JPH075727A - 電子写真式製版印刷版の作成方法及びそれに用いる装置 - Google Patents

電子写真式製版印刷版の作成方法及びそれに用いる装置

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JPH075727A
JPH075727A JP16984693A JP16984693A JPH075727A JP H075727 A JPH075727 A JP H075727A JP 16984693 A JP16984693 A JP 16984693A JP 16984693 A JP16984693 A JP 16984693A JP H075727 A JPH075727 A JP H075727A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 (i)電子写真感光体11の表面に、フッ素原子
及び/又はケイ素原子を含有する化合物[S]を吸着又は
付着させて、該感光体表面の粘着力を100g・f以下に
し、(ii)該感光体11表面に、化学反応処理で除去可能で
且つ剥離可能な転写層12を形成し、(iii)電子写真プロ
セスにより該転写層12上にトナー画像25を形成し、(iv)
印刷時に平版印刷可能な親水性表面となる被転写材16
に、該トナー画像25を転写層12ごと転写し、次いで、
(v)転写された被転写材16の転写層12を化学処理により
除去して、電子写真式製版印刷版を作成する。 【効果】 製版画質及び印刷画質が良好で、長期間且つ
連続して処理しても安定した性能の印刷版が簡便に得ら
れる。更に、レーザー等の走査露光による画像形成に適
している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子写真感光体を利用し
た平版印刷版の新規作成方法及びそれに用いる装置に関
し、更に詳細には、転写層の転写性及び溶出除去性に優
れた、製版画質及び印刷画質が良好な新規電子写真式製
版印刷システムに関する。
【0002】
【従来の技術】今日、平版オフセット印刷版としては、
ジアゾ化合物とフェノール樹脂を主成分とするポジ型感
光剤や、アクリル系モノマーやプレポリマーを主成分と
するネガ型感光剤を用いるPS版などが実用化されてい
るが、これらはすべて低感度のため、あらかじめ画像記
録されたフィルム原版を密着露光して製版を行う必要が
ある。
【0003】一方、コンピューター画像処理と大容量デ
ータの保存及びデータ通信技術の進歩によって、近年で
は、原稿入力、補正、編集、割付から頁組まで一貫して
コンピューター操作され、高速通信網や衛生通信により
即時遠隔地の末端プロッターに出力できる電子編集シス
テムが実用化している。特に、即時性の要求される新聞
印刷分野において電子編集システムの要求度は高い。ま
た、オリジナルが原版フィルムの形で保存され、これを
もとに必要に応じて印刷版が複製されている分野におい
ても、光ディスクなどの超大容量記録メディアにデジタ
ルデータとして保存されるようになると考えられる。
【0004】しかしながら、末端プロッターの出力から
直接印刷版を作成する直接型印刷版はほとんど実用化さ
れておらず、電子編集システムの稼動しているところで
も出力は銀塩写真フィルムに行われ、これをもとに間接
的にPS版へ密着露光により印刷版が作成されているの
が実状である。これは、出力プロッターの光源(例え
ば、He−Neレーザー、半導体レーザーなど)により
実用的な時間内に印刷版を作成できるだけの高い感度を
有する直接型印刷版の開発が困難であることも1つの原
因であった。
【0005】直接型印刷版を提供し得る高い光感度を有
する感光体として電子写真感光体が考えられる。その1
つとして、光導電性酸化亜鉛を用いた電子写真感光体
を、電子写真プロセスでトナー画像形成後、非画像部を
不感脂化処理液で不感脂化して印刷版として用いる電子
写真式平版印刷用原版のシステムにおいて、半導体レー
ザー光に対して高感度を示す感光体を用いて対応する方
式が提案されている。
【0006】例えば、特定の分光増感色素と組み合わせ
るものとして、特公平2−28143号、特開昭63−
124054号、同63−241561号、同63−2
64763号各公報などに記載の技術が挙げられ、更
に、光導電層の結着樹脂を改良して、光感度化と非画像
部の地汚れ低下(即ち保水性の向上)を達成するものと
して、例えば特開昭63−220148号、特開平1−
116643号、同2−69759号各公報に記載の技
術が提案されている。
【0007】しかしながら、印刷版とするために酸化亜
鉛を不感脂化反応して親水性を発現させることを原理と
するために、専用の不感脂化処理液及び浸し水を用いる
ことから、特定の色インキしか使えない、印刷用紙とし
て中性紙を用いると耐刷性が極端に低下する、PS版を
用いている印刷機を併用する際、印刷機を充分に清掃し
ないと共用できない等の種々の制約を生じてしまう。
【0008】また、他の電子写真式平版印刷用原版とし
て、トナー画像形成後、非画像部の光導電層の除去を行
う方式が知られている。例えば、特公昭37−1716
2号、同38−6961号、同38−7758号、同4
1−2426号、同46−39405号、特開昭50−
19509号、同50−19510号、同52−243
7号、同54−145538号、同54−134632
号、同55−105254号、同55−153948
号、同55−161250号、同57−147656
号、同57−161863号等に記載の電子写真式製版
用印刷原版が挙げられる。
【0009】電子写真感光体を印刷版として使用するに
は、非画像部をエッチングで除去し親水性の面を露出さ
せる必要があるため、結合樹脂としてアルカリ性溶剤に
溶解するか又は膨潤して脱離する結合樹脂を用いること
が多い。通常、電子写真感光体の結合樹脂として広く用
いられているポリカーボネート樹脂等に比べて、これら
のアルカリ性溶剤に溶解又は分散する樹脂は有機光導電
性化合物との相溶性が悪く、このため有機光導電性化合
物の電子写真感光層への導入量が制限される。光導電層
中で表面電位を打ち消すのに充分なキャリアーが発生し
ていても、有機光導電性化合物の光導電層中での含有量
が低いと、光導電層中でのキャリアーの移動速度が低下
し表面電位の減衰速度すなわち応答速度が低下する。こ
のため、露光終了後、表面電位がかぶりを与えない程度
まで充分減衰しトナー現像を開始できるまでの時間が長
くなる。プロセス時間をできるだけ短くするために、露
光照度をあげて露光時間を短くしているほどこの応答時
間は長くなる。したがって応答速度の速さは、全プロセ
ス時間の短縮の大きな妨げになっている。
【0010】また、レーザー光源などの高照度光源によ
って走査露光を行う場合には別の問題を生じる。すなわ
ち、応答速度が遅いと、書き込み開始部と、書き込み終
了部では表面電位の減衰率が異なってくるため、書き込
み開始部ではかぶりはないが、書き込み終了部ではかぶ
りの多い画像ができあがり、印刷版の作成に不都合を生
じる現象が発生するのである。
【0011】電子写真式製版用印刷原版に用いられてい
る従来公知の結合樹脂としては、特公昭41−2426
号、同37−17162号、同38−6961号、特開
昭52−2437号、同54−19803号、同54−
134632号、同55−105254号、同50−1
9509号、同50−19510号各公報等に記載の、
スチレン−無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−クロ
トン酸共重合体、酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合
体、フェノール樹脂等が知られている。
【0012】しかしながら、これらを有機光導電性化合
物を使用した電子写真式製版用印刷原版に用いたときは
種々の問題点を有していることが既に知られている。す
なわち、スチレン−無水マレイン酸共重合体を結合樹脂
とした場合は形成皮膜が硬く印刷版を湾曲させたときに
ひび割れを生じることがある。また、膜の接着性に乏し
く多数枚の印刷に耐えられない。フェノール樹脂を結合
樹脂として用いた場合は、形成皮膜が脆弱で、耐刷性が
悪い。酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−
無水マレイン酸共重合体はやはり耐刷性に問題があっ
た。更に、これらの樹脂では、電子写真特性(特に暗中
電荷保持性、光感度)の性能が不充分であった。
【0013】以上のような問題等を解決したとして、特
開昭57−161863号、同58−76843号各公
報には、アクリル酸エステルモノマーもしくはメタクリ
ル酸エステルモノマーとカルボン酸含有モノマ−との共
重合体が開示されている。これらの結合樹脂を用いれば
電子写真式製版用印刷原版として使用することは可能で
ある。しかしながら、前述したとおり、応答速度の遅さ
に起因する近年指摘され始めた問題点(即ち、光感度不
足)は未だ未解決のままであった。
【0014】更には、耐刷性及び光感度を向上したとす
る特公平1−209458号公報等では、芳香族環含有
のアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルと例え
ばカルボン酸の如き酸性基含有の単量体との共重合体が
開示されている。これらの結合樹脂を用いれば、上記の
性能が向上するが、トナー画像部以外の非画像部の光導
電層の除去性が速やかに進行しにくいところに問題があ
り、除去のための条件の厳格な管理が必要であることが
判った。
【0015】即ち、微小面積のトナ−画像部でも溶出す
ることなく、非画像部のみが完全に除去された複写画像
の忠実な再現が行われ、且つ印刷地汚れの生じない印刷
版を作成するための条件が狭いという問題が未解決であ
る。更にこの方式では、非画像部である光導電層全体を
溶出させるために、これらが溶出処理用のアルカリ性処
理液中に蓄積されることから、処理液を連続して多数枚
処理する場合に、凝集物の析出、溶出除去能力の低下等
の問題を生じる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したよ
うな従来技術の有する種々の課題を解決するものであ
り、本発明の請求項1記載の発明の目的は、製版画質及
び印刷画質が良好で、長期間且つ連続して処理しても、
安定した性能の印刷版を得ることができる、新規な電子
写真式製版印刷版の作成方法を提供することにある。更
にレーザー等の走査露光による画像形成に適し、低ラン
ニングコスト化が可能となる該印刷版の作成方法を提供
する。
【0017】本発明の請求項2記載の発明は、請求項1
記載の発明を行うに際し、熱転写が容易で、且つ転写層
の形成及び除去が容易で、低ランニングコスト化に有効
な電子写真式製版印刷版の作成方法を提供することを目
的とする。請求項3記載の発明は、上記の印刷版の作成
にあたり用いることができる、低ランニングコスト化に
好適な電子写真式製版印刷原版作成装置を提供すること
を目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的は、少なくとも
下記の(i)〜(v)の工程; (i)電子写真感光体の表面に、フッ素原子及び/又は
ケイ素原子を少なくとも含有する化合物〔S〕を吸着又
は付着させて、該感光体表面のJIS Z 0237-1980の「粘
着テープ・粘着シート試験法」による粘着力を100gr
am・force(g・f)以下にする工程、(ii)該電子写真感
光体の表面に、化学反応処理で除去可能な樹脂〔A〕か
ら主として成る剥離可能な転写層を形成する工程、(ii
i)電子写真プロセスにより該転写層上にトナー画像を形
成する工程、(iv)印刷時に平版印刷可能な親水性表面
となる被転写材に、該トナー画像を転写層ごと転写する
工程、及び(v)該転写された被転写材の転写層を化学
反応処理により除去する工程、を行うことを特徴とする
電子写真式製版印刷版の作成方法によって達成される事
が見出された。
【0019】即ち、本発明の電子写真式製版印刷版の作
成方法は、そのプロセスの概要を示した図1に示すよう
に、少なくとも支持体1及び感光層2からなる電子写真
感光体11の表面に、フッ素原子及び/又はケイ素原子
を少なくとも含有する化合物〔S〕を吸着又は付着させ
ることで感光体11表面に離型性(剥離性)を付与す
る。この上に、化学反応処理で除去可能であって且つ剥
離可能な転写層12を形成した後、通常の電子写真プロ
セスでトナー画像25を形成し、オフセット印刷版に供
される支持体と同様の支持体である被転写材16に、熱
転写によりトナー画像25を転写層12ごと転写し、印
刷原版とする。次いで、上記と同一の装置内で又は該装
置とは別途に、この被転写材16に転写された転写層1
2を化学反応処理で親水化し、転写層12を溶解又は膨
潤して脱離することによって除去することで平版印刷版
とするものである。
【0020】従来の印刷版は感光体そのものの表面を改
質して、例えば、感光層を親水化処理したり、感光層を
溶出させて表面親水性支持体を露出させることにより、
非画像部の親水化を行っていたのに対して、本発明で
は、転写層12を親水性表面を有する他の支持体(被転
写材)16上にトナー画像25ごと転写させた後、転写
層12を化学処理により除去するという、従来とは全く
視点の異なった方法で印刷版を作成するものである。
【0021】かつ、電子写真感光体11の表面に本発明
の化合物〔S〕を吸着又は付着させることにより、容易
に感光体11の表面が離型性を有する表面状態に改質さ
れ、用いる電子写真感光体表面に離型性を付与させるた
めの特定の技術を必要としない。また、前述の如く、本
発明に供される転写層12は、電子写真プロセスにより
トナー画像25を形成するまでは電子写真特性(帯電
性、暗中電荷保持率、光感度等)を劣化させないこと、
良好な複写画像を形成し、次の転写プロセスでは被転写
材16の種類によらず容易に被転写材16に転写する性
質を有していること、更には、印刷版とするために化学
反応処理により溶解又は膨潤して脱離することで容易に
除去されること等が必要である。この様な特性を満足す
る転写層として、本発明の化学反応処理で除去可能な樹
脂〔A〕から主としてなる転写層を用いることが有効で
あることが判った。特に、ガラス転移点140℃以下又
は軟化点180℃以下の樹脂であることが好ましい。
【0022】本発明において、上記転写層12の形成
は、電子写真プロセスや転写プロセスと別個の装置で行
ってもよいし、電子写真プロセスと同一装置内で感光体
11上にその都度形成してもよい。特に、請求項2記載
の様に、少なくとも上記(i)〜(iv)の工程を同一装
置内で行うことにより、感光体に離型性を付与した後、
その都度転写層12が感光体11上に形成され、更に被
転写材16上に転写剥離されるため、転写層12を剥離
させた後の感光体11を該装置内で繰り返し用いること
ができ、感光体を使い捨てることなく、該装置内で電子
写真プロセスを連続して行うことができ、低ランニング
コスト化を可能にする点で有利である。
【0023】該剥離可能な転写層12は、請求項2記載
のように、熱溶融塗布、剥離紙からの転写、静電的に付
着及び/又は電着のいずれかの方法により形成されるこ
とが好ましい。上記の様な低ランニングコスト化に有効
な装置は、請求項3記載の如く、電子写真感光体の表面
に、フッ素原子及び/又はケイ素原子を少なくとも含有
する化合物〔S〕を吸着又は付着する手段、該感光体表
面上に化学反応処理で除去可能な樹脂〔A〕から主とし
て成る剥離可能な転写層を形成する手段、電子写真プロ
セスにより該転写層上にトナー画像を形成する手段、及
び被転写材に該トナー画像を転写層ごと熱転写する手段
を有し、且つ該電子写真感光体を繰り返し用いることを
特徴とする電子写真式製版印刷用原版形成装置である。
【0024】以下に本発明の電子写真式製版印刷版作成
方法について詳しく説明する。第1の工程(i)は、電
子写真感光体表面上に設けた転写層が剥離できる様に、
該感光体表面にフッ素原子及び/又はケイ素原子を少な
くとも含有する化合物〔S〕を吸着もしくは付着させ
て、該感光体表面の、JIS Z 0237-1980の「粘着テープ
・粘着シート試験法」による粘着力を100gram・forc
e(g・f)以下、好ましくは50g・f以下にするものであ
る。これにより、感光体表面に離型性が付与される。
【0025】該粘着力が100g・fを越える場合、後述
のような本発明で用いられる転写条件の範囲では感光体
表面からの転写層の転写が完全に行われず、被転写材の
剥がれや破れを生じてしまい、好ましくない。上記JI
Sの粘着力試験方法において、「試験板」としては、本
発明に供せられる電子写真感光体を用い、引きはがし速
度を120mm/分で巾6mmの粘着テープを用いて測定し、
「粘着力」は10mm巾に比例換算した値を表すものであ
る。
【0026】本発明に供されるフッ素原子及び/又はケ
イ素原子を少なくとも含有する化合物〔S〕は、上記の
値を満足するものであれば、低分子化合物、オリゴマ
ー、ポリマーのいずれの化合物でもよい。また、オリゴ
マー、ポリマーの場合は、フッ素原子及び/又はケイ素
原子を含有する置換基としては、重合体の主鎖に組み込
まれたもの及び重合体の側鎖の置換基として含有された
ものの両者を含めたものである。
【0027】好ましくは、オリゴマー、ポリマーにおい
て、該置換基を含有する繰り返し単位はブロックで含有
されたものが挙げられ、これらは電子写真感光体表面へ
の吸着性及び剥離性が特に有効に発現される。フッ素原
子を含有する置換基としては、例えば、化1等のl価の
有機残基、化2等の二価の有機残基等が挙げられる。
【0028】
【化1】
【0029】
【化2】
【0030】ケイ素原子含有の置換基としては、例えば
化3等の一価又は二価の有機残基等が挙げられる。
【0031】
【化3】
【0032】但し、R31、R32、R33、R34及びR
35は、各々同じでも異なってもよく、置換されていても
よい炭化水素基、−OR36基、−O−Si(R31)
(R32)R33、−COOR37、−CON(R38)R37
は−SR37を表わす。R31、R32、R33、R34及びR35
は、炭素数1〜18のアルキル基〔アルキル基としては
例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノ
ニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラ
デシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基〕、炭素数
7〜14のアラルキル基〔例えば、ベンジル基、フェネ
チル基、3−フェニルプロピル基、α−メチルフェネチ
ル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基等〕、炭素
数5〜8の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロ
ペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シ
クロオクシル基、アダマンチル基、シクロヘキセニル基
等)、炭素数2〜18の脂肪族不飽和基(例えば、エテ
ニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘ
キセニル基、オクテニル基、プロピニル基、ブチニル基
等)又炭素数6〜12の芳香族基(例えば、フェニル
基、ナフチル基等)等の炭化水素基が挙げられる。これ
らの炭化水素基は置換基を含有してもよく、置換基は1
個でも複数個含有してもよく、且ついわゆるヘテロ原子
を含有する総原子数20個以下の1価の有機残基であれ
ばいずれでもよい。
【0033】具体的な置換基としては、ヒドロキシル
基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン原子(フッ素
原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、チオール
基、ホルミル基、ニトロ基、ホスホノ基、−OR′、−
COOR′、−OCOR′、−COR′、−CON
(R″)R′、−N(R″)COR′、−NHCONH
−R′、−NHCOOR′、−SO2R′、−S−R′
等が挙げられる。
【0034】ここでR′は、前記R31と同一の内容の炭
化水素基及びヘテロ環残基(例えば、チエニル基、ピラ
ニル基、モルホリノ基、ピリジル基、ピペリジノ基、イ
ミダゾリル基等)等を表し、R″は水素原子又は前記し
たR31と同一の内容の炭化水素基を表わす。−OR36
において、R36は、上記R31の炭化水素基と同一の内容
を表わす。
【0035】R37、R38は、上記R31の炭化水素基と同
一の内容を表す。又、該フッ素原子及びケイ素原子含有
の有機残基は、組み合わされて構成されてもよく、その
場合には、直接結合してもよいし更には他の連結基を介
して組み合わされてもよい。連結基として具体的には二
価の有機残基が挙げられ、−O−、−S−、−N(d1)
−、−SO−、−SO2−、−COO−、−OCO−、
−CONHCO−、−NHCONH−、−CON(d1)
−、−SO2(d1)−等から選ばれた結合基を介在させて
もよい、二価の脂肪族基もしくは二価の芳香族基、又は
これらの二価の残基の組み合わせにより構成された有機
残基を表わす。ここで、d1は前記R31と同一の内容を
表わす。
【0036】二価の脂肪族基として、例えば化4で示さ
れる各基が挙げられる。
【0037】
【化4】
【0038】ここで、e1及びe2は、互いに同じでも異
なってもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例えば、
塩素原子、臭素原子等)又は炭素数1〜12のアルキル
基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、クロロメ
チル基、ブロモメチル基、ブチル基、ヘキシル基、オク
チル基、ノニル基、デシル基等)を表わす。Qは−O
−、−S−又は−N(d2)−を表し、d2は炭素数1〜
4のアルキル基、−CH2Cl又は−CH2Brを表わ
す。
【0039】二価の芳香族基としては、例えばベンゼン
環基、ナフタレン環基及び5又は6員の複素環基(複素
環を構成するヘテロ原子として、酸素原子、イオウ原
子、窒素原子から選ばれたヘテロ原子を少なくとも1種
含有する)が挙げられる。これらの芳香族基は置換基を
有していてもよく、例えばハロゲン原子(例えばフッ素
原子、塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜8のアルキ
ル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基等)、炭素数1〜6のアル
コキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロピオキ
シ基、ブトキシ基等)が置換基の例としてあげられる。
【0040】複素環基としては、例えばフラン環、チオ
フェン環、ピリジン環、ピペラジン環、テトラヒドロフ
ラン環、ピロール環、テトラヒドロピラン環、1,3−
オキサゾリン環等が挙げられる。
【0041】本発明で用いられるフッ素原子及び/又は
ケイ素原子含有の化合物〔S〕としては、具体的には、
吉田時行等編「新版・界面活性剤ハンドブック」工学図
書(株)刊(1987年)、刈米孝夫監修「最新・界面活性
剤応用技術」(株)シーエムシー(1990年)、伊藤邦雄
編「シリコーン・ハンドブック」日刊工業新聞社刊(19
90年)、刈米孝夫監修「特殊機能界面活性剤」(株)C.
