JPH075054B2 - 自動車用前照灯装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、前照灯を車体に対して起伏自在に配設し、不
使用時に車体内に完全に格納し得るようにした、所謂リ
トラクタブル前照灯に採用して好適な自動車用前照灯装
置に関する。

〔従来の技術〕

従来、例えば実公昭60−5442号公報にみられるように駆
動モータによつて前照灯を上下方向に回動させ、車体内
に設けた収納室より突出させたり収納するようにした前
照灯駆動装置が知られている。また、前照灯は固定タイ
プであれリトラクタブルタイプであれ、車体に対して上
下、左右方向に傾動自在に取付けられることにより初期
の照射角度の調整，すなわち所謂エイミング調整可能と
され，これにより所望の配光性能を得るようにしている
（例実公昭62−42406号公報）、しかし、この照射角度
のうち上下方向の照射角度は初期調整自体は正しくと
も、同乗者，積載物等による車体に加わる荷重変化によ
り狂うため、車によつては走行中にこの照射角度の狂い
の調整，所謂レベリング調整を行い得るようにしたもの
も知られている。そして、このレベリング調整は前照灯
の近傍位置に設けたレベリング調整用駆動装置を運転席
からの遠隔操作により駆動することにより前照灯を上下
方向に微小角度（２〜３度）回動させることによつて行
つている。

〔発明が解決しようとする課題〕

このように前照灯，特にリトラクタブル前照灯にあつて
はエイミング調整に加えてレベリング調整および前照灯
自体の収納引出しを可能にするため、駆動源を２つ必要
とする上，その付属部品，機構等を前照灯の周囲に配設
しなければならず、そのため部品点数および組立工数が
増加してコストアツプの原因になるばかりか，レベリン
グ調整用駆動装置のために広い収納スペースを必要とす
るといつた問題があつた。

すなわち、この駆動装置は灯具ユニツトの上端部もしく
は下端部を後方から押圧もしくは引張るため、力の伝達
を効率よくかつ確実に行うため、略水平に設置されるこ
とが一般的で，そのため灯具ユニツトと駆動装置とが離
れすぎ、その間に無駄な空間が生じるからである。

したがつて，本発明は上述したような従来の問題点を解
決し，レベリング調整用駆動装置を灯体に沿つて斜めに
配設すると共にその作動杆をリンク部材を介してエイミ
ング調整用構成部品に連結することにより、比較的簡単
な構成で収納スペースの短縮化を図ると共にレベリング
調整を安定かつ円滑に行い得るようにした自動車用前照
灯装置を提供することを目的とするものである。

〔課題を解決するための手段〕

本発明は上記目的を達成するために、ランプハウジング
を車体に支軸によつて上下方向に回動自在に配設し、こ
のランプハウジングに灯具ユニツトを上下、左右方向に
回動自在に配設し、前記ランプハウジングと前記灯具ユ
ニツトの側部とを左右方向調整用エイミングスクリユに
よつて連結し、前記ランプハウジングと前記灯具ユニツ
トの上側部もしくは下側部を上下方向調整用エイミング
スクリユによつて連結し、前記前照灯のレベリング調整
用駆動装置を前記ランプハウジングもしくはその支持部
材に、前記前照灯の光軸と交差するように前照灯の灯体
に沿つて斜めに接近配置し、この駆動装置の作動杆と、
前記ランプハウジングに進退自在に保持され前記上下方
向調整用エイミングスクリユが螺合連結されたナツトと
をリンク部材を介して連結したものである。

〔作用〕

本発明において上下方向調整用エイミングスクリユはナ
ツトに対して進退移動すると、前照灯の上下方向のエイ
ミング調整を行い、左右方向調整用エイミングスクリユ
はランプハウジングに対して進退移動すると，前照灯の
左右方向のエイミング調整を行う。レベリング調整用駆
動装置の駆動により作動杆を進退させると、リンク部材
はナツトを進退移動させ、灯具ユニツトを上下方向に回
動させる。

〔実施例〕

以下、本発明を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明
する。

第１図は本発明に係る前照灯装置の一実施例を示す使用
状態の側断面図、第２図は正面図，第３図は前照灯の平
面図、第４図はエイミング機構とリンクの分解斜視図で
ある。

これらの図において、１は車体,2は車体１の前端部上面
側縁寄りに設けられた収納室で、この収納室２内に前照
灯３が出没自在に格納され，夜間，トンネル走行時等に
不図示の駆動源により第１図実線で示すように略水平に
起こされ前記収納室２から車体上方に突出することによ
りリトラクタブル前照灯を構成している。

