JPH0759733B2 - 浸炭用鋼 - Google Patents
浸炭用鋼Info
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- JPH0759733B2 JPH0759733B2 JP1029676A JP2967689A JPH0759733B2 JP H0759733 B2 JPH0759733 B2 JP H0759733B2 JP 1029676 A JP1029676 A JP 1029676A JP 2967689 A JP2967689 A JP 2967689A JP H0759733 B2 JPH0759733 B2 JP H0759733B2
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- Japan
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- steel
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- carburizing
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- Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、浸炭処理等の結晶粒を微細化し、耐疲労の優
れた浸炭用鋼に関するものである。
れた浸炭用鋼に関するものである。
(従来の技術) 浸炭鋼として、例えばJICに規定するSC材、SCr材、SCM
材、SMn材、SNC材、SNCM材等の機械構造用鋼があり、ギ
ア類から、ピン、ブッシュ、ボルト等の機械部品が製造
されている。これらの部品は、表面の耐摩耗性および疲
労強度を高めるために、浸炭焼入れ処理が施されるが、
最表層部に内部酸化層および異常組織が生成し、この結
果疲労強度が著しく低下するという問題を有している。
材、SMn材、SNC材、SNCM材等の機械構造用鋼があり、ギ
ア類から、ピン、ブッシュ、ボルト等の機械部品が製造
されている。これらの部品は、表面の耐摩耗性および疲
労強度を高めるために、浸炭焼入れ処理が施されるが、
最表層部に内部酸化層および異常組織が生成し、この結
果疲労強度が著しく低下するという問題を有している。
そこで従来は、浸炭処理後にラッピング等の表面加工を
行って表面の異常組織を機械的に除去したり、あるいは
部品を必要以上に大型化して所定強度を得ている。
行って表面の異常組織を機械的に除去したり、あるいは
部品を必要以上に大型化して所定強度を得ている。
さらに特公昭55−32777号および特開昭59−182952号公
報に、異常組織の原因である内部酸化層の現われない成
分範囲に関する鋼材が開示されており、その対策は主に
疲労亀裂の起点を減少あるいは除去することであり、亀
裂伝播に対する有効な抑制方法はこれまで殆ど示されて
いなかった。
報に、異常組織の原因である内部酸化層の現われない成
分範囲に関する鋼材が開示されており、その対策は主に
疲労亀裂の起点を減少あるいは除去することであり、亀
裂伝播に対する有効な抑制方法はこれまで殆ど示されて
いなかった。
(発明が解決しようとする課題) しかしラッピング等の表面加工を行うと製造工程数が増
加するほか、複雑な形状部品には適用しがたいという問
題があり、また冷却速度を大きくすると熱処理歪が増大
し、寸法精度が低下するという欠点がある。
加するほか、複雑な形状部品には適用しがたいという問
題があり、また冷却速度を大きくすると熱処理歪が増大
し、寸法精度が低下するという欠点がある。
そのため酸素を含まない雰囲気中で行う真空浸炭法があ
るが、この処理を実施するためには真空装置をはじめ種
々の装置が必要で極めて複雑であり、さらに連続処理炉
が未開発のため、大量生産には不向きなバッチ処理とな
