JPH0759122B2 - 電気車制御装置 - Google Patents

電気車制御装置

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JPH0759122B2
JPH0759122B2 JP32826990A JP32826990A JPH0759122B2 JP H0759122 B2 JPH0759122 B2 JP H0759122B2 JP 32826990 A JP32826990 A JP 32826990A JP 32826990 A JP32826990 A JP 32826990A JP H0759122 B2 JPH0759122 B2 JP H0759122B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、可変電圧可変周波数インバータ(以下VVVFイ
ンバータという)駆動の電気車、いわゆるVVVFインバー
タ車,チョッパ車のように引張力および制動力を連続的
に制御可能な電気車における粘着性能が改善された電気
車制御装置に関するものである。
〔従来の技術〕
電気車の粘着性能を改善するための方式として第7図に
示すものが知られている。第7図は従来の典型的な再粘
着制御方式を採用したVVVFインバータシステムの制御回
路を示したものである。
第7図において1は電気車であり、車両1台分を表して
いる。101はインバータ装置あるいはチョッパ装置のよ
うに主電動機の駆動トルクを連続的に制御できる装置で
ある。以下では、特にインバータ装置として説明する。
2A,2B,2C,2D(以下2A〜2Dのように表す)は誘導電動機
であり、3A〜3Dは誘導電動機2A〜2Dにそれぞれ対応する
英字が示す動輪である。4A〜4Dは同様に対応する英字が
示す電動機回転速度検出器であり、本例ではパルスジェ
ネレータ(PG)を示し、電動機の回転速度に比例する周
波数のパルス列を発生するものである。また、5A〜5Dは
対応する英字が示す電動機回転周波数演算手段であり、
各PG信号を各電動機の回転周波数FMA〜FMDに変換する。
さらに、7A〜7Dは微分器であり、各電動機回転周波数を
入力としてその時間微分MAMDを出力するものであ
る。108は電動機周波数選択手段で、同一のインバータ1
01により駆動される電動機群の周波数制御を行うための
基準となる電動機周波数を決定するものである。基準の
電動機周波数を選択するアルゴリズムとしては、予め決
められた電動機の周波数に固定する方法(力行時あるい
は制動時において、最も空転しにくい軸のPG信号から電
動機周波数を求める方法),動的に切り換える方法(力
行時には各電動機周波数の最小値とし、制動時には各電
動機周波数の最大値とする方法)などがある。
電動機周波数選択手段108の出力は基準となる電動機周
波数FMであり、後述するすべり周波数指令FS と加算点
109にて加算され、インバータ周波数指令FIとなる。ま
た、電動機群に電圧/周波数比が一定の交流を供給する
ために、V/F比器110によりインバータ周波数指令FI
(V/F)比を掛けた値をインバータ出力電圧値とし、そ
の値を除算器111によってフイルタコンデンサ電圧検出
値VFCで割り、さらに一次遅れフイルタ112を介した値を
変圧率指令αとする。一次遅れフイルタ112は安定化の
ために設けられたものである。
インバータ101は、インバータ周波数指令fIに適したス
イッチング周波数をもつキャリアと、変圧率指令αに対
応する振幅をもった三相正弦波信号との交点を求めるこ
とにより、スイッチングタイミングを求め、パルス幅変
調を行い三相交流を各電動機に印加するものである。
トルク電流パターン発生手段104は、加速・制動を目的
とする運転士からのノッチ指令と、車両の荷重を検出す
る応荷重装置からの信号とにより、所要加速度に見合う
電動機トルクに比例した電流パターンを生成する。以
