JPH0754929A - 歯付パワートランスミッションベルト - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 この発明の目的は、歯の補強に関しては複合
織り地の性質を示し、かつ、製造の容易さと単一層の耐
摩耗織り地ベルトの製造コストとを示す、単一の耐摩耗
織り地を備えるベルト構造を提供することにある。 【構成】 歯付パワートランスミッションベルト１０
は、重合体の本体１２と、少なくとも一方の表面１６に
沿って間隔をおいて設けられた複数の歯１４と、歯１４
を含む表面１６の周辺２２に配置された耐摩耗織り地２
０とを有する。耐摩耗織り地２０は、複数の縦糸２６と
横糸２８とを有する第１の織り地層２４と、複数の縦糸
３２と横糸３４とを有する第２の織り地層３０とから構
成され、織り地層２４，２６は、結合糸３６，３８によ
り周期的に編み合わされている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、歯付トランスミッシ
ョンベルトに関し、より詳細には、このようなベルトの
歯に設けられる織り地補強材に関する。

【０００２】

【従来の技術】パワートランスミッションベルトは、そ
の少なくとも一方の面に複数の歯を有する重合体の本体
を有する。このようなベルトの多くは、負荷支持部材と
して本体に埋め込まれた緊張部材と、ベルトの歯を含む
面の周辺部にあって歯を強化してその摩耗を防ぐ耐摩耗
織り地を有している。このタイプの耐摩耗織り地は、ベ
ルトの歯、したがってベルトそれ自体の負荷支持能力に
対して強い影響を与える。

【０００３】米国特許第 3,937,094号明細書と第 4,09
9,422号明細書は、それぞれ台形の歯を有する歯付パワ
ートランスミッションベルトを開示する。歯を含むベル
ト周辺面は、歯に対する耐摩耗面と構造的な補強材とを
備える、２層の織り地を有する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】このような構成を利用
したベルトの問題点は、接合剤、あるいはゴム層等の手
段により接合された２層の織り地の剥離である。その構
成による他の問題は、２層の織り地と織り地の剥離を防
ぐための接着メカニズムがこのようなベルト製造にとっ
てコスト的に不利な点にある。

【０００５】米国特許第 4,392,842号明細書は、ベルト
表面に形成された丸い歯を有する歯付トランスミッショ
ンベルトを開示する。表面に接する２層の織り地は、ベ
ルトの歯を含む。これらの織り地層は、前述した２層織
り地構造よりベルト剛性を減少させるように、弾性物質
から成るクッション層を介して互いに分離されている。
このような構造は丸い歯付きのベルトに対しては有益で
あるが、２層の織り地、それらのスペースの設定、そし
て織り地層の接着システムは、製造に要する行程数とそ
のようなベルトを生産するためのコストを増加させる。

【０００６】米国特許第 4,302,497号明細書は、ベルト
の歯を含む周辺面に単一の織り地層を有する歯付パワー
トランスミッションベルトを開示する。その織り地は、
外側に耐摩耗の性質を持つ繊維を有し、内側にベルトの
重合体の本体に接着する性質を持つ繊維を有する。この
ような繊維構造は、摩耗耐性と接着能力に対しては有益
であるが、前述した２層織り地構造ベルトが有するよう
な歯を補強する手段を備えていない。

【０００７】

【発明の目的】この発明の目的は、歯の補強に関しては
複合織り地の性質を示し、かつ、製造の容易さと製造コ
ストとに関しては単一層の耐摩耗織り地ベルトと同等で
ある単一耐摩耗織り地を備えるベルト構造を提供するこ
とにある。

【０００８】この発明の他の目的は、従来技術の単一層
織り地構造ベルトに対して改善された馬力負荷支持能力
を示す。単一の耐摩耗織り地を備えるベルト構造を提供
することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この発明の歯付パワート
ランスミッションベルトは、重合体の本体と、ベルトの
少なくとも一つの表面に沿って間隔をおいて配置された
複数の歯とを備える。ベルトは、本体に埋め込まれた引
張部材と、ベルトの歯を含む表面の周辺部に配置された
耐摩耗織り地とを含む。耐摩耗織り地は、少なくとも２
組の縦糸戸２組の横糸とにより織られた２つの複合層を
規定する単一層の織り地である。２つの層は、単一の織
り地を形成するように、織るプロセスの間に織り込み糸
により周期的に編み合わされる。

