JPH0755517Y2 - 炉内機器取扱装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） 本考案は、例えば沸騰水型原子炉のような水冷却原子炉
において用いられる炉内機器取扱装置に係わり、特にそ
のエア供給口に使用する継手部に関する。

（従来の技術） 一般に、沸騰水型原子炉において原子炉圧力容器内の水
中に存在する炉内機器を取出したり燃料交換を行う作業
は、エアシリンダ機構によって駆動されるつかみ具を備
えた炉内機器取扱装置を用いて炉容器外からの遠隔操作
で行っている。

炉内機器取扱装置の各つかみ具に設けられているエア供
給口の継手部としてはワンタッチ式迅速継手が使用さ
れ、炉内機器に応じて数種のつかみ具をその都度取替え
て作業を行っている。

しかしながら、例えば炉内機器のつかみ具を水面上より
作業員が目視により所定の水中位置に下した後、エアを
供給してつかみ動作を行ない、つかみ具と炉内機器を一
体に上昇させる場合、原子炉内は狭くて複雑であり、し
かも水面下における遠隔作業のため、誤って継ぎ部が炉
内構造物に接触するとワンタッチ式迅速継手が外れてし
まう現象がおき、炉内機器をつかんだ状態で取り外すこ
とができなくなったり、さらには吊上げ中の炉内機器と
の係合が外れて炉心内に機器を落下したりし、炉の運転
に大きな支障をきたすおそれがある。

このような現象が生ずると、炉内機器の交換作業が長期
化してしまい、また作業員の放射線被曝低減を図る上で
も好ましくないという問題点があった。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案は背景技術における上述のごとき欠点を除去すべ
くなされたもので、炉内機器の取扱作業を安全かつ迅速
に行なえ、炉内への物品落下事故を確実に防止できる炉
内機器取扱装置を提供することを目的とする。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段） 本考案の炉内機器取扱装置は、炉容器外からの遠隔操作
により取扱うべき炉内機器に係脱される係止爪およびこ
の係止爪を動作させるシリンダ機構を備えたつかみ具本
体と、このつかみ具のシリンダ機構のエア供給継手部に
設けたロック機構付のワンタッチ式迅速継手と、このロ
ック機構付のワンタッチ式迅速継手の一方に接続された
シリンダ機構駆動用のエアホースと、このつかみ具本体
に取付けられて、前記エア供給継手部を含むつかみ具本
体の周囲に設けられてこれを保護する複数の保護部材と
を具備し、この保護部材のつかみ具本体の上部および下
部に対応する部位にはそれぞれ傾斜部が形成され、また
前記ロック機構は、切欠部を有する外周スリーブと、こ
の切欠部に係合するロック用ボールとから構成したこと
を特徴とする。

（作用） 本考案によればロック機構によりワンタッチ式迅速継手
の不用意な離脱が確実に防止される。また、つまみ具本
体の周囲には上下に傾斜部を有する保護部材が設けられ
ているので、この取扱装置を上下操作する際に上部格子
板等の構造部材に引係ることが少なくなる。

従って、炉心内の上方より遠隔操作で毎定期点検時に行
なわれる炉内機器の取付け、取外しの交換作業を短時間
で確実に行うことができ、作業員の被曝の危険性を低減
できる。

（実施例） 以下、第１図ないし第３図を参照して本考案の実施例を
説明する。

第２図において、原子炉圧力容器１は原子炉ウエル２内
に設置されている。この圧力容器１の上端は運転時には
蓋（図示せず）で閉塞されているが、燃料交換時には図
のように蓋を取外される。

燃料交換プラットホーム３は圧力容器１内の燃料集合体
４の交換を行う伸縮自在なマスト５および炉内機器６等
の出し入れを行なうホイストワイヤ７などを備えてい
る。このホイストワイヤ７の下端には、本考案に係わる
炉内機器取扱装置のつかみ具８が設けられている。

