JPH0750143A - 偏向ヨーク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、例えばコンピユータ等のデイスプレ
イ装置に適用する陰極線管の偏向ヨークに関し、垂直偏
向コイルが形成する漏洩磁界を従来に比して低減する。 【構成】本発明は、陰極線管の表示画面と平行にネツク
のほぼ中心を横切り、かつ垂直偏向方向と直交する方向
Ｘの軸上、偏向ヨーク１の外側にそれぞれキヤンセルコ
イル８及び９を配置し、このキヤンセルコイル８及び９
で垂直偏向コイルＶが形成する漏洩磁界を打ち消す。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【目次】

以下の順序で本発明を説明する。 産業上の利用分野 従来の技術 発明が解決しようとする課題 課題を解決するための手段（図２） 作用（図２） 実施例 （１）実施例の構成（図１〜図４） （２）実施例の効果 （３）他の実施例 発明の効果

【０００２】

【産業上の利用分野】本発明は、偏向ヨークに関し、例
えばコンピユータ等のデイスプレイ装置に適用し得る。

【０００３】

【従来の技術】従来、デイスプレイ装置等においては、
陰極線管のネツクに配置した偏向ヨークを駆動すること
により、電磁偏向の手法を適用してラスタ画像を形成す
るようになされている。

【０００４】すなわちこの偏向ヨークは、ほぼ円錐筒形
のコアで磁気回路を形成し、このコアに所定回数だけマ
グネツトワイヤを巻回して垂直偏向コイルを形成する。
さらに偏向ヨークは、この垂直偏向コイルをコイルボビ
ンに装着し、このボビン内側に、鞍型に巻線した１対の
水平偏向コイルを配置する。

【０００５】これにより偏向ヨークは、陰極線管が形成
する電子ビームに対して、垂直偏向コイル及び水平偏向
コイルでそれぞれ水平及び垂直に鎖交する偏向磁界を形
成し得るようになされ、これによりこの偏向磁界で電子
ビームをラスタ走査して表示画像を形成し得るようにな
されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところでこの種の偏向
ヨークにおいては、垂直偏向磁界及び水平偏向磁界の漏
洩磁界が発生する特徴がある。このうち垂直偏向コイル
が形成する漏洩磁界は、水平偏向コイルと同様に垂直偏
向コイルを鞍型に巻線して形成することにより、低減す
ることができる。

【０００７】ところが偏向ヨークにおいては、この種の
漏洩磁界をさらに低減することが望まれる。

【０００８】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、垂直偏向コイルが形成する漏洩磁界を従来に比して
低減することができる偏向ヨークを提案しようとするも
のである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め本発明においては、陰極線管のネツクに装着されて、
陰極線管のビームを電磁偏向する偏向ヨーク１におい
て、陰極線管の表示画面と平行にネツクのほぼ中心を横
切り、かつ垂直偏向方向と直交する方向Ｘの軸上、偏向
ヨーク１の外側にそれぞれキヤンセルコイル８及び９を
有し、キヤンセルコイル８、９は、所定の芯材１１に所
定回数だけ巻線して形成され、偏向ヨーク１の垂直偏向
電流で駆動され、垂直偏向コイルＶが形成する漏洩磁界
Ｆｖをキヤンセルする。

【００１０】さらに第２の発明において、芯材１１は、
コア材で形成される。

【００１１】

【作用】陰極線管の表示画面と平行なネツクのほぼ中心
を横切り、かつ垂直偏向方向と直交する方向Ｘの軸上、
偏向ヨーク１の外側にそれぞれキヤンセルコイル８及び
９を配置し、このキヤンセルコイル８及び９を所定の芯
材１１に所定回数だけ巻線して形成し、偏向ヨーク１の
垂直偏向電流で駆動すれば、このキヤンセルコイル８及
び９で垂直偏向コイルＶが形成する漏洩磁界Ｆｖを効率
良く打ち消すことができる。

【００１２】このとき芯材１１をコア材で形成して、キ
ヤンセル用の磁界を効率良く生成することができる。

【００１３】

【実施例】以下図面について、本発明の一実施例を詳述
する。

【００１４】（１）実施例の構成 図１において、１は全体として偏向ヨークを示し、陰極
線管のネツクに差し込んで所定位置に保持した後、ネジ
２を締めて陰極線管に固定する。