下、電動機トルクに比例する有効電流をトルク電流と呼
ぶことにする。
トルク電流パターンIpとトルク電流の検出値IIとの偏差
が電流制御手段107に入力され、この電流制御手段107の
出力がすべり周波数指令FS となる。
113は空転検知手段であり、空転検知手段113は微分器6A
〜6Dの出力である電動機周波数微分MAMDの最大値
が所定値を越えた時点で、コンパレータ手段114を駆動
する。このコンパレータ114は一定時間Tの遅れをもっ
たオンオフ信号発生手段であり、コンパレータ状態が変
化しかつその状態が一定時間T保持されたならば、空転
検知信号SLIPをオン状態にする。また再粘着制御が行わ
れ、電動機周波数微分の最大値が前述の所定値を下回
り、その状態が一定時間T保持されたならば、空転検知
信号SLIPをオフ状態に戻す。ここで遅れ時間Tは、電動
機周波数微分に混入するノイズによる誤検知を回避する
ために設けられたものである。
115はトルク電流修正パターン発生手段であり、空転検
知信号SLIPに対応してトルク電流修正パターンIp′を生
成する。トルク電流修正パターン発生手段114は空転検
知信号SLIPがオン状態となると、トルク電流修正パター
ンを急峻な勾配で増加させ、空転が終了し空転検知信号
SLIPがオフ状態となると、トルク電流修正パターンを緩
慢な勾配で減少させる。
トルク電流パターンIpは加算点105においてトルク電流
修正パターンが減算され、トルク電流指令II となる。
したがって、空転発生と判断すると電動機トルクを急速
に絞り込み、また再粘着したと判断すると、電動機トル
クを徐々に増加させる処理が行われる。
102は実効電流検出手段であり、電流センサにより電動
機群の各相電流を検出し実効電流を演算するものであ
る。また103はトルク電流演算手段であり、実効電流検
出手段102の出力である実効電流値IMとインバータの出
力電圧位相θとからトルク電流IIを演算するものであ
る。
本例では、トルク電流パターンを絞り込む方式を示し
た。この他にもすべり周波数を直接絞り込む方式等様々
な再粘着制御方式が提案されているが、空転量が所定値
以上・以下という二つの状態で制御を切り替えると言う
意味では、上記例と本質的に同じものとなっている。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の粘着制御方式は空転,滑走が実際に発生し、それ
が所定値を超過しかつ所定時間経過しないと作用しない
ものであり、電動機トルクの修正量も予め設定された固
定値を用いるものであって、空転の度合いに応じたもの
ではない。また、電動機トルクの修正方法は減少,増加
を反復するものであって、連続的に電動機トルクを調整
し得るVVVFインバータ車あるいはチョッパ車の特性を充
分に活用したものとは言えない。
なお、本出願人は先に特願平2−248056号「電気車制御
装置」を提案している。
一般に、粘着力の特性をモデル化する立場として、差速
度−粘着力とするものと、すべり率−粘着力とするもの
がある。先の提案は前者の立場をとったものであり、本
発明は後者の立場をとったものである。
粘着制御方式を構成する上では、現実の粘着現象をより
忠実に表現するモデルに基づくべきであり、文献(大
山:“粘着力の科学",RRR,鉄道総合技術研究所,1987,7,
p15〜p20)等で示されている様に、粘着力の特性はすべ
り率−粘着力として表現した方が適切であると言える。
そこで、本発明は粘着力の特性をすべり率−粘着力の関
係でモデル化する立場をとり、ファジィ推論の前件部変
数としてすべり率微分を採用することにしたものであ
る。
さて、第8図は動輪とレールとの間におけるすべり率と
粘着力との関係(以下粘着特性と呼ぶ)を示したもので
ある。ここで、すべり率とは動輪周速度と対地車速度の
差速度を動輪周速度で割った値を言い、次式で定義され
る。
λ=(VM−VO)/VM …(1) 上式でVOは対地車速度、VMは動輪周速度を表す。また動
