JPH0751853A - アーク溶接機およびプラズマ切断機 - Google Patents

アーク溶接機およびプラズマ切断機

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JPH0751853A
JPH0751853A JP20091493A JP20091493A JPH0751853A JP H0751853 A JPH0751853 A JP H0751853A JP 20091493 A JP20091493 A JP 20091493A JP 20091493 A JP20091493 A JP 20091493A JP H0751853 A JPH0751853 A JP H0751853A
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arc
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Seigo Hagiwara
清吾 萩原
Torafumi Takemoto
虎文 竹元
Kazuo Kimoto
一夫 木元
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アーク溶接機およびプラズマ切断機におい
て、人体への危険を招くことなく、アーク起動時の雑音
輻射を低減するとともに、2次側溶接ケーブルの延長に
よるアーク起動性能の低下を防止する。 【構成】 電極4と母材3の間に電力を供給する第1の
電源装置1aと、第1の電源装置1aの出力回路に接続
され電極4と母材3との間に高電圧を印加するフの字型
の出力特性を持つ第2の電源装置11とを備え、アーク
起動時には第2の電源装置11から電極4と母材3との
間に直流の高電圧を印加し、第1の電源装置1aが供給
する電力によるアーク発生後には、第2の電源装置11
からの高電圧の印加を停止し、第1の電源装置1aから
電力を供給する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電極と母材との間に非接
触でアークを発生させるアーク溶接機およびプラズマ切
断機であって、電波障害を低減し、かつ長尺の溶接ケー
ブル使用時のアーク起動特性を飛躍的に向上させたアー
ク溶接機およびプラズマ切断機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、非消耗電極アーク溶接機およびプ
ラズマ切断機においては、アーク起動時には、電極と母
材との間に高周波電圧を印加することにより、電極と母
材との間の空間の絶縁を破壊し、コロナ放電を引き起こ
して非接触でアーク起動を行なうことが行なわれてい
た。
【0003】以下、この種の溶接機およびプラズマ切断
機について図12を参照しながら説明する。図12にお
いて1aは電源装置、2はアーク、3は母材、4は電
極、5はアーク発生検出器、6は起動スイッチ、7は後
述の高周波発生装置をON−OFFする接点、8はカッ
プリングコイルで9は高周波発生装置を示している。
【0004】このように構成された図12に示す非消耗
電極アーク溶接機およびプラズマ切断機において、起動
スイッチ6が押されると、まず接点7が閉じ高周波発生
装置9が動作し、カップリングコイル8に高周波電圧が
印加される。このカップリングコイル8への高周波電圧
の印加により第1の電源装置1aから、電極4と母材3
との間に電力を供給する電力回路に高周波電圧が重畳さ
れる。前述のように、電極4と母材3との間に高周波電
圧を印加することにより、電極4と母材3との間の空間
の絶縁が破壊され、コロナ放電が起こって非接触で放電
が開始され、第1の電源装置1からの電力供給によりア
ーク2が発生する。電極4と母材3との間でアーク放電
が開始されると、アーク発生検出器5が動作し、アーク
発生検出器5の信号により接点7が開き、高周波発生装
置9の動作が停止される。
【0005】一方、図13に示す消耗電極アーク溶接機