【００１５】ここで偏向ヨーク１は、所定の位置にリブ
を形成した第１のセパレータにマグネツトワイヤを巻線
することにより、水平偏向コイルを鞍型に形成する。さ
らに偏向ヨーク１は、このようにして水平偏向コイルを
巻回した２つのセパレータを組み合わせて外形がほぼ円
錐筒形状の水平偏向コイルアセンブリを形成し、これに
より２つの水平偏向コイルを対抗するように配置する。

【００１６】さらに偏向ヨーク１は、所定の位置にリブ
を形成した第２のセパレータに３及び４にそれぞれマグ
ネツトワイヤを巻線することにより、垂直偏向コイルを
鞍型に形成する。さらに偏向ヨーク１は、水平偏向コイ
ルアセンブリを間に挟んで、このようにして垂直偏向コ
イルを巻回した２つのセパレータ３及び４を組み合わせ
て外形がほぼ円錐筒形状の偏向コイルアセンブリを形成
する。

【００１７】これにより偏向ヨーク１は、セパレータ３
及び４を組み合わせてコイルボビンを形成し、このコイ
ルボビンの内側に垂直偏向コイル及び水平偏向コイルを
配置するようになされている。さらに偏向ヨーク１は、
このセパレータ３及び４で形成したコイルボビンの外側
にほぼ円錐筒状のコア５を配置した後、陰極線管の管軸
方向に延長する後端に裏カバー６を保持する。

【００１８】この裏カバー６は、陰極線管のネツクと同
心円状に、電子銃側に延長するリブを有し、このリブの
外側にバンド７を取り付けるようになされている。これ
により偏向ヨーク１は、このバンド７をネジ２で締め付
けることにより、陰極線管のネツクに固定し得るように
なされている。

【００１９】ここでセパレータ３及び４は、陰極線管の
表示画面側につばを有し、このつばの所定位置にキヤン
セルコイル８及び９を保持するようになされ、キヤンセ
ルコイル８及び９は、垂直偏向コイルが形成する漏洩磁
界を打ち消すようになされている。

【００２０】すなわち図２に示すように、偏向ヨーク１
は、コア５の内側に垂直偏向コイルＶ、水平偏向コイル
Ｈが配置され、これによりそれぞれ垂直偏向コイルＶ及
び水平偏向コイルＨを駆動して垂直偏向磁界及び水平偏
向磁界を形成する。このうち垂直偏向磁界ＢＶは、垂直
偏向電流を印加した際に、垂直偏向コイルを形成するマ
グネツトワイヤが各マグネツトワイヤを周回するように
局所的な磁界Ｂ_V を形成し、この局所的な磁界Ｂ_V の合
成磁界で形成され、磁気回路でなるコア５の中をそれぞ
れ上下半周だけ周回して陰極線管のネツクを横切るよう
に形成される。

【００２１】これにより偏向ヨーク１は、表示画面の長
手方向を水平方向に配置したとき、陰極線管のネツクを
水平方向に横切るように垂直偏向磁界ＢＶを形成し、こ
の垂直偏向磁界ＢＶで陰極線管のビームを上下方向に垂
直偏向する。このとき偏向ヨーク１においては、この合
成磁界がコア５から射出されて陰極線管のネツクを横切
る際、陰極線管側だけでなくコア５の外側に向かつて射
出された後、コア５の外側を半周してコア５に入射する
磁束φが形成され、この磁束φにより漏洩磁界Ｆ_V が形
成される。

【００２２】これにより垂直偏向コイルＶによる漏洩磁
界Ｆ_V は、この垂直偏向方向と直交する方向、すなわち
この場合偏向ヨーク１を水平に横切る方向Ｘに、コア５
から磁束φが入射出されることになる。これにより偏向
ヨーク１は、この入射出位置にキヤンセルコイル８及び
９を配置し、このキヤンセルコイル８及び９が形成する
磁界Ｂｃで、コア５から入射出されるこの漏洩磁界Ｆ_V
の磁束φを打ち消すようにする。

【００２３】すなわち図３に示すようにキヤンセルコイ
ル８及び９は、ドラムコア１１にマグネツトワイヤを巻
回して形成され、これによりドラムコア１１の軸方向に
磁界を形成し得るようにする。このときキヤンセルコイ
ル８及び９は、２つのドラムコア１１にマグネツトワイ
ヤを連続して巻回して形成されるようになされ、これに
より予め所定間隔だけ離間した状態で直列接続して形成
されるようになされ、偏向ヨーク１においては、これに
より組み立て作業を簡略化し得るようになされている。

【００２４】さらに偏向ヨーク１は、このキヤンセルコ
イル８及び９をセパレータ３の所定位置に配置した後、
図５に示すように垂直偏向コイルＶと直列に接続し、こ
れにより垂直偏向電流でこのキヤンセルコイル８及び９
を駆動する。なお垂直偏向コイルＶと並列に接続された
抵抗Ｒは、ダンピング抵抗でなる。

