JPH0755374A - キャピラリポンプループ用蒸発器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製造工程を簡素化し、熱交換効率を向上させ
る。 【構成】 管状体１の内周面にはその円周方向に沿って
スパイラル状グルーブ２ａの細溝が刻設されるととも
に、周方向に一定ピッチでかつ管状体１の軸方向に軸方
向グルーブ２ｂの細溝が刻設されている。液注入管３に
よって管状体１外から供給される熱交換媒体は管状体１
の内周でスパイラル状グルーブ２ａによって円周方向に
流れるとともに、軸方向グルーブ２ｂによって軸方向に
流れる。液注入管３は管状体１外から挿入され、ウィッ
ク２に密着するように配置されており、管状体１の軸方
向の外周面上には複数の細孔３ａが開けられている。蒸
気流路４は管状体１の内周中心に軸方向に形成されてお
り、液注入管３とは複数の細孔３ａを介して連通されて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はキャピラリポンプループ
用蒸発器に関し、特に人工衛星やフリーフライヤ、及び
宇宙ステーション等に使用されるキャピラリポンプルー
プ用蒸発器に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のキャピラリポンプループ
用蒸発器においては、図３及び図４に示すように、液注
入管１３から熱交換媒体（液体）が供給されると、この
熱交換媒体が液注入管１３から管状体１１内に積層され
たウィック１２内に浸透する。

【０００３】この状態で、管状体１１が外部から加熱
（図３中、矢印で示す）されると、ウィック１２内に浸
透した熱交換媒体が蒸発する。この蒸発した熱交換媒体
は管状体１１の外壁内周面上のグルーブ１５に導入さ
れ、グルーブ１５を導かれて蒸気流路１４から管状体１
１外に排出される。

【０００４】ここで、ウィック１２は毛細管力を有する
リング状の物質で、管状体１１内に積層されており、グ
ルーブ１５は管状体１１の外壁内周面上に周方向に一定
ピッチでかつ管状体１１の軸方向に刻設されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来のキャピ
ラリポンプループ用蒸発器では、熱交換媒体のウィック
内への移動方向と管状体に対する外部からの加熱方向と
が互いに対向し、かつ管状体外壁とウィックとの間にグ
ルーブが配設されているので、管状体外壁とウィックと
の接触面積が少なく、熱流速が大きくなるとウィック内
で大部分の熱交換媒体が蒸発し、熱交換媒体のグルーブ
側方向への移動が妨げられるという欠点がある。

【０００６】また、ウィックと液注入管とグルーブとが
夫々同心円を形成するように配設された複雑な構造とな
っているので、ウィックの装着作業が面倒であり、しか
もウィックがグルーブに熱的に確実に接触しにくいとい
う欠点がある。

【０００７】したがって、本発明の目的は上記欠点を除
去し、製造工程を簡素化することができ、熱交換効率を
向上させることができるキャピラリポンプループ用蒸発
器を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明によるキャピラリ
ポンプループ用蒸発器は、管状体と、前記管状体内周に
沿って加工された細溝で形成されかつ熱交換媒体を前記
管状体内周に沿って流出するスパイラル状ウィックと、
前記管状体内周の軸方向に加工された細溝で形成されか
つ前記熱交換媒体を前記管状体内周の軸方向に流出する
グルーブ状ウィックと、前記スパイラル状ウィック及び
前記グルーブ状ウィックに前記熱交換媒体を供給する手
段と、前記管状体が外部から加熱された時に前記スパイ
ラル状ウィック及び前記グルーブ状ウィックで蒸発した
前記熱交換媒体を排出する手段とを備えている。

【０００９】

【実施例】次に、本発明の一実施例について図面を参照
して説明する。

【００１０】図１は本発明の一実施例の断面図であり、
図２は図１のＡＡ線に沿う矢視方向の断面図である。こ
れらの図において、管状体１は断面形状が円形であり、
その内周面に沿って細溝が刻設されるとともに、周方向
に一定ピッチでかつ管状体１の軸方向に細溝が刻設され
ている。