の場合には、起動スイッチ6を押すことにより第1の電
源装置1dが起動し、同時に消耗電極4aが消耗電極送
給ローラによって駆動され送給が開始される。消耗電極
4aと母材3との間に無負荷電圧が印加されているの
で、消耗電極4aが母材3に接触すると、消耗電極4a
の先端がジュール熱で溶融し、アーク2が発生し溶接が
行なわれる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の非消耗
電極アーク溶接機では、アーク2の起動に高周波電力を
用いるため、図14に示すような高周波電圧が電極と母
材との間に印加される。その時、溶接ケーブル等からは
高周波雑音が輻射され、その輻射雑音の電界強度は図8
の従来例の曲線で示すように約70dBμVにも達し、
周辺のテレビやラジオ、あるいは通信機器やエレクトロ
ニクス機器への電波障害を引き起こし、甚だしい場合に
は、それらの機器を故障させることもあった。また、高
周波電力が電極表面を損耗させ、アーク起動特性を損ね
るという問題もあった。
【0007】さらに、基本周波数が約1MHzの高周波
であるため、2次側の溶接ケーブルで高周波が漏洩する
ため、溶接ケーブルで高周波電力が減衰し、高周波電力
が溶接トーチ先端まで到達せず、図9の従来例の曲線が
示すように2次ケーブル長が50mを越えると、アーク
が全く起動しない等、種々の問題が生じていた。一方、
消耗電極アーク溶接の場合には、溶接起動時の溶接電流
の立ち上がり速度を高める努力により、瞬時アークスタ
ート率は約90%にまで達しているが、FA化に伴う溶
接作業の無人化のために、瞬時アークスタート率100
%を達成することが強く求められている。また、消耗電
極アーク溶接の場合には、溶接終了時に消耗電極先端に
付着するスラグ(絶縁物)が、溶接開始時にアークの起
動に与える影響を避けることが困難であり、図9の従来
例の曲線が示す瞬時アークスタート率が限界となってい
た。
【0008】これらの種々の問題を解決するため、特願
平4−333370号明細書によって図15に示す出力
特性の第2の電源装置を採用することが提案されてい
る。すなわち、従来の出力特性を有する第1の電源装置
の出力に、無負荷電圧が数kV(特願平4−33337
0号明細書の開示例では約4kV)で高インピーダンス
の垂下特性を有する第2の電源装置の出力を並列に接続
するもので、第2の電源装置の高電圧により、電極と母
材との間の空間の絶縁を破壊して、溶接アークに移行さ
せようとするもので、上記の高周波電力重畳によるアー
ク起動が有する種々の問題点、即ち高周波障害、長尺ケ
ーブルを使用するために発生する高周波電力の減衰、高
周波電力による電極表面の損耗等の問題をすべて解消
し、良好なアーク起動を可能にしている。また、消耗電
極を用いたアーク溶接機における消耗電極先端に付着す
るスラグの影響を受けることもない。
【0009】しかしながら、特願平4−333370号
明細書によって開示された手段によれば、第2の電源に
無負荷電圧が数kVという高電圧を用いており、かつ電
極と母材との間を人体による短絡が起こった場合、負荷
側のインピーダンスの低下とともに電流が増加する垂下
特性を有しているため、感電により人体に危険を及ぼす
という重大な問題をも併せ持つものであった。
【0010】本発明は、これらの諸問題を解決しようと
するもので、高周波電力重畳によるアーク起動が有する
種々の問題点、すなわち高周波障害、長尺ケーブルを使
用するために発生する高周波電力の減衰、高周波電力に
よる電極表面の損耗、消耗電極を用いたアーク溶接機に
おける消耗電極先端に付着するスラグの影響等の問題を
すべて解決し、さらに電極と母材との間を人体による橋
絡が起こった場合にも、人命に係わるような危険な電流
を人体に流すことのない、安全なアーク溶接機およびプ
ラズマ切断機を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のアーク溶接機およびプラズマ切断機は、
電極と母材の間に電力を供給する第1の電源装置と、第
