JPH075117B2 - 操帆装置特に帆走ボ−ド用の操帆装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は操帆装置に関し、詳細には帆走ボード特に“フ
ァン−ボード（fun-board）”として知られるボードに
だけに専用されるわけではないが、そのようなボードに
用いられる操帆装置に関する。

周知のように、現在、このようなボードの操帆装置はマ
ストに沿って通された三角帆を包含し、そのマスト自体
はヒンジによってボード自体に固定される。帆は２つの
部分からなるブームすなわち“ウィシュボン（wishbon
e）”によって操作される。そのような操帆装置はシュ
バィツァ（Schweitzer）氏の米国特許第348700号に開示
されている。

広範に用いられている上述の操帆装置の駆動性が、特に
風によってマストが曲げられ、これにより帆から風が逃
げて駆動力が失われるという理由のために、たとえ完全
でないにしても、かかる操帆装置は在来の帆走ボードに
とっては十分なものである。

いわゆる“ファン−ボード”は最近になって出現したも
のであり、それは従来の帆走ボードよりも小さく、しか
もボードが走りだすまで使用者を支えられないので、使
用者が水中に入って行う水上スキーのような初動操作が
要求される。この種のボードにあっては、上述の操帆装
置により、針路を風下に変えることは難しい。というの
は、ジャイビング（gybing）時に帆の縁が風に向けられ
た際にボードが針路変更を行うのに十分な速度を持って
いない場合には、使用者は水中に没し得るからである。

ヨーロッパ公開特許出願第0031074号（シュリーブス）
は、ヒンジ付きマスト基部に取り付けられると共に、縦
に対称的で且つ帆が設けられている閉鎖フレームを、梁
が該フレームを横切る横の操縦スパーに加えて備えてい
る帆走ボード用の操帆装置を記載している。このフレー
ムの頂部は、その平面内に、その底部がマストの基部に
据える間に曲げられ、Ｌ形である。

該フレームは堅くて変形しないものである。底部分岐部
おけるＬ形の存在はフレームの変形を妨げる。それが縦
の方向に堅くされてないとすると、フレームの縦通材は
厚くしなければならず、その結果重くなり、また空気力
学的でなく、それによって、操帆装置からよくない駆動
性になる。

本発明の目的は、公知の操帆装置の欠点を改善し、また
先行技術のそれと比較して改良した駆動を有する操帆装
置を提案することである。

本発明によると、水上艇又は陸上艇用の操帆装置は、ヒ
ンジ付きマスト基部に載置するその底部を有し、縦に対
称性を有する閉鎖フレームに設けられている帆及び該フ
レームを横切る横に渡した棒を具備するものであって、
該操帆装置は、該フレームが、二つの縦通材により構成
されており、該二つの縦通材が、それらの頂部及び底部
において相互に連結され、レンズ形状を帆に与えるよう
な方法で、曲げられていることを特徴とする。

本発明の他の特徴によれば、上述の閉鎖フレームは少な
くとも１つのケーブルによって湾曲され、そのケーブル
は操帆装置の頂部および底部間に緊張状態で張られる。

支柱はそれらの平面においてかつそれらの休止位置に対
して直角な平面において湾曲させられ、これにより帆は
レンズ形状とされる。操作スパーすなわちブームは凹状
の側部を持ち、この凹状側部は膨らんだ帆の凹状側部と
向かい合う。本発明による操帆装置はレンズ形状の帆を
備え、それは接触チップを持つ湾曲形状部材から立ち上
がる形態となっている。かかる構造がきわめて頑丈であ
ることは明らかであり、またそのようにして構成された
操帆装置が有効風エネルギを最大限に利用するために十
分な剛性を備えることも明らかである。好ましくは、操
作用スパーは垂直支柱間にその下側からほぼ三分の一の
箇所に配置される。

本発明のさらに別の特徴によれば、マストを構成する各
支柱は、ブームの高さの箇所にヒンジを備える。もし困
難な情況下に置かれた場合には、操帆装置は折り畳まれ
て、その破損が回避され得る。

