JPH0787644B2 - 電気車制御装置 - Google Patents

電気車制御装置

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JPH0787644B2
JPH0787644B2 JP3010397A JP1039791A JPH0787644B2 JP H0787644 B2 JPH0787644 B2 JP H0787644B2 JP 3010397 A JP3010397 A JP 3010397A JP 1039791 A JP1039791 A JP 1039791A JP H0787644 B2 JPH0787644 B2 JP H0787644B2
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speed
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differential
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敏夫 佐々木
一郎 宮下
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Toyo Electric Manufacturing Ltd
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  • Control Of Ac Motors In General (AREA)
  • Control Of Multiple Motors (AREA)
  • Feedback Control In General (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、可変電圧可変周波数イ
ンバータ(以下VVVFインバータという)により複数
台の誘導電動機を制御する電気車、いわゆるVVVFイ
ンバータ車において、粘着性能が改善された電気車制御
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気車の粘着性能を改善するための方式
として、図9に示すものが知られている。図9は従来の
典型的な再粘着制御方式を採用したVVVFインバータ
システムの制御回路を示したものである。
【0003】1は電気車であり、車両1台分を表してい
る。101 はインバータ装置である。2A, 2B, 2C, 2D(以
下2A〜2Dのように表す)は誘導電動機であり、3A〜3Dは
誘導電動機2A〜2Dにそれぞれ対応する英字が示す動輪で
ある。4A〜4Dは同様に対応する英字が示す電動機回転速
度検出器であり、本例ではパルスジェネレータ(PG)を
示し、電動機の回転速度に比例する周波数のパルス列を
発生するものである。また、5A〜5Dは、対応する英字が
示す電動機回転周波数演算手段であり、各PG信号を各電
動機の回転周波数fMA〜fMDに変換する。更に7A〜7Dは
微分器であり、各電動機回転周波数を入力として、その
時間微分 dfMA/dt〜 dfMD/dtを出力するものであ
る。108 は電動機周波数選択手段で、同一のインバータ
101 により駆動される電動機群の周波数制御を行うため
の、基準となる電動機周波数を決定するものである。基
準の電動機周波数を選択するアルゴリズムとしては、予
め決められた電動機の周波数に固定する方法(力行時あ
るいは制動時において、最も空転し難い軸のPG信号から
電動機周波数を求める方法)、動的に切り換える方法
(力行時には各電動機周波数の最小値とし、制動時には
各電動機周波数の最大値とする方法)などがある。
【0004】電動機周波数選択手段108 の出力は、基準
となる電動機周波数fM であり、後述するすべり周波数
指令fSSと加算点109 にて加算され、インバータ周波数
指令fI となる。また、電動器群に電圧/周波数比が一
定の交流を供給するために、インバータ周波数指令fI
に110 で示されるV/f比器によりV/f比を掛けた値
をインバータ出力電圧値とし、その値を除算器111 によ
ってフィルタコンデンサ電圧検出値VC で割り、更に一
次遅れフィルタ112を介した値を変圧率指令αとする。
一次遅れフィルタ112 は安定化のために設けられたもの
である。
【0005】インバータ101 はインバータ周波数指令f
I に適したスイッチング周波数をもつキャリアと、変圧
率指令αに対応する振幅をもった三相正弦波信号との交
点を求めることにより、スイッチングのタイミングを求
め、パルス幅変調を行い三相交流を各電動機に印加する
ものである。
【0006】トルク電流パターン発生手段104 は、加速
・制動を目的とする運転士からのノッチ指令と、車両の
荷重を検出する応荷重装置からの信号とにより、所要加
速度に見合う電動機トルクに比例した電流パターンIp
を生成する。以下、電動機トルクに比例する有効電流を
トルク電流と呼ぶことにする。トルク電流パターンIp
と後述するトルク電流修正パターンIp'との差であるト
ルク電流指令IISとトルク電流の検出値II との偏差
が、電流制御手段107 に入力され、この電流制御手段10
7 の出力がすべり周波数指令fSSとなる。
【0007】113 は空転検知手段であり、空転検知手段
113 は微分器7A〜7Dの出力である電動機周波数微分 df
MA/dt〜 dfMD/dtの最大値が所定値を越えた時点で、
コンパレータ手段114 を駆動する。このコンパレータ11
4 は一定時間Tの遅れをもったオンオフ信号発生手段で
あり、コンパレータの状態が変化し、かつその状態が一
定時間保持されたならば、空転検知信号SLIPをオン状態
にする。また、再粘着制御が行われ、電動機周波数微分
の最大値が前述の所定値を下回り、その状態が一定時間
T保持されたならば、空転検知信号SLIPをオフ状態に戻
す。ここで、遅れ時間Tは、電動機周波数微分に混入す
るノイズによる誤検知を回避するために設けられたもの
である。
【0008】115 はトルク電流修正パターン発生手段で
あり、空転検知信号SLIPに対応してトルク電流修正パタ
ーンIp'を生成する。トルク電流修正パターン発生手段
115 は空転検知信号SLIPがオン状態となると、トルク電
流修正パターンを急峻な勾配で増加させ、空転が終了し
空転検知信号SLIPがオフ状態となると、トルク電流修正
