JPH0756262B2 - 可変容量型油圧ポンプの制御装置 - Google Patents

可変容量型油圧ポンプの制御装置

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JPH0756262B2
JPH0756262B2 JP62273932A JP27393287A JPH0756262B2 JP H0756262 B2 JPH0756262 B2 JP H0756262B2 JP 62273932 A JP62273932 A JP 62273932A JP 27393287 A JP27393287 A JP 27393287A JP H0756262 B2 JPH0756262 B2 JP H0756262B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、可変容量型油圧ポンプの制御装置に関し、特
に簡単な機構によって可変容量型油圧ポンプの馬力一定
制御と流量制御とを行えるようにしたものに関する。
〔従来技術〕
従来、可変容量型油圧ポンプの制御装置として、特公昭
55−594号公報に記載されているように斜板式可変容量
型油圧ポンプの斜板の傾転角を油圧サーボ機構によって
変化させるものがある。この可変容量型油圧ポンプの制
御装置は、馬力一定制御と流量制御とを行うために、ポ
ンプ吐出圧に対応してサーボシリンダの大室にサーボ圧
を導入する油路を切り換える馬力制御用油路切換機構
と、外部パイロット圧に対応してサーボシリンダの大室
にサーボ圧を導入する油路を切り換える流量制御用油路
切換機構とを備えており、各油路切換機構にはスプール
とスリーブとが可動のスプール・スリーブ弁機構あるい
はスプールのみが可動のスプール弁機構が設けられる。
各油路切換機構は、ポンプ吐出圧あるいは外部パイロッ
ト圧の変動によって油路切換動作を開始し、油路が切り
換えられた結果作動する油圧サーボ機構のサーボピスト
ンの動作をフィードバックレバーを介してスプール・ス
リーブ弁機構のスリーブあるいはスプール弁機構のスプ
ールにフィ−ドバックすることにより油路切換機構を元
の中立状態に復帰させるように構成されている。サーボ
ピストンの動作をスプール・スリーブ弁のスリーブにフ
ィ−ドバックする方式はスリーブ位置フィ−ドバック方
式と呼ばれ、サーボピストンの動作をスプール弁のスプ
ールにフィ−ドバックする方式は支点位置フィードバッ
ク方式と呼ばれている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
このように、馬力制御用油路切換機構と流量制御用油路
切換機構とを設けていたので、2組のスプール・スリー
ブ弁機構あるいはスプール弁機構が必要となり、部品点
数が多くなるうえ油路の設計及び製作が非常に複雑にな
るという問題がある。そこで、本願出願人は、上記公報
に記載されているように、馬力制御用油路切換機構と流
量制御用油路切換機構とを1組の油路切換機構で構成す
るために、吐出圧検出子の移動方向に受圧部材を摺動自
在に配設し、上記受圧部材に吐出圧検出子を摺動自在に
内装し、この吐出圧検出子に油圧ポンプの吐出圧を作用
させる一方、受圧部材に外部パイロット圧を作用させる
ように構成した油圧ポンプの制御装置を提案した。
本出願人が提案したこの油圧ポンプの制御装置において
は、馬力制御と流量制御とを1つのシリンダに組み込ま
れる1組の油路切換機構で行うことが可能であり、油路
の構成も簡単になる。
しかしながら、外部パイロット圧を受ける受圧部材に吐
出圧検出子が摺動自在に装着されているので、流量制御
のための外部パイロット圧が馬力制御にも影響を及ぼ
し、外部パイロット圧と吐出量との対応関係がその時の
ポンプの吐出圧に依存して変動するので、各制御系の設
計及び調整、あるいは使用時の制御操作が複雑になると
いう問題がある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明に係る可変容量型油圧ポンプの制御装置は、第1
図に示すように、斜板1の傾転角を変化させる油圧サー