M.C.(1986年)、A.M.Schwartz et al「Surface Active
Agents and Detergents vol.II 」等に記載のフッ素系
及び/又はケイ素系有機化合物が挙げられる。
【0042】更には、本発明の化合物〔S〕は、石川延
男「フッ素化合物の合成と機能」(株)C.M.C.(1987
年)、平野二郎等編「含フッ素有機化合物−その合成と
応用−」(株)技術情報協会(1991年)、石川満夫監修
「有機ケイ素戦略資料」第3章(株)サイエンスフォー
ラム(1991年)等の文献に記載の合成方法を利用して、
前記物性を満たす本発明の化合物〔S〕を合成すること
ができる。
【0043】また、オリゴマー又はポリマーとしてフッ
素原子及び/又はケイ素原子を含有する置換基を含む重
合体成分の具体例を以下に例示する。しかし、本発明の
範囲はこれらに限定されるものではない。以下の(F−
1)〜(F−32)における各具体例においてRfは、
下記に示す(1)〜(11)のいずれかの基を示し、b
は水素原子、メチル基又はトリフロロメチル基を表わ
す。
【0044】
【化5】
【0045】但し、上記(1)〜(11)において、R
f′は上記(1)〜(8)で示される基を示し、nは1
〜18の整数を示し、mは1〜18の整数を示し、lは
1〜5の整数を示す。
【0046】
【化6】
【0047】
【化7】
【0048】
【化8】
【0049】
【化9】
【0050】
【化10】
【0051】本発明の化合物〔S〕がオリゴマーもしく
はポリマーの場合、いわゆるブロック共重合体として、
好ましい態様を以下に説明する。即ち、化合物〔S〕に
おいて、フッ素原子及び/又はケイ素原子含有の重合体
成分がブロックで構成されていれば、いずれでもよい。
ここでブロックで構成するとは、フッ素原子及び/又は
ケイ素原子を有する成分を70重量%以上含有する重合
体セグメントを重合体中に有していることをいい、例え
ば化11に示すようなA−B型ブロック、A−B−A型
ブロック、B−A−B型ブロック、グラフト型ブロック
あるいはスター型ブロック等が挙げられる。
【0052】
【化11】
【0053】これらの各種ブロック共重合体〔S〕は、
従来公知の重合方法に従って合成することができる。例
えば、W. J. Burlant, A. S. Hoffman「Block and Graf
t polymers」(1986年, Reuhold),R. J. Cevesa「Bloc
k and Graft Copolymers」(1962年,Butterworths),
D. C. Allport, W. H. James 「Block Copolymers」(1
972年, Applied Sci), A. Noshay, J. E. McGrath「Blo
ck Copolymers」(1977年, Academis Press.), G. Huvt
erg, D. J. Wilson, G. Riess, NATO ASIser. SerE. 19
85, 149, V. Perces, Applide. Polymer Sci. 285, 95
(1985)等の成書、総説に記載されている。例えば、有
機金属化合物(例えばアルキルリチウム類、リチウムジ
イソプロピルアミド、アルカリ金属アルコラート類、ア
ルキルマグネシウムハライド類、アルキルアルミニウム
ハライド類等)等を重合開始剤とするイオン重合反応に
ついては、T. E. Hogeu-Esch, J. Smid 「Recent Advan
ces in Anion Polymerization 」(1987年、Elsevier N
ew York)、岡本佳男、高分子、38、912 (1989)、澤本光
男、高分子、38、1018 (1989)、成田正、高分子、37
252 (1988)、B. C. Anderson, et al., Macromolecules
14, 1601 (1981), S. Aoshima, T. Higasimura, Macrom
olecules 22, 1009 (1989)等に具体的に記載されてい
る。
【0054】また、ヨウ化水素/ヨウ素系等によるイオ
ン重合反応については、T. Higasimura et al., Macrom
ol. Chem., Macromol. Symp., 1314, 457 (1988)、東
村敏延、澤本光男、高分子論文集46, 189 (1989)等に記
載されている。グループ移動重合反応については、D.
Y. Sogah et al., Macromolecules, 20, 1473 (1987),
O. W. Webster, D. Y. Sogah, 高分子、36, 808 (198
7), M. T. Reetg et al., Angew. Chem. Int. Ed. Eug
l. 25, 9108 (1986)、特開昭63−97609号等に
記載されている。
【0055】金属ポルフィリン錯体を用いたリビング重
合反応については、T. Yasuda, T.Aida, S. Inoue, Mac
romolecules, 17, 2217 (1984), M. Kuroki, T. Aida,
S. Inoue, T. Ann. Chem. Soc. 109, 4737 (1987), M.
Kuroki et al., Macromolecules, 21, 3115 (1988), M.
Kuroki, I. Inoue, 有機合成化学, 47, 1017 (1989)
等に記載されている。
【0056】更には、環状化合物の開環重合反応につい
ては、S. Kobayasi, T. Saegusa 「Ring Opening Polym
erization」(1984年,Applied Science Publishers Lt
d),W. Seeliger et al., Angew. Chem. Int. Ed. Engl.
5, 875 (1966), S. Kobayasi et al., Poly. Bull. 13,
447 (1985), Y. Chujo et al., Macromolecules, 22,
1074 (1989)等に記載されている。
【0057】金属ポルフィリン錯体を用いたリビング重
合反応については、T. Yasuda, T.Aida, S. Inoue, Mac
romolecules, 17, 2217 (1984), M. Kuroki, T. Aida,
S. Inoue, T. Ann. Chem. Soc. 109, 4737 (1987), M.
Kuroki et al., Macromolecules, 21, 3115 (1988), M.
Kuroki, I. Inoue, 有機合成化学, 47, 1017 (1989)
等に記載されている。
【0058】更には、環状化合物の開環重合反応につい
ては、S. Kobayasi, T. Saegusa 「Ring Opening Polym
erization 」(1984年,Applied Science Publishers L
td),W. Seeliger et al., Angew. Chem. Int. Ed. Eng
l.5, 875 (1966), S. Kobayasi et al., Poly. Bull. 1
3, 447 (1985), Y. Chujo et al., Macromolecules,22,
1074 (1989)等に記載されている。
【0059】更には、ジチオカーバメイト化合物又はザ
ンテート化合物等を開始剤として用いる光リビング重合
反応については、大津隆行、高分子、37, 248 (1988),
檜森俊一、大津隆一、Polym. Rep. Jap. 37, 3508 (198
8)、特開昭64−111号、特開昭64−26619
号、M. Niwa, Macromolecules, 189, 2187 (1988) 等に
記載されている。
【0060】他方、アゾ基又は過酸化基を含有する高分
子を開始剤とするラジカル重合反応によってブロック共
重合体を合成する方法が、上田明等、高分子論文集、3
3, 931 (1976)、上田明、大阪市立工業研究所報告84 (1
989), O. Nuyken et al., Macromol. Chem., Rapid. Co
mmun. 9, 671 (1988)、森屋泰夫等「強化プラスチッ
ク」29, 907 (19 )、小田良平「科学と工業」61, 43
(1987)等に記載されている。
【0061】グラフト型ブロック共重合体の合成につい
ては、前記した成書、総説に加えて、更に井手文雄「グ
ラフト重合とその応用」(1977年、高分子刊行会)、高
分子学会編「ポリマー・アロイ」(1981年、東京化学同
人)等に記載されている。例えば、高分子鎖を、重合開
始剤、化学的活線(放射線、電子線等)、機械的応用化
でのメカノケミカル反応等でグラフト化する方法、高分
子鎖と高分子鎖の官能基を利用して、化学結合(いわゆ
る高分子間反応)しグラフト化する方法、及びマクロモ
ノマーを用いて重合反応し、グラフト化する方法等が知
られている。
【0062】高分子を用いてグラフト化する方法とし
て、具体的には、T. Shota et al., J. Appl. Polym. S
ci. 13, 2447 (1969), W. H. Buck, Rubber Chemistry
and Technology, 50, 109 (1976)、遠藤剛、植沢勉、日
本接着協会誌、24, 323 (1988)、遠藤剛、ibid. 25, 40
9 (1989)等に記載されている。また、マクロモノマーを
用いて重合反応しグラフト化する方法として、具体的に
は、P. Dreyfuss & R. P. Quirk, Encycl. Polym. Sci.
Eng., 7, 551 (1987), P. F. Rempp, E. FraNTA, Adv.
Polym. Sci., 58, 1 (1984), V. Percec, Appl. Poly.
Sci., 285, 95 (1984), R. Asami, M. Takari, Macrom
ol. Chem. Suppl., 12, 163 (1985), P. Rempp. et a
l., Macromol. Chem. Suppl., 8, 3 (1985), 川上雄
資,化学工業,38, 56 (1987), 山下雄也,高分子, 3
1, 988 (1982), 小林四郎, 高分子, 30, 625 (1981),
東村敏延, 日本接着協会誌, 18, 536 (1982), 伊藤浩
一, 高分子加工, 35, 262 (1986), 東貴四郎, 津田隆,
機能材料,1987, No.10, 5, 山下雄也編著「マクロモノ
マーの化学と工業」(1989年, アイ・ピーシー(株)),
遠藤剛編著「新しい機能性高分子の分子設計」第4章
(1991年, C. M. C.(株)), Y. Yamashita et al., Pol
ym. Bull. 5, 361 (1981)等に記載されている。
【0063】スター型ブロック共重合体の合成方法は、
例えばM. T. Reetz, Angew. Chem.Int. Ed. Engl., 27,
1373 (1988), M. Sgwarc「Carbanions, Living Polyme
rsand Electron Transfer Processes 」(1968年, Wile
y. New York), B. Gordonet al., Polym. Bull. 11, 34
9 (1984), R. B. Bates et al., J. Org. Chem. 44, 38
00 (1979), Y. Sogah, A. C. S. Polym. Rapr. 1988, N
o.2, 3, J. W. Mays. Polym. Bull. 23, 247 (1990),
I. M. Khan et al., Macromolecules, 21, 2684 (198
8), A. Morikawa, Macromolecules, 24, 3469 (1991),
上田明,永井透, 高分子, 39, 202 (1990), T. Otsu, P
olym. Bull. 11, 135 (1984)等に記載されている。
【0064】しかしながら、本発明のブロック共重合
体、化合物〔S〕の合成法はこれらの方法に限定される
ものではない。
【0065】以上の様な化合物〔S〕を電子写真感光体
表面11に吸着もしくは付着させる方法(i)は、従来
公知のいずれの方法でもよく、本発明に用いられる装置
内に適宜組み込める態様にして用いればよい。例えば、
原崎勇次「コーティング工学」(株)朝倉書店(1971年
刊)、原崎勇次「コーティング方式」槇書店(1979年
刊)、深田寛「ホットメルト接着の実際」(株)高分子
刊行会(1979年刊)等に記載のエアドクターコーター、
ブレードコーター、ナトフコーター、スクイズコータ
ー、含浸コーター、リバースロールコーター、トランフ
ァーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコ
ーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレン
ダーコーター等の各方式等が挙げられる。
【0066】また、化合物〔S〕を含浸させた布、紙、
フェルト等を密接させる方法、化合物〔S〕を含浸させ
た硬化性樹脂を圧接させる方法、化合物〔S〕を溶解し
た非水溶媒で感光体を濡らした後、該溶媒を乾燥させる
方法、化合物〔S〕を分散させた非水溶媒を後述の湿式
電着法と同様にして電気泳動させて付着させる方法等も
挙げられる。
【0067】更には、インキジェット方式により化合物
〔S〕の非水溶液を感光体表面に一様に濡らした後、乾
燥させることにより吸着又は付着させることができる。
インキジェット方式による方法は、例えば大野信編集
「ノンインパクトプリンティング」(株)C.M.C.(1986
年刊)記載の原理及び手段によって達成される。例えば
連続噴射型のSweet方式、Hertz方式、間欠噴射型のWins
ton方式、インクオンデマンド型のパルスジェット方
式、バブルジェット方式、インキミスト型のミスト方式
などが挙げられる。
【0068】いずれもインキの代わりに化合物〔S〕を
直接あるいは溶媒に希釈して、インキタンク及び/又は
インキヘッドカートリッジ部に充填して用いる。通常イ
ンキの粘度は1〜10cP、表面張力は30〜60dyne/
cmで、必要により界面活性剤等を加えても良く、又イン
キを加熱しても良い。従来のインキジェットプリンター
は、文字描画精細化のためにヘッドのオリフィス系を3
0〜100μm程度としており、飛翔インキの粒径も同
程度となっているが、本発明においてはこれよりも大き
くとも良い。この場合にはインキの吐出量が多くなるの
で、塗布にかかる時間を短縮できる。更にマルチノズル
化及び又はマルチノズル化する事も塗布時間短縮のため
に極めて有効である。
【0069】一方、化合物〔S〕としてシリコーンゴム
を用いる事ができる。好ましくは金属芯ローラーに巻い
てシリコーンゴムローラーとし、これを直接感光体表面
に押し当てても良い。ニップ圧は0.5〜10kgf/c
m2、接触時間は1秒〜30分間で良い。又この時感光体
及び/又はシリコーンゴムローラーは150℃以下に加
熱されていても良い。押圧によりシリコーンゴム内の低
分子量成分の一部が、ローラー表面から感光体表面へ転
移するものと思われる。又シリコーンゴムはシリコーン
オイルで膨潤されたものでも良い。シリコーンゴムは更
にスポンジ状であっても、そのスポンジローラーに更に
シリコーンオイル、シリコーン界面活性剤溶液等を含浸
させてあっても良い。
【0070】本発明では、これらの方法は特に限定され
るものでなく、用いる化合物〔S〕の状態(液体、ワッ
クス状体、固体)によって各種方式が選択され、必要な
らば加熱媒体を併用して、用いる化合物〔S〕の流動性
を調整することもできる。本発明においては、化合物
〔S〕が電子写真感光体上に吸着又は付着し、該表面の
粘着力が100g・f以下となればよく、本発明の印刷原
版作成における上記(i)〜(iv)の工程において、常
に工程(i)を繰り返す必要はない。
【0071】即ち、用いる感光体及び化合物〔S〕の吸
着もしくは付着による粘着力100g・f以下を保持でき
る能力及びその手段の組合せで、適宜選択される様にす
ればよい。また、化合物〔S〕の該感光体表面への吸着
又は付量の量は、特に規定されるものではないが、感光
体の電子写真特性への悪影響が実用上問題とならなけれ
ばよい。通常塗膜膜厚で1μm以下で充分であり、本発
明の粘着力の発現は「Weakboundary Layer」(Bikerman
"The Science of Adhesive Joints" Academic Press
(1961年刊) により定義)の状態で充分である。
【0072】次に本発明に用いられる転写層12及び該
転写層12を感光体11上に形成する方法(ii)につい
て詳しく説明する。本発明の転写層12は、熱可塑性樹
脂〔A〕から主として構成され、且つ光透過性のもので
あり、且つ電子写真感光体の分光感度領域の波長光の少
なくとも一部に対して透過性を有するものであれば、特
に限定されるものではなく、着色されていてもよい。被
転写材料16に転写後の画像がカラー画像である場合に
は、通常無色で透明な転写層を用いる。
【0073】また、該転写層12は、上記の如く、剥離
性表面を有する電子写真感光体11から印刷用の支持体
となる被転写材15に剥離転写して得られた製版原版を
印刷版とするために、化学反応処理により溶出除去され
る機能を有する層である。本発明に供される転写層12
を構成する主成分の樹脂〔A〕は、好ましくはガラス転
移点140℃以下又は軟化点180℃以下、より好まし
くはガラス転移点100℃以下又は軟化点150℃以下
であって、化学反応処理により溶出される樹脂である。
【0074】また、本発明の転写層12は、180℃以
下の温度及び/又は30kgf/cm2以下の圧力、より好ま
しくは160℃以下の温度及び/又は20kgf/cm2以下
の圧力で密着して剥離可能となることが好ましい。この
条件を越えると、転写層を感光体表面から剥離・転写す
るための装置中の熱容量及び圧力を維持するための装置
が大型化し、更に転写スピードが極めて遅くなり、好ま
しくない。また、上記条件は、室温以上の温度及び/又
は0.1kgf/cm2以上の圧力であることが好ましい。
【0075】本発明の樹脂〔A〕は、更に、ガラス転移
点又は軟化点の異なる少なくとも2種の樹脂を併用する
ことが好ましい。特に、ガラス転移点30℃〜140℃
又は軟化点35℃〜180℃の樹脂〔AH〕及びガラス
転移点−30℃〜40℃又は軟化点0℃〜45℃の樹脂
〔AL〕から主としてなり、且つ該樹脂〔AH〕と該樹
脂〔AL〕とのガラス転移点又は軟化点の差が2℃以上
であることが好ましい。
【0076】更に、該樹脂〔AH〕は、好ましくはガラ
ス転移点30℃〜120℃又は軟化点38℃〜160℃
であり、より好ましくはガラス転移点35℃〜90℃又
は軟化点40℃〜120℃であり、該樹脂〔AL〕は、
好ましくはガラス転移点−25℃〜38℃又は軟化点5
℃〜40℃であり、より好ましくはガラス転移点−20
℃〜33℃又は軟化点10℃〜35℃である。更に好ま
しくは、樹脂〔AL〕のガラス転移点又は軟化点は、樹
脂〔AH〕より5℃以上低いものである。
【0077】ここで、樹脂粒子〔AH〕又は樹脂粒子
〔AL〕が2種以上含有される場合におけるガラス転移
点又は軟化点の差は、樹脂粒子〔AH〕中の最もガラス
転移点又は軟化点の低いものと、樹脂粒子〔AL〕中の
最もガラス転移点又は軟化点の高いものとの差をいうも
のである。
【0078】また、転写層12中、樹脂〔AH〕と樹脂
〔AL〕との存在割合は5〜90/95〜10(重量
比)、特に、10〜70/90〜30(重量比)で構成
されることが好ましい。樹脂〔AH〕/〔AL〕の存在
比が上記範囲をはずれると、いずれの場合も転写層の被
転写材料への転写性が不充分となる傾向にある。
【0079】更に、本発明の転写層12は、感光体表面
上に高ガラス転移点の樹脂〔AH〕から成る第1の層
と、その上に低ガラス転移点の樹脂〔AL〕から成る第
2の層との重層で形成されることが好ましい。このこと
により、被転写材への転写性が一層向上し、転写時の条
件(加熱温度、圧力、搬送スピード等)のラチチュード
が拡大するとともに、被転写材の種類を選ばずに容易に
転写させることが可能となる。更に、被転写材に転写さ
れた転写層の表面側は、高ガラス転移点の樹脂〔AH〕
で構成されることで、トナー画像を形成し、被転写材に
転写した版とした場合、転写層を化学反応処理で除去す
る前の版を重ねて放置等した時に、転写層と重ね合わせ
た上の版の裏側と密着して剥がれを生じる(いわゆる重
置き版適性)等の問題が解消される。
【0080】転写層12を構成する樹脂〔A〕として
は、前記の熱物性を有し、化学反応処理で除去可能な樹
脂であれば、いずれでもよい。化学反応処理で除去可能
な樹脂〔A〕とは、化学反応処理により溶解及び/又は
膨潤して除去される樹脂、並びに化学反応処理により親
水化されその結果溶解/又は膨潤して除去される樹脂を
包含する。
【0081】化学反応処理により除去される樹脂〔A〕
の代表例は、アルカリ性処理液で除去し得る樹脂であ
り、特に有用な樹脂は重合体成分に極性基を含有する樹
脂である。また、他の代表例としては、親水性基を保護
基で保護した形で含有しており、化学反応により親水性
基を発現させ得る樹脂が挙げられる。官能基を親水性基
に変換し得る化学反応は、従来公知の加水分解反応、加
水素分解反応、加酸素分解反応、β−脱離反応、求核置
換反応等を利用した処理液による親水化反応、又は「化
学的活性光線」の照射を受けて分解反応することによる
親水化反応のいずれでもよい。
【0082】具体的には、該樹脂〔A〕は、下記内容の
重合成分(a)及び重合成分(b)から選ばれる重合成
分の少なくとも1種を含有する重合体が挙げられる。重
合成分(a)としては、−CO2H基、−CHO基、−
SO3H基、−SO2H基、−P(=O)(OH)R1{R1
は−OH基、炭化水素基又は−OR2(R2は炭化水素基
を表す)基を表す}基、フェノ−ル性OH基、環状酸無
水物含有基、−CONHCOR3(R3は炭化水素基を表
す)基及び−CONHSO23基から選ばれる少なくと
も1つの基を含有する重合体成分であり、重合成分
(b)としては、化学反応処理で−CO2H基、−CH
O基、−SO3H基、−SO2H基、−P(=O)(OH)
1{R1 は上記と同一の内容を表す}基及び−OH基
のうちの少なくとも1つの基を生成する官能基を少なく
とも1種含有する重合体成分である。
【0083】ここで、−P(=O)(OH)R1は、下記
化12で表わされる基を示す。R1は−OH基、炭化水
素基又は−OR2基(R2は炭化水素基を表す)を表し、
具体的にはR1 は置換されていてもよい炭素数1〜12
の脂肪族基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシ
ル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−メト
キシエチル基、3−エトキシプロピル基、アリル基、ク
ロトニル基、ブテニル基、シクロヘキシル基、ベンジル
基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、メチルベ
ンジル基、クロロベンジル基、フロロベンジル基、メト
キシベンジル基等)又は置換されていてもよいアリール
基(フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、プロピ
ル−メチル−フェニル基、ジクロロフェニル基、メトキ
シフェニル基、シアノフェニル基、アセトアミドフェニ
ル基、アセチルフェニル基、ブトキシフェニル基等)等
である。R2はR1と同一の内容を表す。
【0084】
【化12】
【0085】−CONHCOR3基及び−CONHSO2
3基におけるR3は炭化水素基を表し、具体的には、R
1と同様の内容を表す。また、環状酸無水物含有基と
は、少なくとも1つの環状酸無水物を含有する基であ
り、含有される環状酸無水物としては、脂肪族ジカルボ
ン酸無水物、芳香族ジカルボン酸無水物が挙げられる。
【0086】脂肪族ジカルボン酸無水物の例としては、
コハク酸無水物、グルタコン酸無水物環、マレイン酸無
水物環、シクロぺンタン−1,2−ジカルボン酸無水物
環、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物環、
シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物環、2,
3−ビシクロ〔2.2.2〕オクタジカルボン酸無水物
環等が挙げられ、これらの環は、例えば塩素原子、臭素
原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、ブチル
基、ヘキシル基等のアルキル基等が置換されていてもよ
い。芳香族ジカルボン酸無水物の例としては、フタル酸
無水物環、ナフタレン−ジカルボン酸無水物環、ピリジ
ン−ジカルボン酸無水物環、チオフェン−ジカルボン酸
無水物環等が挙げられ、これらの環は、例えば塩素原
子、臭素原子等のハロゲン原子、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基等のアルキル基、ヒドロキシル
基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシカルボニル基(ア
ルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基
