JP3584095B2 - 直流アーク加工装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流TIG溶接機や直流プラズマ溶接機、溶断機などの直流アーク加工装置で、詳しくは、トーチ側の非消耗電極と母材との間に高電圧を供給し両者間にアークを発生させて無接触で起動開始するように構成されている直流アーク加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来一般の直流アーク加工装置においては、主としてトーチに付設されている起動スイッチの入り操作信号(ON信号)が起動回路に入力されると高電圧供給装置から非消耗電極と母材との間に高電圧が供給されて起動開始し、また、起動スイッチの切り操作信号(OFF信号)が起動回路に入力されると高電圧供給装置から非消耗電極と母材間への高電圧の供給が停止するように構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のごとく起動スイッチの入り操作と同時に高電圧が非消耗電極と母材間に供給される従来の直流アーク加工装置によると、起動スイッチの入り操作直後の高電圧の供給にともない上記非消耗電極と母材間にアークが発生してスタートできれば問題ないけれども、起動スイッチの入り操作によってもアークが発生しなかった場合、無負荷状態でも高電圧が出力され続けているために、作業者が感電する恐れがあり、若し、このように感電して人体に電流が流れると、電撃ショックを生じることになるという課題があった。
【0004】
そこで本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、請求項1記載の発明は、起動スイッチの入り操作によってアークがうまく発生せず、作業者が感電する事態となっても、人体に流れる電流の実効値を低減させて電撃ショックを極力抑制することができる直流アーク加工装置を提供することを目的としている。
【0005】
また、請求項2記載の発明は起動開始操作に起動スイッチの入り操作以外の条件を付加することによって、無負荷状態での高電圧の発生にともなう作業者感電の確率を極減することができる上に、万一感電したとしても人体に流れる電流の実効値を低減して、作業者に対して二重の安全性を保証することができる直流アーク加工装置を提供することを目的としている。
【0006】
さらに、請求項3記載の発明は上記請求項1または2記載の発明の目的に加えて、起動開始時の高電圧の供給時間を制限してアークスタートミス時における人体への通電時間の増加も抑制することができるようにすることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明に係る直流アーク加工装置は、トーチ側の非消耗電極と母材とに接続されて通常加工時に溶接電流を供給する溶接電源と、上記非消耗電極と母材とに接続されて起動開始時に上記非消耗電極と母材間に高電圧を供給してアークスタートを行なう高電圧供給装置と、上記溶接電源および高電圧供給装置に起動信号を送出する起動回路と、上記高電圧供給装置から供給される高電圧により上記非消耗電極と母材間にアークが発生したとき、その溶接電流を検出して上記高電圧供給装置からの高電圧の供給を停止するとともに、上記溶接電源から上記非消耗電極と母材へ通常加工用溶接電流を供給する状態に切換えるように動作する電流検出器とを備えてなる直流アーク加工装置において、上記高電圧供給装置が、上記非消耗電極と母材間に直流高電圧を印加する直流高電圧回路であり、起動開始時に直流高電圧回路から上記非消耗電極と母材間への高電圧の供給を所定の比率で断続させる高電圧断続供給手段を設けたことを特徴とするもので、装置の起動開始時に高電圧供給装置から非消耗電極と母材間へ高電圧を所定の比率で断続的に供給することにより、高電圧の供給にともなう非消耗電極と母材間でのアーク発生にミスが生じて、作業者が感電する事態となったとしても、人体に流れる電流が所定比率で断続されることになるために、人体に流れる電流の実効値の低減を図り、電撃ショックの発生を極力抑制することが可能となる。
【0008】
ここで、上記高電圧供給装置としては、上記非消耗電極と母材間に直流高電圧を印加する直流高電圧回路であっても、溶接電源の出力に高周波高電圧を重畳させる高周波発生装置のいずれであってもよいが、高調波などのノイズの発生をなくして、アークスタートを確実化するためには直流高電圧回路を使用することが望ましい。
また、直流加工装置とは、直流TIG溶接機、直流プラズマ溶接機、直流プラズマ溶断機などのように、起動開始時にのみトーチ側の非消耗電極と母材との間に高電圧を供給し両者間にアークを発生させて無接触で起動させる加工装置を指すものである。
【0009】