ボ機構Uを有する可変容量型油圧ポンプPの制御装置に
おいて、上記油圧サーボ機構Uのサーボシリンダ機構10
に設けられた大室11a及び吐出圧(Pd)が導入される小
室11bと、上記サーボシリンダ機構10の大室11aに接続さ
れた大室油路61aに会装され、大室11aへサーボ圧Ps(P
d)を導入する給油位置と大室11aを封止する中立位置と
大室11aから排油する排油位置とに切り換え可能な油路
切換機構20と、上記油路切換機構20の作動部材25の一端
とサーボシリンダ機構のサーボピストンとを連結するフ
ィードバックレバー51と、上記油圧ポンプPの吐出圧Pd
を受け吐出圧Pdに応じて変位するパイロットスプール32
を含む馬力制御用パイロットスプール機構30と、外部パ
イロット圧Piを受け外部パイロット圧Piに応じて変位す
るパイロットスプール42を含む流量制御用パイロットス
プール機構40と、各パイロットスプール32,42に作動的
に連結されたレバー部材52,53と、このレバー部材52,53
とフィ−ドバックレバー51とに設けられ各パイロットス
プール32,42の両方向の変位をフィードバックレバー51
に伝達可能な遊嵌状の係合部とを有するリンク機構であ
って、上記両パイロットスプール32・42のうち小吐出量
となる方の変位を選択してフィードバックレバー51に作
用させるリンク機構とを備えたものである。
尚、図中52a・53aは不動の支点である。尚、第1図のよ
うに、サーボ圧としては吐出圧自体を用いてもよく、油
圧切換機構の作動部材とは、スプール・スリーブ弁機構
ではスリーブまたスプール弁機構ではスプールのことで
あり、サーボ機構の小室としてはサーボピストンの環状
端面に臨むロッド側室を用いてもよい。
〔作用〕
本発明に係る可変容量型油圧ポンプの制御装置において
は、吐出圧が増減すると馬力制御用スプール32の変位が
増減し、また外部パイロット圧Piが増減すると流量制御
用パイロットスプール42の変位が増減する。
図示の状態において、例えばパイロット圧Piが増加し、
スプール32の変位よりもスプール42の変位の方が大きく
なると、リンク機構53を介してスプール42の変位がフィ
ードバックレバー51に作用して油路切換機構20の作動部
材25が図中左方へ押動され給油位置に切換えられ、押圧
サーボシリンダ機構10の大室11aにサーボ圧が導入され
てサーボピストン12が図中左方へ移動するので、油圧ポ
ンプPの斜板1の傾転角が減少して吐出量が減少してい
くが、サーボピストン12が図中左方へ移動するのに応じ
てリンク機構を介してフィードバックレバー51が傾きつ
つ作動部材25が図中右方へ移動し、パイロット圧Piに対
応する吐出量になると作動部材25が中立位置に切換えら
れ、このようにしてパイロット圧Piの増加に応じて所定
の特性で吐出量が減少するネガチブ流量制御が行なわれ
ることになる。これに対して、吐出圧Pdが増加し、スプ
ール42の変位よりもスプール32の変位の方が大きくなる
と、上記同様にリンク機構を介してスプール32の変位が
フィードバックレバー51に作用して作動部材25が給油位
置に切換えられ、サーボピストン12の左方移動に伴なっ
てリンク機構を介してフィードバックレバー51が傾きつ
つ作動部材25が右方へ移動し、吐出圧Pdに対応する吐出
量になると作動部材25が中立位置に切換えられ、このよ
うにして吐出圧Pd増加に応じて馬力一定となるような特
性で吐出量制御行なわれることになる。
上記スプール32・42の変位と作動部材25の移動量との比
によって制御感度が左右されるが、馬力一定制御と流量
制御の感度を夫々独立に設定可能に構成することが出来
るし、それらの感度を切換可能にすることもできる。
〔発明の効果〕
本発明に係る可変容量型油圧ポンプの制御装置によれ
ば、以上説明したように、共通の1組の油路切換機構を
設ければよいので、油路が複雑化されず、その設計・製
作が容易となる。
各パイロットスプールに作動的に連結されたレバー部材
と、このレバー部材とフィードバックレバーとに設けら
れ各パイロットスプールの両方向への変位をフィードバ
