JPH0753474Y2

JPH0753474Y2 - 傾斜地設置に適した植栽ボックス

Info

Publication number: JPH0753474Y2
Application number: JP4357792U
Authority: JP
Inventors: 市郎山下
Original assignee: 市郎山下
Priority date: 1992-06-23
Filing date: 1992-06-23
Publication date: 1995-12-13
Anticipated expiration: 2005-12-13
Also published as: JPH0623425U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案はスロープロードを有する
歩道橋のような各種のスロープから水平部にわたる変化
に好適に適合し、長期に亘って植物に湿度を自動供給し
て植物を育成する水平部専用の植栽ボックスと同様に、
長期の水量供給可能な機能を有し、且つ傾斜部に使用さ
れ得ると共に、水平部にも使用されうる傾斜可能植栽ボ
ックスに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、一般に、街路、ビルの広場や通
路、歩道橋等に緑化、美化等のために設置される植木や
草花の植木鉢は、単にコンクリート製等の大きな容器に
土を充填して育成しているものであり、一度設置される
とその適正な植物管理は実務上困難で、長い期間放置さ
れ、勿論水分の補給は途絶え、植物は本来の生気を発現
することができず、折角の緑化、美化の目的は達成され
ていない現状である。

【０００３】その現状に鑑みて、街路の状況に適当する
プラスチック、ＦＲＰその他等の各種の容器を使用した
『植物の湿度自動供給育成方法およびその植栽ボックス
（特開平３−２２９２５号）』の発明が、本考案と同一
出願人によって提供されたものである。この発明が本考
案の唯一の従来例として存在するものである。但し、こ
の発明の植栽ボックスは、水平部専用で傾斜部には使用
できないものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】近時、スロープロード
を有する歩道橋等の緑化、美化の必要性が考慮される傾
向にある。本考案はその要望に好適に適応する植栽ボッ
クスとして、上記先願発明の改良考案を企図したもので
ある。

【０００５】すなわち、各種の傾斜度に順応でき、且つ
水平部にも使用でき、しかも長期に亘って水の補給を必
要としない植栽ボックスとして、前出願の発明の植栽ボ
ックスのタンクの構造を改良することによって傾斜部と
水平部の両用に使用できる植栽ボックスの提供を目指し
たものである。

【０００６】上記の先願発明に係る平面部イに設置され
る植栽ボックスは、一個の連通状態の水タンク部１を有
する構造で、斜面ロに設置された場合、図１の傾斜時の
水レベル状態図に示すように、下部の水タンク部１の水
レベル２は、傾斜時水レベル３で示すように、左右の水
深が大きく変動して均等な水分の補給が不可能となり、
長期に亘って水の補給を必要としない植栽ボックスの目
的が達成できないものとなる。また、水分の吸い上げ機
構の吸い上げ量も大きく変動し、所要の補給量にも変動
を生起し、安定性が得られない。

【０００７】因って、傾斜面においても、水平面の時と
同程度の期間、水分の補給が得られ且つ同様の水分吸い
上げ機構の機能が得られる構成とすることが必要であ
る。また、傾斜時の水レベルの高低差を可及的に少なく
する構成とする必要がある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、前出願発明の植物育成部はそのまま踏襲し、中間底
板部の下部における一つの連通状のタンク構造を改良す
ることによって、傾斜部において、水平部と同じような
効果が得られ且つ水平部にも兼用できる構造が容易に得
られる改良構造を案出したものである。

【０００９】すなわち、先願の一個の連通タンクの構造
を分割タンク構造とすることを特徴としている。この分
割タンク構造の構成には二つの形式が考えられる。その
一は、独立した二個以上の分割タンクをバンド式クラン
プ等の枠組みにて複数個を組み合わせた連結体に構成す
るものであり、その二は、連通タンク内を水分吸い上げ
機構の数に対応して、遮断性の隔壁によって、適当な所
要容量で、ほぼ均等に複数個に分割して分割タンクの集
合体を構成するものである。

【００１０】分割タンクの数は、傾斜レベルの差が可及
的に少なくなるように適当な容量単位とし、また、各傾
斜水レベルを同程度に保持するような長さに構成するこ
とを基本構想とし、植栽ボックスの大きさの大小によっ
て二個以上の複数個に分割されるものであり、長さに対
する分割数の多いほど水レベル差は小さくなる。