等)等が置換されていてもよい。
【0087】重合体成分(a)は、前記した様な特定の
極性基を含有する共重合成分であればよく、特に限定さ
れるものではない。極性基含有の共重合成分の具体例
は、該極性基を含有するビニル系化合物であればいずれ
でもよく、例えば、高分子学会編「高分子データ・ハン
ドブック〔基礎編〕」培風館(1986年刊)等に記載され
ている。具体的には、アクリル酸、α及び/又はβ置換
アクリル酸(例えばα−アセトキシ体、α−アセトキシ
メチル体、α−(2−アミノ)メチル体、α−クロロ
体、α−ブロモ体、α−フロロ体、α−トリブチルシリ
ル体、α−シアノ体、β−クロロ体、β−ブロモ体、α
−クロロ−β−メトキシ体、α,β−ジクロロ体等)、
メタクリル酸、イタコン酸、イタコン酸半エステル類、
イタコン酸半アミド類、クロトン酸、2−アルケニルカ
ルボン酸類(例えば2−ペンテン酸、2−メチル−2−
ヘキセン酸、2−オクテン酸、4−メチル−2−ヘキセ
ン酸、4−エチル−2−オクテン酸等)、マレイン酸、
マレイン酸半エステル類、マレイン酸半アミド類、ビニ
ルベンゼンカルボン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、ビ
ニルスルホン酸、ビニルホスホン酸、ジカルボン酸類の
ビニル基又はアリル基の半エステル誘導体及びこれらの
カルボン又はスルホン酸のエステル誘導体、アミド誘導
体の置換基中に該極性基を含有する化合物等が挙げられ
る。
【0088】以下に極性基含有の共重合成分(a)につ
いて例示する。ここで、R4は−H又は−CH3を示し、
5は−H、−CH3又は−CH2COOCH3を示し、R
6は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R7は炭素数1〜
6のアルキル基、ベンジル基又はフェニル基を示し、e
は1又は2の整数を示し、fは1〜3の整数を示し、g
は2〜11の整数を示し、hは1〜11の整数を示し、
iは2〜4の整数を示し、jは2〜10の整数を示す。
【0089】
【化13】
【0090】
【化14】
【0091】
【化15】
【0092】
【化16】
【0093】
【化17】
【0094】
【化18】
【0095】
【化19】
【0096】次に、重合体成分(b)について説明す
る。重合体成分(b)は、化学反応により少なくとも1
個の親水性基〔−CO2H基、−CHO基、−SO3
基、−SO2H基、−P(=O)(OH)R1{R1は−O
H基、炭化水素基又は−OR2(R2は炭化水素基を表
す)基を表す}基及び−OH基〕を生成する官能基を少
なくとも1種含有する重合体成分である。1つの官能基
から化学反応により生成する親水性基は1個でも2個以
上でもよい。
【0097】まず、化学反応により少なくとも1つのカ
ルボキシル基を生成する官能基について説明する。本発
明の1つの好ましい態様によれば、カルボキシル基生成
官能基としては、例えば、下記一般式(I)で示される
官能基が挙げられる。 一般式(I) 〔−COO−L1 〕 〔一般式(I)において、L1 は化20を表わす。〕
【0098】
【化20】
【0099】但し、R11及びR12は互いに同じでも異な
っていてもよく、水素原子又は脂肪族基を表わし、Xは
芳香族基を表わし、Zは水素原子、ハロゲン原子、トリ
ハロメチル基、アルキル基、−OH基、−NO2基、−
SO2−Z1(但し、Z1は炭化水素基を示す)基、−CO
O−Z2(但し、Z2は炭化水素基を示す)基、−O−Z3
(但し、Z3は炭化水素基を示す)又は−CO−Z4(但
し、Z4は炭化水素基を示す)基を表わし、n、mは
0、1又は2を表わす。
【0100】A1及びA2は同じでも異なっていてもよ
く、Hammetの置換基定数σ値が正の値を示す電子吸引性
基を表わす。R13は水素原子又は炭化水素基を表わす。
14、R15及びR16は、互いに同じでも異なっていても
よく、炭化水素基又は−O−Z5(但し、Z5は炭化水素
基を示す)基を表わす。
【0101】Y1は酸素原子又はイオウ原子を表わし、
17、R18及びR19は同じでも異なっていてもよく、各
々水素原子又は脂肪族基を表わし、pは3又は4の整数
を表わす。Y2は環状イミド基を形成する有機残基を表
わす。R20及びR21は、互いに同じでも異なっていても
よく、R14と同一の内容を表す。
【0102】以下更に詳しく説明する。R11、R12は互
いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは水素原
子、又は置換されてもよい炭素数1〜12の直鎖状又は
分枝状アルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、クロロメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロ
メチル基、トリフルオロメチル基、ブチル基、ヘキシル
基、オクチル基、デシル基、ヒドロキシエチル基、3−
クロロプロピル基等)を表わし、Xは好ましくは置換さ
れてもよいフェニル基又はナフチル基(例えばフェニル
基、メチルフェニル基、クロロフェニル基、ジメチルフ
ェニル基、クロロメチルフェニル基、ナフチル基等)を
表わし、Zは好ましくは水素原子、ハロゲン原子(例え
ば塩素原子、フッ素原子等)、トリハロメチル基(例え
ばトリクロロメチル基、トリフルオロメチル基等)、炭
素数1〜12の置換されてもよい直鎖状又は分枝状アル
キル基(例えばメチル基、クロロメチル基、ジクロロメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、テトラフルオロエチル基、オクチル基、シアノエチ
ル基、クロロエチル基等)、−CN基、−NO2 基、−
SO2 −Z1〔Z1は脂肪族基(例えば炭素数1〜12の
置換されてもよいアルキル基:具体的にはメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、クロロエチル基、ペン
チル基、オクチル基等、炭素数7〜12の置換されても
よいアラルキル基:具体的にはベンジル基、フェネチル
基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基、クロロフ
ェネチル基、メチルフェネチル基等)又は芳香族基(例
えば置換基を含有してもよいフェニル基又はナフチル
基:具体的には、フェニル基、クロロフェニル基、ジク
ロロフェニル基、メチルフェニル基、メトキシフェニル
基、アセチルフェニル基、アセトアミドフェニル基、メ
トキシカルボニルフェニル基、ナフチル基等)を表わ
す〕基、−COO−Z2(Z2は上記Z1と同義である)
基、−O−Z3(Z3は上記Z1と同義である)基又は−C
O−Z4(Z4は上記Z1と同義である)基を表わす。n、
mは各々0、1又は2を表わす。
【0103】R14、R15、R16は互いに同じでも異なっ
ていてもよく、好ましくは炭素数1〜18の置換されて
もよい脂肪族基〔脂肪族基はアルキル基、アルケニル
基、アラルキル基又は脂環式基を示し、置換基としては
例えばハロゲン原子、−CN基、−OH基、−O−Z
6(Z6はアルキル基、アラルキル基、脂環式基、アリー
ル基を示す)基等が挙げられる〕、炭素数6〜18の置
換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、トリル
基、クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセトア
ミドフェニル基、ナフチル基等)又は−O−Z5(Z5
置換されてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換さ
れてもよい炭素数2〜12のアルケニル基、置換されて
もよい炭素数7〜12のアラルキル基、炭素数5〜18
の置換されてもよい脂環式基、炭素数6〜18の置換さ
れてもよいアリール基を示す)基を表わす。
【0104】A1、A2は互いに同じでも異なっていても
よく、各々少なくとも一方が電子吸引基であり、−
1、−A2のHammetのσp値の和が0.45以上であればよ
い。ここで言う電子吸引基の例としては、例えばアシル
基、アロイル基、ホルミル基、アルコキシカルボニル
基、フェノキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、
アロイルスルホニル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン
原子、ハロゲン化アルキル基、カルバモイル基等が挙げ
られる。
【0105】Hammetのσp値は、通常置換基の電子吸引
・供与の度合いを見積もる指標として用いられており、
+側に大きいほど強い電子吸引基として扱われる。各置
換基に対する具体的な数値については、稲本直樹著「ハ
メット則―構造と反応性」丸善(1984年刊)等に記載さ
れている。また、この系におけるHammetのσp値は加成
性が成り立つと考えられ、−A1、−A2の両方が電子吸
引基である必要はない。従って、一方、例えば−A1
電子吸引基である場合、他方の−A2の置換基は、−
1、−A2のσp値の和が0.45以上になるものであれば
いずれでもよく、特に制限されるない。
【0106】R13は炭素数1〜8の置換されていてもよ
い炭化水素基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、アリル基、ベンジル基、フェネチル基、2−ヒド
ロキシエチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシ
エチル基、3−メトキシプロピル基、2−クロロエチル
基等が挙げられる。
【0107】Y1は酸素原子又はイオウ原子を表わす。
17、R18及びR19は互いに同じでも異なっていてもよ
く、好ましくは水素原子、置換されてもよい炭素数1〜
18の直鎖状又は分枝状アルキル基(例えばメチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、クロロ
エチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基
等)、置換されてもよい脂環式基(例えばシクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基等)、置換されてもよい炭素数
7〜12のアラルキル基(例えばベンジル基、フエネチ
ル基、クロロベンジル基、メトキシベンジル基等)、置
換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、ナフチル
基、クロロフェニル基、トリル基、メトキシフェニル
基、メトキシカルボニルフェニル基、ジクロロフェニル
基等)又は−O−Z7(Z7は炭化水素基を表わし、具体
的には上記R14、R15、R16の炭化水素基と同一の置換
基類を示す)を表わす。pは3又は4の整数を表わす。
【0108】Y2は、環状イミド基を形成する有機残基
を表わす。好ましくは、一般式(A)又は一般式(B)
で示される有機残基を表わす。
【0109】
【化21】
【0110】
【化22】
【0111】式(A)中、R22及びR23は各々同じでも
異なっていてもよく、各々水素原子、ハロゲン原子(例
えば塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜18の置換さ
れてもよいアルキル基{例えばメチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル
基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2
−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−シアノ
エチル基、3−クロロプロピル基、2−(メタンスルホ
ニル)エチル基、2−(エトキシオキシ)エチル基
等}、炭素数7〜12の置換されてもよいアラルキル基
(例えばベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロ
ピル基、メチルベンジル基、ジメチルベンジル基、メト
キシベンジル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基
等)、炭素数3〜18の置換されてもよいアルケニル基
(例えばアリル基、3−メチル−2−プロペニル基、2
−ヘキセニル基、4−プロピル−2−ペンテニイル基、
12−オクタデセニル基等)、−S−Z8{Z8は前記R
22又はR23のアルキル基、アラルキル基、アルケニル基
と同一の内容を表わす置換基、又は置換されてもよいア
リール基(例えばフェニル基、トリル基、クロロフェニ
ル基、ブロモフェニル基、メトキシフェニル基、エトキ
シフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基等)を表
す}基又は−NH−Z9(Z9は前記Z8と同一の内容を表
わす)基を表わす。又、R22とR23で環を形成する残基
を表わしてもよい{例えば5又は6員環の単環(例えば
シクロペンチル環、シクロヘキシル環)、又は5又は6
員環のビシクロ環(例えばビシクロヘプタン環、ビシク
ロヘプテン環、ビシクロオクタン環、ビシクロオクテン
環等)、更にはこれらの環は置換されていてもよく、置
換基としてはR22、R23で前記した内容と同一のものを
含む}。qは2又は3の整数を表わす。
【0112】式(B)中、R24、R25は同一でも異なっ
てもよく、前記R22、R23と同一の内容を表わす。更に
は、R24とR25は連続して芳香族環を形成する有機残基
を表わしてもよい(例えばベンゼン環、ナフタレン環
等)。また、前記一般式(I)において、R20及びR21
は前記R16と同一の内容を表す。
【0113】更に、本発明の好ましい他の1つの態様と
して、下記一般式(II)で示されるオキサゾロン環を挙
げることができる。
【0114】
【化23】
【0115】一般式(II)において、R26、R27は互い
に同じでも異なっていてもよく、各々水素原子、炭化水
素基を表わすか、又はR26とR27とが一緒に環を形成し
てもよい。好ましくは、R26、R27は互いに同じでも異
なってもよく、各々水素原子、置換されていてもよい炭
素数1〜12の直鎖状又は分枝状アルキル基(例えばメ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、2−クロロエチル基、2−メトキシエチル基、2−
メトキシカルボニルエチル基、3−ヒドロキシプロピル
基等)、置換されていてもよい炭素数7〜12のアラル
キル基(例えばベンジル基、4−クロロベンジル基、4
−アセトアミドベンジル基、フェネチル基、4−メトキ
シベンジル基等)、置換されていてもよい炭素数2〜1
2のアルケニル基(例えばエチレン基、アリル基、イソ
プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等)、置換さ
れていてもよい5〜7員環の脂環式基(例えばシクロペ
ンチル基、シクロヘキシル基、クロロシクロヘキシル基
等)、置換されてもよい芳香族基(例えばフェニル基、
クロロフェニル基、メトキシフェニル基、アセトアミド
フェニル基、メチルフェニル基、ジクロロフェニル基、
ニトロフェニル基、ナフチル基、ブチルフェニル基、ジ
メチルフェニル基等)を表わすか、又はR26とR27とが
一緒に環(例えばテトラメチレン基、ペンタメチレン
基、ヘキサメチレン基等)を形成してもよい。
【0116】また、化学反応により少なくとも1つのス
ルホ基を生成する官能基としては、例えば下記一般式
(III)又は(IV)で表される官能基が挙げられる。 一般式(III) −SO2 −O−L2 一般式(IV) −SO2 −S−L2 〔式(III)又は(IV)中、L2 は、化24を表わす。〕
【0117】
【化24】
【0118】ここで、R11、R12、X、Z、n、m、Y
2 、R20、R21、R22及びR23はそれぞれ前記と同一の
内容を表わす。更に、化学反応により少なくとも1つの
スルフィン酸基を生成する官能基としては、例えば下記
一般式(V)で表される官能基が挙げられる。
【0119】
【化25】
【0120】〔式(V)中,A1、A2及びR13は、それ
ぞれ前記と同一の内容を表わす。〕 また、化学反応により−PO32基を生成する官能基と
しては、例えば下記一般式(VI)で表される官能基が挙
げられる。
【0121】
【化26】
【0122】〔式(VI)中、L3、L4は同じでも異なっ
てもよく、それぞれ前記L1と同一の内容を表わす。〕 更に、化学反応により−OH基を生成する官能基(ヒド
ロシル基生成官能基)としては、例えば下記一般式(VI
I)で表される官能基が挙げられる。 一般式(VII) −O−L5 〔式(VII)中、L5 は、化27を表わす。
【0123】
【化27】
【0124】ここで、R14〜R19、Y1 及びpはそれぞ
れ前記と同一の内容を表す。R28は炭化水素基を表わ
し、具体的には前記R11と同一の内容を表わす。〕 更に、化学反応により−OH基を生成する官能基の他の
好ましい態様によれば、ヒドロキシル基生成官能基は、
互いに立体的に近い位置にある少なくとも2つのヒドロ
キシル基を1つの保護基で同時に保護した形で有する官
能基である。互いに立体的に近い位置にある少なくとも
2つのヒドロキシル基を1つの保護した形で有する官能
基の例としては例えば下記一般式(IX)、(X)及び
(XI)で表される官能基を挙げることができる。
【0125】
【化28】
【0126】〔式(IX)〜(XI)中、R29、R30は、互
いに同じでも異なっていてもよく、各々水素原子、炭化
水素基又は−O−Z10(Z10は炭化水素基を示す)基を
表わし、Uはヘテロ原子を介してもよい炭素―炭素結合
を表わす(但し、酸素原子間の原子数は5個以内であ
る)。〕 該官能基について更に詳しく説明すると、R29、R
30は、互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは
水素原子、炭素数1〜12の置換されてもよいアルキル
基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、2−メトキシエチル基、オクチル基
等)、炭素数7〜9の置換されてもよいアラルキル基
(例えばベンジル基、フェネチル基、メチルベンジル
基、メトキシベンジル基、クロロベンジル基等)、炭素
数5〜7の脂環式基(例えば、シクロペンチル基、シク
ロヘキシル基等)又は置換されてもよいアリール基(例
えばフェニル基、クロロフェニル基、メトキシフェニル
基、メチルフェニル基、シアノフェニル基等)又は−O
10(Z10はR29、R30における炭化水素基と同義であ
る)基を表わす。Uは、ヘテロ原子を介してもよい炭素
―炭素結合を表わし、且つ酸素原子間の原子数は5個以
内である。
【0127】以下に前記した一般式(I)〜(XI)で表
される各官能基の具体例(b−1)〜(b−67)を例
示する。但し、本発明の内容は、これらに限定されるも
のではない。なお、下記具体例において、各記号は化2
9に示す通りである。
【0128】
【化29】
【0129】
【化30】
【0130】
【化31】
【0131】
【化32】
【0132】
【化33】
【0133】
【化34】
【0134】本発明において用いることのできる、化学
反応により−CO2H基、−CHO基、−SO3H基、−
SO2H基、−P(=O)(OH)R1基及び−OH基のう
ちの少なくとも1つの親水性基を生成する官能基を含有
する共重合体成分(b)は、特に限定されるものではな
い。好ましくは前記した重合体成分(a)の親水性基が
保護された重合体を例として挙げることができる。
【0135】本発明に用いることのできる前記した様な
−CO2H基、−CHO基、−SO3H基、−SO2
基、−P(=O)(OH)R1基及び/又は−OH基を化
学反応で発現する官能基は、これらの親水性基を保護し
た官能基であり、これら保護基の該親水性基への化学結
合による導入の方法は、従来公知の方法によって、容易
に行うことができる。
【0136】例えば、J.F.W.McOmie「Protective group
s in Organic Chemistry」(PlenumPress.1973年刊)、
T.W.Greene「Protective groups in Organic Synthesi
s」(Wiley-Interscience,1981年刊)、日本化学会編
「新実験化学講座、第14巻、有機化合物の合成と反応」
(丸善(株)1978年刊)、岩倉義男・栗田恵輔著「反応
性高分子」(講談社)等に記載された各単位反応が用い
られる。
【0137】これらの本発明に供することのできる官能
基を樹脂〔A〕中に導入する方法としては、−COOH
基、−CHO基、−SO3H基、−PO32基、−SO2
H基、−OH基等から選ばれた少なくとも1種の親水性
基を含有する重合体を、反応によって各々の親水性基を
保護した官能基に変換する、いわゆる高分子反応による
方法、又は前記した一般式(I)〜(XI)で示される官
能基を1種又はそれ以上含有する1種又はそれ以上の単
量体を合成した後、これと共重合し得る他の任意の単量
体との重合反応により重合体とする方法により得られ
る。
【0138】重合体中に、本発明に必要な官能基を任意
に調整し得ること、あるいは、不純物(高分子反応の場
合、用いる触媒あるいは副生物等)を混入しない事等の
理由から、後者の方法(予め所望の単量体を得、その後
重合反応を行なう方法)により製造する事が好ましい。
例えばカルボキシル基を生成する官能基を導入する場
合、具体的には重合性の二重結合を含むカルボン酸類又
はその酸ハライド類を、例えば前記した公知文献等に記
載された方法に従って、そのカルボキシル基を一般式
(I)で示される官能基に変換した後、重合反応を行な
い製造するという方法で行なうことができる。
【0139】また、化学反応によりカルボキシル基を生
成する官能基として前記一般式(II)で示されるオキサ
ゾロン環を含有する樹脂は、該オキサゾロン環を含有す
る1種又はそれ以上の単量体の、又は該単量体及びこれ
と共重合し得る他の単量体の重合反応により重合体とす
る方法により得ることができる。このオキサゾロン環を
含有する単量体は、重合性不飽和結合を含有するN−ア
シロイル−α−アミノ酸類の脱水閉環反応により製造す
ることができる。具体的には、岩倉義男・栗田恵輔著
「反応性高分子」第3章(講談社刊)の総説引例の文献
記載の方法によって製造することができる。
【0140】樹脂〔A〕における該重合成分(a)及び
重合成分(b)の含有量の態様は以下の通りが好まし
い。化学反応処理で除去可能とする該重合体成分(a)
のみを樹脂〔A〕に含有する場合には、該樹脂〔A〕の
全重合体成分中好ましくは3〜50重量%、より好まし
くは5〜40重量%である。また、該重合体成分(b)
のみを含有する場合には該樹脂〔A〕の全重合体成分中
好ましくは3〜100重量%、より好ましくは5〜70
重量%である。
【0141】更には、重合体成分(a)及び重合体成分
(b)を含有する場合には、該樹脂〔A〕の全重合体成
分中、重合体成分(a)は好ましくは0.5〜30重量
%、より好ましくは1〜25重量%であり、重合体成分
(b)は好ましくは3〜99.5重量%、より好ましく
は5〜50重量%である。上記各成分の存在量より少な
くなると、いずれの場合も、転写層の化学処理による除
去が難しくなり、印刷版として印刷すると非画像部の地
汚れとなってしまう。また、上限量を越えると、樹脂
〔A〕の他の共重合成分をいかに調整しても該樹脂
〔A〕のガラス転移点又は軟化点が高くなってしまい、
結果として転写層の被転写材への転写性の悪化を生じた
り、転写層の電気的絶縁性が低下し、電子写真感光体と
しての帯電性が劣化し、被写画像の再現性が悪化すると
いう問題を生じてしまう。
【0142】更に該樹脂〔A〕は、上記の重合成分
(a)及び/又は(b)とともに、樹脂〔A〕自身の剥
離性を向上させる作用を有する、ケイ素原子及び/又は
フッ素原子を含有する置換基を含む重合体成分(c)を
含有してもよい。本発明では、該置換基は、重合体の高
分子主鎖に組み込まれたもの及び高分子の側鎖の置換基
として含有されたものの両者を含めたものである。好ま
しくは、該樹脂〔A〕の共重合体中において、該重合体
成分(c)は、ブロックで含有される。この重合体成分
(c)は、全重合体成分中1〜20重量%で含有するも
のが好ましいブロック共重合体である。該セグメントが
1重量%以下であると樹脂〔A〕の剥離性向上効果が薄
れてしまい、また20重量%以上であると、樹脂〔A〕
の処理液との濡れ性が低下し、転写層の除去が不充分と
なってしまう。
【0143】該ケイ素原子及び/又はフッ素原子を含有
する置換基、及び該置換基を含有する重合体成分、更に
好ましいブロック共重合体の具体的態様については、前
記した本発明の化合物〔S〕の内容と同様のものが挙げ
られる。更に、該樹脂〔A〕は、上記特定の重合成分
(a)及び/又は(b)とともに、電気絶縁性及び熱可
塑性を保持するために他の重合成分を含有することが好
ましい。他の重合成分としては、該重合体成分のホモ重
合体のガラス転移点が130℃以下のものが好ましい。
具体的には、例えば、下記一般式(U)で示される繰り
返し単位の成分が挙げられる。これらの繰り返し単位
は、単独もしくは2種以上を併用してもよい。
【0144】
【化35】
【0145】式(U)中、Vは−COO−、−OCO
−、−O−、−CO−、−C64−、−(CH2)nCO
O−又は−(CH2)nOCO−を表す。但し、nは1〜
4の整数を表す。b1及びb2は同じでも異なっていても
