JPH07559Y2 - トンネル内壁用塗装装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は，隣り合う両支保間のトンネル内壁面にコンク
リートやモルタル等を塗りつけることができるトンネル
内壁用塗装装置に関する。

（従来の技術） 従来は，掘削または発破により形成されたトンネルの内
壁素地面が崩落したり，亀裂や水洩れが発生するのを防
止するため，吹付機によりトンネルの内壁面にコンクリ
ートやモルタル等を吹付けてコンクリートやモルタル層
を形成するようになっていた。

（考案が解決しようとする課題） そのように吹付機により吹付けた場合には，吹付機のノ
ズルから急激な空中への放出によるセメント類を含んだ
水による霧の発生や，コンクリートの跳ね返りにより無
駄が生じコンクリート粉塵により、トンネル内の環境雰
囲気を悪くし、特に人体に対して影響が悪くなるといっ
た不具合を呈していた。

（課題を解決するための手段） 本考案は，そのような不具合を課題として解決し，隣り
合う両支保間のトンネル内壁面に操作性良く確実良好に
塗装できるようにしたものであり，そのため，トンネル
内に設置できる支持装置より延出して伸縮移動できるリ
ンク機構の先端側には，コンクリート等を前面側に受給
できるこてを連設し，前面両横端部を平行両側の両支保
間に近接させることができるとともに少なくとも移動方
向前後端側にブラシ層を突設した前記こての前面には，
それぞれ移動方向前後端側が高く内方側が低くなって相
互に逆テーパー面となる両テーパー面を対称的に形成し
て構成したものである。

（作用） したがって，支持側のリンク機構を伸縮移動させなが
ら，隣り合う両支保の間を一方側に移動するように，ま
た，その後にこての向きを反転させないで前記方向とは
反対側の他方側に移動するように操作すると，こての前
面に供給されるコンクリート等は，こての移動方向後方
側となって前低後高となる一方のテーパー面により絞り
つけられるようにして程良く押しつけられることにな
り，両支保間のトンネル内壁面に良好に塗りつけられる
ことになる。

（実施例） 次に，図面に示す実施例について説明する。

１は円弧状に湾曲したＨ型鋼製の支保で，掘削または発
破により形成されたトンネルの内壁面にそわせて平行に
一定間隔おきに架着したものである。

第３図および第４図において，支持装置Ａは，両端側下
部を両側の支持体5,5により支持されてトンネル内を移
動可能に設置されたガントリ６からなるものであり，該
ガントリ６の外周には，モータ７の駆動によりその略全
周にそって往復動できる移動支持体８を装備し，該移動
支持体８からリンク機構Ｂを延設するが，該リンク機構
Ｂは，多数のリンク９を連結して基部側には前後方向に
伸縮させる油圧シリンダ10を，先端側には上下方向に伸
縮させる油圧シリンダ11をそれぞれ介装するとともに，
その先端側には，横方向に回動させる油圧モータ12と，
前後方向に回動させることができる油圧モータ13を介装
して板状体のこてＣを連設し構成する。

なお，前記支持装置Ａは移動車体にして，該移動車体よ
り前記実施例同様のリンク機構を延設し，その先端側に
前記実施例同様にしてこてＣを連設して構成することも
できる。

板状体の前記こてＣは，隣り合う両支保1,1の表面に近
接できる段部14,14を前面両横端部にそれぞれ形成し，
前面の移動方向前後端側にはブラシ層2,2をそれぞれ突
設し，前面の移動方向中央部位に開口するよう流出孔15
を形成し，その前面には，それぞれ移動方向前後端側が
高く内方側が低くなって流出孔15の部位より相互に逆テ
ーパーとなる両テーパー面3a,3bを対称的に形成して構
成し，前記流出孔15の後部には，トンネル内で移動でき
るコンクリートポンプＰより延出する搬送ホース16の先
端を連通連設して構成する。

なお，前記油圧シリンダ10,11および油圧モータ12,13に
は，こてＣを塗付面に押しつける力を検知できるセンサ
ーをそれぞれ配備して，オペレータはその検出によりコ
ンクリートの塗りつけ状況を把握しながら，適切に操作
できるように構成するものである。

したがって，トンネル内を移動させて設置できるガント
リ６の外周にそわせながら移動支持体８を移動させる状
態で，リンク機構Ｂを移動させながらこてＣを塗り始め
の位置に合わせ，隣り合う両支保1,1の表面にこてＣの
両段部14,14をそれぞれ合わせてこてＣの前面にコンク
リートを供給しながらこてＣを矢印イ方向に移動させる
と，両支保1,1間の内壁面４にコンクリートを塗りつけ
ることができることになるが，前面側に供給されるコン
クリートは移動方向前方側のテーパー面3aにより前方側
にはみ出るのを防止される状態となり，そのまま，移動
方向後方側となるテーパー面3bにより絞りつけられるよ
うにして程良く押しつけられながら，均一層となって仕
上げ面が良好となるよう塗りつけられることになる。

また、下から天井部まで塗りつける作業を繰り返す時、
こてＣが矢印イ方向に移動して塗装が天井部で一旦終了
し、反対側を下から塗りつける時こてＣを反転させない
でそのまま移動させて、こてＣを逆矢印イ方向に移動さ
せながら塗装を行なうと，その状態で移動方向後方側と
なるテーパー面3aによってコンクリートを絞りつけるよ
うにして程良く押しつけながら塗りつけることができる
ことになる。

（考案の効果） このように本考案は，隣り合う両支保1,1の間をこてＣ
が移動しながらコンクリートを塗りつける状態で，移動
方向前方側のテーパー面3a,3bの一方によりコンクリー
トのはみ出しを良好に防止しながら，後方側となる他方
のテーパー面により絞りつけるようにして程良く押しつ
けながら均一状に良好に塗装できることになり，また，
次なる工程では，こてＣを反転させないで逆方向に移動
させると，その状態で移動方向後方側となるテーパー面
によりコンクリートを絞りつけるようにして程良く押し
つけながら良好に塗装できることになり，操作性良くま
た作業性よく両支保1,1間にコンクリートを塗装できる
ことになって好適に実施できる特長を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図に本考案の実施例である要部の側断面図，第２図
はその斜視図を示し，第３図は要部全体の側面図，第４
図は第３図の一部の背面図を示す。 Ａ…支持装置,B…リンク機構,C…こて,1…支保,2…ブラ
シ層,3a,3b…テーパー面,4…内壁面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】トンネル内に設置できる支持装置Ａより延
   出して伸縮移動できるリンク機構Ｂの先端側には、コン
   クリート等を前面側に受給できるこてＣを連設し、前面
   両横端部を平行両側の両支保１に近接させることができ
   ると共に、少なくとも移動方向前後端側にブラシ層２を
   突設した前記こてＣの前面には、それぞれ移動方向前後
   端側が高く内方側が低くなって相互に逆テーパーとなる
   両テーパー面3a,3bを形成し、隣り合う両支保１間のト
   ンネル内壁面４にコンクリート等を塗装できるように構
   成したことを特徴とするトンネル内壁用塗装装置。