JPH0751857B2 - 制震構造物 - Google Patents

制震構造物

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JPH0751857B2
JPH0751857B2 JP3086391A JP3086391A JPH0751857B2 JP H0751857 B2 JPH0751857 B2 JP H0751857B2 JP 3086391 A JP3086391 A JP 3086391A JP 3086391 A JP3086391 A JP 3086391A JP H0751857 B2 JPH0751857 B2 JP H0751857B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は地震や風等の振動外力に
対する応答を低減するための制震システムを設けた制震
構造物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】出願人は構造物の柱梁架構内に、ブレー
スや壁等の形で可変剛性要素(耐震要素)を組み込み、
可変剛性要素自体の剛性、あるいは架構本体と可変剛性
要素との連結状態を可変とし、地震や風等の振動外力に
対し、その特性をコンピューターにより解析して、非共
振となるよう構造物の剛性を変化させて構造物の安全を
図る能動型制震システム、可変剛性構造等を種々開発し
ている(例えば特開昭62−268479号、特開昭6
3−114770号、特開昭63−114771号
等)。
【0003】また、装置の減衰係数を可変とした油圧式
の制震装置を用い、構造物の非共振性や減衰性を考慮し
た種々の能動型制震システムを提案している(例えば特
開平2−209568〜71号等)。
【0004】さらに、これらの能動型制震システムに利
用可能な制震装置として、例えば特願平2−37992
号のシリンダーロック装置や、特開平2−289769
号の制震構造物用可変減衰装置等がある。
【0005】上記シリンダーロック装置の基本原理は、
シリンダー本体内の両ロッド形ピストンの両側に油圧室
を設け、両油圧室内の圧油を切換弁により閉止し、また
は流動させることにより、前記ピストンを固定し、また
は移動自在とするものである。
【0006】シリンダーロック装置を能動型制震システ
ムに用いる場合には、構造物の柱梁架構内に可変剛性要
素を設け、柱梁架構と前記可変剛性要素(または可変剛
性要素どうし)の一方にシリンダー本体を連結し、他方
にロッドを連結する。切換弁を全開した状態では実質的
に圧油の移動が自由であり、シリンダーロック装置の減
衰係数は最小値cmin をとる。このとき、柱梁架構と可
変剛性要素の相対移動も実質的に自由である。切換弁を
閉止した状態では実質的に圧油の移動がなく(必ずしも
完全に閉止する必要はない)、シリンダーロック装置の
減衰係数は最大値cmax をとる。このとき、柱梁架構と
可変剛性要素は実質的に固定された状態または固定に近
い状態となる。また、上記可変減衰装置はシリンダーロ
ック装置における切換弁の開度を調整し得るようにした
もので、装置の減衰係数を多段階または無段階に変化さ
せることができる。
【0007】この他の能動型制震システムとしては、建
物に対し相対移動可能な重りを設け、建物と重りとの間
に介在させた油圧式のアクチュエーター等で重りの振動
を制御し、建物の応答を低減する能動型動吸振器を用い
た制震システムがある(例えば特開平1−275866
〜69号等)。
【0008】さらに、特開昭63−297673号公報
には受動型の動吸振器において、動吸振器の重りとして
建物本体上の置き屋根を利用したものが記載されてい
る。
【0009】この他、出願人は特願平2−280712
号において、高い減衰係数を有する高減衰装置の減衰係
数を構造物の固有振動モードに応じた所定の減衰係数に
設定し、受動的な制震を実現する高減衰構造物を提案し
ている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、比較的周期が
長く定常的に作用する風と、非定常振動であり比較的周
期の短い振動成分を有する地震とでは、構造物の応答も
大きく異なり、両者を単一の制震システムで制御するの
は困難な場合があり、応答低減に関する効率が悪く、コ
ストの面でも不経済となることが考えられる。
【0011】そこで、本発明では構造物にかかる振動外