1の電源装置の出力回路に接続され電極と母材との間に
高電圧を印加するフの字型の出力特性を持つ第2の電源
装置とを備え、アーク起動時には第2の電源装置から電
極と母材との間に直流の高電圧を印加し、第1の電源装
置が供給する電力によるアーク発生後には第2の電源装
置からの高電圧の印加を停止し、第1の電源装置から電
力を供給するように構成したものである。
【0012】
【作用】上記手段によれば、アーク溶接またはプラズマ
切断を開始するとき、電極と母材との間に第2の電源装
置による高い直流無負荷電圧が印加されるので、電極と
母材との間の空間の絶縁が破壊されコロナ放電が生じ、
第1の電源装置が供給する電力によるアークに容易に移
行することができる。したがって、高周波を使用しない
ので、高周波を用いることによって発生していたすべて
の問題、すなわち高周波障害、長尺ケーブルを使用した
場合に発生する高周波電力の減衰、高周波電力による電
極表面の損耗の発生等の問題が解決され、また消耗電極
を用いたアーク溶接機における消耗電極先端に付着する
スラグの影響等の問題も解決される。さらに、本発明に
おいては、第2の電源装置としてフの字型の出力特性の
電源装置を採用しているので、電極と母材との間を人体
による橋絡が起こった場合にも、電極と母材との間のイ
ンピーダンスの低下に伴い、第2の電源装置の出力は電
圧が低下するとともに電流も減少するので、人命に係わ
るような危険を伴うことはない。
【0013】
【実施例】以下、図面を参照しながら、本発明の実施例
について説明する。
【0014】図1は非消耗電極アーク溶接機またはプラ
ズマ切断機の主回路構成の第1の実施例を示すもので、
第1の電源装置が直流電源の場合を示す。図1におい
て、図12と同一の符号は、同一の構成部品または同一
の構成部位を示しているので、重複した説明は省略す
る。
【0015】図1に示す回路構成が図12と異なる点
は、図12におけるカップリングコイル8と高周波発生
装置9の代わりにフの字型の出力特性を有する第2の電
源装置11を備え、かつ第1の電源装置1aのプラス側
出力端子にアーク発生検出器5とともに直流高電圧阻止
用の整流素子12を接続していることである。
【0016】フの字型の出力特性とは図6および図7に
おいて、第2の電源装置の出力特性として示されている
特性であり、無負荷電圧が数kV(本実施例では約4k
V)と高く出力側のインピーダンスの低下にともなっ
て、あらかじめ定められた電流値(本実施例では約10
mA)以下では、ほぼ無負荷電圧と同じ出力電圧を維持
し、そのあらかじめ定められた電流値に達すると、その
後は出力側のインピーダンスの低下とともに電流値およ
び電圧値がともに低下する特性で、前記あらかじめ定め
られた電流値としては、電極4および母材3間に人体が
接触しても、人命に係わることのない値(本実施例では
10mA)が選ばれている。
【0017】図1に示す主回路構成において、第1の電
源装置1aの出力回路に第2の電源装置11の出力が並
列に接続されており、非消耗電極アーク溶接機またはプ
ラズマ切断機を起動するために、起動スイッチ6を押す
(ONにする)と第2の電源装置11の高電圧出力約4
kVが電極4と母材3との間に印加される。また、同時
に第1の電源装置1aからは定常アーク形成のための直
流電力が電極4と母材3との間に供給される。この時、
第2の電源装置11の第1の母材側接続点と電源装置1
aのプラス側出力端子に、アーク発生検出器5とともに
直流高電圧阻止用の整流素子12を接続しているので、
第1の電源装置1aの出力端子間に高電圧が印加される
ことはない。このようにして、約4kVの高電圧が電極
4と母材3との間に印加されると、電極4と母材3との
間の空間の絶縁が上記高電圧によって破壊され、コロナ
放電が起こってアーク2に移行し、以後定常アークが維
持される。定常アークに移行するとアーク発生検出器5
が動作し、アーク発生検出器5の信号により接点7が開
き第2の電源装置11は動作を停止し、第2の電源装置
11からの電力の供給は停止される。その後、起動スイ