パターンを緩慢な勾配で減少させる。
【0009】トルク電流パターンIp は、加算点105 に
おいてトルク電流修正パターンIp'が減算され、トルク
電流指令IISとなる。従って、空転発生と判断すると電
動機トルクを急速に絞り込み、また再粘着したと判断す
ると、電動機トルクを徐々に増加させる処理が行われ
る。
【0010】102 は実効電流検出手段であり、電流セン
サにより電動機群の各相電流を検出し実効電流を演算す
るものである。また、103 はトルク電流演算手段であ
り、実効電流検出手段102 の出力である実効電流IM
インバータの出力電圧位相θとからトルク電流II を演
算するものである。
【0011】本例では、トルク電流パターンを絞り込む
方式を示した。この他にもすべり周波数を直接絞り込む
方式等様々な再粘着制御方式が提案されているが、空転
量が所定値以上・以下という二つの状態で切り替えると
言う意味では、上記例と本質的に同じものとなってい
る。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】前述のような従来の粘
着制御方式は、空転、滑走が実際に発生し、それが所定
値を超過しかつ所定時間経過しないと作用しないもので
あり、電動機トルクの修正量も予め設定された固定値を
用いるものであって、空転の度合いに応じたものではな
い。また、電動機トルクの修正方法は減少および増加を
反復するものであって、連続的に電動機トルクを調節し
得るVVVFインバータ車の特性を充分に活用したもの
とは言えない。更に、空転検知方法としては、複数の電
動機周波数のうち少なくとも一つが、所定値を一定時間
超過したならば空転発生と見なすものであり、空転発生
と判断した動輪以外の他の動輪において、どの程度の粘
着力が得られているかということを考慮したシステムに
はなっていない。従って、一つの動輪がレール面の汚れ
等の原因で空転した場合(以下1軸空転と呼ぶ)と、降
雨等により粘着力が全体に低下し、全ての動輪が一斉に
空転した場合(以下全軸空転と呼ぶ)での電動機トルク
の絞り量は同じ値であり、前者の状況ではトルクの絞り
過ぎになることは容易に予想されることである。
【0013】粘着力は、車輪とレールとの接触面の状態
により決まる物理現象であり、厳密に言うと各動輪毎に
異なるものと考えなければならない。従って、粘着制御
方式としては、各動輪での粘着状態に応じて最大の粘着
力が得られるように、動輪周駆動力を独立に制御できる
ものが理想的である。VVVFインバータを用いた電気
機関車では、各動輪の誘導電動機毎にインバータ装置を
設け、各動輪の動輪周駆動力を独立に制御できるものが
ある。しかしながら、動力分散形態をとるVVVFイン
バータ電車においては、インバータ装置の実装上の制約
あるいはコスト的な制約から、4台ないし8台の誘導電
動機を一台のインバータ装置で制御する方式を採るのが
一般的となっている。従ってVVVFインバータ電車で
の粘着制御は、各動輪軸における粘着状態に応じて、1
編成の列車全体での粘着力ができる限り最大となるよう
に制御するという、多目的制御系と捉えるべきである。
【0014】先に本願出願人が特願平2-328269号で特許
出願した「電気車制御装置」の明細書に記載したもの
は、各動輪におけるすべり率微分、粘着力微分およびク
リープ速度を検出演算し、それらの値から基準となる動
輪を定めて制御を行うものであり、一編成の列車全体が
得る粘着力を総合的に評価するものではなかった。これ
に対して本発明は、全ての動輪における状態量を検出演
算するとともに、その状態量に基づいて各動輪毎にトル
ク電流の修正パターンを求め、それらをファジィ合成
し、更に非ファジィ化処理を施して修正パターンの確定
値を求めるものであり、各動輪における粘着状態を総合
的に評価し、一編成の列車全体での粘着力の総和が常に
最大となるように電動機トルクを制御することを可能に
するものである。
【0015】さて、図10は、動輪とレールとの間におけ
るすべり率と粘着力との関係(以下粘着特性と呼ぶ)を
示したものである。ここで、すべり率とは動輪周速度と
対地車速度の差速度を動輪周速度で割った値を言い、次
式で定義される。 λ=(VM−VO)/VM (1) 上式で、VO は対地車速度、VM は動輪周速度を表す。
また、動輪周速度と対地車速度との差速度はクリープ速
度と呼ばれ、VS で表し、 VS=VM−VO (2) で定義される。
【0016】粘着力は、周知のように軸重に比例する
が、図10に示すようにすべり率の小さい範囲では、すべ
り率にもほぼ比例する。ある時点でのすべり率と粘着力
の値から、粘着特性上の位置が定まるが、これを動作点
と呼ぶことにする。
【0017】いま粘着力をF、電動機から動輪に伝達さ
れる駆動力(以下、動輪周駆動力と呼ぶ)をFM 、電動
機回転子や減速ギヤ及び動輪等の回転慣性系を加速する
回転系駆動力(以下、単に回転系駆動力と呼ぶ)をFR
とすると、次式が成り立つ。 FM=F+FR (3) 上式は、粘着力と回転系駆動力との和が動輪周駆動力で
あり、粘着力が車体の加速に寄与する分力であることを
示している。
【0018】粘着力Fには上限FO があり、これを粘着
限界と称している。動輪周駆動力が加えられていない状
態(静止状態または惰行状態)では動作点は原点にあ
り、動輪周駆動力を加えるに従って粘着特性の左側の斜
面を登っていく。そして、あるすべり率λO において粘
着力が最大値FOとなる点Pに到達する。更に動輪周駆
動力を増やし続けると、粘着特性の右側の斜面を下がり
始め、粘着力Fが減少するので、式(3)から分かるよ
うに、回転系駆動力FR が増加し、動輪の回転速度が急
増することとなる。この現象がいわゆる空転である。粘
着力の限界点Pよりもすべり率の小さな領域をクリープ
領域、大きな領域を空転領域と呼ぶことにする。
【0019】粘着特性は、天候やレール面の状態によっ
て変動することが知られているが、一般的な傾向とし
て、乾燥状態では図10に示したように粘着力の上限値F
O が大きく、FO を与えるすべり率が小さく、一方、湿
潤状態では図11に示したように粘着力の上限値FO が低
下するとともに、全体として平坦な特性になる。
【0020】通常、乾燥状態における粘着力の上限値F
O より低い粘着力で走行できるトルク電流パターンが設
定されるので、乾燥時にはクリープ領域における安定な
