JPH0756136B2 - 山止工法における腹起し方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、地下工事中に周囲地盤が崩壊するのを防止
する目的で施される山止工法における腹起し方法に関す
るものである。

〔従来の技術〕

現在多く使用されている山止工法として、水平切ばり工
法、PS山止工法などがある。このうちのPS山止工法は腹
起にPS鋼材または鋼棒でプレストレスを導入し、腹起の
支持スパンを広げて切ばりを省略している。

〔問題点を解決するための手段〕

この発明の目的は簡単な手段によって腹起に対する側圧
の影響を低減でき、腹起しの支持スパンを広げて切ばり
の省略を図ることができる新たな腹起し方法を提供する
ことにある。

上記目的によるこの発明は、山止壁の内側に横材による
腹起しを設け、入隅を火打により補強した山止工法にお
いて、上記腹起の内側にPS鋼線を張設するとともに、該
PS鋼線を水平方向に緊張するジャッキを腹起の中央部に
設け、そのPS鋼線を反力としてジャッキにより腹起に逆
反力を加え、腹起に対する側圧を低減することを要旨と
するものである。

〔実施例〕

図中１は山止壁、２は山止壁１の内側に設けた支保工に
よる腹起、３は山止壁１の入隅に水平斜めに取付けた補
鋼部材による火打である。

上記腹起２と火打３は、腹起２の両側の接続部分に設け
た定着金物４を介して接続しており、また定着金物４の
腹起側の壁板５内にはPS鋼線６の受部材７が取付けてあ
る。

この受部材７は中央に挿通孔71を有する金物72の半部73
を半円形に形成したものからなり、その金物72を定着金
物４と一体のベース金物８の内部に、上記半部73を外向
きにして収納するとともに、該半部73を壁部５の縦溝９
に臨ませて、水平方向に回動自在に設けられている。

上記PS鋼線６は、両端を受部材７に挿通して腹起２の内
側に張設してある。また腹起２の中央部内側にはベース
金物10が取付けてあり、このベース金物10に受金物11と
共に、ジャーナルジャッキまたは油圧ジャッキなどのジ
ャッキ12が外向きに取付けてある。

このジャッキ12の頭部12aには、上記PS鋼線６の中央部
が掛け止めされ、ジャッキ12の伸長作動によってPS鋼線
６が弦のように緊張するとともに、反力として作用し、
腹起３の中央部に逆反力がかかるようになっている。

上記PS鋼線６とジャッキ12とにより生じた逆反力は、山
止壁１に作用する土圧及び水圧等による側圧の大きさに
応じて任意に設定することができ、それにより側圧によ
る腹起２の曲げモーメント及びせん断力は低減し、腹起
２の支持スパンを広げることができる。

第４図は曲げモーメントに付いての説明図で、 設計側圧による曲げモーメント：＋M₁ 中央部ジャッキ反力による曲げモーメント：−M₂ PS鋼線の張力による偏心曲げモーメント：−M₃ とすると、合成モーメントは Ｍφ＝M₁−（M₂＋M₃） Ｍ端＝M₃ となり、腹起２に加わる曲げモーメントは小さなものと
なる。

〔発明の効果〕

この発明は上述のように、腹起の内側に張設したPS鋼線
を反力として、ジャッキにより腹起の中央部に逆反力を
加え、側圧による腹起の曲げモーメント及びせん断力を
低減させてなることから、腹起の支持スパンを広げて切
ばりを省略することができ、これにより山止め及び根切
りのコスト節減を図ることができる。また側圧の大きさ
や掘削地盤の平面規模に応じて、腹起の支持スパンを設
計でき、内部スペースも広く確保できるので地下工事の
能率も向上するなどの特長を有する。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明に係る山止工法における腹起し方法の１
実施例を示すもので、第１図は山止めの略示平面図、第
２図はPS鋼線定着部の一部横断平面図、第３図はジャッ
キ部分の一部横断平面図、第４図は各曲げモーメントの
説明図である。 １……山止壁、２……腹起、 ３……火打、４……定着金物、 ６……PS鋼線、 ７……PS鋼線の受部材、 12……ジャッキ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】山止壁の内側に横材による腹起しを設け、
   入隅を火打により補強した山止工法において、上記腹起
   の内側にPS鋼線を張設するとともに、該PS鋼線を水平方
   向に緊張するジャッキを腹起の中央部に設け、そのPS鋼
   線を反力としてジャッキにより腹起に逆反力を加え、腹
   起に対する側圧を低減することを特徴とする山止工法に
   おける腹起し方法。