JPH075293B2 - シリカ多成分系粉末物の合成方法 - Google Patents

シリカ多成分系粉末物の合成方法

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JPH075293B2
JPH075293B2 JP5631490A JP5631490A JPH075293B2 JP H075293 B2 JPH075293 B2 JP H075293B2 JP 5631490 A JP5631490 A JP 5631490A JP 5631490 A JP5631490 A JP 5631490A JP H075293 B2 JPH075293 B2 JP H075293B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、均質なシリカ多成分系粉末物の合成方法に関
し、高純度で、低温で焼結可能で、且つ成形性に優れ緻
密な高信頼性を提供する粉末であり、特に、例えば、電
子部品基板などの原料として用いられるシリカ多成分系
粉末物の合成方法に関するものである。
〔従来の技術〕
一般に、シリカ多成分系セラミックスは、各成分酸化物
の粉末を混合、成形、焼成することにより製造される
が、この方法では焼成による固相反応により目的のシリ
カ多成分系セラミックスとなるため、高い焼成温度を必
要とし、また組成が均質となりにくく緻密な組織が得ら
れ難い。
また、より微細な粉末を供給する共沈法等が提案されて
いるが、同法では多成分を同時に沈澱させることが困難
で目的組成からのずれが生じ易く、また得られる粉末も
各成分の混合粉末となる。また、金属アルコキシドを出
発原料とした粉末の調製法も提案されているが、同様に
加水分解速度の差により多成分の均質化が困難で、また
ゲル化が起こりやすく良好な粉末が得られない場合が多
い。
本発明者らは、金属アルコキシド等を出発原料とした均
質なアルミノ珪酸塩粉末の合成方法として特開平2-3113
20号公報に記載の発明を見出し、高純度、均質で且つ目
的組成とのずれがなく良好な粒径、粒度分布を有し低温
合成可能なアルミノ珪酸塩粉末の製造方法を提供した。
しかしながら、得られた粉末は比較的多孔質で高い比表
面積を持っており、その後の成形プロセスにおいて粒子
の充填性等、高信頼性のセラミックス成形等を困難とす
るものである。
本発明の目的は、以上のような課題を解決し、均質で且
つ目的組成とのずれがなく良好な粒径、粒度分布を有
し、さらに比較的緻密で低い比表面積をを有するシリカ
多成分系粉末物の合成方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、 (1)アルコキシ基を有し且つ珪素原子およびそれ以外
の1種以上の金属原子を含むシリカ多成分系複合前駆体
を形成し、該複合前駆体を3以上の炭素数(N)を有す
るアルコールで還流反応させ、該アルコキシ基と該アル
コールのアルコキシ基とを置換反応せしめた後、2個以
下の炭素数を有するアルコールに溶解し、水を加え加水
分解し粉末を沈澱させることを特徴とするシリカ多成分
系粉末物の合成方法、 (2)前記Nが3又は4である上記(1)記載のシリカ
多成分系粉末物の合成方法、及び (3)上記シリカ多成分系粉末がアルミノ珪酸塩粉末あ
るいはアルカリ土類−アルミノ珪酸塩粉末であることを
特徴とする上記(1)または(2)記載のシリカ多成分
系粉末物の合成方法、 である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいうシリカ多成分系複合前駆体とは、アルコキ
シ基(R1と記す)を有し且つ珪素原子およびそれ以外の
1種以上の金属原子を含むもので、該アルコキシ基は珪
素及び/又はそれ以外の金属原子とアルコキシド結合を
形成しているものであり、かつ、該珪素及び/又はそれ
以外の金属原子とはアルコキシド結合又は酸素を介して