【００１１】但し、分割タンクは、他の分割タンクとの
連通性は遮断されているので、給水はそれぞれの分割タ
ンクに分散給水される必要がある。勿論、分散給水用パ
イプおよび水管理用のゲージパイプ等の付帯設備は適宜
に構成される。

【００１２】特に、大型の植栽ボックスで、下部の水タ
ンク部の水分吸い上げ機構間の間隔が大きい植栽ボック
スにおいては、複数の分割タンクの間に、水レベル差を
小さくする必要上と分割による水量不足を補充する必要
のため、補充用タンクを設け、その水量を分割タンクに
補充する手段として、補充用タンクの両側壁に補充水路
用繊維体の支持用パイプを備え、その上部を分割タンク
方向に湾曲し、補充水路用繊維体の一端部を補充用タン
ク内に導出するとともに、他端部を分割タンク上に垂下
状とし、補充用タンク内の水を分割タンク内に吸い上
げ、水分を水滴として、補充する構造体とするものであ
る。

【００１３】この場合、分割タンクの最高水量基準を超
過すると、補充用タンク側へオーバーフローすることに
よって還元調整される。また、側壁上部にオーバーフロ
ー用溝を形成すれば、より好適に還元される。なお、補
充水路用繊維体は織布、長繊維の不織布、繊維の紐状等
の長片から形成され、毛管作用によって水滴として滴下
される。

【００１４】

【００１５】

【実施例】図２は、一個の連通構造の水タンクを、水分
吸い上げ機構Ａごとに分割して複数個の水タンク部に形
成した分割タンクの要部の概要断面図である。

【００１６】本例は、Ｔ₁、Ｔ₂、Ｔ₃の三個の分割タ
ンクに構成している。図において、Ｂは、本考案の傾斜
可能植栽ボックスで、４は水分吸い上げ機構Ａの中空状
保持具、５は線状繊維集合体、６は中間底板部、７は分
割水レベルで、図示の通り、各分割タンクは同一の分割
水レベル７に形成される。８は中間底板部６と分割水レ
ベルとの間に形成される空間部であり、水分吸い上げ機
構Ａが固定される中間底板部６上には、先願の特開平３
−２２９２５号に開示したと同様の植物育成部９が形成
される。

【００１７】すなわち、中間底板部６上には、水分が容
易に侵入し、均等に保持され得る潤滑性の連続性多孔
体、その他適当な水分保持体を設け、該保持体上に、土
壌栽培方式その他の各種の植物育成部を構成するもので
ある。なお、分割水レベル７と中間底板部６との間には
空間部８が形成されているため、夏期の温度管理も良好
で好適な植物の育成が行われる。１０は空間部の両サイ
ドに設けられる空気穴兼オーバーフロー用穴であり、１
１は植栽ボックスの脚部である。

【００１８】図３は、大型の傾斜可能植栽ボックスで、
特に水タンク部の水分吸い上げ機構Ａ間の間隔が大きい
植栽ボックスの場合の水タンクの要部の概要断面図であ
り、この構成は、傾斜時の分割水レベルの左右の差を可
及的に少なくして均等な水レベルを保持するためと、水
平部専用の植栽ボックスの場合とほぼ同様な所要水量を
得るため、分割タンク間に補充用タンクを形成するもの
である。

【００１９】図示の例では、分割タンクＴ₁とＴ₂間お
よびＴ₂とＴ₃間に補充用タンクＳ₁とＳ₂を配置して
いる。各補充用タンクＳ₁、Ｓ₂には、左右の両側の隔
壁Ｗに、支持用パイプ１２を設け、その上端部を分割タ
ンク上に湾曲し、支持用パイプ内に支持された補充水路
用繊維体１３の端部を分割タンク上に垂下して、水滴と
して補充し得る構造体としている。

【００２０】なお、補充水路用繊維体１３は、織布、長
繊維不織物、長繊維の集合体等の長片から形成され、分
割タンク内の水分消費量を勘案して、補充水路用繊維体
１３の量を調整する。また、過剰に補充された場合は、
オーバーフローによって補充用タンクに還元されるが、
隔壁の上端に浅い切り溝を形成すればより容易に還元さ
れる。

【００２１】図４は、特にスロープロードの傾斜部から
水平部へと変動する歩道橋等に設定され、歩道橋等の歩
道上並びに下方外部から植物（樹木、草花）の育成状態
を観賞し得る構造に関するものである。歩道橋等の場合
は傾斜状態から水平部となり、さらに傾斜状態を形成す
るものであるため、傾斜部および水平部の両用に使用で
きる本願の傾斜可能植栽ボックスが最も好適な適応構造
である。