りコストが高い。
るが、この処理を実施するためには真空装置をはじめ種
々の装置が必要で極めて複雑であり、さらに連続処理炉
が未開発のため、大量生産には不向きなバッチ処理とな
りコストが高い。
一方、通常の浸炭作業においてこれらの内部酸化層や不
完全焼入れ層を生成させない技術のひとつとして最近、
特公昭55−32777号、特開昭59−182952号公報にみられ
るようにSi,Mn,Cr等の酸素との親和力の強い合金元素を
できるだけ少なくし、代りに酸化されにくい合金元素と
して、価格の高いMoやNiを添加し、粒界酸化層を低減す
る鋼材が開示されている。
完全焼入れ層を生成させない技術のひとつとして最近、
特公昭55−32777号、特開昭59−182952号公報にみられ
るようにSi,Mn,Cr等の酸素との親和力の強い合金元素を
できるだけ少なくし、代りに酸化されにくい合金元素と
して、価格の高いMoやNiを添加し、粒界酸化層を低減す
る鋼材が開示されている。
しかしこれらの鋼材は粒界酸化層の完全な抑制は困難で
あり、また異常組織も皆無にするには到っていない。ま
たこれらの元素はコストも高い。
あり、また異常組織も皆無にするには到っていない。ま
たこれらの元素はコストも高い。
一方、厚板等の知見より疲労亀裂の伝播抑制として結晶
粒の微細化等が考えられるが、肌焼鋼は浸炭処理という
高温度に長時間さらされるため、厚板等の熱間圧延まま
の鋼材と異なり結晶粒の微細化が非常に難しい。
粒の微細化等が考えられるが、肌焼鋼は浸炭処理という
高温度に長時間さらされるため、厚板等の熱間圧延まま
の鋼材と異なり結晶粒の微細化が非常に難しい。
唯一、高温浸炭処理時の結晶粒粗大化を防止する鋼材が
開示されているが(例えば、特公昭59−46288号、特開
昭62−54064号)、結晶粒の粗大化防止が中心となって
おり、細粒化の疲労強度におよぼす影響については十分
には判明していなかったり、効果が少ないとされてい
た。
開示されているが(例えば、特公昭59−46288号、特開
昭62−54064号)、結晶粒の粗大化防止が中心となって
おり、細粒化の疲労強度におよぼす影響については十分
には判明していなかったり、効果が少ないとされてい
た。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは浸炭鋼の疲労破壊過程の調査をするととも
に、疲労特性におよぼす表層の不完全焼入れ組織および
浸炭結晶粒度、析出物の影響を検討した結果、たとえ最
表層に粒界酸化層が存在していても表層の不完全焼入れ
層の生成を防止し、かつ特定の析出物を用いて浸炭結晶
粒度を微細化することにより、亀裂伝播速度を著しく鈍
化でき、大幅な疲労強度の改善を期待できることを知見
した。
に、疲労特性におよぼす表層の不完全焼入れ組織および
浸炭結晶粒度、析出物の影響を検討した結果、たとえ最
表層に粒界酸化層が存在していても表層の不完全焼入れ
層の生成を防止し、かつ特定の析出物を用いて浸炭結晶
粒度を微細化することにより、亀裂伝播速度を著しく鈍
化でき、大幅な疲労強度の改善を期待できることを知見
した。
浸炭用鋼の疲労破壊は、表層の起点近傍が粒界破壊でそ
の後の亀裂伝播は粒内破裂で進行することが一般に知ら
れている。浸炭結晶粒度のみ細粒化した場合は、粒界酸
化物を起点とした疲労亀裂が、表層不完全焼入れ層を主
に粒内破裂で伝播して行くため、単なる細粒化は疲労強
度向上にはあまり効果が無い。
の後の亀裂伝播は粒内破裂で進行することが一般に知ら
れている。浸炭結晶粒度のみ細粒化した場合は、粒界酸
化物を起点とした疲労亀裂が、表層不完全焼入れ層を主
に粒内破裂で伝播して行くため、単なる細粒化は疲労強
度向上にはあまり効果が無い。
一方、浸炭結晶粒度の細粒化とともに表層の不完全焼入
れ組織の発生を防止した場合には、一旦は粒界酸化物を
