JPH0759184B2 - 梅ワインの製造法 - Google Patents

梅ワインの製造法

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JPH0759184B2 JP16284986A JP16284986A JPH0759184B2 JP H0759184 B2 JPH0759184 B2 JP H0759184B2 JP 16284986 A JP16284986 A JP 16284986A JP 16284986 A JP16284986 A JP 16284986A JP H0759184 B2 JPH0759184 B2 JP H0759184B2
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英雄 永井
英五郎 中沢
淑 吉沢
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Hakutsuru Sake Brewing Co Ltd
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Hakutsuru Sake Brewing Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は梅果実から香りの良い果汁を効率良く抽出
し、酵母により醗酵させる梅果実酒の製造法に関するも
のである。
背景 梅は主成分としてクエン酸、リンゴ酸等の有機酸、及び
ミネラル、ビタミン等の有用な栄養成分を豊富に含み、
古来より優れた健康食品として広く用いられてきた。
梅を用いたアルコール飲料としては、リキュール類に属
する梅酒が最も有名であり、香味共に優れた商品として
市販されている。しかし、梅果実もしくは梅果汁そのも
のを醗酵させたアルコール飲料としては2,3のものが散
見される程度であり、しかもすべて砂糖や香料等を使用
し、香味を改善したもので酒税法上、甘味果実酒に属す
るものである。
従来の技術 果実酒の属する「梅ワイン」を製造する方法としては、
梅果実を搾汁し得られる果汁に糖分を糖濃度26wt/v%以
下になるよう添加した後、酵母で醗酵させる方法があ
る。しかし、この方法では搾汁率が60〜70%と悪く、コ
ストが高くなる他、果汁の滴定酸度が50〜65と非常に高
いため、得られる製品の滴定酸度も35〜48と著しく酸味
の強いものとなる。本発明者らは酵母の種類、醗酵条件
或いはSchizosaccharomyces pombeによる後醗酵(マロ
アルコリック醗酵)等製品の滴定酸度を低くするための
方法について数多くの実験を繰り返したが、滴定酸度を
35以下にすることはできず飲用に適するものにはならな
かった。従って、梅果汁100%のままで「梅ワイン」を
製造するためには梅果汁を限外濾過、イオン交換処理、
カセイソーダもしくはアンモニア等のアルカリ水溶液に
よる中和等の方法により除酸しなくてはならない。これ
らの方法のうちではイオン交換処理を行ったものが最も
良い結果であったが、なお香味の点で満足のいくもので
はなかった。又、梅果実を糖液或いは蜂蜜等で浸透圧抽
出を行った特許(公開 昭60−199378)も出されている
が、本発明者らが追試験を行った結果、醗酵時に窒素源
もしくはその他の栄養源不足等の理由で健全な醗酵が行
われず、所謂酵母臭等異臭が発生し、飲用に適したもの
は得られなかった。
本発明が解決しようとする問題点 梅を用いたアルコール飲料を製造する場合、用いる梅の
品質とその果汁を得る方法が製品の香りに大きな影響を
与える。過熱した梅では梅の持つ爽やかな香りが失わ
れ、青梅或いは適熟梅でも果汁を直接搾ると青臭い臭い
となる。又、前述したように梅果汁と砂糖や蜂蜜のみで
は窒素源等栄養源が不足し、酵母による健全な醗酵は望
めない。
そこで、以上のことから爽やかな香りの梅ワインを得る
ためには、青梅或いは適熟梅から濃縮果汁による浸透圧
差で果汁を抽出し、その豊富な栄養源で健全な醗酵を行
わせる必要がある。
問題を解決するための手段 今回、発明者らが目的としたのは、青梅や適熟梅の非常
に爽やかな香りを持ち、酵母による健全な醗酵が行われ