前照灯３は、灯体4,灯体４の前面開口部に取付けられた
前面レンズ5,灯体４内に配設されたハロゲンランプ等の
光源6,灯体４の前端部外周面を保持するリテーニングリ
ング７等からなる灯具ユニツト８を備え、この灯具ユニ
ツト８がランプハウジング９に３つのエイミング調整機
構10によつて３点支持されることにより上下、左右方向
にエイミング調整自在に配設されると共にレベリング調
整機構11によつてレベリング調整自在に配設されてい
る。

前記ランプハウジング９は左右方向に長い略小判形をし
た大きな開口部12を有し、この開口部12内に前記灯具ユ
ニツト８の灯体４後端が上下，左右方向に傾動自在に挿
入されている。そしてランプハウジング９は、灯具ユニ
ツト８の上方を被い収納時には前記収納室２の開口部を
被うカバー13を一体的に有して左右一対の支持部材14A,
14Bに固定されている。前記一対の支持部材14A,14Bは車
体１に設けたブラケツト15（第３図）に左右一対の支軸
16A,16Bによつて後端部を上下方向に回動自在に軸支さ
れており、前照灯３の格納引出し時に前述した不図示の
駆動源により支軸16A,16Bを支点として回動され，これ
によつて灯具ユニツト８をリトラクタブルな構成として
いる。なお、第１図において２点鎖線で示す支持部材14
A,14Bは灯具ユニツト８の収納時における位置を示す。

前記エイミング調整機構10は、前記リテーニングリング
７の左右両側部にそれぞれ設けたダルマ形の孔17に挿通
された左右一対の左右方向調整用エイミングスクリユ18
と、リテーニングリング７の下端右側部に設けたダルマ
形の孔19に挿通された上下方向調整用エイミングスクリ
ユ20を備え，各エイミングスクリユ18,20は第１図，第
３図に示すようにランプハウジング９に配設されたナツ
ト21,22にそれぞれ螺合連結されている。この場合、左
右方向調整用エイミングスクリユ18がねじ込まれるナツ
ト21はランプハウジング９に直接溶接等によつて固定さ
れているが、上下方向調整用エイミングスクリユ20のナ
ツト22は、ランプハウジング９に止めねじ28（第４図）
によつて固定された角筒状のホルダ23の角穴24に摺動自
在に貫通して配設されている。そして、各エイミングス
クリユ18,20にはリテーニングリング７、換言すれば灯
具ユニツト８を前方に付勢する圧縮コイルばね25,26が
弾装されている。

なお、リテーニングリング７は第２図に示す３点A₁B₁、
Ｃが前記灯体４の前端部外周面に設けたフランジ部4A
（第１図）にねじ止め固定されている。なお、第４図に
おいて29はねじ取付用孔、22aはナツト22のねじ孔であ
る。

前記レベリング調整機構11は、前記灯体４の後端部下方
に前記上下方向調整用エイミングスクリユ20に対応して
配設されたレベリング調整用駆動装置としてのモータ灯
を内蔵した駆動部30と、この駆動部30に収納された摺動
ロツド34にねじ込み等により固定された作動杆31と、摺
動ロツド34の動きに追従して伸縮し駆動部30のシールを
はかる防水ジヤバラ膜35と前記作動杆31と前記ナツト22
とを連結するリンク部材32等で構成されている。駆動部
30は前記支持部材14B（もしくはランプハウジング９）
にブラケツト33（第３図）を介して、前照灯の光軸と交
差するよう灯体４の湾曲した後端部下面に沿つて前下り
に傾斜して近接するよう配設され，これにより灯体４と
駆動部30との間に無駄な空間が生じないようにしてい
る。前記リンク部材32は作動杆31の斜め方向の運動を前
後方向の運動に無理なく変換するためのもので，第４図
に示すように三角形に形成されてその各隅角部にそれぞ
れ回動支点を形成する３つの挿通孔37a,37b,37cが形成
されている。その中第1,第２の支点を構成する２つの挿
通孔37a,37bは第４図に示すように上下方向に長い長孔
とされ，これらの挿通孔37a,37bに前記作動杆31の外端
とナツト22の後端にそれぞれ一体に突設された連結ピン
40,41が摺動自在にかつ抜けを防止されて挿通されてい
る。一方、第３の支点を構成する残りの挿通孔37cは丸
孔からなり、前記ランプハウジング９に灯体４に近接し
て取付けたブラケツト42に設けた連結ピン43が同じ抜け
を防止されて挿通連結されることにより、第１、第２の
支点より上方に位置している。