また、請求項2記載の発明に係る直流アーク加工装置は、トーチ側の非消耗電極と母材とに接続されて通常加工時に溶接電流を供給する溶接電源と、上記非消耗電極と母材とに接続されて起動開始時に上記非消耗電極と母材間に高電圧を供給してアークスタートを行なう高電圧供給装置と、上記溶接電源および高電圧供給装置に起動信号を送出する起動回路と、上記高電圧供給装置から供給される高電圧により上記非消耗電極と母材間にアークが発生したとき、その溶接電流を検出して上記高電圧供給装置からの高電圧の供給を停止するとともに、上記溶接電源から上記非消耗電極と母材へ通常加工用溶接電流を供給する状態に切換えるように動作する電流検出器とを備えてなる直流アーク加工装置において、上記起動回路が、起動スイッチの入り操作信号と上記母材に対して非消耗電極を一旦接触させた後に離間させたときの両者間の短絡開放を検出する検出手段による短絡開放検出信号とを入力条件として起動信号を送出するように構成されているとともに、起動開始時に上記高電圧供給装置から上記非消耗電極と母材間への高電圧の供給を所定の比率で断続させる高電圧断続供給手段を設けたことを特徴とするもので、装置起動の操作条件として、起動スイッチの入り操作以外に、トーチ側の非消耗電極を母材に対して一旦接触させた後に離間させるといった付加操作を条件付けることにより、従来のように、起動スイッチを入り操作しさえすれば無負荷でも高電圧が発生されて作業者が感電し電撃ショックを受けるという事態の発生の確率を著しく低減することが可能である。その上、高電圧供給装置から非消耗電極と母材間へは高電圧を所定の比率で断続的に供給することにより、万一、アーク発生にミスが生じて作業者が感電する事態となったとしても、人体に流れる電流は所定比率で断続されることになるために、人体に流れる電流の実効値を低減して電撃ショックの発生を回避することが可能であり、作業者に対して二重の安全性を保証することが可能である。
【0010】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の直流アーク加工装置の構成に加えて、上記高電圧供給装置から非消耗電極と母材間への高電圧の断続供給時間を予め設定された時間長さに制限するタイマーを備えたもので、アークスタートミスが繰り返し発生して人体に断続的に電流が流れるとしても、その人体に流れる電流の断続時間長さをタイマーにより制限することになるために、トータルの通電時間は所定値以下に抑えることが可能であり、これによって、高圧電流の人体への通電時間の増加も十分に抑制することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1は、本発明に係る直流加工装置として適用した直流TIG溶接機の構成を示す回路図であり、同図において、1は直流溶接電源で、その出力端がトーチ2側の非消耗電極3および母材4に接続されて通常溶接時に所定の溶接電流を供給する。5は高電圧供給装置の一例である直流高電圧回路で、その出力端が上記直流溶接電源1と直列の状態で上記非消耗電極3および母材4に接続されて起動開始時に上記非消耗電極3と母材4間に直流高電圧を供給する。6はブロックダイオードで、上記直流高電圧回路5から供給される直流高電圧が上記直流溶接電源1側へ印加されることを阻止する。
【0012】
7は起動回路であって、上記直流溶接電源1および直流高電圧回路5に起動信号を送出するもので、上記トーチ2の近傍部に配設されている起動スイッチ8の出力端が接続されている。9は電流検出器で、上記直流高電圧回路5から供給される直流高電圧により上記非消耗電極3と母材4間にアークが発生したとき、その溶接電流を検出するものであり、その常閉接点9aが上記直流高電圧回路5の入力側に介挿されており、溶接電流の検出に伴なう常閉接点9aの開成動作により上記直流高電圧回路5の動作を停止するように構成されている。
【0013】
12はタイマーで、上記起動スイッチ8の出力側に接続されており、上記直流高電圧回路5から上記非消耗電極3と母材4間への高電圧の供給時間長さを予め設定する。14はマルチバイブレータであり、所定の比率(デューティ)に設定された矩形波信号を出力する。13は論理積(AND)回路で、上記起動スイッチ8の入り操作信号と上記マルチバイブレータ14から出力される矩形波信号とを入力条件として出力するものであり、このAND回路13の出力が上記起動回路7に入力されることにより該起動回路7から上記直流高電圧回路5に起動信号が送出されて、高電圧の供給を所定の比率で断続させる高電圧断続供給手段が構成されている。
【0014】
つぎに、上記構成の直流TIG溶接機における動作について、図2に示すタイミングチャートを参照して説明する。
起動スイッチ8を入り操作すると、図2のaに示すような操作信号がタイマー12およびマルチバイブレータ14に入力されてタイマー12が図2のbに示すように設定時間Tに亘る限時動作を開始するとともにマルチバイブレータ14からは図2のcに示すような所定の比率(デューティ)の矩形波信号が出力され、この矩形波信号cおよび上記起動スイッチ8の入り操作信号aがAND回路13の両入力端子に入力されてAND条件が成立するために、該AND回路13から起動回路7に断続信号が入力される。このような断続信号の入力にともない起動回路7から上記直流高電圧回路5に起動信号が送出されて該直流高電圧回路5から非消耗電極3と母材4間に図2のdに示すように直流高電圧が断続的に印加され、これによって両者3,4間にアークが発生され溶接機が起動開始される。つまり、非消耗電極3と母材4とが無接触でアークスタートされる。
【0015】
