JPH0748573Y2 - 移載装置の位置決め移載機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、移載側と被移載側間で物品を載脱荷するため
の位置決め移載機構に関する。

従来技術及びその課題 或る物品の移載側と被移載側とが相互に位置関係を定め
られない場合、特に、移載側の移載装置と被移載側の受
台とが双方とも移動する場合は、互いの停止精度がラフ
であれば所望の移載点に物品（搬送物）を移載できない
ことがある。そのため、移載側と被移載側の設置精度を
高めてそれに見合った装置を設計しなければならない
か、被移載側に位置決め装置を別途設置して移載位置の
精度を出す必要があった。

そして、これらの対策を施すには、装置全体の構成部品
を高精度に製作しなければならず、さらに装置の据付精
度を出す必要もある。いずれにしても、トータル的な設
備にコストがかかり、これらの設備設置は、搬送物の移
載点のずれによる製品品質のばらつきを抑えるために避
けられない問題であった。

課題を解決するための手段 本考案は、枠体と、該枠体に取付けられ前記枠体に対し
移動可能な浮動フレームと、前記枠体及び前記浮動フレ
ームの一方に設けられ鉛直方向に進退動する複数の先端
円錐状作動杆と前記枠体及び前記浮動フレームの他方に
形成され前記作動杆に対応する孔を有して前記枠体に対
して前記浮動フレームを予め決められた位置に復帰保持
させる復帰保持手段と、前記浮動フレームを前記枠体に
対して固定するロック手段と、前記浮動フレームに設け
られ伸縮自在な円錐状位置決めピンとを有する移載装置
と、被移載側に設けられ前記位置決めピンと適合する形
状の孔とを有してなる位置決め移載機構により前記課題
を解決した。

作用 搬送路を移動する移載装置は、おおよその移載点で停止
する。復帰保持手段を解放することにより浮動フレーム
は枠体に対して移動が自由になる。次いで、位置決めピ
ンが作動し、被移載側の孔に向って伸びる。位置決めピ
ンが孔に進入すると、浮動フレームは、被移載側に対し
て位置が定められる。これにより、移載装置は搬送物を
正確な移載点に脱荷できるようになる。ここで、ロック
手段が作動し、浮動フレームを枠体に対して固定し、移
載動作中の搬送物のずれを防止する。そして、位置決め
ピンは孔から解放され、搬送物は被移載側に移載され
る。

移載を完了した移載装置は、逆の動作で元の姿勢に復帰
する。そして、作動杆が孔に進入する。浮動フレームは
枠体に対して予め決められた元の基準位置に復帰し、移
載装置は次の搬送物の移載に備える。

実施例 以下、図面を参照して本考案の実施例を、移載装置とし
て吊持移載装置、被移載側として台車を例にとり、その
間の位置決め移載機構として説明する。

まず、第６図は、本考案の位置決め移載機構が適用され
る生産ラインのレイアウトの一部を示している。この生
産ラインは、ブラウン管のパネルＰ及びマスクＭの生産
ラインである。特に、ブラウン管のパネルとマスクは、
これらの相対位置を精度よく定めて各行程間を送らなけ
ればならない。さもなければ、パネルへの塗料の塗布の
ときにその焼き付け精度が悪くなり、テレビ画面の品質
が落ちて商品価値を失うことになる。従って、位置決め
には細心の注意を払わなければならない。本考案の位置
決め移載機構は、このような高い位置決め精度が要求さ
れる行程間の移載に有用である。

第６図中、搬送物であるパネルＰ及びマスクＭの流れ
は、パレットコンベヤ１上の搬送、移載点Ａから第１吊
持移載装置11による中間置台３への移載、中間置台３か
らパネル塗布装置７の移載点Ｂへの第２吊持移載装置12
による移載、パネル塗布装置７での塗料塗布工程、パネ
ル塗布装置７の移載点Ｃから第３吊持移載装置13による
脱荷となる。

移載点Ａでの第１吊持移載装置11は、架台4,5に架設さ
れたレール６上をパレットコンベヤ１と中間置台３との
間を往復動する。第１吊持移載装置11は、一対の吸着板
及び把持腕（図示せず）を有し、移載点Ａから一対のパ
ネルＰ及びマスクＭを脱荷して中間置台３に載荷する。
パレットコンベヤ１から第１吊持移載装置11へのパネル
Ｐ及びマスクＭの投入は、移載点Ａにおけるパレット２
と第１吊持移載装置11の停止精度の確保がそれほど困難
でないことから、確実な移載をすることができる。従っ
て、中間置台３への移載精度は大体正確である。

中間置台３はパネルＰ及びマスクＭを二対載置可能であ
る。第１吊持移載装置11は、２往復して中間置台３上に
二対のパネルＰ及びマスクＭを載荷する。

第２吊持移載装置12は、一対の吸着板61及び一対の把持
腕62を有し、中間置台３からパネル塗布装置７の移載点
Ｂに二対のパネルＰ及びマスクＭを１回の往復動により
移載する。