【００２５】これにより偏向ヨーク１は、垂直偏向電流
に追従して変化する漏洩磁界Ｆ_V に対して、キヤンセル
コイル８及び９で漏洩磁界の変化に追従して変化するキ
ヤンセル磁界Ｂｃを形成するようになされ、このキヤン
セル磁界Ｂｃで漏洩磁界Ｆ_Vを効率良く打ち消し得るよ
うにキヤンセルコイル８及び９を配置する。

【００２６】すなわちセパレータ３及び４は、陰極線管
の表示画面側に、表示画面とほぼ平行に立ち上がつて周
囲に広がるつばを有し、偏向ヨーク１は、このつばにキ
ヤンセルコイル８及び９を保持する。これにより偏向ヨ
ーク１は、陰極線管に装着した際、陰極線管の表示画面
と平行になり、かつ垂直偏向方向と直交する陰極線管の
ネツクを横切る軸Ｘ上に、コア５に近接してキヤンセル
コイル８及び９を配置する。

【００２７】このとき図５に示すようにセパレータ３及
び４は、このネツクを横切る軸Ｘを間に挟んでつばから
立ち上がる弾性のある一対のツメ１３及び１４が形成さ
れ、偏向ヨーク１においては、このつめ１３及び１４間
に上側からキヤンセルコイル８及び９を押し込むことに
より、このツメ１３及び１４でキヤンセルコイル８及び
９を保持し、これによりキヤンセルコイル８及び９を所
定位置に配置するようになされている。これにより偏向
ヨーク１においては、陰極線管の表示画面側の、漏洩磁
界がコア５から入射出される位置に近接してキヤンセル
コイル８及び９を配置し、このキヤンセルコイル８及び
９が形成するキヤンセル磁界Ｂｃで漏洩磁界Ｆ_V を効率
良く打ち消すようになされ、これにより表示装置全体と
して漏洩磁界を低減し得るようになされている。

【００２８】なお実験によつても、この実施例の偏向ヨ
ーク１は、垂直及び水平偏向コイルをそれぞれ鞍型に形
成した偏向ヨークに比して、漏洩磁界を格段的に低減し
得ることがわかつた。

【００２９】（２）実施例の効果 以上の構成によれば、垂直偏向コイルの漏洩磁界がコア
から入射出される部分に近接してキヤンセルコイル８及
び９を配置し、このキヤンセルコイル８及び９が形成す
るキヤンセル磁界で垂直偏向コイルの漏洩磁界を打ち消
すことにより、効率良く漏洩磁界を打ち消し得、これに
より従来に比して格段的に漏洩磁界を低減することがで
きる。

【００３０】（３）他の実施例 なお上述の実施例においては、コイルボビンを形成する
セパレータ３及び４の表示画面側つばにキヤンセルコイ
ルを配置する場合について述べたが、本発明はこれに限
らず、陰極線管の表示画面と平行に陰極線管のネツクの
ほぼ中心を横切り、かつ垂直偏向方向と直交する方向の
軸上で偏向ヨークの外側の範囲であれば、キヤンセルコ
イルを配置して漏洩磁界を低減し得、この範囲で最も効
率良く漏洩磁界をキヤンセルし得る位置を選択してキヤ
ンセルコイルを配置することができる。

【００３１】すなわち陰極線管においては、表示画面側
にシヤドウマスク等を配置することにより、表示画面側
で漏洩磁界が小さい特徴があり、これとは逆に側面側で
漏洩磁界が大きい特徴がある。すなわちこの種の漏洩磁
界は、偏向ヨークの周囲に一様に形成されるのではな
く、特定の分布で形成される特徴があり、当然のことな
がらこの分布は、陰極線管の周囲に配置した部品（例え
ばスピーカ等の金属部品）によつても変化する。

【００３２】従つて例えば陰極線管の電子銃側で漏洩磁
界が大きい場合においては、図６に示すように、電子銃
側にキヤンセルコイル８及び９を配置するようにしても
よい。すなわちこの場合、セパレータ３及び４において
電子銃側につば２１を形成し、図５について上述したつ
め１３及び１４と同様のつめ２２をこのつば２１に形成
する。これにより簡易にキヤンセルコイル８及び９を配
置して、電子銃側で大きな漏洩磁界を効率よく低減する
ことができる。