ッチ6を開放する(OFFにする)と第1の電源装置1
aが動作を停止し、第1の電源装置1aからの電力の供
給が停止され、非消耗電極アーク溶接またはプラズマ切
断は停止される。
【0018】この間の各部の時間的関係を図4(a)に
示す。図4(a)に示すように、時刻t1に起動スイッ
チ6がONされると、第2の電源装置11の高電圧電力
が出力され、電極4と母材3との間の空間の絶縁が破壊
されアーク2が発生し、第1の電源装置1aの出力電流
が流れる。若干の時間の遅れの後、時刻t2にアーク発
生検出器5が動作し、アーク発生検出器5の信号により
第2の電源装置11からの出力は停止する。その後、時
刻t3に起動スイッチ6をOFFすると、第1の電源装
置1aの出力は即座に停止しアーク2は消滅する。
【0019】図6(a)に本実施例における動作特性を
示す。まず、アーク2起動時には、フの字特性を有する
第2の電源装置11の高電圧約4kVが電極4と母材3
との間に印加され、アーク2起動後は垂下特性を有する
第1の電源装置1aの設定によって決まる値の電流が流
れ、低いアーク電圧となり、第2の電源装置11の出力
側のインピーダンスが低下するので、フの字特性の斜線
で示された線上の低いアーク電圧に相当する動作点の出
力電圧と電流で動作し、アーク発生検出器5の信号によ
り動作を停止する。
【0020】以上説明したように、本実施例においては
高周波を使用しないので、雑音電界強度は図8に示すよ
うに、従来例に比し約30dBμV低下している。ま
た、図9に示すように、瞬時アークスタート率も従来例
に比し著しく向上し、溶接ケーブル長が50mを越えて
も、溶接ケーブル長に影響されることがなく良好なアー
クスタートが可能となる。さらに、アーク2を起動する
ための第2の電源装置11の電流・電圧特性がフの字型
の特性で、その最大電流値が電極4および母材3間に人
体が接触しても、人命に係わることのない値(本実施例
では10mA)が選ばれているので、感電事故による危
険を避けることができる。
【0021】参考として(表1)に、本実施例に用いた
実験条件を示す。
【0022】
【表1】
【0023】次に、図2(a)に本発明の第2の実施例
について説明する。図2(a)に示す主回路において
は、第1の電源装置1bが起動時のみ逆極性(電極がプ
ラス)で、アーク2発生後アーク発生検出器5が動作す
ることにより、第1の電源装置1bの極性が切り換わり
正極性(電極がマイナス)となるように構成され、かつ
第1の電源装置1bの起動時の極性に合わせて、第2の
電源装置11の極性が電極4側がプラスとなるように接
続されている。さらに、直流高電圧阻止用の整流素子1
2が図1の場合とは逆の方向に接続されており、この直
流高電圧阻止用の整流素子12と並列に単方向制御整流
素子13が接続されている。
【0024】以下、図2(a)に示す主回路の動作を説
明する。図4の(b)にそのタイミングを示すように、
時刻t1に起動スイッチ6がONされると、フの字型出
力特性を有する第2の電源装置11が動作し、約4kV
の高電圧が電極4と母材3との間に印加され、電極4と
母材3との間の空間の絶縁が上記高電圧によって破壊さ
れ、コロナ放電が起こってアーク2に移行し、逆極性の
電流が流れる。このとき単方向制御整流素子13はOF
Fしており、また整流素子12によって直流高電圧は阻
止され、第2の電源装置11の高電圧が、第1の電源装
置1bの出力端子に印加されることはない。時刻t1か
ら若干遅れて、時刻t2にアーク発生検出器5が動作
し、アーク発生検出器5の信号により接点7が開き、第
2の電源装置11の出力が停止するとともに、第1の電
源装置1bの出力の極性が反転し、電極4側がマイナス
の正極性となり、同時に単方向制御整流素子13がON
となり、第1の電源装置1bの母材側出力端子と母材3
との間は完全な導通状態となるが、第2の電源装置11
の出力は停止しているので、第2の電源装置11の高電
圧が、第1の電源装置1bの出力端子に印加されること
はない。次に、時刻t3に起動スイッチ6がOFFする