【００２２】図において、１４は、金属等の剛性材料に
て歩道橋の全長にわたり形成される手摺、１５は、同材
料で手摺から各植栽ボックスごとにその両側の支持用と
して、張り出し部１７へ固定される両側支柱であり、１
６は、手摺と同材料で手摺１４から両側支柱１５間ごと
に張り出し部１７に設定される植栽ボックスの外側を屈
折支持する複数本の支持体であり、傾斜可能植栽ボック
スＢを安全に固定するものである。

【００２３】図５ないし図８は、滑り止め具Ｓの使用例
を示したもので、図において、１８は脚部１１に嵌合さ
れる滑り止め具Ｓの短片側部、１９は同長片側部で、２
０は上部平面部であり、その平面部の下部に、短片側、
長片側にそれぞれ三角状突起２１、２２が形成され、そ
の滑り止め具の外側に一個以上の欠切部２３、２４が形
成され、該欠切部２３、２４に接着用合成樹脂その他の
各種の接着材または接着材と打ち込み金具との併用によ
ってロード面に固定し、滑り性を防止固定する。な
お、上記図６は、滑り止め具の短片側部の端から端まで
の全長に三角状突起２１を形成し、残りの長片側部に三
角状突起２２を形成した例であるが、これとは逆に長片
側部の端から端までの全長に三角状突起２２を形成する
二方法が適宜に選定される。また、三角状突起の上部に
切り込み溝を形成して三角状歯形としても良い。

【００２４】

【考案の効果】以上説明のとおり、本考案の傾斜可能植
栽ボックスは、各種の傾斜度の変動に対応することがで
き、各種の変動傾斜から水平部に至る広範囲の変動に好
適に対応し、適正な効果が得られ且つ水平部専用の植栽
ボックスと同程度の長期の水分の自動供給が得られる特
徴を有するものであり、特にスロープロードを有する歩
道橋等には最も有効な構成体である。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の水平部専用の植栽ボックスの傾斜時の水
レベル状態を示す説明図。

【図２】本考案に係る傾斜可能植栽ボックスの一実施例
を示す要部概要断面図。

【図３】本考案の他実施例を示す要部概要断面図であ
る。

【図４】本考案の傾斜可能植栽ボックスを、歩道橋の張
り出し部に設置するための固定構造の一例を示す斜視
図。

【図５】本考案の傾斜可能植栽ボックスに適用される滑
り止め具の一例を示す概略平面図。

【図６】同滑り止め具の底面図。

【図７】同滑り止め具の長片側部から見た側面図。

【図８】同滑り止め具の短片側部から見た側面図。

【符号の説明】

１…水タンク部６…中間底板部７…分割水レベル８…空間部９…植物の育成部１１…脚部１２…支持用パイプ１３…補充水路用繊維体１４…手摺１５…両側支柱１６…支持体１７…歩道橋の張り出し部１８…短片側部１９…長片側部２０…上部平面部Ａ…水分吸い上げ機構Ｂ…傾斜可能植栽ボックスＴ₁、Ｔ₂、Ｔ₃…分割タンクＳ₁、Ｓ₂…補充用タンクＷ…側壁

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】ボックス内を中間底板部により、その上
部の植物育成部と、下部の水タンク部に区画形成し、中
間底板部に水タンク部の水を植物育成部に吸い上げ供給
する水分吸い上げ機構を取り付けた植栽ボックスにおい
て、植栽ボックスを設置する傾斜地の傾斜方向に水タンク部
を隔壁により複数のタンクに区画分割し、各タンクにそ
れぞれ水分吸い上げ機構の下端部を配置したことを特徴
とする傾斜地設置に適した植栽ボックス。
【請求項２】ボックス内を中間底板部により、その上
部の植物育成部と、下部の水タンク部に区画形成し、中
間底板部に水タンク部の水を植物育成部に吸い上げ供給
する水分吸い上げ機構を取り付けた植栽ボックスにおい
て、植栽ボックスを設置する傾斜地の傾斜方向に水タンク部
を隔壁により複数のタンクに区画分割し、これらの区画
されたタンクを、水分吸い上げ機構を有する分割タンク
と、分割タンク間に設けられた補充用タンクとに区分
し、毛細管現象を利用して補充用タンク内の水を分割タ
ンクに補給する補充水路用繊維体と、これを内装するパ
イプとを隔壁に設けたことを特徴とする傾斜地設置に適
した植栽ボックス。