ックレバーに伝達可能な遊嵌状の係合部とを有するリン
ク機構であって、上記両パイロットスプールの変位のう
ち小吐出量となる方の変位を選択してフィードバックレ
バーに作用させるリンク機構を設けたので、吐出圧を受
けるパイロットスプールとパイロット圧を受けるパイロ
ットスプールとは相互に独立に動き得るので相互の干渉
がない。
リンク機構の構成如何により馬力一定制御と流量制御の
感度を個別に設定することが可能である。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を第1図〜第5図に基いて説明す
る。
第1図〜第3図は、斜板式可変容量型油圧ポンプP及び
その支点位置フィードバック方式の制御装置を示すもの
で、そのユニット化された油圧サーボ機構は可変容量型
油圧ポンプPのハウジング2の上端に組付けられたハウ
ジング70内に設けられ、ハウジング70の内部には、サー
ボシリンダ機構10と、油路切換機構としてのスプール弁
機構20と、馬力制御用パイロットスプール機構30と、流
量制御用パイロットスプール機構40と、伝動機構50と、
内部油路とが設けられている。
上記サーボシリンダ機構10は、ハウジング70内の下部に
可変容量型油圧ポンプPの駆動軸3と平行に形成された
サーボシリンダ11とこれの内部に摺動自在に装着された
サーボピストン12とを備えている。上記サーボシリンダ
11内にはサーボピストン12によって大室11aと小室11bが
区画され、サーボピストン12の大室11a側の受圧面積は
その小室11b側の受圧面積よりも大きく形成されてい
る。
このサーボシリンダ機構10のサーボピストン12の中間部
にはピン13を介してハウジング70の下方に延長されるフ
ォークレバー14が固定され、このフォークレバー14の下
端に形成された係合溝14aに斜板1の腕部1bの上端に回
動自在に枢支されたスライドピン1cが摺動及び回転自在
に係合されている。
上記スプール弁機構20は、大室油路16aに介装され、こ
の大室油路61aは可変容量型油圧ポンプPの吐出路4と
上記大室11aとを接続しており、油圧ポンプPの吐出路
4と上記小室11bとを接続する小室油路61bとともにサー
ボシリンダ機構10に吐出圧からなるサーボ圧Ps(Pd)を
導入するサーボ圧油路61を構成している。
上記スプール弁機構20は、ハウジング70内の上部に駆動
軸3と平行に形成されたスプール孔21と、このスプール
孔21に摺動自在に装着されたスプール25と、このスプー
ル25を後述する中立位置から排油位置方向に付勢する圧
縮コイルバネ26とを備えている。上記スプール25は後述
するように、馬力制御用パイロットスプール機構30、流
量制御用パイロットスプール機構40、サーボシリンダ機
構10の各出力と圧縮コイルバネ26の付勢力との大小関係
によって給油位置と中立位置と排油位置とに亙って切換
えられる。上記スプール孔21の周面には吐出路4に連通
する第1ポート22と、大室11aに連通する第2ポート23
と、外部のドレン油路82に連通する第3ポート24とを凹
設してあり、上記スプール25には第2ポート23を開閉す
る第1ランド25aと第1ポート22の右側でスプール孔21
を閉じる第2ランド25bとが設けられている。このスプ
ール25は、中立位置では第2図に示すように第1ランド
25aが第2ポート23を閉じて、第1ポート22と第2ポー
ト23と第3ポート24とを互いに遮断する位置に変位さ
れ、また給油位置では第2図にて中立位置よりも左側の
給油装置に変位して第1ランド25aが第3ポート24と第
2ポート23との間を遮断するとともに、第1ランド25a
の右側で第1ポート22と第2ポート23とが連通されて吐
出路4が大室11aに連通され、更に、排油位置では中立
位置よりも右側に変位して第1ランド25aが第1ポート2
2と第2ポート23との間を遮断するとともに第1ランド2
5aの左側で第2ポート23と第3ポート24とが連通され
て、大室11aがドレン油路82に連通されるように構成さ
れている。
上記馬力制御用パイロットスプール機構30は、サーボシ