起点として疲労亀裂が発生するものの、初期の亀裂伝播
は主に粒界破壊に移行し、結晶粒微細化が効果的に発揮
されることを見出した。
れ組織の発生を防止した場合には、一旦は粒界酸化物を
起点として疲労亀裂が発生するものの、初期の亀裂伝播
は主に粒界破壊に移行し、結晶粒微細化が効果的に発揮
されることを見出した。
これは脆弱な表層不完全焼入れ層が存在する場合は、粒
界に比べ強度の低い粒内を亀裂が伝播して行くのに対
し、表層不完全焼入れ層を防止した場合は、粒内強度が
上昇するために相対的に粒界強度が低くなり、疲労亀裂
は粒界破壊となるためである。
界に比べ強度の低い粒内を亀裂が伝播して行くのに対
し、表層不完全焼入れ層を防止した場合は、粒内強度が
上昇するために相対的に粒界強度が低くなり、疲労亀裂
は粒界破壊となるためである。
従って、結晶粒細粒化の効果は細粒化単独では効果が無
く、表層不完全焼入れ層の抑制を伴って始めて効果を生
み出すことになる。
く、表層不完全焼入れ層の抑制を伴って始めて効果を生
み出すことになる。
この不完全焼入れ層の生成を防止するには、粒界酸化層
が発生していても十分焼入れ硬化するように安価なMnや
Crを添加して、鋼材の焼入れ性を高めておけば良いこと
を確認した。
が発生していても十分焼入れ硬化するように安価なMnや
Crを添加して、鋼材の焼入れ性を高めておけば良いこと
を確認した。
所要焼入れ性DI値は処理鋼材の寸法が大きく影響する。
焼入れ性および等価丸棒径(直径)と不完全焼入れ組織
の発生状況を調査した結果、C,MnおよびCrによる焼入れ
性(DI′mm)および等価丸棒径(φmm)の間の関係が、 DI′(mm)≧51・等価丸棒径(φmm)0.65−163 …式 の関係を満足することにより、表層の完全焼入れ組織を
確保できることを見出した。
焼入れ性および等価丸棒径(直径)と不完全焼入れ組織
の発生状況を調査した結果、C,MnおよびCrによる焼入れ
性(DI′mm)および等価丸棒径(φmm)の間の関係が、 DI′(mm)≧51・等価丸棒径(φmm)0.65−163 …式 の関係を満足することにより、表層の完全焼入れ組織を
確保できることを見出した。
なお、この場合、DI′(=DIC×DMn×DCr)はC,Mn,Crに
よる理想臨界直径であり、DICは基本焼入れ性、また
FMn,FCrは各元素の焼入れ性倍数で、AISIの規定で、定
められた計算値である。
よる理想臨界直径であり、DICは基本焼入れ性、また
FMn,FCrは各元素の焼入れ性倍数で、AISIの規定で、定
められた計算値である。
また、この等価丸棒径φ(mm)は丸棒に類似した形状の
場合;φ=丸棒の直径、板に類似した形状の場合;φ=
板厚/0.72、角棒に類似した形状の場合;φ=板厚/0.90
となり、各種鋼材形状に歯車等の製品に適用できる(引
用文献:大和久重雄「焼入れ性−求め方と活用」,新日
本印刷(株),P134,S54.9.25)。
場合;φ=丸棒の直径、板に類似した形状の場合;φ=
板厚/0.72、角棒に類似した形状の場合;φ=板厚/0.90
となり、各種鋼材形状に歯車等の製品に適用できる(引
用文献:大和久重雄「焼入れ性−求め方と活用」,新日
本印刷(株),P134,S54.9.25)。
つまりこれによって設計される高焼入れ性鋼は、たとえ
一部が粒界酸化物として消費されたとしても、補うのに
必要な合金元素が添加されており、各寸法ごとに表面焼
入れ性が保持でき、不完全焼入れによる異常組織の発生
を抑制する。
一部が粒界酸化物として消費されたとしても、補うのに
必要な合金元素が添加されており、各寸法ごとに表面焼
入れ性が保持でき、不完全焼入れによる異常組織の発生
を抑制する。
次に、浸炭結晶粒度を微細化するには、V,Ti,Nb,Al等の
炭窒化物により可能であるが知られている。
炭窒化物により可能であるが知られている。
本発明者らは疲労破壊過程特に表層の亀裂伝播過程と各