上記つかみ具８は炉内機器（一例として制御棒）６を取
扱うものであり、第３図のように構成されている。

すなわち、第３図においてホイストワイヤ７によって吊
持されたつかみ具本体11には係止爪12が設けられてい
る。この係止爪12はピン13を中心として回転自在とさ
れ、複動形のエアシリンダ14により制御棒６のハンドル
部6aのつかみ動作あるいははなし動作を行なう。

エアシリンダ14は炉外のたとえば燃料交換プラットホー
ム３上から遠隔操作できるようエアホース15で接続され
ている。

つかみ具本体11のエア供給口の継手部16にはワンタッチ
式迅速継手が使用され、炉内機器の種類に応じて数種の
つかみ具をその都度取替えて作業を行うようにしてい
る。つかみ具本体11の側方には継手部16を含む全体の周
囲に複数の保護部材24が設けられており、つかみ具本体
11を保護する役割を果たしている。

この保護部材24の上部および下部にはそれぞれ上部傾斜
部25および下部傾斜部26が形成されており、本取扱装置
を原子炉内の所定位置に吊り下ろしたり、引上げたりす
る場合に通過させなければならない上部格子板の孔の部
分に引係ることが少ないようにしている。

第１図は本考案の炉内機器取扱装置の継手部16の詳細を
示すもので、雌側継手17と、雄側継手18と、係止用ボー
ル19と、このボール19を雄側継手18の凹所に向けて押圧
する外周スリーブ20と、このスリーブ20を常時上方に押
し上げるバネ21とからなる従来のワンタッチ式迅速継手
において、雌側継手17にロック用ボール22を埋め込み、
外周スリーブ20に切欠23を形成したものである。

この切欠部23の位置とボール22の位置が一致することに
より継手部はワンタッチで挿着され、嵌合後ボール22位
置と切欠部23位置を回転させてずらしておくことにより
継手部の外れは防止される。なお、このロック機構付き
ワンタッチ式迅速継手を設けても、炉内機器取扱装置は
従来の継手を設けたものと同様に特殊工具を必要とせ
ず、簡単に脱着できる。また本考案は上記の制御棒つか
み具に限らず、各種の炉内機器用つかみ具にも同様に適
用できる。

［考案の効果］ 本考案の炉内機器取扱装置は、従来と同等の性能を持
ち、毎定検時に発生する高線量下での狭くて複雑な原子
炉内で、しかも水中における遠隔作業でも安全に、炉内
機器の取扱ができ、また初心者でも確実に作業ができ、
炉内への物品（機器）落下事故を防止する上で極めて有
効である。

従って、作業員の被曝低減や定期点検日数の短縮に大き
く寄与することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の炉内機器取扱装置の継手部の実施例を
示す一部縦断面図、第２図は原子炉の縦断面図、第３図
は炉内機器取扱装置のつかみ部の実施例を示す斜視図で
ある。 １……原子炉圧力容器 ２……原子炉ウエル ３……燃料交換プラットホーム ５……マスト ６……炉内機器（制御棒） ７……ホイストワイヤ ８……つかみ具 11……つかみ具本体 12……係止爪 13……ピン 14……エアシリンダ 15……エアホース 16……継手部 17……雌側継手 18……雄側継手 19……ストッパ用ボール 20……外周スリーブ 21……ばね 22……ロック用ボール 22……切欠部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】炉容器外からの遠隔操作により取扱うべき
   炉内機器に係脱される係止爪およびこの係止爪を動作さ
   せるシリンダ機構を備えたつかみ具本体と、このつかみ
   具のシリンダ機構のエア供給継手部に設けたロック機構
   付のワンタッチ式迅速継手と、このロック機構付のワン
   タッチ式迅速継手の一方に接続されたシリンダ機構駆動
   用のエアホースと、このつかみ具本体に取付けられて、
   前記エア供給継手部を含むつかみ具本体の周囲に設けら
   れてこれを保護する複数の保護部材とを具備し、この保
   護部材のつかみ具本体の上部および下部に対応する部位
   にはそれぞれ傾斜部が形成され、また前記ロック機構
   は、切欠部を有する外周スリーブと、この切欠部に係合
   するロック用ボールとから構成したことを特徴とする炉
   内機器取扱装置。