走行が可能である。ところが、降雨やレール面の油汚れ
等が原因で、図11のように粘着力の上限値FO が所要粘
着力よりも低くなる場合があり、通常の動輪周駆動力を
加えた場合においても、動作点は上限値FO を与える点
Pを通り過ぎ、空転領域に入り込むこととなる。
【0021】そして、空転検知を用いた従来の再粘着制
御方式は、この空転領域に入ってから矢印bの方向に動
作点を戻すように動輪周駆動力を急減し、動作点をクリ
ープ領域に引き戻す。そして、再粘着と判断した時点
で、動輪周駆動力を徐々に増加させるが、このとき動作
点は矢印a方向に移行して、再び点Pを通過して空転領
域に入り込む。以降点Pを中心に左右に往復する動作を
繰り返すものとなる。
【0022】ここまでは、一つの動輪に着目した場合の
粘着特性、及び動作点の動きについて述べたものである
が、実際には複数の動輪があり、そのそれぞれにおける
粘着特性及び動作点は、図12に示すように当然異なった
ものとなっている。何故ならば、粘着特性は動輪とレー
ルとの接触面の物理的諸条件により変動するものであ
り、また各誘導電動機の特性や動輪径差等により各動輪
の動輪周駆動力は必ずしも一致しているとは限らないか
らである。
【0023】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の基本技術
思想の理解を容易にするために示したものである。すな
わち、本発明はその原理上、ファジィ推論の持つ長所を
最適に活用して実現できるものである。これを図1の詳
細説明に入る前に説明する。ファジィ制御によると、複
雑で解析的には解けない制御系でも、熟練者のノウハウ
あるいは種々の状態に対してどのように操作すべきかと
いう知識があれば、これを制御則として言語表現し、if
then 形式の推論を用いて操作量を求めることができ
る。前述のように、粘着特性は種々の要因(季節、天
候、レールの油汚れ、勾配、曲線通過等)により確率的
に変動するものであり、数式によるモデル化は困難と言
ってよい。そこで、観測可能な状態量から、粘着特性の
局所情報を推定し、どのように電動機トルクの制御を行
えば、粘着力を最大限に利用できるかという知識を用い
て、ファジィ制御系を構成することが有効となる。
【0024】また、ファジィ制御には、多目的制御を容
易に実現できるという特徴がある。即ち、異なる制御目
標が存在する場合に、それらを同時に満足するような制
御を実現できるということである。先に述べたように、
一台のインバータ装置で複数の誘導電動機を制御するV
VVFインバータ電車においては、各動輪毎に最大の粘
着力が得られるようにするという独立した制御目標があ
り、それを同一のインバータ装置の電圧周波数制御によ
って満足させるということであるから、多目的制御と見
なすことができる。従ってこの意味からも、ファジィ制
御の有効性が期待できることになる。
【0025】次にファジィ推論ブロックの入力となる前
件部変数の演算方法について説明する。本発明における
ファジィ推論の前件部変数としては、すべり率λの時間
微分dλ/dt、粘着力Fの時間微分 dF/dt及びクリー
プ速度VS を用いるが、すべり率微分 dλ/dtは式
(1)を微分することにより容易に得られ、またクリー
プ速度VS は式(2)により求められるので、以下では
粘着力微分 dF/dtの演算方法についてのみ説明を行う
ことにする。
【0026】さて電動機から駆動装置のピニオンへ至る
継手の捻じり、歯車装置のギヤのバックラッシュ、動輪
軸の捻じり等を無視すれば、前記式(3)における電動
機から動輪に伝達される動輪周駆動力FM および回転系
駆動力FR は次式で近似することができる。 FM=(z/r)KMI (4) FR=(J/r2)dVM/dt (5) ここで、zは電動機から動輪への減速比、rは動輪半
径、Jは回転慣性系の全慣性モーメント(動輪への換算
値)、KM は電動機トルク定数、II は電動機1台当た
りのトルク電流である。また、動輪周速度VM は、電動
機周波数fM に比例するものとして、 VM=KO・fM (6) を用いることができる。但し、比例係数KO は KO=2πr/(p・z) (7) であり、ここでpは誘導電動機の極対数を表す。
【0027】式(4)、(5)および式(2)から粘着
力Fは、次のようになる。 F=(z/r)KMI−(J/r2)dVM/dt (8) ここで、 K1=z・KM/r, K2=J/r2 (9) と置けば、式(8)は F=K1I−K2dVM/dt (10) と書くことができる。従って粘着力微分は、式(10)を
微分することにより、 dF/dt=K1dII/dt−K2d2V/dt2 (10′) で与えられる。
【0028】次にファジィ制御則の詳細について説明す
る。ファジィ制御則は一例としてすべり率微分 dλ/dt
と、粘着力微分 dF/dtとの状態に応じてトルク電流修
正パターン微分 dIp'/dtを出力する第1のルール群
と、緩慢な速度で徐々に大きい空転へと成長する場合に
対する歯止めとして、クリープ速度の大きさによりトル
ク電流修正パターン微分 dIp'/dtを出力する第2のル
ール群との複合形式で記述することができる。
【0029】まず第1ルール群について説明する。ここ
では「すべり率微分 dλ/dtが正で大きく、粘着力微分
dF/dtが負で大きければ、トルク電流指令を大きく減
らせ」で示すように、すべり率微分 dλ/dt、粘着力微
分 dF/dt及びトルク電流修正パターン微分 dIp'/dt
のある範囲をそれぞれ図4、図5、図6のメンパーシッ
プ関数を使い、正負、大小の関係を言語表現で表す。こ
の表現は次のようなファジィラベルを用いる。 PB 正で大きい PS 正で小さい ZO 零に近い NS 負で(絶対値が)小さい NB 負で(絶対値が)大きい これにより前述の例は、 if dλ/dt=PB and dF/dt=NB then dIp'/dt=PB と表せる。ここで、 dIp'/dt=PBと正の値になるの
は、前述の図9と同様、図1において、トルク電流パタ
ーンの修正を減算表現で行うためである。
【0030】また、メンバーシップ関数は図4〜図6の
ように三角形を使って表現できる。いま、すべり率微分
dλ/dtとして〔 dλ/dt=+0.32 〕なる値が検出され
たとすると、図4に示されるように、 dλ/dt=PSで
ある適合度が 0.4、 dλ/dt=PBである適合度が 0.