る原料果汁を調整すると共に、醗酵工程においても、そ
の爽やかな香りが変化することなく最終製品に残存する
醗酵条件を見い出すことである。
そこで、本発明者らは梅果実より果汁を抽出し得る浸透
圧を持つ果汁を種々用い、検討を加えた結果、濃縮ブド
ウ果汁を用いた場合が最も良い結果が得られ、本発明を
完成するに至った。勿論、糖濃度が30wt/v%以上ある果
汁であれば林檎、蜜柑、キーウイフルーツ等でも良く、
果物の種類は問わない。
これらの濃縮果汁で梅果汁を浸透圧抽出すると効率良く
果汁を抽出し得ると共に梅果汁の持つ爽やかな香りのみ
を原料果汁に移行させ得た。又、濃縮果汁は梅搾汁に比
べて窒素源、ビタミン、ミネラル等栄養源の含量が高い
ため、本法を用いると、栄養源の補添を行わず健全な醗
酵が行われることが明らかになった。
なお、梅果実の種子を砕き醗酵醪中に少量添加すると、
酵母への栄養源の供給がより完全になると共に梅果実の
香りをより強く最終製品に残すことができ、嗜好性の高
い製品を造り得ることをも見い出した。以下実施例によ
り従来行われてきた方法に比べ、著しく嗜好性の高い梅
ワインが得られることを説明する。
(実施例) 青梅或いは適熟梅3kgを水でよく洗浄後水切りを行い、
表皮に傷をつけ、白ワイン用3倍濃縮果汁(スペイン
産、糖分85wt/v%)2.3lに浸漬し、時々攪拌しながら15
℃に2ケ月間放置した。抽出完了後、梅果汁を分離し、
再度上記濃縮ブドウ果汁2lに浸漬し、15℃に2ケ月間放
置した。抽出完了後、1回目及び2回目の抽出液を混合
し、糖分が26wt/v%以下になるように水で稀釈した。稀
釈後の梅果汁含有ブドウ果汁の成分を表−1に示す。
該果汁300mlに培養酵母を湿菌体濃度で、1g/lとなるよ
うに添加し、25℃で3日間馴養した。馴養酵母を遠心分
離し、再度該果汁300mlに湿菌体濃度で1g/lとなるよう
添加し、15℃で5日間馴養した。2回馴養した酵母けん
濁液を酒母とし、これに該果汁2lを添加、15℃、10日間
本醗酵を行った。醗酵後表−2に示す成分の香味共に優
れた製品が得られた。なお、馴養を行わない酵母を用い
ても醗酵は可能であるが、嗜好性が著しく劣る製品とな
り、ここで述べたごとく最低2回位の馴養は必要であ
る。
なお、本醗酵時、梅種子を小量砕いて醪中に添加する
と、より良い香りの製品が得られた。これは主として梅
自身の持つ香気成分自体が増強される事と、醪中に欠乏
しがちな窒素源の補強によるものと考えられる。
又、前記のように馴養した酵母をkーカラギーナン或い
はアルギン酸カルシウム等の固定化担体を用い常法に従
って固定化した後、稀釈後の果汁で3〜4日間馴養し、
バッチ或いはカラムリアクターで本醗酵させた。その結
果、固定化酵母を用いた方がエステル価の高い香味の優
れたものが得られた。
本発明品の官能特性を知るために前述した各種の方法に
より得た製品3種、及び白ワイン(市販品)1に青梅
より搾汁して得た果汁70mlを加えたものの計4サンプル
を用い、習熟したパネル20名に好ましい製品を2点選出
させる官能検査を行った結果、表−3に示す通り固定化
酵母を用い醪中に砕いた梅種子を加えバッチで醗酵させ
たものが最も好まれ、本発明が特に優れた官能特性を有
することが判明した。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】梅果実を糖濃度30〜90wt/v%の濃縮果汁に
    浸漬し、得られた梅果汁含有濃縮果汁を糖濃度26wt/v%
    以下になるように希釈した後、酵母で醗酵させることを
    特徴とする梅果実酒の製造法。
  2. 【請求項2】上記醗酵過程において、梅果実の種子をそ
    のままあるいは砕いて醪重量の0.01〜15wt/v%量添加
    し、醗酵させる特許請求の範囲第1項記載の梅果実酒の
    製造法。
  3. 【請求項3】固定化酵母を用い醗酵させることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項記載の梅果実酒製造法。
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