力の内、風に対しては主として構造物の最上層の制震シ
ステムで対処し、地震に対しては主として下層部に設け
た制震システムで対処するよう構成することにより、風
および地震に対し効率良く対処可能な制震システムを提
供することも目的としたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の制震構造物は構
造物の上層部に主として風揺れに対処させるための上部
制震システムを設け、下層部に主として地震に対処させ
るための下部制震システムを設け、それぞれのシステム
の特性に応じた効率の良い制震を図ったものである。
【0013】上部制震システムは、構造物の最上層(屋
上階またはペントハウス階等も含む)の重量を能動型動
吸振器の重りと見立て、それ以下の層に対する前記最上
層の動きを制御することにより、振動外力に対する構造
物の応答を低減するものである。
【0014】最上層の重量を重りとして利用するため、
例えば最上層をそれ以下の層の柱頭に対しピン支持した
り、あるいは最上層を免震ゴム、あるいはテフロン等摩
擦係数の小さい材料を用いた免震支承等で支持し、最上
層がそれ以下の層に対して水平方向に変位しやすい状態
とする。
【0015】最上層の動きを制御する手段としては、前
記最上層とそれ以下の層との間を、例えば従来の技術の
項で述べたような減衰係数を可変とした可変減衰装置を
介して水平方向に連結し、センサー等によって得られる
構造物の応答あるいは入力地震動等に基づいて、コンピ
ューター等を介して可変減衰装置を制御することができ
る。
【0016】また、以上は主として水平方向の応答を低
減する場合であるが、例えば通常の積層ゴム形式の免震
ゴムに加え、鉛直方向に所定の弾性を与えるための空気
バネ等のバネ手段を併用し、可変減衰装置を鉛直方向に
も配置することにより、構造物の上下方向の応答や曲げ
変形の形での応答も低減することができる。また、免震
ゴムとして積層ゴム間の鋼板の枚数が少なく、鉛直方向
の弾性を大きくしたもの等を用いることもできる。
【0017】下部制震システムは柱梁架構内に設けたブ
レース、壁等の耐震要素と柱梁架構との間、あるいは耐
震要素間に制震装置を設けたものである。
【0018】下部制震システムは能動型の場合と受動型
の場合が考えられる。
【0019】能動型の場合にはセンサーによって得られ
る構造物の応答あるいは地動等の情報を基に、連結状態
等を変化させることにより、構造物の応答を低減させ
る。能動型の制震システムに用いられる制震装置として
は従来の技術の項で述べたシリンダーロック装置や可変
減衰装置を用いることができる。
【0020】受動型の場合には柱梁架構内に制震装置と
して、従来の技術の項で述べたような所定の高減衰係数
を有し、前記構造物の減衰性を高める高減衰装置を設置
し、構造物の応答を低減させることができる。
【0021】
【作用】本発明では構造物の風揺れに対しては、比較的
周期が長く定常的な振動であるという風の振動特性を考
慮して、最上層の能動型動吸振器(上部制震システム)
により効果的に対処することができる。特に、本発明で
は最上層の重量を重りと見立てることにより、小さなス
トロークでも大きな制震効果を得ることができる。
【0022】また、地震に対しては、非定常振動であ
り、比較的周期の短い振動成分が多いという地震の振動
特性を考慮して、各次振動モードの節となる下層部の柱
梁架構内に可変減衰装置、あるいは高減衰装置等の制震
装置を設置し、能動型または受動型の下部制震システム
により構造物の応答を低減することができる。
【0023】なお、地震に対しては基本的に下部制震シ
ステムにより対処するが、その状態でも上層部に生じた
応答については上部制震システムにより低減を図ること
ができる。
【0024】
【実施例】以下、図示した実施例について説明する。
【0025】図1は本発明を23階建ての高層建物に適
用した場合の概要を示したもので、建物頂部に上部制震
システムAを設け、建物下部(図の例では1〜3階)に
下部制震システムBを設けることにより、制震構造物を
構成している。
【0026】上部制震システムAは最上層の重量を重り
と見立てて、可変減衰装置1aをアクチュエータとして
能動型動吸振器を構成したものである。上部制震システ
ムAにおいては、最上層をそれ以下の層に対して水平方
向に変位しやすい状態に支持し、風等による建物の応答
