６】図２（ｂ）のように、負圧発生部材を収容
する収容部材５の壁がジョイント部材７を挿入する開口
部２より実質的に離れた距離に位置する場合、図２
（ａ）のジョイント部材の侵入量と同等に挿入しても、
充分な圧縮率が得られず、インクの供給不良、また、タ
ンク内の圧力上昇に伴うインク漏れなどを発生してしま
う。

【００２７】そこで、一般には、図２（ｃ）に示すよう
に、図２（ａ）と同じ効果が得られるように、ジョイン
ト部材７の挿入量を増すことで圧縮率を同等とすること
が可能である。しかしながら、負圧発生部材３の変形量
が大きいため、開口部２付近では、引張り応力が働くた
め、負圧発生部材３のメニスカスが弱まり、インク漏れ
しやすくなる欠点がある。

【００２８】また、交換カートリッジの場合は、何度も
取り外し装着をする可能性があり、圧縮と回復が繰り返
されると、この部分に空気が侵入し、再装着した際にイ
ンク切れをおこし、記録ヘッドへのインクの供給がスト
ップしてしまうという欠点が生ずる。

【００２９】従って、ジョイント部材７を挿入する開口
部２に対して、負圧発生部材３を収容する収容壁面を近
づけて、負圧発生部材３を動きにくくすることが重要で
あり、検討を重ねた結果、以下の条件が実験的に確かめ
られた。

【００３０】まず、供給管の挿入量をＬとした場合、前
述の繰り返しの着脱に対してのエアーの侵入の回避と、
供給時のエアー侵入を防止するためには、Ｌは６mm以下
としなければならない。このとき、負圧発生部材はウレ
タンのスポンジでセルサイズは３５〜４０／cm、圧縮率
はほぼ３〜４倍のときである。

【００３１】また、前述の供給管挿入の際、負圧発生部
材であるスポンジが挿入と同時に、挟持されている負圧
発生部材収容部の壁面を移動することが可能である。壁
面と供給管壁との距離は、上記のウレタンスポンジにお
いて、約３mm以内であることが必要である。

【００３２】このとき、供給管径Ｄが大きいと、挿入量
Ｌと管面積Ｓで形成されるＬ＊Ｓの体積のインクが、挿
入と同時に押し出される。この押し出されたインクは前
記３mmの内に保持されないと、カートリッジからのイン
ク漏れが発生する。この観点より挿入量Ｌが６mm、壁と
の距離が３mm以下のとき、Ｄは６mm以下でないとならな
いことがわかった。

【００３３】従って、上記観点より、収容部壁間距離
は、１２mm以下でなければならず、供給管径Ｄと壁間距
離Ｗは、Ｗ／２＜Ｄであることが必要となる。またこの
１２mm以下という壁間距離は、タンクサイズを制約する
ため、図１に示すようにタンクは必要量インクを入れる
ため長方形の形状となってしまう。このとき前記ヘッド
との開口部はインクを効率良く利用するため、図示する
ようにできるだけ下方に設け、前記効果を生み出すため
のスポンジ圧縮は、両サイドの壁による保持によって可
能である。

【００３４】尚、交換型インクカートリッジをカラーイ
ンクジェット記録装置に対応するために各色（例えば、
ブラック，イエロー，マゼンタ，シアンの４色）のイン
クをそれぞれ個別の交換型インクカートリッジに収容し
て使用することができる。また、個別のインクカートリ
ッジを１体化させて交換型インクカートリッジとしても
よく、あるいは、使用頻度の高いブラックインク用の交
換型インクカートリッジと他のカラーインク１体化交換
カートリッジを分離した交換型インクカートリッジとし
てもよい。これらの組み合わせはインクジェット装置に
合わせて任意である。

【００３５】以下に、本発明の実施例をより詳細に説明
する。

【００３６】交換型インクカートリッジにおいて、イン
クジェット記録ヘッドにおける負圧を制御するために
は、負圧発生部材の選定，形状，寸法はもとより、負圧
発生部材の収容部の内壁には、インクと空気の置換をス
ムーズに行うためのリブを必要に応じて設けてもよく、
負圧発生部材収容部の寸法及び注入インク量及びフィル
ターの形状，寸法，目の荒さ及びインクの表面張力など
を最適化することが重要となる。