【００１１】管状体１の内周面に沿って刻設された細溝
はスパイラル状グルーブ２ａであり、管状体１の軸方向
に刻設された細溝は軸方向グルーブ２ｂである。これら
スパイラル状グルーブ２ａ及び軸方向グルーブ２ｂによ
ってウィック２が形成されており、スパイラル状グルー
ブ２ａ及び軸方向グルーブ２ｂは夫々毛細管力を発生す
る。

【００１２】よって、管状体１外から供給される熱交換
媒体（液体）はスパイラル状グルーブ２ａによって管状
体１の内周で円周方向に流れるとともに、軸方向グルー
ブ２ｂによって管状体１の内周で軸方向に流れる。

【００１３】液注入管３は管状体１外から挿入され、ウ
ィック２に密着するように配置されている。また、液注
入管３には管状体１の軸方向の外周面上に複数の細孔３
ａが開けられている。

【００１４】蒸気流路４は管状体１の内周中心に軸方向
に形成されており、液注入管３とは複数の細孔３ａを介
して連通されている。つまり、液注入管３が管状体１の
径方向に偏心して配置されているのに対し、蒸気流路４
は管状体１の中心軸側に配置されている。

【００１５】熱交換媒体が液注入管３の細孔３ａを介し
て管状体１の内周側に注入されると、ウィック２はその
熱交換媒体を毛細管力によって吸収し、管状体１の内周
で円周方向及び軸方向に流れる。

【００１６】この状態で、管状体１が外部から加熱され
ると、その熱がウィック２に伝導される。これによっ
て、液注入管３の細孔３ａからウィック２に吸収されて
流れる熱交換媒体が加熱されて蒸発し、蒸発した熱交換
媒体は蒸気流路４によって管状体１外に排出される。

【００１７】このように、内周面に沿ったスパイラル状
グルーブ２ａと軸方向に沿った軸方向グルーブ２ｂとか
らなるウィック２を管状体１に直接刻設することによっ
て、熱交換媒体をウィック２に均等にかつすばやく流入
させることができるとともに、熱交換媒体を管状体１全
体で蒸発させることができるので、熱交換効率を向上さ
せることができる。

【００１８】また、管状体１の内周にウィック２を直接
刻設するだけなので、キャピラリポンプループ用蒸発器
の製造工程を一層簡素化することができる。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、細
溝を管状体の内周面の円周方向及び軸方向に沿って直接
刻設し、これら細溝によってウィック２を管状体１内に
形成することによって、製造工程を簡素化することがで
き、熱交換効率を向上させることができるという効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の断面図である。

【図２】図１のＡＡ線に沿う矢視方向の断面図である。

【図３】従来例の断面図である。

【図４】図３のＢＢ線に沿う矢視方向の断面図である。

【符号の説明】

１ 管状体 ２ａ スパイラル状グルーブ ２ｂ 軸方向グルーブ ３ 液注入管 ３ａ 細孔 ４ 蒸気流路

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 管状体と、前記管状体内周に沿って加工
   された細溝で形成されかつ熱交換媒体を前記管状体内周
   に沿って流出するスパイラル状ウィックと、前記管状体
   内周の軸方向に加工された細溝で形成されかつ前記熱交
   換媒体を前記管状体内周の軸方向に流出するグルーブ状
   ウィックと、前記スパイラル状ウィック及び前記グルー
   ブ状ウィックに前記熱交換媒体を供給する手段と、前記
   管状体が外部から加熱された時に前記スパイラル状ウィ
   ック及び前記グルーブ状ウィックで蒸発した前記熱交換
   媒体を排出する手段とを有することを特徴とするキャピ
   ラリポンプループ用蒸発器。
2. 【請求項２】 前記熱交換媒体を供給する手段は、少な
   くとも一部が前記スパイラル状ウィック及び前記グルー
   ブ状ウィックに当接されかつ前記スパイラル状ウィック
   及び前記グルーブ状ウィックに前記熱交換媒体を供給す
   る複数の細孔を有する注入管からなることを特徴とする
   請求項１記載のキャピラリポンプループ用蒸発器。