に応じて可変減衰装置1aの減衰係数を変化させること
により、最上層の動きを制御し、建物の応答を低減させ
ることができる。
【0027】下部制震システムBは下層部の柱梁架構3
1内に耐震要素(逆V字形ブレース35)と柱梁架構3
1を連結する可変減衰装置1b等を設けたもので、能動
型の場合と受動型の場合とがある。受動型の場合には可
変減衰装置1b等の代わりに高減衰装置等が用いられ
る。この下部制震システムBは主として地震等による建
物の応答を低減させることを目的としている。
【0028】図2は上部制震システムAに関する一実施
例における最上層の支持方法および可変減衰装置1aの
配置を示したものである。図中、33は柱、34は梁、
35は逆V字形ブレース、24は屋上階(重量に置き換
えて示してある)、25はペントハウス階である。
【0029】図2の実施例では23階建ての高層建物の
最上階(23階)の柱頭をピン26接合とし、屋上階2
4とペントハウス階25とからなる最上層がそれ以下の
階に対して揺れやすい構造としている。なお、好ましく
は最上層のみの固有周期をそれ以下の層の固有周期と一
致させるとよい。最上層と下階(23階)の耐震要素で
ある逆V字形ブレース35との間には制震装置1として
の可変減衰装置1aが取り付けられており、可変減衰装
置1aの減衰係数をコンピューター等で制御することに
より、能動型動吸振器として地震等の振動外力に対する
建物の応答を低減することができる。
【0030】すなわち、屋上階24の重量MR と、ペン
トハウス階25の重量MP が能動型動吸振器の重りとし
て機能し、可変減衰装置1aが能動型動吸振器のアクチ
ュエーターとして機能する。
【0031】図3の実施例では最上層の重量を免震ゴム
27により支持し、重りの水平変位が最上層の層間変位
に無関係に増加させられるようにする。これにより、最
上階と屋上階24との間の層間変位を増大させることな
く、重りの固有周期を下部構造物の固有周期に一致させ
やすくなる。
【0032】図4および図5の実施例では最上層の重量
を支持する装置として建物内側には免震ゴム27を用
い、建物外側には空気バネ28を使用している。これに
加え、外周柱に制震装置としての可変減衰装置1a’を
鉛直方向に設置して、最上層の重量を構造物の上下応答
または曲げ変形に対して制御し、それらの応答を低減す
ることができる。
【0033】図6〜図10は上部制震システムに使用す
る制震装置1としての可変減衰装置の一例を示したもの
で、装置本体は図6の油圧回路図に示すように、シリン
ダー2内で往復動する両ロッド形式のピストン3の左右
に油圧室6を設け、この左右の油圧室6内の圧油を弁に
より閉止し、または流動させることにより、ピストン3
を固定し、または左右移動自在とする構成になってい
る。
【0034】そして、シリンダー2およびロッド4の一
方が構造物の最上層に連結され、他方が下層の柱梁架構
または耐震要素に連結される。
【0035】左右の油圧室6には、それぞれ油圧室6の
圧油の流出を阻止する流出阻止用チェック弁8および油
圧室6への圧油の流入を阻止する流入阻止用チェック弁
9が設けられ、左右の流出阻止用チェック弁8どうしを
連結する流入用流路10と、左右の流入阻止用チェック
弁9どうしを連結する流出用流路11とが、シリンダー
2本体に沿って設けられている。
【0036】これら流入用流路10および流出用流路1
1の連結位置には流量調整弁12が設けられており、こ
の流量調整弁12の開度を変化させることにより、可変
減衰装置1の減衰係数cを調整することができる。
【0037】流量調整弁12は、図6に示すように、弁
体の一端側に入口ポート15と出口ポート16を有し、
他端側に背圧ポート17を有する大流量切換弁12a
と、背圧ポート17への圧油の流出を制御し得るシャッ
トオフ弁12bとからなる。コンピューター14からの
指令を受けて、シャットオフ弁12bが開閉し、これに
伴って大流量切換弁12aが作動し、大流量切換弁12
aの開度およびその開度に応じた装置の減衰係数が調整
制御される。
【0038】この可変減衰装置は、概念的には図7のよ
うに簡略化して考えることができ、例えば流量調整弁1
2を完全に閉じたロック状態と、流量調整弁12を完全
に開いたフリー状態だけを制御すれば、架構本体の剛性
を変化させる可変剛性装置となるものであるが、流量調
整弁12の開度を調整し、完全なロック状態と完全なフ
リー状態の間で連結状態を微妙に調整することにより、