パネル塗布装置７は、円環状無端レール71と、この上を
走行する多数の台車72を有する。台車72は無端状に連結
された構造であり、レール71上を間欠的に駆動される
（タクト運転）。従って、台車間の連結部にガタがある
ため、停止精度はかなりラフである。

第２吊持移載装置12は、このような台車72上にパネルＰ
及びマスクＭを移載しなければならず、この移載点Ｂで
は相互の位置を定める機構が必要である。

塗布行程を完了したパネルＰ及びマスクＭは、移載点Ｃ
において、第３吊持移載装置13によりパネル塗布装置７
から脱荷され、次行程へ送られる。移載点Ｃについて
も、第３吊持移載装置13と台車72間で相互の位置を定め
る機構が必要となる。

位置決め移載機構は、第２吊持移載装置12と台車72の
間、及び台車72と第３吊持移載装置13の間に設けられ
る。パネルＰとマスクＭはこの機構により正確な位置に
載脱荷される。

第２吊持移載装置12は、第５図に示されるように、レー
ル６上を移動可能であり、中間置台３とパネル塗布装置
７間を往復動する。第３吊持移載装置13も略々同じ構造
である。

詳細な構造を第１図乃至第３図に示す。第２吊持移載装
置12は、枠体20と、浮動フレーム30と、復帰保持手段40
と、ロック手段50と、位置決めピン60とを有してなる。

枠体20の下部フレーム21には浮動フレーム30が取付けら
れている。第２図は、浮動フレーム30の平面図である。
そして、双方が一体となってレール６上を往復動する。
浮動フレーム30はシリンダ23により枠体20とともに昇降
可能である。

浮動フレーム30は、枠体20に対して回動と水平２方向の
移動が可能になっている。回動は、第１図に示されるよ
うに、下部フレーム21と浮動フレーム30とをクロスロー
ラーベアリング22によって支持することにより可能にな
っている。水平２方向の移動は、クロスローラーベアリ
ング22の外輪に固定された横枠24と、この横枠24に対し
て取付けられる縦枠25において、軸26とすべり軸受27の
組合せにより可能になっている。

パネルＰ及びマスクＭを搬送するための吸着板61及び把
持腕62は、第３図に示されるように、浮動フレーム30に
取付けられている。従って、浮動フレーム30は、後述す
る復帰保持手段40及びロック手段50が解放していれば、
枠体20に対して回動と水平移動が自由であり、枠体20に
対してその位置を自由に定めることができる。すなわ
ち、パネルＰ及びマスクＭの移載位置は、枠体20の搬送
軌道から外れていても自由に設定できるのである。

復帰保持手段40は、枠体20と浮動フレーム30を予め決め
られた相対位置関係に保持するためと元の（基準）位置
に復帰させるための手段である。上記のように、浮動フ
レーム30は枠体20に対して移動が自由な状態にすること
ができるため、中間置台３からパネルＰ及びマスクＭを
載荷するときに、パネルＰ及びマスクＭを定まった位置
に迅速且つ正確に復帰させ、その位置を保持してパネル
Ｐ及びマスクＭを載荷する必要がある。なお、パレット
コンベヤ１から中間置台３までの移載には、精度はそれ
ほど狂うことがないから、一定の相対位置を確保してお
けばよい。

復帰保持手段40は、枠体20の下部フレーム21に設けられ
たシリンダ43と、浮動フレーム30の水平板32に設けられ
た貫通孔33からなる。シリンダ43と貫通孔33は、枠体20
の軸に対し点対称に設けられている。シリンダ43は先端
が円錐状の作動杆44を有する。第４図に示されるよう
に、作動杆44が貫通孔33に挿入されることにより、枠体
20と浮動フレーム30の相対位置が補正され、双方は予め
定められた位置関係に保たれる。

ロック手段50は、枠体20と浮動フレーム30を適宜の位置
で固定保持するための手段であり、これにより浮動フレ
ーム30がどのような位置にあっても、その位置で枠体20
との相対位置関係が固定される。

ロック手段50は、枠体20の下部フレーム21に設けられた
シリンダ53と、浮動フレーム30の水平板32からなる。シ
リンダ53は枠体20の軸に対し点対称に２基設けられてい
る。シリンダ53は先端に水平板32を押圧するゴム製圧着
板52を具えた作動杆54を有する。圧着板52が水平板32を
押圧することにより、枠体20と浮動フレーム30の相対位
置がそのまま保持される。

これらの復帰保持手段40とロック手段50により、枠体20
と浮動フレーム30との予め決められた相対位置への復帰
及び保持と、自由な位置での浮動フレーム30の固定が可
能となる。