【００３７】本実施例で使用する負圧発生部材は、それ
自身、液体（インク）の自重及びわずかな振動に対して
もインクを保持する能力を有するものであれば従来公知
の部材が使用できる。例えば、繊維を網状に網込んだ綿
状体や連通孔を有する多孔質体などが上げられる。イン
ク保持力及び負圧発生などが調整容易なポリウレタンフ
ォームなどのスポンジが好ましい。特に、フォームの場
合には、フォーム製造時に所望の多孔密度となるように
調整できるので好ましい。尚、フォームを熱圧縮処理を
して更に多孔密度を調整した場合には、加熱による分解
物が発生し、インク物性を変化させ記録品位に悪影響を
及ぼす場合があるので洗浄などの処理が必要となる。ま
た、各種インクジェット記録装置に対応した交換型イン
クカートリッジを製造するためそれに応じた多孔密度の
フォームが要求されるが、熱圧縮を施していない特定の
セル数（１インチ当たりの空孔の数）を持つフォーム材
を所望の寸法にカットし、負圧発生部材収容部に圧縮挿
入し、多孔密度，毛細管力を調整することが好ましい。

【００３８】上記においては、ジョイント部材７とジョ
イント開口部２とに隙間を設けてインクカートリッジ外
部から大気を取り入れる構成がなされているが、本構成
に限定するものではなくジョイント部材及びジョイント
開放部の構造，形状はいかなるものであってもよい。負
圧発生部材がスポンジのような多孔質部材の場合には、
ジョイント部材の挿入に対して多孔質部材のインクカー
トリッジ底部からの逃げを抑制し、且つフィルター部と
負圧発生部材との圧接面を維持、確保するためにジョイ
ント部材７の端部はジョイント部材挿入方向に対して任
意の角度（テーパー）を有することが好ましい。また、
大気の取入れ口とするためにジョイント部材の外壁に溝
などの所望の形成をすることが可能である。好ましく
は、ジョイント部材と開口部を密閉しない程度の隙間を
開けるか、開口部の下部（インクカートリッジ底部側）
では、ジョイント部材外周に近接し、開口部上部で開口
しているような形状とする。

【００３９】上記のように本実施例の交換型インクカー
トリッジはジョイント開口部と大気を取り入れる部分と
を兼ねることが可能となっており、より単純な構成とで
きる。また、ジョイント部材７の交換型インクカートリ
ッジへの挿入量は、上記ジョイント部材形状、負圧発生
部材、インクカートリッジの形状などを考慮して挿入時
にインク漏れなどを起こさず、記録時には途中でインク
切れなどを起こさないように決定しなければならない。
尚、必要に応じてジョイント開口部とは別に大気との連
通孔を負圧発生部材収容部側に設けることは任意であ
る。これはインクジェット記録装置内での環境変化に対
する信頼性向上に好適な手段となる。

【００４０】ジョイント部材７先端のフィルタの形状，
寸法，目の荒さは、インクジェット記録装置の種類によ
って任意に設定できるが、インクカートリッジからのご
みの混入を防止し記録ヘッドのノズルを詰まらせないた
めにもオリフィスの径よりも小さい目にすることが好ま
しい。

【００４１】本実施例の交換型インクカートリッジに充
填するインクは、従来公知のものが使用できる。また、
交換型インクカートリッジへのインク充填量は、インク
カートリッジ内容積を限度として任意であるが、交換型
インクカートリッジ開封直後の負圧を維持するために、
負圧発生部材部へのインク充填量は負圧発生部材のイン
ク保持力の限界以下で設定することが好ましい。尚、本
発明でいうインク保持力とは、負圧発生部材にインクを
含浸させた際の部材単独でインクを保持でるき能力をさ
すものである。