リンダ機構10とスプール弁機構20との中間の高さで伝動
機構50の前側に配置され、上記流量制御用パイロットス
プール機構40は、サーボシリンダ機構10とスプール弁機
構20との中間の高さで伝動機構50の後側に配設されてい
る。
両パイロットスプール機構30・40は同じ高さに配置され
ているが、第2図では図面上両者を明確に見分けられる
ようにするためにその高さを異ならせてある。
上記馬力制御用パイロットスプール機構30は、駆動軸3
と平行に形成されたパイロットスプール孔31と、これに
摺動自在に装着されたパイロットスプール32とを備え、
上記パイロットスプール孔31内にはパイロットスプール
32により区画された受圧室31aが形成されている。この
受圧室31aは吐出路4にパイロット油路62を介して常時
連通され、上記馬力制御用パイロットスプール機構30は
パイロットスプール32を受圧室31aの方へ付勢する圧縮
コイルバネ33を有している。
上記流量制御用パイロットスプール機構40は、駆動軸3
と平行に形成されたパイロットスプール孔41と、これに
摺動自在に装着されたパイロットスプール42とを備え、
上記パイロットスプール孔41内にはパイロットスプール
42により区画された受圧室41aが形成されている。この
受圧室41aは外部のパイロット油路83にハウジング70の
パイロット油路63を介して常時連通されている。この外
部のパイロット油路83には操作者が自由に外部パイロッ
ト油圧を調節できるように外部パイロット圧調節手段84
が介在させてある。上記流量制御用パイロットスプール
機構40は、パイロットスプール42を受圧室41aの方へ付
勢する圧縮コイルバネ43を有している。
上記伝動機構50は、馬力制御用パイロットスプール32の
変位と流量制御用パイロットスプール42の変位とのう
ち、スプール弁機構20のスプール25をより供給位置側に
変位させる方の変位(つまり、小吐出量となる方の変
位)を選択してスプール25に伝達するものであって、上
記油圧サーボシリンダ機構10のサーボピストン12の変位
をスプール弁機構20にフィードバックしてスプール弁機
構20を中立状態に復帰させるフィードバックレバー51を
含んでいる。即ち、この伝動機構50は、フィードバック
レバー51と、馬力制御用レバー52と、流量制御用レバー
53とを備えている。
上記フィードバックレバー51の上端はピン51aを介して
スプール25の入力軸部25cに回転自在に連結され、フィ
ードバックレバー51の下端にはサーボピストン12の上記
ピン13を摺動及び回転自在に係合する係合溝51bが形成
されている。また、フィードバックレバー51の中間部に
はこれの前側に突出する係合ピン51cとこれの後側に突
出する係合ピン51dとが設けられ、これらの係合ピン51c
・51dは実際には第3図に示すようにフィードバックレ
バー51を貫通する1本のピンで構成してある。
馬力制御用レバー52の上端部は、ピン51aの上方に設け
た支点ピン52aに回転自在に枢着され、レバー52の下端
部には前方に突出させた係合ピン52bが設けられ、この
係合ピン52bは馬力制御用パイロットスプール32の中間
部に形成した係合溝32aに係合されている。また、上記
馬力制御用レバー52は、支点ピン52aと係合ピン52bとの
間に係合ピン51c約3倍の径の係合孔52cを有し、この係
合孔52c内にはフィ−ドバックレバー51の前側の係合ピ
ン51cが遊嵌されている。
流量制御用レバー53の上端部は、ピン51aの上方に設け
た支点ピン53aに回転自在に枢着され、その下端部には
後方に突出させた係合ピン53bが設けられ、この係合ピ
ン53bは流量制御用パイロットスプール42の中間部に形
成した係合溝42aに係合されている。また、上記流量制
御用レバー53は支点ピン53aと係合ピン53bとの間に係合
ピン51dの約3倍の径の係合孔53cを有し、この係合孔53
c内にはフィードバックレバー51の後側の係合ピン51dが
遊嵌されている。
次に、この可変容量型油圧ポンプの制御装置の作用につ
いて説明する。
第2図には各部分を明確に示すために馬力制御によって