よく、各々水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原
子、シアノ基、トリフロロメチル基、炭素数1〜7の炭
化水素基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基、フェニル基、ベンジ
ル基等)又は−COOZ11(Z11は炭化水素基を表し、
具体的には上記炭素数1〜7の炭化水素基の具体的内容
と同じものが挙げられる)を表す。
【0146】R60は炭素数1〜22の炭化水素基を表
す。R60は好ましくは、炭素数1〜18の置換されてい
てもよいアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プ
ロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチ
ル基、デシル基、ドデシル基、、トリデシル基、テトラ
デシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、
2−シアノエチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−メ
トキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−ヒドロキ
シプロピル基等)、炭素数2〜18の置換されてもよい
アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基、イソプロ
ぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、
オクテニル基等)、炭素数7〜12の置換されてもよい
アラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、ナ
フチルメチル基、2−ナフチルエチル基、メトキシベン
ジル基、エトキシベンジル基、メチルベンジル基等)、
炭素数5〜8の置換されてもよいシクロアルキル基(例
えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘ
プチル基等)又は炭素数6〜12の置換されてもよいア
リール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル
基、メシチル基、ナフチル基、メトキシフェニル基、エ
トキシフェニル基、フロロフェニル基、メチルクロロフ
ェニル基、ジフロロフェニル基、ブロモフェニル基、ク
ロロフェニル基、ジクロロフェニル基、メチルカルボニ
ルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキ
シカルボニルフェニル基、メタンスルホニルフェニル
基、シアノフェニル基等)等が挙げられる。
【0147】以上の式(U)で示される共重合成分の含
有量は、該樹脂〔A〕全重合体中50〜97重量%であ
ることが好ましい。
【0148】該樹脂〔A〕は、上記の重合体成分及び一
般式(U)で示される共重合成分とともに、これらと共
重合可能な他の共重合成分を更に含有していてもよい。
このような他の共重合成分としては、例えば一般式
(U)で説明した以外の置換基を含有するメタクリル酸
エステル類、アクリル酸エステル類、クロトン酸エステ
ル類に加え、α−オレフィン類、カルボン酸ビニル又は
アリル酸エステル類(例えばカルボン酸として、酢酸、
プロピオン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、ナフタレンカ
ルボン酸等)、アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル、ビニルエーテル類、イタコン酸エステル類(例えば
ジメチルエステル、ジエチルエステル等)、アクリルア
ミド類、メタクリルアミド類、スチレン類(例えばスチ
レン、ビニルトルエン、クロロスチレン、ヒドロキシス
チレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン、メト
キシカルボニルスチレン、メタンスルホニルオキシスチ
レン、ビニルナフタレン等)、ビニルスルホン含有化合
物、ビニルケトン含有化合物、複素環ビニル類(例えば
ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾー
ル、ビニルチオフェン、ビニルイミダゾリン、ビニルピ
ラゾール、ビニルジオキサン、ビニルキノリン、ビニル
テトラゾール、ビニルオキサジン等)等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。これら他の共重
合成分は、樹脂〔A〕の転写性を疎外しない範囲内で任
意に用いることができるが、具体的には該樹脂〔A〕中
の30重量%を越えないことが好ましい。
【0149】また、転写層には、本発明の樹脂〔A〕と
ともに、必要に応じて他の樹脂を併用してもよい。但
し、転写層の溶出除去の性能を低下させないことより、
転写層形成の全樹脂100重量部中の上記重合体成分
(a)及び(b)の存在割合が3重量%以上を満足する
ことが必要である。併用され得る他の樹脂の例として
は、例えば塩化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、アク
リル酸エステル重合体及び共重合体、メタクリル酸エス
テル重合体及び共重合体、スチレン−アクリル酸エステ
ル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合
体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合体、無水マ
レイン酸共重合体、アクリルアミド共重合体、メタクリ
ルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹脂、ポリカー
ボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、シリコ
ン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキシル基変性ポ
リエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアセター
ル樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル共重合体、環
化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、複素環を含有す
る共重合体(複素環として例えば、フラン環、テトラヒ
ドロフラン環、チオフェン環、ジオキサン環、ジオキソ
フラン環、ラクトン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフ
ェン環、1,3−ジオキセタン環等)、セルローズ系樹
脂、脂肪酸変性セルローズ系樹脂、エポキシ樹脂等が挙
げられる。
【0150】また、例えば、日刊工業新聞社刊「プラス
チック材料講座シリーズ」第1巻〜18巻(1981年)、近
畿化学協会ビニル部会編「ポリ塩化ビニル」日刊工業新
聞社刊(1988年)、大森英三「機能性アクリル樹脂」
(株)テクノシステム刊(1985年)、滝山栄一郎「ポリ
エステル樹脂ハンドブック」日刊工業社刊(1988年)、
湯木和男編「飽和ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊
工業新聞社刊(1989年)、高分子学会編「高分子データ
ハンドブック〈応用編〉」第1章焙風館(1986年)、原
崎勇次編「最新・バインダー技術便覧」第2章(株)総
合技術センター(1985年)、奥田平編「「高分子加工」
別冊・ 8第20巻増刊号“粘着”」高分子刊行会(1976
年刊)、福沢敬司「粘着技術」高分子刊行会(1987年
刊)、西口守「接着便覧第14版」(株)高分子刊行会
(1985年)、日本接着協会編「接着ハンドブック第2
版」日刊工業新聞社(1980年)等に記載の各種樹脂類が
挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、単独又は2種以
上併用してもよい。
【0151】更に該転写層には、接着性、成膜性、膜強
度等種々の物理的特性を向上させるために、他の添加剤
を併用してもよい。例えば、接着性調整のためにロジ
ン、石油樹脂、シリコーンオイル等、感光体へのぬれ性
の改良や溶融粘度を低下させる可塑剤及び軟化剤として
ボリブテン、DOP、DBP、低分子スチレン樹脂、低
分子ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワッ
クス、パラフインワックス等、また酸化防止剤として高
分子ヒンダード多価フェノール、トリアジン誘導体等を
加えることができる。詳しくは「ホットメルト接着の実
際」(深田寛著、高分子刊行会、1983年発行)29〜107
頁に記載がある。
【0152】該転写層の膜厚は好ましくは0.1〜10g/
m2、より好ましくは0.5〜7g/m2の範囲である。膜厚が
薄すぎると転写不良が起きやすくなり、厚すぎると電子
写真プロセス上の障害を招きやすく充分な画像濃度が得
られなかったり、画質の低下が起きやすい。また、該転
写層を高Tgの樹脂〔AH〕の層と低Tgの樹脂〔A
L〕の層とに分けた積層構成の場合には、樹脂〔AH〕
から成る第1の層は少なくとも0.5g/m2以上、樹脂〔A
L〕から成る第2の層は、少なくとも0.5g/m2以上であ
り、各々の膜厚を保持させつつ全体の膜厚を1〜10g/m2
とすることが好ましい。第1層及び第2層の膜厚が各々
0.5g/m2以下となると、転写層の剥離性向上効果が低下
してしまう。
【0153】更に、本発明においては、化合物〔S〕を
感光体11上に付着又は吸着させた後、転写層12を通
常の溶剤塗布法に従い形成してもよいが、請求項2記載
の如く、転写層12を前記電子写真装置内で形成する態
様が低ランニングコスト化する上で好ましい。該転写層
12を感光体11表面に形成する方法には、請求項2記
載の如く、熱溶融塗布法、電着塗布法または転写法が好
ましく用いられる。これらの方法により、転写装置内で
感光体表面に転写層を容易に形成することができる。
【0154】以下、各々の方法について詳細に説明す
る。熱溶融塗布法は転写層組成物を公知の方法で熱溶融
塗布するものであり、このためには、無溶剤型塗布機、
例えば前記「ホットメルト接着の実際」の197〜21
5頁に記載のホットメルト接着剤用加熱溶融塗布装置
(ホットメルトコーター)の機構を、感光体ドラム塗布
仕様にして転用できる。例としては、ダイレクトロール
コーター、オフセットグラビアロールコーター、ロット
コーター、エクストルージョンコーター、スロットオリ
フィスコーター、カ−テンコーター等が挙げられる。
【0155】塗布時の転写層を構成する樹脂の溶融温度
は、用いる転写層を構成する樹脂の成分組成により最適
化するが、通常は50〜180℃の範囲である。密閉さ
れた自動温度制御手段を有する予備加熱装置を用いて予
め溶融した後、感光体に塗布する位置で短時間に適温に
上昇させることが望ましい。このようにすることで、転
写層を構成する樹脂の熱酸化による変質や塗布ムラを防
止することができる。塗布スピードは、転写層を構成す
る樹脂の熱溶融時の流動性、コーター方式、塗布量等に
よるが、1〜100mm/秒が適当であり、好ましくは5
〜40mm/秒の範囲である。
【0156】次に、電着塗布法について説明する。この
方法では、前記転写層を構成する樹脂を、樹脂粒子の状
態で感光体の表面上に静電気的に付着又は電着(以下、
単に電着ということもある)させ、次いで、例えば加熱
等により均一な薄膜を形成して、転写層とする。従っ
て、該転写層を構成する樹脂粒子は、正電荷あるいは負
電荷のいずれかの荷電を有している事が必要であり、そ
の検電性は組み合せる電子写真感光体の帯電性によって
任意に決定される。
【0157】樹脂粒子は、前記した物性を満たす範囲の
ものであって、通常その平均粒径は、0.01μm〜1
5μmの範囲であり、好ましくは0.05μm〜5μ
m、より好ましくは0.1μm〜1μmの範囲である。
該粒子は、電着時に粒子粉体(乾式電着)あるいは、非
水系に分散された樹脂粒子(湿式電着)のいずれの状態
でもよい。好ましくは、転写層の膜厚を均一な厚みで、
薄膜まで調整することが容易な、非水系分散樹脂粒子が
挙げられる。
【0158】本発明に用いられる樹脂粒子は、従来公知
の機械的粉砕方法又は重合造粒方法によって製造するこ
とができる。これらの製造方法は、乾式電着あるいは湿
式電着のいずれの粒子でも用いることができる。乾式電
着方法で用いられる粒子粉体を製造する場合において、
機械的粉砕方法としては、従来公知の粉砕機で直接粉砕
して、微粒子とする方法(例えば、ボールミル、ペイン
トシェーカー、ジェットミルを使用する方法等)が挙げ
られ、必要に応じて、樹脂粒子とする材料を混合し、溶
融、混練を経て粉砕したり、粉砕後粒径をそろえるため
の分級又は粒子の表面を処理する後処理等を適宜組合わ
せて行なうことができる。また、スプレードライ法も知
られている。
【0159】具体的には、(社)日本粉体工業技術協会
編「造粒ハンドブック」第II編(オーム社刊、1991
年)、神奈川経営開発センター「最新造粒技術の実際」
(神奈川経営開発センター出版部、1984年)、荒川正文
等編「最新粉体の設計技術」(株)テクノシステム社、
1988年)等の成書に詳細に記載された方法を適宜用いて
容易に製造することができる。
【0160】重合造粒方法としては、従来公知の、水系
で行なう乳化重合反応、シード重合反応、懸濁重合反
応、非水溶媒系で行なう分散重合反応で製造する方法等
が知られている。具体的には、室井宗一「高分子ラテッ
クスの化学」高分子刊行会(1970年)、奥田平、稲垣寛
「合成樹脂エマルジョン」高分子刊行会(1978年)、室
井宗一「高分子ラテックス入門」工文社(1983年)、I.
Piirma、P.C.Wang「Emulsion Polymerization」I.Piirm
a and J.L.Gavdon, ACS symp.Sev.24,p.34(1974年)、
北原文雄等「分散乳化系の化学」工学図書(1979年)、
室井宗一監修「超微粒子ポリマーの最先端技術」C.M.C.
(1991年)等の成書に記載されている方法で粒子化した
後、上記機械的方法に関する成書に記載の様な各種の方
式で補集し粉末化することで製造することができる。
【0161】得られた微粒子粉体を乾式電着する方法
は、従来から公知の静電粉体の塗装方法、又は、乾式静
電写真現像剤の現像方法を用いることができる。具体的
には、J.F.Hughes著(長坂秀雄・緑川真知子訳)「静電
粉体塗装」等に記載の如く、コロナ帯電、摩擦帯電、イ
ンダクション帯電、イオン風帯電、逆イオン化現象利用
等の方法で帯電させた微粒子を電着する方法、中村孝一
編「最近の電子写真現像システムとトナー材料の開発・
実用化」第1章(日本科学情報(株)、1985年)等の成
書に記載の如く、カスケード法、磁着ブラシ法、ファー
ブラシ法、エレクトロスタチック法、インダクション
法、タッチダウン法、パウダークラウド法等の現像方法
等を用いて適宜行なうことができる。
【0162】湿式電着方法で用いられる、非水系分散樹
脂粒子を製造する場合も、前記の如く機械的粉砕方法と
重合造粒方法のいずれでも製造することができる。その
機械的粉砕方法としては、例えば、分散ポリマーを併用
して更に湿式分散機(例えば、ボールミル・ペイントシ
ェーカー、ケデイミル、タイノミル等)で分散する方
法、樹脂粒子成分となる材料と分散補助ポリマー(又は
被覆ポリマー)を予め混練して混練物とした後粉砕し、
次に分散ポリマーを共存させて分散する方法等が挙げら
れる。具体的には、塗料又は静電写真用現像剤の製造方
法を利用することができ、例えば、植木憲二監訳「塗料
の流動と顔料分散」共立出版(1971年)、「ソロモン、
塗料の科学」、「Paint and Surface Coating theory a
nd practice」、原崎勇次「コーティング工学」朝倉書
店(1971年)、原崎勇次「コーティングの基礎科学」槇
書店(1977年)等の成書に記載されている。
【0163】また、重合造粒法としては、従来公知の非
水系分散重合方法が挙げられ、具体的には、前記した
「超微粒子ポリマーの最新技術」第2章、「最近の電子
写真現像システムとトナー材料の開発・実用化」第3
章、K.E.J.Barvett「DispersionPolymerization in Org
anic Media」John Wiley(1975年)等の成書に記載され
ている。
【0164】上記非水系分散重合方法に用いられる非水
溶媒としては、沸点200℃以下の有機溶媒であればい
ずれでもよく、単独あるいは2種以上を混合して用いる
ことができる。かかる有機溶媒の具体例は、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、フッ化ア
ルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ジエチ
ルケトン等のケトン類、ジエチルエーテル、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル等のカルボ
ン酸エステル類、ヘキサン、オクタン、デカン、ドデカ
ン、トリデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン等の
炭素数6〜14の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類、
メチレンクロリド、ジクロロエタン、テトラクロロエタ
ン、クロロホルム、メチルクロロホルム、ジクロロプロ
パン、トリクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類等が
挙げられる。ただし、以上述べた化合物例に限定される
ものではない。
【0165】これらの非水溶媒系で分散樹脂粒子を分散
重合法で合成することにより、樹脂粒子の平均粒子径は
容易に1μm以下となり、しかも粒子径の分布が非常に
狭く且つ単分散の粒子とすることができる。これらの非
水系分散樹脂粒子は、湿式静電写真現像方法又は電界の
印圧場で電気泳動させて電着される方法を行なう事か
ら、電着時に用いられる分散媒は、電気抵抗108 Ω・
cm以上且つ比誘電率3.5以下の非水溶媒系に調節され
る。
【0166】転写層を構成する樹脂を主として含有する
粒子を、電気抵抗108 Ω・cm以上、且つ比誘電率が
3.5以下の電気絶縁性溶媒中に分散されて供給するこ
の方法は、転写層の膜厚を均一かつ薄く容易に調製する
ことができる点で好ましい。絶縁性溶媒としては、具体
的には、直鎖状もしくは分枝状の脂肪族炭化水素、脂環
式炭化水素又は芳香族炭化水素、及びこれらのハロゲン
置換体を用いることができる。例えばオクタン、イソオ
クタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデ
カン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタ
ン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メ
シチレン、アイソパーE、アイソパーG、アイソパー
H、アイソパーL(アイソパー;エクソン社の商品
名)、シェルゾール70、シェルゾール71(シェルゾ
ール;シェルオイル社の商品名)、アムスコOMS、ア
ムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)
等を単独あるいは混合して用いることができる。
【0167】ここで、好ましくは、非水系分散樹脂粒子
の重合造粒時に用いる非水溶媒として、初めから、上記
絶縁性有機溶媒が用いられるが、これら溶媒以外の溶媒
で造粒した後、分散媒の置換をして調製することもでき
る。分散媒中の分散粒子を電気泳動で電着させるために
は、該粒子は正荷電又は負荷電の検電性粒子である必要
があり、該粒子に検電性を付与するには、湿式静電写真
用現像剤の技術を適宜利用することで達成可能である。
具体的には、前記の「最近の電子写真現像システムとト
ナー材料の開発・実用化」139〜148頁、電子写真学会編
「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁(コロナ社、
1988年刊)、原崎勇次「電子写真」16(No.2)、44頁
(1977年)等に記載の検電材料及び他の添加剤を用いる
ことで行なわれる。
【0168】具体的には、例えば、英国特許第8934
29号、同934038号、米国特許第1122397
号、同3900412号、同4606989号、特開昭
60−179751号、同60−185963号、特開
平2−13965号等に記載されている。電着に供せら
れる非水系樹脂粒子分散物(ラテックス)の構成として
は、通常少なくとも電気絶縁性分散媒1リットル中に、
転写層を構成する樹脂を主として含有する粒子が0.1
〜20g、分散安定用樹脂は0.01〜50g、必要に
応じて加える荷電制御剤は、0.0001〜10gの範
囲である。
【0169】このようにして微粒子化し、荷電を付与し
て電気絶縁性液体中に分散した転写層を構成する樹脂粒
子は電子写真湿式現像剤と同様の挙動を示す。例えば、
前掲の「電子写真技術の基礎と応用」275〜285頁に示さ
れる現像デバイス、例えばスリット現像電極装置を用い
て感光体表面に電気泳動させることができる。即ち、転
写層を構成する樹脂を主として含有する粒子が、電子写
真感光体と対向して設置された対向電極の間に供給さ
れ、外部電源より印加された電位勾配に従って電気泳動
して電子写真感光体に付着又は電着されて成膜される。
【0170】一般的には粒子の荷電が正極性の場合には
感光体の導電性支持体と現像デバイスの現像電極との間
に、感光体側が負電位になるように外部電源から電圧を
印加し、粒子を静電気的に感光体表面へ電着させる。ま
た通常の電子写真プロセスにより湿式トナー現像によっ
て電着させることもできる。即ち前提の「電子写真技術
の基礎と応用」46〜79頁に示されるように、感光体を均
一帯電させた後露光を行なわず、又は不要領域のみに露
光を行なういわゆる焼き落としをし、次いで通常の湿式
トナー現像をする。
【0171】感光体上の転写層を構成する樹脂粒子の付
着量は外部バイアスの印加電圧、感光体の帯電電位及び
現像時間などにより任意に調節できる。電着後公知のゴ
ムローラー、ギャップローラ、リバースローラなどによ
るスクイズで現像液を拭い去る。またコロナスクイズや
エアースクイズなどの公知の方法も用いられる。次に冷
風もしくは温風、あるいは赤外線ランプなどにより乾燥
し、好ましくは転写層を構成する樹脂粒子を皮膜化させ
て転写層とする。
【0172】次に、転写法による転写層の形成について
説明する。この方法は離型紙で代表される離型性支持体
(以下、離型紙という)上に保持された転写層を電子写
真感光体表面に転写するものである。転写層が形成され
た離型紙は、ロール状、シート状で、転写装置中に簡便
に供給できる。
【0173】本発明に供される離型紙は、従来公知のも
のがいずれでも使用でき、例えば、「粘着(粘接着)の
新技術とその用途・各種応用製品の開発資料」(発行;
経営開発センター出版部、昭和53年5月20日)、「オー
ルペーパーガイド紙の商品事典、上巻・文化産業編」
(発行;(株)紙業タイムス社、昭和58年12月1日)等
の成書に記載のものが挙げられる。
【0174】具体的には、離型紙は、シリコーンを主と
する離型剤を、ポリエチレン樹脂をラミネートした末晒
クルパック紙や耐溶剤性の樹脂をプリコートした上級
紙、クラフト紙に塗布したもの、またアンダーコートを
施したPETベース、あるいは直接グラシン紙に塗布し
たものである。シリコーンは一般に溶剤タイプのものが
用いられ、上記基体上に3〜7%の濃度でグラビアロー
ル、リバースロール、ワイヤーバー等で塗布・乾燥後、
150℃以上で熱処理され硬化される。塗布量は1g/m2
程度である。
【0175】離型紙としては、製紙メーカーから一般に
市販されている、テープ用、ラベル用、形成工業用及び
キャストコート工業用のものが使用できる。例えばセパ
レート紙(王子製紙(株)製)、キングリーズ(四国製
紙(株)製)、サンリリース(山陽国策パルプ(株)
製)、NKハイレリーズ(日本加工製紙(株)製)など
があげられる。
【0176】離型紙上に転写層を形成するには、転写層
を構成する樹脂を主成分とする転写層組成物を、常法に
従って、バー塗布、スピン塗布、スプレー塗布等により
塗布成膜することにより容易に行われる。離型紙上の転
写層を電子写真感光体上に熱転写するには、通常の熱転
写方法が利用できる。即ち、転写層を保持した離型紙を
電子写真感光体に圧着し、転写層を熱転写すればよい。
【0177】離型紙から転写層を感光体表面へ転写する
場合の条件は、以下の通りが好ましい。ローラーのニッ
プ圧力は0.1〜10kgf/cm2、より好ましくは0.2
〜8kgf/cm2であり、転写時の温度は25℃〜100
℃、より好ましくは40℃〜80℃である。搬送スピー
ドは0.5〜100mm/秒、より好ましくは3〜50mm
/秒であり、これは、電子写真工程及び1次中間レセプ
ターへの熱転写工程の各々とで異なっていてもよい。
【0178】また、感光体表面に化合物〔S〕を付着又
は吸着する工程(i)を予め行うのではなく、上記のよ
うな転写層を形成した剥離紙を感光体に当接する前に、
前記した感光体表面に離型性を付与する手段と同様の方
法を用いて、該離型紙上の表面に本発明の化合物〔S〕
を吸着又は付着した後、通常の感光体へ、該離型性表面
を有する転写層を転写することにより、本発明の工程