そして、起動開始後に図2のeに示すような溶接電流が流れると、その溶接電流eが電流検出器9により検出されて、その常閉接点9aが開成動作し、これにより、図2のdで示すように上記直流高電圧回路5の動作が停止されるとともに、上記直流溶接電源1から上記非消耗電極3と母材4へ通常溶接用電流が供給されて通常アーク溶接に自動的に切換えられる。またここで、上記タイマー12は上記電流検出器9による溶接電流の検出時点(図2のt点)において動作停止しリセットされるが、上記したアークスタートが失敗した場合は、設定時間Tに亘って限時動作を続け、その間には図2のdの破線で示すように、直流高電圧回路5から非消耗電極3と母材4間へ直流高電圧が断続的に印加され続けることになり、その時に作業者が感電したとしても、直流高電圧の印加が断続的であるゆえに、人体に流れる電流の実効値は非常に少なく抑えられる。そして、アークスタートが繰り返し失敗したとしても、上記タイマー12による設定時間Tの経過後には装置起動を完全に停止して再起動しない限り高電圧が供給されることがないため、感電にともなう人体への電流の通電時間は短く制限されることになる。
【0016】
図3は上記直流TIG溶接機におけるアークスタート用の高電圧供給装置として、高周波発生装置5Aを用いた場合の構成を示す回路図であり、図1と相違する点は、直流溶接電源1の出力側にカップリングコイル15を介挿させて、一次巻線に印加される高周波電圧を二次巻線により昇圧し、それによって誘起された高周波高電圧を直流溶接電源1の出力に重畳させてアークスタートさせるようにした点のみであり、その他の構成は図1に示すものと同一であるため、該当部分に同一の符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。また、動作についても図2と同様であるため、説明を省略する。
【0017】
また、図4は本発明の他の実施の形態で、本発明に係る直流加工装置として適用した直流TIG溶接機の構成を示す回路図であり、同図において、10は上記直流溶接電源1に接続させた短絡開放検出回路で、該検出回路10は上記母材4に対してトーチ2側の非消耗電極3を一旦接触させた後に離間させたときの両者4,3間の短絡開放を非消耗電極3に接続されている検出電源11の電圧変化によって検出するものである。16は論理和(OR)回路で、電流検出器9による検出信号とAND回路13からの出力信号とのいずれか一方の信号を入力条件として出力するものである。また、上記AND回路13は上記検出回路10による短絡開放検出信号の入力にともない動作開始するタイマー12からの出力信号とマルチバイブレータ14からの出力矩形波信号の両方が入力されたときに出力し、この出力信号が上記OR回路16の一方に入力されて上記起動スイッチ8の操作信号とのAND条件の成立したとき、上記OR回路16の出力信号が上記起動回路7に入力されて該起動回路7から起動信号を送出するように構成したものであり、その他の構成で図1の構成に相当する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0018】
上記図4に示す構成の直流TIG溶接機における動作について、図5に示すタイミングチャートを参照して説明する。
起動スイッチ8を入り操作すると、図5のaに示すような操作信号が形成されるが、この状態ではAND回路13からの出力がないために、OR回路16から起動回路7へ信号が出力されず、したがって、起動回路7から起動信号が出力されないために溶接機は起動しない。上記起動スイッチ8を入り操作したままで、トーチ2側の非消耗電極3を母材4に対して一旦接触させた後に離間させるといった操作を行なうと、両者3,4間が短絡開放されて、非消耗電極3に接続されている検出電源11の電圧が図5のfに示すように変化し、その電圧変化により非消耗電極3と母材4間の短絡開放を検出する検出回路10から図5のgに示すような短絡開放検出信号が出力される。
【0019】
この短絡開放検出信号gが上記タイマー12およびマルチバイブレータ14に入力されて、タイマー12が図5のbに示すように、設定時間Tに亘る限時動作を開始するとともにマルチバイブレータ14からは図5のcに示すような所定の比率(デューティ)の矩形波信号が出力される。この矩形波信号cとタイマー12の出力信号bとの両方がAND回路13に入力されると、このAND回路13からは図5のc´に示すように、上記マルチバイブレータ14から出力される矩形波信号cと同一の信号が出力され、この出力信号c´がOR回路16の一方の入力端に入力されることにより、上記起動スイッチ8の操作信号aとのAND条件が成立して該OR回路16から図2のhに示すような信号が出力され、この信号hが起動回路7に入力されて該起動回路7から上記直流高電圧回路5および直流溶接電源1に起動信号が送出される。これにともなって上記直流高電圧回路5から非消耗電極3と母材4間に図5のdに示すような直流高電圧が断続的に印加され、これによって、両者3,4間にアークが発生されて溶接機が起動開始される。つまり、非消耗電極3と母材4とが無接触でアークスタートされる。
【0020】