輪周速度と対地車速度との差速度はクリープ速度と呼ば
れ、VSで表し、 VS=VM−VO …(2) で定義される。
粘着力は周知のように軸重に比例するが、第8図に示す
ように、すべり率の小さい範囲ではすべり率にもほぼ比
例する。ある時点でのすべり率と粘着力の値から粘着特
性上の位置が定まるが、これを動作点と呼ぶことにす
る。
いま、粘着力をF、電動機から動輪に伝達される駆動力
(以下、動輪周駆動力と呼ぶ)をFFM、電動機回転子,
減速ギヤおよび動輪等の回転慣性系を加速する回転系駆
動力(以下単に回転系駆動力と呼ぶ)をFFRとすると、
次式が成り立つ。
FFM=F+FFR …(3) 上式は、粘着力と回転系駆動力との和が動輪周駆動力で
あり、粘着力が車体の加速に寄与する分力であることを
示している。
粘着力Fには上限値FOがあり、これを粘着限界と称して
いる。動輪周駆動力が加えられていない状態(静止状態
または惰行状態)では動作点は原点にあり、動輪周駆動
力を加えるに従って粘着特性の左側の斜面を登ってい
く。そして、あるすべり率λにおいて粘着力が最大値
FOとなる点Pに到達する。さらに動輪周駆動力を増やし
続けると、粘着特性の右側の斜面を下り始め粘着力Fが
減少するので、式(3)から分かるように、回転系駆動
力FRが増加し動輪の回転速度が急増することとなる。こ
の現象がいわゆる空転である。粘着力の限界点Pよりも
すべり率の小さな領域をクリープ領域、大きな領域を空
転領域と呼ぶことにする。
粘着特性は、天候やレール面の状態によって変動するこ
とが知られているが、一般的な傾向として、乾燥状態で
は、第8図のように粘着力の上限値FOが大きく、FOを与
えるすべり率が小さく、一方、湿潤状態では第9図のよ
うに粘着力の上限値FOが低下するとともに全体として平
坦な特性になる。
通常、乾燥状態における粘着力の上限値FOより低い粘着
力で走行できるトルク電流パターンが設定されるので、
乾燥時にはクリープ領域における安定な走行が可能であ
る。ところが、降雨やレール面の油・汚れなどが原因
で、第9図のように、粘着力上限値FOが所要粘着力より
も低くなる場合があり、通常の動輪周駆動力を加えた場
合においても、動作点は上限値FOを与える点Pを通り過
ぎ、空転領域に入り込むこととなる。
そして、空転検知を用いた従来の再粘着制御方式は、こ
の空転領域に入ってからbの矢印方向に動作点を戻すよ
うに動輪周駆動力を急減し、動作点をクリープ領域に引
き戻す。そして、再粘着と判断した時点で、動輪周駆動
力を除々に増加させるが、このとき動作点はaの矢印方
向に移行して、再び点Pを通過し空転領域に入り込む。
以降、点Pを中心に左右に往復する動作を繰り返すもの
となる。
さらに、空転時にこのように電動機トルクの修正をオン
オフ的に反復することは台車の捻り共振系を励振する原
因となり、振動の発生、乗り心地の悪化等が問題とされ
ていた。
〔課題を解決するための手段〕
第1図は本発明の基本技術思想の理解を容易にするため
示したものである。すなわち、本発明はその原理上、フ
ァジィ推論の持つ長所を最適に活用して実現できるもの
であり、これを第1図詳細説明に入る前に説明する。
フアジィ制御によると、複雑で解析的に解けない制御系
でも、熟練者のノウハウあるいは種々の状態に対してど
のように操作すべきかという知識があれば、これを制御
則として言語表現し、if then形式の推論を用いて操作
量を求めることができる。前述のように、粘着特性は種
々の要因(既設,天候,レール面の油・汚れ,勾配,曲
線通過)により確率的に変動するものであり、数式によ
るモデル化は困難と言ってよい。そこで、観測可能な状
態量から、粘着特性の局所情報を推定し、どのように電
動機トルクの制御を行えば粘着力を最大値に利用できる
かという知識を用いて、フアジィ制御系を構成すること
が有効となる。
つぎに、フアジィ推論ブロックの入力となる前件部変数