種々の減衰係数cを与え、最上層と下層との間の連結状
態を変化させ、最上層の動きを制御することができる。
【0039】シャットオフ弁12bとしては例えばパル
ス幅変調制御されるPWM弁や、電流値に比例した開度
が与えられる電磁比例弁等が用いられる。
【0040】シャットオフ弁12bが電磁比例弁の場合
には、コンピューター14の制御信号により、電磁比例
弁の開度すなわち、大流量切換弁12aの背圧がアナロ
グ的に制御され、その時の背圧に応じて大流量切換弁1
2aの開度が調整され、その状態における減衰係数cが
与えられる。
【0041】なお、流入用流路10または流出用流路1
1には、作動油の圧縮および温度変化による容積変化を
補う等の目的で、アキュムレーター19を設けている。
【0042】上述した可変減衰装置の作動状態について
説明すると、以下のようになる。
【0043】 流量調整弁開 シャットオフ弁12bが開状態では、図6中ピストン3
の左方向の移動により、左側の油圧室6内の圧油が流入
阻止用チェック弁9、流出用流路11を通って大流量切
換弁12aを押し上げる。
【0044】左側の流出阻止用チェック弁8および右側
の流入阻止用チェック弁9は圧油により閉止されている
ため、流入用流路10、右側の流出阻止用チェック弁8
を介して、大流量切換弁12aからの圧油が流れる。こ
れにより、左側の油圧室6から右側の油圧室6へ圧油が
流れ、外力によりピストン3が左方向に移動する。
【0045】ピストン3が右方向の移動した場合も、こ
れと対称に作動し、外力によりピストン3が左方向に移
動する。
【0046】 流量調整弁閉 シャットオフ弁12bが閉状態で、ピストン3に左方向
の外力が加わると、大流量切換弁12aまでの油圧が上
がり、大流量切換弁12aの弁体を押し上げようとする
が、シャットオフ弁12bにより、バイパス流路18が
遮断され、背圧ポート17における油圧を受けるため、
大流量切換弁12aも閉じた状態で固定され、ピストン
3の移動が阻止される。ピストン3に右方向の外力が加
わった場合も同様である。
【0047】 流量調整弁半開 シャットオフ弁12bをパルス制御したり、あるいはシ
ャットオフ弁12bとして電磁比例弁を用いることによ
り、上記、の中間の状態が得られ、大流量切換弁1
2aが半開の状態となる。この半開の状態ではの流量
調整弁が開の状態と同様圧油の移動があるが、背圧に応
じた抵抗力を受けることになり、シャットオフ弁12b
の制御により背圧を調整し、大流量切換弁12aの開度
を所定の開度に維持または変化させることにより、ピス
トン3に作用する外力に対し、減衰性を与えることがで
きる。
【0048】図8〜図10は上述した制震装置1として
の可変減衰装置の外観の一例を示したもので、シリンダ
ー2本体より左右にピストンロッド4が突出し、油路の
一部をシリンダー2本体の上部に形成し、この部分に流
量調整弁12を設けるとともに、これに近接させて所要
容量のアキュムレーター19を設置している。図中、2
2は構造物内に据え付けるための支軸である。また、こ
の例では流量調整弁12やアキュムレーター19を装置
の上部に設けているが、設置スペースに応じて装置の側
部に設ける場合もある。
【0049】可変減衰装置は対象となる構造物の規模や
設置位置、数等に応じ、種々設計されるが、一例として
は、例えば最大荷重100tf、定格圧力315kgf/cm
2 、ストローク±50mm(一層の架構の水平変位を±5
cm以下として設計) となる。
【0050】下部制震システムについても能動型の制震
システムとする場合には、上述した図6〜図10の可変
減衰装置と同様の制震装置1を用いることができ、例え
ば後述する図12〜図19のような形で柱梁架構内に設
置される。
【0051】また、下部制震システムは受動型の制震シ
ステムでもよく、図11は受動型の制震システムに適用
した場合の実施例における制震装置51を示したもので
ある。
【0052】この受動型の制震装置51は、例えば保持
力200t、減衰係数25〜50t/kineを実現する高減
衰装置であり、配置は能動型の制震装置と同様に考える
ことができる。この場合、制御そのものにはセンサー等
を必要としない。
【0053】制震装置51としての高減衰装置の基本構
造は、図7に示した能動型の制震装置1と同様であり、
図11に示すように、シリンダー52内に両ロッド形式
のピストン53が組み込まれている。ただし、ロッド5