(i)及び(ii)を同時に行ってもよい。
【0179】本発明に供することのできる電子写真感光
体11の構成及び材料は、従来公知のいずれでもよく、
限定されるものではない。例えば、R. M. Schaffert,
「Electrophotography」,Focal Press. London (1980
年), S. W. Ing, M. D. Tabak, W. E. Haas,「Electrop
hotography FourthInternational Conference」SPSE (1
983年)、篠原功、土田英俊、草川英昭編「記録材料と
感光性樹脂」(株)学会出版センター刊(1979年)、小
門宏、化学と工業、39(3), 161 (1986)、総合技術資料
集「最近の光導電材料と感光体の開発・実用化」日本科
学情報(株)出版部(1986年)、電子写真学会編「電子
写真技術の基礎と応用」第 章、コロナ社(株)(1986
年)、電子写真学会編「電子写真用有機感光体の現状シ
ンポジウム」予稿集(1985年)、等の成書・総説に記載
の各種感光体が挙げられる。
【0180】即ち、光導電性化合物自身から成る単独
層、又は、光導電性化合物を結着樹脂中に分散した光導
電層が挙げられ、分散された光導電層は、単一層型でも
よいし、積層型でもいずれでもよい。また本発明におい
て用いられる光導電性化合物は無機化合物及び有機化合
物のいずれでもよい。本発明の光導電性化合物として用
いられる無機化合物としては、例えば酸化亜鉛、酸化チ
タン、硫化亜鉛、硫化カドミウム、セレン、セレン−テ
ルル、シリコン、硫化鉛等従来公知の無機光導電性化合
物が挙げられ、これらは結着性樹脂とともに光導電層を
形成してもよいし、また蒸着あるいはスパッタリング等
により単独で光導電層を形成してもよい。
【0181】光導電性化合物として、酸化亜鉛、酸化チ
タン等の無機光導電性化合物を用いる場合は、無機光導
電性化合物100重量部に対して、結着樹脂を10〜1
00重量部なる割合、好ましくは15〜40重量部なる
割合で使用する。一方、有機化合物としては、従来公知
の化合物のいずれでもよく、具体的には、特公昭37−
17162号、同62−51462号、特開昭52−2
437号、54−19803号、同56−107246
号、同57−161863号各公報などに記載のよう
な、有機光導電性化合物、増感染料、結合樹脂を主体と
する光導電層を有するもの、特開昭56−146145
号、同60−17751号、同60−17752号、同
60−17760号、同60−254142号、同62
−54266号各公報などに記載のような電荷発生剤、
電荷輸送剤、結合樹脂を主体とする光導電層を有するも
の、及び特開昭60−230147号、同60−230
148号、同60−238853号各公報などに記載の
ような電荷発生剤と電荷輸送剤とをそれぞれ別の層に含
有した二層構成の光導電層も知られている。
【0182】本発明の電子写真感光体は上記の光導電層
のいずれの形態をとっていてもよい。第二の例の場合に
は、本発明でいう有機光導電性化合物が電荷輸送剤とし
ての機能をはたす。本発明における有機光導電性化合物
としては、(a) 米国特許第3112197号明細書等に
記載のトリアゾール誘導体、(b) 米国特許第31894
47号明細書等に記載のオキサジアゾール誘導体、(c)
特公昭37−16096号公報に記載のイミダゾール誘
導体、(d) 米国特許第3615402号、同38209
89号、同3542544号各明細書、特公昭45−5
55号、同51−10983号各公報、特開昭51−9
3224号、同55−108667号、同55−156
953号、同56−36656号各公報等に記載のポリ
アリールアルカン誘導体、(e) 米国特許第318072
9号、同4278746号各明細書、特開昭55−88
064号、同55−88065号、同49−10553
7号、同55−51086号、同56−80051号、
同56−88141号、同57−45545号、同54
−112637号、同55−74546号各公報等に記
載のピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、(f) 米国
特許第3615404号明細書、特公昭51−1010
5号、同46−3712号、同47−28336号各公
報、特開昭54−83435号、同54−110836
号、同54−119925号各公報等に記載のフェニレ
ンジアミン誘導体、(g) 米国特許第3567450号、
同3180703号、同3240597号、同3658
520号、同4232103号、同4175961号、
同4012376号各明細書、特公昭49−35702
号公報、西独国特許(DAS)第1110518号明細
書、特公昭39−27577号、特開昭55−1442
50号、同56−119132号、同56−22437
号各公報等に記載のアリールアミン誘導体、(h) 米国特
許第3526501号明細書等に記載のアミノ置換カル
コン誘導体、(i) 米国特許第3542546号明細書等
に記載のN,N−ビカルバジル誘導体、(j) 米国特許第
3257203号明細書等に記載のオキサゾール誘導
体、(k) 特開昭56−46234号公報等に記載のスチ
リルアントラセン誘導体、(l) 特開昭54−11083
7公報等に記載のフルオレノン誘導体、(m) 米国特許第
3717462号明細書、特開昭54−59143号公
報(米国特許第4150987号明細書に対応)、特開
昭55−52063号、同55−52064号、同55
−46760号、同55−85495号、同57−11
350号、同57−148749号、同57−1041
44号各公報等に記載されているヒドラゾン誘導体、
(n) 米国特許第4047948号、同4047949
号、同4265990号、同4273846号、同42
99897号、同4306008号各明細書などに記載
のベンジジン誘導体、(o) 特開昭58−190953
号、同59−95540号、同59−97148号、同
59−195658号、同62−36674号各公報な
どに記載されているスチルベン誘導体、(p) 特公昭34
−10966号公報記載のポリビニルカルバゾール及び
その誘導体、(q) 特公昭43−18674号、同43−
19192号各公報記載のポリビニルピレン、ポリビニ
ルアントラセン、ポリ−2−ビニル−4−(4′−ジメ
チルアミノフェニル)−5−フェニル−オキサゾール、
ポリ−3−ビニル−Nエチルカルバゾール等のビニル重
合体、(r) 特公昭43−19193号公報記載のポリア
セナフチレン、ポリインデン、アセナフチレンとスチレ
ンの共重合体等の重合体、(s) 特公昭56−13940
号公報などに記載のピレン−ホルムアルデヒド樹脂、ブ
ロムピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾー
ル−ホルムアルデヒド樹脂等の縮合樹脂、(t) 特開昭5
6−90833号、同56−161550号各公報に記
載の各種のトリフェニルメタンポリマー、などがある。
【0183】なお本発明において、有機光導電性化合物
は、(a)〜(t)に挙げられた化合物に限定されず、これま
で公知の全ての有機光導電性化合物を用いることができ
る。これらの有機光導電性化合物は場合により2種類以
上併用することが可能である。第一の例の光導電層に含
有される増感色素としては、電子写真感光体に使用され
る従来公知の増感色素が使用可能である。これらは、
「電子写真」12 9(1973)、「有機合成化学」24(1
1)、1010(1966)等に記載されている。例えば、米国特許
第3141770号、同4283475号各明細書、特
開昭48−25658号公報、特開昭62−71965
号公報等に記載のピリリウム系染料、Applied Optics S
upplement 50 (1969)、特開昭50−39548号公
報等に記載のトリアリールメタン系染料、米国特許第3
597196号明細書等に記載のシアニン系染料、特開
昭60−163047号、同59−164588号、同
60−252517号各公報等に記載のスチリル系染料
などが有利に使用される。
【0184】第二の例の光導電層に含有される電荷発生
剤としては、電子写真感光体において従来公知の有機及
び無機の各種の電荷発生剤が使用できる。例えば、セレ
ン、セレン−テルル、硫化カドミウム、酸化亜鉛、及び
以下(1)〜(9)に示す有機顔料を使用することがで
きる。 (1)米国特許第4436800号、同4439506
号各明細書、特開昭47−37543号、同58−12
3541号、同58−192042号、同58−219
263号、同59−78356号、同60−17974
6号、同61−148453号、同61−238063
号各公報、特公昭60−5941号、同60−4566
4号各公報等に記載されたモノアゾ、ビスアゾ、トリス
アゾ顔料等のアゾ顔料、(2)米国特許第339708
6号、同4666802号各明細書、特開昭51−90
827号、同52−55643号各公報に記載の無金属
あるいは金属フタロシアニン等のフタロシアニン顔料、
(3)米国特許第3371884号明細書、特開昭47
−30330号公報等に記載のペリレン系顔料、(4)
英国特許第2237680号明細書、特開昭47−30
331号公報等に記載のインジゴ、チオインジゴ誘導
体、(5)英国特許第2237679号明細書、特開昭
47−30332号公報等に記載のキナクリンドン系顔
料(6)英国特許第2237678号明細書、特開昭5
9−184348号、同62−28738号、同47−
18544号各公報等に記載の多環キノン系顔料、
(7)特開昭47−30331号、同47−18543
号各公報等に記載のビスベンズイミダゾール系顔料、
(8)米国特許第4396610号、同4644082
号各明細書等に記載のスクアリウム塩系顔料、(9)特
開昭59−53850号、同61−212542号各公
報等に記載のアズレニウム塩系顔料、などである。これ
らは単独もしくは2種以上を併用して用いることもでき
る。
【0185】また、有機光導電性化合物と結合樹脂の混
合比は、有機光導電性化合物と結合樹脂との相溶性によ
って有機光導電性化合物の含有率の上限が決まり、これ
を上回る量を添加すると有機光導電性化合物の結晶化が
起こり好ましくない。有機光導電性化合物の含有量が少
ないほど電子写真感度は低下するので、有機光導電性化
合物の結晶化が起こらない範囲で、できるだけ多くの有
機光導電性化合物を含有させるのが好ましい。有機光導
電性化合物の含有率としては、結合樹脂100重量部に
対し、有機光導電性化合物5〜120重量部、好ましく
は、有機光導電性化合物10〜100重量部である。ま
た、有機光導電性化合物は、単独であるいは2種以上混
合して使用することができる。
【0186】本発明の感光体に用いることのできる結着
樹脂は、従来公知の電子写真感光体に用いられる樹脂の
いずれでもよく、重量平均分子量は好ましくは5×10
3 〜1×106 、より好ましくは2×104 〜5×10
5 のものである。また、結着樹脂のガラス転移点は好ま
しくは−40℃〜200℃、より好ましくは−10℃〜
140℃である。例えば、柴田隆治・石渡次郎、高分
子、第17巻、第278頁(1968年)宮本晴視、武井秀
彦、イメージング、1973(No.8)、中村孝一編「記録材料
用バインダーの実際技術」第10章、C.M.C.出版(1985
年)、電子写真学会編「電子写真用有機感光体の現状シ
ンポジウム」予稿集(1985年)、小門宏編「最近の光導
電材料と感光体の開発・実用化」日本科学情報(株)
(1986年)、電子写真学会編「電子写真技術の基礎と応
用」第5章コロナ社(株)(1988年)、D.Tatt、S.C.Heid
ecker, Tappi.49(No.10), 439(1966)、E.S.Baltazzi、
R.G.Blanclotte et al、Phot. Sci. Eng. 16(No.5)、35
4 (1972)、グエン・チャン・ケー、清水勇、井上英一、
電子写真学会誌18(No.2)、22(1980)等の成書・総説に記
載の化合物等が挙げられる。
【0187】具体的には、オレフィン重合体及び非重合
体、塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン共重合体、ア
ルカン酸ビニル重合体及び共重合体、アルカン酸アリル
重合体及び共重合体、スチレン及びその誘導体、重合体
及び共重合体、ブタジエン−スチレン共重合体、イソプ
レン−スチレン共重合体、ブタジエン−不飽和カルボン
酸エステル共重合体、アクリロニトリル共重合体、メタ
クリロニトリル共重合体、アルキルビニルエーテル共重
合体、アクリル酸エステル重合体及び共重合体、メタク
リル酸エステル重合体及び共重合体、スチレン−アクリ
ル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、イタコン酸ジエステル重合体及び共重合
体、無水マレイン酸共重合体、アクリルアミド共重合
体、メタクリルアミド共重合体、水酸基変性シリコン樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹脂、ポリエステル
樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水酸基及びカルボキ
シル基変性ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ポリビ
ニルアセタール樹脂、環化ゴム−メタクリル酸エステル
共重合体、環化ゴム−アクリル酸エステル共重合体、窒
素原子を含有しない複素環を含有する共重合体(複素環
として例えば、フラン環、テトラヒドロフラン環、チオ
フェン環、ジオキサン環、ジオキソフラン環、ラクトン
環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、1,3−ジ
オキセタン環等)、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0188】特に、光導電体の結着樹脂として、カルボ
キシ基、スルホ基、ホスホノ基等の酸性基を含有する比
較的低分子量(103 〜104 程度)の樹脂を併用する
事で、静電特性を良化される。例えば、特開昭63−2
17354号には酸性基含有重合成分が重合体主鎖にラ
ンダムに存在する樹脂、同64−70761号には重合
体主鎖の片末端に酸性基を結合してなる樹脂、特開平2
−67563号、同2−236561号、同2−238
458号、同2−236562号及び同2−24765
6号等には酸性基をグラフト型共重合体の主鎖末端に結
合してなる樹脂又は酸性基をグラフト型共重合体のグラ
フト部に含有する樹脂、同3−181948号には酸性
基をブロックで含有するAB型ブロック共重合体等がそ
れぞれ記載されている。
【0189】更に、これらの低分子量の樹脂のみでは不
充分な光導電層の機械的強度を充分ならしめるために、
中〜高分子量の他の樹脂を併用することが好ましい。例
えば、特開平2−68561号にはポリマー間に架橋構
造を形成する熱硬化性樹脂、特開平2−68562号に
は一部が架橋構造を有する樹脂、特開平2−69759
号には酸性基をグラフト型共重合体の主鎖末端に結合し
てなる樹脂が記載されている。また、特定の中から高分
子量の樹脂を用いることで、環境が著しく変動した場合
においても比較的安定した性能を維持する技術が検討さ
れ、例えば同3−29954号、同3−77954号、
同3−92861号及び同3−53257号には酸性基
をグラフト型共重合体のグラフト部の末端に結合する樹
脂又は酸性基をグラフト型共重合体のグラフト部に含有
する樹脂が記載されている。更に、同3−206464
号及び同3−223762号によれば、中〜高分子量樹
脂として、酸性基含有のAブロックと酸性基非含有のB
ブロックからなるABブロック型共重合体をグラフト部
に含有するグラフト型共重合体等が挙げられる。これら
特定の樹脂を用いることで、光導電体を均一に分散する
ことで平滑性良好な光導電層が形成され、又環境の変化
や半導体レーザー光を用いたスキャニング露光方式を用
いた場合においても優れた静電特性を維持することがで
きる。
【0190】光導電層の厚さは1〜100μm、特には
10〜50μmが好適である。また、電荷発生層と電荷
輸送層の積層型感光体の電荷発生層として光導電層を使
用する場合は電荷発生層の厚さは0.01〜5μm、特
には、0.05〜2μmが好適である。本発明では、可
視光の露光又は半導体レーザー光の露光等光源の種類に
よって必要に応じて各種の色素を分光増感剤として併用
することができる。例えば、宮本晴視、武井秀彦;イメ
ージング1973(No.8)第12頁、C.J.Young 等:RCA Review
15、469頁(1954年)、清田航平等:電気通信学会論文
誌、J63-C (No.2)、97頁(1980年)、原崎勇次等、工業
化学雑誌、66、78及び188頁(1963年)、谷忠昭、日本写
真学会誌 35、208頁(1972年)等の総説引例のカーボニ
ウム系色素、ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタ
ン色素、キサンテン系色素、フタレイン系色素、ポリメ
チン色素(例えば、オキソノール色素、メロシアニン色
素、シアニン色素、ロダシアニン色素、スチリル色素
等)、フタロシアニン色素(金属を含有してもよい)等
が挙げられる。
【0191】更に具体的には、カーボニウム系色素、ト
リフェニルメタン系色素、キサンテン系色素、フタレイ
ン系色素を中心に用いたものとして、特公昭51−45
2号、特開昭50−90334号、同50−11422
7号、同53−39130号、同53−82353号各
公報、米国特許第3052540号、同4054450
号各明細書、特開昭57−16456号公報等に記載の
ものが挙げられる。
【0192】オキソノール色素、メロシアニン色素、シ
アニン色素、ロダシアニン色素等のポリメチン色素とし
ては、F.M.Harmmer 「The Cyanine Dyes and Related C
ompounds」等に記載の色素類が使用可能であり、更に具
体的には、米国特許第3047384号、同31105
91号、同3121008号、同3125447号、同
3128179号、同3132942号、同36223
17号各明細書、英国特許第1226892号、同13
09274号、同1405898号各明細書、特公昭4
8−7814号、同55−18892号各公報等に記載
の色素が挙げられる。
【0193】更に、700nm以上の長波長の近赤外〜赤
外光域を分光増感するポリメチン色素として、特開昭4
7−840号、同47−44180号、特公昭51−4
1061号、同49−5034号、同49−45122
号、同57−46245号、同56−35141号、同
57−157254号、同61−26044号、同61
−27551号各公報、米国特許第3619154号、
同4175956号各明細書、「Research Disclosur
e」1982年、216、第117〜118頁等に記載のものが挙げら
れる。
【0194】本発明の感光体は、種々の増感色素を併用
させてもその性能が増感色素により変動しにくい点にお
いても優れている。
【0195】更には、必要に応じて、従来知られている
種々の電子写真感光体用添加剤を併用することができ
る。これらの添加剤としては、電子写真感度を改良する
ための化学増感剤、皮膜性を改良するための各種の可塑
剤、界面活性剤などが含まれる。化学増感剤としては、
例えばハロゲン、ベンゾキノン、クロラニル、フルオラ
ニル、プロマニル、ジニトロベンゼン、アントラキノ
ン、2,5−ジクロロベンゾキノン、ニトロフェノー
ル、無水テトラクロロフタル酸、無水フタル酸、無水マ
レイン酸、N−ヒドロキシマレインイミド、N−ヒドロ
キシフタルイミド、2,3−ジクロロ−5,6−ジシア
ノベンゾキノン、ジニトロフルオレノン、トリニトロフ
ルオレノン、テトラシアノエチレン、ニトロ安息香酸、
ジニトロ安息香酸等の電子吸引性化合物、小門宏等「最
近の光導電材料と感光体の開発・実用化」第4章〜第6
章:日本科学情報(株)出版部(1986年)の総説引例の
ポリアリールアルカン化合物、ヒンダートフェノール化
合物、p−フェニレンジアミン化合物等が挙げられる。
また、特開昭58−65439号、同58−10223
9号、同58−129439号、同62−71965号
各公報等に記載の化合物等も挙げることができる。
【0196】可塑剤としては、例えばジメチルフタレー
ト、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリ
フェニルフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジ
イソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチル
セバケート、ラウリン酸ブチル、メチルフタリールグリ
コレート、ジメチルグリコールフタレートなどを光導電
層の可撓性を向上するために添加できる。これらの可塑
剤は光導電層の静電特性を劣化させない範囲で含有させ
ることができる。
【0197】これら各種添加剤の添加量は、特に限定的
ではないが、通常光導電体100重量部に対して0.0
01〜2.0重量部である。
【0198】本発明による光導電層は、従来公知の支持
体上に設けることができる。一般に云って電子写真感光
層の支持体は、導電性であることが好ましく、導電性支
持体としては、従来と全く同様、例えば金属、紙、プラ
スチックシート等の基体に低抵抗性物質を含浸させるな
どして導電処理したもの、基体の裏面(感光層を設ける
面と反対面)に導電性を付与し、更にはカール防止を図
る等の目的で少なくとも1層以上をコートしたもの、前
記支持体の表面に耐水性接着層を設けたもの、前記支持
体の表面層に必要に応じて少なくとも1層以上のプレコ
ート層を設けたもの、Al等を蒸着した基体導電化プラ
スチックを紙にラミネートしたもの等が使用できる。
【0199】具体的に、導電性基体あるいは導電化材料
の例として、坂本幸男、電子写真、14(No.1),2〜11頁
(1975年刊)、森賀弘之「入門特殊紙の化学」高分子刊
行会(1975年刊)、M.F.Hoover、J. Macromol. Sci. Ch
em. A-4(6)、1327〜1417頁(1970年刊)等に記載されて
いるもの等を用いる。
【0200】上述の如くして、化合物〔S〕の付着又は
吸着により離型性を付与した電子感光体11の表面に、
化学処理で除去可能で且つ剥離可能な転写層12を形成
した後、工程(iii)に従い、通常の電子写真プロセスを
経て、該転写層12を有する感光材料11上に複写画像
25を形成する。即ち、帯電−露光−現像−定着の各プ
ロセスを従来公知の方法によって行う。
【0201】本発明に供される現像剤は、従来公知の静
電写真用現像剤を使用することができ、静電写真用乾式
現像剤及び液体現像剤のいずれでもよい。例えば、前述
の「電子写真技術の基礎と応用」497〜505頁、中村孝一
監修「トナー材料の開発・実用化」第3章(日本科学情
報社刊、1985年)、町田元「記録用材料と感光性樹脂」
107〜127頁(1983年刊)、(株)学会出版センター、電
子写真学会「イメージング No.2〜5 電子写真の現像
・定着・帯電・転写」等に具体的な態様が示されてい
る。
【0202】乾式現像剤としては、一成分磁性トナー、
二成分トナー、一成分非磁性トナーあるいはカプセルト
ナー等が実用されており、これらのいずれも利用するこ
とができる。
【0203】より好ましくは、デジタル情報に基づいて
露光するレーザー光によるスキャニング露光方式及び液
体現像剤を用いる現像方式の組合せが、高精細な画像を
形成できることから有効なプロセスである。その一例を
以下に示す。まず、感光材料をフラットベット上にレジ
スターピン方式による位置決めを行った後背面よりエア
ーサクションにより吸引して固定する。次いで、例えば
「電子写真技術の基礎と応用」(電子写真学会編、コロ
ナ社、昭和63年6月15日発行)212頁以降に記載の帯電デ
バイスにより、感光材料を帯電する。コロトロン又はス
コトロン方式が一般的である。この時感光材料の帯電電
位検出手段からの情報に基づき、常に所定の範囲の表面
電位となるよう、フィードバックをかけ、帯電条件をコ
ントロールすることも好ましい。その後例えば同じく上
記引用資料の254頁以降に記載の方式を用いてレーザー
光源による走査露光を行う。
【0204】次いで液体現像剤を用いてトナー画像を行
う。フラットベット上で帯電、露光した感光材料は、そ
こからはずして同上引用資料の275頁以降に示された直
接法の湿式現像法を用いることができる。この時の露光
モードは、トナー画像現像モードに対応して行われ、例
えば反転現像の場合はネガ画像、即ち画像部にレーザー
光を照射し、感光材料を帯電した時の電荷極性と同じ電
荷極性を持つトナーを用い、現像バイアス電圧を印加し
て、露光部にトナーが電着するようにする。原理の詳細
は同上引用資料の157頁以降に説明がある。
【0205】現像後に余剰の現像液を除くために、同資
料283頁に示されるようなスクイーズを行った後乾燥す
る。スクイーズ前に現像剤の担体液体のみでリンスをす
ることも好ましい。
【0206】また、具体的な湿式現像剤の材料の基本構
成としては、電気絶縁性有機溶媒{例えばイソパラフィ
ン系脂肪族炭化水素:アンソパーH、アイソパーG(エ
ッソ社製)シェルゾール70、シェルゾール71(シェ
ル社製)、IP−ソルベント1620(出光石油化学製)
等}を分散媒として、着色剤である無機又は有機の顔料
あるいは染料とアルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリエ
ステル樹脂、スチレンブタジエン樹脂、ロジン等の分散