可変容量型油圧ポンプPの吐出容量がほぼ最小となった
状態を示している。上記馬力制御は、第4図に示すよう
に吐出圧Pdの増大に応じて吐出量Qを少なくして油圧ポ
ンプ駆動馬力が一定になるように制御することであり、
可変容量型油圧ポンプPの吐出圧Pdを受けて作動する馬
力制御用パイロットスプール機構30によって次のように
制御される。
但し、以下の馬力一定制御は、馬力一定制御による吐出
量が、流量制御による吐出量よりも少ないために、馬力
一定制御が優先する場合である。即ち、第2図の状態か
ら、例えば過負荷の解除等の何らかの理由により可変容
量型油圧ポンプPの吐出圧Pdが低下すると、受圧室31a
の内圧が低下し、圧縮コイルバネ33によってパイロット
スプール32が図上右側に変位し、右圧室31aの内圧と圧
縮コイルバネ33の付勢力とが均衡する位置でパイロット
スプール32が停止する。このパイロットスプール32の変
位にともなってスプール弁機構20の圧縮コイルバネ26に
よってスプール25が図上右方に変位する。スプール25
は、サーボピストン12のピン13を支点として揺動するフ
ィードバックレバー51と、馬力制御用レバー52とを介し
て馬力制御用パイロットスプール32に規制される位置ま
で変位して止まる。そして、スプール25が排油位置に変
位するとサーボシリンダ機構10の大室11aがドレン油路8
2に連通され、大室11aの内圧が下がる。これによってサ
ーボピストン12が大室11a側に変位し、フォークレバー1
4を介して斜板1の腕部1bの右方向に変位して傾転角が
増大し、可変容量型油圧ポンプPの吐出量Qが増大す
る。また、係合ピン51cが係合孔52cの右端に係合してい
る状態において、サーボピストン12が変位すると、フィ
ードバックレバー51は係合ピン51cを支点として揺動
し、スプール弁機構20のスプール25を排油位置から中立
位置の方に変位させる。スプール25が中立位置に戻るサ
ーボピストン12の位置はフィードバックレバー51の係合
ピン51cの位置が右側に寄れば寄るほど右側(増量側)
になるので、パイロットスプール32の右方への変位量に
対応して、スプール25が中立位置に戻るときのサーボピ
ストン12の位置が右方になって斜板1の腕部1bが右側に
変位され、枢支軸1aを中心として斜板1が傾転角を増大
する方向に回転されて油圧ポンプPの吐出量Qが増大す
る。そして、スプール25が中立位置に復帰すると、大室
油路61aの大室側部分と大室11aとに油が封入されるとと
もに、サーボピストン12及びスプール25が停止すること
になる。
この後、係合ピン51cが係合孔52cの右端に係合している
状態で、油圧ポンプPの吐出圧Pdが増大すると、フィー
ドバックレバー51を支持している馬力制御用パイロット
スプール32が左方に変位し、サーボピストン12のピン13
を支点として揺動するフィードバックレバー51を介して
スプール25が中立位置から給油位置側に変位する。そし
て、スプール25が給油位置に変位すると大室油路61aが
開通され、大室11aの内圧が吐出圧Pdと等しくなり、サ
ーボピストン12の両端に作用する押圧力差によってサー
ボピストン12は図上左方向に変位する。このサーボピス
トン12の変位は、一方ではフォクレバー14を介して斜板
1の腕部1bを左方に変位させ、斜板1の傾転角を減少さ
せて吐出量Qを減少させ、他方では、係合ピン51cを支
点として揺動するフィードバックレバー51を介してスプ
ール25を中立位置の方向に変位させる。そして、スプー
ル25が中立位置に戻るサーボピストン12の位置はフィー
ドバックレバー51の係合ピン51cの位置が左側に寄れば
寄るほど左側(増量側)になるので、パイロットスプー
ル32の左方への変位量に対応して、スプール25が中立位
置に戻るときのサーボピストン12の位置が左方になって
斜板1の腕部1bが左側に変位され、枢支軸1aを中心とし
て斜板1が傾転角を減少する方向に回転して油圧ポンプ
Pの吐出量Qが減少する。そして、スプール25が中立位
置に復帰すると、大室油路61aの大室側部分と大室11aと