6、他のファジィラベルへの適合度は0となる。同様に
粘着力微分 dF/dtについても測定値が検出されると、
二つのファジィラベルに対する適合度が確定する。ここ
で、各入力値のどの程度の値をPBとし、NSとするか
等については、設計者の裁量に委ねることができる。
【0031】更に表1によりファジィ制御則(以下、単
に制御則と呼ぶ)を定義できる。ただし、単純化のため
車両は一方向のみ(λ≧0)の力行運転で考える。そし
て、図1においては、ファジィ推論ブロック8A〜8Dがこ
のような制御則とファジィ推論部を含むものである。こ
の第1のルール群は、後に詳述するが、動作点が常に粘
着特性の最大点に到達するように、電動機トルクを制御
する性質のものであり、粘着力を最大限に利用するとい
う本発明の根幹をなす制御則となっている。
【表1】
【0032】次にクリープ速度VS をファジィ推論に利
用する第2のルール群の目的と方法につき説明する。図
7はレール面が降雨の初期あるいは結露等により、非常
にすべり易い状態での粘着特性を示したものである。こ
の場合は前述の図10、図11に示した粘着限界点Pが明確
でなく、殆ど平坦な傾向を示す場合である。この場合、
動作点が平坦領域に入り込むと、粘着力の変化が殆どな
くなり、 dF/dt=ZOとなる。ここでクリープ速度が
緩慢に成長すると、すべり率の変化も殆どないため、 d
λ/dt=ZOとなり、制御則表からファジィ推論は殆ど
零を出力することになり、現状のトルク電流指令を保持
することになる。その結果、クリープ速度は際限なく増
加する状態となる。クリープ速度が大きくなるとレール
と動輪とのキシリ音、台車振動等が発生し、保守上の問
題を生じると同時に、乗り心地も損なうことになる。
【0033】この欠点を克服するために、クリープ速度
の評価を取り入れ、前述の制御則に対するバックアップ
とする。クリープ速度についての制御則は次のようなも
のである。 if VS=PS then dIp'/dt=PS if VS=PB then dIp'/dt=PB また、これらに対するメンバーシップ関数を図8に示
す。図8から分かるようにクリープ速度が5km/h以下
では、VS =PSである適合度も、VS =PBである適
合度もともに零となって、この制御則による出力、すな
わちトルク電流修正パターン微分 dIp'/dtは零とな
る。また、クリープ速度が増加し、5km/h以上となる
と、クリープ速度の大きさに応じて出力を増加させると
いう制御則となっている。
【0034】すべり率でなく、クリープ速度を制限する
理由は、レールと動輪とのキシリ音や台車振動の発生の
原因となるのは、クリープ速度そのものの増大であっ
て、これを抑制するためには、すべり率ではなくクリー
プ速度自体を評価する必要があるからである。
【0035】ここまでは、一つの動輪に着目した場合の
トルク電流の修正パターンを得るためのファジィ推論に
ついて述べたものである。次にこの推論を各動輪毎に行
い、得られた結果をmax 合成し、更に非ファジィ化して
トルク電流修正パターン微分を得る方法について詳細に
説明する。
【0036】前述のファジィ制御則は、第1ルール、第
2ルールを含めて次のような一般形で記述することがで
きる。 if dλ/dt=A1 dF/dt=B1 S=C1 then dIp'/dt=D1 if dλ/dt=A2 dF/dt=B2 S=C2 then dIp'/dt=D2 : : : if dλ/dt=AN dF/dt=BN S=CN then dIp'/dt=DN ここで dλ/dt、 dF/dt、VS、 dIp'/dtは、ある
動輪におけるすべり率微分、粘着力微分、クリープ速度
及びトルク電流修正パターン微分を表し、Aj(j=1
〜N)は、すべり率微分についてのメンバーシップ関数
NB、NS、ZO、PS、PBのうちのいずれかを表す
ものである。同様に、Bj (j=1〜N)、Cj (j=
1〜N)、Dj (j=1〜N)はそれぞれ粘着力微分、
クリープ速度、トルク電流修正パターン微分のメンバー
シップ関数を表すものである。ここで、Nは全制御則数
を表している。
【0037】本発明におけるファジィ推論としては、最
も一般的に用いられている max-min合成による方法を用
いる。いま前記のAj 、Bj 、Cj 、Dj に対応するメ
ンバーシップ関数を、μAj、μBj、μCj、μDjのように
表す。図1に示す第A軸の動輪でのすべり率微分、粘着
力微分及びクリープ速度を、 dλA/dt、 dFA/dt、V
SAと書くことにすれば、前記ファジィ制御則を適用した
結果(以下ファジィ結論と呼ぶことにする)は、次式に
示すメンバーシップ関数μO A として与えられる。 μO A=(ω1∧μD1)∪…∪(ωN∧μDN) (11) ここで、ωj (j=1〜N)は前件部の適合度であり、 ωj=μAj(dλA/dt)∧μBj(dFA/dt)∧μCj(VSA) (12) と書くことができる。上式中、∧は min演算を、また∪
は集合和の演算(ここでは max演算)を表している。
【0038】前述の第1のルール群では、クリープ速度
S についての条件がなく、一方第2のルール群におい
ては、すべり率微分及び粘着力微分についての条件がな
い。対応する条件がない前件部変数の適合度は1とす