と、第1の電源装置1aの出力は即座に停止しアーク2
は消滅する。
【0025】なお、本実施例のように起動時にのみ第1
の電源装置1bの極性を、定常アークとは異なる極性と
するのは、逆極性としたほうが、電極が熱陰極となり電
子放射が活発に行なわれ、アーク移行が容易に行なわれ
るからである。
【0026】図2(b)に本発明の第3の実施例を示
す。図2(b)の主回路においては、第1の電源装置1
cの出力が交流である点以外の構成は、図2(a)に示
す第2の実施例と同じで、直流高電圧阻止用の整流素子
12が図1の場合とは逆の方向に接続されており、この
直流高電圧阻止用の整流素子12と並列に一方向制御整
流素子13が接続されていることも図2(a)と同じで
ある。
【0027】以下、図2(b)に示す主回路の動作を説
明する。図4の(c)にそのタイミングを示すように、
時刻t1に起動スイッチ6がONされると、フの字型出
力特性を有する第2の電源装置11が動作し、約4kV
の高電圧が電極4と母材3との間に印加され、電極4と
母材3との間の空間の絶縁が上記高電圧によって破壊さ
れ、コロナ放電が起こってアーク2に移行し、交流の電
流が流れる。最初は一方向制御整流素子13はOFFし
ており、また整流素子12によって直流高電圧は阻止さ
れ、第2の電源装置11の高電圧が、第1の電源装置1
cの出力端子に印加されることはない。時刻t1から若
干遅れてアーク2に移行後、時刻t2にアーク発生検出
器5が動作し、アーク発生検出器5の信号により接点7
が開き、第2の電源装置11の出力が停止する。このと
きアーク発生検出器5の信号により、同時に単方向制御
整流素子13がONとなり、第1の電源装置1cの母材
側出力端子と母材3との間は完全な導通状態となるた
め、電極4と母材3との間には第1の電源装置1cの交
流出力が供給される。なお、時刻t2以後は第2の電源
装置11の出力は停止しているので、第2の電源装置1
1の高電圧が、第1の電源装置1bの出力端子に印加さ
れることはない。次に、時刻t3に起動スイッチ6がO
FFすると、第1の電源装置1cの出力は即座に停止し
アーク2は消滅する。
【0028】以上説明した第1から第3までの実施例に
よれば、これらの実施例では高周波を使用しないので、
雑音電界強度は図8に示すように、従来例に比し約30
dBμV低下している。また、図9に示すように、瞬時
アークスタート率も従来例に比し著しく向上し、溶接ケ
ーブル長が50mを越えても、溶接ケーブル長に影響さ
れることが無い。さらに、アーク2を起動するための第
2の電源装置11の電流・電圧特性がフの字型の特性
で、その最大電流値が電極4および母材3間に人体が接
触しても、人命に係わることのない値(本実施例では1
0mA)が選ばれているので、感電事故による危険を避
けることができる。
【0029】図3に本発明の第4の実施例を示す。図3
に示す構成は、電極として消耗電極4aを使用する例を
示しており、第1の電源装置1dとして直流の準定電圧
特性を有するものを使用する。また、消耗電極を使用す
るアーク溶接では、一般に、逆極性(電極がプラス)で
溶接が行なわれるので、第1の電源装置1dの母材側出
力端子と母材3との間に挿入された、直流高電圧阻止用
の整流素子12が図1の場合とは逆の方向に接続されて
おり、溶接の起動時も溶接の途中でも、第1の電源装置
1dの出力の極性が変わることはないので、図2
(a),(b)で用いられたような単方向制御整流素子
13は必要ない。ただし、整流素子12が単方向制御整
流素子に置き換えられ、起動スイッチ6の信号で制御さ
れるように構成してもよい。なお、第4の実施例のよう
に消耗電極4を使用する装置では、消耗電極4aを送給
するための消耗電極送給装置10が必要となる。
【0030】以下、図3に示す主回路の動作を説明す
る。図4の(d)にそのタイミングを示すように、時刻
t1に起動スイッチ6がONされると、フの字型出力特
性を有する第2の電源装置11が動作し、約4kVの高
電圧が消耗電極4aと母材3との間に印加される。一方