【００４２】次にインクカートリッジ単独の物流につい
て説明する。

【００４３】インクカートリッジ単独の物流時において
は、ジョイント開口部及び又は、大気連通孔をシール材
などで密閉してインクの蒸発やインクカートリッジ内の
空気膨張に備えることが好ましい。シール材としては、
包装分野においてバリヤー材と称される単体層のバリヤ
ー及び数層のプラスチックフィルムの複合化及びこれら
と紙，布などの補強材、またはアルミニウム箔などを複
合化した複合化バリヤー材を使用することが好ましい。
インクカートリッジ本体材質と同様な材質をバリヤー材
の接着層とし、熱などで溶着することによって密閉性を
上げることがより好ましい。

【００４４】また、インクカートリッジからのインクの
蒸発或は外部大気からの空気の流入を抑制するために
は、インクカートリッジを挿入後は包材内の空気を脱気
してから密閉する包装形態をとれば効果的である。包材
としては、気体透過度及び液体透過度を考慮し、上記シ
ール材同様バリヤー材から選択することが好ましい。

【００４５】上述のような包装形態を選択することによ
ってインクカートリッジ単独の物流は、インク洩れなど
もなく非常に信頼性の高いものとなる。

【００４６】（製造方法について説明する）インクカー
トリッジ本体材料は従来成形品に用いられるいかなる材
料であってもよいが、インクジェット用インクへの影響
がないような部材或は影響がないように処理された部材
から選択する必要がある。また、インクカートリッジの
生産性を考慮することも必要となる。例えば、インクカ
ートリッジ本体をインクカートリッジ底部１１部分とそ
の上部部分とに分割して樹脂材料にてそれぞれを一体成
形し、負圧発生部材を挿入後、インクカートリッジ底部
１１部分とその上部を溶着してインクカートリッジ本体
を製造することができる。樹脂材料に透明或は半透明な
ものを選択すればインク収容部のインクはインクカート
リッジ外部から視認することができるのでインクカート
リッジの取り替え時期を目視にて判断することができ
る。また、上記シール材などの溶着を容易にするために
凸部を設けることが好ましい。更に、インクカートリッ
ジ本体外面のシポなどの加工を施すこともデザイン上好
ましい。

【００４７】インクの充填には加圧法及び減圧法いずれ
も使用できる。尚、インクの充填にタンク本体のいずれ
かにインク充填口を設けることは他のインクカートリッ
ジ開口部を汚すことがないので好ましい。インク充填後
のインク充填口は、プラスチック或は金属材にて栓する
ことが好ましい。

【００４８】交換型インクカートリッジの構成及び形状
は各種の変形を行うことができる。

【００４９】図３は実施例に示したインクタンクに記録
ヘッドを装着した状態を示す一部破断概略図である。イ
ンクタンクは、容器に対してインクタンクの底部を構成
する平板の底部１１で蓋をすることで構成される。この
ように蓋をするという簡単な構成で容器を形成できる。

【００５０】一方、ヘッドは、ジョイント部材７がイン
クタンクの開口部に挿入されてとりつけられ、ジョイン
ト部材７は図示のように上方部分が下方部より前方に出
た斜め構造をしている。そして、さらにジョイント内部
のインク流路は上方に向って開いたホーン構造をしてい
る。このような構造とすることで、吸収体からのインク
を良好にヘッド側に導入することができる。

【００５１】本発明は、特にインクジェット記録装置の
中でも、インクの吐出を行わせるために利用されるエネ
ルギーとして熱エネルギーを発生する手段を備え、前記
熱エネルギーによりインクの状態変化を生起させる方式
の記録ヘッド、記録装置において、優れた効果をもたら
すものである。かかる方式によれば、記録の高密度化、
高精細化が達成できるからである。