る。即ち、第1ルール群では μCj(dVSA/dt)=1 とし、第2ルール群では μAj(dλA/dt)=μBj(dFA/dt)=1 とする。
【0039】A軸と同様に、B軸、C軸、D軸について
もファジィ推論を実行し、ファジィ結論μO A、μO B、μ
O C、μO Dを求める。こうして求めた各動輪についてのこ
れらのファジィ結論を max合成し、重心計算により非フ
ァジィ化を行って最終的なトルク電流修正パターン微分
を得る。即ち μ*=μO A∪μO B∪μO C∪μO D (13) により、各ファジィ結論を max合成し、 dIp'/dt={∫μ*(dIp'/dt) (dIp'/dt)d(dIp'/dt)} /{∫μ*(dIp'/dt)d(dIp'/dt)} (14) によりμ* の重心を求める。ここで式(14)の積分は、メ
ンパーシップ関数の台集合についての積分であり、時間
積分でないことに注意する。
【0040】また、各動輪のファジィ結論を max合成す
るところでは、単に max合成するのではなく、各動輪に
対する重みγA 〜γD により重み付けを行うこともでき
る。即ち、式(13)の代わりに次式を用いる。 μ*=γA・μ0 A∪γB・μ0 B∪γC・μ0 C∪γD・μ0 D (13′) ここで、・は代数積を表し、ファジィ結論のメンバーシ
ップ値を一様に定数倍する演算を表している。ここで、
例えばA軸の動輪についての重みを1とし、その他の重
みを全て0とすれば、式 (13′) は μ*=μ0 A となって、ファジィ推論の基準軸としてA軸を選択した
場合と同じ結果が得られる。即ち式 (13′) は、基準軸
を設定してファジィ推論を行う方式を一般化したものと
捉えることができる。
【0041】次に、図1を詳細に説明する。図1におい
て、図9と同一符号のものは同一機能を有する部分を示
す。PG 4A 〜4Dの出力はそれぞれ電動機周波数演算手段
5A〜5Dにより各軸の電動機回転周波数fMA〜fMDに変換
され、演算装置6A〜6Dの入力となる。また、各誘導電動
機の相電流検出値IuA 、IvA 〜IuD 、IvD 、インバータ
装置 101の出力電圧位相θおよび対地車速度V0 も演算
装置6A〜6Dに入力される。演算装置6A〜6Dは上記の情報
を入力とし、各動輪でのすべり率微分 dλA/dt〜 dλD
/dt、粘着力微分 dFA/dt〜 dFD/dtおよびクリープ
速度VSA〜VSDを演算し出力するものである。
【0042】演算装置6A〜6Dの出力はファジィ推論ブロ
ック8A〜8Dに入力され、前述のファジィ制御則に基づき
それぞれの動輪毎にファジィ推論が実行される。ファジ
ィ推論ブロック8A〜8Dの出力は、ファジィ結論を表すメ
ンバーシップ関数であり、各動輪毎のファジィ結論μ0
A 〜μ0 D に対して代数積手段9A〜9Dによって重み付け
され、 max合成手段11にて max合成演算が実行され、式
(13)で示したファジィ結論μ* を出力する。12は非ファ
ジィ化手段であり、ファジィ推論μ* から式(14)で示し
た重心計算を行うものであって、これにより確定値を得
ることができる。
【0043】10は重み決定手段であり、各動輪のファジ
ィ結論μ0 A 〜μ0 D をどの位尊重するかという重みγA
〜γD を出力するものである。これは、動輪毎にある一
定値に固定したものでも良いし、運転中各状態量に応じ
て動的に変化する量であっても良い。一例として、各動
輪における粘着力の大きさによって重み付けを行うとす
ればγA 〜γD は以下のようになる。 γA=FA/(FA+FB+FC+FD) γB=FB/(FA+FB+FC+FD) γC=FC/(FA+FB+FC+FD) γD=FD/(FA+FB+FC+FD) ここで、FA 〜FD は各動輪における粘着力を表す。こ
の重み付けを行えば、粘着力の大きい動輪のファジィ結
論を重視し、粘着力の小さい動輪のファジィ結論はあま
り重視しないという制御が実現できる。
【0044】さて、非ファジィ化手段12の出力である、
時々刻々のトルク電流指令修正パターン微分 dIp'/dt
は疑似積分手段13により積分され、トルク電流修正パタ
ーンIp'として図9で説明でした、トルク電流指令パタ
ーン発生手段が生成したトルク電流パターンIp に加算
点105'で加えられ、以下図9と同様にインバータの周波
数、電圧制御を行うこととなる。
【0045】16は対地車速度検出手段であり、対地車速
度V0 を出力する。本例では、従輪14に取り付けられた
PG15の信号から演算する方式を示したが、特にこの方法
に限るものではない。
【0046】図2は図1の6A〜6Dで示した演算装置の内
部構造を表したものである。演算装置6A〜6Dは入出力変
数が異なるだけで、内部構造は同一であり、図2では簡
単のために動輪を区別するA〜Dの添え字は省略した。
先ず、電動機周波数fM は、変換手段 604により、動輪
周速度換算値VM (以下簡単のため、単に動輪周速度と
呼ぶ)に変換される。図中のK0 は、前記式(6)で定
義したものである。動輪周速度VM は、加算点 605にお
いて対地車速度V0 が減算され、その結果が除算器 606
により動輪従速度VM 自身で割られ、すべり率λとな