本発明のその他の特徴および利点は、添附図面を参照し
て本発明の種々の実施例について述べた以下の記載から
明らかとなろう。添附図面において： 第１図は本発明による第１の操帆装置の斜視図であり； 第２図は同操帆装置の背面図であり； 第３図は異なった形状を持つ帆の背面図であり； 第４図はフレームの垂直支柱に帆を取付けるための特定
の取付け方法を示し； 第５図は操帆装置についての別の取付け方法を示し； 第６図は厚みのある帆の水平横断面図であり； 第７図は厚みのある帆が支柱にどのようにして取付けら
れるかを示す図であり；および 第８図はヒンジ付け支柱を示す図である。

第１図および第２図において、帆１は支柱２から支持さ
れてそこに張られ、これら支柱２はそれらの頂部３およ
び底部４において相互に連結される。底部４はヒンジ16
を介してボードＰに支えられる。ヒンジ付けマスト基部
16により、操帆装置は水平面上の任意の所望位置に移動
することができる。周知のように、水面に接近した帆か
ら得られる駆動力はその水面レベルでの空気流の不規則
性のために小さい。方向の恒常性（consistency in dir
ection）の程度については、わずかに高くなるというこ
とが分かっているにすぎず、本発明の特徴によれば、帆
の幅によって除されたその高さの比は従来の帆の場合よ
りも大きいので、帆はむしろ垂直的なものといえる。し
たがって、ボードを推進させるに際し水面での不規則空
気流の役割は最小限にされる。支柱２は１つもしくは２
つのケーブル７によって緊張させられ、このケーブル７
は例えば滑車装置型の緊張手段10（第２図）を備え、こ
の緊張手段10はマスト基部16と帆の頂部付近に配置され
た水平スパー６との間で走行する。かかる緊張力は操帆
装置がボードに取付けられる前に支柱２に適用される。
必要に応じて、１つもしくは２つのケーブル８あるいは
スパー６により、ケーブル７でもって及ぼされる牽引力
の影響下での帆の過剰変形が阻止される。操帆装置は人
の高さの所で水平スパー５でもって使用者の手に保持さ
れ、この水平スパー５は、好ましくは、帆が湾曲する方
向とは反対の方向に湾曲する。このような操帆装置は従
来の操帆装置と同様な態様で用いられて種々の方向に移
動させられ、しかもジャイビングは一層容易に行われ
る。というのは、帆が対称となっているので、使用者は
帆を風に逆らって移動させるというよりも帆を風の方向
に対して直角にその使用者の前方に移動させることにな
り、このようにして前縁および後縁が別の針路に対して
変えられるからである。かくして、帆が風の平面に置か
れることは決してないので、ジャイビング時での駆動力
の損失は皆無となる。さらに、帆の凹状形のために、そ
の駆動力およびその非変形性が垂直ケーブルでもって高
められ、それら垂直ケーブルは弦の張られた弓として作
用するように支柱を拘束して、ブームについての使用者
の引張力が釣り合わせられる。支柱２はアルミニウムを
基材とした軽合金から作ることもできるし、また適当な
樹脂に埋め込まれたガラス繊維またはカーボン繊維を基
材としたものからも作ることができる。

第１図および第２図において、帆はレンズ形状をなす。
ケーブル８は、支柱２が垂直平面において離れ過ぎて移
動しないような態様で該支柱間に取付けることができ
る。また、第３図に図示するようなフレームを用いても
よく、そのフレームの頂部はその底部よりも一層大きな
帆面積を持ち、このとき支柱２は頂部３および底部４に
おいて相互連結される。

第４図には帆１が鞘部を用いて支柱２にどのようにして
取付けられるかが示されており、その鞘部には閉鎖手段
31が設けられ、この閉鎖手段31はベルクロ（Velcro:商
標名）形式のものであってもよいし、あるいはボタンま
たはジッパー形式のものであってもよい。目穴リング27
が支柱２に沿って所々に設けられ、これら目穴リング27
により、帆を索条（図示されない）でもって支柱の端部
に向かって引き下ろすことができる。このような帆の取
付け方式ならびにその幾何学的構造により、帆を折り畳
んでその面積をきわめて容易に減少させることができ
る。このために必要なことは、帆の頂部を支柱２から取
り外して、第１図において参照番号32でもって示すよう
にそれを巻き下ろすことである。