起動開始後は電流検出器9が動作して、その常閉接点9aが開成し、これにより、図5のdで示すように上記直流高電圧回路5の動作は停止されるが、上記電流検出器9による図5のiに示すような電流検出信号が上記OR回路16の一方の入力端に入力されて該OR回路16から信号hが出力され続けるために、起動回路7および直流溶接電源1の動作が保持される。また、図4に示す構成の直流TIG溶接機の場合においても、上記タイマー12は上記電流検出器9による溶接電流の検出時点(図5のt点)において動作停止しリセットされるが、上記したアークスタートが失敗した場合は、設定時間Tに亘って限時動作を続け、その間、OR回路16から図5のhの破線で示すような信号が出力されて図5のdの破線で示すように、直流高電圧回路5から非消耗電極3と母材4間へ直流高電圧が断続的に印加され続けることになり、その時に作業者が感電したとしても、直流高電圧の印加が断続的であるゆえに、人体に流れる電流の実効値は図1および図3の場合と同様に非常に少なく抑えることができる。そして、アークスタートが繰り返し失敗したとしても、上記タイマー12による設定時間Tの経過後には装置起動を完全に停止して再起動しない限り高電圧が供給されることがないため、感電にともなう人体への電流の通電時間は短く制限されることになる。
【0021】
なお、上記の実施の形態では、直流TIG溶接機に適用したものについて説明したが、直流プラズマ溶接機や直流プラズマ溶断機に適用する場合は、直流溶接電源1のプラス側端子に母材4を、かつ、マイナス側端子にトーチ2の非消耗電極3を接続すればよい。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、装置の起動開始時に高電圧供給装置から非消耗電極と母材間へ高電圧を所定の比率で断続的に供給するようにしたので、高電圧の供給にともなう非消耗電極と母材間でのアーク発生にミスが生じて、作業者が感電する事態となったとしても、人体に流れる電流を所定比率で断続して、人体に流れる電流の実効値を著しく低減することができ、これによって、電撃ショックの発生を極力抑制することができるという効果を奏する。また上記高電圧供給装置として、上記非消耗電極と母材間に直流高電圧を印加する直流高電圧回路を採用したので、溶接電源の出力に高周波高電圧を重畳させる高周波発生装置を採用した場合の高調波などのノイズの発生をなくして、確実にアークスタートさせることができるという効果を奏する。
【0023】
また、請求項2記載の発明によれば、装置起動の操作条件として、起動スイッチの入り操作以外に、トーチ側の非消耗電極を母材に対して一旦接触させた後に離間させるといった操作を付加したものであるから、従来のように、起動スイッチを入り操作しさえすれば無負荷でも高電圧が発生されて作業者が感電し電撃ショックを受ける事態の発生確率を著しく低減することができる。その上、高電圧供給装置から非消耗電極と母材間へは高電圧を所定の比率で断続的に供給するようにしているので、万一、アーク発生にミスが生じて作業者が感電する事態となったとしても、人体に流れる電流を所定比率で断続させてその実効値を低減して電撃ショックの発生を回避することができ、作業者に対して二重の安全性を保証することができるという顕著な効果を奏する。
【0024】
さらに、請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、起動開始時の高電圧の断続供給時間長さをタイマーによって制限するようにしたので、アークスタートミスが繰り返し発生して人体に断続的に電流が流れるとしても、その電流の断続時間長さを制限してトータルの人体通電時間を所定値以下に抑えることができ、これによって、高圧電流の人体への通電時間の増加も十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のうち請求項1及び請求項3に係る直流アーク加工装置の実施の形態として適用された直流TIG溶接機の構成を示す回路図である。
【図2】同上直流TIG溶接機の動作を説明するタイミングチャートである。
【図3】本発明のうち請求項2に係る直流アーク加工装置の実施の形態として適用された直流TIG溶接機の構成を示す回路図である。
【図4】本発明のうち請求項2及び請求項3に係る直流アーク加工装置の実施の形態として適用された直流TIG溶接機の構成を示す回路図である。
【図5】図4に示す直流TIG溶接機の動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 直流溶接電源
2 トーチ
3 非消耗電極
4 母材
5 直流高電圧回路(高電圧供給装置)
5A 高周波発生装置(高電圧供給装置)
7 起動回路
8 起動スイッチ
9 電流検出器
10 短絡開放検出回路
12 タイマー
13 AND回路
14 マルチバイブレータ
16 OR回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、直流TIG溶接機や直流プラズマ溶接機、溶断機などの直流アーク加工装置で、詳しくは、トーチ側の非消耗電極と母材との間に高電圧を供給し両者間にアークを発生させて無接触で起動開始するように構成されている直流アーク加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来一般の直流アーク加工装置においては、主としてトーチに付設されている起動スイッチの入り操作信号(ON信号)が起動回路に入力されると高電圧供給装置から非消耗電極と母材との間に高電圧が供給されて起動開始し、また、起動スイッチの切り操作信号(OFF信号)が起動回路に入力されると高電圧供給装置から非消耗電極と母材間への高電圧の供給が停止するように構成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のごとく起動スイッチの入り操作と同時に高電圧が非消耗電極と母材間に供給される従来の直流アーク加工装置によると、起動スイッチの入り操作直後の高電圧の供給にともない上記非消耗電極と母材間にアークが発生してスタートできれば問題ないけれども、起動スイッチの入り操作によってもアークが発生しなかった場合、無負荷状態でも高電圧が出力され続けているために、作業者が感電する恐れがあり、若し、このように感電して人体に電流が流れると、電撃ショックを生じることになるという課題があった。