る。即ち、前記式(1)に従ってすべり率の演算が行わ
れる。ここで、除算器 606は、除数であるVM が非常に
小さい値となる場合、即ち低速の期間では除算を行わ
ず、すべり率を強制的に0とする処理を含むものとす
る。更に、すべり率を微分手段 607により微分し、すべ
り率の時間微分 dλ/dtを求める。ここで、微分手段 6
07は、動輪の回転を表現するのに充分な低周波域での微
分を行うものでよく、高周波ノイズに対して減衰のよい
二次遅れフィルタと一体化されている。
【0047】一方、加算点 610では動輪周速度VM と対
地車速度V0 との差速度が演算されて、ローパスフィル
タ 711を介してクリープ速度VS となる。また実効電流
演算手段 601は、対応する誘導電動機の相電流検出値I
u およびIv から実効電流IM を演算するものであり、
図9および図1中 102で示した実効電流演算手段と同一
の機能をもつものである。ただし、相電流の検出は誘導
電動機1台毎について行う。トルク電流演算手段 602
は、実効電流値IM とインバータの出力電圧位相θとか
ら、電動機トルクに比例する電流、すなわちトルク電流
1 を演算するものである。トルク電流演算手段 602の
出力であるトルク電流I1 は、微分手段 603を介して加
算点 609に加えられる。一方、動輪周速度VM は二次微
分手段 608を介して加算点 609で減算される。即ち、式
(10′)に従って粘着力微分の演算を行う。微分手段 6
03及び二次微分手段 608のゲインK1 ,K2 は式(6)
に示したものである。また、微分手段 603と二次微分手
段 608とは、前述の微分手段 607と同様、低周波分に対
して微分動作をすればよく、高周波ノイズに対して遮断
特性のよい二次遅れフィルタと一体化されている。
【0048】ここで、フィルタ定数ω1〜ω4,ξ1〜
ξ4は微分あるいは二次微分により増幅される高周波ノ
イズを充分に減衰させるとともに、動輪周速度、対地車
速度に対して位相遅れがなるべく小さくなるように選べ
ばよい。また、フィルタとして二次遅れフィルタを用い
ているが、同様な特性をもつものであれば、特にこれに
限定されるものではない。以上の演算によりすべり率微
分 dλ/dt、粘着力微分 dF/dt及びクリープ速度VS
が求められる。
【0049】図3は図1では8A〜8Dで示したファジィ推
論ブロックの内部構造を示した図である。ファジィ推論
ブロック8A〜8Dは入出力変数が異なるだけで、内部構造
は同一であるから、図3では簡単のために、動輪を区別
するA〜Dの添え字は省略した。ファジィ推論ブロック
の入力である、すべり率微分 dλ/dt、粘着力微分 dF
/dt及びクリープ速度VS は、それぞれ正規化手段801X
〜801Zにより正規化されて、ファジィ推論手段 802の入
力となる。正規化とは、図4〜図6および図8で定義し
たメンバーシップ関数の定義された領域にある基準の範
囲(例えば〔-1,+1〕)になるようにスケーリングを行
うことであり、これにより同一形状のメンパーシップ関
数を共用できることになる。ファジィ推論手段 802は、
各正規化入力に対してファジィルールブロック803に内
蔵されたファジィ制御則を適用し、ファジィ推論を実行
するものである。ファジィルールブロック 803には、前
述の第1のルール群及び第2のルール群が格納されてい
る。
【0050】普通のファジィ制御系の構成としては、フ
ァジィ推論ブロックの後段に完全積分器を設けるものが
多く、一般にファジィPI制御系などと呼んでいる。本
発明では、完全積分ではなく、次に示すような疑似積分
を用いた。これは、ファジィ推論の前件部変数に重畳す
るノイズによる影響が、完全積分によって蓄積・保持さ
れ、必要以上に大きいトルク電流修正パターンを出力す
るのを防止するためであり、非ファジィ化手段の出力が
零となった状態で、トルク電流修正パターンを徐々に減
少させるものがよい。疑似積分手段13はこのような特性
を持つものであって、一例としてτ/(1+τ・S)で
表される一次遅れ手段を用いることができる。ここで、
時定数τとしては比較的長い(数秒のオーダ)ものを用
いる。更に、疑似積分手段13は、その疑似積分値の上限
値をトルク電流パターンIp とし、下限値を零とするリ
ミッタ機能を兼ね備えたものとなっており、トルク電流
指令IISがトルク電流パターンIp 以上の値になるこ
と、及び零以下の値になることを禁止している。
【0051】
【作用】図1〜3に示される各手段、特にファジィ推論
ブロック8A〜8Dにについて、先に示した粘着特性の図1
0、図11および制御則を定義する表1と関連させて説明
する。なお、表1において、〜はそれぞれ破線で囲
まれた領域を表すものとする。
【0052】通常の粘着状態では図10において動作点は
点Pより左側にあり、λ0 以下のすべり率で動輪周駆動
力を発生する。この時クリープ速度は小さい値になるの
で、図8のメンパーシップ関数から分かるように、VS
=PSである適合度、およびVS=PBである適合度と
もに0となり、クリープ速度による第2ルール群は作用
しないようになっている。
【0053】さて、降雨等により粘着力が低下して図11
に示すような粘着特性になったとする。この時は点P近