【００５２】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第４７２３１２９号明細書、同第４７４０
７９６号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型、
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体（インク）が保持
されているシートや流路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくもひとつの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結果的に
この駆動信号に一対一対応し液体（インク）内の気泡を
形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮によ
り吐出用開口を介して液体（インク）を吐出させて、少
なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形
状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるの
で、特に応答性に優れた液体（インク）の吐出が達成で
き、より好ましい。このパルス形状の駆動信号として
は、米国特許第４４６３３５９号明細書、同第４３４５
２６２号明細書に記載されているようなものが適してい
る。なお、前述熱作用面の温度上昇率に関する発明の米
国特許第４３１３２４４号明細書に記載されている条件
を採用すると、更に優れた記録を行うことができる。

【００５３】記録ヘッドの構成としては、前述の各明細
書に開示されているような吐出口、流路、電気熱変換体
の組み合わせ構成（直線状液流路または直角液流路）の
ほかに熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を
開示する米国特許第４５５８３３３号明細書、米国特許
第４４５９６００号明細書を用いた構成も本発明に有効
である。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通す
るスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示す
る特開昭５９−１２３６７０号公報や熱エネルギの圧力
波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示する
特開昭５９−１３８４３１号公報に基づいた構成として
も本発明は有効である。

【００５４】更に、実施例ではシリアルタイプのインク
ジェット記録装置を示したが、記録可能な最大幅に対応
した長さを有するフルラインタイプの記録ヘッドに対し
ても本発明は有効に適用できる。フルラインタイプの記
録ヘッドとしては、前述した明細書に開示されているよ
うな複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを
満たす構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとし
ての構成のいずれでもよいが、本発明は、前述した効果
を一層有効に発揮することができる。

【００５５】また、本発明のインクジェット記録装置の
構成として設けられる、記録ヘッドに対しての回復手
段、予備的な補助手段を付加することは本発明の効果を
一層安定できるので好ましいものである。これらを具体
的に挙げれば、記録ヘッドに対しての、キャッピング手
段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱
変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの
組み合わせによる予備加熱手段、記録とは別の吐出を行
う予備吐出モードを行うことも安定した記録を行うため
に有効である。

【００５６】また、搭載される記録ヘッド、インクの種
類ないし個数についても、例えば単色のインクおよび１
個の記録ヘッドが設けられたもののほか、記録色や濃度
を異にする複数のインクに対応して複数のヘッドが設け
られるものであってもよく、任意の組み合わせにおいて
も有効である。記録装置の記録モードとしては黒色等の
記録モードだけでなく、異なる色の複色カラー、または
混色によるフルカラーの各記録モードにおいても本発明
は有効である。

【００５７】以上、説明した本発明の実施例において
は、インクを液体として説明しているが、室温やそれ以
下で凝固するインクであって、室温で軟化もしくは融解
するものや、あるいは、前述のインクジェットではイン
ク自体を３０℃以上７０℃以下の範囲で温度調整を行っ
てインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御す
るものが一般的であるから、使用記録信号付与時にイン
クが液状をなすものであればよい。加えて、熱エネルギ
による昇温を防止するため、積極的にインクの固体状態
から液体状態への相変化のエネルギとして使用せしめる
か、または、インクの蒸発防止を目的として放置状態で
固化するインクを用いるかして、いずれにしても熱エネ
ルギの記録信号に応じた付与によってインクが液化して
インク液状として吐出するものや記録媒体に到達する時
点ではすでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギ
によって初めて液化する性質のインク使用も本発明には
適用可能である。本発明においては、前述した各インク
に対して最も有効なものは、前述した膜沸騰方式を実行
するものである。

【００５８】また、本発明は電気を力に変換させてイン
クを吐出させるピエゾジェット方式等、記録媒体と非接
触に記録ヘッドを配設させ、インクを噴射させて記録す
る記録方式等のインクジェット方式において有効であ
る。

【００５９】更に加えて、本発明の記録装置の形態とし
ては、前述のようなワードプロセッサやコンピュータ等
の情報処理機器の出力端末として一体あるいは別体に設
けられるもののほかスキャナー等と組み合わせた複写装
置、さらには送信受信機能を有するファクシミリ装置の
形態をとるものであってもよい。

