JPH0753604Y2 - 歯科治療用器具の消毒箱 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、歯科治療用器具を載置
したり、収納して消毒するための消毒箱に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】従来、歯科治療台の近くで使用する歯科
治療用器具を載置したり、そのまま収納して蒸気などに
よる消毒機械にセットする消毒箱は、ステンレス鋼板や
アルマイト処理を施したアルミニウム板等に防錆処理を
施した金属板で形成されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】このような金属板製の
消毒箱に歯科治療用のハンドピースや歯鏡などの金属製
あるいは硬質樹脂製の器具が投げ入れられると、比較的
振動数の高い衝撃音が発生し、これが患者に不要な恐怖
心を抱かせるおそれがある。

【０００４】そこで、かかる衝撃音をなくすため、上下
の薄鋼板間に粘弾性樹脂を挟持させた、いわゆる制振鋼
板を使用して消毒箱を製作することも考えられている
が、制振鋼板は複数の板からなる合板であるため、非常
に曲げ加工しにくく、接合する場合に溶接などにも適さ
ない。

【０００５】本考案の目的は前記従来例の不都合を解消
し、制振鋼板と金属板とを組み合わせることで、金属製
の歯科治療用器具を投げ入れてもほとんど衝撃音が発生
せず、しかも箱型の形状に簡単に曲げ加工できる歯科治
療用器具の消毒箱を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は前記目的を達成
するため、金属板による細長偏平で上面を開口した箱体
の内側に制振鋼板による板体を圧着して形成した容器単
体の２つを、開口が相互に突き合わさって開閉自在とな
るよう蝶番により結合し、前記箱体は底部に外形より一
回り小さい細長孔を形成し、この細長孔に金属板による
スライド板を装着し、該スライド板と制振鋼板による板
体との各々対応する個所に小孔を多数穿設することを要
旨とするものである。

【０００７】

【作用】本考案によれば、容器の外形を金属板により折
り曲げ加工して形成するから、箱体形状に簡単に形成で
き、該箱体の内側には制振鋼板による板体を圧着するか
ら、容器内に金属製の歯科治療用器具を投げいれても器
具はこの制振鋼板に当たり、衝撃音はほとんど発生しな
い。また、内部に収納した器具は容器単体の開口を突き
合わせ、スライド板をスライドさせてスライド板と制振
鋼板に穿設した小孔の位置を合致させて開口した状態
で、消毒機械にセットすれば、そのまま消毒できる。

【０００８】

【実施例】以下、図面について本考案の実施例を詳細に
説明する。図１は本考案の歯科治療用器具の消毒箱の実
施例を示す一部切欠いた正面図、図２は同上開いた状態
の斜視図、図３は同上閉じた状態の斜視図で、本考案の
歯科治療用器具の消毒箱は蝶番２により組み合わさる２
つの容器単体１で構成される。

【０００９】容器単体１は、上面を開口３に形成した細
長偏平で、例えば巾４ｃｍ、横19ｃｍ程度の小型の箱体
形状で、ステンレス鋼板などによる金属板による細長の
底板４の前後左右に底板４から一体的に側板５を立ち上
げ、前後の側板５の両端を延設し、この延設部５ａを内
側に折り曲げて左右の側板５の内側に当接して、この当
接部の個所で前後と左右の側板５，５とをスポット溶接
６により接合する。

【００１０】このようにして金属板で形成した容器単体
１の底板４と前後の側板５との内側にそれぞれ別体の制
振鋼板による板体７を圧着した。この制振鋼板は、例え
ば防錆処理を施した２枚の薄板金属板の間に制振性能を
有する粘弾性物質をコアとして介入熱圧着した構造、あ
るいは上下の薄鋼板間に粘弾性樹脂を挟持させた構造と
する。

【００１１】そして、容器単体１の底板４に底部の外形
よりも一回り小さい細長孔８を形成し、この細長孔８に
金属板によるスライド板９を装着する。この状態でスラ
イド板９は制振鋼板による板体７の表面の摺動自在に当
接する。図中10はスライド板９を板体７に係止するとと
もにスライド長さを規制するためのストッパーを示す。

【００１２】板体７とスライド板９の相互に合致する個
所に小孔11ａ，11ｂを多数穿設し、また、スライド板９
の両端を外側に直角に折り曲げて、この折り曲げ部を摘
み兼脚12とした。図中13は留め具を示す。

【００１３】次に使用法について説明すると、治療中は
図２のように蝶番２を介して２つの容器単体１を180 度
開き、各容器単体１の開口３を上面に開放する。この状
態では摘み兼脚12を指先で摘んでスライド板９を細長孔
８に沿ってスライドさせ、板体７とスライド板９にそれ
ぞれ形成した小孔11ａ，11ｂの位置をずらせてこれらの
小孔11ａ，11ｂを塞ぐ。こうして容器単体１をテーブル
などの上に載置すれば摘み兼脚12が底板４の下方に突出
し脚として作用する。

【００１４】治療中に使用する歯科治療器具を容器単体
１内に投げ入れれば、器具は容器単体１内で制振鋼板に
よる板体７に当たるから、衝突面で発生する振動数の高
い音は制振鋼板により振動が減衰されて音はほとんど発
生しない。

【００１５】治療終了後は、使用した器具を容器単体１
内に収納したままで、図３に示すように一方の容器単体
１の開口３を他方の容器単体１の開口３に突き合わせて
開口３を閉じ、また、スライド板９を摺動して小孔11
ａ，11ｂの位置を合致させて開き、消毒機械などにセッ
トする。この場合、容器単体１は比較的小型に形成して
あるから、これを患者毎に一人用として使用でき、衛生
的である。

【００１６】

【考案の効果】以上述べたように本考案の歯科治療用器
具の消毒箱は、外側の箱体を金属板を折り曲げて形成
し、この内側に板体形状の制振鋼板を圧着し、両者の特
性を活かして組み合わせたから、金属製の歯科治療用器
具を投げ入れてもほとんど衝撃音が発生せず、しかも箱
型の形状に簡単に曲げ加工できるものてある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の歯科治療用器具の消毒箱の実施例を示
す一部切り欠いた正面図である。

【図２】本考案の歯科治療用器具の消毒箱の実施例を示
す開いた状態の斜視図である。

【図３】本考案の歯科治療用器具の消毒箱の実施例を示
す閉じた状態の斜視図である。

【符号の説明】

１…容器単体 ２…蝶番 ３…開口 ４…底板 ５…側板 ５ａ…延設部 ６…スポット溶接 ７…板体 ８…細長孔 ９…スライド板 10…ストッパー 11ａ，11ｂ…小孔 12…摘み兼脚 13…留め具

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 金属板による細長偏平で上面を開口した
   箱体の内側に制振鋼板による板体を圧着して形成した容
   器単体の２つを、開口が相互に突き合わさって開閉自在
   となるよう蝶番により結合し、前記箱体は底部に外形よ
   り一回り小さい細長孔を形成し、この細長孔に金属板に
   よるスライド板を装着し、該スライド板と制振鋼板によ
   る板体との各々対応する個所に小孔を多数穿設すること
   を特徴とした歯科治療用器具の消毒箱。