析出物の影響を調査した結果、各元素を適当量添加し、
たとえ同じ結晶粒度にできたとしても、各炭窒化物によ
り疲労亀裂の伝播速度が著しく異なり、V炭窒化物のみ
亀裂の伝播を鈍化させる効果が有ることが分った。
析出物の影響を調査した結果、各元素を適当量添加し、
たとえ同じ結晶粒度にできたとしても、各炭窒化物によ
り疲労亀裂の伝播速度が著しく異なり、V炭窒化物のみ
亀裂の伝播を鈍化させる効果が有ることが分った。
この理由は表層の疲労亀裂の伝播において、析出物寸法
の大きなNb炭窒化物や長方形で板状のAl窒化物および矩
形のTi炭窒化物は鋼中ではそれ自身が切欠き効果とな
り、疲労亀裂の伝播を遅滞させず逆に促進する場合もあ
り、疲労強度の向上があまり期待できず、微細でかつ円
状に多数析出するV炭窒化物でのみ著しい亀裂伝播の遅
滞を生み出し、疲労強度の向上につながることが分っ
た。
の大きなNb炭窒化物や長方形で板状のAl窒化物および矩
形のTi炭窒化物は鋼中ではそれ自身が切欠き効果とな
り、疲労亀裂の伝播を遅滞させず逆に促進する場合もあ
り、疲労強度の向上があまり期待できず、微細でかつ円
状に多数析出するV炭窒化物でのみ著しい亀裂伝播の遅
滞を生み出し、疲労強度の向上につながることが分っ
た。
従って、結晶粒の微細化が直接疲労強度を向上する訳で
はなく、表層不完全焼入れ組織抑制とV炭窒化物による
結晶粒微細化により初めて達成できる訳である。
はなく、表層不完全焼入れ組織抑制とV炭窒化物による
結晶粒微細化により初めて達成できる訳である。
こうした知見をもとに本発明者らは完全に粒界酸化層を
防止すること無しに、表層の不完全焼入れ組織の発生を
抑制するとともに、特定量のVを添加し、その炭窒化物
により浸炭結晶粒を微細化することによって本発明を達
成した。
防止すること無しに、表層の不完全焼入れ組織の発生を
抑制するとともに、特定量のVを添加し、その炭窒化物
により浸炭結晶粒を微細化することによって本発明を達
成した。
すなわち本発明は重量%で、C:0.1%以上0.3%未満、S
i:0.1%未満、Mn:0.9%以上2.00%未満、Cr:0.80%以上
1.20%未満、V:0.07%以上0.20未満、かつNi:2.0%未
満、およびMo:0.45%未満の1種または2種を基本含有
成分とし、残部がFeおよび不純物よりなり、かつC,Mn,C
rによる焼入れ性DI′(mm)および等価丸棒径φ(mm)
の間に、DI′(mm)≧51・φ(mm)0.65−163の関係式
を満足し、あるいはこれにP:0.010%未満、O:0.0020%
未満に制御した浸炭鋼を提供するものである。
i:0.1%未満、Mn:0.9%以上2.00%未満、Cr:0.80%以上
1.20%未満、V:0.07%以上0.20未満、かつNi:2.0%未
満、およびMo:0.45%未満の1種または2種を基本含有
成分とし、残部がFeおよび不純物よりなり、かつC,Mn,C
rによる焼入れ性DI′(mm)および等価丸棒径φ(mm)
の間に、DI′(mm)≧51・φ(mm)0.65−163の関係式
を満足し、あるいはこれにP:0.010%未満、O:0.0020%
未満に制御した浸炭鋼を提供するものである。
また、DI′の計算に用いるDIC,FMnおよびFCrはAISIで定
める値であり、Grossmanの相乗法で計算することにより
求められる。この式で用いる数値を以下に示す。
める値であり、Grossmanの相乗法で計算することにより
求められる。この式で用いる数値を以下に示す。
以下に本発明の鋼の各構成成分について説明する。
まずCは構造用部品あるいは製品として必要な強度特に
芯部強度を確保するために添加する元素であるが、0.10
%未満ではこのような効果を十分に得ることができず、
0.30%以上では靭性が低下して脆くなり、浸炭用鋼とし
て使用が困難となるので、その含有量を0.1%以上0.3%