安定性・定着性、荷電性を付与するための樹脂とを分散
し、且つ、荷電特性の強化あるいは画像特性の改良等の
ために所望により種々の添加剤を加えてなるものが挙げ
られる。
【0207】上記着色剤としては、公知の染料・顔料が
任意に選択されるが、例えば、ベンジジン系、アゾ系、
アゾメチン系、キサンテン系、アントラキノン系、フタ
ロシアニン系(含金属を含む)、チタンホワイト、ニグ
ロシン、アニリンブラック、カーボンブラック等の染料
あるいは顔料等である。また、他の添加剤としては、例
えば原崎勇次「電子写真」第16巻、第2号、44頁に具体
的に記載されているものが用いられる。例えば、ジ−2
−エチルヘキシルスルホコハク酸金属塩、ナフテン酸金
属塩、高級脂肪酸金属塩、アルキルベンゼンスルホン酸
金属塩、アルキルリン酸金属塩、レシチン、ポリ(ビニ
ルピロリドン)、半マレイン酸アミド成分を含む共重合
体、クマロンインデン樹脂、高級アルコール類、ポリエ
ーテル類、ポリシロキサン、ワックス類等が挙げられ
る。しかし、これらに限定されるものではない。
【0208】これら湿式現像剤の主要な各組成分の量に
ついては通常下記の通りである。樹脂(及び所望により
用いられる着色剤)を主成分として成るトナー粒子は、
担体液体1000重量部に対して0.5重量部〜50重
量部が好ましい。0.5重量部未満であると画像濃度が
不足し、50重量部を超えると非画像部へのカブリを生
じ易い。さらに、前記の分散安定用の担体液体可溶性樹
脂も必要に応じて使用され、担体液体1000重量部に
対して0.5重量部〜100重量部程度加えることがで
きる。上述の様な荷電調節剤は、担体液体1000重量
部に対して0.001重量部〜1.0重量部が好まし
い。更に所望により各種添加剤を加えても良く、それら
添加物の総量は、現像剤の電気抵抗によってその上限が
規制される。即ち、トナー粒子を除去した状態の液体現
像剤の電気抵抗が109 Ωcmより低くなると良質の連続
階調像が得られ難くなるので、各添加物の各添加量は、
この限度内でコントロールされている。
【0209】また、湿式現像剤の製造方法の具体例とし
ては、着色剤及び樹脂をサンドミル、ボールミル、ジェ
ットミル、アトライター等の分散機を用いて機械的に分
散して着色粒子を製造する方法が、例えば特公昭35−
5511号、特公昭35−13424号、特公昭50−
40017号、特公昭49−98634号、特公昭58
−129438号、特開昭61−180248号等に記
載されている。
【0210】他の着色粒子の製造方法としては、例えば
分散樹脂粒子を微小粒径で単分散性の良好なものとして
得る非水系分散重合方法を用いて製造し、該樹脂粒子を
着色する方法が挙げられる。着色の方法の1つとして
は、特開昭57−48738号などに記載されている如
く、分散樹脂を好ましい染料で染色する方法がある。ま
た、他の方法として、特開昭53−54029号に開示
されている如く、分散樹脂と染料を化学的に結合させる
方法、又は、特公昭44−22955号等に記載されて
いる如く、重合造粒法で製造する際に、予め色素を含有
した単量体を用い、色素含有の共重合体とする方法があ
る。
【0211】次に、工程(iv)により、感光材料11上
のトナー画像25を転写層12ごと被転写材16に熱転
写する。熱転写には、通常の用いられる転写装置を用い
ることができる。例えば、加熱手段内蔵の一対のゴム被
覆ローラー間に所定のニップ圧力を印加しながら駆動す
ることにより、転写層を被転写材に転写することができ
る。この時のローラーの表面温度は好ましくは50〜1
50℃、より好ましくは80〜120℃、ローラー間の
ニップ圧力は好ましくは0.2〜20kgf/cm2、より好
ましくは0.5〜10kgf/cm2、搬送スピードは好まし
くは0.1〜100mm/秒、より好ましくは1〜30mm
/秒の範囲である。これらの条件設定は、使用している
感光材料、即ち転写層、感光層、支持体等の材料の物性
により最適化することは当然である。
【0212】ローラー表面温度は、公知の表面温度検出
手段や温度コントローラーによって所定の範囲内に保つ
ことが好ましい。更に加熱ローラー部前に感光材料の予
熱手段、後に冷却手段を設けることもできる。更に、ロ
ーラー間加圧手段としては少なくとも一方のローラー
の、軸の両端にスプリング又は圧縮空気を用いるエアー
シリンダーを用いることができる。
【0213】本発明に用いる被転写材16は、従来オフ
セット印刷版に供される支持体をそのまま用いることが
できる。具体的には、プラスチックシート又は特に耐刷
性を施した紙、アルミニウム、板、亜鉛板、銅−アルミ
ニウム板、銅−ステンレス板、クロム−銅板等のバイメ
タル板、クロム−銅−アルミニウム板、クロム−鉛−鉄
板、クロム−銅−ステンレス板等のトライメタル板等の
親水性表面を有する基板が用いられ、その厚さは0.1
〜3mm、特に0.1〜1mm、が好ましい。
【0214】アルミニウムの表面を有する支持体の場合
には、砂目立て処理、ケイ酸ナトリウム、フッ化ジルコ
ニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、又
は陽極酸化処理等の表面処理がなされていることが好ま
しい。また、米国特許第2,714,066号明細書に
記載されている如く、砂目立てしたのちにケイ酸ナトリ
ウム水溶液に浸漬処理されたアルミニウム板、特公昭4
7−5125号公報に記載されているように、アルミニ
ウム板を陽極酸化処理したのちに、アルカリ金属ケイ酸
塩の水溶液に浸漬処理したものも好適に使用される。
【0215】上記陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロ
ム酸、硫酸、ほう酸等の無機酸、もしくはシュウ酸、ス
ルファミン酸等の有機酸又はこれらの塩の水溶液又は非
水溶液の単独又は二種以上を組み合わせた電解液中でア
ルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施さ
れる。また、米国特許第3,658,662号明細書に
記載されているようなシリケート電着も有効である。西
独特許公開第1,621,478号に記載のポリビニル
スルホン酸による処理も適当である。
【0216】これらの親水化処理は、支持体の表面を親
水性とするために施される以外は、その上に設けられる
トナ−画像との密着性の向上のために施されるものであ
る。また、該支持体とトナー画像を形成した転写層との
間との接着性を調節するために、該支持体表面に表面層
を設けて特性を改良することもできる。プラスチックシ
ート又は紙を支持体とする場合には、当然のことなが
ら、トナー画像部層以外が親水性でなければならないこ
とから、親水性を有する表面層を設けたものが供され
る。具体的には、公知の直描型平版印刷用原版又は該原
版の画像受理層と同様の内容を有する被転写材を用いる
ことができる。
【0217】以下に本発明の電子写真式製版印刷原版作
成方法を添付図面をもって詳細に説明する。本発明にお
いて、転写層を形成するには、前述の熱溶融塗布法、電
着塗布法及び転写法が好適である。
【0218】図2は本発明の方法を実施するのに好適な
第1の実施態様の印刷原版作成装置の概略図であり、転
写層は「電着塗布法」によって形成される。本発明の化
合物〔S〕を感光体表面に吸着又は付着させる塗布ユニ
ット9は、固定及び可動式のいずれでもよい。樹脂粒子
の分散液12aは可動式の液体現像ユニットセット14
内にある電着ユニット14T内に供給されている。
【0219】まず、前記した具体的態様のいずれかの方
式を用いた本発明の化合物〔S〕塗布ユニット9によ
り、感光体11表面上に化合物〔S〕を供給する。次
に、電着ユニット14Tを感光体11表面に接近させ、
電着ユニット14Tの現像電極との距離が1mmとなるよ
うに固定する。このギャップ間に樹脂粒子分散液12a
を供給し図示していない外部電源から電圧を印加しなが
ら回転させ、感光体11表面の画像形成領域全面に粒子
が電着するようにする。
【0220】電着ユニット14Tに内蔵してあるスクイ
ズ装置で、感光体11表面に付着している樹脂粒子分散
液12aを除き、次いで吸排気ユニット15の下を通過
させ乾燥し、予熱手段17aにより樹脂粒子を熱溶融さ
せて皮膜化した転写層12を得る。その後必要に応じて
図示していない吸排気ユニット15に類似の冷却装置に
より感光体外側からか、もしくは感光体ドラム内部か
ら、所定の温度まで冷却する。
【0221】電着ユニット14Tを降下させたのち液体
現像ユニットセット14が移動される。このユニットセ
ット14は湿式現像剤を含む現像装置よりなる。各々に
は必要に応じて非画像部の汚れを防止する意味で、プレ
バス、リンス、スクイズ手段を備えておいても良い。プ
レバス及びリンス液には通常湿式現像剤のキャリヤー液
体を用いる。
【0222】次いで電子写真プロセスに入る。熱可塑性
樹脂転写層12が形成された感光体11はコロナ帯電装
置18で、例えばプラスに一様帯電された後、露光装置
(例えば、半導体レーザー)19で画像情報に基づき画
像露光されると、露光部の電位が低減され、未露光部と
の間に電位コントラストが得られる。プラスの静電荷を
有する電気絶縁性分散媒中に分散している湿式現像剤を
含む現像ユニット14Lから感光体11表面に接近させ
ギャップを1mmにして固定する。
【0223】まず感光体は現像部に具備されたプレバス
手段によりプレバスされ、ついで図には示されていない
バイアス電源及び電気結線により感光体と現像電極の間
に現像バイアス電圧を印加しながら湿式現像剤を感光体
表面に供給する。この時のバイアス電圧は現像電極側を
正に、感光体側を負になるように接続し、印加電圧は未
露光部の表面電位よりもやや低くする。印加電圧が低す
ぎると充分なトナー画像濃度が得られない。
【0224】その後現像ユニットに内蔵してあるリンス
手段により現像液を洗い落とし、続いてスクイズ手段に
より感光体表面に付着したリンスを除いてから吸排気ユ
ニット15下を通過させることにより乾燥させる。この
間熱転写手段17は、感光体表面より離して置く。トナ
ー画像を感光体の転写層上に形成した後、熱転写のため
の予熱手段17aにより所定の予熱をし、ついで被転写
材料16を介して温度制御手段を有した発熱体を内蔵す
るゴムローラー17bを圧接しさらに冷却ローラー17
c下を通過させて冷却して、トナー画像を転写層ごと被
転写材料16へ熱転写し一連の工程を終了する。次い
で、後述するように、不感脂化処理液で転写層12を除
去して印刷版を得ることができる。
【0225】転写層12を被転写材料16へ熱転写する
ための転写手段17は予熱手段17a、発熱体内蔵のゴ
ムで被覆した金属の加熱ローラー17b及び冷却ローラ
ー17cよりなる。予熱手段17aは非接触の例えば赤
外線ラインヒーターもしくはフラッシュヒーター等を用
い、加熱ローラー17bによって得られる感光層表面温
度以上にならない範囲で予備加熱する。加熱ローラー1
7bによる感光層の加熱表面温度は好ましくは50〜1
50℃、より好ましくは80〜120℃である。
【0226】冷却ローラー17cの材質は例えばアルミ
ニウム、銅等の熱良導体金属にシリコーンゴム被覆を施
し、ローラー内部もしくは転写紙に接しない外周部に冷
媒手段を用いて放熱する事が望ましい。冷却手段はクー
リングファン、冷却循環もしくは電子冷却素子などを用
い、温度コントローラーと組合せて所定の温度範囲に保
つことが好ましい。
【0227】これらのローラーのニップ圧力は0.2〜
20kgf/cm2、より好ましくは0.5〜15kgf/cm2であ
り、図には示していないがローラー加圧手段としてはロ
ーラー軸の両端にスプリングもしくは圧縮空気を用いる
エアーシリンダーを使うことができる。搬送スピードは
0.1〜100mm/秒、より好ましくは1〜30mm/秒
の範囲であり、電子写真工程と熱転写工程で異なってい
てもよい。
【0228】また転写層を形成した状態で装置を停止す
ることにより、次の装置稼働時にはすぐ電子写真プロセ
スからスタートでき、更に感光層表面を保護し外的環境
からの影響による特性劣化を防止することもできる。
【0229】以上の条件設定は使用している転写層、感
光体、感光層及び支持体、さらに被転写材料の物性、に
より最適化することは当然である。特に熱転写工程にお
ける予熱、ローラー加熱、冷却条件は転写層のガラス転
移点、軟化温度、流動性、粘着性、皮膜性、膜厚などの
要因を加味して決定することが重要である。即ち予熱手
段である程度軟化した転写層が加熱ローラー下を通過す
ることにより粘着性が増し被転写材料に密着する。次い
で冷却ローラー下を通過した後では、温度が下がり、流
動性や粘着性が低減して皮膜のまま、トナーごと転写層
に接着された状態で感光層表面から剥離するように条件
を設定すべきである。
【0230】図3は、「溶融塗布(ホットメルト)方
式」により転写層12を感光体11上に形成する方法を
用いた、電子写真式製版印刷原版作成装置の概略図であ
る。前記のように、化合物〔S〕が塗布ユニット9によ
り感光体11表面に供給された後、熱可塑性樹脂12a
はホットメルトコーター13により、例えばドラム周面
の感光体11の表面へ塗布され、吸排気ユニット15下
を通過することにより所定の温度まで冷却され、転写層
を形成する。ホットメルトコーター13が待機位置13
aまで移動したあと、その場所には液体現像ユニット1
4が移動される。このユニット14は液体現像剤を含む
現像ユニット14Lを含む現像装置よりなる。
【0231】熱可塑性樹脂からなる転写層12が形成さ
れた感光体11は、次いで電子写真プロセスに入るが、
その詳細については、前記電着塗布法で記載したと同様
であり、また他の装置に関わる好ましい条件設定も前記
と同様である。
【0232】次に、本発明に用いることができる電子写
真式製版印刷原版作成装置の他の態様である「離型紙転
写」方式について説明する。剥離紙を利用した転写層を
感光体上に簡便に作成する装置としては、例えば図4に
示す概略図のものが挙げられる。即ち、熱可塑性樹脂
〔A〕を含有する転写層12を設けた剥離紙10を、加
熱ローラー17bで加熱圧着させて、転写層12を感光
体11の表面へ転写させる。剥離紙10は、冷却ローラ
ー17cで冷却されて回収される。更に必要に応じて、
感光体11自身を予熱手段17aで加熱して、転写層1
2の加熱圧着による転写性を向上させてもよい。
【0233】図4の装置は、前記したホットメルト方式
の装置(図3)と比べ、転写層12を感光体11上に形
成する部分117以外は、基本的に同一の構成である。
図4の117部においては、剥離紙10により転写層1
2を感光体11上へ転写し、次いで電子写真プロセスで
トナー画像を形成した後、該部分117を被転写材16
を有する部分17に置き換えて、ホットメルト方式の場
合と同様に転写させる方法を用いてもよいし、剥離紙1
0により転写層12を感光体11上に転写する部分と、
トナー画像の形成された転写層12を被転写材16へ転
写する部分の両方を装置内に組み入れてもよい。
【0234】剥離紙10により転写層12を感光体11
表面へ転写する場合における転写条件は、以下の通りが
好ましい。ローラーのニップ圧力は0.1〜10kgf/cm
2、より好ましくは0.2〜8kgf/cm2であり、転写時の
温度は25〜100℃、より好ましくは40〜80℃で
ある。搬送スピードは0.5〜100mm/秒、より好ま
しくは3〜50mm/秒であり、転写層形成工程、電子写
真工程及び被転写材への熱転写工程の各々で異なってい
てもよい。
【0235】また、本発明において、転写層が積層構成
の場合、前記と同様の各種転写層形成ユニット(13、
14T、117)を更に設ければよい。これらの転写層
形成法は同じでも異なっていてもよく、また、転写層形
成ユニットは、併用しても可動式にして入替えを行う態
様にしてもよい。この積層構成の転写層が形成された後
のプロセス、各種条件等は前記と同様である。
【0236】次いで、本発明では、工程(v)により、
以上のようにして得られた被転写材16上の転写層12
を化学反応処理して、転写層12を溶解又は膨潤そして
脱離すること等により、完全に除去することで、オフセ
ット用印刷版を作成することができる。転写層12を除
去するための処理には、処理液による反応の他に化学的
光学活線による脱保護反応を用いてもよく、また併用し
てもよい。
【0237】処理液は、所定のpHに調整された水溶性
溶液を用いる。pHの調整は、公知のpH調整剤を用い
ることができる。適用されるpH域は酸性〜中性〜アル
カリ性のいずれでもよいが、処理液の防錆性又は転写層
の溶出除去性を勘案すると、pH8以上のアルカリ性領
域で用いることが好ましい。アルカリ性処理液とする化
合物としては、従来公知の無機化合物又は行き化合物の
いずれでもよく、例えば、炭酸塩、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、
有機アミン化合物等いずれでもよく、また、単独又は混
合して用いることができる。
【0238】更には、親水性反応を迅速化するために併
用できる化合物として、パーソン(Pearson)等の求核定
数n〔R.G.Pearson, H.Sobel, J. Amer. Chem. Soc., 9
0, 319(1968)〕が5.5以上の値を有する置換基を含有
し、且つ蒸留水100重量部中に1重量部以上湯解する
親水性化合物が挙げられる。具体的な化合物としては、
例えばヒドラジン、ヒドロキシルアミン、亜硫酸塩(ア
ンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、亜鉛塩
等)、チオ硫酸塩等が挙げられ、また、分子内にヒドロ
キシル基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基、ア
ミノ基から選ばれた少なくとも1つの極性基を含有する
メルカプト化合物、ヒドラジド化合物、スルフィン酸化
合物、第1級アミン化合物、第2級アミン化合物等が挙
げられる。
【0239】例えばメルカプト化合物として、2−メル
カプトエタノール、2−メルカプトエチルアミン、N−
メチル−2−メルカプトエチルアミン、N−(2−ヒド
ロキシエチル)−2−メルカプトエチルアミン、チオグ
リコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、メルカプ
トベンゼンカルボン酸、2−メルカプトエンスルホン
酸、2−メルカプトエチルホスホン酸、メルカプトベン
ゼンスルホン酸、2−メルカプトプロピオニルアミノ酢
酸、2−メルカプト−1−アミノ酢酸、1−メルカプト
プロピオニルアミノ酢酸、1,2−ジメルカプトプロピ
オニルアミノ酢酸、2,3−ジヒドロキシロピルメルカ
プタン、2−メチル−2−メルカプト−1−アミノ酢酸
等を、スルフィン酸化合物として、2−ヒドロキシエチ
ルスルフィン酸、3−ヒドロキシプロパンスルフィン
酸、4−ヒドロキシブタンスルフィン酸、カルボキシベ
ンゼンスルフィン酸、ジカルボキシベンゼンスルフィン
酸等を、ヒドラジド化合物として、2−ヒドラジノエタ
ノールスルホン酸、4−ヒドラジノブタンスルホン酸、
ヒドラジノベンゼンスルホン酸、ヒドラジノベンゼンス
ルホン酸、ヒドラジノ安息香酸、ヒドラジノベンゼンカ
ルボン酸等を、第1級又は第2級アミン化合物として、
例えばN−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−
ジ(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジ(2−
ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、トリ(2−ヒド
ロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2,3−ジヒ
ドロキシプロピル)アミン、N,N−ジ(2,3−ジヒ
ドロキシプロピル)アミン、2−アミノプロピオン酸、
アミノ安息香酸、アミノピリジン、アミノベンゼンジカ
ルボン酸、2−ヒドロキシエチルモルホリン、2−カル
ボキシエチルモルホリン、3−カルボキシピペラジン等
を挙げることができる。
【0240】これら処理液中の求核性化合物の存在量は
0.05〜10モル/l、好ましくは0.1〜5モル/lで
ある。また、処理液のpHは8以上が好ましい。処理の
条件は、温度15〜60℃で浸漬時間は10秒〜5分間
が好ましい。該処理液は、上記した求核性化合物及びp
H調整剤以外に、他の化合物を含有してもよい。例え
ば、水に可溶性の有機溶媒を、水100重量部中に1〜
50重量部含有してもよい。このような水に可溶性の有
機溶媒としては、例えば、アルコール類(メタノール、
エタノール、プロパノール、プロパギルアルコール、ベ
ンジルアルコール、フェネチルアルコール等)、ケトン
類(アセトン、メチルエチルテトン、シクロヘキサノ
ン、アセトフェノン等)、エーテル類(ジオキサン、ト
リオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコー
ル、ジメチルエ−テル、プロピレングリコール、ジエチ
ルエ−テル、エチレングリコールモノメチルエーテル、
プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒド
ロピラン等)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ピロ
リドン、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド
等)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸エチ
ル、スルホラン、テトラメチル尿素等)等が挙げられ、
これらは単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
【0241】また、界面活性剤を水100重量部中に
0.1〜20重量部含有してもよい。界面活性剤として
は、従来公知のアニオン性、カチオン性又はノニオン性
の各界面活性剤が挙げられる。例えば、堀口博「新界面
活性剤」(1975年刊)三共出版(株)、小田良平、寺村
一広「界面活性剤の合成とその応用」(1980年刊)槇書
店等に記載される化合物を用いることができる。更に、
該処理液の保存時の防腐性、防黴性向上の為に、従来公
知の防腐性化合物、防黴性化合物を併用してもよい。更
に処理時に、超音波下に行う又は機械的な摺動(ブラシ
等でこする等)等の物理的操作を併用してもよい。
【0242】他方、「化学的活性光線」の照射により脱
保護反応する場合に用いられる光線としては、可視光
線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、γ線、α線等い
ずれでもよいが、好ましくは紫外線が挙げられる。より
好ましくは波長310nm〜波長500nmの範囲での光線
を発しうるものが好ましく、一般には高圧又は超高圧の
水銀ランプ等が用いられる。光照射の処理は通常5cm〜
50cmの距離から10秒〜10分間の照射で充分に行う
ことができる。この様にして光照射した後、上記の様な
水溶性溶液中に浸漬することで容易に転写層が除去され
るものである。
【0243】
【実施例】以下に実施例を示し、更に詳しく本発明の内
容を説明するが、これによって本発明が限定を受けるも
のではない。 〔熱可塑性樹脂粒子〔AR〕の合成例〕 熱可塑性樹脂粒子〔ARH〕の合成例1:〔ARH−
1〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−1〕16g及びアイソパ
ーH 550gの混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度50
℃に加温した。
【0244】
【化36】
【0245】これに、ベンジルメタクリレート85.5g、
アクリル酸12.5g、3−メルカプトプロピオン酸メチル
2.0g及び2, 2′−アゾビス(2−シクロプロピルプロ
ピオニトリル)(略称A.C.P.P.)1.2gの混合溶液を1時
間で滴下した。そのまま1時間攪拌後、A.C.P.P. 0.8g
を加え2時間反応した。更に、2, 2′−アゾビス(イソ
ブチロニトリル)(略称A.I.B.N.)0.5gを加え、温度を80
℃に設定し、3時間反応した。冷却後、200メッシュの
ナイロン布を通し得られた白色分散物は重合率97%で平
均粒径0.17μmの単分散性のラテックスであった(粒径
はCAPA−500(堀場製作所(株)製)で測定し
た)。
【0246】上記白色分散物の一部を遠心分離機(回転
数1×104r.p.m.、回転時間1時間)にかけ、沈降した
樹脂粒子分を補集、乾燥し、該樹脂粒子分の重量平均分
子量(Mw)とガラス転移点(Tg)を測定したとこ
ろ、Mwは1.5×104(G.P.C.によるポリスチレン換算
値)、Tgは63℃であった。
【0247】熱可塑性樹脂粒子〔ARH〕の合成例2:
〔ARH−2〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−2〕14g、下記構造の
マクロモノマー(M−1)10g及びアイソパーH 553g
の混合溶液を窒素気流下攪拌しながら温度55℃に加温し
た。
【0248】
【化37】
【0249】これに、メチルメタクリレート51.2g、メ
チルアクリレート30g、アクリル酸12.5g、3−メルカ
プトプロピオン酸メチル 1.3g及びA.C.P.P. 1.2gの混
合溶液を滴下時間1時間で滴下し、そのまま更に1時間
反応した。次に2,2′−アゾビス(イソバレロニトリ
ル)(略称A.I.V.N.)0.8gを加えた後、200メッシュ
にナイロン布を通し得られた白色分散物は重合率98%
で、直ちに温度設定を75℃として2時間、更にA.I.V.N.