【0004】
そこで本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、請求項1記載の発明は、起動スイッチの入り操作によってアークがうまく発生せず、作業者が感電する事態となっても、人体に流れる電流の実効値を低減させて電撃ショックを極力抑制することができる直流アーク加工装置を提供することを目的としている。
【0005】
また、請求項2記載の発明は起動開始操作に起動スイッチの入り操作以外の条件を付加することによって、無負荷状態での高電圧の発生にともなう作業者感電の確率を極減することができる上に、万一感電したとしても人体に流れる電流の実効値を低減して、作業者に対して二重の安全性を保証することができる直流アーク加工装置を提供することを目的としている。
【0006】
さらに、請求項3記載の発明は上記請求項1または2記載の発明の目的に加えて、起動開始時の高電圧の供給時間を制限してアークスタートミス時における人体への通電時間の増加も抑制することができるようにすることを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明に係る直流アーク加工装置は、トーチ側の非消耗電極と母材とに接続されて通常加工時に溶接電流を供給する溶接電源と、上記非消耗電極と母材とに接続されて起動開始時に上記非消耗電極と母材間に高電圧を供給してアークスタートを行なう高電圧供給装置と、上記溶接電源および高電圧供給装置に起動信号を送出する起動回路と、上記高電圧供給装置から供給される高電圧により上記非消耗電極と母材間にアークが発生したとき、その溶接電流を検出して上記高電圧供給装置からの高電圧の供給を停止するとともに、上記溶接電源から上記非消耗電極と母材へ通常加工用溶接電流を供給する状態に切換えるように動作する電流検出器とを備えてなる直流アーク加工装置において、上記高電圧供給装置が、上記非消耗電極と母材間に直流高電圧を印加する直流高電圧回路であり、起動開始時に直流高電圧回路から上記非消耗電極と母材間への高電圧の供給を所定の比率で断続させる高電圧断続供給手段を設けたことを特徴とするもので、装置の起動開始時に高電圧供給装置から非消耗電極と母材間へ高電圧を所定の比率で断続的に供給することにより、高電圧の供給にともなう非消耗電極と母材間でのアーク発生にミスが生じて、作業者が感電する事態となったとしても、人体に流れる電流が所定比率で断続されることになるために、人体に流れる電流の実効値の低減を図り、電撃ショックの発生を極力抑制することが可能となる。
【0008】
ここで、上記高電圧供給装置としては、上記非消耗電極と母材間に直流高電圧を印加する直流高電圧回路であっても、溶接電源の出力に高周波高電圧を重畳させる高周波発生装置のいずれであってもよいが、高調波などのノイズの発生をなくして、アークスタートを確実化するためには直流高電圧回路を使用することが望ましい。
また、直流加工装置とは、直流TIG溶接機、直流プラズマ溶接機、直流プラズマ溶断機などのように、起動開始時にのみトーチ側の非消耗電極と母材との間に高電圧を供給し両者間にアークを発生させて無接触で起動させる加工装置を指すものである。
【0009】
また、請求項2記載の発明に係る直流アーク加工装置は、トーチ側の非消耗電極と母材とに接続されて通常加工時に溶接電流を供給する溶接電源と、上記非消耗電極と母材とに接続されて起動開始時に上記非消耗電極と母材間に高電圧を供給してアークスタートを行なう高電圧供給装置と、上記溶接電源および高電圧供給装置に起動信号を送出する起動回路と、上記高電圧供給装置から供給される高電圧により上記非消耗電極と母材間にアークが発生したとき、その溶接電流を検出して上記高電圧供給装置からの高電圧の供給を停止するとともに、上記溶接電源から上記非消耗電極と母材へ通常加工用溶接電流を供給する状態に切換えるように動作する電流検出器とを備えてなる直流アーク加工装置において、上記起動回路が、起動スイッチの入り操作信号と上記母材に対して非消耗電極を一旦接触させた後に離間させたときの両者間の短絡開放を検出する検出手段による短絡開放検出信号とを入力条件として起動信号を送出するように構成されているとともに、起動開始時に上記高電圧供給装置から上記非消耗電極と母材間への高電圧の供給を所定の比率で断続させる高電圧断続供給手段を設けたことを特徴とするもので、装置起動の操作条件として、起動スイッチの入り操作以外に、トーチ側の非消耗電極を母材に対して一旦接触させた後に離間させるといった付加操作を条件付けることにより、従来のように、起動スイッチを入り操作しさえすれば無負荷でも高電圧が発生されて作業者が感電し電撃ショックを受けるという事態の発生の確率を著しく低減することが可能である。その上、高電圧供給装置から非消耗電極と母材間へは高電圧を所定の比率で断続的に供給することにより、万一、アーク発生にミスが生じて作業者が感電する事態となったとしても、人体に流れる電流は所定比率で断続されることになるために、人体に流れる電流の実効値を低減して電撃ショックの発生を回避することが可能であり、作業者に対して二重の安全性を保証することが可能である。