第５図においては、操帆装置は２つの対称的な支柱に取
付けられた帆１によって構成され、それら支柱はそれら
の頂部３および底部４において相互連結される。支柱２
には弦の張られた弓のようにケーブル７でもって予め張
力が加えられ、このケーブル７は滑車装置10によって緊
張させられる。帆の下からほぼ三分の一の箇所には湾曲
ブーム５が設けられ、このブーム５は操帆装置を操作す
るために用いられ、そのブームすなわちスパー５にはケ
ーブル７は接続されない。ケーブル７はブーム５の外側
を通過し、このためブーム５の傾きにより、ケーブルの
張力すなわち帆の窪み程度が調節されることになる。ブ
ーム５は索条によって支柱２に固定される。

上述したように、操帆装置の対称的な形状により、ふっ
くらした帆すなわち厚みのある帆の使用が可能となる。
第６図から明らかなように、対称的な形状を持つタイプ
の操帆装置においては、帆の同一面11は単一のシートか
らなる従来の帆の場合とは異なって常に凸状となり、帆
の両面の機能が使用時に変わることはない。したがっ
て、このような操帆装置にあっては、第２のシート布12
を設けることが特に適当であり、それは凹状面を構成す
るように意図され、しかも使用時に凸状面11とは異なっ
た形状を持つようにされる。また、支柱２の一方もしく
は他方によって形成される前縁の厚さは、帆によって加
えられる力に耐えるべく相当に太くされなければならな
い従来のマストの太さに比べて小さくされ、このことは
帆の両面11および12に沿う空気の流線にとって都合がよ
いことであり、このため帆はむしろ飛行機の翼のような
機能を持ち、この場合後縁での抗力はほとんどなくな
る。本発明の別の特徴によれば、帆は２つのシート布11
および12を包含し、第７図において拡大スケールで示す
ように、シート布11および12はそれらの端部で２つの鞘
部14によって連結され、その鞘部には支柱２が収容され
る。

かかる帆が風の中に置かれたとき、凹状シート布12は高
い風圧を受けて、比較的小さな湾曲形状とされ、一方凸
状面11は該風圧よりも大きな低圧を受けて、一層大きな
湾曲形状とされ、そのような湾曲形状の面11に沿って空
気の流線が追従することになる。帆の形状を改善するた
めに、シート布11および12間に充填物13を挿入すること
ができ、この充填物13は樹脂発泡体の層であってもよい
し、あるいは一組の補強材であってもよい。さらには、
任意の剛性材料もしくは半剛性材料を用いて、２つのシ
ート布の間隔を維持するようにしてもよい。これらシー
ト布については、例えば、各シート布の張力が等しくな
らないようにして、両シート布間の相互作用が阻止され
るような態様で縫い合わせることができる。

本発明による予め張力の掛けられた操帆装置はほとんど
変形自在となっていないので、使用者が操帆装置を手放
して水の中に落ち込んだ後、それが砕け波に置かれた際
には大きな力を受けることになる。支柱の破損に対する
危険性を少なくするために、第８図に示すように、ブー
ムの設置位置付近にヒンジ28を設けることができる。か
くして、ケーブル７は前進方向の背後からの力には抵抗
するが、逆方向に作用する力に対してはヒンジが折れ曲
がることになる。各支柱に設けられたヒンジ28はブレー
キとして作用する適当に定格化されたキーパー（keepe
r）によって自動的にロックされる。第８図から明らか
なように、操帆装置に及ぼされる力が過剰となって、ブ
レーキの定格力を超えたとき、操帆装置はヒンジ28でも
って位置Ｉから位置IIに折り畳まれることになる。ブレ
ーキが釈放されると、ヒンジを内側に自由に折り畳むこ
とができ、これにより操帆装置の全長を上方部の長さす
なわち帆の全長の三分の二の長さまで減少させることが
できる。好ましくは、ブーム５には、また、ヒンジ29が
設けられ、これにより操帆装置の完全な折り畳みが可能
となる。

本発明については、風力が利用されるべき場合、特に小
型帆走舟、帆走ボード、帆走陸上カートすなわち“スピ
ード−セイル（speed-sail:登録商標）”、および帆走
スケートに実施することができる。

なお、最後に、特許請求の範囲と図面との対応関係を述
べておく。第１図及び第２図はケーブル７を２個有する
操帆装置の実施例であり、第５図及び第８図はケーブル
７を１個有する操帆装置の実施例である。これら二つの
実施例は何れも特許請求の範囲第１項及び第６項の双方
に対応する。

