JPH0757979B2 - 建築物表面仕上用シートの製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、建築物表面仕上用シートの製造方法に関する
ものである。

［従来の技術］ 建築物表面仕上用シートとは、建築物の表面に貼着し
て、建築物の美装化を図り、併せて防水性等を向上させ
るためのものである。

これは、現場で吹付材を塗布する従来の方法（塗膜防
水）では、工期が長くなるため、できるだけ工場で作業
を行ない工期を短くする目的で使用されるものである。
現場での工期が長くなると、その建築物を使用する事業
の停止期間が長くなり、経済的に大きなマイナスになる
ことは論を俟たない。

また、現場で吹付ける場合には、手作業であるためその
仕上がりは個人の技能差によって大きな影響を受け、塗
布むらがでやすい。さらに、所定の性能を確保するため
の厚みも一定にすることは難しい。

以上、種々の理由から、タイルを貼着する方法や、パネ
ル等の板状物を予め工場で製造しそれを現場で貼付する
方法が好ましい。

このようなパネル状物として、従来、コンクリートパネ
ルや各種ボードの表面に吹付材を塗布したものがあっ
た。これは、それらのパネル等に工場で吹付材を塗布し
て、美装化を施し、且つ防水機能等も持たせるのであ
る。

現場では、基本的にはこれを建築物の表面に金具や接着
剤で固着するだけでよい。

［発明が解決しようとする課題］ ところが、コンクリートパネル及び各種ボードに吹付材
を塗布した製品等は、いずれも重量があるため、落下し
た場合には重大な事故となる危険性がある。

また、落下させないためには、接着強度の非常に大きい
接着剤を使用しなければならず、コスト高にならざるを
えない。又、取付け金具を用いる場合は躯体と取付けボ
ードに特殊な工夫をしなければならない。

更に、従来のこのような製品は、当然ながら柔軟性がま
ったくないため、湾曲部への貼付は実際上は不可能であ
る。従って、結局そのような箇所については、湾曲した
パネルを特別に製作するか現場で吹付けせざるを得な
い。

そしてコンクリートパネルの場合には、上記問題以外
に、現場でサイズを調整するための切断が困難であると
いう欠点がある。

よって、本業界では以上のような欠点のない貼付用物が
待望されていた。

［課題を解決するための手段］ そこで本発明者はこうした点に鑑み鋭意研究の結果遂に
本発明建築物表面仕上用シートの製造方法を成したもの
であり、その特徴とするところは、天然石又は人工セラ
ミックスの粉砕物である骨材を合成樹脂に混合した吹付
材を、剥離性を有する下敷き上にシート状に塗布し、未
硬化の段階で、その上に合成樹脂製織物を載置し、次い
で同様の吹付材をその上からシート状に塗布し乾燥硬化
させる点にある。

ここで言う建築物表面とは、一般の建築物の内壁、外壁
のみならず、柱や天井部分等も含めた概念として使用す
る。また、場合によっては本発明によるシートを貼付し
た後に更にその上にトップコートすることもあるが、そ
の場合でも本発明によるシートは建築物表面を仕上げて
いるものとする。

吹付材とは、現在一般に使用されている建築物築物壁面
用の吹付材でよく、樹脂と骨材の混合物である。ここで
使用する樹脂は、一般的にはアクリルエマルジョンであ
るが、これ以外にも、外装用シート素材に求められる条
件、例えば柔軟性、耐候性、接着性、耐アルカリ性、耐
吸水性、等を満足する樹脂（例えば、酢酸ビニル系、塩
化ビニル、ウレタン系、等々）であればよい。骨材と
は、天然石又は人工のセラミックの粉砕物であり、サイ
ズは0.01〜2.0mm程度のものである。この骨材は、種々
に着色したものを用いるようにしても良く、その場合吹
付け後の外観が天然石に近いものとすることができるの
で、美麗であって商品価値の高いものとなる。

なおこの吹付材はその内部に芯材として、次に述べる合
成樹脂製織物を内包しているが、この芯材によって分画
される両側の吹き付け材は必ずしも同一でなくともよ
い。即ち、露呈側のみの骨材を着色するなどしても良い
ものである。

合成樹脂製織物とは、合成樹脂、ここでは吸水性のない
又はほとんどないアクリル、ポリエステル等を織ったも
のである。ここでは、ガーゼ程度又はそれ以上に粗く織
ったものが好ましい。例えばアクリルの寒冷紗等が特に
好適である。寒冷紗とは、元来はヴィクトリア・ローン
とも呼ばれる綿又は麻織物の一種で、通常は単糸（まれ
には双糸）を用い、密度を粗く織りあげた極く薄い平織
物を指す。本発明によるシートに使用する合成樹脂製織
物は、実際には天然繊維を使用していないが、この点に
構わずこの語句を定義するものとする。本発明によるシ
ートにおいて、天然繊維や無機繊維を使用しないのは、
天然繊維は吸水性が高く、また無機繊維はしなやかさに
欠けるためである。

本発明によるシートは、上部に合成樹脂によるトップコ
ートを施してもよい。これは、防水機能を付与するため
のものである。勿論、これは現場でシート貼付後に行な
ってもよい。トップコート樹脂としては、アクリルシリ
コンやアクリルウレタン等通常のものでよい。