【0010】
さらに、請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の直流アーク加工装置の構成に加えて、上記高電圧供給装置から非消耗電極と母材間への高電圧の断続供給時間を予め設定された時間長さに制限するタイマーを備えたもので、アークスタートミスが繰り返し発生して人体に断続的に電流が流れるとしても、その人体に流れる電流の断続時間長さをタイマーにより制限することになるために、トータルの通電時間は所定値以下に抑えることが可能であり、これによって、高圧電流の人体への通電時間の増加も十分に抑制することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
図1は、本発明に係る直流加工装置として適用した直流TIG溶接機の構成を示す回路図であり、同図において、1は直流溶接電源で、その出力端がトーチ2側の非消耗電極3および母材4に接続されて通常溶接時に所定の溶接電流を供給する。5は高電圧供給装置の一例である直流高電圧回路で、その出力端が上記直流溶接電源1と直列の状態で上記非消耗電極3および母材4に接続されて起動開始時に上記非消耗電極3と母材4間に直流高電圧を供給する。6はブロックダイオードで、上記直流高電圧回路5から供給される直流高電圧が上記直流溶接電源1側へ印加されることを阻止する。
【0012】
7は起動回路であって、上記直流溶接電源1および直流高電圧回路5に起動信号を送出するもので、上記トーチ2の近傍部に配設されている起動スイッチ8の出力端が接続されている。9は電流検出器で、上記直流高電圧回路5から供給される直流高電圧により上記非消耗電極3と母材4間にアークが発生したとき、その溶接電流を検出するものであり、その常閉接点9aが上記直流高電圧回路5の入力側に介挿されており、溶接電流の検出に伴なう常閉接点9aの開成動作により上記直流高電圧回路5の動作を停止するように構成されている。
【0013】
12はタイマーで、上記起動スイッチ8の出力側に接続されており、上記直流高電圧回路5から上記非消耗電極3と母材4間への高電圧の供給時間長さを予め設定する。14はマルチバイブレータであり、所定の比率(デューティ)に設定された矩形波信号を出力する。13は論理積(AND)回路で、上記起動スイッチ8の入り操作信号と上記マルチバイブレータ14から出力される矩形波信号とを入力条件として出力するものであり、このAND回路13の出力が上記起動回路7に入力されることにより該起動回路7から上記直流高電圧回路5に起動信号が送出されて、高電圧の供給を所定の比率で断続させる高電圧断続供給手段が構成されている。
【0014】
つぎに、上記構成の直流TIG溶接機における動作について、図2に示すタイミングチャートを参照して説明する。
起動スイッチ8を入り操作すると、図2のaに示すような操作信号がタイマー12およびマルチバイブレータ14に入力されてタイマー12が図2のbに示すように設定時間Tに亘る限時動作を開始するとともにマルチバイブレータ14からは図2のcに示すような所定の比率(デューティ)の矩形波信号が出力され、この矩形波信号cおよび上記起動スイッチ8の入り操作信号aがAND回路13の両入力端子に入力されてAND条件が成立するために、該AND回路13から起動回路7に断続信号が入力される。このような断続信号の入力にともない起動回路7から上記直流高電圧回路5に起動信号が送出されて該直流高電圧回路5から非消耗電極3と母材4間に図2のdに示すように直流高電圧が断続的に印加され、これによって両者3,4間にアークが発生され溶接機が起動開始される。つまり、非消耗電極3と母材4とが無接触でアークスタートされる。
【0015】
そして、起動開始後に図2のeに示すような溶接電流が流れると、その溶接電流eが電流検出器9により検出されて、その常閉接点9aが開成動作し、これにより、図2のdで示すように上記直流高電圧回路5の動作が停止されるとともに、上記直流溶接電源1から上記非消耗電極3と母材4へ通常溶接用電流が供給されて通常アーク溶接に自動的に切換えられる。またここで、上記タイマー12は上記電流検出器9による溶接電流の検出時点(図2のt点)において動作停止しリセットされるが、上記したアークスタートが失敗した場合は、設定時間Tに亘って限時動作を続け、その間には図2のdの破線で示すように、直流高電圧回路5から非消耗電極3と母材4間へ直流高電圧が断続的に印加され続けることになり、その時に作業者が感電したとしても、直流高電圧の印加が断続的であるゆえに、人体に流れる電流の実効値は非常に少なく抑えられる。そして、アークスタートが繰り返し失敗したとしても、上記タイマー12による設定時間Tの経過後には装置起動を完全に停止して再起動しない限り高電圧が供給されることがないため、感電にともなう人体への電流の通電時間は短く制限されることになる。
【0016】