の演算方法について説明する。本発明におけるフアジィ
推論の前件部変数としては、すべり率λの時間微分,
粘着力微分およびクリープ速度VSを用いるが、すべり
率微分は式(1)を微分することにより容易に得ら
れ、また、クリープ速度VSは式(2)により求められる
ので、以下では粘着力微分の演算方法についてのみ説
明を行うことにする。
さて、電動機から駆動装置のピニオンへ至る継手の捻
り、歯車装置のギヤのバックラッシュ、動輪軸の捻り等
を無視すれば、前記式(3)における電動機から動輪に
伝達される動輪周駆動力FFMおよび回転系駆動力FFRは次
式で近似することができる。
ここで、Zは電動機から動輪への減速比、rは動輪半
径、Jは回転慣性系の全慣性モーメント(動輪への換算
値)、KMは電動機トルク定数、IIは電動機1台当りのト
ルク電流である。また、動輪周速度VMは、電動機周波数
FMに比例するものとして、 FM=KO・FM …(6) を用いることができる。ただし、比例係数KOであり、ここでPは誘導電動機の極対数を表す。
式(4),(5)および式(2)から粘着力Fは、つぎ
のようになる。
ここで、 とおけば、式(7)は、 =K1II−K2 MM …(10) と書くことができる。したがって粘着力微分は、式(1
0)を微分することにより、 =K1 −K2 …(10′) で与えられる。
つぎにまた、フアジィ制御則の詳細について説明する。
フアジィ制御則は一例としてすべり率微分と、粘着力
微分との状態に応じてトルク電流修正パターン微分
′を出力する第1のルール群と、緩慢な速度で徐々に
大きな空転へと成長する場合に対する歯止めとして、ク
リープ速度の大きさにより電流修正パターン微分
を出力する第2のルール群との複合形式で記述すること
ができる。
まず、第1のルール群について説明する。
ここでは、 「すべり率が正で大きく、 粘着力微分が負で大きければ、 トルク電流指令を大きく減らせ」 で示すように、すべり率微分、粘着力微分およびト
ルク電流修正パターン微分′のある範囲をそれぞれ
第2図,第3図,第4図のメンバーシップ関数を使い、
正負,大小の関係を言語表現で表す。この表現は、つぎ
のようなフアジィラベルを用いる。
PB 正で大きい PS 正で小さい ZO 零に近い NS 負で(絶対値が)小さい NB 負で(絶対値が)大きい これにより前述の例は、 if=PB and=NB then′=PB と表せる。
ここで、(′=PB)と正の値になるのは前述の第7
図と同様、第1図においてはトルク電流パターンの修正
を減算表現で行うためである。
また、メンバーシップ関数は、第2図〜第4図のように
三角形を使って表現できる。
いま、すべり率微分として〔+0.32〕なる値が検出
されたとすると、第2図に示されるように、(=PS)
である適合度が0.6、(=PB)である適合度が0.4、他
のフアジィラベルへの適合度は0となる。
同様に、粘着力微分についても測定値が検出される
と、二つのフアジィラベルに対する適合度が確定する。
ここで、各入力値のどの程度の値をPBとし、NSとするか
等については設計者の裁量に委ねることができる。
さらに、第1表によりフアジィ制御則(以下、単に制御
則と呼ぶ)を定義できる。ただし、簡単化するため車両
は一方向のみ(λ≧0)の力行運転で考える。
そして第1図においては、フアジィ推論ブロック26はこ
のような制御則とフアジィ推論部を含むものである。
ここでは、入力およびから出力′を得る方法は
max−min合成・重心計算法と呼ばれる公知の方法である
ので、これがフアジィ推論ブロック26に含まれているこ
とを指摘するにとどめる。
つぎに、クリープ速度VSをフアジィ推論に利用する第2
のルール群の目的と方法につき説明する。
第5図はレール面が降雨の初期あるいは結露等により、
非常にすべり易い状態での粘着特性を示したものであ
る。この場合は、前述の第8図、第9図に示した粘着限
界点Pが明確でなく、殆ど平坦な傾向を示す場合であ