起動スイッチ6の信号で、消耗電極4aの送給が始ま
り、母材3に向かって送給された消耗電極4aの先端と
母材との間隔が約2mmとなったとき、消耗電極4aと
母材3との間に印加された高電圧により、消耗電極4a
と母材3との間の空間の絶縁が破壊され、コロナ放電が
起こってアーク2に移行し、消耗電極4aによる定常溶
接が始まる。アーク移行後若干遅れて時刻t2に、アー
ク発生検出器5の信号により接点7が開き、第2の電源
装置11の出力が停止する。次に、時刻t3に起動スイ
ッチ6がOFFすると、第1の電源装置1dの出力は即
座に停止し、消耗電極4aの送給も停止しアーク2は消
滅する。
【0031】以上説明した第4の実施例における実験条
件を次の(表2)に示しておく。
【0032】
【表2】
【0033】この第4の実施例によれば、第2の電源装
置11の約4kVの高電圧で消耗電極4aと母材3との
間の空間の絶縁を破壊し、コロナ放電を生じさせ、消耗
電極4aと母材3とを非接触でアーク起動を行なってい
るので、消耗電極4aの先端へのスラグ付着によるアー
ク起動の失敗を完全に防止することが可能となり、図1
0に示すように、瞬時スタート率は100%となり、F
A化に伴う溶接作業の無人化のために、きわめて有効で
ある。
【0034】なお、以上の各実施例においては、アーク
発生検出器5の信号により接点7が開き、第2の電源装
置11の出力を停止させているが、図5に示したよう
に、アーク発生検出器5の信号に関係なく、起動スイッ
チ6にのみ連動して、溶接中またはプラズマ切断中も第
2の電源装置11を動作させておいてもよい。すなわ
ち、第2の電源装置11を起動スイッチ6にのみ連動さ
せても、起動時には電極4(消耗電極も含む)と母材3
との間に約4kVの高電圧が印加されるが、いったんア
ーク2が発生すれば、第2の電源装置11の出力電圧は
図11に示すようにアーク電圧まで垂下するので何等の
危険もなく、無理に第2の電源装置11の動作を停止さ
せる必要は無い。
【0035】また以上、第2の電源としてフの字型の出
力特性を有する電源に限定して説明を行なってきたが、
図6および図7に示した第2の電源の出力特性を、図6
および図7における定電圧部分のみとし、出力側インピ
ーダンスがあらかじめ定められた値より低下した場合に
は、出力が直ちに零(電圧0V、電流0A)となる特
性、すなわち、図6および図7に示した斜線部分がない
特性の電源を用いても、以上の説明と同じ効果を得るこ
とができる。
【0036】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、アークの起動時に電極と母材との間に、フの
字型の出力特性を持つ電源装置から高電圧を印加するこ
とにより、電極と母材との間の空間の絶縁を破壊しコロ
ナ放電を生じさせ非接触でアークに移行させるので、従
来の高周波を用いた場合に比べ輻射雑音を著しく低下さ
せることができ、また、長尺の溶接ケーブルを使用する
場合にも、高周波を用いた場合のように溶接ケーブルに
おける漏洩がないので、非接触で良好なアークスタート
が可能となる。さらに、フの字型の出力特性を有してお
り、最大出力電流値を人体に危険を及ぼさない約10m
Aに設定していることから、万一、電極と母材間を人体
で橋絡したとしても、人命にかかわる危険性は無い。一
方、消耗電極方式の溶接機に本発明を適用した場合に
も、安全で、かつ非接触で100%の瞬時アークスター
ト率を得ることが可能となる。
【0037】したがって、本発明を採用することによ
り、安全でアークスタートの失敗が無く、作業の無人化
に適し、一方では行動半径が大きな、低公害の溶接機お
よびプラズマ切断機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の主回路を示すブロック図
【図2】(a)は第2の実施例の主回路を示すブロック
図 (b)は第3の実施例の主回路を示すブロック図
【図3】第4の実施例の主回路を示すブロック図