傍にて運転することが理想となる。いま、粘着力が低下
すると空転が発生し、すべり率λが増加して矢印dの方
向に動作点が移ろうとする。この時、 dλ/dt>0, d
F/dt<0となるため、制御則の表1においてはで示
される部分が対応し、 dIp'/dt=PS、またはdIp'
/dt=PBであるから、電動機トルクを減少させて矢印
bの方向へ戻すように作用する。即ち、制御則の表1中
のの部分にある if dλ/dt=PS AND dF/dt=NS then dIp'/dt=PS if dλ/dt=PS AND dF/dt=NB then dIp'/dt=PB if dλ/dt=PB AND dF/dt=NS then dIp'/dt=PB if dλ/dt=PB AND dF/dt=NB then dIp'/dt=PB 等の制御則が、すべり率微分 dλ/dt、粘着力微分 dF
/dtの値に応じて使われる。
【0054】更に、矢印bのモードに移行すると、 dλ
/dt<0, dF/dt>0となり、制御則の表1でで示
された部分の制御則が作用し、 dIp'/dt=NS、即ち
トルク電流指令を少し増すように作用する。これは実際
に電動機トルクが増して動輪周駆動力が再び増加に転じ
るまでの遅れが見込まれた経験的な制御則である。これ
により、動作点が点Pを通り通り越して矢印cの領域に
入り込まず、点P近傍でバランスするような作用を促進
できる。
【0055】次に、動作点が点Pを通り越してクリープ
領域内に戻り、矢印cの方向に移行している場合は、 d
λ/dt<0, dF/dt<0となるため、制御則表中で
示された部分の制御則が対応し、 dIp'/dt=NSまた
は dIp'/dt=NB、即ちトルク電流指令を増すように
作用する。これにより電動機トルクが増加し、動作点は
矢印aが示す方向へ移行する。
【0056】動作点が矢印aの状態にある場合は、 dλ
/dt>0, dF/dt>0であるから制御則表中で示さ
れた部分の制御則が対応し、 dIp'/dt=NS、即ちト
ルク電流指令を少し増やすよう作用し、点Pに到達すべ
く電動機トルクを徐々に増加させる。
【0057】粘着力限界点Pは時々刻々変動するため、
制御系は前述のモードを反復し、点Pを常に追跡するよ
うに作動する。粘着力が一定の値に安定すれば、制御則
表のほぼ中央近傍に平衡し、動作点を点P近傍に安定す
ることができる。
【0058】また図7に示したような平坦な粘着特性を
示す状態では、すべり率微分が小さい値となるため、ク
リープ速度の緩慢な成長を捉えきれず、クリープ速度が
徐々に増えることになるが、この場合はクリープ速度の
評価による第2のルール群により、クリープ速度がある
値以内に制限され、クリープ速度の制限内で最大の粘着
力が得られるようにトルク電流の修正を行うこととな
る。
【0059】以上が一つの動輪に着目した場合のファジ
ィ制御則の作用である。次いで各動輪毎のファジィ結論
を max合成し非ファジィ化する本発明の多目的制御とし
ての作用について説明する。
【0060】図12および図13は、各動輪における粘着特
性と動作点および、本発明による粘着制御を適用した場
合の動作点の動きを図示したものである。図12 (a)はレ
ール面の汚れ等によりA軸の粘着特性だけが低下し、A
軸のみが空転した場合を示している。このときA軸での
動作点は空転領域に入り込むので、電動機トルクを減ら
す方向、即ちトルク電流修正パターンを増加するような
ファジィ結論が得られるが、他のB〜D軸においては動
作点がクリープ領域側にあるため、電動機トルクを増や
す方向、即ちトルク電流修正パターンを減らすようなフ
ァジィ結論が得られる。そして、この相反する二つのフ
ァジィ結論が max合成され、ほぼ中間の結論の電動機ト
ルクを少し増やす方向、即ちトルク電流修正パターンを
少し減らすような結論が得られる。この結果、図12 (b)
に示すような位置に各動作点が移行し、電動機トルクを
必要以上に減らすことなく、全体の粘着力を最大限に利
用することが可能となる。
【0061】また図13 (a)は、降雨等により全動輪にお
ける粘着特性が低下した場合を表したものである。この
時、全動輪の動作点は空転領域に入り込むため、電動機
トルクを減らす方向、即ちトルク電流修正パターンを増
加するという同一のファジィ結論が得られる。これらを
max合成してもやはりトルク電流修正パターンを増加す
るという結論となるので、図13 (b)に示すように、各動
作点はクリープ領域に引き戻されることになる。
【0062】
【実施例】具体的には図1に示した制御ブロック図の部
分を全ディジタル化したものとすることができる。即
ち、16ビットDSP(ディジタルシグナルプロセッサ)
等の採用により実現することができる。本例においては
速度検出器としてPGを用いているので、速度検出につい
てはディジタル演算が可能である。また実効電流検出手
段 102または実効電流演算手段601 において、電流検出
値をA/D変換器によりディジタル化することにより、
次段への信号は全てディジタル演算で処理することがで
きる。更に、正規化手段801X〜801Zは各入力を29ステッ
プに量子化することを兼ねたものである。従って、ファ
ジィ推論ブロック8A〜8Dに含まれるメンバーシップ関数