る。そして動作点が平坦領域に入り込むと、粘着力の変
化が殆どなくなり、(=ZO)となる。ここでクリープ
速度が緩慢に成長すると、すべり率の変化も殆どないた
め(=ZO)となり、制御則表からフアジィ推論は殆ど
零を出力することになり、現状のトルク電流指令を保持
することになる。その結果、クリープ速度は際限なく増
加する状態となる。クリープ速度が大きくなると、レー
ルと動輪のキシリ音,台車振動等が発生し、保守上の問
題を生じると同時に乗り心地をも損なうことになる。
この欠点を克服するためにクリープ速度の評価を取り入
れ、前述の制御則に対するバックアップとする。クリー
プ速度についての制御則はつぎのようなものである。
if VS=PS then′=PS if VS=PB then′=PB また、これらに対するメンバーシップ関数を第6図に示
す。
第6図からわかるように、クリープ速度が5km/h以下で
は、(VS=PS)である適合度、(VS=PB)である適合度
ともに0となり、この制御則による出力、すなわちトル
ク電流修正パターン微分′は零となる。また、クリ
ープ速度が増加し、5km/h以上となると、クリープ速度
の大きさに応じて出力を増加させるという制御則となっ
ている。
すべり率でなくクリープ速度を制限する理由は、レール
と動輪のキシリ音,台車振動発生の原因となるのはクリ
ープ速度そのものの増大であって、これを抑制するため
にはすべり率でなく、クリープ速度自体を評価する必要
があるからである。
ここで、この制御則の追加によりフアジィ推論は形式的
に3入力となるが、クリープ速度VSに関する制御則は入
力がVSのみなので、それ自身の適合度が出力′への
適合度と等しくなる。したがってこの適合度から得られ
る結果を、前述のすべり率微分と粘着力微分を用いたma
x−min合成演算に加えるのみでよい。これにより前述の
第1のルール群と、ここで述べた第2のルール群とが並
列に評価される。すなわち、すべり率微分,粘着力微分
およびクリープ速度の各値に応じて、各制御則の作用が
合成され、最適なトルク電流修正パターンが得られるこ
とになる。
つぎにまた、第1図を詳細に説明する。第1図におい
て、第7図と同符号のものは同一機能を有する部分を示
す。
PG4A〜4Dの出力はそれぞれ電動機周波数演算手段5A〜5D
により各軸の電動機回転周波数に変換され、さらに動輪
周速度演算手段7A〜7Dにより動輪周速度換算値(以下簡
単のため、単に動輪周速度と呼ぶ)VA〜VDに変換され
る。図中のKOは、前記式(6)で定義したものである。
21は対地車速度検出手段であり、本例では従輪19に取り
付けられたPG20の信号から演算する方式を示したが、特
にこの方法に限るものではない。動輪周速度VA〜VDは、
加算点8A〜8Dにおいて対地車速度VOを減算し、その結果
を除算器9A〜9DによりVA〜VDで割り、すべり率を求め
る。すなわち、前記式(1)にしたがって各軸のすべり
率の演算を行う。ここで除算器9A〜9Dは、除数であるVA
〜VOが非常に小さい値となる場合すなわち低速の期間で
は除算を行わず、すべり率を強制的に0とする処理を含
むものとする。さらに、各軸のすべり率を微分手段10A
〜10Dにより微分し、すべり率の時間微分 を求
める。
11は基準軸選択手段であり、後段のフアジィ推論ブロッ
クの入力となるすべり率微分と粘着力微分としてどの軸
の値を用いるかを決定するもので、各軸のすべり率微分
の絶対値を比較し最も大きい軸を選択する機能をもち、
基準軸選択信号を出力するものである。12は動輪周速度
選択手段であり、基準軸選択手段11からの基準軸選択信
号に対応して動輪周速度VA〜VDのいずれかを動輪周速度
の代表値VMとして出力する。動輪周速度の代表値VMは、
加算点13において対地車速度VOが減算され、除算器14に
よってすべり率λに変換される。ここでの演算は前述の
すべり率演算方法と同一のものであり、除算器14の機能