0.5gを加えて2時間反応した。冷却後、200メッシ
ュのナイロン布を通し、得られた白色分散物は重合率98
%で平均粒径 0.8μmの単分散性のラテックスであっ
た。樹脂粒子分のMwは、2×104でTgは50℃であっ
た。
【0250】熱可塑性樹脂粒子〔ARH〕の合成例3〜
11:〔ARH−3〕〜〔ARH−11〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−3〕20g及びアイソパ
ーG 480gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度50
℃に加温した。
【0251】
【化38】
【0252】これに、下記表−Aに記載の各単量体の所
定量、3−メルカプトプロピオン酸メチル 2.6g、A.I.
V.N. 1.5g及びテトラヒドロフラン60gの混合溶液を、
滴下時間1時間で滴下し、そのまま更に1時間反応し
た。次いで、A.I.V.N. 1.0gを加え、温度設定を70℃と
してそのまま2時間反応後、更にA.I.V.N. 0.8gを加え
て3時間反応した。
【0253】上記反応物にアイソパーH60gを加え、温
度50℃で水流ポンプの減圧下にてテトラヒドロ溶媒を留
去した後、冷却し、200メッシュのナイロン布を通し
て白色分散物を得た。得られた各ラテックスは、平均粒
径0.15〜0.30μmの範囲で各々単分散性は良好であっ
た。また、各ラテックスの樹脂粒子分のMwは1×104
〜2×104の範囲であり、Tgは35〜80℃の範囲であっ
た。
【0254】
【表1】
【0255】
【表2】
【0256】
【表3】
【0257】熱可塑性樹脂粒子〔ARH〕の合成例12〜
22:〔ARH−12〕〜〔ARH−22〕 樹脂粒子〔ARH〕の合成例2において、マクロモノマ
ー(M−1)10gの代わりに下記表−Bの各マクロモノ
マー(Mwは8×103〜1×104の範囲)を用いた他は該
合成例2と同様にして各樹脂粒子を合成した。各粒子の
重合率は98〜99%で、それらの粒子の平均粒径は0.15〜
0.25μmの範囲で、粒子の粒度分布も狭く、単分散性が
良好であった。該樹脂粒子のMwは9×103〜2×104
ガラス転移点は40〜70℃の範囲であった。
【0258】
【表4】
【0259】
【表5】
【0260】
【表6】
【0261】
【表7】
【0262】熱可塑性樹脂粒子〔ARL〕の合成例1:
〔ARL−1〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−4〕18g及びアイソパ
ーH 560gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度55
℃に加温した。
【0263】
【化39】
【0264】これに、フェネチルメタクリレート84.8
g、アクリル酸10.0g、3−メルカプトプロピオン酸
5.2g及びA.I.V.N. 0.8gの混合溶液を1時間で滴下し
た。そのまま1時間撹拌後、A.I.V.N. 0.8gを加え2時
間反応した。更に、A.I.B.N. 0.5gを加え、温度を80
℃に設定し、3時間反応した。冷却後、200メッシュ
のナイロン布を通し得られた白色分散物は重合率97%
で、平均粒径0.18μmの単分散性ラテックスであった。
又、樹脂粒子分のMwは6×103、Tgは25℃であっ
た。
【0265】熱可塑性樹脂粒子〔ARL〕の合成例2:
〔ARL−2〕 分散安定用樹脂〔Q−5〕の合成 ドデシルメタクリレート99.5g、ジビニルベンゼン 0.5
g及びトルエン 200gの混合溶液を、窒素気流下撹拌し
ながら温度80℃に加温した。A.I.B.N.2gを加え3時間
反応し、更にA.I.B.N. 0.5gを加えて4時間反応した。
得られた重合体〔Q−5〕の固形分は33.3%(重量)
で、Mwは4×104であった。
【0266】粒子の合成 上記樹脂〔Q−5〕25g(固形分量として)、酢酸ビニ
ル54g、酪酸ビニル40g、クロトン酸6g及びアイソパ
ーH 275gの混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度
80℃に加温した。A.I.V.N. 1.6gを加え、1.5時間反応
し、A.I.V.N. 0.8gを加え2時間、更にA.I.B.N. 0.5g
を加え4時間反応した。次いで、温度を100℃に上げ2
時間撹拌し、未反応の酢酸ビニルを留去した後、冷却し
て200メッシュのナイロン布を通し、白色分散物を重
合率93%で得た。平均粒径0.25μmの単分散ラテックス
であった。また、樹脂粒子分のMwは8×104、Tgは3
0℃であった。
【0267】熱可塑性樹脂粒子〔ARL〕の合成例3:
〔ARL−3〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−6〕20g、メチルメタ
クリレート60g、アクリル酸10g、チオグリコール酸3
g及びアイソパーH 546gの混合溶液を、窒素気流下撹
拌しながら温度60℃に加温した。A.I.V.N. 1.0gを加え
2時間反応した後、A.I.V.N. 0.8gを加えて2時間反応
し、更にA.I.B.N. 0.5gを加えた後、温度設定を80℃に
して3時間反応した。冷却後200メッシュナイロン布
を通して白色分散物を重合率99%で得た。平均粒径は0.
22μmの単分散ラテックスであった。また、樹脂粒子分
のMwは9×103で、Tgは23℃であった。
【0268】
【化40】
【0269】熱可塑性樹脂粒子〔ARL〕の合成例4:
〔ARL−4〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−7〕18g及びアイソパ
ーH 500gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら温度50
℃に加温した。これに、メチルメタクリレート39.1g、
エチルアクリレート30g、2−スルホエチルメタクリレ
ート25g、3−メルカプトプロピオン酸メチル 7.9g、
A.I.V.N. 1.5g及びテトラヒドロフラン120gの混合溶
液を滴下時間1時間で滴下し、そのまま更に1時間反応
した。次いで、A.I.V.N. 1.0gを加え、温度設定を70℃
としてそのまま2時間反応後、更にA.I.V.N. 1.0gを加
えて3時間反応した。
【0270】得られた分散物の一部を採取し、粒子の粒
径を測ったところ、平均粒径0.18μmの単分散性良好な
分散物であった。また、重合率は98%であった。この反
応物にアイソパーH 120gを加え、温度50℃で水流ポン
プの減圧下にテトラヒドロ溶媒を留去し、冷却後200メ
ッシュのナイロン布を通して白色分散物を得た。該樹脂
粒子のMwは4×103、Tgは28℃であった。
【0271】
【化41】
【0272】熱可塑性樹脂粒子〔ARL〕の合成例5:
〔ARL−5〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−8〕20g、繰り返し単
位がジメチルシロキサンからなる一官能性マクロモノマ
ー:プラクセルFM0721(Mw6×104、(株)チッソ
製)15g、メチルメタクリレート30.8g、エチルアクリ
レート30g、アクリル酸15g、3−メルカプトプロピオ
ン酸エチル 9.2g及びアイソパーG 547gの混合溶液
を、窒素気流下撹拌しながら温度60℃に加温した。A.I.
V.N. 2.0gを加え2時間反応した後、A.I.V.N. 1.0gを
加えて更に2時間反応した。次いで、A.I.V.N. 1.0gを
加えた後、直ちに温度設定を75℃として2時間、更にA.
I.V.N.0.8gを加えて2時間反応した。冷却後200メッシ
ュのナイロン布を通して白色分散物で、重合率98%、平
均粒径0.20μmの単分散ラテックスを得た。該樹脂粒子
のMwは4×103、Tgは18℃であった。
【0273】
【化42】
【0274】熱可塑性樹脂粒子〔ARL〕の合成例6:
〔ARL−6〕 前記分散安定用樹脂〔Q−4〕12g及びアイソパーG 4
55gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら、温度50℃に
加温した。これに、フェネチルメタクリレート62.5g、
(2−ペンチルカルボニル−1−メチル)エチルメタク
リレート20g、アクリル酸7.5g、4−メルカプトブタ
ンカルボン酸メチル10g、A.C.P.P. 3g及びアイソパー
G 100gの混合溶液を滴下時間1時間で滴下した後、そ
のまま更に1時間反応後、A.C.P.P. 1.0gを加え2時間
反応した。次いで、A.I.V.N. 0.8gを加えた後、直ちに
温度設定を75℃とし、2時間反応し、更にA.I.V.N. 0.5
gを加えて2時間反応した。冷却後、200メッシュのナ
イロン布を通して白色分散物で重合率98%、平均粒径0.
17μmの単分散ラテックスを得た。該樹脂粒子のMwは
6×103、Tgは15℃であった。
【0275】熱可塑性樹脂粒子〔ARL〕の合成例7〜
16:〔ARL−7〕〜〔ARL−16〕 下記構造の分散安定用樹脂〔Q−9〕25g及びアイソパ
ーH 392gの混合溶液を窒素気流下撹拌しながら、温度
50℃に加温した。
【0276】
【化43】
【0277】これに、下記表−Cの各単量体、3−メル
カプトプロピオン酸メチル 3.1g、開始剤A.C.P.P. 3g
及びメチルエチルケトン150gの混合溶液を滴下時間1
時間で滴下し、そのまま1時間反応し、更にA.C.P.P.
1.0gを加え2時間反応した。次いで、A.I.V.N. 1.0g
を加えた後直ちに温度設定を75℃とし2時間反応し、更
にA.I.V.N. 0.8gを加えて2時間反応した。
【0278】冷却後、200メッシュのナイロン布を通し
て、白色分散物を得た。各樹脂粒子の重合率は93〜99%
で、その平均粒径は0.15〜0.25μmの範囲の粒度分布の
狭いラテックスであった。また、各粒子の樹脂分のMw
は8×103〜1×104、Tgは10〜35℃の範囲であった。
【0279】
【表8】
【0280】
【表9】
【0281】
【表10】
【0282】実施例1 図2に示す装置に、電子写真感光体としてアモルファス
シリコン感光体を装着した。この感光体表面の粘着力は
180g・fであった。この感光体への離型性付与は、本発
明の化合物〔S〕を溶解した溶液に浸漬させること(浸
漬方法)で行なった。即ち、下記化合物〔S−1〕1.0
gをアイソパーG(エッソ(株)製)1リットル中に溶
解した溶液を入れた浴に、上記感光体を周速10mm/秒の
回転速度で回転し7秒間触れる様にして処理し、エアー
スクイズで乾燥した。この様にして得られた該感光体表
面の粘着力を測定した所5g・fと低下し、良好な離型性
を示した。
【0283】
【化44】
【0284】次に該感光体表面温度を60℃とし且つ、感
光体ドラムの周速度を10mm/秒で回転させ感光体表面に
スリット電着装置を用いて、下記内容の正荷電樹脂粒子
分散液〔L−1〕を供給しながら、感光体側を接地しス
リット電着装置の電極側に−200Vの電圧を印加して樹
脂粒子を電着・定着した。 樹脂粒子分散液〔L−1〕 樹脂粒子〔ARH−16〕 8g(固形分量として) 正荷電用調節剤(CD−1) 0.02g 〔オクタデシルビニルエーテル/N−ヘキサデシルマレイン酸半アミド (1/1)重量比〕共重合体 を、アイソパーGで全量 1.0リットルになる様に調整し
た。
【0285】まず、この感光材料の撮像性及び転写性を
調べた。感光材料を暗所にて700Vにコロナ帯電したの
ち、あらかじめ原稿からカラースキャナーにより読み取
り、デジタル画像データとしてシステム内のハードディ
スクに記憶させてあった情報をもとにネガ鏡像モード
で、5mW出力のガリウム−アルミニウム−ヒ素半導体レ
ーザー(発振波長780nm)を用いて、感光材料表面上で30
erg/cm2の照射量下で、ピッチ25μm及びスキャン速度3
00cm/秒のスピードで露光した。
【0286】次に、下記の方法で液体現像剤〔LD−
1〕を調製した。 ・トナー粒子の合成 メチルメタクリレート65g、メチルアクリレート35g、
下記構造の分散ポリマー20g及びアイソパーH 680gの
混合溶液を窒素気流下に、攪拌しながら温度65℃に加温
した。これに、2, 2′−アゾビス(イソバレロニトリ
ル)(A.I.V.N.)1.2gを加え2時間反応し、更にA.I.V.N.
0.5gを加えて2時間反応し、更にA.I.V.N. 0.5gを加
えて2時間反応した。次に、反応温度を90℃に上げて、
30mmHgの減圧下に1時間攪拌し、未反応単量体を除去し
た。
【0287】
【化45】
【0288】室温に冷却後、200メッシュのナイロン布
を通して濾過し、白色分散物を得た。得られた分散物の
単量体の反応率は95重量%で樹脂粒子の平均粒径は0.25
μmで且つ単分散性良好なものであった(粒径はCAP
A−500を使用)。 ・着色粒子の製造 テトラデシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合比;95/5重量比)10g、ニグロシン10g及
びアイソパーG30gをガラスビーズと共にペイントシェ
ーカー(東京精機(株)製)に入れ、4時間分散し、ニ
グロシンの微小な分散物を得た。
【0289】・液体現像剤の製造 上記トナー粒子の樹脂分散物45g、上記ニグロシン分散
物25g、ヘキサデセン/半マレイン酸オクタデシルアミ
ド共重合体 0.2g及びFOC-1800(日産化学(株)製)15
gをアイソパーG1リットルに希釈することにより静電
写真用液体現像剤〔LD−1〕を作製した。
【0290】上記の方法で製造した液体現像剤〔LD−
1〕を用い、一対の平板現像電極を有する現像装置で感
光材料面側電極に+400Vのバイアス電圧を印加し、露
光部にトナーが電着するようにした反転現像を行ない、
ついでアイソパーH単独浴中でリンスをして非画像部の
汚れを除いた。この様にして得られた製版後の感光材料
をヒートロールの定着方法で画像を定着した。
【0291】次に、Fuji PS-プレート:FPD(富士写
真フィルム(株)製)に用いられるアルミ支持体と上記
現像後の感光材料とを重ね合わせ、15kgf/cm2の圧力で
接している表面温度が130℃に常にコントロールされた
一対のゴムローラーの間を、5mm/秒のスピードで通過
させた。その後重ねたままで室温まで冷やしてから該ア
ルミ支持体と感光材料を引き剥がし、得られたアルミ支
持体上に形成された画像(カブリ、画像の画質)を目視
評価した。
【0292】本発明の感光材料の場合は、感光材料上の
トナーは剥離層ごと全てアルミ支持体側に熱転写され、
地カブリのない鮮明な画像が得られ、原稿と比較し、画
像品質の劣化は殆んど見られなかった。
【0293】比較として、本発明の態様において、化合
物〔S−1〕で処理しないまま転写層を設けて、上記と
同様の操作を行なって、アルミ支持体への転写を行なっ
た所、転写層の均一で完全な剥離は認められなかった。
更に、他の比較として、感光体に離型性の処理をした
後、転写層を設けないで上記と同様の操作を行なった
所、支持体上のトナー画像は欠落が多く、また感光体上
にトナー画像の残りが多く発生し、実用に供し得るもの
ではなかった。
【0294】以上のように、感光体の表面に剥離性を付
与し、且つ転写層を設けてトナー画像を被転写材に転写
し、トナー画像を形成する方法は、複写画像を欠陥なく
完全に再現させる極めて良好な方法であることが判る。
【0295】次に、アルミ支持体に転写層を転写した版
を不感脂化処理(即ち転写層除去)して、印刷版として
の印刷性能を調べた。上記の版を、温度35℃の下記内
容の不感脂化処理液(E−1)中に1分間浸漬して版面
をゆるく毛ブラシでこすりながら転写層を除去し、充分
水洗した後、ガム引きし、オフセット用印刷版を作成し
た。 不感脂化処理液(E−1);PS版処理剤(DP−4)
(富士写真フィルム(株)製)を蒸留水で50倍に希釈
した溶液(pH12.5)
【0296】この様にして得た印刷版を200倍の光学顕
微鏡を用いて非画像部及びトナー画像部を目視観察した
ところ、非画像部には転写層の残存は認められず、且つ
画像部の細線・細文字等の高解像度域の欠落は認められ
なかった。この版を浸し水としてPS版用浸し水(SG
−23)(東京インキ(株)製)を蒸留水で130倍に希
釈した水溶液(pH 7.0)を用い、印刷機としてオリバ
ー94型((株)桜井製作所製)を用い、印刷紙として
中性紙を使用して、各種オフセット印刷用色インキで印
刷し、地汚れの発生しない鮮明な画像の得られる印刷枚
数を調べた。その結果、色インキの種類にかかわらず、
いずれの場合も6万枚以上の耐刷枚数が得られた。
【0297】更に、本発明の印刷版による印刷を行った
後、通常の操作のまま、次にPS版を印刷したところ、
何の問題も生じなかった。即ち、印刷機を同一にして、
PS版等の他のオフセット印刷版と容易に共用できるこ
とが確認された。以上の様に、本発明によって供される
オフセット印刷版は、半導体レーザー光スキャニング露
光方式によって得られる画像再現性が極めて良好で且つ
それが印刷物に良好に再現されること、色インキ適性が
充分で、インキ選択性がほとんどみられず、フルカラー
印刷が高耐刷性で得られること、他のオフセット印刷版
と容易に共用できること等、極めて優れた性能を示すこ
とが確認された。
【0298】実施例2 実施例1において、感光体の離型性付与手段として、下
記の内容に代えた他は実施例1と同様に操作して、トナ
ー画像をFPD支持体上に形成した。下記のカルボキシ
ル変性シリコンオイルTSF4770(東芝シリコン
(株)製)〔S−2〕のオイルを入れた浴に接したシリ
コンゴム層を表面に有するメタリングロールを該感光体
に接触させ周速15mm/秒の回転スピードで、両ドラムを
20秒間回転させた。この処理により感光体表面の粘着力
は5g・fとなった。
【0299】
【化46】
【0300】また、該シリコンオイル浴に浸されたメタ
リングロールと感光体の間にスチレン−ブタジエンゴム
層を表面に有するトランスファーロールを介して処理し
ても、上記と同様の結果が得られた。更には、上記メタ
リングロール/トランスファーロールを用いる方法にお
いて、図5に示す様に、メタリングロールとトランスフ
ァーロールの間に該化合物〔S−2〕を供給する方法で
も、同様に良好な結果が得られた。次いで、実施例1と
同様にして、印刷版とし、印刷したところ、実施例1と
同様に良好な性能を示した。
【0301】実施例3 実施例1において、感光体の離型性付与手段として下記
の内容に代えた他は、実施例1と同様に操作して、トナ
ー画像をアルミ支持体上に形成した。 ジメチルシリコンオイルKF−96L−2.0(信越シ
リコーン(株)製);化合物〔S−3〕2gを均一に含
浸させたAW処理フェルト〔(厚み15mm×巾20mm)のウ
ール材質〕を感光体に押圧200gで圧接し、該感光体を周
速20mm/秒の回転速度で30秒間回転した。処理後の感光
体表面の粘着力は10g・fとなった。得られた最終印刷
物の画像及び耐刷枚数は、実施例1と同様の性能を示し
た。
【0302】実施例4 実施例1において、感光体の離型性付与手段として下記
の内容に代えた他は、実施例1と同様に操作してトナー
画像をアルミ支持体上に形成した。加熱手段を内蔵した
ゴムローラーに、フッ素系界面活性剤サーフロンS-141
(旭硝子(株)製);化合物〔S−4〕を含浸させた布
を巻きつけたローラーを、表面温度60℃に加熱した後感
光体と接触させ、両ドラムを周速度20mm/秒の回転速度
で30秒間回転した。感光体表面の粘着力は12g・fにな
った。得られた最終印刷物の画像及び耐刷枚数は、実施
例1と同様の性能を示した。
【0303】実施例5 実施例1において、感光体の離型性付与手段として下記
の内容に代えた他は、実施例1と同様に操作してトナー
画像をアルミ支持体上に作成した。金属芯ローラーにシ
リコンゴムを巻いたシリコンゴムローラー((株)金陽社
製)を、感光体表面にニップ圧500g・f/cm2で当接し、
周速15mm/秒の回転速度で10秒間回転させた。これによ
り、該感光体表面の粘着力は48g・fに低下した。得ら
れた最終印刷物の画像及び耐刷枚数は、実施例1と同様
の性能を示した。
【0304】実施例6 実施例1において、樹脂〔A〕の分散液〔L−1〕を用
いた転写層形成の代わりに、下記の内容により二層構成
の転写層を電子写真感光体表面上に形成した他は、実施
例1と同様に操作してトナー画像をアルミ支持体を形成
した。 ・転写層の形成方法 前記の樹脂粒子〔ARH−1〕10g(固形分量とし
て)、前記正荷電用調節剤(CD−1)0.02g及びFOC-
1800;10gを全量で1リットルになる様にアイソパーG
で調整して得た樹脂〔A〕の分散液〔L−2〕を用い
て、感光体に膜厚3μmの第1層を設けた。
【0305】更に、この層の上に、樹脂〔A〕の分散液
〔L−3〕として、上記樹脂〔A〕分散液〔L−2〕に
おいて樹脂粒子〔ARH-1〕10gの代わりに樹脂粒子〔ARL
-17〕10g(固形分量)を用いた他は該分散液〔L−
2〕と同様にして調製したものを用いて、膜厚1μmと
なる様に第2層を設けた。
【0306】次に、この感光材料上に、実施例1と同様
にしてトナー画像を形成し、更にFPDアルミ支持体上
に、トナー画像ごと転写層を熱圧転写した。他方、FP