均質に複合化しているものである。
該複合前駆体のアルコキシ基R1は特に限定されず、容易
に複合前駆体を調整するためのエトキシ又はメトキシで
かまわない。
該複合前駆体の出発原料としては、上記性質を有する化
合物が生成可能ならば特に限定されないが、例示すれ
ば、珪素及び/又はそれ以外の金属の各アルコキシド、
同じく金属単体、有機及び無機塩等がある。
特に、珪素以外の元素ではアルコキシドに限定されず、
各種有機および無機塩あるいは金属が広く使用可能であ
る。即ち、シリコン以外の元素ではアルコキシド以外の
出発原料を用いても、これらの元素の有機および無機塩
あるいは金属が複合前駆体合成プロセスにおいて容易に
アルコール溶媒、又は溶媒中のアルコールと反応しアル
コキシド化が可能であるためである。具体的にはアルカ
リ金属では金属片が最も好ましく、アルカリ土類、第3
類元素では金属片、アルコキシド、硝酸塩、塩化物、水
酸化物、酢酸塩等が好ましい。
シリコンアルコキシドとしては、特に限定されないが、
原料のシリコンアルコキシド中の金属シリコンの含有量
及び加水分解反応の制御のし易さ及びコストを考慮する
とシリコンエトキシド、シリコンメトキシド等が好まし
い。また、シリコンアルコキシドとして、部分加水分
解、縮重合したその多量体を使用することもできる。
これらの出発原料より複合前駆体を合成する。該複合前
駆体の調製方法については、例えば、特願平1-131571号
明細書等に詳細に記載している。例えば、シリコンアル
コキシドを部分加水分解しアルミニウム等の第3属のア
ルコキシドと反応させ、さらにアルカリ土類またはアル
カリ金属元素のアルコキシド等と還流反応させることに
より得られる。また先にアルカリ土類またはアルカリ金
属元素のアルコキシド等とアルミニウム等の第3属のア
ルコキシドと反応させ、その後部分加水分解したシリコ
ンアルコキシドを加え反応させ複合前駆体を調整しても
よい。
複合前駆体の合成に関しては、その調整手法を特に限定
されるものではない。
この複合前駆体の合成は、その反応を容易に行うため、
必須ではないが、通常、溶媒中で行われる。溶媒として
は特に限定されないが、出発原料として、金属単体、有
機塩あるいは無機塩が含まれる場合には特に、エタノー
ル、メタノール等の低級アルコールがアルコキシド化反
応、ひいては複合前駆体の生成が容易でまたコストの面
からも好ましい。
この場合に用いられる有機溶媒として、アルコールを使
用すると、複合前駆体の出発原料として金属アルコキシ
ドが含まれていると、そのアルコキシ基は、複合前駆体
生成反応時に該アルコールのアルコキシ基と反応し大部
分は置換されると考えられるので、本発明における複合
前駆体は主としてエトキシ基又はメトキシ基を有するも
のと考えられる。
得られた複合前駆体は、加熱減圧下で溶媒除去し濃縮さ
れる。
該濃縮された複合前駆体は、3以上、好ましくは、3又
は4の炭素数を有するアルコールのアルコキシ基(R2
記す。但し、アルコール性OHからHを除いた基を意味す
る。)と置換反応せしめられる。即ち、複合前駆体のア
ルコキシド基(例えば、エトキシ基、メトキシ基)はブ
トキシ基あるいはプロポキシ基に置換される。
この還流反応は、有機溶媒の減圧濃縮を繰り返して複数
回行うと置換率を向上することができる。この場合の置
換は、完全である必要はなく、ある程度未置換のままア
ルコキシド基を生成複合前駆体に残存していてもよい
が、この置換率は、好ましくは、50%以上である。
該置換反応に使用されるアルコールとは、少なくともア
ルコール性OHを有する脂肪族系炭化水素を意味する。
本発明では、このR1のR2への置換が、最終的に得られる
生成物の形態に著しい影響を与える事が見出された。即
ち、例えば、複合前駆体のエトキシ基またはメトキシ基
が本発明の置換反応で処理されないで全て未置換のまま
であると、良好な粒子が沈澱せずコロイド状ゾルとなる