は前述の除算器9A〜9Dの機能と同じものである。さら
に、微分手段15を介して、すべり率の時間微分とな
る。
ここで微分手段10A〜10Dおよび微分手段15は、動輪の回
転を表現するのに十分な低周波域での微分を行うもので
よく、高周波ノイズに対して減衰のよい二次遅れフイル
タと一体化されている。
一方、加算点22A〜22Dでは各軸の動輪周速度VA〜VDと対
地車速度信号VOとの差として各軸のクリープ速度VSA〜V
SDが演算され、ローパスフイルタ23A〜23Dを介してクリ
ープ速度選択手段24に入力される。クリープ速度選択手
段24は、クリープ速度の最大値を出力するものである。
またトルク電流演算手段103の出力であるトルク電流II
は微分手段17を介して加算点18に加えられる。さらにま
た、動輪周速度の代表値VMは二次微分手段16に与えら
れ、加算点18で減算される。すなわち、式(10′)に従
って粘着力微分の演算を行う。微分手段17および二次微
分手段16のゲインK1、K2は式(6)に示したものであ
る。そして微分手段17,二次微分手段16は、前述の微分
手段15と同様に低周波分に対して微分動作をすればよ
く、高周波ノイズに対して遮断特性のよい二次遅れフイ
ルタと一体化されている。
ここでフイルタ定数ω1〜ω4,ξ1〜ξ4は、微分ある
いは二次微分により増幅される高周波ノイズを充分に減
衰させるとともに、動輪周速度,対地車速度に対して位
相遅れがなるべく小さくなるように選べばよい。また、
フイルタとして二次遅れフイルタを用いているが、同様
な特性をもつものであれば特にこれに限定されるもので
はない。
かくの如き演算で求められたすべり率微分、粘着力微
分およびクリープ速度VSはそれぞれ正規化手段25X〜2
5Zにより正規化され、フアジィ推論ブロックの入力とな
る。正規化とは、第2図〜第4図および第6図で定義し
たメンバーシップ関数の定義された領域をある基準の範
囲(例えば〔−1,+1〕)になるようにスケーリングを
行うことであり、これにより同一形状のメンバーシップ
関数を共用できることになる。
フアジィ推論ブロック26の出力である時々刻々のトルク
電流指令修正パターン微分′は疑似積分手段27によ
り積分され、トルク電流修正パターン′として、第
7図説明のトルク電流指令パターン発生手段が生成した
トルク電流パターンIp加算点105′で加えられ、以下第
7図と同様にインバータの周波数、電圧抑制を行うこと
となる。
フアジィ制御系の構成として、フアジィ推論ブロックの
後段に完全積分器を設けるものが多く、一般にフアジィ
PI制御系などと呼ばれている。
本発明では、完全積分ではなく、次に示すような疑似積
分を用いた。これは、フアジィ推論の前件部変数に重畳
するノイズによる影響が完全積分によって蓄積・保持さ
れ、必要以上に大きなトルク電流修正パターンを出力す
るのを防止するためであり、フアジィ推論ブロックの出
力が零となった状態で、トルク電流修正パターンを徐々
に減少させるものがよい。疑似積分手段27はこのような
特性を持つものであり、一例として、 で表される一次遅れを用いることができる。ここで、時
定数τとしては比較的長い(数秒のオーダ)ものを用い
る。さらに疑似積分手段27は、その疑似積分値の上限値
をトルク電流パターンIPとし、下限値を零とするリミッ
タ機能を兼ね備えたものとなっており、トルク電流指令
II がトルク電流パターンIp以上の値になること、およ
び零以下の値になることを禁止している。
〔作 用〕
第1図に示される各手段、特にフアジィ推論ブロック26
について先に示した粘着特性の第8図,第9図および制
御則の表と関連させて説明する。なお第1表において
〜は、それぞれ点線で囲まれた領域を表すものとす
る。
通常の粘着状態では、第8図において動作点は点Pより
左側にあり、λ以下のすべり率で動輪周駆動力を発生
する。このとき、クリープ速度は小さな値となるので、
第6図のメンバーシップ関数からわかるように、(VS