【００６０】（他の実施例）次に他の実施例を説明す
る。

【００６１】交換型インクカートリッジは、インクの使
用効率が高い程、ランニングコストが安いばかりでな
く、余分なインクを捨てないことから、エコロジーな製
品となる。

【００６２】本実施例のインクカートリッジのインク使
用効率を改善した他の実施例を図４に示す。

【００６３】インクカートリッジ本体１はインクジェッ
ト記録ヘッドと連結するための開口部２をもち、負圧発
生部材３を収容した負圧発生部材収容部４と、該負圧発
生部材収容部４に、リブ５を介して隣接し、インクカー
トリッジ底部１１で連通したインクを収容するインク収
容部６とからなる。

【００６４】次に本インクカートリッジの動作原理につ
いて説明する。

【００６５】インクジェット記録装置が稼動するとイン
クジェット記録ヘッドのオリフィスからインクが吐出さ
れ交換型インクカートリッジにインク吸引力が発生す
る。インクはこの吸引力によりインク収容部６からリブ
端部とインクカートリッジ底部１１との隙間部８を通
り、負圧発生部材収容部４へ、そして負圧発生部材３を
通ってジョイント部材７内に引き込まれインクジェット
記録ヘッドへ供給される。これにより隙間部８以外は密
閉しているインク収容部６の内部の圧力が低下し、イン
ク収容部６と負圧発生部材収容部４との間に圧力差を生
じる。記録が継続すると、その圧力差は上昇を続ける
が、負圧発生部材部はジョイント部材部とジョイント開
放部との間に隙間１０により大気に開放されているた
め、空気は負圧発生部材を通ってリブ端部８とインクカ
ートリッジ底部１１との隙間部８からインク収容部４に
入る。この時点でインク収容部６と負圧発生部材収容部
４との間に圧力差が解消される。インクジェット記録中
はこの動作が繰り返され、ある一定の負圧がインクカー
トリッジ内に得られる。また、インク収容部内のインク
は、インク収容部内の壁面に付着するインク以外はほぼ
全て使用できるためインク使用効率が向上する。

【００６６】非記録時において、負圧発生部材自身の毛
細管力（あるいはインク−負圧発生部材界面でのメニス
カス力）などが発現され、インクジェット記録ヘッドか
らインクが漏れることを抑制する。

【００６７】図５は、図４に示す実施例のインクカート
リッジの側面断面図である。

【００６８】次に、記録ヘッド及び本体のキャリッジの
制約上、負圧発生部材を挟持する幅Ｗが、インクカート
リッジ本体の形状と一致しない場合が出てくる。これを
解決する他の実施例について図８，図９を参照して説明
する。

【００６９】図８は幅広のインクカートリッジ１であっ
て、ヘッドへのインク供給を行う開口部２が設けられる
部分を突出させて、突出部１２を形成し、内部に負圧発
生部材３が収容してある。この突出部１２によって、負
圧発生部材３は挟持され、前記本発明の目的効果を発揮
できる構成となっている。

【００７０】図９は、幅広のインクカートリッジ１であ
って、ヘッドへのインク供給を行う開口部２が設けられ
る負圧発生部材収容部材の内壁にリブ１３を設け、この
二つのリブにより負圧発生部材を挟持し、前記本発明の
目的効果を発揮できる。

【００７１】上記した吐出部１２、リブ１３の形状，寸
法等は、それぞれタンク形状、インク，スポンジに合わ
せて最適化することが重要である。

【００７２】次に、インク使用効率を向上させた、リブ
を介してインク収容部を別にもつインクカートリッジに
おける幅広インクカートリッジの場合の他の実施例を図
６，図７を参照して説明する。