本発明を具体的に説明する。

合成樹脂に骨材を混合した吹付材をその固化前にシー
ト状にしておく。（シート状とするには、例えば平坦に
置かれたポリエチレンフィルムを台とし、その上に吹付
材を載置する等の方法がある。） 次に、シート状吹付材表面全面に、合成樹脂製織物
（寒冷紗など）を載置する。（接合性を良くするために
ローラー等で押しつけると好適である。） さらにその上を、前と同様の吹付材で覆う。（この吹
付材の表面が、本発明によるシートの表面、即ち建築物
の仕上がり面となる。従って、この表面の形成方法には
種々の方法が存在するが、本発明はそれらを限定するも
のではない。） これで一応完成であるが、吹付材を乾燥させたり、台
を除去したりといった工程が存在することも多々有り得
る。

［実施例］ 以下図面に示す実施例に基づいて本発明を更に詳細に説
明する。

第１図は本発明方法による建築物表面仕上用シート１の
１例を示すものである。建築物表面仕上用シート１は、
その表面側が化粧仕上げされた吹付材２より成るもので
あり、また内部には、寒冷紗製の織物３を有している。
この吹付材２は、アクリル樹脂水性エマルジョンを原料
材とし、骨材、添加剤、安定剤等を含んだものであっ
て、外観視砂岩状又はタイル状の質感を呈している。

第２図（ａ）乃至（ｄ）は、本発明方法の１例を概略的
に示すものである。

0.2〜0.25mm厚のポリエチレンフィルムを下敷４と
し、この下敷４上に吹付材２を1.0〜2.5Kg/m²の量で塗
布する。（同図（ａ）） 次に、この第一の吹付材２の上に寒冷紗（アクリル繊
維使用）織物３を載置し、ローラー（図示せず）で押さ
える。（同図（ｂ）） 続いて、前と同一の吹付材２を、同じく1.0〜2.5Kg/m
²の量を吹付ける。（同図（ｃ）） 最後に、下敷４を除去する。（同図（ｄ）） この場合、完成したシート１の表面は、同図（ｃ）以降
に図示された第二の吹付材２の表面となり、従って、こ
の面は美麗な仕上がりが要求される。

なお織物３は、吹付材２の中間に設けることが必須であ
るが、更に、シート１の裏面にも設けるようにしても良
い。即ち、織物の枚数は限定しないということである。

織物３を２枚設ける場合には、前記製造工程の第２図
（ｃ）の上面に織物３を載置し、ローラーで押さえ、下
敷４からシートを剥離するだけでよい。しかしながら、
下敷４と接している側に再度吹付材を塗布してもよい。
これは、本発明によるシートの表面を吹付仕上状にする
ためである。この場合、前記の織物が１枚の例とは、表
裏が逆になるのである。勿論、下敷４から剥離した表面
そのままをシートの表面としてもよい（この場合には、
裏面への再度の吹付は不要である）。

また、前記の例では、２枚目の織物３の表面側はローラ
ーで押さえた状態のままであるが、この上に更に吹付材
を塗布してもよい。

また、別法として、下敷４上に吹付材を塗布する時、予
め織物３を載置し、その上から吹付材をを吹付けること
もできる。この場合は、吹付け後に織物を載置した場合
に必要なローラー等による押圧が不要となる。

第３図は、織物３を２枚使用した例を示すものであり、
織物３が中間部分と、裏面側（図では下方）に設けられ
ている。上面側の吹付材層は２層になっている。

［発明の効果］ 以上詳細に説明したように、本発明に係る建築物表面仕
上げ用シートは、合成樹脂に骨材を混合した吹付材の板
状物の中間に芯材として合成繊維製織物を設けたことを
特徴とするものであって、以下述べる如き種々の効果を
有する極めて高度な発明である。

コンクリートパネルやタイル等に比して重量が小さい
ので、剥離の可能性が小さく、また仮に剥離し落下して
も大きな事故になりにくい。

吹付材が織物によって補強されているので、建築物躯
体に亀裂が発生した場合でもシートには亀裂が発生せ
ず、防水が保証される。しかも、この織物は合成樹脂製
のものを使用しているので、吸水性が小さくしなやかで
あり、効果は更に高いものとなる。

合成繊維製織物と吹付材とにより成るものであるため
切断しやすく、且つその切断面がきれいである。従っ
て、作業現場での貼付調整作業が簡便に行なえる。

コンクリートパネルや各種ボード及びタイル等に比し
て可撓性が高く、湾曲箇所へも対応が容易である。

現場塗りではないので乾燥や養生に要する時間がほと
んど必要でなく、且つ、乾燥成膜前に降雨にあって塗材
が流出するといった（エマルジョン型の防水材で見られ
る）事故がない。

特別な技能を要することなく、美麗で均一な仕上げ面
を得ることができるので、低コストで上質の仕上げ面が
形成できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による建築物表面仕上用シートの実施例
の１つを示す斜視図、第２図（ａ）（ｂ）（ｃ）（ｄ）
は本発明方法の１例を経時的且つ概略的に示す断面図、
そして第３図は本発明によるシートの他の実施例を示す
斜視図である。 １……建築物表面仕上げ用シート ２……吹付材 ３……織物 ４……台

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】天然石又は人工セラミックスの粉砕物であ
   る骨材を合成樹脂に混合した吹付材を、剥離性を有する
   下敷き上にシート状に塗布し、未硬化の段階で、その上
   に合成樹脂製織物を載置し、次いで同様の吹付材をその
   上からシート状に塗布し乾燥硬化させ、最後に仕上面に
   トップコートを施すことを特徴とする建築物表面仕上用
   シートの製造方法。