未満とする。
芯部強度を確保するために添加する元素であるが、0.10
%未満ではこのような効果を十分に得ることができず、
0.30%以上では靭性が低下して脆くなり、浸炭用鋼とし
て使用が困難となるので、その含有量を0.1%以上0.3%
未満とする。
Siは浸炭用鋼の粒界酸化に著しく悪影響を及ぼす元素で
あり、含有量が0.10%以上では浸炭層に粒界酸化が形成
され、浸炭用鋼の材質特性が著しく劣化するので、その
含有量を0.10%未満とする。
あり、含有量が0.10%以上では浸炭層に粒界酸化が形成
され、浸炭用鋼の材質特性が著しく劣化するので、その
含有量を0.10%未満とする。
Mnは鋼に強度、靭性、焼入れ性を与えるのに必要な元素
であるが、2.00%以上では熱間圧延後の冷却においてベ
イナイトやアルテンサイトの硬質な組織になり、その後
の切削等の二次加工には適さなくなるために2.00%未満
とする。
であるが、2.00%以上では熱間圧延後の冷却においてベ
イナイトやアルテンサイトの硬質な組織になり、その後
の切削等の二次加工には適さなくなるために2.00%未満
とする。
しかしMnの添加量が0.90%未満では焼入れ性の効果が十
分でなく、その含有量は0.90%以上とする。
分でなく、その含有量は0.90%以上とする。
Crは鋼の機械的性質、焼入れ性、耐摩耗性の向上に寄与
するが、この元素も1.20%以上では、熱間圧延後の冷却
においてベイナイトやマルテンサイトの硬質な組織にな
り、その後の切削等の二次加工には適さなくなるために
1.20%未満とする。しかしCrの添加量が0.80%未満では
焼入れ性の効果が十分でなく、その含有量は0.80%以上
とする。
するが、この元素も1.20%以上では、熱間圧延後の冷却
においてベイナイトやマルテンサイトの硬質な組織にな
り、その後の切削等の二次加工には適さなくなるために
1.20%未満とする。しかしCrの添加量が0.80%未満では
焼入れ性の効果が十分でなく、その含有量は0.80%以上
とする。
Vは炭窒化物を生成し、浸炭結晶粒の微細化に効果のあ
る元素であり、その効果を得るには0.07%以上の含有が
必要である。しかし、0.20%を超えて含有しても効果は
飽和するため、上限を0.20%未満とする。
る元素であり、その効果を得るには0.07%以上の含有が
必要である。しかし、0.20%を超えて含有しても効果は
飽和するため、上限を0.20%未満とする。
本発明の鋼は上述した成分を有する鋼の他に、さらに以
下のような化学成分を適当量に調整した鋼も含むもので
ある。この場合の化学成分としてはNi,Mo,P,Oがある。
下のような化学成分を適当量に調整した鋼も含むもので
ある。この場合の化学成分としてはNi,Mo,P,Oがある。
NiおよびMoは無添加でも十分疲労強度を向上できるが、
これらは浸炭時の粒界酸化を促進しない元素であり、鋼
の機械的特性や焼入れ性を向上させるため、1種または
2種を添加することにより、より一層の疲労強度向上が
図られる。
これらは浸炭時の粒界酸化を促進しない元素であり、鋼
の機械的特性や焼入れ性を向上させるため、1種または
2種を添加することにより、より一層の疲労強度向上が
図られる。
Niは鋼の靭性向上、浸炭時のオーステナイト結晶粒粗大
化防止に寄与するが、多すぎると残留オーステナイトが
生成されるので2.0%未満とする必要がある。
化防止に寄与するが、多すぎると残留オーステナイトが
生成されるので2.0%未満とする必要がある。
またMoは鋼の耐摩耗性、焼入れ性、機械的性質の向上に
寄与するが、多すぎると靭性を劣化させるため0.45%未
満とする必要がある。
寄与するが、多すぎると靭性を劣化させるため0.45%未
満とする必要がある。
Oは鋼中の介在物量を増大し、転勤疲労や回転曲げ疲労
等の疲労強度特性を劣化させるので、0.0020%未満とす
ることにより、またPは結晶粒界に偏析し粒界の破壊強