浮動フレーム30には、さらに、水平板32の両端において
位置決めピン60,60が設けられている。位置決めピン60,
60はシリンダ63,63の作動杆64,64の先端に設けられた円
錐状のピンで、台車72に向って伸縮自在である。位置決
めピン60,60は浮動フレーム30の中心に対して点対称で
ある。浮動フレーム30の移動は水平面内（２次元）で生
じるので、位置決めピン60,60は２つあれば移載点が定
まる。浮動フレーム30が３次元の移動をするならば、位
置決めピンは３つ必要になる。

以上が第２吊持移載装置12側の構造である。一方、被移
載側の台車72には、載荷されるパネルＰとマスクＭの正
確な移載点に対応する孔73が設けられている。孔73の液
状は、位置決めピン60の先端の形状に適合する円錐状の
孔であるが、単なる真っすぐな孔であってもよい。

上記の移載装置12と孔73によって位置決め移載機構が構
成される。

パネルＰ及びマスクＭの台車72上への正確な載荷は次の
順序で行われる。

中間置台３上の二対のパネルＰ及びマスクＭは、吸着板
61及び把持腕62により吊持される。保持手段40の作動杆
44は貫通孔33と係合しており、枠体20と浮動フレーム30
とは予め決められた相体位置を保っている。すなわち、
浮動フレームは枠体20に対して位置決めされた状態にあ
る。ロック手段50は解放している。

第２吊持移載装置12はレール６上を横行し、パネル塗布
装置７の台車72への移載点Ｂの上方に到着する。連結さ
れる各々の台車72はおおよその位置に停止するが正確で
はない。

ここで復帰保持手段40が解放される。浮動フレーム30は
枠体20に対して移動が自由になる（フローティング状
態）。位置決めピン60が降下して、台車72の孔73に進入
する。このとき、浮動フレーム30は台車72に対して位置
決めされる。吸着及び把持されるパネルＰ及びマスクＭ
は正確な載荷位置の上方で待機することになる。ロック
手段50が作動し、浮動フレーム30は台車72に対して位置
決めされた状態で枠体20に固定される。そして、位置決
めピン60が孔73から脱して、シリンダ23により枠体20と
浮動フレーム30が降下する。吸着板61及び把持腕62はパ
ネルＰ及びマスクＭを解放して、台車72上の正確な位置
に載荷を行なう。

ついで、第２吊持移載装置12は上昇し、ロック手段50を
解放、復帰保持手段40が作動して枠体20と浮動フレーム
30は予め決められた元の相対位置に復帰し、次の移載に
備える。

以上の順序はパネル塗布装置７にパネルＰ及びマスクＭ
を載荷する動作を示しているが、移載点Ｃにおけるパネ
ル塗布装置７から第３吊持移載装置13への脱荷はこの逆
の順序で行えばよい。

考案の効果 本考案は以上の構成であるから、次の効果を奏する。

（１） 移載側は被移載側に対してその移載点が定めら
れるので、搬送物の移載ミスが皆無となる。

（２） 従って、載荷された搬送物が加工される際、製
品品質を一定に保つことができる。

（３） 被移載側の孔を大きくすることと、浮動フレー
ムの移動範囲を拡大することにより、相対的な停止精度
をラフに設定でき、構成部品等のコストダウンを図るこ
とができる。

（４） 異形状の搬送物の載脱荷にも適用できる。

（５） さらに、本発明では、枠体及び浮動フレームの
一方に設けた先端円錐状作動杆が枠体及び浮動フレーム
の他方に設けた孔に進入して浮動フレームが予め決めら
れた元の基準位置に復帰させられるので、浮動フレーム
は枠体に対して強制的且つ高精度に位置決めされる。そ
して、作動杆が孔に進入していることから、位置決め後
は浮動フレームが予め決められた元の基準位置に保持さ
れ、次の載荷動作を円滑且つ迅速に行わせることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は把持腕を除いた移載装置と被移載側の台車の断
面図で第２図の１−１線矢視図、第２図は第１図の２−
２線矢視図であり浮動フレームの平面図、第３図は移載
装置と被移載側の正面図、第４図は保持手段の一部拡大
断面図、第５図は吊持移載装置の正面図、第６図は本考
案が適用される生産ラインのレイアウトを示す平面図で
ある。 11,12,13……移載装置 20……枠体 30……浮動フレーム 40……復帰保持手段 50……ロック手段 60……位置決めピン

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】枠体と、該枠体に取付けられ前記枠体に対
   して移動可能な浮動フレームと、前記枠体及び前記浮動
   フレームの一方に設けられ鉛直方向に進退動する複数の
   先端円錐状作動杆と前記枠体及び前記浮動フレームの他
   方に形成され前記作動杆に対応する孔を有して前記枠体
   に対して前記浮動フレームを予め決められた位置に復帰
   保持させる復帰保持手段と、前記浮動フレームを前記枠
   体に対して固定するロック手段と、前記浮動フレームに
   設けられ伸縮自在な円錐状位置決めピンとを有する移載
   装置と、 被移載側に設けられ前記位置決めピンと適合する形状の
   孔とを有してなる、 位置決め移載機構。