JPH075725U - 射出成形靴 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造工程を増加することなく、縁仕上げテー
プのカット端のホツレを未然に防止して良好な外観を長
期にわたって維持できる商品価値の高い射出成形靴を提
供する。 【構成】 内外に重ね合わせて縫合される胛被の縫合部
６が中底４位置まで延び、上記縫合部６の内側の縫合縁
部には胛被下部に対応した部分を除いて縁仕上げテープ
８が縫着される形態の射出成形靴において、上記縁仕上
げテープ８には中底４寄りの縫着終端部Ａより延出する
末端部８ａを設け、この末端部８ａを上記縫合部６の重
ね合わせ部内に折り込んで縫合する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、内外に重ね合わせて縫合される胛被の縫合部が中底位置まで延び、 この縫合部の内側の縫合縁部には胛被下部に対応した部分を除いて縁仕上げテー プが縫着される形態の射出成形靴に関し、特に、縁仕上げテープの縫着部終端の ホツレを防止した射出成形靴に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図４および図５は、胛被が内外に重ね合わせて縫合される胛被を用いた射出成 形靴の成形装置の一例を示すもので、中底ａが一体縫着された胛被ｂを装着した ラストモールドｃと、このラストモールドｃに胛被ｂの下部を介して嵌合する左 右のサイドモールドｄ，ｅと、靴底意匠が表面に形成されたボトムモールドｆと により構成されている。これらのモールドを閉型することにより形成されたキャ ビティ内に、各種の熱可塑性合成樹脂を射出することで、本底ｇと胛被ｂとを一 体形成することができる。

【０００３】 このような射出成形靴は素材が相違することはもちろん、デザインも種々様々 であるが、前記各モールドｃ，ｄ，ｅ，ｆは高価であるため、上記素材やデザイ ンの相違に拘らず同一サイズの靴については共用されるのが一般的である。

【０００４】 ところで射出成形靴は、胛被ｂの下部がラストモールドｃと左右のサイドモー ルドｄ，ｅとの間に挟持される関係で、胛被ｂの下部に大きな凹凸があると左右 のサイドモールドｄ，ｅとの間に隙間ができ、高圧下で射出された本底ｇの溶融 素材がその隙間から漏れ出て不良品となり易い。そこで、図５に示すように、胛 被ｂとしての前甲ｈの外側に後甲ｉを重ね合わせて縫合した縫合部ｊが中底ａ位 置まで延びていて胛被ｂの下部に凹凸のある外羽根タイプの射出成形靴にあって は、その凹凸を極力小さくする工夫がなされている。

【０００５】 すなわち、前述のような外羽根タイプの射出成形靴にあっては、一般に前甲ｈ および後甲ｉの周縁部に縁仕上げテープｋが縫着されるが、縫合部ｊの全域にわ たって縁仕上げテープｋ，ｋが縫着されていると、胛被ｂ下部の凹凸がより大き くなるので、縫合部ｊの内側となる前甲ｈの周縁部には、図６に示すように、胛 被ｂの下部となる縫合部ｊの下部を除いて縁仕上げテープｋを縫着するようにし ている。なお、この場合、縁仕上げテープｋの中底ａ寄りの縫着終端部は、図６ （Ａ）に示すように斜めにカットしたものや、同図（Ｂ）に示すように直角にカ ットしたものなどがある。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

このような射出成形靴は、前甲ｈの周縁部に縫着された縁仕上げテープｋの縫 着終端部が単にカットされ、そのカット端が靴の内側に露出しているので、繰り 返しの使用や洗濯などによって見栄えの悪いホツレが縁仕上げテープｋのカット 端に生じ易く、商品価値を低下するという問題があった。

【０００７】 もっとも、縁仕上げテープｋのカット端を糊止めすれば、見栄えの悪いホツレ の発生もある程度防止することができるが、この場合には、糊止めの製造工程が 別途必要となってコストアップを招くという新たな問題が発生する。

【０００８】 本考案は、製造工程を増加することなく、縁仕上げテープｋのカット端のホツ レを未然に防止して良好な外観を長期にわたって維持できる商品価値の高い射出 成形靴を提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案の射出成形靴は、内外に重ね合わせて縫合さ れる胛被の縫合部が中底位置まで延び、上記縫合部の内側の縫合縁部には胛被下 部に対応した部分を除いて縁仕上げテープが縫着されてなり、上記縁仕上げテー プには中底寄りの縫着終端部より延出する末端部を設け、この末端部を上記縫合 部の重ね合わせ部分に折り込んで縫合したことを特徴とする。

【００１０】 ここで、胛被の縫合部は、射出成形靴の両側部分に位置するものに限らず、爪 先側の先端部分に位置するものも含む。また、縁仕上げテープの素材は、布、ビ ニル、合成皮革など、靴の素材に応じて適宜選択できるものである。

【００１１】 また、縁仕上げテープが縫着される内側の縫合縁部には、縁仕上げテープの末 端部を折り込むための切込みを縁仕上げテープの縫着終端部付近に設けるのが好 ましい。

【００１２】

【作用】

このような構成した本考案の射出成形靴は、胛被の縫合部における内側の縫合 縁部に縁仕上げテープが縫着されるが、この縁仕上げテープは胛被下部に対応し た縫合部の下端部を除いて縫着されているので、胛被の下部に大きな凹凸を形成 することがなく、本底の射出成形に支障を来すことがない。