第６図及び第７図は帆が凸状シート11と凹状シート12と
からなる操帆装置を示しており、特許請求の範囲第４項
及び第９項に対応する。

第８図はヒンジ28,29を備えた操帆装置を示しており、
特許請求の範囲第５項及び第10項に対応する。

Claims (10)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】艇に付けられているマスト基部と、 該マスト基部に支えられている底部を有する閉鎖フレー
   ムと、 該閉鎖フレームに固定され、かつ、長手方向の対称軸線
   を有する帆とを備え、 前記閉鎖フレームは、 頂部及び底部において連結されている２つの支柱と、頂
   部及び底部の中間にあって該支柱を相互連結するスパー
   とから構成されており、 前記支柱の頂部を緊張下に前記マスト基部に連結する少
   なくとも一つのケーブルを備え、 前記支柱は前記ケーブルによって湾曲させられ、操帆装
   置は正面から見たときには楕円体形状に、側面から見た
   ときには湾曲形状になり、 該操帆装置の外側面は前記湾曲形状の湾曲方向において
   凸状であり、前記操帆装置の内側面は同方向において凹
   状であり、前記帆の形状は凸レンズを長手方向中心線に
   おいて二分したような形状をなすことを特徴とする艇用
   操帆装置。
2. 【請求項２】前記スパーは、前記各支柱にそれぞれ固定
   され、前記帆の下からほぼ三分の一の箇所に配置されて
   いる両端を有するブームを形成し、該ブームは、前記フ
   レームの緊張時に凹状となる帆の側と面している凹状側
   を形成するように湾曲させられていることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項に記載の操帆装置。
3. 【請求項３】前記ケーブルは、前記ブームに関して前記
   帆とは反対側において前記ブームを通過することを特徴
   とする特許請求の範囲第２項に記載の操帆装置。
4. 【請求項４】前記帆は凸状シート及び凹状シートの二つ
   のシートを備えており、これらのシートは前記支柱を収
   容するための鞘部を包含する横方向端部を有しているこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項に記載の操帆装
   置。
5. 【請求項５】前記支柱は前記ブームの近くにヒンジを備
   え、該ヒンジは操帆装置を折り畳めるようになってお
   り、前記ブームはその両端の中間にヒンジを備えている
   ことを特徴とする特許請求の範囲第２項に記載の操帆装
   置。
6. 【請求項６】艇に付けられているマスト基部と、 該マスト基部に支えられている底部を有する閉鎖フレー
   ムと、 該閉鎖フレームに固定され、かつ、長手方向の対称軸線
   を有する帆とを備え、 前記閉鎖フレームは、 頂部及び底部において連結されている２つの支柱と、頂
   部及び底部の中間にあって該支柱を相互連結する両端部
   を有するスパーとから構成されており、 前記スパーの各端部を前記マスト基部に連結するケーブ
   ル及び該ケーブルに張力を与える手段を少なくとも一つ
   備え、 前記支柱は前記ケーブルによって湾曲させられ、操帆装
   置は正面から見たときには楕円体形状に、側面から見た
   ときには湾曲形状になり、 該操帆装置の外側面は前記湾曲形状の湾曲方向において
   凸状であり、前記操帆装置の内側面は同方向において凹
   状であり、前記帆の形状は凸レンズを長手方向中心線に
   おいて二分したような形状をなすことを特徴とする艇用
   操帆装置。
7. 【請求項７】前記スパーは、前記帆の下からほぼ三分の
   一の箇所に配置されているブームを形成し、該ブーム
   は、前記フレームの緊張時に凹状となる帆の側と面して
   いる凹状側を形成するように湾曲させられていることを
   特徴とする特許請求の範囲第６項に記載の操帆装置。
8. 【請求項８】前記ケーブルは、前記ブームに関して前記
   帆とは反対側において前記ブームを通過することを特徴
   とする特許請求の範囲第７項に記載の操帆装置。
9. 【請求項９】前記帆は凸状シート及び凹状シートの二つ
   のシートを備えており、これらのシートは前記支柱を収
   容するための鞘部を包含する横方向端部を有しているこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第６項に記載の操帆装
   置。
10. 【請求項１０】前記支柱は前記ブームの近くにヒンジを
    備え、該ヒンジは操帆装置を折り畳めるようになってお
    り、前記ブームはその両端の中間にヒンジを備えている
    ことを特徴とする特許請求の範囲第６項に記載の操帆装
    置。