は0から1に至る勾配をステップで近似した階段波形と
して実現できる。また、加算点105'以降のインバータ制
御部は別のマイクロプロセッサを用いたディジタル制御
系であるが、より高速、高ビット数のマイクロプロセッ
サを用いれば、DSPで構成したファジィ制御部を包含
することも可能である。
【0063】
【発明の効果】以上詳述したように、ファジィ制御手法
と粘着に関する情報とを組み合わせることにより、数学
的な情報処理手法と設計者による知識等の長所を格別に
兼備した制御系を実現できる。このように本発明によれ
ば、従来の空転検知に基づく再粘着法による、オンオフ
的に反復する問題点を除去し、トルクを連続的に変化さ
せるVVVFインバータを効用し得るものである。更
に、全動輪における状態量を総合的に評価し、粘着力を
最大限に利用することができ、粘着特性低下時の加速度
の維持を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の基本技術思想を容易にするため
示した粘着制御システム例の全体ブロック図である。
【図2】図2はすべり率微分、粘着力微分およびクリー
プ速度を演算するための演算装置のブロック図である。
【図3】図3はファジィ推論ブロックの内部構造を表す
ブロック図である。
【図4】図4はすべり率微分のメンバーシップ関数を示
すグラフである。
【図5】図5は粘着力微分のメンバーシップ関数を示す
グラフである。
【図6】図6は、トルク電流修正パターン微分のメンバ
ーシップ関数を示すグラフである。
【図7】図7はすべり易い状態での平坦な粘着特性を示
すグラフである。
【図8】図8はクリープ速度のメンバーシップ関数を示
すグラフである。
【図9】図9は従来の再粘着制御を用いたVVVFイン
バータの制御回路を示すブロック図である。
【図10】図10は乾燥時での粘着特性を示すグラフであ
る。
【図11】図11は湿潤状態にある時の粘着特性を示すグ
ラフである。
【図12】図12は、1軸空転時の各動輪における粘着特
性と動作点の動きを示した図である。
【図13】図13は全軸空転の場合の各動輪における粘着
特性と動作点の動きを表した図である。
【符号の説明】
1 電気車 2A〜2D 誘導電動機 3A〜3D 動輪 4A〜4D,15 電動機速度検出器(PG) 5A〜5D 電動機周波数演算手段 6A〜6D 演算装置 7A〜7D 微分器 8A〜8D ファジィ推論ブロック 9A〜9D 代数積手段 10 重み決定手段 11 max合成手段 12 非ファジィ化手段 13 疑似積分手段 14 従輪 16 対地車速度演算手段 101 インバータ 102 実効電流検出手段 103, 602 トルク電流演算手段 104 トルク電流パターン発生手段 107 電流制御手段 108 電動機周波数選択手段 110 V/f比器 111, 606 除算器 112 一次遅れフィルタ 113 空転検知手段 114 コンパレータ手段 115 トルク電流修正パターン発生手段 601 実効電流演算手段 603, 607 微分手段 604 変換手段 606 二次微分手段 801X, 801Y, 801Z 正規化手段 802 ファジィ推論手段 803 ファジィルールブロック

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可変電圧可変周波数インバータにより複
    数台の誘導電動機を制御する電気車において、各動輪の
    動輪周速度を検出演算する手段と、対地車速度を検出演
    算する手段と、前記動輪周速度と対地車速度とから各動
    輪の対地差速度を演算する手段と、この差速度と動輪周
    速度とから各動輪のすべり率を演算する手段と、各動輪
    の動輪周粘着力を演算する手段と、前記すべり率および
    粘着力の時間微分を演算する手段と、前記すべり率時間
    微分と粘着力時間微分および差速度を前件部変数としか
    つ前記誘導電動機のトルク指令値の修正分を後件部変数
    とするとともに、差速度が小さいときはすべり率微分と
    粘着力微分を用いて、粘着力が増大可能な方向に電動機
    トルク指令を修正する第1のルール群、差速度が大きい
    ときには差速度の大きさに応じて電動機トルクを絞り込
    む第2のルール群を具備し、各動輪毎にファジィ推論を
    実行し、得られた結果をmax 合成し、更に非ファジィ化
    処理を施して、最終的な電動機トルク指令の修正パター
    ンを得る手段を設けたことを特徴とする電気車制御装
    置。
  2. 【請求項2】 前記誘導電動機のトルクをトルク成分に
    相当する電流により指令制御するようにした請求項1記
    載の電気車制御装置。
  3. 【請求項3】 前記誘導電動機のトルクを電気信号から
    演算されたトルクにより指令制御するようにした請求項
    1記載の電気車制御装置。
  4. 【請求項4】 前記第1のルール群から推論される結果
    を一次遅れ手段を介したものを第1の電動機トルク指令
    修正信号とするようにした請求項3記載の電気車制御装
    置。
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