【００１３】 そして特に、ホツレが生じ易い縁仕上げテープのカット端は、末端部として胛 被の縫合部間に折り込まれて外部に露出しないので、繰り返しの使用や洗濯によ っても縁仕上げテープが不用意にホツレることがなく、良好な外観を長期にわた って維持する。

【００１４】 また、縁仕上げテープの末端部は、胛被の縫合工程で同時に縫合されるので、 製造工程が増加することはない。

【００１５】

【実施例】

図２は本考案の一実施例を示す図であり、射出成形靴としてのウォーキングシ ューズ１の外観を示している。また、図３はその縦断面を示しており、このウォ ーキングシューズ１は、前甲２と後甲３からなる胛被および中底４に対してＰＶ Ｃ製の本底５が射出成形により一体化されている。そして、前甲２と後甲３とは 前甲２を内側にした重ね合わせ状態で縫合糸６ａにより縫合され、その縫合部６ は本底５まで延びている。

【００１６】 ここで、後甲３の周縁部には縫合部６の全域を含む全周にわたって縁仕上げテ ープ７が縫着されているのに対し、縫合部６の内側となる前甲２の周縁部には、 図３に示すように胛被下部となる縫合部６の下部を除いた全周に縁仕上げテープ ８が縫着されている。

【００１７】 図１は前記縁仕上げテープ８の中底４寄りの縫着終端部Ａ付近を拡大して示し ており、縁仕上げテープ８にはその縫着終端部Ａから延出する末端部８ａが形成 されている。そしてこの末端部８ａは、上記縫着終端部Ａに対応して前甲２の周 縁部に形成した切込み２ａから縫合部６の前甲２と後甲３との間に折込まれ、縫 合部６の縫合糸６ａによって前甲２および後甲３と一体に縫合されている。

【００１８】 次に、上記のように構成したウォーキングシューズ１について、その作用を説 明する。 このウォーキングシューズ１は、縁仕上げテープ８が縫着された前甲２と縁仕 上げテープ７が縫着された後甲３とを縫合部６により相互に縫合して胛被を形成 し、この胛被に中底４を縫合したものに対して本底５を射出成形により一体形成 することで製造される。

【００１９】 ここで、縫合部６の内側となる前甲２の周縁部に縫着される前記縁仕上げテー プ８は、胛被下部となる縫合部６の下部を除いて縫着され、その縫着終端部Ａよ り延出する末端部８ａは、縫合部６の前甲２と後甲３との間に折り込まれて縫合 されているので、胛被の下部に大きな凹凸を形成することがない。このため、本 底５の射出成形に際してウォーキングシューズ１の前甲２および後甲３は左右の サイドモールドとの間に隙間を生じることなく挟持されるのであり、本底５の射 出成形に支障を来すことがない。

【００２０】 そして特に、ホツレの生じ易い縁仕上げテープ８のカット端は、末端部８ａと して縫合部６の前甲２と後甲３との間に折り込まれており、ウォーキングシュー ズ１の内側に露出しないので、繰り返しの使用や洗濯によっても縁仕上げテープ ８のカット端が不用意にホツレることがなく、良好な外観を長期にわたって維持 する。

【００２１】 また、前記縁仕上げテープ８の末端部８ａは、縫合部６の縫合工程で前甲２と 後甲３との間に折り込んでこれらと一体に縫合されるので、製造工程を増加する ことがない。

【００２２】 本考案は、前記実施例のようなウォーキングシューズ１に限らず、中底に至る 胛被の縫合部が爪先部分に存在するような射出成形靴にも勿論適用できるもので ある。

【００２３】

【考案の効果】

以上説明したとおり本考案によれば、胛被の縫合部における内側の縫合縁部に 胛被下部に対応した部分を除いて縫着される縁仕上げテープは、中底寄りの縫着 終端部より延出する末端部を有し、この末端部は胛被の縫合部間に折り込んで縫 合されるので、ホツレが生じ易い縁仕上げテープのカット端が外部に露出しない 。

【００２４】 従って、繰り返しの使用や洗濯によっても縁仕上げテープのカット端が不用意 にホツレることがなく、良好な外観を長期にわたって維持することができ、射出 成形靴としての商品価値を向上することができる。

【００２５】 また、縁仕上げテープの末端部は、胛被の縫合工程で同時に縫合されるので、 製造工程の増加を回避することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案による射出成形靴の一実施例の要部構造
を示す図３の部分拡大断面図である。

【図２】一実施例の全体構造を示す側面図である。

【図３】一実施例の全体構造を示す縦断面図である。

【図４】射出成形靴の製造に使用される一般的なモール
ドの分解斜視図である。

【図５】射出成形靴の射出工程を示す側面図である。

【図６】（Ａ），（Ｂ）は、それぞれ異なる従来例の要
部構造を示す図１に対応した部分拡大断面図である。

【符号の説明】

１ ウォーキングシューズ ２ 前甲 ２ａ 切込み ３ 後甲 ４ 中底 ５ 本底 ６ 縫合部 ６ａ 縫合糸 ７ 縁仕上げテープ ８ 縁仕上げテープ ８ａ 末端部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｂ２９Ｌ 31:50

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内外に重ね合わせて縫合される胛被の縫
   合部が中底位置まで延び、上記縫合部の内側の縫合縁部
   には胛被下部に対応した部分を除いて縁仕上げテープが
   縫着される形態の射出成形靴において、 上記縁仕上げテープには中底寄りの縫着終端部より延出
   する末端部を設け、この末端部を上記縫合部の重ね合わ
   せ部分に折り込んで縫合したことを特徴とする射出成形
   靴。