度を低下させるため、0.010%未満とすることによりよ
り一層の疲労強度向上が図られる。
等の疲労強度特性を劣化させるので、0.0020%未満とす
ることにより、またPは結晶粒界に偏析し粒界の破壊強
度を低下させるため、0.010%未満とすることによりよ
り一層の疲労強度向上が図られる。
(実 施 例) 第1表に示す化学成分の鋼を溶製したのち造塊し、次に
分塊圧延、棒鋼圧延して直径25mmの丸棒を製造した。続
いて各圧延材を925℃で焼きならし処理した後、直径25m
mの丸棒より掴み部の直径が15mm、中央平行部の直径がN
o.1〜No.6およびNo.8〜No.14まで9mmで、No.7は12mmで
回転曲げ疲労試験片に機械加工した。
分塊圧延、棒鋼圧延して直径25mmの丸棒を製造した。続
いて各圧延材を925℃で焼きならし処理した後、直径25m
mの丸棒より掴み部の直径が15mm、中央平行部の直径がN
o.1〜No.6およびNo.8〜No.14まで9mmで、No.7は12mmで
回転曲げ疲労試験片に機械加工した。
次に各加工材に対して、浸炭ガス雰囲気中で930℃×5
時間加熱→60℃油焼入れ→180℃×1時間焼戻しの条件
で浸炭焼入れ、焼戻しを行い、各々の処理材についてミ
クロ観察による異常層深さを測定するとともに小野式回
転曲げ疲労試験を行った。
時間加熱→60℃油焼入れ→180℃×1時間焼戻しの条件
で浸炭焼入れ、焼戻しを行い、各々の処理材についてミ
クロ観察による異常層深さを測定するとともに小野式回
転曲げ疲労試験を行った。
表に示すように、焼入れ製〔DI′(mm)=DIC×FMn×F
Cr)〕が必要なDI′*に達しないNo.1,No.3およびNo.7
は異常組織が発生し、またCr含有量の多すぎるNo.5は粒
界酸化層の発生が大で、異常組織の発生もあり疲労強度
も低い。
Cr)〕が必要なDI′*に達しないNo.1,No.3およびNo.7
は異常組織が発生し、またCr含有量の多すぎるNo.5は粒
界酸化層の発生が大で、異常組織の発生もあり疲労強度
も低い。
またNo.2,No.4およびNo.6は所定量のVが添加されてい
るものの、焼入れ性〔DI′(mm)=DIC×FMn×FCr)〕
が必要なDI′*に達せず、あるいは粒界酸化層の発生が
大で、異常組織の発生もあり疲労強度も低い。
るものの、焼入れ性〔DI′(mm)=DIC×FMn×FCr)〕
が必要なDI′*に達せず、あるいは粒界酸化層の発生が
大で、異常組織の発生もあり疲労強度も低い。
結晶粒微細化元素の異なるNo.8〜9は結晶粒は微細化さ
れているものの疲労強度はあまり向上しない。
れているものの疲労強度はあまり向上しない。
これに対してこの発明の化学成分範囲内にあるNo.10〜1
4では何れも異常組織の発生は皆無で、浸炭結晶粒度も
微細化でき疲労強度が著しく高いことが明らかである。
4では何れも異常組織の発生は皆無で、浸炭結晶粒度も
微細化でき疲労強度が著しく高いことが明らかである。
(発明の効果) 通常のガス浸炭雰囲気中で浸炭を行った時でも表面不完
全焼入れによる異常組織の発生を抑制すると同時に浸炭
結晶粒度を微細化でき、歯車の疲労強度性能が著しく向
上し、且つ部品の製造コストを低減できると同時に生産
性を高めることが可能である。
全焼入れによる異常組織の発生を抑制すると同時に浸炭
結晶粒度を微細化でき、歯車の疲労強度性能が著しく向
上し、且つ部品の製造コストを低減できると同時に生産
性を高めることが可能である。
また従来のように表面異常組織を除去するためのラッピ
ング等の表面加工を行う必要がなく、浸炭処理後の焼入
れ速度を大きくせずに異常組織の発生を抑制することが
できるため、熱処理歪の発生を極力低減することが可能
であり、各種浸炭用部品を高品質で且つ高疲労強度を持
つ部品として得ることができ、その産業上の効果は極め
て顕著なものがある。