【００１０】

【実施例】図１に示されるように、この発明の歯付パワ
ートランスミッションベルト１０は、重合体の本体１２
と、歯付プーリ（図示せず）に係合するよう少なくとも
一方の表面１６に沿って間隔をおいて設けられた複数の
歯１４と、ベルトの歯１４を含む表面１６の周辺部２２
に配置された耐摩耗織り地２０とを有する。

【００１１】重合体の本体１２は、例えば天然ゴム、合
成ゴム、そしてそれらのブレンド、鋳型による熱硬化タ
イプあるいは混練りタイプのようなウレタン、そしてポ
リエステルのような熱可塑性プラスチックを含む望まし
い物質から成る。本体１２に埋め込まれた引張部材１８
は、螺旋状に巻かれたコードのようなエンドレスタイプ
であり、ガラス繊維とアラミドのような延びが最少の物
質から製造される。ベルトの歯の外形は、台形のよう
な、あるいは米国特許第 3,756,091号明細書(Miller)、
第 4,605,389号明細書(Westhoff)、第 4,515,577号明細
書(Cathey, et al.)に示されるような曲線型のフランク
面を有するような望ましい形状とすることができる。図
１に示されるベルトの歯の外形は、曲面型である。

【００１２】図２においてより詳細に示す通り、耐摩耗
織り地２０は、２組の縦糸と横糸とを有する二重織りの
ような複合織り型の単一の織り地であり、第１の織り地
層２４は複数の縦糸２６と複数の横糸２８とを有する。
第２の織り地層３０は、複数の縦糸３２と横糸３４とを
有する。織り地層２４，２６は、横糸としての結合糸３
６，３８により周期的に編み合わされている。

【００１３】また、望ましい繊維の特性を実現するため
には、結合糸は横糸、あるいは縦糸のいずれかであって
もよい。単一の横糸として、これは織り地の縦糸と横糸
のそれぞれの組４０，４２のクループを編み合わせる緯
糸である。図２に示されるように、それぞれのグループ
は縦糸の端部を４つづつ有するが、編み合わされる糸の
端部の周期的な頻度（単一のグループに含まれる糸の本
数）は、２つの織り地を単一の織り地２０として適切に
機械的に保つに十分な値であれば、いかなる本数であっ
てもよい。

【００１４】図１においても共に示されるように、第１
の織り地層２４は、内側、あるいは裏側の層を形成する
ベルト本体１２に面しているのに対し、第２の織り地層
３０は、ベルトの外表面に位置している。

【００１５】それぞれの層はベルト内での位置に適した
糸により織られている。例えば、第１層２４はベルト本
体への接着硬化を高めた糸により織られているのに対
し、第２層あるいは外側の織り地層は歯付プーリーと共
に使用されるベルトとの関連において、耐摩耗性能が高
められた糸により織られている。

【００１６】２つの織り地層の縦糸と横糸との２つの組
としては、多種の組合せを使用し得る。織り地内での第
１層と第２層とを比較すると、異なる数の糸の端部が使
用され、また、強度、太さ等が異なる糸が２つの層のそ
れぞれについて使用されている。

【００１７】例えば、米国特許第 4,826,472号明細書に
開示されるような高強度織り地が外側の織り地層におい
て使用されるのに対し、内側の層の織り地には、より旧
来からある織り地が使用される。概していえば、高強度
織り地は強度５．０gm/d'texかそれ以上により特徴づけ
られ、低強度織り地は５．０gm/d'texより小さな強度を
持つ。

【００１８】平織り、あや織りの織り地、繻子、あるい
は、ななこ織りのような異なったタイプの織り地が各織
り地として使用され得る。織り地の違いは、内側、ある
いは裏側の織り地が外側の織り地より織り糸の間隔が大
きく、例えば裏側の織り地の重量は外側の織り地の６０
−１００％である。

【００１９】この分野では知られているとおり、織り地
はベルト本体を形成する重合体との化学的な結合を強化
するよう化学的に処理される。ゴムタイプのベルトの場
合には、接着システムとは、ＲＦＬ（レゾルシノール−
ホルムアルデヒド−ラテックス）と組み合わされたクロ
ロプレンゴムセメントとなる。織り地の処理は、結合糸
による機械的な結合に加えて化学的な結合を生成するこ
とにより、２つの織り地層の結合を強化する。従来の二
重織り地構造において求められたような特別な接着処理
やゴムの塗布は必要とされない。

【００２０】図３には、耐摩耗織り地４４の交互する形
が開示される。しかしながら、この構成は結合糸による
２つの織り地層の編み合わせの方法を除き、図２の構成
とよく近似している。織り地４４は、複数の縦糸４８と
複数の横糸５０とを有する第１の織り地層４６を含む。
同様にして、第２の織り地も、複数の縦糸５４と横糸５
６とを有する。