4は一方向のみシリンダー52から突出し、その突出部
分および反対側のシリンダー52の外面に、耐震要素ま
たは柱梁架構と連結するための取付部55を設けてい
る。
【0054】高減衰、高剛性を確保するための条件とし
ては、まずピストン53移動方向と反対側の油圧室56
を負圧としないことが必要で、そのためピストン53に
調圧弁57,58を設け、移動油量が直接的に反対側の
油圧室56へ流れる構造としている。また、作動中の油
の圧縮を考慮して不足油量を補償する必要があるので、
補給用のアキュムレーター59が必要となり、回路60
にはチェック弁61,62を設けている。さらに停止す
ると、油が元の状態に戻る(膨張)ので、補償された油
をアキュムレーター59に戻す必要があり、チェック弁
61,62と並列にオリフィス(絞り)63,64を設
けている。
【0055】この他、本装置の特徴をまとめると以下の
通りである。
【0056】 外部への油漏れ防止および高減衰を得
るためのシール性を確保する目的で、調圧弁57,58
がピストン53内に設置されている。
【0057】 調圧弁57,58として、円錐形のポ
ペット弁を使用し、流体抵抗を乱流状態として、温度に
依存しない減衰特性を実現している。
【0058】 ガタの防止および温度変化による油の
伸縮に対応するため、アキュムレーター59を設けてい
る。
【0059】 左右の油圧室56とアキュムレーター
59の間にオリフィス63,64を設け、装置の減衰特
性を線形化するとともに、シリンダー52内の圧ごもり
を解消している。
【0060】 各部のシール性、精度を増すことによ
り、高い減衰係数の実現を可能としている。
【0061】上記の構造により、ガタがなく、温度変化
に影響を受けない状態で、保持力200t、減衰係数2
5〜50t/kineといった高剛性、高減衰の装置を
得ることができる。
【0062】図12〜図19図は下部制震システムにお
ける柱梁架構内への制震装置1(受動型の場合は制震装
置51)の設置例を示したものである。
【0063】図12の例では柱梁架構31と可変剛性要
素としての逆V型ブレース35の間に制震装置1を介在
させている。
【0064】図13の例は柱梁架構31と上下の梁34
より立設した、または垂下させたフレーム41どうしの
間に制震装置1を介在させて、可変剛性要素としてのモ
ーメント抵抗フレームを構成した場合である。
【0065】図14の例では柱梁架構31と可変剛性要
素としてのRC耐震壁42との間に制震装置1を介在さ
せている。
【0066】図15の例は免震構造物の基部に積層ゴム
等の免震ゴム43と併用して制震装置1を設けた場合の
例であり、制震装置1が免震構造におけるダンパの役割
を果たしている。この場合の可変剛性要素は構造物の基
礎と考えることができる。
【0067】図16の例では柱梁架構31内に設けたX
型ブレース44を可変剛性要素としており、X型の中央
に制震装置1を横向きに介在させている。
【0068】図17の例は図16の例と同様、X型ブレ
ース45に適用した例であり、図16の例が制震装置1
を横向きに設けた横型だったのに対し、本例では制震装
置1を縦向きに設け、縦型としている。
【0069】図18の例は図14の例と同様に、柱梁架
構31と可変剛性要素としてのRC耐震壁46との間に
制震装置1を介在させたものであるが、制震装置1を出
入口等の開口部47の上方に設けた場合である。
【0070】図19の例は大架構のX型ブレース48の
中央に制震装置1を介在させたもので、中間の大梁49
とブレース48は分離されている。
【0071】
【発明の効果】 風揺れに対しては主に最上層の重量
を用いた上部制震システムにより対応し、地震に対して
は主に下層階に設けた下部制震システムにより対応する
よう制御システムを構成することで、外乱に応じた効果
的な制震が可能となる。
【0072】 また、地震に対しては基本的に下層階
の下部制震システムで対応するが、その状態でも上層階
に生じた応答は、上部制震システムにより低減を図るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の制震構造物としての建物全体を示す概
要図である。
【図2】本発明の一実施例における上部制震システムの
最上層の支持方法および可変減衰装置の配置を示す概要
図である。
【図3】他の実施例における上部制震システムの最上層
の支持方法および可変減衰装置の配置を示す概要図であ