ング等の表面加工を行う必要がなく、浸炭処理後の焼入
れ速度を大きくせずに異常組織の発生を抑制することが
できるため、熱処理歪の発生を極力低減することが可能
であり、各種浸炭用部品を高品質で且つ高疲労強度を持
つ部品として得ることができ、その産業上の効果は極め
て顕著なものがある。
Claims (2)
- 【請求項1】重量%で、 C:0.1%以上0.3%未満、 Si:0.1%未満、 Mn:0.9%以上2.00%未満、 Cr:0.80%以上1.20%未満、 V:0.07%以上0.20%未満、かつ Ni:2.0%未満、および Mo:0.45%未満の1種または2種、 残部がFeおよび不純物よりなり、かつ焼入れ性DI′(m
m)が次の関係式を満足することを特徴とする疲労強度
の優れた浸炭用鋼。 関係式: DI′(mm)≧51・等価丸棒径(φmm)0.65−163 ただし、DI′=DIC×FMn×FCrでC,Mn,Crの理想臨界直
径、 そしてDICは基本焼入れ性、またFMn,FCrは各元素の焼入
れ性倍数で、AISIの規定で定められた計算値である。 φ=(等価丸棒径mm) ただし 等価丸棒径φ(mm)は 丸棒に類似した形状の場合;φ=丸棒の直径、 板に類似した形状の場合;φ=板厚/0.72、 角棒に類似した形状の場合;φ=板厚/0.90 - 【請求項2】重量%で、 P:0.010%未満、 O:0.0020%未満 を含有することを特徴とする請求項1記載の疲労強度の
優れた浸炭用鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1029676A JPH0759733B2 (ja) | 1989-02-10 | 1989-02-10 | 浸炭用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1029676A JPH0759733B2 (ja) | 1989-02-10 | 1989-02-10 | 浸炭用鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02209450A JPH02209450A (ja) | 1990-08-20 |
JPH0759733B2 true JPH0759733B2 (ja) | 1995-06-28 |
Family
ID=12282716
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1029676A Expired - Lifetime JPH0759733B2 (ja) | 1989-02-10 | 1989-02-10 | 浸炭用鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0759733B2 (ja) |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59182952A (ja) * | 1983-04-01 | 1984-10-17 | Daido Steel Co Ltd | はだ焼鋼 |
JPH07828B2 (ja) * | 1984-10-26 | 1995-01-11 | 大同特殊鋼株式会社 | 浸炭部品 |
JPS6254064A (ja) * | 1985-09-02 | 1987-03-09 | Aichi Steel Works Ltd | 高品質肌焼鋼の製造法 |
-
1989
- 1989-02-10 JP JP1029676A patent/JPH0759733B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JPH02209450A (ja) | 1990-08-20 |
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