【００７３】図６（ａ）は上記幅広インクカートリッジ
の一実施例を示す斜視図で、（ｂ）はその底部の断面図
である。

【００７４】図６（ａ）は図４で示したインクカートリ
ッジのインク収容部が、負圧発生部材収容部をＬ字状に
囲むように構成し、幅広カートリッジを実現している。

【００７５】図７（ａ）は、他の幅広インクカートリッ
ジの一実施例を示す斜視図で、（ｂ）はその底部の断面
図である。

【００７６】図７（ａ）は、図４で示したインクカート
リッジのインク収容部が、負圧発生部材収容部をコ字に
囲むように構成して幅広カートリッジを実現している。

【００７７】図に示すように、上記図６の実施例は開口
部が片側に寄っており、図７の実施例は開口部がセンタ
ー部分に位置するものである。

【００７８】

【発明の効果】以上、説明したように、本発明の交換型
インクジェット用インクカートリッジは、記録時及び非
記録時においても適度の負圧を使用初期から使用終了ま
での間維持して高速記録に対応し、インクジェット記録
装置の使用環境条件においてもインク漏れがない。

【００７９】更に、交換時の取り扱い性が良好で、イン
クジェット記録装置への着脱時においてもインク漏れや
インク切れなどがなく、インクジェット記録ヘッドへの
装着時に誤った状況となることはない。

【００８０】更には、単独の物流時にも高い信頼性をも
ち、簡易な構造で作りやすく、安価でしかもインク残量
も目視でき、使用効率の高い交換型インクジェット用イ
ンクカートリッジを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明のインクカートリッジの概略を示す斜
視図

【図２】 本発明のジョイントの挿入状態を示すインク
タンク断面図

【図３】 本実施例に示したインクタンクに記録ヘッド
を装着した状態を示す概略図

【図４】 本発明の他の実施例のインクカートリッジの
概略を示す斜視図

【図５】 本発明の他の実施例のインクカートリッジの
概略を示す側面図

【図６】 本発明の他の実施例のインクカートリッジの
概略を示す斜視図

【図７】 本発明の他の実施例のインクカートリッジの
概略を示す斜視図

【図８】 本発明の他の実施例のインクカートリッジの
概略を示す斜視図

【図９】 本発明の他の実施例のインクカートリッジの
概略を示す斜視図

【図１０】 従来のインクカートリッジの概略を示す斜
視図

【図１１】 従来のインクカートリッジの開口部を示す
斜視図

【符号の説明】

１ インクカートリッジ本体 ２ インク供給開口 ３ 負圧発生部材 ４ 負圧発生部材収容部 ５ リブ ６ インク収容部 ７ ジョイント部材 ９ フィルタ １０ 大気連通口

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 日隈 昌彦 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 岡崎 猛史 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 但馬 裕基 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 須釜 定之 東京都大田区下丸子３丁目30番２号 キヤ ノン株式会社内

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 インクジェット記録ヘッドと連結するイ
   ンク供給管を挿入するインク供給開口を有し記録用イン
   クを吸収保持する負圧発生部材を収容した負圧発生部材
   収容部を備え、前記負圧発生部材は負圧発生部材収容部
   内の壁面によって挟持され、前記インク供給管の先端部
   の外径はインク供給開口近辺で負圧発生部材を挟持する
   壁面の間隔の２分の１より大きいことを特徴とする交換
   型インクジェット用インクカートリッジ。
2. 【請求項２】 インク供給開口近辺で負圧発生部材を挟
   持するする壁面の間隔は１２ｍｍ以下であることを特徴
   とする請求項１記載の交換型インクジェット用インクカ
   ートリッジ。
3. 【請求項３】 インク供給開口には、インクジェット記
   録ヘッドと連結する供給管がインク供給開口近辺で負圧
   発生部材を挟持するする壁面の間隔よりも短く挿入され
   ることを特徴とする請求項１または２記載の交換型イン
   クジェット用インクカートリッジ。
4. 【請求項４】 負圧発生部材収容部と底部連通口を有し
   て隣接した記録用のインクを収容するインク収容部を備
   えたことを特徴とする請求項１ないし３のいずれかに記
   載の交換型インクジェット用インクカートリッジ。
5. 【請求項５】 同形状のインクカートリッジを複数並設
   し、それぞれ異なる記録用インクをインクジェット記録
   ヘッドに供給することを特徴とする請求項１ないし４の
   いずれかに記載の交換型インクジェット用インクカート
   リッジ。