PS)である適合度,(VS=PB)である適合度とともに0
となり、クリープ速度による第2のルール群は作用しな
いようになっている。
さて、降雨等により粘着力が低下して第9図に示すよう
な粘着特性になったとする。このときは点P近傍にて運
転することが理想となる。
いま、粘着力が低下すると空転が発生し、λが増加して
矢印dの方向に動作点が移ろうとする。
このとき(>O),(<O)となるため、制御則の
表においてはで示される部分が対応し、(′=P
S)または(′=PB)であるから、電動機トルクを
減少させて矢印bの方向へ戻すよう作用する。
すなわち、制御則表中のの部分にある if=PS and=NS then′=PS if=PS and=NB then′=PB if=PB and=NS then′=PB if=PB and=NB then′=PB 等の制御則が、の値に応じて使われる。
さらに矢印bのモードに移行すると、(<O),(
>O)となり、制御則表ので示された部分の制御則が
作用し、(′=NS)すなわちトルク電流指令を少し
増すよう作用する。これは、実際に電動機トルクが増し
て動輪周駆動力が再び増加に転じる迄の遅れが見込まれ
た経験的な制御則である。これにより、動作点が点Pを
通り越して矢印Cの領域に入り込まず、点P近傍でバラ
ンスするような作用を促進できる。
つぎに、動作点が点Pを通り越してクリープ領域内に戻
り、矢印Cの方向に移行している場合は、(<O),
(<O)となるため、制御則表中で示された部分の
制御則が対応し、(′=NS)または(′=NB)
すなわちトルク指令を増すよう作用する。これにより電
動機トルクが増加し、動作点は矢印aが示す方向へ移行
する。
動作点が矢印aの状態にある場合は、(>O),(
>O)であるから、制御則表中で示された部分の制御
則が対応し、(′=NS)すなわちトルク電流指令を
少し増やすよう作用し、点Pに到達すべく電動機トルク
を徐々に増加させる。
粘着力限界点Pは時々刻々変動するため、制御系は前述
のモードを反復し、点Pを常に追跡するように作動す
る。粘着力が一定の値に安定すれば、制御則表のほぼ中
央近傍に平衡し、動作点を点P近傍に安定することがで
きる。
また、第6図に示したような平坦な粘着特性を示す状態
では、すべり率微分が小さな値となるため、クリープ速
度の緩慢な成長を捉えきれずクリープ速度が徐々に増え
ることになるが、この場合はクリープ速度の評価による
第2のルール群により、クリープ速度はある値以内に制
限され、クリープ速度の制限内での最大の粘着力が得ら
れるようにトルク電流の修正を行うこととなる。
〔実 施 例〕
具体的には第1図に示した制御ブロック図の部分を全デ
ィジタル化したものとすることができる。
すなわち、16ビットDSP(ディジタルシグナルプロセッ
サ)等の採用により実現することができる。本例におい
て速度検出器としてPGを用いているので、速度検出につ
いてはディジタル演算が可能である。また、実効電流検
出手段102内部において、電流検出値をA/D変換器により
ディジタル化することによって、次段への信号は全てデ
ィジタル演算で処理することができる。
さらに、正規化手段25X〜25Zは各入力を29ステップに量
子化することを兼ねたものである。したがって、フアジ
ィ推論ブロック26に含まれるメンバーシップ関数は0か
ら1に至る勾配をステップで近似した階段波形として実
現できる。また、加算点105′以降のインバータ制御部
は別のマイクロプロセッサを用いたディジタル制御系で
あるが、より高速,高ビット数のマイクロプロセッサを
用いれば、DSPで構成したフアジィ制御部を包含するこ
とも可能である。
〔発明の効果〕
以上詳述したように、フアジィ制御手法と粘着に関する
情報を組み合わせることにより、数学的な情報処理手法
と設計者による知識等の長所を格別に兼備した制御系を
実現できる。
このように本発明によれば、従来の空転検知に基づく再