に油が封入されるとともに、サーボピストン12及びスプ
ール25が停止することになる。スプール25が中立位置に
復帰するときのサーボピストン12の位置、即ち油圧ポン
プPの吐出量Qは、このようにしてパイロットスプール
32の位置に対応して決定され、このパイロットスプール
32の位置は圧縮コイルバネ33と吐出圧Pdとの大小関係に
より決定されるから、結局吐出圧Pdの大小によって可変
容量型油圧ポンプPの吐出量Qが決定されることにな
る。
また、上記の可変容量型油圧ポンプPの制御装置におい
ては、外部パイロット圧調節手段84を操作して外部パイ
ロット圧Piを変化させると、第5図に示すように、外部
パイロット圧Piの増大に応じて吐出量Qが減少するネガ
チブ流量制御が行われる。
但し、以下の流量制御は、流量制御による吐出量が、馬
力一定制御による吐出量よりも少ないために、流量制御
が優先する場合である。
即ち、係合ピン51dが係合孔53cの右端に係合した状態に
おいて、外部パイロット圧Piが増大すると、流量制御用
パイロットスプール42が圧縮コイルバネ43側に変位し、
流量制御用レバー53及びフィードバックレバー51を介し
てスプール25を中立位置から給油位置に変位させてサー
ボシリンダ機構10の大室11aにサーボ圧Ps(Pd)を導入
してサーボピストン12を左方に変位させるサーボピスト
ン12の左方への変位に伴って斜板1の腕部1bが左方に変
位し、斜板1の傾転角が減少して吐出量Qが減少すると
ともに、サーボピストン12の変位がフィードバックレバ
ー51を介してスプール25にフィードバックされ、スプー
ル25が給油位置から中立位置に復帰する。
また、係合ピン51dが係合孔53cの右端に係合した状態
で、外部パイロット圧Piが減圧されると、流量制御用パ
イロットスプール42が受圧室42a側に変位して、圧縮コ
イルバネ26によってスプール25が中立位置から排油位置
に変位され、大室11aが減圧される。その結果、サービ
スピストン12が大室11a側に変位して斜板1の傾転角を
増大させて吐出量Qを増大させるとともに、フィードバ
ックレバー51を介してスプール25を排油位置から中立位
置に復帰させることになる。スプール25が中立位置に復
帰するときのサーボピストン12の位置、即ち、油圧ポン
プPの吐出量Qは、このようにしてパイロットスプール
42の位置に応じて決定され、このパイロットスプール42
の位置は圧縮コイルバネ43で外部パイロット圧Piとの大
小関係によって決定されるから、結局外部パイロット圧
Piの大小によって可変容量型油圧ポンプPの吐出量Qが
決定されることになる。
上記の馬力一定制御と流量制御とは、互いに独立して行
われ、しかも、伝動機構50の選択作用によって小吐出量
になる方の制御が優先して行われる。即ち、伝動機構50
のフィ−ドバックレバー51には馬力制御用レバー52の出
力を右側から受ける係合ピン51cと流量制御用レバー53
の出力を右側から受ける係合ピン51dとが設けられ、馬
力制御用レバー52と流量制御用レバー53とが互いに独立
して揺動できるように設けられているので、フィードバ
ックレバー51はサーボピストン12のピン13を支点として
フィードバックレバー51をより大きく左側に揺動させる
方のパイロットスプール32または42によって駆動され、
他方のパイロットスプール42または32の動作は、レバー
53または52の係合孔53cまたは52cとフィードバックレバ
ー51の係合ピン51dまたは51cとの係合が解除されるので
無効となる。
上記のように、この可変容量型油圧ポンプPの制御装置
によれば、1本のスプール弁機構20によって馬力一定制
御と流量制御とが行えるので、馬力制御用の油路切換機
構と流量制御用の油路切換機構とを備える従来のものに
比べると部品点数が少なくなるとともに、内部油路の構
成が簡単になり、その設計及び製作が容易になる。ま
た、馬力制御用パイロットスプール32と流量制御用パイ
ロットスプール42とが互いに独立して作動するので、馬
力制御と流量制御の相互干渉を無くすことができ、各制
御系の調整操作等を容易にすることができる。更に、こ