【００３３】これに対して例えば図７に示すように、コ
ア５にバンド３１を配置し、このバンド３１でキヤンセ
ルコイル８、９を支持するようにしてもよい。すなわち
この場合バンド３１は、外形がテーパ状に変化するコア
５に対して、キヤンセルコイル８及び９の配置位置に応
じて（すなわち陰極線管の管軸方向の位置でなる）内径
が選定されるようになされ、これにより偏向ヨーク１の
コア５に対して所定位置に保持されるようになされてい
る。

【００３４】さらにこのバンド２１は、陰極線管の管軸
を間に挟んで180 度の角間隔で対向する位置に図５につ
いて上述したつめ１３及び１４と同様のつめ３２を形成
するようになされている。これにより簡易にキヤンセル
コイル８及び９を配置し得、バンド３１の内径を選定し
て種々の位置にキヤンセルコイル８及び９を配置するこ
とができ、漏洩磁界を効率よく低減することができる。

【００３５】さらに上述の実施例においては、弾性のあ
る一対のツメを形成し、このつめの上側からキヤンセル
コイル８及び９を押し込んで保持する場合について述べ
たが、本発明はこれに限らず、図８に示すように、円筒
形状の空隙３３を形成し、この空隙３３にキヤンセルコ
イル８及び９を差し込んで保持するようにしてもよい。

【００３６】さらに上述の実施例においては、ドラムコ
アにマグネツトワイヤを巻回してキヤンセルコイル８及
び９を形成した場合について述べたが、本発明はこれに
限らず、単に円筒形状のコアにマグネツトワイヤを巻回
してキヤンセルコイルを形成してもよく、さらには樹脂
で成形した芯材にマグネツトワイヤを巻回してキヤンセ
ルコイルを形成することにより、空心コイルでキヤンセ
ルコイルを形成してもよい。

【００３７】また樹脂を成形にして芯材を形成し、この
芯材にマグネツトワイヤを巻回してキヤンセルコイルを
形成する場合において、この芯材の中心にコアを挿入し
得るように形成し、このコアの挿入量を調整して等化的
にキヤンセルコイルの配置位置等を可変し得るようにし
てもよい。さらにこの場合、芯材の形状を楕円形状等の
偏平した形状に選定して形成しても良い。

【００３８】さらに上述の実施例においては、垂直及び
水平偏向コイルを鞍型に巻線して形成する場合について
述べたが、本発明はこれに限らず、トロイダルコアに巻
線して垂直偏向コイルを形成する場合、さらにはトロイ
ダルコアに巻線して垂直及び水平偏向コイルを形成する
場合にも広く適用することができる。

【００３９】

【発明の効果】上述のように本発明によれば、陰極線管
の表示画面と平行にネツクのほぼ中心を横切り、かつ垂
直偏向方向と直交する方向の軸上、外側にそれぞれキヤ
ンセルコイルを配置し、このキヤンセルコイルで垂直偏
向コイルが形成する漏洩磁界を打ち消すことにより、垂
直偏向コイルが形成する漏洩磁界を従来に比して低減す
ることができる偏向ヨークを得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例による偏向ヨークを示す平面
図である。

【図２】その動作の説明に供する略線図である。

【図３】そのキヤンセルコイルを示す平面図である。

【図４】その接続を示す接続図である。

【図５】キヤンセルコイルの保持方法を示す平面図であ
る。

【図６】キヤンセルコイルを電子銃側に保持する構成を
示す側面図である。

【図７】キヤンセルコイルをコアの外側に保持する構成
を示す側面図である。

【図８】キヤンセルコイルの他の保持方法を示す斜視図
である。

【符号の説明】

１……偏向ヨーク、３、４……セパレータ、５……コ
ア、６……裏カバー、８、９……キヤンセルコイル、Ｈ
……水平偏向コイル、Ｖ……垂直偏向コイル。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】陰極線管のネツクに装着されて、上記陰極
   線管のビームを電磁偏向する偏向ヨークにおいて、 上記陰極線管の表示画面と平行に上記ネツクのほぼ中心
   を横切り、かつ垂直偏向方向と直交する方向の軸上、上
   記偏向ヨークの外側にそれぞれキヤンセルコイルを有
   し、 上記キヤンセルコイルは、所定の芯材に所定回数だけ巻
   線して形成され、上記偏向ヨークの垂直偏向電流で駆動
   され、上記垂直偏向コイルが形成する漏洩磁界を打ち消
   すことを特徴とする偏向ヨーク。
2. 【請求項２】上記芯材は、コア材で形成されたことを特
   徴とする請求項１に記載の偏向ヨーク。