Dアルミ支持体に、転写する熱圧条件を、圧力10kgf/cm
2、表面温度100℃及び転写スピード10mm/秒の温和な条
件にして転写を行った。いずれの条件で転写した場合
も、本発明の二層構成の転写層をした感光材料では、感
光材料のトナーは剥離層ごと全てアルミ支持体側に熱転
写され、地カブリのない鮮明な画像が得られ、原稿と比
較して画像品質の劣化は殆ど見られなかった。これに対
し、実施例1の転写層を設けた感光材料を上記の温和な
転写条件で転写を行った所、感光材料上に微かな転写残
りが見られた。
【0307】この様に、ガラス転移点の高い樹脂〔A
H〕の層とガラス転移点の低い樹脂〔AL〕の層とを積
層して成る転写層は、感光体表面との離型性及び被転写
材であるFPDアルミ支持体表面との密着性が各々向上
し、転写のための熱圧力を緩和し、且つ転写スピードの
更なる向上を可能とすることが判った。次に、アルミ支
持体にトナー画像ごと転写した版の重ね置き版適性を調
べた。転写原版を転写層側を上にして重ね合わせ、8kg
f/cm2となる様に荷重をかけ、(30℃、85%RH)の環
境条件下に3日間放置した後、転写層の欠損の有無を黙
視評価したところ、転写層の上側の支持体への移り等も
なく、良好な保存性を示した。
【0308】次に、上記転写原版を実施例1と同様にし
て不感脂化処理し、オフセット印刷版として印刷を行っ
た所、実施例1と同様に地汚れのない鮮明な画質の印刷
物を6万枚得ることができた。
【0309】実施例7 電子写真感光体としてアモルファスシリコンを図3に示
す装置に装着した。感光体表面を離型性にする方法は実
施例1で示したと同じ方法で行ない、該感光体の表面の
粘着力180g・fが5g・fとなった。転写層には樹脂
〔A〕として下記構造の樹脂〔A−1〕と樹脂〔A−
2〕との〔1/2〕重量比から成る樹脂を用い、120℃
設定のホットメルトコーターにより感光層表面へ20mm/
秒のスピードで塗布をし、冷却空気を吸排気ユニットか
ら吹き付けて冷却したのち感光体表面温度を30℃に保っ
た。この時の転写層の厚みは3μmであった。
【0310】
【化47】
【0311】次に、実施例1と同様にして、トナー画像
を形成し、PSプレートFPD支持体への転写及び不感
脂化処理による印刷版作成を行い、オフセット印刷を行
った。但し、被転写材への転写条件は、圧力10kgf/c
m2、温度120℃、転写スピード15mm/秒で行った。得ら
れた印刷物は、地汚れのない鮮明な画像のものが6万枚
得られた。また、重ね置き版適性を実施例6と同様にし
て調べたところ、全く問題なく良好であった。
【0312】実施例8 実施例7と同様のアモルファスシリコン感光体を図4に
示す装置に装着し、且つ感光体表面の離型性付与を、実
施例1と同様の方法で行なった。転写層は離型紙からの
転写を行なった。即ち、離型紙としてセパレート紙(王
子製紙(株)製)を用い、この上に下記構造の樹脂〔A
−3〕と樹脂〔A−4〕を(5/5)重量比から成る4
μmの膜厚で塗膜形成した紙を、上記感光体に、ローラ
ー間圧力3kgf/cm2、表面温度90℃及び転写スピード10m
m/秒の条件で、該転写層を感光体表面に転写した。
【0313】
【化48】
【0314】次にこの感光材料を、実施例7と同様に操
作して印刷版とし、オフセット印刷を行なった。得られ
た結果は実施例7と同様に良好な画像であった。
【0315】実施例9 X型無金属フタロシアニン(大日本インキ(株)製)2
g、下記構造の結着樹脂〔B−1〕10g、下記構造の化
合物〔A〕0.15g及びテトラヒドロフラン80gの混合物
を、500mlのガラス容器にガラスビーズと共に入れ、ペ
イントシェーカー(東洋精機製作所製)で60分間分散
し、更にこれに無水フタル酸0.03g及びo−クロロフェ
ノ−ル0.001gを加えて2分間分散した後、ガラスビーズ
をろ別して感光層分散液とした。
【0316】
【化49】
【0317】ついでこの分散液を、円筒状の砂目立てし
た厚み0.25mmのアルミニウム支持体上に浸漬塗布し、指
触乾燥した後、110℃循環式オーブンで、20秒間加熱し
た。更に140℃で1時間加熱した。得られた感光層の膜
厚は8μmであった。次に、実施例2で用いたと同様の
方法で、上記感光体表面に離型性を付与し、該表面の粘
着力を8g・fとした。但し、ガルボキシル変性シリコ
ンオイル:TSF4770〔S−2〕の代わりに下記化
合物〔S−5〕を用いた。
【0318】
【化50】
【0319】この感光体表面に実施例1と同様の方法を
用い、樹脂粒子分散液〔L−1〕の代わりに、下記の内
容の樹脂粒子分散液〔L−4〕を用いて、膜厚4μmの
転写層を形成した。 樹脂粒子分散液〔L−4〕 樹脂粒子〔ARL−6〕 5g(固形分量として) 樹脂粒子〔ARH−4〕 5g(固形分量として) 下記の正荷電用調節剤(CD−2) 0.015g 分枝テトラデシルアルコール(FOC-1400;日産化学(株)製)10g をアイソパーGで全量 1.0リットルになる様に調製し
た。
【0320】
【化51】
【0321】次いで、感光体を550Vにコロナ帯電した
後、予め原稿からカラーキャスナーにより読み取り、デ
ジタル画像としてシステム内のハードディスクに記憶さ
せてあった情報をもとにネガ鏡像モードで、5mW出力
のガリウム−アルミニウム−ヒ素半導体レーザー(発振
波長780nm)を用いて、感光材料表面上で30erg/cm2の照
射量下で、ピッチ25μm及びスキャン速度300cm/秒のス
ピードで露光した。
【0322】液体現像剤〔LD−1〕を用い、一対の平
板現像電極を有する現像装置で感光材料面側に250Vの
バイアス電圧を印加し、露光部にトナーが電着するよう
にした反転現像を行い、次いでアイソパーH単独浴中で
リンスして非画像部の汚れを除いた。この様にして得ら
れた製版後の感光材料をヒートロールの定着方法で画像
を定着した。
【0323】次に、被転写材としてストレートマスター
(三菱製紙(株)製)を用い、上記現像後の感光材料と
重ね合わせ、10kgf/cm2の圧力で接している表面温度が1
00℃に常にコントロールされた一対のゴムローラーの間
を、10mm/秒のスピードで通過させた。その後重ねたま
まで室温まで冷やしてから該支持体と感光材料を引き剥
がし、得られたストレートマスター支持体上に形成され
た画像(カブリ、画像の画質)を目視評価した。
【0324】本発明の感光材料の場合は、感光材料上の
トナーは剥離層ごと全て支持体側に熱転写され、地カブ
リのない鮮明な画像が得られ、原稿と比較し、画像品質
の劣化は殆ど見られなかった。
【0325】次に、ストレートマスター支持体に転写層
を転写した版を不感脂化処理(即ち転写層除去)して、
印刷版としての印刷性能を調べた。上記の版を、温度2
5℃の不感脂化処理液(E−2)中に30秒間浸漬し、版
面をゆるくこすりながら転写層を除去し、充分水洗した
後、ガム引きし、オフセット用印刷版を作成した。 不感脂化処理液(E−2); メルカプトエタンスルホン酸 10g ネオソープ(松本油脂(株)製) 5g N,N−ジメチルアセトアミド 10g を蒸留水で希釈し、全量を 1.0リットルにした後、水酸
化ナトリウムでpH13.0に調整したもの。
【0326】このようにして得た印刷版を200倍の光学
顕微鏡を用いて非画像部及びトナー画像部を目視観察し
たところ、非画像部には転写層の残存は認められず、且
つ画像部の細線・細文字等の高解像度域の欠落は認めら
れなかった。この版を、実施例1と同様にしてオフセッ
ト印刷したところ、地汚れの発生しない鮮明な画像の印
刷物が2千枚得られた。
【0327】また、該支持体に転写した版を、転写層を
上側にして重ね合わせ、5kgf/cm2の圧力をかけて1週
間放置した後、転写層の剥がれの有無を調べたところ、
転写層の剥がれはなく、トナー画像の欠損は認められな
かった。
【0328】実施例10 電荷発生剤として下記構造のビスアゾ顔料1.0g、有機光
導電性化合物として下記構造のヒドラゾン化合物2.0g、
ポリエステル樹脂バイロン200(東洋紡績(株)製)5g
及びテトラヒドロフラン30gの混合物をボールミル中で
充分に粉砕した。次いで、この混合物をとりだし、攪拌
下、テトラヒドロフラン520gを加えた。この分散物をワ
イヤーラウンドロッドを用いて、酸化インジウムの蒸着
膜を設けて表面抵抗103Ωとした厚さ100μmのポリエチ
レンテレフタレート支持体上に塗布して約0.7μmの電
荷発生層を形成した。
【0329】
【化52】
【0330】
【化53】
【0331】次に、上記ヒドラゾン化合物20g、ポリカ
ーボネート樹脂(GE社製、商品名レキサン121)20
g及びテトラヒドロフラン160gの混合溶液をワイヤーラ
ウンドロッドを用いて上記電荷発生層の上に塗布し、60
℃で30秒間乾燥し更に温度100℃で20秒間加熱して約18
μmの電荷輸送層を形成し、2層から成る感光層を有す
る電子写真感光体を得た。
【0332】この感光材料を、暗所で表面電位+500V
に帯電させた後、He−Neレーザーを用いて633nmの
光で、版面での露光量が30erg/cm2になる様に露光した
他は実施例9と同様に操作して印刷版を作成し、オフセ
ット印刷を行った。地汚れのない鮮明な画像の印刷物が
実施例9と同様に2千枚得られた。
【0333】実施例11 有機光導電性物質として、4,4′−ビス(ジエチルア
ミノ)−2,2′−ジメチルトリフェニルメタン5g、
下記構造の結着樹脂〔B−2〕4g、下記構造式の色素
〔D−1〕40mg、化学増感剤として下記構造式のアニリ
ド化合物(B)0.2gを、メチレンクロライド30mlとエチ
レンクロライド30mlとの混合物に溶解し、感光層分散液
とした。
【0334】
【化54】
【0335】この感光層分散液を、ワイヤーラウンドロ
ッドを用いて、酸化インジウムの蒸着膜を設けて表面抵
抗103Ωとした厚さ100μmのポリエチレンテレフタレー
ト支持体上に塗布して約10μmの感光体を形成した。
この感光体を、実施例1で用いた感光体の代わりに用い
た他は実施例1と同様に操作して、電子写真プロセスに
よりトナー画像を形成、PSプレート(FPD)へ転写
層を転写し、不感脂化処理し、印刷を行った。得られた
印刷物は、6万枚後でも地カブリのない鮮明な画像であ
り、実施例1と同様に良好な結果を示した。
【0336】実施例12 光導電性酸化亜鉛100g、下記構造の結着樹脂〔B−3〕
15g、下記構造の結着樹脂〔B−4〕5g、下記構造の
色素〔D−2〕0.01g、サリチル酸0.1g及びトルエン15
0gの混合物をボールミルに入れ2時間分散して感光層分
散液とした。
【0337】
【化55】
【0338】次いでこの分散液を導電性処理および耐溶
剤処理を施した0.2mm厚の紙版マスター用原紙の上にワ
イヤーバーで塗布し、指触乾燥した後、110℃循環式オ
ーブンで20秒間加熱した。更に(25℃、65%RH)の条
件下に暗所で24時間静置した。次に、実施例3と同様に
して、この感光体表面を処理し、該表面の粘着力を18g
・fとした。転写層は、実施例9で用いた電着用分散液
〔L−4〕を用いて電着法により膜厚4.5μmの形成を
行った。
【0339】次に、この感光体を暗所にて−650Vにコ
ロナ帯電をしたのち、実施例1と同様のデジタル画像デ
ータを用い、その情報をもとにポジ鏡像モードで、半導
体レーザーを用いて780nmの光で版面露光量が25erg/cm2
になるように露光した。露光部の残留電位は−120Vで
あった。続いて液体現像剤〔LD−1〕を用い、一対の
平板現像電極を有する現像装置で感光体面側電極に+20
0Vのバイアス電圧を印加し、未露光部にトナーが電着
するようにした正現像を行ない、ついでアイソパーH単
独浴中でリンスをして非画像部の汚れを除いた。
【0340】次に、被転写材として、OKマスターPS
型(王子化工(株)製)の画像受理層側と、上記製版後
の感光材料とを重ね合わせ、10kgf/cm2の圧力で接して
いる表面温度が120℃に常にコントロールされた一対の
ゴムローラーの間を6mm/秒のスピードで通過させた。
その後重ねたままで室温まで冷却してから感光体とOK
マスターを分離したところ、感光材料上のトナーは転写
層ごと全てOKマスター側に熱転写され、製版画質と画
像品質の差は非常に小さかった。
【0341】次に、前記PS版処理剤(DP−4)1リ
ットルにジメチルエタノールアミン50gを加えて調液し
た水溶液を50倍に希釈した溶液を不感脂化処理液(E−
3)として用いて、温度25℃で20秒間ゆるくこすりなが
ら転写層の除去を行った。この様にして得た印刷版を2
00倍の光学顕微鏡を用いて非画像部及びトナー画像部
を目視観察したところ、非画像部には転写層の残存は認
められず、且つ画像部の細線・細文字等の高解像度域の
欠落は認められなかった。
【0342】この版を浸し水としてPS版用浸し水(S
G−23)(東京インキ(株)製)を蒸留水で130倍に
希釈した水溶液(pH7.0)を用い、印刷機としてリョー
ビ3200MCD型(リョービ(株)製)を用い、印刷
紙として中性紙を使用して、各種オフセット印刷用色イ
ンキで印刷し、地汚れの発生しない鮮明な画像の得られ
る印刷枚数を調べた。その結果、色インキの種類にかか
わらず、いずれの場合も3千枚以上の耐刷枚数が得られ
た。
【0343】実施例13〜33 実施例1において、化合物〔S−1〕0.3gの代わりに、
下記表−Dの化合物を用いた地は、実施例1と同様に操
作してオフセット印刷版を作成した。
【0344】
【表11】
【0345】
【表12】
【0346】
【表13】
【0347】
【表14】
【0348】
【表15】
【0349】
【表16】
【0350】本発明の各材料による印刷版は、地カブリ
のない鮮明な画質の印刷物が6万枚得られた。更に、印
刷インキを実施例1と同様に種々のものを用いて評価し
たところ、いずれも同性能を示し、色インキの選択性は
みられず、良好であった。
【0351】実施例34〜43 実施例6において、電着分散液〔L−2〕及び電着分散
液〔L−3〕の代わりに、下記表−Eの様に各々第1の
転写層及び第2の転写層を構成した他は実施例6と同様
にしてオフセット印刷版を作成し、印刷を行った。
【0352】
【表17】
【0353】各材料について、実施例6と同様にして諸
性能を評価したところ、いずれの場合も実施例6と同様
の結果を得た。即ち、地汚れのない鮮明な印刷物が6万
枚得られ、且つ重ね置き版適性も良好であった。
【0354】実施例44〜53 実施例9において樹脂〔A〕の分散液〔L−4〕中の樹
脂粒子〔ARL−6〕5g及び〔ARH−4〕5gの代
わりに下記表−Fの各低Tgの樹脂粒子〔ARL〕及び
高Tgの樹脂粒子〔ARH〕を用いた他は、実施例9と
同様に操作して印刷版を作成し、印刷を行った。
【0355】
【表18】
【0356】本発明の各材料による印刷版は、地カブリ
のない鮮明な画質の印刷物が6万枚得られた。更に、印
刷インキを実施例1と同様に種々のものを用いて評価し
たところ、いずれも同性能を示し、色インキの選択性は
みられず、良好であった。
【0357】実施例54〜60 実施例7において、熱溶融法による転写層に用いた樹脂
〔A−1〕及び樹脂〔A−2〕の代わりに下記表−Gの
各樹脂を用いた他は、実施例7と同様にして操作を行っ
たところ、実施例7と同様の結果を得た。表−Gの各樹
脂の軟化点は100℃以内のものであった。
【0358】
【表19】
【0359】
【表20】
【0360】各材料について、実施例1と同様にして諸
性能を評価したところ、いずれの場合も実施例1と同様
の結果を得た。即ち、地汚れのない鮮明な印刷物が6万
枚印刷することができた。
【0361】実施例61〜65 実施例8において、転写層の形成方法を下記の内容に代
えた他は実施例8と同様にしてトナー画像をFPDプレ
ート上に形成した。 ・転写層の形成方法 離型紙としてサンリリース(山陽国策パルプ(株)製)
上に膜厚4μmの下記表−Hの各樹脂〔A〕から成る紙
を図4の117に装着し、ローラー間圧力3kgf/cm2
表面温度80℃、及び通過スピード10mm/秒の条件で
該感光体表面上に転写層を転写形成した。表−Hの各樹
脂ともガラス転移点は80℃以下であった。
【0362】
【表21】
【0363】
【表22】
【0364】各材料について、実施例1と同様にして諸
性能を評価したところ、いずれの場合も実施例1と同様
の結果を得た。即ち、地汚れのない鮮明な印刷物が6万
枚印刷することができた。
【0365】実施例66〜76 実施例1〜65で作成した被転写材に転写後の版(製版
原版)を用いて、不感脂化処理を下記の様に操作してオ
フセット印刷版を作成した。下記表−Iの求核性化合物
0.2モル、有機溶媒100g及びニューコールB4SN(日
本乳化剤(株)製)2gに蒸留水を加え1リットルとし
た後、各混合物のpHを12.5に調製した。各感光材料を
該処理液中に温度35℃で1分間浸漬し、ゆるくこすりな
がら、不感脂化処理を行った。得られたプレートを実施
例1と同様の印刷条件で印刷した。各材料とも実施例1
の場合と同等の良好な性能を示した。
【0366】
【表23】
【0367】
【発明の効果】本発明の電子写真式製版印刷版の作成方
法によれば、製版画質及び印刷画質が良好で、長期間且
つ連続して処理しても、安定した性能の印刷版を得るこ
とができ、またレーザー等の走査露光による画像形成に
適している。更に、感光体を繰り返し用いることがで
き、低ランニングコスト化に有効な電子写真式製版印刷
版の作成方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を説明するための概略図である。
【図2】電着法を利用した転写層形成法を適用した電子
写真式製版印刷原版作成装置例を示す図である。
【図3】溶融塗布による転写層形成法を適用した電子写
真式製版印刷原版作成装置例を示す図である。
【図4】剥離紙を利用した転写層形成法を適用した電子
写真式製版印刷原版作成装置例を示す図である。
【図5】化合物〔S〕を付着させるための装置例でを示
す図である。
【符号の説明】
1 感光体の支持体 2 感光層 9 化合物〔S〕塗布ユニット 10 剥離紙 11 感光体 12 転写層 12a 熱可塑性樹脂粒子の分散液 13 ホットメルトコーター 13a ホットメルトコーター待機位置 14 液体現像ユニットセット 14L 液体現像ユニット 14T 電着ユニット 15 吸排気ユニット 15a 吸気部 15b 排気部 16 被転写材 17 熱転写手段 17a 予熱手段 17b 加熱ローラー 17c 冷却ローラー 18 コロナ帯電装置 19 露光装置 25 トナー画像 117 熱転写手段 117b 加熱ローラー 117c 冷却ローラー 120 トランスファーロ−ル 121 メタリングロール 122 化合物〔S〕

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも下記の(i)〜(v)の工
    程; (i)電子写真感光体の表面に、フッ素原子及び/又は
    ケイ素原子を少なくとも含有する化合物〔S〕を吸着又
    は付着させて、該感光体表面のJIS Z 0237-1980の「粘
    着テープ・粘着シート試験法」による粘着力を100gr
    am・force(g・f)以下にする工程、(ii)該電子写真感
    光体の表面に、化学反応処理で除去可能な樹脂〔A〕か
    ら主として成る剥離可能な転写層を形成する工程、(ii
    i)電子写真プロセスにより該転写層上にトナー画像を形
    成する工程、(iv)印刷時に平版印刷可能な親水性表面
    となる被転写材に、該トナー画像を転写層ごと転写する
    工程、及び(v)該転写された被転写材の転写層を化学
    反応処理により除去する工程、を行うことを特徴とする
    電子写真式製版印刷版の作成方法。
  2. 【請求項2】 該(i)〜(iv)の工程を同一装置内で
    行い、該剥離可能な転写層を、熱溶融塗布、剥離紙から
    の転写、静電的に付着及び/又は電着のいずれかの方法
    により形成することを特徴とする請求項1記載の電子写
    真式製版印刷版の作成方法。
  3. 【請求項3】 電子写真感光体の表面に、フッ素原子及
    び/又はケイ素原子を少なくとも含有する化合物〔S〕
    を吸着又は付着する手段、該感光体表面上に化学反応処
    理で除去可能な樹脂〔A〕から主として成る剥離可能な
    転写層を形成する手段、電子写真プロセスにより該転写
    層上にトナー画像を形成する手段、並びに被転写材に該
    トナー画像を転写層ごと熱転写する手段を有し、且つ該
    電子写真感光体を繰り返し用いることを特徴とする電子
    写真式製版印刷用原版形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN100456340C (zh) * 2005-08-11 2009-01-28 冶天科技有限公司 低电压差动信号直接传输方法及装置
WO2022138784A1 (ja) * 2020-12-24 2022-06-30 株式会社クラレ 変性ビニルアルコール系重合体、変性ビニルアルコール系重合体の製造方法、粒子、水溶液、塗工液、塗工物、成形体、剥離紙、分散剤、ビニル系重合体の製造方法、及び混合物

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