図3は上記直流TIG溶接機におけるアークスタート用の高電圧供給装置として、高周波発生装置5Aを用いた場合の構成を示す回路図であり、図1と相違する点は、直流溶接電源1の出力側にカップリングコイル15を介挿させて、一次巻線に印加される高周波電圧を二次巻線により昇圧し、それによって誘起された高周波高電圧を直流溶接電源1の出力に重畳させてアークスタートさせるようにした点のみであり、その他の構成は図1に示すものと同一であるため、該当部分に同一の符号を付して、それらの詳しい説明を省略する。また、動作についても図2と同様であるため、説明を省略する。
【0017】
また、図4は本発明の他の実施の形態で、本発明に係る直流加工装置として適用した直流TIG溶接機の構成を示す回路図であり、同図において、10は上記直流溶接電源1に接続させた短絡開放検出回路で、該検出回路10は上記母材4に対してトーチ2側の非消耗電極3を一旦接触させた後に離間させたときの両者4,3間の短絡開放を非消耗電極3に接続されている検出電源11の電圧変化によって検出するものである。16は論理和(OR)回路で、電流検出器9による検出信号とAND回路13からの出力信号とのいずれか一方の信号を入力条件として出力するものである。また、上記AND回路13は上記検出回路10による短絡開放検出信号の入力にともない動作開始するタイマー12からの出力信号とマルチバイブレータ14からの出力矩形波信号の両方が入力されたときに出力し、この出力信号が上記OR回路16の一方に入力されて上記起動スイッチ8の操作信号とのAND条件の成立したとき、上記OR回路16の出力信号が上記起動回路7に入力されて該起動回路7から起動信号を送出するように構成したものであり、その他の構成で図1の構成に相当する部分には同一の符号を付して、それらの説明を省略する。
【0018】
上記図4に示す構成の直流TIG溶接機における動作について、図5に示すタイミングチャートを参照して説明する。
起動スイッチ8を入り操作すると、図5のaに示すような操作信号が形成されるが、この状態ではAND回路13からの出力がないために、OR回路16から起動回路7へ信号が出力されず、したがって、起動回路7から起動信号が出力されないために溶接機は起動しない。上記起動スイッチ8を入り操作したままで、トーチ2側の非消耗電極3を母材4に対して一旦接触させた後に離間させるといった操作を行なうと、両者3,4間が短絡開放されて、非消耗電極3に接続されている検出電源11の電圧が図5のfに示すように変化し、その電圧変化により非消耗電極3と母材4間の短絡開放を検出する検出回路10から図5のgに示すような短絡開放検出信号が出力される。
【0019】
この短絡開放検出信号gが上記タイマー12およびマルチバイブレータ14に入力されて、タイマー12が図5のbに示すように、設定時間Tに亘る限時動作を開始するとともにマルチバイブレータ14からは図5のcに示すような所定の比率(デューティ)の矩形波信号が出力される。この矩形波信号cとタイマー12の出力信号bとの両方がAND回路13に入力されると、このAND回路13からは図5のc´に示すように、上記マルチバイブレータ14から出力される矩形波信号cと同一の信号が出力され、この出力信号c´がOR回路16の一方の入力端に入力されることにより、上記起動スイッチ8の操作信号aとのAND条件が成立して該OR回路16から図2のhに示すような信号が出力され、この信号hが起動回路7に入力されて該起動回路7から上記直流高電圧回路5および直流溶接電源1に起動信号が送出される。これにともなって上記直流高電圧回路5から非消耗電極3と母材4間に図5のdに示すような直流高電圧が断続的に印加され、これによって、両者3,4間にアークが発生されて溶接機が起動開始される。つまり、非消耗電極3と母材4とが無接触でアークスタートされる。
【0020】
起動開始後は電流検出器9が動作して、その常閉接点9aが開成し、これにより、図5のdで示すように上記直流高電圧回路5の動作は停止されるが、上記電流検出器9による図5のiに示すような電流検出信号が上記OR回路16の一方の入力端に入力されて該OR回路16から信号hが出力され続けるために、起動回路7および直流溶接電源1の動作が保持される。また、図4に示す構成の直流TIG溶接機の場合においても、上記タイマー12は上記電流検出器9による溶接電流の検出時点(図5のt点)において動作停止しリセットされるが、上記したアークスタートが失敗した場合は、設定時間Tに亘って限時動作を続け、その間、OR回路16から図5のhの破線で示すような信号が出力されて図5のdの破線で示すように、直流高電圧回路5から非消耗電極3と母材4間へ直流高電圧が断続的に印加され続けることになり、その時に作業者が感電したとしても、直流高電圧の印加が断続的であるゆえに、人体に流れる電流の実効値は図1および図3の場合と同様に非常に少なく抑えることができる。そして、アークスタートが繰り返し失敗したとしても、上記タイマー12による設定時間Tの経過後には装置起動を完全に停止して再起動しない限り高電圧が供給されることがないため、感電にともなう人体への電流の通電時間は短く制限されることになる。
【0021】
なお、上記の実施の形態では、直流TIG溶接機に適用したものについて説明したが、直流プラズマ溶接機や直流プラズマ溶断機に適用する場合は、直流溶接電源1のプラス側端子に母材4を、かつ、マイナス側端子にトーチ2の非消耗電極3を接続すればよい。
【0022】
【発明の効果】