粘着法によるオンオフ的に反復する問題点を除去し、ト
ルクを連続的に変化させるインバータ等を効用し得るも
のである。よって、オンオフ動作により生じる平均加速
度の低下を解消するものであり、台車系の振動を励振す
る可能性を低減し、ひいては乗り心地の向上をもたらす
実用効果は極めて顕著である。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本技術思想の理解を容易にするため
示した粘着制御システム例のブロック図、第2図,第3
図および第4図はそれぞれすべり率微分,粘着力微分お
よびトルク電流修正パターン微分のメンバーシップ関数
を示す図、第5図はすべり易い状態での平坦な粘着特性
を示す図、第6図はクリープ速度のメンバーシップ関数
を示す図である。第7図は従来の再粘着制御を用いたVV
VFインバータの制御回路を示すブロック図、第8図は乾
燥時での粘着特性を示す図、第9図は湿潤状態にあると
きの粘着特性を示す図である。 1……電気車、101……インバータ装置、2A〜2D……誘
導電動機、3A〜3D……動輪、4A〜4D,20……電動機速度
検出器(PG)、5A〜5D……電動機周波数演算手段、6A〜
6D……微分器、7A〜7D……動輪周速度演算手段、9A〜9
D,14……除算器、10A〜10D,15,17……微分手段、11……
基準軸選択手段、12……動輪周速度選択手段、16……二
次微分手段、19……従輪、21……対地車速度演算手段、
23A〜23D……ローパスフイルタ、24……クリーブ速度選
択手段、25X,25Y,25Z……正規化手段、26……フアジィ
推論ブロック、27……疑似積分手段、102……実効電流
検出手段、103……トルク電流演算手段、104……トルク
電流パターン発生手段、107……電流制御手段、108……
電動機周波数選択手段、111……除算器、110……V/f比
器、112……一次遅れフイルタ、113……空転検知手段、
114……コンパレータ手段、115……トルク電流修正パタ
ーン発生手段。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可変電圧可変周波数インバータによる誘導
    電動機のトルク制御により駆動および制動力を発生する
    電気車において、動輪周速度と対地車速度の差速度を検
    出演算する手段と、前記動輪周速度と対地車速度とから
    動輪のすべり率を演算する手段と、動輪周粘着力を演算
    する手段と、前記すべり率および粘着力の時間微分を演
    算する手段と、前記すべり率時間微分と粘着力時間微分
    および差速度を前件部変数としかつ前記誘導電動機のト
    ルク指令値の修正分を後件部変数とするとともに、差速
    度が小さいときはすべり率微分と粘着力微分を用いて、
    粘着力が増大可能な方向に電動機トルク指令を修正する
    第1のルール群、差速度が大きいときには差速度の大き
    さに応じて電動機トルクを絞り込む第2のルール群を具
    備し、該前件部変数の各ルールに対する適合度を合成
    し、この結果より後件部変数すなわち電動機トルク指令
    の最適な修正分を得るフアジイ推論手段とを設けるよう
    にしたことを特徴とする電気車制御装置。
  2. 【請求項2】前記誘導電動機のトルクをトルク成分に相
    当する電流により、指令制御するようにした請求項第1
    項記載の電気車制御装置。
  3. 【請求項3】前記誘導電動機のトルクを電気信号から演
    算されたトルクにより、指令制御するようにした請求項
    第1項記載の電気車制御装置。
  4. 【請求項4】前記第1のルール群から推論される結果を
    一次遅れを介したものを電動機トルク指令修正信号とす
    るようにした請求項第1項記載の電気車制御装置。
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