れらの制御の応答性あるいは感度は、フィードバックレ
バー51、馬力制御用レバー52、流量制御用レバー53のレ
バー比を適宜設定することにより任意に設定することが
できる。また、上記の実施例では、馬力制御用レバー52
の係合ピン51cと流量制御用レバー53の係合ピン51dが一
体に形成されているが、これを別々に形成してその配置
個所を異ならせることも可能である。
尚、上記の実施例では、小室11bが小室油路61bを介して
油圧ポンプPの吐出路4に接続されているが、この小室
油路61bを省略し、可変容量型油圧ポンプPの吐出圧Pd
に代えて適当な付勢力を有する圧縮コイルバネでサーボ
ピストン12を大室11a側に付勢するようにしてもよい。
また、流量制御用パイロットスプール機構40の方向を左
右逆方向にしたり、流量制御用レバー53の枢支ピン53c
をパイロットスプール42係合用の係合ピン53bとフィー
ドバックレバー係合用の係合孔53cとの間に配置したり
して、ポジチブ流量制御を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示すもので、第1図は支点位置
フィードバック方式の可変容量型油圧ポンプPの制御装
置の構成を示す機構図、第2図は可変容量型油圧ポンプ
とその制御装置の縦断面図、第3図は第2図III−III線
断面図、第4図はその馬力制御特性線図、第5図はその
流量制御特性図である。 P……可変容量型油圧ポンプ、Pd……吐出圧、Pi……外
部パイロット圧、Ps……サーボ圧、U……油圧サーボ機
構、1……斜板、10……サーボシリンダ機構、11a……
大室、11b……小室、12……サーボピストン、13……ピ
ン、20……スプール弁機構、25……スプール、30……馬
力制御用パイロットスプール機構、32……馬力制御用パ
イロットスプール、40……流量制御用パイロットスプー
ル機構、42……流量制御用パイロットスプール、50……
電動機構、51……フィードバックレバー、51c……係合
ピン、51d……係合ピン、52……馬力制御用レバー、52c
……係合孔、53……流量制御用レバー、53c……係合
孔。
フロントページの続き (72)発明者 畑中 節男 兵庫県神戸市西区櫨谷町松本234番地 川 崎重工業株式会社西神戸工場内 (56)参考文献 特開 昭49−9703(JP,A) 実開 昭64−3089(JP,U) 特公 昭55−594(JP,B2)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】斜板の傾転角を変化させる油圧サーボ機構
    を有する可変容量型油圧ポンプの制御装置において、 上記油圧サーボ機構のサーボシリンダ機構に設けられた
    大室及び吐出圧が導入される小室と、 上記サーボシリンダ機構の大室に接続される大室油路に
    介装され、大室へサーボ圧を導入する給油装置と大室を
    封止する中立位置と大室から排油する排油位置とに切り
    換え可能な油路切換機構と、 上記油路切換機構の作動部材の一端とサーボシリンダ機
    構のサーボピストンとを連結するフィードバックレバー
    と、 上記油圧ポンプの吐出圧を受け吐出圧に応じて変位する
    パイロットスプールを含む馬力制御用パイロットスプー
    ル機構と、 外部パイロット圧を受け外部パイロット圧に応じて変位
    するパイロットスプールを含む流量制御用パイロットス
    プール機構と、 上記各パイロットスプールに作動的に連結されたレバー
    部材と、このレバー部材とフィードバックレバーとに設
    けられ各パイロットスプールの両方向への変位をフィー
    ドバックレバーに伝達可能な遊嵌状の係合部とを有する
    リンク機構であって、上記両パイロットスプールの変位
    のうち小吐出量となる方の変位を選択してフィードバッ
    クレバーに作用させるリンク機構とを備えたことを特徴
    とする可変容量型油圧ポンプの制御装置。
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