以上のように、請求項1記載の発明によれば、装置の起動開始時に高電圧供給装置から非消耗電極と母材間へ高電圧を所定の比率で断続的に供給するようにしたので、高電圧の供給にともなう非消耗電極と母材間でのアーク発生にミスが生じて、作業者が感電する事態となったとしても、人体に流れる電流を所定比率で断続して、人体に流れる電流の実効値を著しく低減することができ、これによって、電撃ショックの発生を極力抑制することができるという効果を奏する。また上記高電圧供給装置として、上記非消耗電極と母材間に直流高電圧を印加する直流高電圧回路を採用したので、溶接電源の出力に高周波高電圧を重畳させる高周波発生装置を採用した場合の高調波などのノイズの発生をなくして、確実にアークスタートさせることができるという効果を奏する。
【0023】
また、請求項2記載の発明によれば、装置起動の操作条件として、起動スイッチの入り操作以外に、トーチ側の非消耗電極を母材に対して一旦接触させた後に離間させるといった操作を付加したものであるから、従来のように、起動スイッチを入り操作しさえすれば無負荷でも高電圧が発生されて作業者が感電し電撃ショックを受ける事態の発生確率を著しく低減することができる。その上、高電圧供給装置から非消耗電極と母材間へは高電圧を所定の比率で断続的に供給するようにしているので、万一、アーク発生にミスが生じて作業者が感電する事態となったとしても、人体に流れる電流を所定比率で断続させてその実効値を低減して電撃ショックの発生を回避することができ、作業者に対して二重の安全性を保証することができるという顕著な効果を奏する。
【0024】
さらに、請求項3記載の発明によれば、請求項1または2記載の発明の効果に加えて、起動開始時の高電圧の断続供給時間長さをタイマーによって制限するようにしたので、アークスタートミスが繰り返し発生して人体に断続的に電流が流れるとしても、その電流の断続時間長さを制限してトータルの人体通電時間を所定値以下に抑えることができ、これによって、高圧電流の人体への通電時間の増加も十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のうち請求項1及び請求項3に係る直流アーク加工装置の実施の形態として適用された直流TIG溶接機の構成を示す回路図である。
【図2】同上直流TIG溶接機の動作を説明するタイミングチャートである。
【図3】本発明のうち請求項2に係る直流アーク加工装置の実施の形態として適用された直流TIG溶接機の構成を示す回路図である。
【図4】本発明のうち請求項2及び請求項3に係る直流アーク加工装置の実施の形態として適用された直流TIG溶接機の構成を示す回路図である。
【図5】図4に示す直流TIG溶接機の動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 直流溶接電源
2 トーチ
3 非消耗電極
4 母材
5 直流高電圧回路(高電圧供給装置)
5A 高周波発生装置(高電圧供給装置)
7 起動回路
8 起動スイッチ
9 電流検出器
10 短絡開放検出回路
12 タイマー
13 AND回路
14 マルチバイブレータ
16 OR回路
Claims (3)
- トーチ側の非消耗電極と母材とに接続されて通常加工時に溶接電流を供給する溶接電源と、上記非消耗電極と母材とに接続されて起動開始時に上記非消耗電極と母材間に高電圧を供給してアークスタートを行なう高電圧供給装置と、上記溶接電源および高電圧供給装置に起動信号を送出する起動回路と、上記高電圧供給装置から供給される高電圧により上記非消耗電極と母材間にアークが発生したとき、その溶接電流を検出して上記高電圧供給装置からの高電圧の供給を停止するとともに、上記溶接電源から上記非消耗電極と母材へ通常加工用溶接電流を供給する状態に切換えるように動作する電流検出器とを備えてなる直流アーク加工装置において、上記高電圧供給装置が、上記非消耗電極と母材間に直流高電圧を印加する直流高電圧回路であり、起動開始時に直流高電圧回路から上記非消耗電極と母材間への高電圧の供給を所定の比率で断続させる高電圧断続供給手段を設けたことを特徴とする直流アーク加工装置。
- トーチ側の非消耗電極と母材とに接続されて通常加工時に溶接電流を供給する溶接電源と、上記非消耗電極と母材とに接続されて起動開始時に上記非消耗電極と母材間に高電圧を供給してアークスタートを行なう高電圧供給装置と、上記溶接電源および高電圧供給装置に起動信号を送出する起動回路と、上記高電圧供給装置から供給される高電圧により上記非消耗電極と母材間にアークが発生したとき、その溶接電流を検出して上記高電圧供給装置からの高電圧の供給を停止するとともに、上記溶接電源から上記非消耗電極と母材へ通常加工用溶接電流を供給する状態に切換えるように動作する電流検出器とを備えてなる直流アーク加工装置において、上記起動回路が、起動スイッチの入り操作信号と上記母材に対して非消耗電極を一旦接触させた後に離間させたときの両者間の短絡開放を検出する検出手段による短絡開放検出信号とを入力条件として起動信号を送出するように構成されているとともに、起動開始時に上記高電圧供給装置から上記非消耗電極と母材間への高電圧の供給を所定の比率で断続させる高電圧断続供給手段を設けたことを特徴とする直流アーク加工装置。
- 上記高電圧供給装置から非消耗電極と母材間への高電圧の断続供給時間を予め設定された時間長さに制限するタイマーを備えている請求項1または2に記載の直流アーク加工装置。
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