【図4】(a)は第1の実施例のタイミング線図 (b)は第2の実施例のタイミング線図 (c)は第3の実施例のタイミング線図 (d)は第4の実施例のタイミング線図
【図5】第2の電源装置の出力をアーク発生後もOFF
しない場合のタイミング線図
【図6】第1の電源装置が垂下特性の場合のフの字型出
力特性を説明する特性図
【図7】第1の電源装置が準定電圧特性の場合のフの字
型出力特性を説明する特性図
【図8】従来例と本発明の周波数と輻射雑音電界強度の
関係を示す特性図
【図9】従来例と本発明のケーブル長と瞬時アークスタ
ート率の関係を示す特性図
【図10】消耗電極を用いたアーク溶接における従来例
と本発明の溶接電流と瞬時アークスタート率の関係を示
す特性図
【図11】第2の電源装置の出力をアーク発生後もOF
Fしない場合の第2の電源装置の出力電流値の時間的変
化を示す特性図
【図12】従来のアーク溶接機およびプラズマ切断機の
主回路を示すブロック図
【図13】従来の消耗電極式アーク溶接機の主回路を示
すブロック図
【図14】従来例における高周波の波形図
【図15】従来例における第1および第2の電源装置の
出力特性図
【符号の説明】
1a〜1d 第1の電源装置 2 アーク 3 母材 4,4a 電極 11 第2の電源装置

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極と母材の間に電力を供給する第1の
    電源装置と、前記第1の電源装置の出力回路に接続され
    前記電極と前記母材との間に高電圧を印加するフの字型
    の出力特性を持つ第2の電源装置とを備え、アーク起動
    時には前記第2の電源装置から前記電極と前記母材との
    間に直流の高電圧を印加し、前記第1の電源装置が供給
    する電力によるアーク発生後には、前記第2の電源装置
    からの高電圧の印加を停止し、前記第1の電源装置から
    電力を供給することを特徴とするアーク溶接機およびプ
    ラズマ切断機。
  2. 【請求項2】 フの字型の出力特性を持つ第2の電源装
    置に代えて、アークの発生によって直ちに高圧直流の出
    力が停止する出力特性を有する第2の電源装置を備えた
    請求項1記載のアーク溶接機およびプラズマ切断機。
  3. 【請求項3】 第1の電源装置によるアーク発生を検出
    するアーク発生検出手段と、そのアーク発生検出手段か
    らの信号により第2の電源装置の動作を停止させるスイ
    ッチ手段とを備えた請求項1または2に記載のアーク溶
    接機およびプラズマ切断機。
  4. 【請求項4】 電極と母材の間に電力を供給する第1の
    電源装置と、前記第1の電源装置の出力回路に接続され
    前記電極と前記母材との間に高電圧を印加するフの字型
    の出力特性を持つ第2の電源装置とを備え、アーク起動
    時には前記第2の電源装置から前記電極と前記母材との
    間に直流の高電圧を印加し、前記第1の電源装置による
    アーク発生後には、前記第1の電源装置と前記第2の電
    源装置の両方から電力を供給することを特徴とするアー
    ク溶接機およびプラズマ切断機。
  5. 【請求項5】 第1の電源装置の無負荷時の出力極性と
    同一の極性で第2の電源装置の高電圧出力を電極と母材
    との間に印加できるように、前記第1の電源装置の出力
    回路に少なくとも整流素子および単方向制御整流素子の
    いずれかを挿入した請求項1、2または4のいずれかに
    記載のアーク溶接機およびプラズマ切断機。
  6. 【請求項6】 第1の電源装置の無負荷時の出力極性と
    同一の極性で第2の電源装置の高電圧出力を消耗電極と
    母材との間に印加できるように、前記第1の電源装置の
    出力回路に少なくとも整流素子および単方向制御整流素
    子のいずれかを挿入した消耗電極を用いたアーク溶接
    機。
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