【００２１】それぞれの層の横糸のいくつかは、結合糸
５８，６０を構成する。織り地の２つの層を糸により結
合する頻度、あるいは周期は、それが織りのプロセスに
おいて許容される糸の組合せを形成するのであれば、長
い方が好ましい。図３に示されるように、各層の１５本
の縦糸のグループが横糸５８，６０により結合されてい
る。

【００２２】この発明の特徴の利点を説明するために、
１４mmピッチで丸歯がつけられたこの発明のベルトを、
耐摩耗織り地を除いて同様の方法で構成された同様の従
来技術のベルトと対比してテストした。従来技術のベル
トは０．０４４gaの単一層の耐摩耗ナイロン織り地を有
した。発明のベルトは、以下の表１に示されるような単
一層の織り地を有した。

【００２３】

【表１】 二重織り織り地 繊維 ナイロン 織り ２×２二重あや織り 第１層 縦糸太さ ９４０×１ Dtex 横糸太さ ７８×６ Dtex 第２層 縦糸太さ ９４０×１ Dtex 横糸太さ １１０×６ Dtex 結合糸 頻度 縦糸１６本に対して１本 太さ １１０×１ Dtex，７８×６ Dt
ex テスト結果 条件 ３５ hp, ２８歯スプロケット Ｔ1 ＋ Ｔ2 ＝３１２ 1bs ただし、Ｔ1 ，Ｔ2 は張り張力である 負荷寿命（この発明） ２４７３時間（３本のベルト
の平均） 負荷寿命（従来技術） ５８６時間（３本のベルト
の平均）

【００２４】このように、この発明のベルトは従来技術
のベルトと比較して４倍以上の負荷寿命を示した。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、単一層の耐摩耗織り地ベルトと同様に容易に、かつ
低コストで製造できるにも拘らず、複合織り地ベルトと
同等の強度を有するベルト構造を提供することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明の歯付ベルトを断片的に拡大した縦
方向の側面図である。

【図２】 図１の２−２線に沿う織り地の拡大概略図で
ある。

【図３】 織り地の交互する形を示す図２と同様の図で
ある。

【符号の説明】

１０ 歯付パワートランスミッションベルト １２ ベルト本体 １４ 歯 １６ 表面 １８ 引張部材 ２０ 耐摩耗織り地 ２２ 周辺部 ２４ 第１織り地層 ２６、３２ 縦糸 ２８、３４ 横糸 ３０ 第２織り地層 ３６ 結合糸

Claims (8)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ベルトの少なくとも一方の表面に沿って
   間隔をおいて複数の歯が設けられた重合体の本体と、該
   本体に埋め込まれた引張部材と、ベルトの歯を含む表面
   の周辺部に配置された耐摩耗織り地補強材とを備えるタ
   イプの歯付パワートランスミッションベルトにおいて、 前記耐摩耗織り地は、少なくとも第１の複数の縦糸と横
   糸とを有する第１の織り地層と、第２の複数の縦糸と横
   糸とを有する第２の織り地層とを有し、隣接する織り地
   層の縦糸が結合糸により周期的に編み合わされて前記第
   １、第２の織り地層が単一の織り地として結合された複
   合織り地を備えることを特徴とする歯付パワートランス
   ミッションベルト。
2. 【請求項２】 前記結合糸は緯糸であることを特徴とす
   る請求項１に記載の歯付パワートランスミッションベル
   ト。
3. 【請求項３】 前記結合糸は前記各織り地層の横糸を含
   むことを特徴とする請求項１に記載の歯付パワートラン
   スミッションベルト。
4. 【請求項４】 前記各織り地層の糸は、ほぼ同一の強度
   を有することを特徴とする請求項１に記載の歯付パワー
   トランスミッションベルト。
5. 【請求項５】 一方の織り地層の糸が他方の織り地層の
   糸より大きな強度を有することを特徴とする請求項１に
   記載の歯付パワートランスミッションベルト。
6. 【請求項６】 前記横糸が縦糸のグループを周期的に編
   み合わせていることを特徴とする請求項４に記載の歯付
   パワートランスミッションベルト。
7. 【請求項７】 前記縦糸は、横糸より強度が高いことを
   特徴とする請求項５に記載の歯付パワートランスミッシ
   ョンベルト。
8. 【請求項８】 一方の織り地の重量が他方の織り地より
   小さいことを特徴とする請求項１に記載の歯付パワート
   ランスミッションベルト。