が、それらエトキシ基またはメトキシ基の所定量をブト
キシ基あるいはプロポキシ基に置換した前駆体では良好
な粒子が沈澱し、得られた粒子の気孔が減少しており比
較的緻密な粒子が得られる。特にブトキシド化が好まし
く、良好な充填性を示す粒子が得られる。
得られた濃縮複合前駆体は、再度所定の溶媒、即ち、2
個以下の炭素数を有するアルコール、メタノールあるい
はエタノールを添加し希釈され、さらに水を加える事に
より良好な粉末が生成・沈澱する。
この場合の濃縮複合前駆体の有機溶媒による希釈は、加
水分解に先立ち行ってもよいが、水と有機溶媒の一部を
混合した液を添加し、加水分解することが好ましい。
次に、複合前駆体を加水分解するために加える水は、pH
11以上のものが好ましく、例えば、アンモニア、プロピ
ルアミン、ピリジン、ピペリジン等のアルカリ触媒によ
り調整できる。
該水はアルカリ触媒添加に次いで該希釈アルコールで希
釈された複合前駆体と混合されるが、その水は、該希釈
アルコールとの混合液の形態で添加することが好まし
い。
一方、この加水分解時、特願平1−13157号明細書に記
載したようにpH11未満の水では生成する粉末の化学量論
性が満足されず具体的にはケイ酸部が低く成るという欠
点が見られる。
該加水分解時の水の添加量は、複合前駆体の有する加水
分解可能基の3倍モル以上であることが好ましく、ま
た、加水分解時の複合前駆体の濃度は、3〜30重量%の
範囲が望ましい。
得られた粉末は、所望によりアルコール、アセトン等の
有機溶媒、水等で洗浄後、濾過あるいは遠心分離等で分
離され、通常、100〜150℃で乾燥後、好ましくは、200
〜700℃で仮焼される。
本発明により得られたシリカ多成分系粉末は、高純度
で、微細な粒子径をもち、低温で焼結可能であり、さら
に成形プロセスにおいて高い充填密度を達成可能で電子
材料または電子部品搭載用基板あるいは多層セラミック
ス基板を寸法精度よく製造することができる。
〔作用〕
本発明においては、R1を有する複合前駆体アルコキシド
のR2を有する所定アルコールを用いた置換反応による複
合前駆体アルコキシドのアルコキシ基の変更(R1
R2)、及びR3を有する希釈アルコールの炭素数を制御す
る事によりシリカ多成分系粉末においても良好な形態及
び充填性を持つ粉末が得られることが見いだされた。本
発明の作用は、現在のところ確定し難いが、以下のよう
に考察される。
例えば、複合前駆体のエトキシドをブトキシドあるいは
プロポキシド化することにより、粒子調製のため水を加
えた際、複合前駆体の加水分解速度が低下し、緩慢に加
水分解するものと思われる。さらに、同加水分解時、例
えばメタノールあるいはエタノール中で反応が進行する
ため加水分解生成物が、溶媒の高い溶解度のため過飽和
に容易には達し難く、比較的少数の粒子核が生成し、さ
らに粒子が成長してゆくものと考えられる。その結果、
コロイド状ゾル化することなく比較的緻密な充填性に優
れた粒子が得られたものと考えられる。
一方、本発明でみいだされた処理を行わず直接加水分解
した場合には、水を加えた際に容易に加水分解生成物が
過飽和に達し、多数の粒子核が急激発生し、それらの粒
子核が衝突凝集により成長し、その結果コロイド状ゾル
化あるいは極めて多孔質のゲル状沈澱粒子となるものと
考えられる。
〔実施例〕
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 テトラエトキシシラン52.1gをエタノール125mlに溶かし
た後、1NHCl2.5mlと水2.9mlを氷冷下で加え部分加水分
解した後、エタノール100mlに懸濁したトリ‐sec-ブト
キシドアルミニウム49.3gを加え還流し、さらに金属マ
グネシウム2.4gを加え更に還流を行い、得られた溶液を
減圧濃縮し溶媒を除去し複合前駆体を得た。
この複合前駆体をプロパノール約200gに溶解させ3時間
還流後、減圧溶媒除去し、さらにプロパノールを約150g