次に、前照灯のエイミング調整とレベリング調整につい
て説明する。

先ず、灯具ユニツト８の左右方向のエイミング調整を行
う場合には、あらかじめ上下方向調整用エイミングスク
リユ20を緩めておき，しかる後一方の左右方向調整用エ
イミングスクリユ18を回転調整し、スプリング25に抗し
て進退移動させると、他方の左右方向調整用エイミング
スクリユ18を回動支点として灯具ユニツト８が傾動さ
れ，左右方向の照射角度が調整される。次に、上下方向
調整用エイミングスクリユ20を回転調整し、スプリング
26に抗して進退移動させると、灯具ユニツト８が一対の
左右方向調整用エイミングスクリユ18を回動支点として
上下方向に傾動されて、上下方向の照射角度が調整され
る。この場合、左右、上下方向のエイミング調整に際し
ては、前照灯３の前面側よりエイミングスクリユ18,20
を回転操作して行うため、調整作業が容易である。

次に、走行中に前照灯３のレベリング調整を行う場合に
は、運転席付近に設けたレベリング調整用操作釦を操作
して駆動部30を駆動し、その摺動ロツト34を進退移動さ
せればよい。例えば摺動ロツド34を前進移動させると、
作動杆31がリンク部材32の第１の支点部（37a）を押圧
するため、リンク部材32は第３の支点（37c）を構成す
る連結ピン43を中心として第１図時計方向に回動し、ナ
ツト22を押圧前進させる。したがつて、ナツト22と共に
上下方向調整用エイミングスクリユ20も前進し、灯具ユ
ニツト８を上方に小角度回動させ，照射角度を上方に調
整する。反対に摺動ロツド34を後退移動させると，リン
ク部材32が連結ピン43を中心として反時計方向に回動
し、ナツト22を引き寄せるため、エイミンクスクリユ20
もナツト22と一体に後退する。したがつて、前照灯ユニ
ツト８は下方に小角度回動され、照射角度を下方に調整
される。

ここで、本発明においてはレベリング調整用駆動部30を
灯体４の下面に沿つて斜めに近接配置しているので、灯
体４の下方空間を小さくすることができ，また摺動ロツ
ド34および作動杆31の斜め方向の移動をナツト22の前後
方向の移動に変換するためリンク部材32を使用し、かつ
第1,第２の支点部を形成する挿通孔37a,37bを長孔とし
ているので，駆動部30が斜めであるにもかかわらずナツ
ト22と，摺動ロツド34および作動杆31とを無理なく円滑
に移動させ得て，駆動部30に無理な力がかからずレベリ
ング調整を比較的小さな駆動力により確実に行うことが
できる。さらに，レベリング調整時にエイミングスクリ
ユ20とナツト22とが一体に作動するため、スプリング26
の応力変化もない。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明に係る自動車用前照灯装置
は、レベリング調整用駆動装置を灯体に沿つて斜めに近
接配置したので、レベリング調整用駆動装置の収納スペ
ースを小さくでき，また駆動装置の作動杆と上下方向調
整用エイミング機構とをリンク部材を介して連結してい
るので、構造簡易にして作動杆の運動を灯具ユニツトに
無理なく確実に伝達できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す使用状態の側断面図、
第２図は正面図，第３図は平面図，第４図はエイミング
機構とリンクの分解斜視図である。 １……車体、２……収納室、３……前照灯、４……灯
体、５……前面レンズ、６……光源、７……リテーニン
グリング、８……灯具ユニツト、11……ランプハウジン
グ、14A,14B……支持部材、18……左右方向調整用エイ
ミングスクリユ、20……上下方向調整用エイミングスク
リユ、22……ナツト、23……ホルダ、30……レベリング
調整用駆動部、31……作動杆、32……リンク部材、34…
…摺動ロツド、37a,37b,37c……挿通孔、40,41,43……
連結ピン。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ランプハウジングを車体に支軸によつて上
   下方向に回動自在に配設し、このランプハウジングに灯
   具ユニツトを上下，左右方向に回動自在に配設し、前記
   ランプハウジングと前記灯具ユニツトの側部とを左右方
   向調整用エイミングスクリユによつて連結し、前記ラン
   プハウジングと前記灯具ユニツトの上側部もしくは下側
   部を上下方向調整用エイミングスクリユによつて連結
   し、前記前照灯のレベリング調整用駆動装置を前記ラン
   プハウジングもしくはその支持部材に、前記前照灯の光
   軸と交差するように前照灯の灯体に沿つて斜めに近接配
   置し、この駆動装置の作動杆と、前記ランプハウジング
   に進退自在に保持され前記上下方向調整用エイミングス
   クリユが螺合連結されたナツトとがリンク部材を介して
   連結されていることを特徴とする自動車用前照灯装置。