る。
【図4】さらに他の実施例における上部制震システムの
最上層の支持方法および可変減衰装置の配置を示す概要
図である。
【図5】図4の実施例に対応する支承および可変減衰装
置の平面配置を示す概要図である。
【図6】本発明で使用する可変減衰装置の一例を示す油
圧回路図である。
【図7】上記可変減衰装置の概念図である。
【図8】上記可変減衰装置の外観を示す平面図である。
【図9】上記可変減衰装置の外観を示す正面図である。
【図10】上記可変減衰装置の外観を示す右側面図であ
る。
【図11】受動型制震装置としての高減衰装置の一例を
示す概要図である。
【図12】下部制震システムの制震装置の柱梁架構内へ
の設置例を示す正面図である。
【図13】下部制震システムの制震装置の柱梁架構内へ
の設置例を示す正面図である。
【図14】下部制震システムの制震装置の柱梁架構内へ
の設置例を示す正面図である。
【図15】下部制震システムの制震装置の柱梁架構内へ
の設置例を示す正面図である。
【図16】下部制震システムの制震装置の柱梁架構内へ
の設置例を示す正面図である。
【図17】下部制震システムの制震装置の柱梁架構内へ
の設置例を示す正面図である。
【図18】下部制震システムの制震装置の柱梁架構内へ
の設置例を示す正面図である。
【図19】下部制震システムの制震装置の柱梁架構内へ
の設置例を示す正面図である。
【符号の説明】
A…上部制震システム、B…下部制震システム、1…制
震装置、1a,1b…可変減衰装置、2…シリンダー、
3…ピストン、4…ピストンロッド、6…油圧室、8…
流出阻止用チェック弁、9…流入阻止用チェック弁、1
0…流入用流路、11…流出用流路、12…流量調整
弁、12a…大流量切換弁、12b…シャットオフ弁、
13…パルス発生器、14…コンピューター、15…入
口ポート、16…出口ポート、17…背圧ポート、18
…バイパス流路、19…アキュムレーター、20…ソレ
ノイド、21…絞り、22…支軸、24…屋上階、25
…ペントハウス階、26…ピン、27…免震ゴム、28
…空気バネ、31…柱梁架構、33…柱、34…梁、3
5…ブレース、51…高減衰装置、52…シリンダー、
53…ピストン、54…ピストンロッド、55…取付
部、56…油圧室、57,58…調圧弁、59…アキュ
ムレーター、60…回路、61,62…チェック弁、6
3,64…オリフィス
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16F 15/02 K 9138−3J (72)発明者 小笠原 桂 東京都調布市飛田給二丁目19番1号 鹿島 建設株式会社技術研究所内 (72)発明者 倉田 成人 東京都港区元赤坂1丁目2番7号 鹿島建 設株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−46551(JP,A) 特開 平2−157368(JP,A) 特開 平4−64743(JP,A)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上層部に最上層の重量を能動型動吸振器
    の重りと見立て、前記最上層をそれ以下の層に対して水
    平方向に変位しやすい状態に支持するとともに、前記最
    上層とそれ以下の層との間を減衰係数を可変とした可変
    減衰装置を介して水平方向に連結し、前記可変減衰装置
    の減衰係数を変化させ、前記最上層の動きを制御する上
    部制震システムを設け、下層部に柱梁架構と該柱梁架構
    内に設けた可変剛性要素間、または柱梁架構内に設けた
    可変剛性要素どうしを制震装置を介して連結する下部制
    震システムを設けたことを特徴とする制震構造物。
  2. 【請求項2】 前記最上層をピン支持している請求項1
    記載の制震構造物。
  3. 【請求項3】 前記最上層を免震ゴムにより支持してい
    る請求項1記載の制震構造物。
  4. 【請求項4】 前記制震装置は減衰係数を可変とした可
    変減衰装置である請求項1、2または3記載の制震構造
    物。
  5. 【請求項5】 前記制震装置は所定の高減衰係数を有
    し、前記構造物の減衰性を高める高減衰装置である請求
    項1、2または3記載の制震構造物。
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