加え3時間還流後、減圧溶媒除去した。
この前駆体をエタノール240gに溶解し、さらにエタノー
ル300gと1Nのアンモニア水(pH11.7)522gの混合溶液を
加え粒子を生成させ24時間放置した。得られた沈澱粒子
をメタノールで洗浄し、さらに過酸化水素水を添加した
水を約200g加え洗浄後乾燥し、粒径約0.4μmの粉末を
得た。
実施例2 テトラエトキシシラン41.7gをエタノール100mlに溶かし
た後、1NHCl2.5mlと水4.7mlを氷冷下で加え部分加水分
解した後、エタノール100mlに懸濁したトリ‐sec-ブト
キシドアルミニウム49.3gを加え還流し、さらに金属カ
ルシウム4.0gを加え更に還流を行い、得られた溶液を減
圧濃縮し溶媒を除去し複合前駆体を得た。
この複合前駆体をブタノール約200gに溶解させ3時間還
流後、減圧溶媒除去し、さらにブタノールを約200g加え
3時間還流後、減圧溶媒除去した。
この前駆体をメタノール500gに溶解し、さらにメタノー
ル750gと1Nのアンモニア水(pH11.7)522gの混合溶液を
加え粒子を生成させ24時間放置した。得られた沈澱粒子
をメタノールで洗浄し、さらに過酸化水素水を添加した
水を約200g加え洗浄後乾燥し、粒径約0.4μmの粉末を
得た。
比較例1 テトラエトキシシラン52.1gをエタノール125mlに溶かし
た後、1NHCl2.5mlと水2.9mlを氷冷下で加え部分加水分
解した後、エタノール100mlに懸濁したトリ‐sec-ブト
キシドアルミニウム49.3gを加え還流し、さらに金属マ
グネシウム2.4gを加え更に還流を行い、複合前駆体溶液
を得た。
この溶液にエタノール750gと1Nのアンモニア水522gの混
合溶液を加えたところ、粒子は沈澱せずコロイド状ゾル
となり48時間放置したところゲル化した。
比較例2 実施例1と同様な方法で複合前駆体を調製した。この複
合前駆体にそれぞれa)メタノール、b)エタノール、
c)プロパノール、d)ブタノールを約200g加え溶解さ
せ3時間還流後、減圧溶媒除去し、さらにそれぞれ同一
のアルコールを約200g加え3時間還流後、減圧溶媒除去
した。(それぞれ前駆体a、前駆体b、前駆体c、前駆
体dとする。) それぞれ得られた複合前駆体を希釈溶媒のメタノール、
エタノール、プロパノール、またはブタノール500gに溶
解し、さらに各同一溶媒750gと1Nのアンモニア(pH11.
7)水522gの混合溶液を加え4日間放置した。得られた
生成物の形態を表に示す。
〔発明の効果〕 本発明によれば、高純度且つ均質で良好な粉末形状を持
ったシリカ多成分系粉末を得ることができ、これらの粉
末は低温で焼結可能であり、その得られる焼結体は微細
で緻密な組織及び優れた表面平滑性を持ち、また良好な
電気特性を示し電子材料に適したものである。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルコキシ基を有し且つ珪素原子およびそ
    れ以外の1種以上の金属原子を含むシリカ多成分系複合
    前駆体を形成し、該複合前駆体を3以上の炭素数(N)
    を有するアルコールで還流反応させ、該アルコキシ基と
    該アルコールのアルコキシ基とを置換反応せしめた後、
    2個以下の炭素数を有するアルコールに溶解し、水を加
    え加水分解し粉末を沈澱させることを特徴とするシリカ
    多成分系粉末物の合成方法。
  2. 【請求項2】前記Nが3又は4である請求項1記載のシ
    リカ多成分系粉末物の合成方法。
  3. 【請求項3】上記シリカ多成分系粉末がアルミノ珪酸塩
    粉末あるいはアルカリ土類−アルミノ珪酸塩粉末である
    ことを特徴とする請求項1または2記載のシリカ多成分
    系粉末物の合成方法。
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